| 【発明の名称】 |
繊維芽細胞増殖因子アゴニスト |
| 【発明者】 |
【氏名】岡 修一
【氏名】亀山 あずさ
【氏名】今村 亨
【氏名】鈴木 理
【氏名】浅田 眞弘
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| 【要約】 |
【課題】FGF4受容体を活性化するFGF18をはじめとするFGFファミリーの増殖因子の不足が原因で生じる疾患の治療または予防を目的とする薬剤、特に育毛剤を提供するためのFGF4受容体を活性化する天然物由来成分からなる医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物を提供すること。
【構成】ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される繊維芽細胞増殖因子アゴニスト、ならびにこれらの繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物が開示される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される、繊維芽細胞増殖因子アゴニスト。 【請求項2】 繊維芽細胞増殖因子18アゴニスト活性を有する、請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニスト。 【請求項3】 請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする、発毛または育毛調節のための組成物。 【請求項4】 請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする、骨形成調節または軟骨形成調節のための組成物。 【請求項5】 請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする、FGFが原因で生じる疾患に対する予防又は治療のための医薬組成物。 【請求項6】 請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする、FGF18が原因で生じる疾患に対する予防又は治療のための医薬組成物。 【請求項7】 請求項1記載の繊維芽細胞増殖因子アゴニストを有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞増殖因子受容体第4遺伝子産物と相互作用して細胞機能を調節するための組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は繊維芽細胞増殖因子 [Fibroblast Growth Factor (FGF)]アゴニスト、ならびにこれを有効成分として含有する、育毛又は皮膚外用剤として有用な医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 繊維芽細胞増殖因子(FGF)はヒト及びマウスで22種類のメンバーからなり、これらは7つのサブクラスから成るFGF受容体(FGFR)、すなわちFGFR1c, FGFR1b, FGFR2c, FGFR2b, FGFR3c, FGFR3b, FGFR4、のいずれか一つまたは複数との固有の結合特異性を有し、生体内では多様な生理機能を発揮していることが知られている。一方、これらのFGFの作用を抑制するか、或いはFGF様の作用をする物質が知られており、これらの物質は、医薬品、医薬部外品又は化粧品などに利用されている。例えば、FGF5は毛周期に作用し、成長期毛包の退行期への移行を促進することによって脱毛症の一因になっており、そのアンタゴニストの投与により、FGF5によって誘導される脱毛が抑制されると考えられる(非特許文献1参照)。このため、FGF5 アンタゴニスト活性をもつペプチドは、育毛剤としての利用が期待されている(非特許文献2)。 【0003】 FGF18は骨と軟骨の形成や成長を制御することが報告されている(非特許文献3及び4)。更に、FGF18が毛包の成長期を誘導して毛成長を促進することが報告されている(非特許文献5)。FGF18蛋白質は、ヒトとマウスでは産生細胞の細胞質で207アミノ酸のポリペプチドとして合成され、それが細胞外に分泌される際にN末端のシグナルペプチドが切断され、181アミノ酸より成る分泌体として生理作用を発揮する。FGF18は7種類あるFGF受容体サブクラス(FGFR1c、FGFR1b、FGFR2c、FGFR2b、FGFR3c、FGFR3b、FGFR4)のうち少なくとも4つ、すなわちFGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、FGFR4と相互作用することによって、毛の成長をはじめとして、骨や軟骨の形成や成長、肺の形成等の生命現象に関与していると考えられている。 【0004】 この様に、FGF18は毛成長の制御因子として、ならびに、骨、軟骨の形成・成長・修復の制御因子として、医薬品などに応用することができると考えられる。しかし、FGF18の化学合成や遺伝子組換えにより生産するとコストが非常に高くなる。したがって、植物などの天然物物質からFGF18アゴニストを得ることができれば、FGF18様の作用をする物質をより安価で大量に供給することが可能となる。 【0005】 一方、FGF18は、FGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF8、FGF9などのFGFファミリーの他の増殖因子と同様に、FGF受容体サブクラスのうち、FGFR4と相互作用することが知られている(非特許文献6参照)。従って、FGFR4を活性化する天然物由来成分は、これらのFGFファミリー増殖因子の示す生理機能についても代替することができる。FGF1、FGF2は皮膚潰瘍治療剤としての用途が、また、FGF4 、FGF9は血小板増加作用としての用途が、更に、FGF4 は放射線障害防御作用を有することが知られており、従って、FGFR4を活性化する天然物由来のFGF18アゴニストは、これらの作用をも有していると考えられる。 【0006】 【非特許文献1】Hebert, JM., Rosenquist, T., Gotz, J.and Martin, GR.,1994. FGF-5 as a regulator of the hair growth cycle: Evidencefrom targeted and spontaneous mutations. Cell 78:1017-1025. 【非特許文献2】Ito, C., Saitoh, Y., Fujita, Y.,Yamazaki, Y., Imamura, T., Oka, S. and Suzuki, S. 2003. Decapeptide withfibroblast growth factor (FGF)-5 partial sequence inhibits hair growthsuppressing activity of FGF-5. J. Cell. Physiol. 197:272-283. 【非特許文献3】Ohbayashi N, Shibayama M, Kurotaki Y, Imanishi M, Fujimori T, ItohN, Takada S. FGF18 is required for normal cell proliferation anddifferentiation during osteogenesis and chondrogenesis. Genes Dev. 2002,16(7):870-9 【非特許文献4】Moore EE, Bendele AM, Thompson DL, Littau A, Waggie KS, Reardon B,Ellsworth JL. Fibroblast growth factor-18 stimulates chondrogenesis andcartilage repair in a rat model of injury-induced osteoarthritis.Osteoarthritis Cartilage. 2005, 13(7):623-31 【非特許文献5】Kawano M, Komi-Kuramochi A, Asada M, Suzuki M, Oki J, Jiang J,Imamura T. Comprehensive analysis of FGF and FGFR expression in skin: FGF18 ishighly expressed in hair follicles and capable of inducing anagen from telogenstage hair follicles. J Invest Dermatol. 2005, 124(5):877-885 【非特許文献6】Ornitz D.M, Xu J, Colvin J.S, McEwen D.G, MacArthur C.A, Coulier F,Gao G, Goldfarb M, Receptor specificity of the fibroblast growth factor family.J. Biol. Chem. 1996, 271:15292-15297 【非特許文献7】MaruyamaS, Mitachi H, Awaya J, Kurono M, Tomizuka N. Angiotensin I-converting enzymeinhibitory activity of the C-terminal hezapeptide of αS1-casein. Agric. Biol.Chem. 1987, 51(9):2557-2561 【非特許文献8】MaruyamaS, Miyoshi S, Kaneko T, Tanaka H. Angiotensin I-converting enzyme inhibitoryactivities of synthetic peptide related to the tandem repeated sequence of amaize endosperm protein. Agric. Biol. Chem. 1989, 53(4):1077-1081 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の課題は、自然界からFGF18様の活性をもった植物成分等の天然物由来物質を提供しようとするものである。本発明の第2の課題は、FGFR4を活性化することによってその生理機能を発揮することが知られているFGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF8、FGF9などのFGFファミリーの増殖因子様活性をもった天然物由来物質を提供しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、FGF18アゴニストのスクリーニング系を開発し、自然界に存在する植物その他の天然物由来物質を広く探索した結果、FGF受容体サブクラスのうちFGF4受容体を活性化するいくつかの天然物由来物質を見出して、本発明を完成させた。 【0009】 本発明は、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP(フェニルアラニルフェニルアラニルバリルアラニルプロリン)、ペプチドTTMPLW(スレオニルスレオニルメチオニルプロリルロイシルトリプトファン)、およびペプチドLPP(ロイシルプロリルプロリン)からなる群より選択される繊維芽細胞増殖因子アゴニストを提供する。好ましくは、繊維芽細胞増殖因子アゴニストは繊維芽細胞増殖因子18アゴニストである。 【0010】 別の観点においては、本発明は、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質を有効成分として含有することを特徴とする、発毛または育毛調節のための組成物を提供する。本発明はまた、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質を有効成分として含有することを特徴とする、骨形成調節または軟骨形成調節のための組成物を提供する。 【0011】 さらに別の観点においては、本発明は、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質を有効成分として含有することを特徴とする、FGFが原因で生じる疾患に対する予防又は治療のための医薬組成物を提供する。好ましくは、FGFが原因で生じる疾患は、FGF18が原因で生じる疾患である。 【0012】 また別の観点においては、本発明は、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質を有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞増殖因子受容体第4遺伝子産物と相互作用して細胞機能を調節するための組成物を提供する。 【発明の効果】 【0013】 本発明において見いだされた天然物由来物質は、FGF18をはじめとして、FGF4受容体を活性化してその生理機能を発揮することが知られているFGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF8、FGF9などのFGFファミリー増殖因子様活性を示すため、これらのFGFによって惹起される生理機能を代替することができる。したがって、発毛または育毛調節、骨形成調節または軟骨形成調節などの作用をもつ医薬品、医薬部外品、または化粧品として利用できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の第1の態様は、ヤナギバルイラソウの抽出物からなるFGFアゴニストである。この態様において、抽出物を得るための原料となるヤナギバルイラソウは、キツネノマゴ科ルイラソウ属の植物(学名Ruelllia brittoniana Leonard )である。第2の態様は、シマチカラシバの抽出物からなるFGFアゴニストであり、抽出物を得るための原料となるシマチカラシバは、イネ科チカラシバ属の植物(学名Pennisetum sordidum)である。 【0015】 ヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバからその抽出物を得るに当たっては、植物体の全部位が使用可能であり、各部位を単独に、或いは適宜混合して抽出原料に用いることができる。また、原料となる植物体の性状は、乾燥状態のもの、非乾燥状態のもの、いずれも用いることができる。 【0016】 ヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバから、本発明に用いる抽出物を得るには、これらの原料を必要により細切ないし粉砕し、適当な溶媒を用いて、一般に用いられる抽出法で抽出すれば良い。抽出に用いられる溶媒は、特に限定されないが、例えば水、無水或いは含水有機溶媒を例示することができる。無水或いは含水有機溶媒としては、1価アルコール、多価アルコールまたはその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素、またはハロゲン化合物、芳香族炭化水素より選択された一種または二種以上を例示することができる。具体的な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチルエステルが例示され、これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、特に水、或いはメタノールやエタノール等の1価アルコールを用いることが好ましい。抽出に当たって、上記溶媒の使用量は特に限定されないが、抽出原料であるヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバに対して、0.1−1000重量倍、好ましくは1−100重量倍、更に好ましくは2−50重量倍である。 【0017】 上記溶媒による抽出法は、常法に従って行なうことができる。例えば抽出温度については、室温程度の温度で抽出しても良く、また用いられる溶媒の沸点付近の温度で抽出しても良い。また、抽出操作についても、ヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバの乾燥粉砕物もしくは粉砕物を室温下で1−30日間浸漬することにより抽出する方法や、抽出溶媒の沸点程度の温度において還流抽出する方法等を用いることができる。 【0018】 本発明の第3の態様は、蛋白質加水分解物または酵母抽出物からなるFGFアゴニストである。蛋白質加水分解物としては、カゼイン、大豆蛋白質、トウモロコシ種子蛋白質等の蛋白質をペプシン、トリプシン、キモトリプシン、サーモライシン、パパイン、アクカリプロテアーゼ等の蛋白質加水分解酵素で処理した分解物が挙げられる。これらの蛋白質加水分解酵素を多量に含む食品や、植物等の天然物を使用しても良い。また、培地用として市販されている蛋白質加水分解物、例えば、バクトトリプトン(Becton Dickinson and Company)、バクトイーストエキストラクト(Becton Dickinson and Company)、バクトペプトン(DIFCO)、バクトトリプトン(DIFCO)、ポリペプトン(日本製薬(株))、プロテオースペプトンダイゴ(大五栄養化学(株))、バクトカシトン(DIFCO)、ソイビーンペプトン(DIFCO)、フィトンペプトン(BBL)、トリプトンペプトン(DIFCO)等を用いることができる。酵母抽出物としては、市販の酵母エキス(DIFCO)を用いることができる。 【0019】 本発明の第4の態様は、FFVAP、TTMPLWおよびLPPからなる群より選択されるペプチドである。これらのペプチドは、アンジオテンシン変換酵素を阻害し、高血圧の予防・治療に効果があることが知られている(非特許文献7、8)。しかしながらこれらのペプチドがFGF様の活性を有するか否か、あるいは発毛または育毛調節作用を有するか否か、あるいは骨形成調節または軟骨形成調節を有するか否かについて示唆する報告は無い。本発明にしたがうペプチドは、当該技術分野においてよく知られるペプチド合成技術を用いて化学合成することにより製造することができる。 【0020】 下記の実施例において示されるように、本発明のヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質は、FGF18様の細胞増殖促進活性を有する。実施例では、FGFレセプターの1つであるFGFR4を遺伝子発現操作により細胞表面に強制的に発現させた細胞を用いたときに、本発明において見いだされた上記の物質がFGF18と同様の細胞増殖促進活性を示し、かついずれもFGFR4を発現していない親株に対する細胞増殖促進活性は無いことが示された。 【0021】 すなわち、本発明のヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質は、FGF18と同様にFGFR4を活性化する作用を有するFGFアゴニストである。 【0022】 FGF18は毛の産生メカニズムを調節する作用、具体的には頭髪などの発毛を促進または抑制する作用、毛の成長を促進または抑制する作用などの生理的機能を有する。またFGF18は、骨や軟骨の形成と成長メカニズムを調節する作用、具体的には骨形成や軟骨の形成を促進または抑制する作用などの生理的機能を有する。 【0023】 したがって、本発明のFGFアゴニストを用いて、毛の産生メカニズムの一部であるFGF18の発毛または育毛調節活性と同様の活性またはその特異性を有し、発毛または育毛の調節に有効な医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物を提供することができる。さらに、FGF18の骨形成促進または軟骨形成抑制活性と同様の活性またはその特異性を有し、骨形成または軟骨形成の調節に有効な医薬組成物を提供することができる。 【0024】 また、本発明のFGFアゴニストは、その他のFGF18の生理的機能を調節する作用を有し得る。その他のFGF18の生理的機能としては、肺の形成を調整すること、繊維芽細胞、血管内皮細胞、筋芽細胞、神経細胞、グリア細胞の増殖や分化を促進または抑制すること、また、これらの細胞の機能を調節したり、細胞死を抑制することが挙げられる。 【0025】 さらに、本発明のFGFアゴニストは、FGF18をはじめとして、FGFR4受容体の活性化を通して作用を発揮するFGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF8、FGF9などのFGFファミリー増殖因子様の生理的機能の少なくとも一部を発揮したり、調節する作用を有する。FGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF8、FGF9の生理的機能とは、FGF1、FGF2には血管新生作用および皮膚潰瘍治療作用が、FGF4 、FGF9は血小板増加作用が、更に、FGF4 は放射線障害防御作用を有することが挙げられる。したがって、本発明のFGFアゴニストを用いて、神経細胞死の抑制や他のFGF因子群の発現制御等に有効な医薬組成物、各種再生医療に有効な医薬組成物などを提供することができる。更に本発明により、FGF1、またはFGF2が示す様な皮膚潰瘍治療剤として有効な医薬組成物、FGF4 、FGF9が示す様な血小板増加作用として有効な医薬組成物、更に、FGF4が示す様な放射線障害防御剤として有効な医薬組成物を提供することができる。 【0026】 本発明のヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPからなる群より選択される物質は、育毛剤、例えば育毛促進、発毛促進、および脱毛予防などとして用いる医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物の有効成分として用いることが想定されるが、その場合、上記生物を含む1または2種以上抽出物をそのまま用いる、または製剤学的に許容される1または2種以上の製剤添加物を用いて上記抽出物の1または2種以上を有効成分として含む医薬組成物を製造して投与することが望ましい。本発明のFGFアゴニストは、医薬的に許容できる溶剤、賦形剤、担体、補助剤などを使用し、製剤製造の常法に従って液剤、ローション剤、エアゾール剤、注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤、坐剤、腸溶剤およびカプセル剤などの医薬組成物としたり、或いは、医薬部外品組成物、化粧品組成物とすることができる。例えばクリーム剤、噴霧剤、塗布剤、または貼付剤等の外用剤として用いることができる。さらに上記の抽出物は、シャンプーやリンスに配合してもよい。 【0027】 本発明にしたがう医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物は、発毛剤、育毛剤、骨形成促進剤、軟骨形成抑制剤、脳神経系栄養剤・機能制御剤、学習効果調節剤などとして、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ等の哺乳動物に対して非経口的にまたは経口的に安全に投与することができる。 【0028】 FGF18アゴニストは、特に育毛剤として有用な薬剤を提供するものである。本医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物の投与量は、剤形、投与ルート、症状等により適宜変更しうるが、例えばヒトを含む哺乳動物に投与する場合、0.0001〜1000mgを患部に1 日に数回適用することが例示される。 【実施例】 【0029】 以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0030】 〔実施例1〕 FGFR4発現細胞を用いたFGF18アゴニストのスクリーニング 文献の教示にしたがって、マウスIL-3依存性proB細胞であるBa/F3細胞株(理研BRCより入手)に、遺伝子発現操作によりFGFレセプターの1つであるFGFR4を導入して、FGFR4が細胞表面に強制的に発現するR4/BaF3細胞を作成した(Ornitz, DM., Xu, J., Colvin, JS., McEwen, DG., MacArthur, CA., Coulier, F., Gao, G. and Goldfarb, M., 1996. Receptor specificity of the fibroblast growth factor family. J. Biol. Chem. 271(25):15292-15297;Yoneda, A., Asada, M., Oda, Y., Suzuki, M. and Imamura, T., 2000. Engineering of an FGF-proteoglycan fusion protein with heparin-independent, mitogenic activity. Nat. Biotec. 18(6):641-644)。 【0031】 次に、作製したR4/Ba/F3細胞を、被験液として種々の植物抽出液、蛋白質加水分解物、ペプチドなどと共に培養した。陽性対照としては市販のFGF18蛋白質を用いた。一定時間培養した後の細胞数を、WST-8を用いて、WST-8ホルマザンの産生量に伴う450 nmの発色を測定して求めた。 【0032】 その結果、ヤナギバルイラソウまたはシマチカラシバの抽出物、蛋白質加水分解物、酵母抽出物、ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPが、FGF18アゴニストとして作用し、R4/BaF3細胞の増殖を促進しうることが見いだされた。 【0033】 〔実施例2〕 本発明のFGF18アゴニストの細胞増殖促進活性 ヤナギバルイラソウの乾燥した植物体1.6gに、70%エタノール水溶液40mlを加え、室温で7日間浸漬抽出した。ヤナギバルイラソウの乾燥した植物体1.7gに、蒸留水40mlを加え、20分間煮沸した。シマチカラシバの乾燥した植物体2.3gに、70%エタノール水溶液40mlを加え、室温で7日間浸漬抽出した。シマチカラシバの乾燥した植物体2.4gに、蒸留水40mlを加え、20分間煮沸した。以上の様にして得られた抽出液をろ過してろ液を取り、抽出液を得た。 【0034】 ペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPは、いずれも化学合成により製造し、終濃度がそれぞれ1mMになるように蒸留水に溶解し、更に 0.1mM、 0.01mM になるように蒸留水で希釈して被験液とした。 【0035】 蛋白質加水分解物の調製は以下のようにして行った。500mg大豆蛋白質(Sigma,S-9633 )を0.05mM Tris・HCl、20mM CaCl2緩衝液(pH 7.4)50mlに溶解し、11,000回転15分間の遠心により不溶の蛋白質を除去し、蛋白質溶液を調製した。トリプシン(Sigma,T-4799)10mgを0.05mM Tris・HCl、20mM CaCl2緩衝液(pH 7.4)に溶解し、トリプシン溶液を調製した。この様にして調製した大豆蛋白質溶液3mlにトリプシン溶液300μlを添加し、37℃、24時間反応した。反応終了後、沸騰水浴中で5分間加熱した後、4℃、11,000回転、15分間の遠心により不溶の蛋白質を除去し、大豆蛋白質加水分解物を調製した。また、市販の蛋白質分解物として以下の試料を調製した。バクトトリプトン(Becton Dickinson and Company)、バクトイーストエキストラクト(Becton Dickinson and Company)、バクトペプトン(DIFCO)、バクトトリプトン(DIFCO)、ポリペプトン(日本製薬(株))、プロテオースペプトンダイゴ(大五栄養化学(株))、バクトカシトン(DIFCO)、ソイビーンペプトン(DIFCO)、フィトンペプトン(BBL)、トリプトンペプトン(DIFCO)、酵母エキス(DIFCO)の粉末1gに、蒸留水5mlを加え被験液とした。 【0036】 実施例1と同様にして、R4/Ba/F3細胞を用いて本発明のFGF18アゴニストの細胞増殖活性の測定を行った。具体的には、測定は次の様にして行った。96穴の細胞培養用プレートの各ウエルに、1ウエル当たり50μl の10% FBS、1% Antibiotic G-418 Sulfate(プロメガ株式会社、V7983)を含むRPMI1640培地を加えた。次いで、各試料を水で希釈して調製した種々の濃度の被験液 10μl を添加した後、10% FBS、1% Antibiotic G-418 Sulfateを含むRPMI1640培地中に5 x 104個のR4/Ba/F3細胞が懸濁した細胞懸濁液50μlを添加し、軽く撹拌した。最後に、heparin / 10% FBS / 1% Antibiotic G-418 Sulfate / RPMI1640培地、10μl(heparin終濃度5μg/ml) を加え、5%CO2存在下、37℃の炭酸ガスインキュベーターで72時間培養した。R4/Ba/F3細胞の増殖は、72時間培養後の各ウエルに、WST-8(和光純薬工業株式会社)/PBS溶液10μlを加えた後、更に3時間培養し、WST-8ホルマザンの産生量に伴う450 nmの発色を測定して求めた。 【0037】 測定に際しては、陽性対照としては、FGF18(ぺプロテック株式会社、100-28)溶液 10μl(FGF18終濃度3ng/ml)を、また陰性対照としては、被験液作製時に使用した水またはエタノール溶液(エタノール溶液の終濃度は1%以下になるように調製)10μl を用いて測定した。細胞増殖率(%)の算定は、被験液添加時に得られる吸光度について、陽性対照として用いたFGF18(終濃度3ng/ml)添加時の吸光度を100%、陰性対照として用いた水またはエタノール溶液添加時の吸光度を0%として算出した。 【0038】 ヤナギバルイラソウ、及びシマチカラシバ抽出液についての結果を図1に示す。これらの抽出液を用いた場合には、発色量が増加し、FGF18様の細胞増殖促進活性を有することが確認された。なお、高濃度での活性の低下は細胞毒性のためと考えられる。 【0039】 図2に、バクトペプトン(B9)およびバクトトリプトン(B10)についての結果を、図3にペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPについての結果をそれぞれ示す。図から明らかなように、これらの蛋白質加水分解物ならびにペプチドは、用量依存的にFGF18様の細胞増殖促進活性を有することが示された。 【0040】 〔実施例3〕 本発明であるヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバ抽出物を用いたヘアシャンプーの処方及び製造法を示す。 【0041】 以下の処方、及び製法に従ってヘアシャンプーを製造した。 (処方) 成 分 重量% 1.実施例2で得られた希釈液 0.1 2.ラウリルエーテル硫酸ナトリウムエタノール 20 3.ラウリル硫酸ナトリウム 10 4.1,3ブチレングリコール 1 5.香料 適量 6.精製水 残量(全量で100とする) (製法) 処方成分を80℃に加熱し、攪拌混合した後、攪拌冷却し本発明のヘアシャンプーを製造した。 【0042】 〔実施例4〕 本発明であるヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバ抽出物を用いたヘアリキッドの処方及び製造法を示す。 【0043】 以下の処方、及び製法に従ってヘアリキッドを製造した。 (処 方) 成 分 重量% 1.実施例2で得られた希釈液 0.1 2.エタノール 40 3.グリセリン 1 4.香料 適量 5.精製水 残量(全量で100とする) (製法) 処方成分を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアリキッドを製造した。 【0044】 〔実施例5〕 実施例5は、本発明であるヤナギバルイラソウ、またはシマチカラシバ抽出物を用いたヘアクリームの処方及び製造法を示すものである。 以下の処方、及び製法に従ってヘアクリームを製造した。 (処方) 成 分 重量% 1.実施例2で得られた希釈液 0.1 2.流動パラフィン 40 3.ワセリン 1 4.セトステアリルアルコール 1 5.メチルポリシロキサン 1 6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 7.プロピレングリコール 5 4.香料 適量 5.精製水 残量(全量で100とする) (製法) 処方成分を攪拌混合し、本発明のヘアクリームを製造した。 【図面の簡単な説明】 【0045】 【図1】図1は、R4/Ba/F3細胞に対するヤナギバルイラソウ、及びシマチカラシバ抽出液の細胞増殖促進活性を示す。 【図2】図2は、R4/Ba/F3細胞に対するバクトペプトンおよびバクトトリプトンの細胞増殖促進活性を示す。 【図3】図3は、R4/Ba/F3細胞に対するペプチドFFVAP、ペプチドTTMPLW、およびペプチドLPPの細胞増殖促進活性を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成18年7月5日(2006.7.5) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−13467(P2008−13467A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−185032(P2006−185032) |
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