| 【発明の名称】 |
複室容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】北川 彰一
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| 【要約】 |
【課題】本発明は複室型容器に関し、薬剤を確実に混合させた上排出を行わせるようにすることを目的とする。
【構成】排出口12の内部にゴム製筒状挿入体30は排出口12の内周に圧入されかつ溶着されている。挿入体30は適当な肉厚のエラストマーゴムなどによって筒状形成され、その弾性により、中央部が薬剤バッグ10の内部空洞側に大きく湾曲突出し、実質的に閉鎖した第1状態とゴム栓20の側に突出し、中央部が開口した第2状態との間で変位可能となる。未開通時は第1形状を呈し、穿刺しても実質的に液流が惹起されないため薬剤の排出は阻止される。開通時の液圧により第1形状から第2形状に変形され、挿入体30に開口部が形成されるため、この開口部を介して薬液排出が可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可撓性フィルムにて形成され、内部空洞をそれぞれの薬液の収納のための複数の隔室に分離するべく薬剤バッグの対向面を加圧剥離可能に溶着して成る溶着部を備えた薬剤バッグと、薬液の排出口とを備えた複室容器であって、前記排出口は薬剤バッグの内部空洞に対する開閉のための可撓性連通制御部材を備え、前記可撓性連通制御部材は通常時においては前記排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して実質的に閉鎖せしめる第1の形状をなし、加圧による溶着部の剥離開通時に惹起された内部液圧により可撓性連通制御部材は前記第1の形状から変形し、排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して連通せしめる第2の形状をなす複室容器。 【請求項2】 請求項1に記載の発明において、前記可撓性連通制御部材は弾性素材にて形成された筒状挿入体として形成された複室容器。 【請求項3】 請求項2に記載の発明において、筒状挿入体の外周に排出口と同一系統のプラスチック系素材にて形成された外周筒状部材が設けられて筒状挿入体とで組立体を構成し、この組立体が排出口に装着された複室容器。 【請求項4】 可撓性フィルムにて形成され、内部空洞をそれぞれの薬液の収納のための複数の隔室に分離するべく薬剤バッグの対向面を加圧剥離可能に溶着して成る溶着部を備えた薬剤バッグと、薬液の排出のため輸液セットの穿刺針により穿刺される栓体を備えた排出口とを備え、前記排出口は薬剤バッグの内部空洞に対する開閉のための可撓性連通制御部材を備えた複室容器を準備し、前記可撓性連通制御部材を未開通時においては前記排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して実質的に閉鎖せしめる第1の形状を呈せしめることにより輸液セットの穿刺針による栓体の穿刺に係わらず、輸液を阻止するようにし、輸液開始時に溶着部を加圧により剥離開通させると共に、加圧による溶着部の剥離開通時に惹起された内部液圧により可撓性連通制御部材は第1の形状から変形して、排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して連通せしめる第2の形状となして、栓体をして輸液セットの穿刺針により穿刺せしめることにより輸液作業を開始するようにした輸液方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、内部空洞がシール部によって分離されることにより、それぞれが別個に薬液を封止収納する複数の隔室を形成した薬剤バッグより成り、夫々の隔室からの薬液が混合された後に排出口より排出させるようにした複室容器及び輸液方法に関する。 【背景技術】 【0002】 輸液用複室容器においては、軟弱フィルムを素材とする薬剤バッグの対向面を相対的に低温にて溶着して成る弱シール部によってそれぞれ異なった薬液を収容する複数の隔室に分離したものがある。薬剤バッグの外周には、プラスチック成型品としての排出口が設けられ、排出口は筒状に形成され、その内部空洞は一端側で一方の隔室に開口しているが、他端にはゴム栓が設けられている。患者への薬液の投与に先立って薬剤バッグを外側から加圧することによって弱シール部が剥離開通せしめられ、薬剤バッグの内部空洞は一室となるため2種類の薬液は混合され、輸液セットの穿刺針によりゴム栓を穿刺し、薬剤バッグよりの薬液の投与が可能となる。従って、この種の医療用混合型複室容器においては薬液の投与に先立って弱シール部の剥離開通により両液を混合せしめる作業は必須であり、他方、弱シール部の開通を行わないままで排出口におけるゴム栓の穿刺を行うと、排出口側の隔室における薬液のみが投与されてしまうという誤操作の可能性があった。この問題点に対処する従来技術として、薬剤バッグの内部空洞を二つの隔室に分離する第1の弱シール部に加えて、排出口の直前に第2の弱シール部を設け、第1の弱シール部の開通に要する圧力に対して第2の第2の弱シール部を同等若しくはそれ以上とすることにより、第1の弱シール部次いで第2の弱シール部の順序で開通されるようにし、これにより薬液の混合後に排出が行われるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。 【特許文献1】特開平9−327498号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 特許文献1の技術は二つの隔室を分離する第1の弱シール部に加えて排出口の直前に(第1の弱シール部から離間した部位に)第2の弱シール部を設け、これらの弱シール部を順次開通させることで未混合のままの薬液の投与を防止しようとしているが、溶着温度の大小により弱シール部を2個所設けているため、製造工程が複雑化し、コスト増となっていた。また、シール部の溶着強度を第1の弱シール部<第2の弱シール部としていても、シール箇所が薬剤バッグにおける相互に離間した部位にあるため、第1の弱シール部及び第2の弱シール部に対する薬剤バッグ開通時の圧力波の伝達に遅速があり、第1の弱シール部と第2の弱シール部とで必ずしも時系列的に同一値の圧力がかかるとはいえないため、薬剤バッグの加圧の仕方(圧力波の伝達の仕方)によっては第2のシール部に最初に大きな力が加わり、開通してしまい、薬液が排出口に流出するため、薬剤バッグ内の圧力が即座に消失して第1のシール部は未開通のままということがあり得る。この場合、穿刺により投与作業にそのまま移行してしまう可能性があり、未混合で1液のみ投与されてしまう結果となっていた。 【0004】 この発明は以上の問題点に鑑みてなされてものであり、未開通の状態では投与を行い得ない多液混合型の薬剤バッグの新規な構造を提供し、製造コストが低廉でありかつユーザ側の作業性が良好であるにもかかわらず、誤操作の可能性をより確実に排除することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 この発明になる複室容器は、可撓性フィルムにて形成され、内部空洞をそれぞれの薬液の収納のための複数の隔室に分離するべく薬剤バッグの対向面を加圧剥離可能に溶着して成る溶着部を備えた薬剤バッグと、薬液の排出のため輸液セットにより穿刺される栓体を備えた排出口とを備えた複室容器であって、前記排出口は薬剤バッグの内部空洞側に可撓性連通制御部材を備え、前記可撓性連通制御部材は通常時においては排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して実質的に閉鎖せしめる第1の形状をなし、加圧による溶着部の剥離開通時に惹起された内部液圧により可撓性連通制御部材は第1の形状から変形して、排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して連通せしめる第2の形状をなす。 【0006】 可撓性連通制御部材はゴム製の筒状挿入体等として構成することができ、通常時においては排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して実質的に閉鎖せしめる第1の形状(薬剤バッグの内部空洞に向けて偏倚した形状)をなしているため、誤って輸液セットの穿刺針を栓体に穿刺したとしても実質的な液流が得られず、片側の隔室の薬剤のみで輸液作業をしてしまうとういことがない。ここに、実質的に閉鎖とは可撓性連通制御部材の幾分の開口はあっても許容する、という意味であり、幾分の隙間の存在により穿刺により少量の薬液投与は最初は行い得るが、滴下速度に追いつかないため、それ以上の投与は行い得ないため、実際上の問題がなく。また、可撓性連通制御部材を介して少量の薬液が排出口側に漏洩するため製造時の滅菌保証作業が容易となる利点もある。 【0007】 輸液バッグの加圧により溶着部を隔離開通させる際に薬剤バッグ内部に瞬間的に高まる液圧が生ずるが、この高液圧により可撓性連通制御部材は、その弾性により、排出口を薬剤バッグの内部空洞に対して連通せしめる第2の形状(薬剤バッグの内部空洞から離間側、即ち、栓体側に偏倚した形状)をなすため、輸液セットの穿刺針を栓体に穿刺することにより可撓性連通制御部材も穿刺針により突き破られ、混合薬液を輸液セットに導き、輸液を行うことができる。 【発明の効果】 【0008】 薬剤排出口に設けられる可撓性連通制御部材を未開通時は実質的に閉鎖させることで、薬剤投与を実質的に阻止する形状とすることで、未開通状態における薬剤の誤投与を防止し、かつ開通時の液圧による可撓性連通制御部材を開口した第2形状に変形させることで、薬剤バッグの開通動作(薬液の混合)を薬剤の投与に連動させることができ、ミスのない効率的な輸液作業を実現することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 図1から図3において、複室容器は薬液の収納のための平坦状の薬剤バッグ10と、筒状排出口12とから構成される。薬剤バッグ10は厚さ200ミクロンといったポリエチレンフィルムなどの多層構造の合成樹脂軟弱フィルム(本発明の可撓性フィルム)を素材とする。薬剤バッグ10を構成する合成樹脂軟弱フィルムは一対の切片11A, 11Bが筒状排出口12を挟んで重ねられ、全外周部がポリエチレンの場合は130℃といった高温で溶着され、筒状排出口12の部位も含めた全周に沿った強シール部14を形成する。筒状排出口12以外の部位での溶着はポリエチレンフィルム同士であり、筒状排出口12の部位での溶着は筒状排出口12とポリエチレンフィルムとであり、同時には溶着できないので、別工程で溶着(強シール)が実施され、筒状排出口12での強シール部を残余の部位でのそれと区別するため14-1にて示す。強シール部14及び14-1での溶着は薬剤バッグ10の開通ため加圧したときの薬剤バッグ内に生ずる程度の圧力では剥離するようなことはないような温度(ポリエチレンの場合は前述のように130℃程度)で行われ、これにより外部からの物理的な力の影響にかかわらず、薬剤バッグ10内に薬液を漏洩することなく保持することができる。筒状排出口12はその筒形状を維持することができる肉厚(剛性)のプラスチック成形品として構成される。筒状排出口12は図1の下端で薬剤バッグ10から突出しており、薬剤バッグ10の下端から突出する筒状排出口12の下端に、輸液時に輸液セットの穿刺針22により穿刺されるゴム栓20(栓体)が装着されている。 【0010】 薬剤バッグ10を構成する2枚の合成樹脂フィルム切片11A, 11Bは薬剤バッグ10の長手方向(図1の上下方向)の中間部位で全幅にて加圧剥離可能に溶着され、弱シール部(溶着部)24を構成する。弱シール部24によって薬剤バッグ10の内部空洞は図1の上下における第1及び第2の隔室26, 28に分離され、第1及び第2の隔室26, 28に夫々第1及び第2の薬液を分離状態で収納することができる。弱シール部24における、薬剤バッグ10を構成する図1の左右の合成樹脂フィルム切片11A, 11Bの溶着は加圧剥離可能である。加圧剥離可能とは、薬剤バッグ10の開通のため薬剤バッグ10を手のひらなどで適当な力で加圧したとき、薬剤バッグ10内に生ずる液体圧力で弱シール部24において合成樹脂フィルム切片11A, 11Bが剥離されることを意味し、この発明の実施形態におけるポリエチレン樹脂の場合は弱シール部24での溶着は120℃(強シール部14を得るための前記した130℃といった溶着温度より相当低い溶着温度)といった温度にて行われる。弱シール部24の開通による合成樹脂フィルム切片11A, 11Bの剥離状態が図4に示されている。 【0011】 排出口12の内部にゴム製筒状挿入体30(この発明の可撓性連通制御部材)が配置されている。ゴム製筒状挿入体30は筒状をなし、適当な肉厚のゴム素材、例えば、エラストマーゴムなどによって形成され、外周縁30-1が排出口12の内周に溶着などにより接合されている。図1に示すように、この接合縁30-1から挿入体30の延長部分は内側に折り返され、この折り返し部分30-2は薬剤バッグ10の空洞部に向けて先細の形状をなし、先端部は切れ目(合せ目)30-3となっているが、 この合せ目30-3の部位で挿入体30を構成するゴム素材面は密着しているため、薬液は挿入体30を実質的に流通し得ないようになっている。しかしながら、この密着状態は薬液の少量の流通は許容する程度でも良く、ゴムの素材や肉厚を適切に選定することで、最適な密閉度を得ることが可能である。挿入体30は、その弾性により、図1に示すように中央部が薬剤バッグ10の内部空洞側(ゴム栓20から離間側)に大きく湾曲突出した第1の形状(状態)と図4に示すようにゴム栓20の側(薬剤バッグ10の内部空洞から離間側)に変形した第2の形状(状態)との2個の安定形状(状態)との間で変位可能となる。このような2位置(形状)の安定を得るため、ゴムの材質や肉厚や成形型内での加硫条件等の諸因子の適切な設定が必要なことはいうまでもない。 【0012】 弱シール部24により隔室26, 28が分離された薬剤バッグの未開通時においてはゴム製挿入体30は図1に示すようにその中央部が隔室26に向けて突出した第1状態にある。この場合、輸液セットの穿刺針22によりゴム栓20を2点鎖線22´のように刺入しても、挿入体30は実質的に閉鎖状態にあり、挿入体30を介しての液流は阻止され、又は、合せ目30-3の部位を介して少量の液流があっても滴下速度に達し得ない程の少量であるため、実質的に薬剤の投与は行い得ず、隔室26内の薬液のみが輸液されてしまうという誤作業(未開通状態のままでの輸液作業)を防止することができる。 【0013】 弱シール部24の開通は、薬剤バッグ10を机などの上に平坦に載置し、薬剤バッグ10を手のひらで加圧することにより行われる。即ち、加圧により加わる薬液の圧力により弱シール部24において薬剤バッグ10の両層が分離(弱シール部24が分離した状態を図4に示す)し、隔室26, 28は一体となり、それまで隔室26, 28に分離収容されていた薬液は混合される。そして、弱シール部24の開通の瞬間に生じた薬液の圧力は図1の矢印fのように挿入体30の全面に衝撃的に作用し、図1において薬剤バッグ10の内部空洞に向けていた延長部分30-2は、図4に示すように、排出口12の内面に沿接するように反転位置され、先端の合せ目30-3は大きく分離され、開口32を形成する。この第2状態(形状)においては挿入体30は開口部32を呈しているため、穿刺針を22´に示すようにゴム栓20に穿刺した場合に、薬剤バッグ10内の混合薬液を開口部32を介して輸液セットに取り出すことができる。 【0014】 前述のようにゴム製挿入体30の閉塞状態(図1)は必ずしも100%の密封である必要はない。合せ目30-3を介して幾分の漏洩を許容することにより、排出口12に薬液がある状態で製品の滅菌を行うことができ、滅菌保証を得やすくなる。また、薬液は排出口12の側に幾分漏洩するため、弱シール部24が未開通の状態での輸液セットの穿刺針を想像線22´のように穿刺することにより幾分の薬液の投与はされ得るが、滴下速度に追い付けないため、それ以上の投与は継続できないため、未開通で穿刺しても誤作業にはつながらない。 【0015】 ゴム製挿入体30の装着の作業効率を高めるため、図5に示すように、筒状挿入体30の外側に筒状のプラスチックキャップ40を設けた組立体として構成するようにしても良い。キャップ40は排出口12と同一素材(ポリエチレン)にて形成される。このようにして構成された組立体は排出口12に簡便に挿入(圧入)され、プラスチックキャップ40と排出口12とを溶着する構造とすることができる。 【図面の簡単な説明】 【0016】 【図1】図1はこの発明の複室型容器の部分的断面図であり、未開通状態を示す。 【図2】図2はこの発明の複室型容器の部分的平面図を示す。 【図3】図3は図1のIII−III線に沿った矢視図(ゴム製筒状挿入体30のみ示す)である。 【図4】図4は図1の複室型容器の開通状態を示す。 【図5】図5はゴム製筒状挿入体の装着方法の別実施例を示す部分図である。 【符号の説明】 【0017】 10…薬剤バッグ 12…排出口 14…強シール部 20…ゴム栓 22…穿刺針 24…弱シール部 26, 28…隔室 30…ゴム製筒状挿入体
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000066 【氏名又は名称】味の素株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月5日(2006.9.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088731 【弁理士】 【氏名又は名称】三井 孝夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−61669(P2008−61669A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−239716(P2006−239716) |
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