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【発明の名称】 セファロスポリンを含むナノ粒子状制御放出組成物
【発明者】 【氏名】スコット・ジェンキンス

【氏名】ギャリー・リバーシッジ

【氏名】ジョン・ジー・ドゥヴェーン

【氏名】ガーヴィンダー・シン・レクヒ

【氏名】ポール・スターク

【氏名】ニアル・エム・エム・ファニング

【要約】 【課題】細菌感染症の治療及び予防に有用なセファロスポリンを含む組成物の提供。

【構成】セファロスポリンを含み、直径約2000nm未満の有効平均粒度を有する粒子、及び少なくとも1種類の表面安定剤を含む、安定なナノ粒子状組成物。前記組成物を含み、患者へ投与すると、セファロスポリンを二峰性、多峰性又は連続態様で送達する、調節放出型の医薬組成物。さらに、上記組成物を投与することを含む、細菌感染症を予防及び/又は治療する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セファロスポリンを含み、直径約2000nm未満の有効平均粒度を有する粒子;及び(B)少なくとも1種類の表面安定剤を含む、安定なナノ粒子状組成物。
【請求項2】
セファロスポリンが、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体であり、前記セフジニルがその単一の実質的な光学的純粋エナンチオマーとして又はそのエナンチオマー混合物として存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
粒子が、結晶質相、非晶質相、半結晶質相、半非晶質相又はこれらの混合物中に存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
1又はそれ以上の医薬的に許容される賦形剤、担体又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
表面安定剤が、非イオン表面安定剤、アニオン表面安定剤、カチオン表面安定剤、両性イオン表面安定剤及びイオン表面安定剤からなる群から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
(a) 約50〜約500g/kgのセフジニル;
(b) 約10〜約70g/kgのヒプロメロース;
(c) 約1〜約10g/kgのドキュセート・ナトリウム;
(d) 約100〜約500g/kgのスクロース;
(e) 約1〜約40g/kgのラウリル硫酸ナトリウム;
(f) 約50〜約400g/kgのラクトース一水和物;
(g) 約50〜約300g/kgのケイ化微結晶セルロース;
(h) 約20〜約300g/kgのクロスポビドン;及び
(i) 約0.5〜約5g/kgのステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
コーティング剤をさらに含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
(a) 約100〜約300g/kgのセフジニル;
(b) 約30〜約50g/kgのヒプロメロース;
(c) 約0.5〜約10g/kgのドキュセート・ナトリウム;
(d) 約100〜約300g/kgのスクロース;
(e) 約1〜約30g/kgのラウリル硫酸ナトリウム;
(f) 約100〜約300g/kgのラクトース一水和物;
(g) 約50〜約200g/kgのケイ化微結晶セルロース;
(h) 約50〜約200g/kgのクロスポビドン;及び
(i) 約0.5〜約5g/kgのステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項9】
コーティング剤をさらに含む、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
細菌感染症の予防及び治療に有用な、1又はそれ以上の活性化合物をさらに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項11】
前記粒子が、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有する貯留層を含有し、前記貯留層が、前記粒子中へ水が吸収されるようにした半透膜により囲まれており、それにより、前記粒子から前記セファロスポリンを押し出す圧力を発生させる、請求項2記載の組成物。
【請求項12】
前記貯留層がまた浸透剤も含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む粒子を、少なくとも1種類の表面安定剤と、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含み、直径約2000nm未満の有効平均粒度を有するナノ粒子状組成物を生成するために充分な、ある一定時間及び条件下で接触させることを含む、請求項2記載の組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項2記載の組成物を投与することを含む、細菌感染症を予防及び/又は治療する方法。
【請求項15】
有効成分含有粒子の第1構成要素と、有効成分含有粒子の少なくとも1の後続構成要素を含む医薬組成物であって、前記構成要素の少なくとも一方が、セファロスポリンが有効成分である粒子を含み、前記構成要素の少なくとも一方がさらに、前記組成物が、対象への経口送達後に、前記有効成分を連続的、二峰性又は多峰性形式で送達するように、調節放出被膜又は調節放出マトリックス物質又はその両方を含む、前記医薬組成物。
【請求項16】
前記セファロスポリンがセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有する粒子が、前記セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有する粒子が、前記セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子である、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
各構成要素が、有効成分がセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体である粒子を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
第1構成要素が即時放出構成要素を含み、少なくとも1の後続構成要素が調節放出構成要素を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項21】
有効成分含有粒子が浸食性である、請求項16記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物がエンハンサーをさらに含む、請求項16記載の組成物。
【請求項23】
請求項16記載の組成物を含む剤形。
【請求項24】
硬質ゼラチン又は軟質ゼラチンカプセル内に含有される有効成分含有粒子ブレンドを含む、請求項23記載の剤形。
【請求項25】
有効成分含有粒子がミニ錠剤の形態であり、カプセルが前記ミニ錠剤の混合物を含有する、請求項23記載の剤形。
【請求項26】
錠剤の形態である、請求項23記載の剤形。
【請求項27】
セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む粒子が、迅速溶解剤形で供給される、請求項23記載の剤形。
【請求項28】
錠剤が即溶(fast-melt)錠剤である、請求項26記載の剤形。
【請求項29】
細菌感染症を予防及び/又は治療する方法であって、請求項16記載の組成物の治療有効量を投与する段階を含む方法。
【請求項30】
調節放出被膜が、患者への前記組成物の投与後約6〜約12時間の時間遅延後に、前記患者内で有効成分パルスを放出するためのpH依存性ポリマー塗膜を含む、請求項16記載の組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本出願は、2005年7月1日出願米国仮出願第60/696,117号の優先権を主張し、10,2006年3月10日出願米国出願第11/372,857号の一部継続であり、米国出願第11/372,857号は、現在の米国特許第6,793,936号である2003年1月30日出願米国出願第10/354,483号の継続である2004年4月19日出願米国出願第10/827,689号の一部継続であり、米国出願第10/354,483号は、現在の米国特許第6,730,325号である2001年5月7日出願米国出願第09/850,425号の継続である、現在の米国特許第6,902,742号である2002年12月30日出願米国出願第10/331,754号の継続であり、米国出願第09/850,425号は、1998年11月2日出願米国仮出願第60/106,726号の優先権を主張する1999年11月1日出願国際出願PCT/US99/25632号の継続である、現在の特許第6,228,398号である2000年5月8日出願米国出願第09/566,636号の継続である。
(発明の分野)
本発明は、細菌感染症の予防及び治療に有用である組成物に関する。特に、本発明は、セファロスポリン、特に、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む組成物に関する。本発明の1の態様では、前記組成物はナノ粒子状形態であり、さらに少なくとも1種類の表面安定剤も含む。他の態様では、本発明は、セファロスポリン、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を制御送達するための新規な剤形と、細菌感染症を予防し、治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質は、ヒト及び他の哺乳動物における細菌感染症を治療するために用いられる、強力な殺菌性薬剤である。特定の種類の細菌感染症を治療するために最も適する薬剤が、現在数百存在する。化学構造中に存在するβ−ラクタム環によりβ−ラクタム抗生物質と命名された抗生物質としては、ペニシリン、セファロスポリン及び関連化合物があげられる。これらの薬剤は、多くのグラム陽性、グラム陰性及び嫌気性生物に対して活性である。β−ラクタム抗生物質は、細菌細胞壁中のペプチドグリカンの架橋構造に干渉することにより、その効果を発揮する。上記薬剤の多くは、経口投与後に充分に吸収されるので、外来的設定において臨床的に有用である。
【0003】
セファロスポリンβ−ラクタム抗生物質は、真菌由来の抗菌剤であるセファロスポリンCの半合成誘導体グループである。これらは、構造的及び薬理学的にペニシリンに関連する。ペニシリンは6−アミノペニシラン酸(6−APA)に由来するが、セファロスポリン環構造は7−アミノ−セファロスポラン酸(7−ACA)に由来する。両方の構造とも基本的β−ラクタム環を含有するが、セファロスポリン構造は、ペニシリン及びアミノシリンよりもグラム陰性活性が高まる。セファロスポリン環上の異なる側鎖の置換により、活性スペクトル及び作用の持続時間を変化させることができる。
【0004】
セファロスポリンは、その抗菌性により「世代」に類別される。最初のセファロスポリンは、第1世代と名づけられたが、これより後の、より広いスペクトルのセファロスポリンは第2世代セファロスポリンとして分類される。現在、3世代のセファロスポリンが認識されており、第4世代も提案されている。重要なことは、より新しい世代のセファロスポリンは、前世代に比べてグラム陰性抗菌活性がより高い。これに反して、「より古い」世代のセファロスポリンは、「より新しい」世代よりもグラム陽性範囲が広い。
【0005】
セファロスポリンは、身体の多くの異なる部分の感染症の治療に用いられる。これらは、時として、他の抗生物質と共に投与される。注射により投与されるセファロスポリンはまた、手術前、中及び後の感染症の予防に用いられる場合がある。
【0006】
セフジニルは、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する活性を有する第3世代セファロスポリンである。特に、セフジニルは、他の第3世代セファロスポリンに比べて、グラム陽性菌に対する活性が高い。
【0007】
セフジニルの化学名は、[6R−[6,7(Z)]]−7−[[(2−アミノ−4−チアゾリル)(ヒドロキシルイミノ)アセチル]アミノ]−3−エテニル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸である。その化学式はC1413であり、分子量は395.42である。セフジニルの構造式は以下に示す:
【0008】
【化1】


【0009】
セフジニルは、白色〜やや褐色がかった黄色の固体である。セフジニルは、実際に水に不溶性である。
セフジニルは、Abbott Laboratories(North Chicago,IL)により登録商標OMNICEF(登録商標)で、Fujisawa Pharmaceutical Co.,Ltd.(Japan)によりCEFZON(登録商標)で提供される。OMNICEF(登録商標)とCEFZON(登録商標)は共に、様々な細菌感染症の治療に適用される。セフジニルは、カプセル剤又は経口懸濁剤として経口投与され、1日に2〜3回与えられる。
【0010】
セフジニルは、例えば、米国特許第6,093,814号;第6,350,869号;第6,369,050号;及び第6,423,341号に記載されている。上記特許は、本明細書に援用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
セファロスポリンは、細菌感染症に罹患している患者の治療の治療的価値が高い。しかし、例えばセフジニルのようなセファロスポリンを1日に2〜3回摂取する必要性を考慮すると、厳密な患者コンプライアンスが、細菌感染症の治療におけるセファロスポリンの効果の重要な要素である。さらに、このような頻繁な投与にあたっては、医療従事者の配慮が必要で、セファロスポリンを必要とする治療に関連する費用が高額となる。したがって、細菌感染症の治療でのセファロスポリン組成物の使用に関連した、上記及びその他の問題を克服するセファロスポリン組成物が当該技術分野で必要とされている。
【0012】
本発明は、セファロスポリンの不良な生体適合性を克服するナノ粒子状セファロスポリン組成物、好ましくは、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む組成物を提供することにより、上記必要性を満たす。本発明はさらに、セフジニル等のセファロスポリンを1日に2又は3回摂取するしないでもよい、ナノ粒子状のセファロスポリン、好ましくはセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の制御放出組成物をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1の実施態様は、(A)セファロスポリン;及び(B)少なくとも1種類の表面安定剤を含む、安定なナノ粒子状組成物を包含する。表面安定剤は、ナノ粒子状粒子の表面に吸着させる又は結合させることができる。ナノ粒子状粒子の有効平均粒度は、約2000nm未満である。セファロスポリンは、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体でもよい。ナノ粒子状組成物は、場合によっては、細菌感染症の予防及び治療に有用な、1又はそれ以上の他の有効成分及び/又は1又はそれ以上の医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい。満腹状態又は絶食状態の対象へのナノ粒子状組成物の投与は、生物学的に同等であり、同様な薬物動力学を示す場合がある。
【0014】
本発明はまた、有効成分含有粒子の第1群を含む第1構成要素と、有効成分含有粒子の後続群(subsequent population)を含む少なくとも1の後続構成要素(subsequent component)を有する調節放出組成物であって、各構成要素の放出速度及び/又は放出持続時間は異なり、前記構成要素の少なくとも1つがまた、セファロスポリン、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む調節放出組成物に関する。少なくとも1の後続構成要素の粒子は、調節放出被膜で被覆された粒子又は調節放出マトリックス物質を含む若しくは調節放出マトリックス物質中に組み込まれた粒子等の調節放出(MR)形態で提供される。前記組成物は、患者に経口投与されると、前記有効成分(単数又は複数)を二峰性又は多峰性形式で放出する。前記構成要素は、場合によっては、細菌感染症の治療に有用な、1又はそれ以上の他の有効成分及び/又は1又はそれ以上の医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい。本発明の1の実施態様では、前記粒子の少なくともいくつかは、セファロスポリン、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子を含む。本発明の他の実施態様では、前記粒子の少なくともいくつかは、セファロスポリン、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子そのものである。
【0015】
前記調節放出組成物の第1構成要素は、第1構成要素中に含有される有効成分の実質的に全てが前記剤形の投与時に迅速に放出される、時間遅延後に迅速に放出される(遅延放出)、又は長時間にわたりゆるやかに放出されるプロファイルを含めて、多様な放出プロファイルを示すことができる。1の実施態様では、前記剤形の第1構成要素中に含有する有効成分が、患者への投与時に迅速に放出される。本明細書で用いる「迅速放出」とは、投与後の約1時間以内に前記剤形の構成要素の有効成分の少なくとも約80%が放出される放出プロファイルを包含する、「遅延放出」なる用語は、時間遅延後に前記剤形の構成要素の有効成分が(迅速に又は緩慢に)放出される放出プロファイルを包含する、そして「制御放出(controlled release)」と「延長放出(extended release)」なる用語は、前記剤形の構成要素中に含有される有効成分の少なくとも約80%が緩慢に放出される放出プロファイルを包含する。
【0016】
調節放出組成物の第2構成要素も、即時放出プロファイル、遅延放出プロファイル、又は制御放出プロファイルを含めた、多様な放出プロファイルを示すことができる。1の実施態様では、第2構成要素は、前記構成要素の有効成分が時間遅延後に放出される遅延放出プロファイルを示す。他の実施態様では、第2構成要素は、前記構成要素の有効成分が投与後の約12〜約24時間の時間にわたって放出される制御放出プロファイルを示す。
【0017】
構成要素が異なる放出プロファイルを示す二構成要素実施態様では、前記組成物からの有効成分の放出プロファイルが二峰性である。第1構成要素が即時放出プロファイルを示し、第2構成要素が遅延放出プロファイルを示す実施態様では、第1構成要素からの有効成分の放出と、第2構成要素からの有効成分の放出との間に遅延時間が存在する。この遅延時間の持続時間は、調節放出被膜の量及び/又は組成を変えることにより、或いは所望の放出プロファイルの達成に用いられる調節放出マトリックス物質の量及び/又は組成を変えることにより変更することができる。したがって、前記遅延時間の持続時間は、好ましい血漿プロファイルを模倣するように設計することができる。
【0018】
第1構成要素が即時放出プロファイルを示し、第2構成要素が制御放出プロファイルを示す実施態様では、第1及び第2構成要素中の有効成分が異なる時間にわたって放出される。このような実施態様では、前記即時放出構成要素は、投与から治療有効な血漿濃度レベルに達するまでの時間を最小にすることにより作用開始を早めるために役立ち、1以上の後続構成要素は、投与間隔を通して、血漿濃度レベルの変化を最小にし及び/又は治療有効な血漿濃度を維持するために役立つ。1のこのような実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の約12時間内に放出される。他の同様の実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の約24時間内に放出される。さらに他の同様な実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の約12時間以上にわたって放出される。さらに他の同様な実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の約24時間以上にわたって放出される。さらに他の同様な実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の少なくとも約12時間以上にわたって放出される。さらに他の同様の実施態様では、第1構成要素中の有効成分は迅速に放出され、第2構成要素中の有効成分は、投与後の少なくとも約24時間以上にわたって放出される。
【0019】
即時放出構成要素と少なくとも1の調節放出構成要素を含む、本発明の剤形の投与により生じる血漿プロファイルは、連続的に投与される2以上のIR剤形の投与により生じる血漿プロファイルと、又は別々のIR及びMR剤形の投与により生じる血漿プロファイルと実質的に同一であってもよい。本発明の調節放出組成物は、通常1日に2回投与される、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の投与に特に有用である。本発明の1の実施態様では、前記組成物はセファロスポリンを二峰性形式で送達する。このような組成物は、投与時に、典型的な治療計画(treatment regimen)による、セファロスポリンの2回のIR用量の連続的投与により得られる血漿プロファイルを実質的に模倣する血漿プロファイルを生じる。
【0020】
本発明の他の態様によると、前記組成物は、2以上のIR剤形の連続的投与に関連した血漿濃度レベルの変化を最小にする又は排除する血漿プロファイルを生じるように設計することができる。このような実施態様では、前記組成物は、投与から治療有効な血漿濃度レベルに達するまでの時間を最小にすることにより作用開始を早めるために即時放出構成要素を、そして投与間隔を通して治療有効な血漿濃度レベルを維持するための少なくとも1の調節放出構成要素を備えることができる。少なくとも1種類の表面安定剤をも含むナノ粒子状粒子中に、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含めることができる。
【0021】
本明細書に開示するものと類似する調節放出組成物は、Devaneらの米国特許第6,228,398号及び第6,730,325号に開示され、特許請求されている。
本発明はまた、本発明の組成物から製造される剤形にも関する。1の実施態様では、前記剤形は、本発明の調節放出組成物を含む固体経口剤形である。前記経口剤形は、例えば、浸食性製剤、拡散制御製剤及び浸透制御製剤を利用することができる。このような実施態様では、前記剤形に含有される総投与量は、パルス形式又は連続形式で放出されうる。1のこのような実施態様では、総投与量の一部が即時に放出されて、迅速に作用を開始でき、総投与量の残りは遅延時間後又は約24時間までの一定時間にわたり放出される。
【0022】
本発明はまた、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子状組成物の製造方法に関する。このような方法は、セファロスポリンを含むナノ粒子状粒子を、セファロスポリンを含む安定化ナノ粒子状組成物を生成するために充分な、一定時間及び条件下で、少なくとも1種類の表面安定剤と接触させる工程を含む。
【0023】
本発明はさらに、細菌感染症の予防及び治療を含めた治療方法に関する。このような方法は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む組成物、例えばナノ粒子状組成物の治療有効量を対象に投与する段階を含むがこれらに限定されない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の組成物及び剤形は、必要な投与頻度を低減し、それにより、患者の便宜を高め、患者のコンプライアンスを改良し、それにより、細菌感染症の予防及び治療に限定されないが、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体が必要なあらゆる治療の治療成果を改良する。このアプローチは、1日に多数回投与される、従来のセファロスポリン剤形に替えることができる。
【0025】
上記一般的説明と以下の詳細な説明はともに、典型的かつ説明的であり、特許請求される本発明をさらに説明することを意図する。当業者には、他の目的、利点及び新規な特徴は、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
以下に及び本明細書を通して記載する、幾つかの定義を用いて、本発明を本明細書で説明する。
【0027】
本明細書で用いる「約」は、当業者であれば理解し、用いられる文脈によりある程度変化するであろう。用いられる文脈が当業者に明らかでない上記用語が用いられる場合には、「約」は特定の表現のプラス又はマイナス10%までを意味するであろう。
【0028】
本明細書で用いる「治療有効量」は、関連する治療を必要とする有意な数の対象に活性剤が投与される場合に、特異的薬理学的反応を生じる投与量を意味する。特定の場合に特定の患者に投与される活性剤の治療有効量は、このような投与量が当業者により治療有効量であると判断されるとしても、本明細書に記載する状態の治療に常に有効であるとは限らないことを強調する。
【0029】
本明細書で用いる「粒子状」とは、そのサイズ、形状又は形態に関係なく、個々の粒子、ペレット、ビーズ又は顆粒の存在により特徴づけられる物体の状態を意味する。
本明細書で用いる「多粒子状物質」とは、そのサイズ、形状又は形態に関係なく、複数の個々の又は凝集した粒子、ペレット、ビーズ、顆粒又はその混合物を意味する。多粒子状物質を含む組成物は、本明細書では、「多粒子状組成物」と記載する。
【0030】
本明細書で用いる「ナノ粒子状物質」とは、その中の粒子の有効平均粒度が直径約2000nm(2ミクロン)未満である多粒子状物質を意味する。ナノ粒子状物質を含む組成物は、本明細書では、「ナノ粒子状組成物」と記載する。
【0031】
本明細書で用いる、多粒子状物質(例えば、ナノ粒子状物質)を示す「有効平均粒度」とは、その粒子の少なくとも50%が特定のサイズであることを意味する。したがって、「直径約2000nm未満の有効平均粒度」とは、その粒子の少なくとも50%が直径約2000nm(2ミクロン)未満であることを意味する。
【0032】
本明細書で用いる「D50」とは、多粒子状物質中の粒子の50%がそれ未満である粒度を意味する。同様に、「D90」とは、多粒子状物質中の粒子の90%がそれ未満である粒度を意味する。
【0033】
安定な粒子に関連して本明細書で用いる「安定な」とは、下記パラメーター:(1)粒子が、時間とともに、粒子間引力のために検知しうるほどには凝集若しくは凝塊形成しない又はそうでなければ粒度が有意には高まらない;(2)粒子の物理的構造が、経時的には非晶質相から結晶質相への転換による等では変化しない;(3)粒子が化学的に安定である;及び/又は(4)本発明のナノ粒子の製造で、有効成分が粒子の融点かそれ以上での加熱工程に供されていない場合;の1以上を意味するがこれらに限定されない。
【0034】
本明細書で用いる「弱水溶性薬剤(poorly water soluble drug)」とは、約30mg/ml未満、約20mg/ml未満、約10mg/ml未満、又は約1mg/ml未満の水中溶解度を有する薬剤を意味する。
【0035】
本明細書で用いる「調節放出(modified release)」とは、即時でない放出を包含し、制御放出、延長放出、持続放出及び遅延放出があげられる。
本明細書で用いる「時間遅延(time delay)」とは、本発明の組成物を含む剤形の投与から、特定の構成要素からの有効成分の放出までの時間を意味する。
【0036】
本明細書で用いる「遅延時間(lag time)」とは、組成物の1の構成要素からの有効成分の放出から、前記組成物の他の構成要素からの有効成分の放出までの時間を意味する。
本明細書で用いる「浸食性(erodable)」とは、体内で物質の作用により磨滅され、縮小され又は劣化されうる製剤(formulations)を意味する。
【0037】
本明細書で用いる「拡散制御される(diffusion controlled)」とは、例えば、高濃度の領域から低濃度の領域のような、自発的移動の結果として拡散しうる製剤を意味する。
本明細書で用いる「浸透制御される(osmotic controlled)」とは、膜の両側での製剤の濃度を等しくする傾向がある半透膜を通してより高濃度の溶液中への移動の結果として拡散しうる製剤を意味する。
【0038】
本明細書で用いる「セフジニル」とは、セフジニル単独の実質的に光学的純粋なエナンチオマー又はセフジニルのエナンチオマーの混合物、ラセミ体若しくはその他のいずれかを意味する。
【0039】
本発明のセファロスポリン組成物は、気管支炎、中耳感染症、咽頭炎、扁桃腺炎、肺炎、副鼻腔感染症及び皮膚感染症であってこれらに限定されない細菌感染症の治療に有用である。本発明の組成物は、非限定的に、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus algalctiae)、肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、大腸菌(Escherichia coli)、シトロバクター・ダイバーサス(Citrobacter diversus)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumonia)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenza)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、ペプトストレプトコッカス属(Peptosyreptococcus sp.)及びプロビデンシア属(Providencia sp.)を包含がこれらに限定されない、広範囲スペクトルのグラム陽性及びグラム陰性菌に対して有用である。
【0040】
I.セファロスポリンを含むナノ粒子状組成物
本発明は、(A)セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体;及び(B)少なくとも1種類の表面安定剤を含む粒子を含むナノ粒子状組成物を提供する。ナノ粒子状組成物は、最初に、米国特許第5,145,684号に記載された。ナノ粒子状活性剤組成物は、例えば、米国特許第5,298,262号;第5,302,401号;第5,318,767号;第5,326,552号;第5,328,404号;第5,336,507号;第5,340,564号;第5,346,702号;第5,349,957号;第5,352,459号;第5,399,363号;第5,494,683号;第5,401,492号;第5,429,824号;第5,447,710号;第5,451,393号;第5,466,440号;第5,470,583号;第5,472,683号;第5,500,204号;第5,518,738号;第5,521,218号;第5,525,328号;第5,543,133号;第5,552,160号;第5,565,188号;第5,569,448号;第5,571,536号;第5,573,749号;第5,573,750号;第5,573,783号;第5,580,579号;第5,585,108号;第5,587,143号;第5,591,456号;第5,593,657号;第5,622,938号;第5,628,981,5,643,552号;第5,718,388号;第5,718,919号;第5,747,001号;第5,834,025号;第6,045,829号;第6,068,858号;第6,153,225号;第6,165,506号;第6,221,400号;第6,264,922号;第6,267,989号;第6,270,806号;第6,316,029号;第6,375,986号;第6,428,814号;第6,431,478号;第6,432,381号;第6,582,285号;第6,592,903号;第6,656,504号;第6,742,734号;第6,745,962号;第6,811,767号;第6,908,626号;第6,969,529号;第6,976,647号;及び第6,991,191号と、米国特許公開第20020012675号;第20050276974号;第20050238725号;第20050233001号;第20050147664号;第20050063913号;第20050042177号;第20050031691号;第20050019412号;第20050004049号;第20040258758号;第20040258757号;第20040229038号;第20040208833号;第20040195413号;第20040156895号;第20040156872号;第20040141925号;第20040115134号;第20040105889号;第20040105778号;第20040101566号;第20040057905号;第20040033267号;第20040033202号;第20040018242号;第20040015134号;第20030232796号;第20030215502号;第20030185869号;第20030181411号;第20030137067号;第20030108616号;第20030095928号;第20030087308号;第20030023203号;第20020179758号;第20020012675号;及び第20010053664号にも記載されている。非晶質小粒子組成物は、例えば、米国特許第4,783,484号;第4,826,689号;第4,997,454号;第5,741,522号;第5,776,496号に記載されている。
【0041】
上記のように、本発明のナノ粒子状組成物中の粒子の有効平均粒度は、直径約2000nm(即ち、2ミクロン)未満である。本発明の実施態様では、前記有効平均粒度は、光散乱法、顕微鏡検査、又はその他の適当な方法により測定して、例えば、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満又は約50nm未満でもよい。
【0042】
前記ナノ粒子状粒子は、結晶質相、非晶質相、半結晶質相、半非晶質相又はこの混合物として存在しうる。
本発明のナノ粒子状組成物は、より小さいサイズの固体剤形を可能にすることの他に、セファロスポリンを含む従来型非ナノ粒子状組成物に比べて、生体適合性が増大し、必要なセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の投与量が少ない。本発明の1の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、従来型剤形で投与されたセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体よりも生体適合性が約50%高い。他の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、従来型剤形で投与されたセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体よりも生体適合性が約40%高く、約30%高く、約20%又は約10%高い。
【0043】
前記ナノ粒子状組成物はまた、哺乳動物対象に最初に投与した後に測定した場合、所望の薬物動態プロファイルを有しうる。前記組成物の所望の薬物動態プロファイルとしては、:(1)投与後に哺乳動物対象の血漿中で分析したときに、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された場合の同一セファロスポリンのCmaxよりも好ましくは高い、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のCmax;及び/又は(2)投与後に哺乳動物対象の血漿中で分析したときに、非ナノ粒子状組成物で同一投与量で送達された同一セファロスポリンのAUCよりも好ましくは高い、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のAUC;及び/又は(3)投与後に哺乳動物対象の血漿中で分析したときに、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのTmaxよりも好ましくは低い、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のTmax;があげられるがこれらに限定されない。
【0044】
本発明の1の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのTmaxの約90%以下である、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のTmaxを示す。本発明の他の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのTmaxの約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下又は約5%以下である、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のTmaxを示すことができる。本発明の1の実施態様では、セファロスポリンのTmaxは、哺乳動物対象の血漿中で分析したときに、投与後約6〜約8時間未満である。本発明の他の実施態様では、セファロスポリンのTmaxは、投与後約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、又は約30分間未満である。
【0045】
本発明の1の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのCmaxの少なくとも約50%である、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のCmaxを示す。本発明の他の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのCmaxよりも、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、又は少なくとも約1900%大きい、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のCmaxを示すことができる。
【0046】
本発明の1の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのAUCよりも少なくとも約25%大きい、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のAUCを示す。本発明の他の実施態様では、本発明のナノ粒子状組成物は、例えば、非ナノ粒子状組成物による同一投与量で送達された同一セファロスポリンのAUCよりも、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約750%、又は少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、又は少なくとも約1200%大きい、その中に含有されるセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体のAUCを示すことができる。
【0047】
本発明は、ナノ粒子状組成物であって、投与後のセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の薬物動態プロファイルが、前記組成物を摂取する対象の満腹状態又は絶食状態により実質的に影響されないナノ粒子状組成物を包含する。このことは、絶食状態に比して満腹状態でナノ粒子状組成物を投与する場合に、セファロスポリンの吸収量又は吸収速度に実質的な差異がないことを意味する。従来型セファロスポリン製剤、即ち、OMNICEF(登録商標)及びCEFZON(登録商標)では、食物と共に投与する場合、セファロスポリンの吸収は増大する。従来型セファロスポリン製剤で観察される吸収のこのような差異は、好ましくない。本発明の組成物はこの問題を克服するものである。
【0048】
食物の影響を実質的に排除する剤形の利点としては、対象が投与量を食物と共に又は食物なしに摂取することを確実にする必要がないため、対象の利便性が向上し、それによる対象のコンプライアンスの上昇があげられる。このことは、不良な患者コンプライアンスでは、セファロスポリンが処方されている病状の増加が観察されうるので、重要である。
【0049】
本発明はまた、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子状組成物であって、絶食状態の対象への組成物の投与が満腹状態の対象への前記組成物の投与と生物学的に同等であるナノ粒子状組成物も含む。
【0050】
絶食状態に対比して満腹状態で投与した場合の本発明の組成物の吸収の差異は、好ましくは、約100%未満、約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、又は約3%未満である。
【0051】
本発明の1の実施態様では、本発明は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む組成物であって、絶食状態の対象への前記組成物の投与が、特に、米国食品医薬品局及びそれに対応する欧州規制当局(EMEA)により供されるCmax及びAUCガイドラインで定義されるような、満腹状態の対象への前記組成物の投与と生物学的に同等である組成物を包含する。米国FDAガイドラインでは、AUC及びCmaxの90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25の場合、2つの生成物又は方法は生物学的に同等である(Tmax測定値は、規制目的のための生物学的同等性に関係ない)。欧州EMEAガイドラインに従って2つの化合物又は投与条件の生物学的同等性を示すためには、AUCの90%CIは0.80〜1.25でなければならず、Cmaxの90%CIは0.70〜1.43でなければならない。
【0052】
本発明のナノ粒子状組成物は予測できない劇的な溶解プロファイルを有するように企画されている。溶解が迅速である程一般に作用開始は早まり、生体適合性は高まるため、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の迅速な溶解が好ましい。セファロスポリンの溶解プロファイル及び生体適合性を改良するために、薬剤の溶解を100%に近いレベルに達しうるように高めることが有用である。
【0053】
本発明の組成物は、約5分間以内にセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の少なくとも約20%が溶解する溶解プロファイルを有することが好ましい。本発明の他の実施態様では、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の少なくとも約30%又は少なくとも約40%が約5分間以内に溶解する。本発明のさらに他の実施態様では、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の、好ましくは少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%が約10分間以内に溶解する。最後に、本発明の別の実施態様では、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の、好ましくは少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約100%が約20分間以内に溶解する。
【0054】
溶解は、際立った媒質中で評価することが好ましい。このような溶解媒質は、胃液中で非常に異なる溶解プロファイルを有する2つの生成物に対して2つの非常に異なる溶解曲線を生じる;即ち、前記溶解媒質は、組成物のin vivo溶解を予測する。典型的な溶解媒質は、界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを0.025Mで含有する水性媒質である。溶解量の測定は分光測光法により行なうことができる。溶解を測定するために、回転ブレード法(European Pharmacopoeia)を用いることができる。
【0055】
本発明のナノ粒子状組成物の他の特徴は、粒子の有効平均粒度が直径約2000nm未満となるように、粒子が再分散することである。このことは、前記粒子の有効平均粒度が直径約2000nm未満となるように再分散しなかった場合は、前記組成物は、その組成物中のセファロスポリンをナノ粒子形に製剤化することで与えられる利益が得られない可能性があるため、重要である。このため、ナノ粒子状組成物は、セファロスポリンを含む粒子の粒度が小さいことで利益を得られます。前記粒子が投与時に小粒度に再分散しない場合は、ナノ粒子状系の表面自由エネルギーが非常に高く、自由エネルギーを全体的に減少させるための熱力学的駆動力のため、「塊」又は凝集した粒子が形成される。上記凝集粒子が形成されると、前記剤形の生体適合性は、ナノ粒子状組成物の液体分散形で観察される生体適合性よりもかなり低くなる可能性がある。
【0056】
本発明の他の実施態様では、(水、生体関連(biorelevant)媒質又は他の適当な液体媒質中に再分散された)本発明の再分散粒子の有効平均粒度は、光散乱法、顕微鏡検査又は他の適当な方法により測定した場合、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、又は約50nm未満である。有効平均粒度の測定に適する上記方法は、当業者に公知である。
【0057】
当該技術分野で公知のいかなる適当な手段を用いても再分散性を試験することができる。例えば、「ポリマー表面安定剤とスルホコハク酸ジオクチルナトリウムとの相乗効果的組み合わせを含む固体剤形ナノ粒子状組成物」に関する米国特許第6,375,986号の実施例を参照されたい。
【0058】
本発明のナノ粒子状組成物は、生体関連水性(biorelevance)媒質中での再構成/再分散に示されるように、ヒト又は動物等の哺乳動物への投与時に、再分散粒子の有効平均粒度が約2000nm未満であるような、劇的な粒子の再分散を示す。当該生体関連水性媒質は、媒質の生体関連性の根拠をなす、所望のイオン強度とpHを示すのであれば、いかなる水性媒質でもよい。所望のイオン強度とpHは、生体で見られる生理学的条件を代表するものである。当該生体関連水性媒質は、例えば、所望のpHとイオン強度を示す、いかなる塩、酸又は塩基、又はこれらの組み合わせの水性電解質溶液又は水溶液でもよい。
【0059】
生体関連pHは、当該技術分野で周知である。例えば、胃では、pHは2よりやや低く(但し、典型的には1より大きい)4若しくは5までの範囲である。小腸では、pHは4〜6の範囲であることができ、結腸では、pHは6〜8の範囲であることができる。生体関連イオン強度も当該技術分野で周知である。絶食状態の胃液のイオン強度は約0.1Mで、絶食状態の腸液のイオン強度は約0.14である。例えば、Lindahl et al.,「男性及び女性における胃及び近位空腸からの流体の特定」Pharm.Res.,14(4):497-502(1997)を参照のこと。試験溶液のpH及びイオン強度が、特定の化学的内容物よりも重要であることが考えられる。したがって、強酸、強塩基、塩、単独若しくは多重の共役酸塩基対(即ち、弱酸と前記酸の対応する塩)、一塩基若しくは多塩基電解質等の非常に多くの組み合わせにより、適当なpHとイオン強度値を得ることができる。
【0060】
代表的な電解質溶液は、約0.001N〜約0.1Nの濃度範囲であるHCl溶液及び約0.001M〜約0.1Mの濃度範囲であるNaCl溶液、及びこれらの混合物でありうるがこれらに限定されない。例えば、電解質溶液は、約0.1N以下のHCl、約0.01N以下のHCl、約0.001N以下のHCl、約0.1M以下のNaCl、約0.01M以下のNaCl、約0.001M以下のNaCl及びこれらの混合物であることができるがこれらに限定されない。当該電解質溶液中で、近位胃腸管のpH及びイオン強度状態のため、0.01M HCl及び/又は0.1M NaClが、絶食したヒトの生理的状態の最も典型的なものである。
【0061】
0.001N HCl、0.01N HCl及び0.1N HClは、それぞれ、pH3、pH2及びpH1に相当する。したがって、0.01N HCl溶液は、胃に見られる典型的な酸性状態をシミュレートする。0.1M NaClの溶液は、胃腸液を含む全身に見られるイオン強度状態に合理的に近似するが、ヒトGI管内の満腹状態をシミュレートするため、0.1Mより高い濃度を用いることもできる。
【0062】
所望のpH及びイオン強度を示す、塩、酸、塩基又はこれらの組み合わせの典型的な溶液としては、リン酸/リン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、酢酸/酢酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、炭酸/炭酸水素塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、並びにクエン酸/クエン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩があげられるがこれらに限定されない。
【0063】
上記のように、前記組成物は、さらに、少なくとも1種類の表面安定剤を含む。この表面安定剤は、前記セファロスポリン含有粒子の表面に吸着する又は前記表面と結合することができる。好ましくは、前記表面安定剤は前記粒子の表面に付着する又は前記表面と結合するが、前記粒子又は他の表面安定剤分子と化学的に反応しない。表面安定剤の個々に吸着した分子は、本質的に、分子間架橋を含まない。
【0064】
本発明の組成物中に存在する、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体と、表面安定剤との相対的量は、広範囲に変動させることができる。個々の構成要素の任意の量は、とりわけ、選択した特定の薬剤、親水性−親油性バランス(HLB)、融点、及び前記安定剤の水溶液の表面張力に依存しうる。セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の濃度は、前記セファロスポリンと表面安定剤(単数又は複数)との、他の賦形剤を含まない、総複合重量に基づき、約99.5重量%から約0.001重量%まで、又は約95重量%から約0.1重量%まで、又は約90重量%から約0.5重量%まで変化させてよい。表面安定剤(単数又は複数)の濃度は、前記セファロスポリンと表面安定剤(単数又は複数)との、他の賦形剤を含まない、総複合乾燥重量に基づき、約0.5重量%から約99.999重量%まで、又は約5.0重量%から約99.9重量%まで、又は約10重量%から約99.5重量%まで変化させることができる。
【0065】
前記セファロスポリンに対する表面安定剤(単数又は複数)の選択は重要であり、所望の処方を実現するために広範囲な実験を必要とする。したがって、本発明は、セファロスポリン、特にセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むナノ粒子状組成物を製造することができるという意外な発見に関する。
【0066】
2種類以上の表面安定剤の組み合わせを本発明に用いることができる。本発明に用いることができる、有用な表面安定剤としては、既知の有機及び無機の製薬的賦形剤が含まれるがこれらに限定されない。当該賦形剤としては、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物及び界面活性剤があげられる。表面安定剤としては、非イオン、アニオン、カチオン、イオン及び両性イオン界面活性剤があげられる。
【0067】
表面安定剤の代表的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在、ヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンズアルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロール・モノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000等のマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(登録商標)及びTween80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals)等の商業的に入手可能なTween(登録商標));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs3550(登録商標)及び934(登録商標)(Union Carbide))、ポリオキシエチレン・ステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒポメロース・フタレート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオーネ及びトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーであるPluronicsF68(登録商標)及びF108(登録商標));ポロキサミン(例えば、Poloxamine908(登録商標)としても知られ、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの逐次添加から得られる四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation,Parsippany,N.J.)Tretronic908(登録商標));Tetronic1508(登録商標)(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、TritonsX−200(登録商標)、これはアルキルアリールポリエーテルスルホネート(Rohm and Haas);CrodestasF−110(登録商標)、これはスクロース・ステアレートとスクロース・ジステアレートとの混合物である(Croda Inc.);p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、これはOlin−IOG(登録商標)又はSurfactant10−G(登録商標)(Olin Chemicals,Stamford,CT)としても知られる;CrodestasSL−40(登録商標)(Croda,Inc.);及びSA9OHCO、これはC1837CH(CON(CH)−CH(CHOH)(CHOH)である(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチルβ−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのランダムコポリマー等があげられる。
【0068】
有用なカチオン表面安定剤の例としては、両性イオン安定剤、ポリ−n−メチルピリジニウム、塩化アンスリルピリジニウム(anthryul pyridinum chloride)、カチオンリン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレート・トリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)及びポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジメチルスルフェート等のポリマー、バイオポリマー、多糖類、セルロース誘導体類、アルギネート、リン脂質及び非ポリマー化合物があげられるがこれらに限定されない。
【0069】
他の有用な表面安定剤としては、非限定的に、カチオン脂質、スルホニウム、ホスホニウム、及び第4級アンモニウム化合物、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド若しくはブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩及びジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩及び/又はエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT336TM)、POLYQUAT10TM、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリド)、セチルピリジニウムブロミド若しくはクロリド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミン、MIRAPOLTM及びALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びビニルピリジン、アミン塩、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩及びアルキルイミダゾリウム塩、及びアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第4級アセチルアミド;メチル化第4級ポリマー、例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]及びポリ[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];並びにカチオン化グアー(cationic guar)があげられるがこれらに限定されない。
【0070】
当該典型的なカチオン表面安定剤とその他の有用なカチオン表面安定剤は、J.Cross and E.Singer,Cationic Surfactants:Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker,1994); P.and D.Rubingh(Editor),Cationic Surfactants:Physical Chemistry (Marcel Dekker,1991);及びJ.Richmond, Cationic Surfactants:Organic Chemistry (Marcel Dekker,1990)に記載されている。
【0071】
非ポリマー表面安定剤は、ベンザルコニウムクロリド、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物、及び式NR(+)で示される第4級アンモニウム化合物等の任意の非ポリマー化合物である。式:NR(+)で示される化合物として:
(i)R〜RのいずれもCHではなく;
(ii) R〜Rの1つがCHであり;
(iii) R〜Rの3つがCHであり;
(iv) R〜Rの全てがCHであり;
(v) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、R〜Rの1つが炭素原子7個以下のアルキル鎖であり;
(vi) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、R〜Rの1つが炭素原子19個以上のアルキル鎖であり;
(vii) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがC(CH(式中、n>1)であり;
(viii) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、R〜Rの1つが少なくとも1のヘテロ原子を含み;
(ix) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、R〜Rの1つが少なくとも1のハロゲンを含み;
(x) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、R〜Rの1つが少なくとも1の環状フラグメントを含み;
(xi) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがフェニル環であり;又は
(xii) R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの2つが純粋な脂肪族フラグメントである。
【0072】
当該化合物としては、ベヘナルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルアミンヒドロフルオリド(cethylamine hydrofluoride)、クロルアリルメテナミンクロリド(Quaternium−15)、ジステアリルジモニウムクロリド(Quaternium−5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(Quaternium−14)、Quaternium−22、Quaternium−26、Quaternium−18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂アルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラルコニウムクロリド、ドミフェンブロミド、安息香酸デナトニウム、ミリスタルコニウムクロリド、ラウルトリモニウムクロリド、エチレンジアミン二塩酸塩、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、メチルベンゼトニウムクロリド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロリド、ポリクォーターニウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミン・ジヒドロフルオリド、獣脂トリモニウムクロリド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドがあげられるがこれらに限定されない。
【0073】
表面安定剤は商業的に入手可能及び/又は当該技術分野で公知の手法により製造することができる。これらの表面安定剤の多くは公知の製薬的賦形剤であり、Handbook of Pharmaceutical Excipients, published jointly by the American Pharmaceutical Association and The Pharmaceutical Society of Great Britain(The Pharmaceutical Press,2000)に詳細に記載されている。
【0074】
本発明の組成物は、セファロスポリンの他に、細菌感染症の治療に有用な、1又はそれ以上の化合物を含むことができる。前記組成物はさらに、当該化合物と共に投与することができる。このような化合物の例としては抗生物質があげられる。
【0075】
本発明の組成物はさらに、1以上の結合剤、充填剤、希釈剤、滑沢剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、保存剤、バッファー、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、芳香剤、及びその他の賦形剤を含むことができる。当該賦形剤は当該技術分野で公知である。さらに、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤の添加により、微生物の増殖防止を確実にできる。注射可能な製剤に用いるために、前記組成物は、糖、塩化ナトリウム等の等張剤と、注射可能な薬剤形の吸収を遅らせるために用いるモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の作用剤をも含むことができる。
【0076】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、ラクトース無水物及び種々のデンプンであり;結合剤の例は、種々のセルロース及び架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標)PH101とAvicel(登録商標)PH102等の微結晶セルロース及びケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCCTM)である。
【0077】
圧縮する粉末の流動性に作用する作用剤を含めた、適当な滑沢剤は、Aerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びシリカゲル等のコロイド状二酸化ケイ素である。
【0078】
甘味剤の例は、スクロース、キシリトール、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、及びアセフルファム等の任意の天然又は人工甘味剤である。香味剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの登録商標)、バブルガムフレーバー、及びフルーツフレーバー等である。
【0079】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸とその塩、ブチルパラベン等のパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチル若しくはベンジルアルコール等のアルコール、フェノール等のフェノール系化合物又は塩化ベンズアルコニウム等の第4級化合物である。
【0080】
適当な希釈剤としては、微結晶セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、及び/又は上記のいずれかの混合物等の医薬的に許容される不活性充填剤があげられる。希釈剤の例としては、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101とAvicel(登録商標)PH102;ラクトース一水和物、ラクトース無水物及びPharmatose(登録商標)DCL21等のラクトース;Emcompress(登録商標)等の二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;及びグルコースがあげられる。
【0081】
適当な崩壊剤としては、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、及び加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム及びこれらの混合物があげられる。
【0082】
発泡剤の例は、例えば有機酸と炭酸塩若しくは炭酸水素塩等の発泡性カップルである。適当な有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸と無水物及び酸の塩があげられる。適当な炭酸塩と炭酸水素塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、L−リシン炭酸塩、及び炭酸アルギニンがあげられる。或いは、発泡剤カップルの炭酸水素ナトリウム成分しか存在しなくてもよい。
【0083】
本発明の組成物はさらに、担体、アジュバント又はビヒクル(以下では、集約的に、「担体」)を含んでもよい。
前記ナノ粒子状組成物は、例えば、粉砕、均質化、沈降、凍結又はテンプレート・エマルジョン法(template emulsion technique)を用いて製造することができる。ナノ粒子状組成物の典型的な製造方法は、’684号特許に記載されている。ナノ粒子状組成物の製造方法は、米国特許第5,518,187号;第5,718,388号;第5,862,999号;第5,665,331号;第5,662,883号;第5,560,932号;第5,543,133号;第5,534,270号;第5,510,118号;及び第5,470,583号にも記載されている。
【0084】
1の方法では、セファロスポリンを含む粒子を、セファロスポリンが弱溶解性である液体分散媒質中に分散させる。次に、粉砕媒体の存在下で機械的手段を用いて、粒度を所望の有効平均粒度にまで細かくする。分散媒質は、例えば、水、サフラワー油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG),ヘキサン又はグリコールであることができる。好ましい分散媒質は水である。少なくとも1の表面安定剤の存在下で、粒子の粒度を細かくすることができる。セファロスポリンを含む粒子を、磨滅(attrition)後に、1又はそれ以上の表面安定剤と接触させることができる。この粒度低下プロセス中に、例えば希釈剤等の他の化合物を前記組成物に加えることができる。分散系は連続的に又はバッチ方式で製造することができる。当業者であれば、粉砕後に必ずしも全ての粒子が所望の粒度にまで縮小されるとは限らないことを理解するであろう。このような場合には、所望の粒度の粒子を分離して、本発明の実施に用いることができる。
【0085】
所望のナノ粒子状組成物の他の形成方法は、微小析出(Microprecipitation)による方法である。これは、表面安定剤(単数又は複数)と、1又はそれ以上のコロイド安定性強化表面活性剤の存在下で、有害溶媒又は可溶化重金属不純物を微量も含まない、弱溶解性セファロスポリンの安定な分散系を製造する方法である。当該方法は、例えば:(1)適当な溶媒中にセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を溶解する工程;(2)少なくとも1種類の表面安定剤を含む溶液に、工程(1)からの配合物(formulation)を加える工程;及び(3)適当な非溶媒を用いて、工程(2)からの配合物を析出させる工程を含む。前記方法の後、前記分散系を慣用手段で透析又は限外濾過し、濃縮して、形成された塩が存在する場合も除去することができる。
【0086】
ナノ粒子状組成物は、均質化によっても形成することができる。典型的な均質化方法は、「ナノ粒子を含有する治療組成物の製造方法」に関する米国特許第5,510,118号に記載されている。当該方法は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含む粒子を液体分散媒質中に分散させる工程、続いて、前記分散系に対して均質化を行なって、粒度を所望の有効平均粒度にまで細かくする工程を含む。前記粒子の粒度を少なくとも1種類の表面安定剤の存在下で細かくすることができる。前記粒子を磨滅の前又は後に1又はそれ以上の表面安定剤と接触させることができる。希釈剤等の他の化合物を粒度縮小方法の前、中又は後に前記組成物に加えることができる。分散系を連続的に又はバッチ方式で製造することができる。
【0087】
所望のナノ粒子状組成物を形成する他の方法は、液体中への噴霧凍結による方法(SFL)である。このテクノロジーは、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体と表面安定剤(単数又は複数)との有機又は有機水性溶液を、液体窒素等の極低温液体中に注入することを含む。薬剤含有溶液滴は、結晶化と粒子成長を最小にするために充分な速度で凍結して、ナノ構造粒子を構成する。溶媒系と加工条件の選択に依存して、粒子は種々の粒子形態であってもよい。単離工程では、粒子の凝集又は熟成を避ける条件下で、窒素及び溶媒を除去する。
【0088】
SFLへの相補的テクノロジーとして、超迅速凍結(URF)を用いて、非常に増大した表面積である同等のナノ構造粒子を作製することができる。URFは、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体と表面安定剤(単数又は複数)との水混和性、無水、有機又は有機水性溶液を受け取り、それを極低温基体(cryogenic substrate)に塗布することを含む。次に、凍結乾燥又は常圧凍結乾燥等の手段により、溶媒を除去して、その結果ナノ構造粒子を残す。
【0089】
所望のナノ粒子状組成物を形成する他の方法は、テンプレート・エマルジョンによる方法である。テンプレート・エマルジョン法は、粒度分布が制御され、迅速溶解性があるナノ構造粒子を作製する。前記方法は、水中油滴エマルジョンを製造し、次にそれを、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体と表面安定剤(単数又は複数)とを含む非水性溶液により膨潤させることを含む。前記粒子の粒度分布は、前記エマルジョンに薬剤を負荷させる前の前記エマルジョン小滴のサイズの直接の結果である。この方法では、粒度を制御して最適化することができる。その上、溶媒と安定剤の選択された使用により、Ostwald熟成がない又は抑制されたエマルジョンの安定性が得られる。その後、溶媒と水を除去して、安定化されたナノ構造粒子を回収する。加工条件を適当に制御することにより、種々の粒子形態を得ることができる。
【0090】
本発明はさらに、例えば、セフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含むセファロスポリンのナノ粒子状組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0091】
本発明の組成物は、非経口的(例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下)、経口的(例えば、固体、液体若しくはエアロゾル形)、膣的、鼻腔的、直腸的、眼科的、局部的(例えば、粉末、軟膏若しくは滴下形で)、頬側、脳槽内、腹腔内、又は局所的等の投与用に製剤化することができる。
【0092】
前記ナノ粒子状組成物は、固体又は液体投与製剤、例えば液体分散系、ゲル、エアロゾル、軟膏、デポー(depots)、クリーム、制御放出製剤、迅速溶融製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、パルス化放出製剤、混合即時放出/制御放出製剤等に用いることができる。
【0093】
非経口注射に適した組成物は、生理的に許容される、無菌の水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、無菌の注射可能な溶液若しくは分散液に再構成するための無菌粉末を含んでもよい。適当な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、これらの適当な混合物、植物油(例えば、オリーブオイル)及びエチルオレエート等の注射可能な有機エステルがあげられる。例えば、レシチン等のコーティングを用いて分散液の場合に必要な粒度を維持することにより、及び界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。
【0094】
経口投与のための固体剤形としては、錠剤、カプセル剤、サッシェ(sachets)、トローチ剤、粉末、ピル、又は顆粒があげられるがこれらに限定されず、前記固体剤形は、例えば、迅速溶融剤形、制御放出剤形、凍結乾燥剤形、遅延放出剤形、延長放出剤形、パルス化放出剤形、混合即時放出/制御放出剤形、又はこれらの組み合わせであることができる。固体投与量の錠剤製剤が好ましい。このような固体剤形では、活性剤を下記:(a)1又はそれ以上の賦形剤(若しくは担体)、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム;(b)充填剤若しくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸;(c)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアゴム(acacia);(d)フメクタント、例えばグリセロール;(e)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合シリケート及び炭酸ナトリウム;(f)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(g)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロール・モノステアレート;(i)吸着剤、例えばカオリン及びベントナイト;及び(j)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はこれらの混合物;の少なくとも1つと混合する。カプセル剤、錠剤及びピルのためには、剤形は緩衝剤をも含んでもよい。
【0095】
経口投与のための液体剤形としては、医薬的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤があげられる。前記液体剤形は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の他、当該技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤、例えば水若しくはその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤を含んでもよい。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ひまし油及びごま油等の油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物等である。
【0096】
当業者であれば、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の治療有効量を経験的に決定することができるであろう。本発明のナノ粒子状組成物中のセファロスポリンの実際の投与量レベルは、特定の組成物及び投与方法に対する所望の治療反応を得るために有効である薬剤量を得るように変化させることができる。それ故、選択する投与量レベルは、所望の治療効果、投与経路、投与されるセファロスポリンの効力、所望の治療期間、及びその他の要因に依存する。
【0097】
投与単位組成物(dosage unit composition)は、1日量を構成するために用いられる、セファロスポリン量又はその約数量(such submultiple thereof)を含有することができる。しかし、特定患者の特定の投与量レベルが、以下の多様な要因:達成される細胞反応若しくは生理的反応の種類と程度;用いる特定の薬剤若しくは組成物の活性;用いる特定の薬剤若しくは組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別及び食生活;セファロスポリンの投与時間、投与経路及び排泄速度;治療の持続期間;セファロスポリンと組み合わせて若しくは同時に用いる活性化合物;及び医療分野で周知の同様な要因に依存することは、理解されるであろう。
II.セファロスポリンを含む制御放出組成物
疾患状態の予防及び治療における薬剤化合物の有効性は、剤形から患者への前記化合物の送達速度及び送達持続期間を含む多様な要因に依存する。患者体内の特定の剤形が示す送達速度と送達持続期間との組み合わせは、そのin vivo放出プロファイルとして表すことができ、投与される薬剤化合物に依存して、血漿プロファイルという、血液血漿中の前記薬剤化合物の濃度及び持続期間に関連付けられる。薬剤化合物は、生体適合性、吸収及び排泄の速度等の、その薬物動態特性において変化し、放出プロファイルとその結果の血漿プロファイルは、有効な治療の設計で考慮すべき重要な要素になる。
【0098】
剤形の放出プロファイルは、放出の種々の速度と持続期間を示すことができ、連続的又はパルス的であってもよい。連続放出プロファイルとしては、1又はそれ以上の薬剤化合物の量が定常な速度又は可変な速度のいずれかで投与時間を通して連続的に放出される放出プロファイルがあげられる。パルス化放出としては、1又はそれ以上の薬剤化合物の少なくとも2つの別々の量が異なる速度で及び/又は異なる時間枠にわたって放出される放出プロファイルがあげられる。任意の一定の薬剤化合物又は当該化合物の組み合わせに関して、一定の剤形の放出プロファイルは、患者において関連した血漿プロファイルを生じる。剤形の2以上の構成要素が異なる放出プロファイルを有する場合には、全体としての前記剤形の放出プロファイルは前記個々の放出プロファイルの組み合わせであり、一般的に「多峰性」として表すことができる。各構成要素が異なる放出プロファイルを有する二構成要素剤形の放出プロファイルは、「二峰性」として表すことができ、各構成要素が異なる放出プロファイルを有する三構成要素剤形の放出プロファイルは、「三峰性」として表すことができる。
【0099】
放出プロファイルに適用可能な変数と同様に、患者における関連血漿プロファイルは、作用持続時間にわたる前記薬剤化合物の定常な又は可変な血液血漿濃度レベルを示すことができ、連続的又はパルス的であってもよい。連続的血漿プロファイルとしては、単一の最高血漿濃度を示す、あらゆる速度及び持続時間の血漿プロファイルがあげられる。血液血漿濃度レベルのパルス化血漿プロファイルは、薬剤化合物の少なくとも2つの高い血液血漿濃度レベルが低い血液血漿濃度レベルで分離されており、一般的に「多峰性」として表すことができる血漿プロファイルを包含する。2つのピークを示すパルス化血漿プロファイルは、「二峰性」として表すことができ、3つのピークを示す血漿プロファイルは、「三峰性」として表すことができる。前記剤形に包含される薬剤化合物の薬物動態並びに前記剤形の個々の構成要素の放出プロファイルに少なくとも部分的に依存して、多峰性放出プロファイルは、患者への投与時に、連続的又はパルス化血漿プロファイルのいずれかを生じうる。
【0100】
1の実施態様において、本発明は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を、或いはこれらを含有するナノ粒子をパルス化形式で送達する多粒子状調節放出組成物を提供する。前記ナノ粒子は上記の種類であり、さらに少なくとも1種類の表面安定剤を含む。
【0101】
さらに他の実施態様では、本発明は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を、或いはこれらを含有するナノ粒子を連続形式で送達する多粒子状調節放出組成物を提供する。前記ナノ粒子は上記の種類であり、さらに少なくとも1種類の表面安定剤を含む。
【0102】
さらに他の実施態様では、本発明は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体或いはこれらを含有するナノ粒子の第1部分を、投与時に放出し、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体或いはこれらを含有するナノ粒子の1以上の後続部分を、最初の時間遅延後に放出する多粒子状調節放出組成物を提供する。
【0103】
さらに他の実施態様では、本発明は、本発明の多粒子状調節放出組成物を含む、1日1回又は1日2回投与用の固体経口剤形を提供する。
さらに他の実施態様では、本発明は、本発明の組成物を投与することを含む、細菌感染症の予防及び/又は治療方法を提供する。
【0104】
1の実施態様では、本発明は、多粒子を形成する粒子が上記の種類のナノ粒子状粒子である多粒子状調節放出組成物を提供する。ナノ粒子状粒子は、望ましくは、調節放出被膜及び/又は調節放出マトリックス物質を含有してもよい。
【0105】
本発明の1の態様では、有効成分含有粒子を含む第1構成要素と、有効成分含有粒子を含む少なくとも1の後続構成要素を有し、後続構成要素の各々が第1構成要素とは異なる放出速度及び/又は放出持続時間を有する薬剤組成物であって、前記構成要素の少なくとも1つがセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有する粒子を含む薬剤組成物を提供する。本発明の1の実施態様では、多粒子を形成するセファロスポリン含有粒子は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体とさらに少なくとも1種類の表面安定剤とを含む上記種類のナノ粒子状粒子を、それ自体で含有することができる。本発明の他の実施態様では、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体と、さらに少なくとも1種類の表面安定剤とも含む、上記の種類のナノ粒子状組成物は、それ自体で、多粒子の薬剤含有粒子である。前記薬剤含有粒子を調節放出被膜で被覆することができる。或いは又は付加的に、前記薬剤含有粒子は調節放出マトリックス物質を含むことができる。経口投与後に、前記組成物は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子をパルス形式で送達する。1の実施態様では、第1構成要素はセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子の即時放出させ、1以上の後続構成要素は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子の調節放出をおこす。当該実施態様では、即時放出構成要素は、投与から治療有効な血漿濃度レベルに達するまでの時間を最小にして、作用開始を早めるために有用で、1以上の後続構成要素が血漿濃度レベルの変化を最小にし及び/又は投与間隔を通して治療有効血漿濃度を維持するのに有用である。
【0106】
前記調節放出被膜及び/又は前記調節放出マトリックス物質により、有効成分含有粒子の第1群からの有効成分の放出と、有効成分含有粒子の後続群からの有効成分の放出との間に遅延時間がおこる。2以上の有効成分含有粒子群が調節放出を生じる場合には、前記調節放出被膜及び/又は前記調節放出マトリックス物質が、異なる有効成分含有粒子群からの有効成分放出の間に遅延時間をもたらす。これらの遅延時間の持続時間は、調節放出被膜の組成及び/又は量を変えることにより、及び/又は用いる調節放出マトリックス物質の組成及び/又は量を変えることにより変化させることができる。したがって、遅延時間の持続時間は、所望の血漿プロファイルを模倣するように設計することができる。
【0107】
投与時に調節放出組成物により得られる血漿プロファイルは、連続的に投与される2以上のIR剤形の投与により得られる血漿プロファイルに実質的に類似するため、本発明の調節放出組成物は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を投与するために特に有用である。
【0108】
本発明の他の態様では、前記組成物は、連続的に投与される2以上のIR剤形の投与に関連した血漿濃度レベルの変化を最小にする又は除去する血漿プロファイルを得るように設計することができる。このような実施態様では、前記組成物に、投与から治療有効な血漿濃度レベルに達するまでの時間を最小にすることにより作用開始を早めるための即時放出構成要素と、投与間隔を通して治療有効血漿濃度を維持するための少なくとも1の調節放出構成要素を備えることができる。
【0109】
各構成要素中の有効成分は、同じものでも異なるものでもよい。例えば、前記組成物は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子のみを、有効成分として含む構成要素を含むことができる。或いは、前記組成物は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子を含む第1構成要素と、セファロスポリンとの共投与に適した、セファロスポリン若しくはセファロスポリン含有ナノ粒子以外の有効成分を含む、少なくとも1の後続構成要素を含むことができる、或いはセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子以外の有効成分を含有する第1構成要素と、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子を含む、少なくとも1の後続構成要素を含むことができる。実際には、有効成分が相互に相容性である場合に、2種類以上の有効成分を同一構成要素に組み入れることが可能である。前記組成物の1の構成要素中に存在する有効成分に、その生体適合性又は治療効果を改善するために、前記組成物の他の構成要素中の例えばエンハンサー化合物又は増感化合物を添付することができる。
【0110】
本明細書で用いる「エンハンサー」なる用語は、ヒト等の動物におけるGITを介する正味輸送(net transport)を促進することにより有効成分の吸収及び/又は生体適合性を強化することができる化合物を意味する。エンハンサーは、グリセリド及びトリグリセリドを含む中鎖脂肪酸、その塩、エステル、エーテル及び誘導体、;エチレンオキシドを脂肪酸、脂肪アルコール、アルキルフェノール若しくはソルビタン又はグリセロール脂肪酸エステル等と反応させて獲得できる非イオン界面活性剤;シトクロムP450阻害剤、P−グリコプロテイン阻害剤等;並びにこれら作用剤の2以上の混合物があげられるが、これらに限定されない。
【0111】
2以上の薬剤含有構成要素が存在するような実施態様では、各構成要素に含有するセファロスポリンの割合は、所望の投与計画に依存して、同じでも異なってもよい。第1構成要素中及び後続構成要素中に存在するセファロスポリンは、治療有効な血漿濃度レベルを生じるのに充分であればいかなる量でもよい。適用できる場合に、前記セファロスポリンは、1の実質的に光学的純粋な立体異性体の形態で又は2以上の立体異性体の混合物、ラセミ体若しくはその他として存在することができる。1の実施態様では、前記セファロスポリンは前記組成物中に約0.1〜約500mgの量で存在する。他の実施態様では、前記セファロスポリンは前記組成物中に約1〜約100mgの量で存在する。さらに他の実施態様では、前記セファロスポリンは第1構成要素中に約0.5〜約60mgの量で存在する。さらに他の実施態様では、前記セファロスポリンは第1構成要素中に約2.5〜約30mgの量で存在する。後続構成要素中の場合には、前記セファロスポリンは、第1構成要素のために記載した範囲と同様な範囲内の量で存在する。
【0112】
構成要素の各々からのセファロスポリンの送達の時間放出特性は、存在しうる賦形剤及び/又は被膜のいずれかを調節することを含む、各構成要素の組成を調節することにより変化させることができる。特に、前記組成及び/又は前記粒子上の調節放出被膜が存在する場合は当該被膜を変えることにより、セファロスポリンの放出を制御することができる。2以上の調節放出構成要素が存在する場合に、当該構成要素の各々に対する調節放出被膜は同じでも異なってもよい。同様に、調節放出マトリックス物質を含めると調節放出が促進される場合には、用いる調節放出マトリックス物質の選択及び量により、有効成分の放出を制御することができる。調節放出被膜は、各構成要素中に、各特定構成要素について所望の遅延時間が生じる程度に充分であればいかなる量で存在してもよい。調節放出被膜は、各構成要素中に、構成要素の間に所望の時間遅延が生じる程度に充分であればいかなる量で存在してもよい。
【0113】
各構成要素からのセファロスポリン放出の遅延時間及び/又は時間遅延は、存在しうるいかなる賦形剤及び被膜の調節をも含む、構成要素の各々の組成の調節によっても変化させることができる。例えば、第1構成要素は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体が投与時に直ちに放出される即時放出構成要素であってもよい。或いは、第1構成要素は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体が、時間遅延の直後に実質的にその全体で放出される、時間遅延する即時放出構成要素であってもよい。第2及び後続構成要素は、例えば、上記したような、時間遅延する即時放出構成要素であるか、或いは、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体が延長された時間にわたり制御された形式で放出される、時間遅延する持続放出若しくは延長放出構成要素であってもよい。
【0114】
当業者であれば理解されるように、血漿濃度曲線の正確な性質は、上記の要因の全ての組み合わせにより影響されるであろう。特に、セファロスポリン含有構成要素の各々中のセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の送達(したがって、さらに作用開始)間の遅延時間は、構成要素の各々の組成及び被膜(存在する場合)を変えることにより制御することができる。したがって、各構成要素の組成(有効成分(単数又は複数)の量及び性質を含む)の変化により及び遅延時間の変化により、非常に多くの放出プロファイル及び血漿プロファイルを得ることができる。各構成要素からのセファロスポリンの放出間の遅延時間の期間と、各構成要素からのセファロスポリン放出の性質(即ち、即時放出、持続放出等)とに依存して、血漿プロファイルは連続的(即ち、単一の最高値を有する)又はパルス的であることができ、パルス的である場合には、血漿プロファイル中のピークが充分に分離され、明確に範囲を定められる(例えば、遅延時間が長い場合)か、若しくはある程度重なり合ってもよい(例えば、遅延時間が短い場合)。
【0115】
本発明の組成物を含む単一投与単位の投与から得られる血漿プロファイルは、2以上の投与単位を投与する必要がなく有効成分の2以上のパルスを送達することが望ましい場合に、有利である。
【0116】
セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出を所望の形式で調節するいかなるコーティング物質をも用いることができる。特に、本発明の実施に用いるのに適するコーティング物質としては、ポリマーコーティング物質、例えば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリマレテート(cellulose acetate trimaletate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、登録商標Eudragit(登録商標)RS及びRLで販売されている等のアンモニオメタクリレート・コポリマー、登録商標Eudragit(登録商標)S及びLで販売されている等のポリアクリル酸とポリアクリレートとメタクリレート・コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラック;ハイドロゲルとゲル形成物質、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムカルメロース、カルシウムカルメロース、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デンプン、及びセルロースに基づく架橋ポリマー(この場合、架橋度は、水の吸着とポリマーマトリックスの膨張を容易にするほど低い)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、架橋デンプン、微結晶セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS−PM,Rohm & Haas)、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、(膨潤可能な親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量〜5K−5,000K)、ポリビニルピロリドン(分子量〜10K−360K)、アニオン及びカチオンハイドロゲル、アセテートが少量残留するポリビニルアルコール、寒天とカルボキシメチルセルロースとの膨潤可能な混合物、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン又はイソブチレン、ペクチン、とのコポリマー(分子量〜30K−300K)、多糖類、例えば寒天、アラビアゴム(acacia)、カラヤガム、トラガカント、アルギン及びグアー、ポリアクリルアミド、Polyox(登録商標)ポリエチレンオキシド(分子量〜100K−5,000K)、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコール及びポリN−ビニル−2−ピロリドン、デンプングルコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標);Edward Mandell C. Ltd.);親水性ポリマー、例えば多糖類、メチルセルロース、ナトリウム若しくはカルシウム・カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース・エーテル、ポリエチレンオキシド(例えば、Polyox(登録商標)、Union Carbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸コポリマー又はメタクリル酸(例えば、Eudragit(登録商標),Rohm & Haas)、他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ガム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸アンモニウム(ammonia alginate)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコールアルギネート、寒天、及びガム、例えばアラビアゴム、カラヤガム、イナゴマメ、トラガカント、カラギーン、グアー、キサンタンガム、スクレログルカン及びこれらの混合物とブレンドがあげられるが、これらに限定されない。当業者であれば理解されるように、可塑剤、滑沢剤、溶媒等の賦形剤を、前記コーティングに加えてもよい。適当な可塑剤としては、例えば、アセチル化モノグリセリド;ブチルフタリルグリコレート;ジブチルタルトレート;ジエチルフタレート;ジメチルフタレート;エチルフタリルエチルグリコレート;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;シトレート;トリプロピオイン(tripropioin);ジアセチン;ジブチルフタレート;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ひまし油;トリエチルシトレート;多価アルコール;グリセロール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケートがあげられる。
【0117】
調節放出構成要素が調節放出マトリックス物質を含む場合、いかなる適当な調節放出マトリックス物質又は調節放出マトリックス物質の適当な組み合わせをも用いることができる。当該物質は当業者に公知である。本明細書で用いる「調節放出マトリックス物質」としては、in vitro又はin vivoで、その中に分散したセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出を調節することができる親水性ポリマー、疎水性ポリマー及びこれらの混合物があげられる。本発明の実施に適する調節放出マトリックス物質としては、微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース及びエチルセルロース等のアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルアセテート及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の調節放出組成物は、パルス化形式での有効成分の放出を容易にする、いかなる適当な剤形中にも組み入れることができる。1の実施態様では、本剤形は、即時放出構成要素と調節放出構成要素を構成する、有効成分含有粒子の異なる群のブレンドを含み、本ブレンドは、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセル等の適当なカプセル中に充填される。或いは、有効成分含有粒子の異なる個々の群(任意に、他の賦形剤と共に)を、ミニ錠剤に圧縮成型することができ、その後に、前記ミニ錠剤を適当な割合でカプセル中に充填することができる。他の適当な剤形は、多層状錠剤の剤形である。この場合には、前記調節放出組成物の第1構成要素を1の層に圧縮成型して、その後に後続構成要素を多層状錠剤の後続層として加えることができる。本発明の組成物を構成する錠剤群を、さらに、発泡性剤形又は迅速溶融剤形等の迅速に溶解する剤形に含めることができる。
【0119】
1の実施態様では、前記組成物は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有する、少なくとも2つの構成要素で:第1構成要素と1以上の後続構成要素を含む。当該実施態様では、前記組成物の第1構成要素は、第1構成要素中に含有されるセファロスポリンの実質的に全てが剤形の投与時に迅速に放出される、迅速に但し時間遅延後に放出される(遅延放出)か又は長時間で緩慢に放出されるプロファイルを含む、多様な放出プロファイルを示すことができる。1の当該実施態様では、第1構成要素中に含有されるセファロスポリンが、患者への投与時に迅速に放出される。本明細書で用いる「迅速に放出される」としては、構成要素の有効成分の少なくとも約80%が投与後約1時間以内に放出される放出プロファイルがあげられ、「遅延放出」なる用語としては、構成要素の有効成分が時間遅延後に(迅速又は緩慢に)放出される放出プロファイルがあげられ、「制御放出」及び「延長放出」なる用語としては、構成要素中に含まれる有効成分の少なくとも約80%が緩慢に放出される放出プロファイルがあげられる。
【0120】
このような実施態様の第2構成要素も、即時放出プロファイル、遅延放出プロファイル又は制御放出プロファイルを含む、多様な放出プロファイルを示すことができる。1の当該実施態様では、第2構成要素は、セファロスポリンが時間遅延後に放出される遅延放出プロファイルを示す。
【0121】
セファロスポリン又はセファロスポリン含有ナノ粒子を含む即時放出構成要素と、セファロスポリン又はセファロスポリン含有ナノ粒子を含む、少なくとも1の調節放出構成要素とを含む、本発明の剤形の投与により生じる血漿プロファイルは、連続的に投与される2以上のIR剤形の投与により生じる血漿プロファイルに、又は別々のIR剤形と調節放出剤形の投与により生じる血漿プロファイルに実質的に類似することが可能である。したがって、本発明の剤形は、薬物動態パラメーターの維持が所望のが問題でありうる場合に、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を投与するために特に有用でありうる。
【0122】
1の実施態様では、前記組成物と前記組成物を含有する固体剤形は、第1構成要素中に含有されるセファロスポリンの実質的に全てが放出された後、少なくとも1の後続構成要素からセファロスポリンが放出されるよう、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を放出する。第1構成要素が例えばIR構成要素を含む場合には、前記IR構成要素中の実質的に全てのセファロスポリンが放出されるまで、少なくとも1の後続構成要素からのセファロスポリンの放出が遅延されることが好ましい。少なくとも1の後続構成要素からのセファロスポリンの放出は、上記のように、調節放出被膜及び/又は調節放出マトリックス物質を用いて遅延させることができる。
【0123】
患者の組織のセファロスポリンの初回投与量の流出を容易にする投与計画を提供することで患者の耐性を最小にすることを所望の場合、第1構成要素中に含まれるセファロスポリンの実質的に全てが放出されるまで後続構成要素からのセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出を遅延させることができ、さらに、第1構成要素から放出されたセファロスポリンの少なくとも一部が患者の組織から消失するまで、さらに遅延させることができる。1の実施態様では、前記組成物の後続構成要素からのセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出は、前記組成物の投与後、少なくとも約2時間にわたり、完全ではなくとも、実質的に遅延される。他の実施態様では、前記組成物の後続構成要素からのセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出は、前記組成物の投与後、少なくとも約4時間にわたり、完全ではなくとも、実質的に遅延される。
【0124】
本明細書に以下に記載するように、本発明としてはさらに、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体がパルス化又は連続的形式で送達されうる、多様な種類の調節放出系があげられる。当該系としては、ポリマーマトリックス中に、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又はセファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体を含有するナノ粒子を有するフィルム(モノリシック・デバイス);セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子がポリマーにより含有される系(貯留層デバイス);貯留層及びマトリックス・デバイスの形態での、ポリマーコロイド状粒子又はマイクロカプセル剤(ミクロ粒子、ミクロスフェア若しくはナノ粒子);セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体、又は上記を含有するナノ粒子が、親水性及び/又は浸出可能な添加剤、例えば第2化合物、界面活性剤若しくは可塑剤等を含有して、多孔質デバイス又はセファロスポリン放出が浸透的に制御されうるデバイスを生じるポリマーにより含有される系(貯留層及びマトリックス・デバイスの両方);腸溶性被膜(イオン化でき及び適当なpHで溶解する);側鎖セファロスポリン分子が(共有結合により)付着した(溶解性)ポリマー、及び放出速度が動的に制御されるデバイス:例えば、浸透圧ポンプがあげられるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明の送達機構は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の放出速度を制御することができる。ある機構はセファロスポリンを一定の速度で放出するが、他の機構は、例えば、濃度勾配又は多孔質を変化させる添加剤浸出等のような要因に依存して、時間の関数として変化する。
【0126】
持続放出被膜に用いるポリマーは、必然的に生体適合性であり、理想的には、生分解性である。自然発生ポリマー、例えばAquacoat(登録商標)(FMC Corporation, Food & Pharmaceutical Products Division, Philadelphia, USA)(サブミクロンサイズの水性疑似ラテックス分散系に機械的に球状化したエチルセルロース)と、さらにEudragit(登録商標)(Roehm Pharma, Weiterstadt)範囲のポリ(アクリレート、メタクリレート)コポリマー等の合成ポリマーの例が共に当該技術分野で公知である。
【0127】
貯留層デバイス
調節放出のための典型的なアプローチは、ポリマーフィルム又はコート内に薬剤を完全に(例えば、コアとして)封入する又は含有させることである(即ち、マイクロカプセル又は吹き付け/パン塗装コア)。
【0128】
拡散プロセスに影響しうる種々の要因が、貯留層デバイスに容易に適用されうる(例えば、添加剤の効果、ポリマー機能性(つまり、シンク溶液(sink-solution)pH)多孔質、フィルムキャスティング条件等)。したがって、貯留層・デバイスの開発には、ポリマーの選択の考察が重要である。それ故、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の輸送が溶液−拡散機構によるものである貯留層デバイス(及びモノリシック・デバイス)の放出特徴のモデル化は、関連する境界条件のために、Fick第2法則(非恒常的状態条件;濃度依存性流量)の溶液が典型的に必要である。本デバイスが溶解した活性剤を含有する場合、前記デバイス内の前記活性剤の濃度(活性)(即ち、放出の駆動力)が減少するに従い、放出速度は経時的に指数関数的に低下する(即ち、一次放出)。しかし、活性剤が飽和懸濁液中にある場合、デバイスが飽和状態でなくなるまで放出の駆動力は一定に維持される。或いは、放出−速度反応動力学は、脱離制御(desorption controlled)されてもよく、時間の平方根の関数でありうる。
【0129】
被覆錠剤の輸送特性は、錠剤コア(透過物)の密閉された性質により、錠剤から透過物を押出すように作用する浸透圧が内部増強されるために、フリーポリマー・フィルムに比べて促進されうる。
【0130】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)含有シリコーンエラストマー中に被覆された塩含有錠剤に対する脱イオン水の効果と、さらにフリーフィルムに対する水の効果が研究されている。錠剤からの塩の放出が、被膜の水和により形成される水充填孔を介した拡散と、浸透圧ポンピングとの混合であることが見出された。ちょうど10%PEG含有フィルムを介したKCl輸送は、同様のフリーフィルムに見られるように膨潤(swelling)が高いにもかかわらず、無視できる程度であり、KClの放出に多孔質が必要で、KClの放出が孔通過拡散により生じることが示された。ディスク形状の被覆された塩錠剤は、脱イオン水中で膨潤して、内部静水圧の蓄積の結果、形状が偏球に変化することが見出された:形状の本変化により、発生する力を測定する手段がもたらされた。予想されるように、浸透圧は、PEG含量レベルの増加と共に減少した。PEGレベルが低いほど、水は水和ポリマー介して吸収されるが、PEG含量(20〜40%)が高レベルである被膜溶解から生じる多孔質により、KClの流動により圧力が緩和される。
【0131】
異なる2つの塩(例えば、KClとNaCl)の放出をモニターする(独立的に)ことにより、浸透圧ポンピングと、孔通過拡散が共に錠剤からの塩の放出にもたらす相対量の計算ができる方法と式が開発されている。PEGレベルが低いと、孔数密度が低くなるため、浸透性流動の程度が孔通過拡散よりも増大した:20%負荷では、両機構がほぼ同等に放出に寄与した。しかし、静水圧の蓄積により浸透性流入と浸透圧ポンピングが減少した。PEGの負荷が高いと、水和フィルムはより多孔質になり、塩の流出に対する抵抗性が低い。そのため、浸透圧ポンピングが高く(低い負荷に比べて)ても、孔通過拡散が主要な放出機構であった。浸透圧放出機構は、水溶性コアを含有するマイクロカプセルに関しても報告されている。
【0132】
モノリシック・デバイス(マトリックス・デバイス)
モノリシック(マトリックス)デバイスは、薬剤の放出を制御するために用いることができる。この理由は、おそらく、上記デバイスが、貯留層デバイスに比べて比較的容易に製造されることと、貯留層デバイスの膜の破裂から生じうる、投与量が偶発的に高くなる危険性がないことである。上記デバイスでは、活性剤はポリマーマトリックス内の分散系として存在し、上記デバイスは典型的にポリマー/薬剤混合物の圧縮成型又は溶解若しくは溶融により形成される。モノリシック・デバイスの投与量放出特性は、薬剤が前記ポリマー中に分散しているか又は前記ポリマー中に溶解しているかのいずれかにより、ポリマーマトリックス中の薬剤の溶解性に、又は多孔質マトリックスの場合には粒子の孔ネットワーク内のシンク溶液中の溶解性に、及びさらに、前記ネットワークの屈曲性にも(前記フィルムの透過性よりも大きな程度に)依存しうる。薬剤負荷が低い(0〜5%W/V)と、前記薬剤は溶液−拡散機構(孔が存在しない場合)により放出される。負荷が高い(5〜10%W/V)と、放出機構は薬剤が失われる場合にデバイスの表面近くに形成される空隙の存在により複雑になる:このような空隙は環境からの流体に満たされて、薬剤の放出速度を高める。
【0133】
透過性を高める手段として、マトリックス・デバイス(及び貯留層デバイス)に可塑剤(例えば、ポリ(エチレングリコール))、界面活性剤、又はアジュバント(即ち、有効性を高める成分)を加えることが一般的である(但し、一方、可塑剤は変化し易い可能性があり、フィルム形成を助成するだけに役立ち、それ故、透過性(通常は、ポリマーペイント被膜により所望の性質)が低下する可能性がある)。多孔性を高めると、PEGの浸出が、(エチルセルロース)フィルムの透過性をPEG負荷の関数として直線的に高まるが、本フィルムは、電解質を輸送せず、保護性があることが注目された。PEG浸出により厚さが有効に低下した結果、フィルムの透過性が強化されたことが推論された。このことは、時間の関数としての単位面積当たりの累積透過流量と、50%W/WのPEG負荷におけるフィルム厚さの逆数とのプロットから実証された:均質な膜における(Fickian)溶液−拡散型輸送機構について予想されるように、プロットは、透過速度とフィルム厚の逆数との間に直線的関係を示した。時間軸に対するグラフの直線部分の補外法により時間軸上に正の切片が生じ、その大きさはフィルム厚が減少するとゼロ方向に減少した。当該遅延時間の変化は、実験の早期段階中の2つの拡散流動の発生(薬剤の流動及びPEGの流動)によると考えられ、通常の遅延時間中に前記フィルム中の透過物の濃度が増すことにもよると考えられた。透過物として用いた場合のカフェインは、負の遅延時間を示した。この解釈はできなかったが、カフェインが本系で分配係数が低いことと、同様な負の時間遅延を示したポリエチレンフィルムを介したアニリン透過の特徴でもあったことが注目された。
【0134】
(疎水性)マトリックス・デバイスに対する界面活性剤の添加の効果が研究されている。界面活性剤が、3つの可能な機構:(i)可溶化の促進;(ii)溶解媒質に対する「湿潤性」の改良;(iii)界面活性剤浸出の結果としての孔形成により、薬剤の放出速度を高めうることが考えられた。研究した系(ソルビトールにより可塑化したEudragit(登録商標)RL100とRS100、薬剤としてのフルルビプロフェン及びある範囲の界面活性剤)に関して、本錠剤の湿潤が改良され、薬剤放出は部分的に改良されたことが結論された(放出は溶解ではなく、制御された拡散であることを示す)、但し、本効果はEudragit(登録商標)RLよりもEudragit(登録商標)RSに対して高く、つまり、放出に対する最大の効果は、マトリックスが破壊されたために溶解性が高まり、マトリックス内への溶解媒質へ接近できるような界面活性剤により得られた。このことは、界面活性剤を用いないよりも界面活性剤を用いてラテックスフィルムを製造する方が容易であるため、薬剤被膜に適切であると考えられるラテックスフィルムの研究に明らかに関連する。Eudragit(登録商標)RSのみを用いた2種類のポリマーの間に差異が見出され、これにより、アニオン/カチオン界面活性剤と薬剤とに相互作用が示された。これは、ポリマー上の第4級アンモニウムイオンのレベルの違いに起因するものであった。
【0135】
薬剤を含有しないポリマー中に被覆されたポリマー/薬剤マトリックスからなる複合デバイスも存在する。当該デバイスは、水性Eudragit(登録商標)ラテックス(lattices)から構成され、コアからシェルを介した薬剤が拡散して連続放出をもたらすことが判明している。同様に、薬剤を含有するポリマーコアが製造され、胃液に浸食される殻により被覆されている。薬剤の放出速度は、相対的に直線的であり(シェルを介した律速拡散プロセスの関数)、シェル厚に反比例するが、コアのみからの放出は経時的に減少することが見出された。
【0136】
ミクロスフェア
中空ミクロスフェアの製造方法は記載されている。薬剤とポリマーを含有するエタノール/ジクロロメタンの溶液を調製して中空ミクロスフェアを形成した。水中に注入すると、コアセルベーション型プロセスにより、分散したポリマー/薬剤/溶媒粒子を含有するエマルジョンが形成される、当該粒子からエタノールが迅速に拡散して、小滴の表面上にポリマーが沈降し、ジクロロメタン中に溶解した薬剤を封入する硬質シェルで覆われた粒子を生じる。次に、ジクロロメタンのガス相が粒子内で発生して、シェルを通して拡散した後に、水相の表面に泡立つのが見られた。次に、中空スフェアに減圧下で水を充填し、この水は乾燥の期間により除去することができた。水中に薬剤は存在しなかった。高度に多孔質のマトリックス型ミクロスフェアも記載されている。薬剤とポリマーとをエタノール中に溶解してマトリックス型ミクロスフェアを調製した。水に添加すると、エタノールはエマルジョン小滴から拡散して高度に多孔質の粒子となった。前記ミクロスフェアの示唆される用途としては、胃で用いる浮遊薬剤送達デバイスとしての使用であった。
【0137】
ペンダント・デバイス
水性エマルジョン重合により製造されたポリ(アクリレート)エステルラテックス粒子に、鎮痛薬及び抗うつ薬等の範囲の薬剤をエステル架橋により固定する手段が開発されている。当該ラテックスは、ポリマー末端基がその強酸形に転化するようにイオン交換樹脂を通過させた場合、エステル結合の加水分解による薬剤放出を自己触媒することができた。
【0138】
薬剤はポリマーに付着し、側鎖薬剤が付着したモノマーも合成されている。薬剤が生体適合性ポリマーに脆い(labile)化学結合により結合している剤形が製造されており、例えば、置換無水物(それ自体、酸塩化物と薬剤:メタクリロイルクロリドと、メトキシ安息香酸のナトリウム塩との反応により製造される)から製造されるポリ無水物(polyanhydrides)を用いて、第2ポリマー(Eudragit(登録商標)RL)を有するマトリックスを形成し、これは胃液中での加水分解時に薬剤を放出した。薬剤アミンの担体として用いるのに適するポリマー性シッフ塩基の使用も、記載されている。
【0139】
腸溶性フィルム
腸溶性被膜はpH感受性ポリマーからなる。典型的に、本ポリマーはカルボキシル化され、pHが低いと水と殆ど相互作用せず、pHが高いとイオン化して本ポリマーが膨潤又は溶解する。それ故、胃の酸性環境中で完全状態で留まり、この環境から薬剤を又は胃を薬剤から保護し、アルカリ性が高い腸環境中で溶解するよう、被膜を設計できる。
【0140】
浸透圧制御デバイス(osmotically controlled device)
浸透圧ポンプは、半透膜を介して周囲媒質から水を吸収するように作用する浸透剤(例えば塩形の活性剤)を含有する以外は貯留層デバイスに類似する。基本浸透圧ポンプという当該デバイスは記載されている。本デバイス中に圧力が発生し、本圧力により浸透圧が低下し、デバイスの寸法が変化する効果を有しうる静水圧水頭の蓄積を防止しながら、溶質拡散を最小にするように設計された大きさのオリフィスを介してデバイスから活性剤を押し出す。デバイスの内部容積が一定の状態で、デバイス中に過剰な固体又は飽和溶液が存在する場合、放出速度は一定であり、溶媒取込み量に等しい量を送達する。
【0141】
電気刺激放出デバイス(electrically stimulated release device)
例えば、外部の電気的刺激が加えられた場合に膨張して、pHを変化させる分子電解質ゲルを用いたモノリシック・デバイスが製造されている。印加電流の変化により放出を調節して、一定放出プロファイル又はパルス化放出プロファイルを生じることができる。
【0142】
ハイドロゲル
ハイドロゲルは、薬剤マトリックス中で用いる他、例えば、ソフトコンタクトレンズ及び種々の軟質インプラント等の多くのバイオメディカル用途への使用が見出されている。
【0143】
セファロスポリンを含む調節放出組成物の使用方法
本発明の他の態様では、細菌性障害に罹患した患者の治療方法であって、固体経口剤形中治療有効量の本発明の組成物を投与する段階を含む方法を提供する。本発明の方法の利点としては、パルス化血漿プロファイルに由来する利益をなお維持しつつ又は血漿濃度レベルの変化を除きつつ若しくは最少にしつつ、従来の多数回IR投与計画で必要な投与頻度を減らすことがあげられる。投与頻度を減らすことは、患者コンプライアンスの点から有利であり、本発明の方法により可能になる投与頻度減少は、セファロスポリン、例えばセフジニル又はその塩、誘導体、プロドラッグ若しくは多形体の投与時にヘルスケア・ワーカーが費す時間量を低減し、ヘルスケア費用の節減に寄与すると考えられる。
【0144】
下記実施例では、全ての比率は、特に指定しない限り、重量による重量比率である。実施例で用いる「精製水」なる用語は、水濾過システムを介して精製されている水を意味する。実施例は例示にすぎず、特許請求の範囲で特定される、本発明の要旨及び範囲を制限するものと解釈すべきでないことを、理解すべきである。
【実施例】
【0145】
実施例1〜4は典型的なセフジニル錠剤製剤を提供する。当該実施例は、いかなる観点からも特許請求の範囲を限定することを意図せず、むしろ、本発明の方法に用いられる、典型的なセフジニル錠剤製剤を提供することを意図する。当該典型的な錠剤はコーティング剤を含んでもよい。
【0146】
実施例1
【0147】
【表1】


【0148】
実施例2
【0149】
【表2】


【0150】
実施例3
【0151】
【表3】


【0152】
実施例4
【0153】
【表4】


【0154】
実施例5
セフジニルを含有する多粒子状調節放出組成物
セファロスポリンを含有し、即時放出構成要素と調節放出構成要素を含む、本発明の多粒子状調節放出組成物を次のように製造する。
【0155】
(a)即時放出構成要素
表1に記載した処方のいずれかで、セフジニル(50:50ラセミ混合物)の溶液を調製する。次に、例えば、GlattGPCG3(Glatt, Protech Ltd., Leicester, UK)流動床コーティング装置を用いて、ノンパレイル・シード上に約16.9%固形物重量増加レベルまでメチルフェニデート溶液を塗布し、即時放出構成要素のIR粒子を形成する。
【0156】
【表5】


【0157】
(b)調節放出構成要素
上記実施例1(a)により製造した即時放出粒子に、表2に記載した調節放出コーティング溶液を塗布して、セフジニル含有遅延放出粒子を製造する。即時放出粒子に、例えば流動床装置を用いて、約30%重量増加までの種々のレベルに塗布する。
【0158】
【表6】


【0159】
(c)即時放出粒子と遅延放出粒子のカプセル封入
上記実施例5(a)と(b)により製造した、即時放出粒子と遅延放出粒子をサイズ2硬質ゼラチンカプセル中、総合20mgの投与強度まで、例えばBoschGKF4000Sカプセル封入装置を用いて封入する。20mgセファロスポリンの総合投与強度は、即時放出構成要素の10mgと、調節放出構成要素の10mgとから構成された。
【0160】
実施例6
セフジニルを含有する多粒子状調節放出組成物
即時放出構成要素と、調節放出マトリックス物質を含む調節放出構成要素とを有する、本発明の多粒子状調節放出セファロスポリン組成物を、表5(a)と(b)に示す処方に従い製造する。
【0161】
【表7】


【0162】
【表8】


【0163】
実施例7
本机上の実施例の目的は、ナノ粒子状セファロスポリン組成物を如何にして製造することができるかを記載することである。
【0164】
5%(W/W)セフジニルの水性分散液を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL)及びジオクチルスルホスクシネート(DOSS)等の1又はそれ以上の表面安定剤と共に、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA;例えば、米国特許第6,431,478号参照)の10ml室中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical Co.)と共に(例えば、89%媒体負荷)粉砕することができた。典型的なプロセスでは、本混合物を2500rpmの速度で60分間粉砕できた。
【0165】
粉砕後に、粉砕したセフジニル粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中でHoribaLA910粒度アナライザーを用いて測定することができる。有望な組成物としては、初期平均及び/又はD50粉砕セフジニル粒度は2000nm未満であることが予想される。
【0166】
当業者であれば、本発明の要旨又は範囲から逸脱せず本発明の方法及び組成物で種々の修飾及び変更されることは明らかである。つまり、本発明は、本発明の修飾及び変更が特許請求の範囲及びその同等物の範囲であれば、本修飾及び変更を含むことが意図される。
【出願人】 【識別番号】507222516
【氏名又は名称】エラン コーポレーション ピーエルシー
【出願日】 平成19年7月2日(2007.7.2)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100091638
【弁理士】
【氏名又は名称】江尻 ひろ子


【公開番号】 特開2008−13562(P2008−13562A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−173663(P2007−173663)