| 【発明の名称】 |
酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 一則
【氏名】池田 穰衛
【氏名】平山 令明
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| 【要約】 |
【課題】酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防に有用な医薬組成物を提供する。
【構成】酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤は、下記一般式(1) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化2】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を有効成分として含有する、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤。 【請求項2】 前記R3とR4とがともに水酸基である、請求項1に記載の治療または予防剤。 【請求項3】 前記R3が水素原子、前記R4が、-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはフェニルC1-C6アルキル基)またはイソインドリニル基である、請求項1に記載の治療または予防剤。 【請求項4】 前記R5とR6とが、それぞれ独立に、エチル基、フェニル基またはベンジル基である、請求項3に記載の治療または予防剤。 【請求項5】 前記R2が、C2-C4アルケニル基、C5-C7シクロアルキル基、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル基、ハロゲン化フェニルC1-C3アルキル基、テトラヒドロフラニルC1-C3アルキル基またはチエニルC1-C3アルキル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の治療または予防剤。 【請求項6】 前記R1が、水素原子である、請求項1〜5のいずれかに記載の治療または予防剤。 【請求項7】 前記式(1)で表される化合物が、下記からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の治療または予防剤; A1:N−(4−クロロ−ベンジル)−2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−アクリルアミド、 A2:3−[4−(ベンジル−エチル−アミノ)−フェニル]−2−シアノ−N−シクロヘキシル−アクリルアミド、 A3:2−シアノ−N−シクロヘキシル−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド、 A4:N−アリル−2−シアノ−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド、 A5:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−メトキシエチル)−2−プロペンアミド、 A6:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(テトラヒドロ−2−フラニルメチル)−2−プロペンアミド、および、 A7:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−チエニルメチル)−2−プロペンアミド。 【請求項8】 前記酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患が、神経変性疾患または虚血性心疾患である、請求項1〜7のいずれかに記載の治療または予防剤。 【請求項9】 前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症候群(SMA)、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害後の認知症または神経脱落を伴う認知症である、請求項8に記載の治療または予防剤。 【請求項10】 前記虚血性心疾患が、狭心症または心筋梗塞である、請求項8に記載の治療または予防剤。 【請求項11】 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防が必要な患者に、有効量の下記一般式(1) 【化3】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化4】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与する段階を含む、 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防方法。 【請求項12】 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤を製造するための、下記一般式(1) 【化5】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化6】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、酸化ストレスによる細胞変性が分子背景となっている難治性疾患の治療または予防剤に関する。 【背景技術】 【0002】 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症候群(SMA)、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害後の痴呆、その他の神経脱落を伴う痴呆症等、神経の細胞群の変性が関与する一群の疾患は、神経変性疾患と総称されている。神経変性疾患は、根本的治療法の確立していないものがほとんどであり、治療法の探索が求められている。 【0003】 神経変性疾患の治療のためのアプローチとして、神経細胞の変性を抑制する因子を投与することが考えられる。神経変性を抑制する因子を投与することにより、このような疾患の治療及び予防に対して有利な作用をもたらすことが期待される。しかしながら、そのような因子で実際に有効に治療薬として用いることができるものはほとんど見つかっていないのが現状である。 【0004】 神経細胞の変性を抑制する因子としては、例えば、ある種のドパミン受容体アゴニストがそのような作用を有する可能性があることが知られている。しかしながら、ドパミン拮抗と神経細胞の変性の抑制との因果関係は不明であり、また全てのドパミン受容体アゴニストにおいてそのような作用があるというわけではなかった。 【0005】 難治性下位運動神経変性疾患の一つである脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy: SMA)の重篤度修飾因子として、 ヒト染色体5q13.1領域より神経細胞アポトーシス抑制蛋白質(Neuronal Apoptosis Inhibitory Protein (NAIP))遺伝子が単離され(非特許文献1)、NAIPの全アミノ酸配列とNAIPをコードするcDNAが単離されている(特許文献1)。そして、このNAIP産生量を増加させる物質を探索する過程において、ある種のドパミン受容体アンタゴニストが、NAIP産生量を増加させ、さらにこれらが実際に神経の変性を抑制しうることが見出されている(特許文献2)。また、同様のドパミン受容体アンタゴニストが、酸化ストレスによって引き起こされるアポトーシスから神経細胞および非神経細胞を保護しうること、虚血により引き起こされる神経細胞死を抑制することが知られている(非特許文献2)。 【0006】 【特許文献1】特開平11−116599号公報 【特許文献2】特開2004−123562号公報 【非特許文献1】Roy M. et al. Cell (1995) 80, 167-178 【非特許文献2】Okada Y. et al. Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism (2005) 25, 794-806 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の目的は、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防に有用な医薬組成物を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療薬として用いうる有効な物質を見出すべく鋭意研究した結果、特定構造を有する化合物が、酸化ストレスに対する細胞死を顕著に抑制する活性を有し、神経変性疾患や虚血性心疾患などの酸化ストレスによる細胞変性に由来する難治性疾患の治療薬として有効であることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は下記を含む。 【0009】 〔1〕 下記一般式(1) 【化7】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化8】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を有効成分として含有する、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤。 【0010】 〔2〕 前記R3とR4とがともに水酸基である、〔1〕に記載の治療または予防剤。 【0011】 〔3〕 前記R3が水素原子、前記R4が、-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはフェニルC1-C6アルキル基)またはイソインドリニル基である、〔1〕に記載の治療または予防剤。 【0012】 〔4〕 前記R5とR6とが、それぞれ独立に、エチル基、フェニル基またはベンジル基である、〔3〕に記載の治療または予防剤。 【0013】 〔5〕 前記R2が、C2-C4アルケニル基、C5-C7シクロアルキル基、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル基、ハロゲン化フェニルC1-C3アルキル基、テトラヒドロフラニルC1-C3アルキル基またはチエニルC1-C3アルキル基である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の治療または予防剤。 【0014】 〔6〕 前記R1が、水素原子である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の治療または予防剤。 【0015】 〔7〕 前記式(1)で表される化合物が、下記からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の治療または予防剤; A1:N−(4−クロロ−ベンジル)−2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−アクリルアミド、 A2:3−[4−(ベンジル−エチル−アミノ)−フェニル]−2−シアノ−N−シクロヘキシル−アクリルアミド、 A3:2−シアノ−N−シクロヘキシル−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド、 A4:N−アリル−2−シアノ−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド、 A5:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−メトキシエチル)−2−プロペンアミド、 A6:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(テトラヒドロ−2−フラニルメチル)−2−プロペンアミド、および、 A7:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−チエニルメチル)−2−プロペンアミド。 【0016】 〔8〕 前記酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患が、神経変性疾患または虚血性心疾患である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の治療または予防剤。 【0017】 〔9〕 前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症候群(SMA)、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害後の認知症または神経脱落を伴う認知症である、〔8〕に記載の治療または予防剤。 【0018】 〔10〕 前記虚血性心疾患が、狭心症または心筋梗塞である、〔8〕に記載の治療または予防剤。 【0019】 〔11〕 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防が必要な患者に、有効量の下記一般式(1) 【化9】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化10】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与する段階を含む、 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防方法。 【0020】 〔12〕 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防剤を製造するための、下記一般式(1) 【化11】
〔式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し; R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示し; R3は、水素原子または水酸基を示し; R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示し; 波線 【化12】
は、結合様式によってE体およびZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。〕で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用。 【0021】 本明細書において、「C1-Cnアルキル基」とは、脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される一価の基であり、骨格中にヘテロ原子または不飽和炭素−炭素結合を含有せず、水素および炭素原子を含有するヒドロカルビルまたは炭化水素の部分集合を有する。アルキル基は直鎖状または分枝鎖状の構造を含む。「C1-Cnアルキル基」とは、炭素原子数が1〜nを示し、「C1-C6アルキル基」とは、炭素原子数が1〜6を示す。nは好ましくは6、さらに好ましくは3である。 【0022】 具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。 【0023】 本明細書において、「C1-Cnアルコキシ基」とは、前記定義の「C1-Cnアルキル基」が結合したオキシ基であることを意味する。 【0024】 具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペントキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基などが挙げられる。 【0025】 本明細書において、「C2-Cnアルケニル基」とは、少なくとも1個の二重結合(2個の隣接SP2炭素原子)を有する1価の基である。二重結合および置換分(存在する場合)の配置によって、二重結合の幾何学的形態は、エントゲーゲン(E)またはツザンメン(Z)、シスまたはトランス配置をとることができる。アルケニル基は、直鎖状または分枝鎖状を含む。「C2-Cnアルケニル基」とは、炭素原子数が1−nを示す。 具体的には例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等があげられる。(n=6) 【0026】 本明細書において、「C6-Cnアリール基」とは、炭素数6〜nの芳香族性の炭化水素環式基を意味する。nは好ましくは10である。具体的には例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。 【0027】 本明細書において、「C3-Cnシクロアルキル基」とは、炭素数3〜n個の環状の脂肪族炭化水素基を意味する。具体的には例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあげられる。nは好ましくは8である。 【0028】 本明細書において、「ヘテロ原子」とは、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を意味する。 【0029】 本明細書において、「5〜n員ヘテロアリール環」とは、環を構成する原子の数が5ないしnであり、環を構成する原子中に1または複数個のヘテロ原子を含有する芳香族性の環を意味する。環は単環、またはベンゼン環または単環へテロアリール環と縮合した2環式ヘテロアリール基であってもよい。nは好ましくは8である。 【0030】 具体的には例えば、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、フラザン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、プリン環、プテリジン環、チエノフラン環、イミダゾチアゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズチアジアゾール環、ベンズイミダゾール環、イミダゾピリジン環、ピロロピリジン環、ピロロピリミジン環、ピリドピリミジン環などがあげられる。 【0031】 「5〜n員ヘテロアリール基」とは、前記「5〜n員ヘテロアリール環」から任意の位置の水素原子を1または2個除いて誘導される一価または二価の基を意味する。nは好ましくは8である。 【0032】 本明細書において、「5〜n員ヘテロ環式基」とは、環を構成する原子数が好ましくは5〜n(C3−Cnヘテロ環式基)であり、環を構成する原子中に1〜3個のヘテロ原子を含み、環中に二重結合を有していてもよく、単環式である非芳香族性または1価の環を意味する。nは好ましくは8である。 【0033】 具体的には、たとえば、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピペリジン−1−イル基、4−置換ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、4−置換ピペラジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、[1,3]ジオキサラン−2−イル基、[1,3]ジオキサン−2−イル基などが挙げられる。 このような5〜n員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよく、たとえば、イソインドリニル基が挙げられる。 【0034】 本明細書において、「C1-CnアルコキシC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「C1-Cnアルコキシ基」で置換した基を意味する。 【0035】 本明細書において、「C6-CnアリールC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「C6-Cnアリール基」で置換した基を意味する。 【0036】 本明細書において、「C3-CnシクロアルキルC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「C3-Cnシクロアルキル基」で置換した基を意味する。 【0037】 本明細書において、「5〜n員ヘテロアリールC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「5〜n員ヘテロアリール基」で置換した基を意味する。 【0038】 本明細書において、「5〜n員ヘテロ環式C1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「5〜n員ヘテロ環式基」で置換した基を意味する。 【0039】 本明細書において、「フェニルC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「フェニル基」で置換した基を意味する。 【0040】 本明細書において、「テトラヒドロフラニルC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「テトラヒドロフラニル基」で置換した基を意味する。 【0041】 本明細書において、「チエニルC1-Cnアルキル基」とは、前記定義「C1-Cnアルキル基」中の任意の水素原子を、前記定義「チエニル基」で置換した基を意味する。 【0042】 本明細書において、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。 【0043】 本明細書において、「酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患」とは、酸化ストレスによる細胞変性が分子背景となっている難治性疾患であり、たとえば、神経変性疾患、虚血性心疾患、糖尿病などが挙げられる。 「分子背景」とは、「病因病態」という意味であり、病気の原因または病気がたどる経過を示す。 【0044】 本明細書において、「神経変性疾患」とは、中枢神経の中の特定の神経細胞群が徐々に死んでゆくことによって起こる神経疾患を意味する。神経変性疾患としては、たとえば、脳神経の変性疾患が挙げられる。このような脳神経変性疾患としては、たとえば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症候群(SMA)、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害後の痴呆、その他の神経脱落を伴う痴呆症等が含まれる。 【0045】 本明細書において、「虚血性心疾患」とは、心臓の筋肉への血液の供給が減ることや途絶えることによる虚血により引き起こされた疾患であり、狭心症、心筋梗塞などが挙げられる。 【0046】 「医薬的に許容される塩」とは、式(1)で表される化合物の生物学的有効性および性質を保持し、かつ適当な非毒性有機もしくは無機酸または有機もしくは無機塩基から形成される、通常の塩を意味する。 酸付加塩には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸などの無機酸由来のもの、ならびにp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸などの有機酸由来のものが含まれる。 塩基付加塩には水酸化カリウム、ナトリウム、アンモニウム、および水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化四級アンモニウム由来のものが含まれる。 【0047】 また、本発明で用いる化合物は、大気中に放置しておくことにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があり、そのような水和物も本発明の塩に包含される。 【0048】 さらに、本発明で用いる化合物は、他のある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があるが、そのような溶媒和物も本発明の塩に包含される。 【0049】 以下、本発明に係る酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療又は予防に用いうる化合物について説明する。 本発明で用いる第1の態様の化合物は、下記一般式(1)で表される。 【化13】
【0050】 式中、R1は、水素原子またはC1-C6アルキル基を示し、好ましくは水素原子である。 【0051】 R2は、C2-C6アルケニル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基、C6-C10アリールC1-C6アルキル基(C6-C10アリールは、ハロゲン原子を置換基に有していてもよい。)、5〜8員ヘテロアリールC1-C6アルキル基または5〜8員ヘテロ環式C1-C6アルキル基を示す。 【0052】 前記R2は、好ましくは、C2-C4アルケニル基、C5-C7シクロアルキル基、C1-C3アルコキシC1-C3アルキル基、ハロゲン化フェニルC1-C3アルキル基、テトラヒドロフラニルC1-C3アルキル基またはチエニルC1-C3アルキル基である。 【0053】 前記R2は、さらに好ましくは、アリル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基、4−クロロベンジル基、テトラヒドロ−2−フラニルメチル基、2−チエニル−メチル基である。 【0054】 R3は、水素原子または水酸基を示す。 【0055】 R4は、水酸基、C1-C6アルコキシ基または-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはC6-C10アリールC1-C6アルキル基を示し、またはR5とR6とは互いに結合して隣接する窒素原子とともに5〜8員ヘテロ環式基を形成していてもよく、該5〜8員ヘテロ環式基はフェニル基と縮合していてもよい。)で表される基を示す。 【0056】 前記R3とR4の好ましい態様の一つとしては、ともに水酸基である場合が挙げられる。 【0057】 また、前記R3が水素原子である場合も好ましい。この場合、好ましくは、前記R4は、-NR5R6(R5、R6はそれぞれ独立に、C1-C6アルキル基、C6-C10アリール基またはフェニルC1-C6アルキル基)であるか、またはイソインドリニル基である。 【0058】 ここで、さらに、前記R5とR6とは、好ましくは、それぞれ独立に、エチル基、フェニル基、ベンジル基である。前記R5とR6とは、さらに好ましくは、いずれかがエチル基でいずれかがベンジル基、いずれもフェニル基である。 【0059】 前記R4としては、特に好ましくは、ベンジル-エチル-アミノ基、ジフェニルアミノ基、イソインドリニル基が挙げられる。 【0060】 式中、波線 【化14】
は、二重結合の幾何学的形態が、エントゲーゲン(E体)またはツザンメン(Z体)、シスまたはトランス配置のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。 【0061】 このような化合物としては、具体的には、たとえば、下記の化合物が挙げられる。 【表1】
【0062】 A1:N−(4−クロロ−ベンジル)−2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−アクリルアミド A2:3−[4−(ベンジル−エチル−アミノ)−フェニル]−2−シアノ−N−シクロヘキシル−アクリルアミド A3:2−シアノ−N−シクロヘキシル−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド A4:N−アリル−2−シアノ−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−アクリルアミド A5:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−メトキシエチル)−2−プロペンアミド A6:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(テトラヒドロ−2−フラニルメチル)−2−プロペンアミド A7:(E)−2−シアノ−3−[4−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−N1−(2−チエニルメチル)−2−プロペンアミド 【0063】 上記化合物A1〜A7は、たとえば市販品を使用できる。また、式(1)で表される化合物は、例えば、下記のようにして合成することができる。 【0064】 【化15】
【0065】 上記式中、R1、R2、R3、R4は、式(1)のそれらと同意義である。ベンゼン、トルエン等の溶媒中、ピロリジン等の塩基の存在下に、ベンズアルデヒド誘導体Iを化合物II(CN−CH2−COOEt)とクネーベナーゲル反応(Tetrahedoron Lett.,(1982), 4927)により脱水縮合して化合物IIIを生成させる。さらにベンゼン、テトラヒドロフラン等の溶媒中、化合物IIIに化合物IV(R1R2NH)を反応させることにより、式(1)で表される化合物を得ることができる。化合物Iのベンズアルデヒド誘導体、化合物IVのアミン誘導体は、市販品または市販品を適宜官能基変換することにより容易に得ることができる。化合物IIは市販品を用いることができる。 【0066】 本発明で用いる式(1)で表される化合物、その医薬的に許容し得る塩には、上記で挙げた化合物の全ての立体異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー(シス及びトランス幾何異性体を含む。))、前記異性体のラセミ体、及びその他の混合物が含まれる。 【0067】 また本発明で用いる式(1)で表される化合物およびその医薬的に許容し得る塩には、いくつかの互変異性形態、例えばエノール及びイミン形態、ケト及びエナミン形態、並びにそれらの混合物で存在することができる。互変異性体は、溶液中で、互変異性セットの混合物として存在する。固体の形態では、通常、一方の互変異性体が優勢である。一方の互変異性体を記載することがあるが、本発明には、本発明の化合物の全ての互変異性体が含まれる。 【0068】 これらの異性体は、異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離することができる。たとえば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法、たとえば、酒石酸等の光学活性酸とのジアステレオマー塩に誘導し光学分割する方法等により、立体的に純粋な異性体にすることができる。ジアステレオマーの混合物は分別結晶化、各種クロマトグラフィー(たとえば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等)を用いることにより分離できる。 【0069】 本発明で用いる化合物がフリー体として得られる場合、前記化合物が形成していてもよい塩またはそれらの水和物もしくは溶媒和物の状態に、常法に従って変換することができる。 また、本発明で用いる化合物が、化合物の塩、水和物、または溶媒和物として得られる場合、化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。 【0070】 このような、本発明で用いる式(1)で表される化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、酸化ストレスに対する細胞死を抑制する活性を有する。このため式(1)で表される化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の予防または治療剤として用いられる。 【0071】 酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患としては、たとえば、神経変性疾患、虚血性心疾患、糖尿病などが挙げられる。 前記神経変性疾患としては、たとえば筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症候群(SMA)、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害後の痴呆、その他の神経脱落を伴う痴呆症等が含まれる。 前記虚血性心疾患としては、狭心症、心筋梗塞などが挙げられる。 【0072】 また、本発明は、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の予防または治療法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与する段階を含む酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療又は予防方法にも関する。 【0073】 さらに、本発明は、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の予防または治療剤の製造のための、式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩の使用にも関する。 【0074】 本発明の医薬組成物を、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の予防または治療剤として使用する場合、その投与方法は、経口的、直腸的、非経口的(静脈内的、筋肉内的、皮下的)、槽内的、膣内的、腹腔内的、膀胱内的、局所的(点滴、散剤、軟膏、ゲルまたはクリーム)投与および吸入(口腔内または鼻スプレー)などが挙げられる。その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、水性および非水性の経口用溶液および懸濁液、および個々の投与量に小分けするのに適応した容器に充填した非経口用溶液が挙げられる。また投与形態は、皮下移植のような調節された放出処方物を包含する種々の投与方法に適応させることもできる。 【0075】 上記の製剤は、賦形剤、滑沢剤(コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。 【0076】 例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。 【0077】 コーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。 【0078】 結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。 【0079】 崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。 【0080】 安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェエノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。 【0081】 矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。 【0082】 また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。 【0083】 界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。 【0084】 本発明の医薬組成物を、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の予防または治療剤として使用する場合、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用量は、症状、年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等により異なる。例えば、患者(温血動物、特に人間)に対して、一般に有効な量は、有効成分として、経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.1〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり1〜300mgであり、一日当たりの使用量は、普通の体重の成人患者に対しては、好ましくは10〜800mgの範囲にある。非経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.1〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり10〜800mgである。これを1日1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。 【実施例】 【0085】 以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。 【0086】 本実施例では、酸化ストレスにより誘起される細胞死に対して、候補化合物の細胞死抑制活性を細胞生存率試験により検討し、さらには、候補化合物の抗アポトーシス効果をフローサイトメトリー解析により検証した。 【0087】 〔試薬、機器類〕 細胞:HeLa cells (American Type Culture Collection, ATCC CCL2) 培地:DMEM (SIGMA) (10% FBS, 4mM Glutamine, 100μg/ml streptomycin, 100U/ml penicillin Gを含む) 【0088】 試薬類:Menadione (SIGMA)、Dimethyl sulfoxide (DMSO) (SIGMA)、AlamarBlue (Biosource)、MEBCYTO(登録商標) Apoptosis Kit (MBL) 【0089】 化合物: 以下の化合物A1〜A7; 【表2】
【0090】 化合物A1:N-(4-クロロ-ベンジル)-2-シアノ-3-(3,4-ジヒドロ-フェニル)-アクリルアミド(Enamin, T0510-9250) 化合物A2:3- [4-(ベンジル-エチル-アミノ)-フェニル] -2-シアノ-N-シクロヘキシル-アクリルアミド(Enamin, T0509-9973) 化合物A3:2-シアノ-N-シクロヘキシル-3-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)-アクリルアミド(Enamin, T0512-4194) 化合物A4:N-アリル-2-シアノ-3-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)-アクリルアミド(Enamin, T0512-1243) 化合物A5:(E)-2-シアノ-3−[4-(1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)フェニル-N1-(2-メトキシエチル)-2-プロペンアミド(ASINEX, BAS 2712546) 化合物A6:(E)-2-シアノ-3-[4-(1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)フェニル]-N1-(テトラヒドロ-2-フラニルメチル)-2-プロペンアミド(ASINEX, BAS 2287290) 化合物A7:(E)-2-シアノ-3-[4-(1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)フェニル]-N1-(2-チエニルメチル)-2-プロペンアミド(ASINEX, BAS 2103188) 【0091】 各化合物はDMSOを用いて溶解あるいは希釈後に使用した。 【0092】 測定機器:CYTOFLUOR(登録商標) Multi-Well Plate Reader Series 4000 (PerSpective Biosystems) FACSCalibur (Beckton Dickinson) 【0093】 〔細胞の培養〕 本試験において用いるHeLa細胞は10% FBS, 4mM Glutamine, 100μg/ml streptomycin, 100U/ml penicillin Gを含むDMEM培地(SIGMA)中にて培養を行った。 【0094】 [実施例1] 細胞生存試験 HeLa細胞(1.0x106 cells/75cm2フラスコ(Iwaki、3123-075))を前記培地中にて5% CO2存在下37℃で一晩培養後、最終濃度が100μMあるいは10μMとなるように前項化合物水溶液を添加し、さらに24時間培養した。尚、本実験ではDMSOのみを加えたものをコントロール実験とした。DMSO及び化合物処理したHeLa細胞を前記培地にて洗浄し、回収後に細胞数を計測し、1.5x104 cells/wellとなるように96ウェルプレート (FALCON、35-3072)に細胞懸濁液を添加した。 【0095】 4〜6時間の培養後、最終濃度が0μM、30μM、40μM、50μM、60μMとなるように酸化ストレス剤であるMenadioneを添加し、5% CO2存在下37℃、4時間の酸化ストレス処理を行った。Menadioneの代わりに1% TritonX-100を含む前記培地で処理したものをブランクとした。前記培地にて洗浄後、10% AlamarBlueを含む前記培地に置換し、5% CO2存在下37℃培養条件下で15〜20時間以内にCYTOFLUOR(登録商標) Multi-Well Plate Reader Series 4000 (PerSpective Biosystems)を用いて励起波長(530nm)及び発光波長(580nm)を測定することで、生細胞数を判定した。 【0096】 酸化ストレス剤であるMenadioneに対する前項化合物の細胞死抑制効果の結果を図1〜図2に示す。グラフの横軸はMenadione濃度、縦軸は細胞生存率を示す。各条件下での縦軸の数値は、コントロール実験におけるMenadione未処理(0μM)条件下での細胞の生存率を100%とした時の相対値として示してある。 【0097】 酸化ストレス誘導型細胞死に対する候補化合物の抑制効果の解析結果 酸化ストレスにより誘導される細胞死に対して、前項化合物A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7を用いて細胞死抑制効果に関する解析を行った。図1及び図2中、A−Gで示されるように、Menadione処理したコントロール実験の生存率(黒色の棒グラフ)との比較から、化合物A1、A2、A3、A4、A5、A6、あるいはA7で前処理した細胞は、Menadione処理後でも優位な生存率(白色の棒グラフ)を示した。この結果は、化合物A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7が酸化ストレスにより誘導される細胞死に対して抑制効果を有することを示す。 【0098】 [実施例2] フローサイトメトリー解析 HeLa細胞(1.0x106 cells/75cm2フラスコ(Iwaki、3123-075))を前記培地中にて5% CO2存在下37℃で一晩培養後、DMSO(化合物未処理条件)、化合物A6(最終濃度10μM)を培地に添加し、さらに24時間培養した。化合物未処理及び処理細胞を前記培地にて洗浄し、回収後に細胞数を計測し、3.0x105 cells/wellとなるように6ウェルプレート (FALCON、35-3046)に細胞懸濁液を添加した。 【0099】 4〜6時間の培養後、化合物未処理及び処理細胞に対してMenadione未処理あるいは処理(40μM)条件下で、さらに5% CO2存在下37℃、2時間インキュベーションした。本解析における薬剤処理条件は以下の4つである:化合物未処理/Menadione未処理(化合物(-)/Menadione(-))、化合物未処理/Menadione処理(化合物(-)/Menadione(+))、化合物処理/Menadione未処理(化合物(+)/Menadione(-))、化合物処理/Menadione処理(化合物(+)/Menadione(+))。 【0100】 フローサイトメトリーによる測定を行うための細胞染色はMEBCYTO(登録商標) Apoptosis Kit (MBL)を使用し、操作手順は添付のプロトコールに従った。また、測定にはFACSCalibur (Beckton Dickinson)を用いた。図3に化合物A6の抗アポトーシス効果の結果を示す。 【0101】 候補化合物の抗アポトーシス効果の解析結果 前項化合物の細胞死抑制効果に関して、早期のアポトーシスを抑えているかどうかの検討をフローサイトメトリーにより解析した。本試験では、実施例1において酸化ストレスにより誘導される細胞死に対して高い細胞死抑制効果を示した化合物A6の抗アポトーシス効果を検証した。 【0102】 A6(-)/Menadione(-)条件では、図3左上で示されるようにほとんどが生細胞(Annexin V陰性/PI陰性:LL)であった。一方、A6(-)/Menadione(+)条件下では、初期アポトーシス細胞(Annexin V陽性/PI陰性:LR)及び後期アポトーシス/ネクローシス細胞(Annexin V陽性/PI陽性:UR)の割合の増加が認められた(図3右上)。しかしながら、化合物A6で前処理した場合(A6(+)/Menadione(+))、A6(-)/Menadione(+)との比較において、アポトーシス細胞の割合は減少し(LR:20%から16%、UR:15%から10%)、逆に生細胞の割合は増加した(LL:61%から73%)(図3右下)。化合物A6処理(A6(+)/Menadione(-))による細胞への影響はほとんど認められなかった(図3左下)。これらの結果は、化合物A6が酸化ストレスにより誘導されるアポトーシスに対して細胞の保護作用を有することを示す。 【0103】 酸化ストレスは神経変性疾患や虚血性心疾患と深く関係していることがこれまでに示唆されており(Mariani E. et al. Journal of Chromatography B (2005), 827, 65-75)、酸化ストレスにより誘導される細胞死に対して抑制効果を有する化合物は、神経変性疾患、虚血性心疾患の治療あるいは予防に有効である。 【産業上の利用可能性】 【0104】 本発明によれば、酸化ストレスによる細胞変性を分子背景とする難治性疾患の治療または予防に有用な医薬組成物が提供される。 【図面の簡単な説明】 【0105】 【図1】細胞生存試験による、化合物A1〜A4の細胞死抑制活性の結果を示す。図1中、Aは化合物A1、Bは化合物A2、Cは化合物A3、Dは化合物A4の結果を示す。 【図2】細胞生存試験による、化合物A5〜A7の細胞死抑制活性の結果を示す。図2中、Eは化合物A5、Fは化合物A6、Gは化合物A7の結果を示す。 【図3】フローサイトメトリー解析による、化合物A6の抗アポトーシス効果の解析結果を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】506227839 【氏名又は名称】株式会社ニュージェン・ファーマ 【識別番号】000125369 【氏名又は名称】学校法人東海大学
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| 【出願日】 |
平成18年7月3日(2006.7.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102978 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 初志
【識別番号】100128048 【弁理士】 【氏名又は名称】新見 浩一
【識別番号】100121072 【弁理士】 【氏名又は名称】川本 和弥
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| 【公開番号】 |
特開2008−13446(P2008−13446A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−183511(P2006−183511) |
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