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【発明の名称】 リパーゼ阻害剤、角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤およびニキビ抑制剤
【発明者】 【氏名】田口 江理子

【氏名】太田 直美

【要約】 【課題】リパーゼ阻害活性を有する成分を見出し、これを用いた細菌性リパーゼに起因する皮膚疾患や角栓形成に対して有効な皮膚外用剤を提供する。

【構成】フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とするリパーゼ阻害剤、角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤、ニキビ抑制剤とする。また、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物を配合してなり、毛穴目立ち抑制作用とニキビ抑制作用の両方を有する皮膚外用剤とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とするリパーゼ阻害剤。
【請求項2】
フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とする角栓形成抑制剤。
【請求項3】
フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とする毛穴目立ち抑制剤。
【請求項4】
フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とするニキビ抑制剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はリパーゼ阻害剤、角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤、ニキビ抑制剤およびそれを配合した皮膚外用剤に関わり、さらに詳しくは、皮表皮脂および毛包内皮脂中に存在する微生物のリパーゼを阻害することにより、このリパーゼに起因するニキビ等の皮膚疾患を予防、防止し、さらには皮脂中の刺激成分による過角化を抑制し、角栓の形成を抑制し、これにより毛穴を押し広げず、毛穴の目立ちを抑える効果を有するリパーゼ阻害剤、角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤、ニキビ抑制剤およびそれを配合した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人体における細菌性リパーゼには、皮膚表層に常在する微生物(プロピオニバクテリウム アクネス:Propionibacterium acnes、ピティロスポラム オバール:Pityrosporum ovale 、マイクロコッカス属:Micrococcus sp.など)の産生するリパーゼがあり、これらのリパーゼが皮脂中に含まれるトリグリセライドを分解し遊離脂肪酸を産生する。この遊離脂肪酸は、皮膚に対して刺激性の炎症反応を引き起こし、ニキビ、皮膚炎、フケなどの要因となると考えられている。
特にニキビの原因とされるプロピオニバクテリウム アクネスの菌数と産生する遊離脂肪酸には相関関係があり、遊離脂肪酸が毛包壁に対して、刺激性の炎症反応とそれに伴う過角化、面皰、角栓の形成を引き起こすことが明らかになっている(非特許文献1参照)。
【0003】
これに対し、細菌性のリパーゼを阻害して疾患を抑制または予防する薬剤の開発は未だあまり進められておらず、2-Pyridylmethyl-2-(P-(2-methylpropyl)-phenyl)propionate(慣用名イブプロフェンピコノール)(非特許文献2参照)、テトラサイクリンおよび金属塩(特許文献1参照)等が報告されているに過ぎない。
上述した、従来から用いられている細菌性のリパーゼを阻害する薬剤は、他の配合成分との関係からリパーゼ阻害効果を発揮できなかったり、局所適用における安全性、有効性において、必ずしも満足し得ないものであった。
なお、リパーゼを阻害する薬剤は肥満抑制作用も有している。油脂は高カロリーの食品成分であり、その摂りすぎは肥満の直接的な原因になる。体内においてリパーゼは食物の消化吸収を補助する働きを担うため、この消化酵素の作用を阻害し、脂質等の体内吸収を妨げ、肥満を防止することができる。
【0004】
また、鼻の頭や小鼻の角栓に関しても、従来収斂化粧水や角栓除去による対応が一般的となっていた。しかしながら、収斂化粧水は肌を引き締めることを目的にしており、アルコールにより一時的に皮膚表面温度を下げたり、有機酸などによりタンパク質を凝固させたりする作用による。従って一時的に肌を引き締めるものであるため、皮膚への負荷が大きく、角栓形成の根本的な解決となっておらず、その効果も十分ではなかった。また、角栓除去は毛穴につまった角栓を物理的に除去する方法であり、この方法では物理的な力が肌にダメージを与え、皮膚への副作用が問題となることがあった。またその効果も一時的で角栓がすぐに再生してしまうこともあり、必ずしも効果は十分ではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−186919号公報
【非特許文献1】McGinley,K,J.et.al., J. Clin. Microbiol. 12:672-675,1980
【非特許文献2】西日皮膚47.5、888〜898、899〜908、1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決すべき課題は、このような問題点を克服し得る、リパーゼ阻害活性を有する成分を提供すること、およびこれを用いた細菌性リパーゼに起因する皮膚疾患や角栓形成に対して有効な皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のような現況に鑑み、本発明者らはニキビ、角栓発生の予防・改善には、それぞれの発生機序に立脚した薬効成分、すなわちリパーゼに対し阻害作用を有する成分が有効であると考え、広く種々の物質について当該作用の有無を調べた結果、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物が、リパーゼに対して優れた阻害作用を有し、さらにニキビ、角栓形成に対して予防、改善効果を有することを見い出した。加えて、上記植物抽出物は角栓形成を抑制した結果、ヒト鼻部位の毛穴において、毛孔部(導管部の角栓を有する部位)の目立ちを改善する作用を有することを見出し、これに基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とするリパーゼ阻害剤である。
【0009】
また本発明は、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物からなることを特徴とする角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤およびニキビ抑制剤である。
【0010】
本発明者らが知る限りにおいて、当該植物抽出物のリパーゼ阻害作用に関する報告はこれまでにない。
【0011】
また本発明のフユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物は、優れたチロシナーゼ活性阻害作用をも有しており、チロシナーゼ活性阻害剤としても有用である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリパーゼ阻害剤によれば、リパーゼの活性変化に起因する種々の皮膚疾患、ニキビ、角栓形成、毛穴目立ち、および肥満に対して予防、改善効果を有し、安全性にも優れたものである。
本発明の角栓形成抑制剤は、角栓形成抑制作用に優れ、安全性にも優れたものである。
本発明の毛穴目立ち抑制剤は、毛穴を目立たなくさせる作用に優れ、安全性にも優れたものである。
本発明のニキビ抑制剤は、ニキビの形成に対して予防、改善効果を有し、安全性にも優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明に用いられるフユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)は、ユキノシタ科ベルゲニア属に属する常緑多年草で、カシミア、ブータン、ネパール、インドなどに分布する。
【0014】
本発明のリパーゼ阻害剤、角栓形成抑制剤、毛穴目立ち抑制剤およびニキビ抑制剤には、上記各植物の葉、茎、花、根のいずれか、またはその混合物を、抽出溶媒と共に浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得ることができる。抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、含水アルコール、アセトン、酢酸エチルエステル、1,3−ブチレングリコール等の有機溶媒を、単独あるいは組み合わせて用いることができる。また、抽出物を上記の溶媒を用い、分配あるいは吸着クロマトグラフィーのごとき精製等の処理を加えて得られたものを用いることもできる。
【0015】
本発明の剤を用いて角栓形成抑制用皮膚外用剤、毛穴目立ち抑制用皮膚外用剤、ニキビ抑制用皮膚外用剤とする場合、あるいはこれらの複数の効果を同時に奏する皮膚外用剤とする場合には、上記の植物抽出物を外用剤全量中乾燥物として0.005〜20.0質量%、好ましくは0.01〜10.0質量%を配合する。0.005質量%未満であると、本発明でいう効果が十分に発揮されず、20.0質量%を越えると製剤化が難しいので好ましくない。また、10.0質量%以上配合してもさほど大きな効果の向上はみられない。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0017】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、グラブリジン、甘草、カリン、イチヤクソウ等各種生薬の抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース、キシリトール等の糖類なども適宜配合することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれの形で適用することもでき、剤型は特に問わない。
【0019】
本発明のリパーゼ阻害剤は、抗肥満作用を目的とした医薬品、たとえば肥満予防剤として用いることができる。
かかる用途において本発明のリパーゼ阻害剤を製剤化するためには、通常の方法で、たとえば散剤、顆粒、アンプル、注射液、等張液などとする。すなわち、経口用固形製剤を調製する場合は、賦形剤さらに必要に応じて結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、矯味剤、矯臭剤などを加えたのち、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒、カプセル剤などとする。
【0020】
使用される賦形剤としては、例えば乳糖、ブドウ糖、ソルビット、コーンスターチ、マンニトールなどが、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが、崩壊剤としては炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、デンプン、ゼラチン末などが、滑沢剤としては、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールなどが、着色剤としては、ココア末、ハッカ芳香酸、ハッカ油などが挙げられる。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングしてもよい。注射剤を製剤する場合には、必要によりpH調整剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、溶剤、安定化剤、保存剤などを添加し、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤とする。
【実施例】
【0021】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、配合量は質量%である。
実施例に先立ち、本発明に用いられるフユベゴニアエキスの、リパーゼ阻害作用に関する試験方法、ならびに角栓形成抑制効果、ニキビ抑制効果、毛穴目立ち抑制効果に関する試験方法及びその評価基準について説明する。
【0022】
1.リパーゼ阻害試験
[試料の調製]
ネパール産のフユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の乾燥根茎50g(湿重量)を室温で1週間、5倍量のエタノールに浸漬し、抽出液を濃縮乾固した。この固形物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、10%溶液を作製した。これを用いて以下の実験を行なった。
【0023】
[リパーゼ阻害作用の測定]
(1)リパーゼの調製
Pabloらの方法(J.Invest.Dermatol.63,213,1974)に準じてリパーゼを精製した。
すなわち、ブレイン・ハート・インフュージョンブイヨン培地中にヒト皮膚から分離したプロピオニバクテリウム アクネスの1白金耳を接種し、37℃で7日間嫌気的に培養し、培養液を4℃、3000rpm15分間遠心分離した。その上清1L中に−30℃において、95%エタノールを1L添加し、−10℃で30分間スターラーで攪拌したのち、4℃、1000rpmで15分間遠心分離を行い、沈渣を凍結乾燥して粗リパーゼとした。この0.5gを、0.1mol/LNaCl−0.02mol/L酢酸緩衝液(pH5.2)3mLに溶解し、セファデックスG−100カラム(φ2.6cm、長さ45cm)を用いて、0.1mol/LNaCl−0.02mol/L酢酸緩衝液でゲル濾過し、活性画分40mLを得て、これをリパーゼ溶液とした。
【0024】
(2)比較試料の調製
リパーゼ阻害効果のある薬剤として現在皮膚外用剤に使用されている(a)2-Pyridylmethyl-2-(P-(2-methylpropyl)-phenyl)propionate (慣用名イブプロフェンピコノール)(西日皮膚47,5 888〜898、898〜908、1985)、(b)テトラサイクリン(特開昭59−186919号公報)を、以下の方法で調製したものを比較試料とした。
【0025】
(a)2-Pyridylmethyl-2-(P-(2-methylpropyl)-phenyl)propionate
2-Pyridylmethyl-2-(P-(2-methylpropyl)-phenyl)propionate を、酵素溶液中で反応させるときの濃度が0.1%、0.01%になるように、DMSOに溶解した。
(b)テトラサイクリン
テトラサイクリン塩酸塩(シグマ社製)を酵素溶液中で反応させるときの濃度が0.1%、0.01%になるように、DMSOに溶解した。
【0026】
(3)リパーゼ活性の測定法および阻害率の算出
上記(1)で得られたリパーゼ溶液に、試験試料、比較試料をそれぞれ加えて、37℃で振盪した後、それぞれ正確に1mLずつ取り分けた(リパーゼ溶液a〜f)。
他方、オリーブオイル乳液5mLと0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)4mLとを50mL容共栓三角フラスコに正確に取りよく混合し、37℃の恒温水槽を用いて10分間予熱した。次いで、ここに上記1mLずつ取り分けたリパーゼ溶液a〜fをそれぞれ一か所に集中しないように攪拌しながら加えて良く混合し、酵素反応を行わせた。正確に10分間経過後アセトン−エタノール混液20mLを注ぎ、フェノールフタレイン試薬5滴を加え、0.05mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定した。
一方、これとは別に、オリーブ油乳液5mLと0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)4mLとを、50mL容共栓付き三角フラスコに正確に取り、37℃で30分間加温後、アセトン−エタノール混液20mLをそそぎ、次いで上記1mLずつ取り分けたリパーゼ溶液a〜fをそれぞれ加えた後、フェノールフタレイン試薬5滴を加え、0.05mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定した。これを対照液として酵素反応を行わせた滴定量から差し引き、活性値を算出した。
これと同様に、試験試料もしくは比較試料を加えないリパーゼ溶液の活性値を測定し、この値を、酵素活性値100(阻害率0%)とする阻害率で表した。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】


【0028】
表1から分かるように、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の抽出物は、リパーゼに対して阻害作用を有し、その強度はイブプロフェンピコノールとテトラサイクリン塩酸塩のリパーゼ阻害作用に比べ、より優れたものであった。
【0029】
2.角栓形成抑制試験
[試料の調製]
ネパール産のフユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の根茎50g(湿重量)を室温で1週間、5倍量の50%エタノールに浸漬し、ろ過して得られた抽出液を3%含む、30%エタノールを用いて評価した。
【0030】
[角栓形成抑制効果試験方法]
30才から37才までの男性10名を対象に、3%フユベゴニアエキス含有30%エタノール水溶液と、対照として30%エタノールを、左右の小鼻それぞれに、朝晩の顔面洗浄後1日に2回塗布して、2週間後に角栓除去用シート状パックで左右小鼻の角栓を採取し、実体顕微鏡下ですべての角栓(N=543)のサイズを計測し、角栓体積を算出した。
【0031】
【表2】


【0032】
表2の結果から、3%フユベゴニアエキス配合30%エタノール水溶液を塗布した側の小鼻では角栓体積は減少し、角栓形成抑制効果が確認された。
【0033】
3.ニキビ抑制効果試験および毛穴目立ち抑制効果試験
[試験方法]
22才から39才までのニキビに悩む男女40名(1群20名)を対象に、化粧石鹸を用いて顔面をよく洗浄した後、顔面に表3に示す各々の皮膚外用剤を1日に2〜3回塗布して、4週間後に観察を行った。使用前に比較して使用薬剤により改善された(a)、不変または悪化した(b)の2段階に分けた、以下の評価基準に従って判定した。
【0034】
<ニキビ抑制効果判定基準>
(有効性評価基準)
◎:全般改善度で20名中(a)が15名以上。
○:全般改善度で20名中(a)が10〜14名。
△:全般改善度で20名中(a)が5〜9名。
×:全般改善度で20名中(a)が4名以下。
【0035】
<鼻部位の毛穴目立ち抑制効果判定基準>
(有効性評価基準)
◎:全般改善度で20名中(a)が15名以上。
○:全般改善度で20名中(a)が10〜14名。
△:全般改善度で20名中(a)が5〜9名。
×:全般改善度で20名中(a)が4名以下。
【0036】
【表3】


【0037】
表3から判るように、本発明品の皮膚外用剤(ローション)には、比較品に比べていずれも優れたニキビ抑制効果、及び毛穴目立ち抑制効果が認められた。
【0038】
4.チロシナーゼ活性阻害効果試験
[試験方法]
チロシナーゼ活性は基質としてL−ドーパを用い、その反応生成物であるドーパクロムの量を475nmの吸光度にて測定する方法で行う。すなわち、0.05%L−ドーパ水溶液0.5mlと、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)0.9mlをとり、試料を溶解した水溶液0.05mlを添加する。これにチロシナーゼ溶液(SIGMA)0.05mlを加えて混合し、室温下で90秒間反応させる。反応液の吸光度を分光光度計を用いて測定する。コントロールとして試料溶液の代わりに蒸留水を添加して同様の反応を行う。試料添加時とコントロールにおいて、それぞれ吸光度変化量を算出し、チロシナーゼ活性阻害率を求めた。その結果を表4に示す。
【0039】
また参考例として、すでにチロシナーゼ活性阻害作用のあることが知られているケイガイ(Schizonepeta tenuifolia)(シソ科オドリコソウ亜科)抽出物(エタノール抽出)についても、上記と同様の試験を行った。その結果を併せて表4に示す。
【0040】
【表4】


【0041】
表4から判るように、フユベゴニア(Bergenia ciliata Sternb.)の溶媒抽出物には、優れたチロシナーゼ活性阻害作用が認められた。
【0042】
次に本発明による毛穴目立ち抑制作用とニキビ抑制作用の両方を有する皮膚外用剤の処方例を実施例2〜7に挙げる。
また、本発明のリパーゼ阻害剤を配合したニキビ治療用外用剤、皮膚炎治療用外用剤、フケ改善用外用剤の処方例をそれぞれ実施例8〜10に挙げる。
【0043】
実施例2 クリーム
(処方) 質量%
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)
セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
フユベゴニアメタノール抽出物 0.05
トラネキサム酸 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0044】
実施例3 クリーム
(処方) 質量%
固形パラフィン 5.0
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノラウリル酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
フユベゴニア70%メタノール抽出物 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行なう。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0045】
実施例4 乳液
(処方) 質量%
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)
モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
(商品名:カーボポール941,B.F.Goodrich Chemical company)
フユベゴニア酢酸エチル抽出物 0.02
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解した70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0046】
実施例5 乳液
(処方) 質量%
マイクロクリスタリンワックス 1.0
ミツロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
フユベゴニア30%ブタノール抽出物 2.0
トラネキサム酸 1.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながら水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0047】
実施例6 ゼリー
(処方) 質量%
95%エチルアルコール 10.0
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)
オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
(商品名:カーボポール940,B.F.Goodrich Chemical company)
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
フユベゴニア30%エタノール抽出物 1.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、一方、95%エタノールにフユベゴニア抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えた後苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0048】
実施例7 パック
(処方) 質量%
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(60モル)
硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(けん化度90、重合度2,000)
エチルアルコール 7.0
フユベゴニア50%1,3-BG抽出物 1.0
精製水 残余
(製法)
A相、B相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでフユベゴニア抽出物を分散させたC相をこれに加えた後充填を行なう。
【0049】
実施例8 ニキビ治療用外用剤
(処方) 質量%
局方ステアリン酸 18.0
局方セタノール 4.0
フェノキシエタノール 1.0
トリエタノールアミン 2.0
局方グリセリン 5.0
フユベゴニア40%1,3−BG抽出物 1.0
精製水 残余
(製法)
ステアリン酸、セタノールを加温溶解し、グリセリンにフェノキシエタノール、トリエタノールアミンおよびフユベゴニア40%1,3-BG抽出物を加温混合したものを精製水に添加溶解し、油層と水層を少しずつ混合・乳化、冷却する。
【0050】
実施例9 皮膚炎治療用外用剤
(処方) 質量%
スクワラン 15.0
局方白色ワセリン 7.0
セレシン 2.0
モノオレイン酸グリセリン 2.0
ジステアリン酸グリセリル 2.0
ミツロウ 1.0
マイクロクリスタリンワックス 2.0
ジプロピレングリコール 1.0
アラントイン 2.0
フユベゴニア50%1,3−BG抽出物 1.0
精製水 残余
(製法)
油層に油溶性成分および界面活性剤を加温溶解し、有効成分及び水溶性成分を加温溶解した水層を添加し、乳化、冷却する。
【0051】
実施例10 フケ改善用外用剤
(処方) 質量%
95%エチルアルコール 60.0
β−グリチルリチン酸 0.5
フユベゴニア30%エタノール抽出物 1.0
ヒドロキシプロピルセルロース 2.0
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にヒドロキシプロピルセルロースを均一に溶解する(水相)。一方、95%エタノールにフユベゴニア抽出物、β−グリチルリチン酸を溶解し、水相に添加する。
【0052】
実施例11 毛穴目立ち抑制用外用剤
(処方) 質量%
<A相>
95%エチルアルコール 10.0
POE(20)オクチルドデカノール 1.0
メチルパラベン 0.15
パントテニルエチルエーテル 0.1
フユベゴニア80%エタノール抽出物 1.0
<B相>
水酸化カリウム 0.1
<C相>
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
イオン交換水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いでB相を加えて混合した。
【0053】
実施例12 顆粒剤
(処方) 質量%
フユベゴニア20%エタノール抽出物 50.0
デンプン 10.0
乳糖 15.0
エチルセルロース 20.0
ポリビニルアルコール 5.0
精製水 残余
(製法)
均一に混合後、破砕造粒し、篩別して顆粒剤とする。
【0054】
実施例13 錠剤
(処方) 質量%
フユベゴニア50%1,3BG抽出物 60.0
ポリビニルアルコール 5.0
精製水 30.0
(製法)
均一に混合後、破砕造粒して篩別し、顆粒剤とする。得られた顆粒の1/10量の結晶セルロースを加えて圧縮成形して直径8mmの錠剤とする。さらにこの錠剤に適当量のシロップ、ゼラチン、沈降性炭酸カルシウムの混合懸濁液および着色剤を使用して糖衣錠とする。
【0055】
実施例14 注射剤
(処方) 質量%
フユベゴニア50%エタノール抽出物 0.5
非イオン性界面活性剤 2.5
生理食塩水 残余
(製法)
加温混合後、滅菌して注射剤とする。
【0056】
実施例15 カプセル剤
実施例12で得た顆粒剤を市販のカプセル容器に充填してカプセル剤とする。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子


【公開番号】 特開2008−19180(P2008−19180A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190318(P2006−190318)