| 【発明の名称】 |
歯科用リン酸塩系埋没材 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 文信
【氏名】佐藤 信子
【氏名】上野 貴之
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| 【要約】 |
【課題】耐火材粉末およびリン酸塩系結合材の混合粉末に練和液を加えて混練する際、練和泥中の気泡を容易に除去することが可能な歯科用リン酸塩系埋没材を提供し、もって鋳造体表面に気泡により突起が形成されることを防止し、従来必要としていた鋳造後の突起除去作業を不要にする。
【構成】骨材粉末およびリン酸塩系結合材粉末の混合粉末と練和液とからなるリン酸塩系歯科用埋没材において、上記の混合粉末および練和液の少なくとも一方にシリコーン系消泡剤、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーンオイルを添加する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 骨材粉末およびリン酸塩系結合材粉末の混合粉末と練和液とからなるリン酸塩系歯科用埋没材において、上記の混合粉末および練和液の少なくとも一方にシリコーン系消泡剤が添加されていることを特徴とする歯科用リン酸塩系埋没材。 【請求項2】 シリコーン系消泡剤の添加量が混合粉末の100重量部に対して0.01〜0.5重量部である請求項1に記載の歯科用リン酸塩系埋没材。 【請求項3】 シリコーン系消泡剤の添加量が練和液の100重量部に対して0.001〜0.05重量部である請求項1に記載の歯科用リン酸塩系埋没材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、高融点金属の鋳造に用いるための歯科用リン酸塩系埋没材に関する。 【背景技術】 【0002】 歯科用リン酸塩系埋没材として、種々のものが知られている。例えば、下記の特許文献1には、高融点の金属や合金を鋳造する場合に鋳肌表面の金属色が失われず、かつ鋳肌表面の滑らかな鋳造品が得られるようにするため、耐火材として石英、クリストバライト、アルミナ、ジルコン等を混用し、結合材としてリン酸塩と塩基性金属酸化物を用い、練和液にコロイダルシリカゾルを用いた歯科用リン酸塩系埋没材において、2種以上の無機酸化物からなる多成分系のガラス粉末を添加することが開示されている。 【特許文献1】特開2002−20214号公報 【0003】 このような歯科用リン酸塩系埋没材は、金属の鋳造に際し、その耐火材粉末および結合材粉末を所定の割合で混合し、これに所定量の練和液を加えて混練し、得られた混和泥を鋳造用リングに投入してワックスパタンを埋没し、このリングを高温のファーネスに投入してワックスパタンを焼却除去し、しかるのち得られた鋳型で歯科用金属を鋳造しているが、上記混練の際に混和泥に気泡が巻き込まれると、この気泡が鋳造体表面に突起として現れるので、鋳造後に上記の突起を研削で取り除く作業が必要であり、金属も無駄になって不経済であった。 【0004】 そこで、練和の際に真空練和器を使用したり、更にバイブレーターを用いたりして上記練和泥中の気泡を除去していたが、これでは充分な気泡除去が不可能であった。また、埋没操作中、パタン上に練和泥を筆等で塗布することがあるが、その際に気泡を巻き込むこともあった。なお、練和泥の流動性を高くすることにより、バイブレーターでの脱泡を容易にする試みもあるが、この手段は大きな気泡には有効であっても、微細な気泡に対しては効果が無かった。なお、下記の特許文献2には、リン酸塩系埋没材用の練和液に界面活性剤を添加することにより、ワックスパタンとのヌレ性を向上することが開示されているが、練和泥中の気泡を除去したり、気泡の発生を抑制したりするものではなかった。 【特許文献2】特開2003−220446号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 この発明は、耐火材粉末およびリン酸塩系結合材の混合粉末に練和液を加えて混練する際、練和泥中の気泡を容易に除去することが可能な歯科用リン酸塩系埋没材を提供し、もって鋳造体表面に気泡により突起が形成されることを防止し、従来必要としていた鋳造後の突起除去作業を不要にするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 この発明に係るリン酸塩系歯科用埋没材は、骨材粉末およびリン酸塩系結合材粉末の混合粉末と練和液とからなるリン酸塩系歯科用埋没材において、上記の混合粉末および練和液の少なくとも一方にシリコーン系消泡剤が添加されていることを特徴とする。このシリコーン系消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーンオイルが例示される。 【0007】 上記のシリコーン系消泡剤は、潤滑油等の消泡剤として知られているが、歯科用のリン酸塩系埋没材に配合し、練和の際に従来と同様に真空練和器を用いて練和すると、気泡が微細なものでも容易に除去されることが判明した。しかも、上記のシリコーン系消泡剤は、アルコール系など他の消泡剤に比べてきわめて微量の配合量でも効果を発揮し、かつ埋没後の加熱により、ワックスパタンと共に焼却され、この焼却により気泡が形成されることもなく、鋳造品に悪影響を与えることがない。なお、上記のシリコーン系消泡剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、混合粉末または練和液のいずれか一方のみに配合してもよく、その両方に配合してもよく、任意に選択することができる。 【0008】 前記の骨材粉末およびリン酸塩系結合材粉末の混合粉末において、骨材粉末の配合量は混合粉末全量の70〜90重量部に設定され、練和液は上記の混合粉末100gに付き10〜30mLの割合で配合される。そして、上記のシリコーン系消泡剤を混合粉末に配合する場合、その好ましい配合量は混合粉末100重量部に対し0.01〜0.5重量部であり、これより少ないと消泡効果が不十分であり、反対に多い場合は、パタン焼却時にシリコーン系消泡剤も焼却されて鋳型表面にピンホールが形成され、これが鋳造体表面に突起として現れ、研削が必要となる。また、混合粉末に配合する場合、混合粉末の全て又はその一部、例えば骨材粉末および結合材粉末の一方または両方に対して添加することができる。また、骨材として2種以上の骨材粉末を用いる場合、いずれか一方の骨材粉末に添加することができる。添加方法は特に限定されず、例えば攪拌機で粉末を攪拌しながらシリコーン系消泡剤を滴下またはスプレーにより添加する方法、適当な溶剤に混合粉末及びシリコーン系消泡剤を分散した後溶剤を除去する方法などがある。 【0009】 他方、上記のシリコーン系消泡剤を練和液に配合する場合、その好ましい配合量は練和液100重量部に対し0.001〜0.05重量部であり。これより少ないと消泡効果が不十分であり、これより多くても消泡効果は変わらず、不経済である。練和液にシリコーン系消泡剤を添加する場合、その添加方法は、シリコーン系消泡剤が練和液の中で安定なエマルジョンを形成する方法であればその方法は特に限定されない。シリコーン系消泡剤を水系溶媒に添加する場合、安定なエマルジョンを得るため、適当な乳化剤と併用することは一般的である。従って、練和液への添加においても、適当な乳化剤または界面活性剤を使用することは何ら限定されない。 【発明の効果】 【0010】 この発明は、歯科用リン酸塩系埋没材の混合粉末および練和液の少なくとも一方にシリコーン系消泡剤を添加するものであるから、練和の際に従来発生していた気泡が容易に消失する。したがって、上記の埋没材からなる鋳型を用いて鋳造された鋳造体の表面には上記の気泡による突起の発生することがなく、また上記のシリコーン系消泡剤は、微量の配合量で効果を発揮するので、ワックスパタンとの同時焼却が可能であり、鋳型および鋳造品に悪影響がない。特に請求項2および3に係る発明は、上記消泡剤の配合量を限定したものであるから、充分な消泡剤効果が得られ、かつ上記の消泡剤が鋳型に悪影響を残すことがない。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 実施形態1 リン酸塩系埋没材の骨材粉末と結合材粉末とからなる混合粉末材料および練和液を用意する。まず、骨材粉末として、石英、クリストバライト、トリジマイト、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、ムライトおよびスピネル等のいずれか1種または2種以上の耐火材からなる粉末が用意される。また、結合材粉末には、塩基性金属酸化物(例えば、マグネシアクリンカ)およびリン酸塩(例えば、第1リン酸アンモニウム)の粉末混合物が用意される。そして、練和液にはコロイダルシリカ溶液(シリカ濃度10〜40%、シリカ粒径8〜100mm)が従来同様に用意される。これらの混合粉末材料と練和液は、鋳造の際に混合されるが、骨材粉末の配合量は、骨材粉末および結合材粉末の合計量すなわち混合粉末材料全体の70〜90重量%に設定され、残りが結合材粉末となる。 【0012】 シリコーン系消泡剤として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のいずれか一種または2種以上のポリシロキサンを用意し、上記の骨材粉末および結合材粉末の混合粉末100重量部に対し、上記のシリコーン系消泡剤のいずれか1種または2種以上の混合物を0.01〜0.5重量部配合する。そして、上記の混合粉末に上記の練和液を加えて練和し、ワックスパタンを埋没し、ファーネスでワックスパタンを焼却し、しかるのち鋳造を行なう。なお、上記練和液の配合量は、上記混合粉末材料100gに対し10〜30mLに設定される。そして、練和は手練和と真空練和器による練和とが連続して行なわれるが、シリコーン系消泡剤が配合されているため、この練和の際に練和に伴う気泡の形成が防止され、この気泡に起因する突起のない鋳造品が製造される。 【0013】 実施形態2 上記の実施形態1において、シリコーン系消泡剤を混合粉末に配合する代わりに練和液に配合し、その他は実施形態1と同様にして混合粉末、結合材粉末および練和液を練和し、ワックスパタンを埋没し、ファーネスでワックスパタンを焼却し、しかるのち鋳造を行ない、気泡に起因する突起のない鋳造品が製造される。なお、シリコーン系消泡剤の配合量は、練和液100重量部当たり0.001〜0.05重量部に設定される。 【実施例】 【0014】 骨材粉末として、クリストバライト、石英およびジルコンの3種の耐火材粉末を用意し、結合材粉末としてマグネシアクリンカー(以下、結合材Aと記す。)および第一リン酸アンモニウム(以下、結合材Bと記す。)の粉末を用意し、これらを混合して混合粉末材料とした。また、練和液として、コロイダルシリカ溶液(コロイダルシリカの粒子径40〜60nm、濃度20%)を用意した。そして、シリコーン系消泡剤としてジメチルポリシロキサン(以下、消泡剤Aと記す。)、メチルフェニルポリシロキサン(以下、消泡剤Bと記す。)およびメチルハイドロジェンポリシロキサン(以下、消泡剤Cと記す。)を用意した。 【0015】 実施例1〜5 上記の混合粉末材料にシリコーン系消泡剤を配合して実施例1〜5の歯科用リン酸塩系埋没材を得た。その配合の詳細を下記の表1に示す。 【0016】 表1
【0017】 実施例6〜12 前記の練和液にシリコーン系消泡剤を配合して実施例6〜11の歯科用リン酸塩系埋没材を得た。また、シリコーン系消泡剤を混合粉末および練和液の両者に配合して実施例12の歯科用リン酸塩系埋没材を得た。その配合の詳細を下記に表2に示した。 【0018】 表2
【0019】 比較例1〜7 前記消泡剤の配合を省略して比較例1の歯科用リン酸塩系埋没材を得、前記消泡剤の混合粉末材料への配合率を少なくして比較例2の歯科用リン酸塩系埋没材を得、前記消泡剤の混合粉末材料への配合率を過剰にして比較例3、4の歯科用リン酸塩系埋没材を得、前記消泡剤の練和液への配合率を少なくして比較例5、6、7の歯科用リン酸塩系埋没材を得た。その配合の詳細を下記の表3に示す。 【0020】 表3
【0021】 上記の実施例1〜12および比較例1〜7において、混合粉末と練和液の混液比は24mL/粉末100gとし、混練は、特に指定のない限りは手練和15秒,真空練和60秒とし、真空練和にはジーシー社製「バキュームミキサーVM−1」を使用した。また,ファーネスの温度は800℃とし,投入は埋没20分後とした。そして、上記の実施例1〜12および比較例1〜7の各試料について鋳造試験、練和泥の脱泡性試験を行なった。各試験方法は下記の通りである。 【0022】 鋳造試験 金型を用いてMODのパタンを作製し,ジ−シー社製「ニューキャスティングライナー」No.12を1枚巻いたジーシー社製の2号リング中に埋没した。埋没時にはジーシー社製「バイブレーターR−III」を用いて練和泥に振動を与えて脱泡をした。埋没20分後に800℃に設定したファーネスにリングを投入し、30分間静置してパタンを焼却した。ワックス焼却後ファーネスよりリングを取り出し、デンケン社製真空加圧鋳造器「スーパーキャスコム」を用いて鋳造した。金属はジーシー社製「キャスティングボンドM.C.50」を使用した。鋳型冷却後鋳造体を掘出し、フッ化水素酸水溶液につけて金属表面についた埋没材を除去した。得られた鋳造体の辺縁部をマイクロスコープにより確認し、気泡による突起及び鋳型に発生したピンホールによる突起を計数し、突起なしを○と、また気泡ありを×とそれぞれ評価した。その結果を下記の表4に示す。 【0023】 練和泥の脱泡性試験:ジーシー社製「バキュームミキサーVM−1」の攪拌カップSを用い、混合粉末材料100g、専用液24mLを練和する。練和後攪拌羽根を取り外し、ジーシー社製「バイブレーターR−III」を用いて練和泥の入った攪拌カップに振動を30秒間与え、練和泥表層に残存している気泡数を目視にて計数し、残存気泡なしを○と、残存気泡ありを×と評価した。その結果を下記の表4に示す。 【0024】 表4
【0025】 上記の表4に示すように、鋳造試験では、実施例1〜12は、気泡による突起も、ピンホールによる突起も皆無であったのに対し、比較例1は消泡剤を用いないため、また比較例2は消泡剤を混合粉末に配合したが、配合量が不足したため、気泡による突起が発生した。また、比較例3、4は消泡剤を混合粉末に過剰に配合したため、ピンホールによる突起が発生した。また、比較例5、6、7は、前記消泡剤を練和液に配合したが、配合量が不足したため、気泡による突起が発生した。なお、練和泥の脱泡性試験では、実施例1〜12および比較例1〜7のいずれにおいても、残存気泡なしであった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592244136 【氏名又は名称】大成歯科工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月4日(2006.7.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081662 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 了司
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| 【公開番号】 |
特開2008−13451(P2008−13451A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−184033(P2006−184033) |
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