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【発明の名称】 クリップ
【発明者】 【氏名】小林 勝

【要約】 【課題】容器の袋部を区画し、かつ、簡単に着脱することのできるクリップを提供する。

【構成】断面形状が短径と長径とを有するバー2と、バー2を収容するための所定長さの収容溝3aが形成された収容部材3と、収容溝3aの延長位置に設けられ、バー2を収容溝3aに収容するためバー2をθ方向に回動させる第一の回転軸10を有する回転部材4とを備える。回転部材4は、バー2を、バー2の長さ方向に沿った軸を中心にしてφ方向に回転させる第二の回転軸20を有し、収容溝3aの断面形状は、バー2が収容溝3aに収容された状態で、バー2が第二の回転軸20を中心にして回転できる広さに形成され、収容部材3の収容溝3a入口の開口幅は、バー2の短径よりも大きく、バー2の長径よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が短径と長径とを有する棒状部材と、
前記棒状部材を収容するための所定長さの収容溝が形成された収容部材と、
前記収容溝の延長位置に設けられ、前記棒状部材を前記収容溝に収容するため前記棒状部材を回動させる第一の回転軸を有する回転部材とを備え、
前記回転部材は、前記棒状部材を、前記棒状部材の長さ方向に沿った軸を中心にして回転させる第二の回転軸を有し、
前記収容溝の断面形状は、前記棒状部材が前記収容溝に収容された状態で、前記棒状部材が前記第二の回転軸を中心にして回転できる広さに形成され、
前記収容部材の収容溝入口の開口幅は、前記棒状部材の短径よりも長く、前記棒状部材の長径よりも短い長さに形成されているクリップ。
【請求項2】
前記棒状部材の、前記回転部材と反対側にある先端部には第三の回転軸が設けられ、この第三の回転軸に、前記棒状部材の回転を止めるストッパが回転可能に装着されている請求項1記載のクリップ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、透析用バッグ、輸液バッグなど柔軟なフィルムで形成された液体収容室を持つ容器等に用いられ、当該液体収容室を仕切ることのできるクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工透析では、透析処置が終了すると、血液透析装置と血液回路内に残留した血液を清潔かつ安全に患者の体内に戻す返血操作が必要である。
この返血操作には、生理食塩水などの補液をポンプで返血する方法や補液の落差圧を利用して返血する方法などがあるが、いずれの方法によっても、動脈側の圧力が高い場合は、補液容器を手で握って補液容器内に残った液体を補液容器から押し出す必要がある。
【0003】
また、ブドウ糖、アミノ酸などを含有する輸液では、安定性のため、アミノ酸を含有する液剤とブドウ糖を含有する液剤とを2室に区画された容器の各室にそれぞれ収容し、使用時に押圧して該区画を破り、両液を混合している。この混合は、各室の液剤を手で絞り出して行っている。
そこで、下記特許文献1〜7のように、バッグの袋部を液密に区画するための治具が提案されているが、いずれもバッグを挟んだ状態で2つの細長い弾性部材を、その弾力を利用して嵌合させる構造であり、嵌合させるのに力が要り、嵌合を外すにはさらに大きな力が必要となる。
【特許文献1】実開平4-90341号公報
【特許文献2】実開平4-75538号公報
【特許文献3】実開平1-135940号公報
【特許文献4】特開平9-301381号公報
【特許文献5】特開2001-55275号公報
【特許文献6】特開2004-83031号公報
【特許文献7】特開2000-84043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、袋部を液密が確保できるならば、部材の弾性力を利用しないクリップを実現すれば、簡単に着脱できるので好ましい。
本発明は、容器の袋部の液密が確保でき、かつ、簡単に着脱することのできるクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のクリップは、断面形状が短径と長径とを有する棒状部材と、前記棒状部材を収容するための所定長さの収容溝が形成された収容部材と、前記収容溝の延長位置に設けられ、前記棒状部材を前記収容溝に収容するため前記棒状部材を回動させる第一の回転軸を有する回転部材とを備え、前記回転部材は、前記棒状部材を、前記棒状部材の長さ方向に沿った軸を中心にして回転させる第二の回転軸を有し、前記収容溝の断面形状は、前記棒状部材が前記収容溝に収容された状態で、前記棒状部材が前記第二の回転軸を中心にして回転できる広さに形成され、前記収容部材の収容溝入口の開口幅は、前記棒状部材の短径よりも大きく、前記棒状部材の長径よりも小さい長さに形成されているものである。
【0006】
この構造のクリップでは、袋部を収容部材と棒状部材との間に挟んで、棒状部材を第一の回転軸の回りに回動させ収容溝内部に収容する。前記収容部材の収容溝入口の開口幅は、前記棒状部材の短径よりも大きいので、棒状部材を収容溝内部に収容することができる。この状態では棒状部材と収容溝内部との間に遊び空間があるので、次に棒状部材を前記第二の回転軸を中心に回転させて、棒状部材と収容溝内部との間の遊び空間を減少させる。このことにより、袋部を、収容部材と棒状部材との間にしっかりと挟持し、袋部の液密を確保することができる。前記収容部材の収容溝入口の開口幅は、前記棒状部材の長径よりも小さいので、棒状部材が収容溝内部から飛び出すこともない。
【0007】
前記棒状部材の、前記回転部材と反対側にある先端部には第三の回転軸が設けられ、この第三の回転軸に、前記棒状部材の回転を止めるストッパが回転可能に装着されている構造であれば、このストッパをつまむことにより、棒状部材を前記第二の回転軸を中心に回転させることが容易にできる。また、袋部を保持している時はストッパを回転させて、ストッパが、容器使用の邪魔にならないようにすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、袋部を液密状態に保つことができ、かつ、簡単に着脱することができるクリップを提供することができる。例えば、本発明のクリップを、透析処置終了後の補液容器に使用することにより、返血操作における液の押し出しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、クリップ1の全体外形を示す斜視図である。
クリップ1は、断面形状が楕円の細長いバー2と、前記バー2を収容するための収容溝が形成された収容部材3と、前記バー2を収容溝に挿入するためにバー2をθ方向に回動させる回転部材4とを備えている。
【0010】
バー2は細長い真っ直ぐな中実棒又は中空棒であり、その材質は金属、合成樹脂など任意である。バー2の断面形状を図2に示す。バー2の断面は、楕円形状であり、その長径をD1、短径をD0で示している。なお、バー2の断面形状は楕円に限定するものではなく、長径と短径が違っていれば、どんな形状でもよい。例えバー2の断面は長方形などの多角形でもよい。
【0011】
バー2の基端面には、回転部材4の挿通孔4bに通したピン2aの先端を固定するための固定穴(図示せず)が形成されている。バー2の先端面には、後述するストッパ6が回転可能に装着されている。
収容部材3の断面図を図3に示す。収容部材3は細長い真っ直ぐな角柱状の部材であり、その長さをLで示している。その材質は金属、合成樹脂など任意である。収容部材3は、その長さ方向に沿って収容溝3aを有し、収容溝3aの断面形状は、大略U字状である。収容溝3aは、バー2が収容される収容溝内部31と、バー2を挿入するための収容溝入口32とで構成され、収容溝内部31の断面は、ほぼ円形となっている。収容溝入口32の前記第一の回転軸方向(y方向)に測定した開口幅S0は、収容溝内部31の径S1よりも狭くなっている。これらの長さの関係は後に詳述する。
【0012】
収容部材3の一端には、回転部材4を軸支するための延長収容部材5が設けられている。その材質は金属、合成樹脂などを問わない。延長収容部材5は、図4に示すように断面「コ」字状の形状で、収容部材3の一端において、収容部材3の外形に沿って嵌合されることによって、収容部材3と接合され一体になる。収容部材3と延長収容部材5との接合方法は接着、融着、溶接、ネジ止めなど任意の方法が可能である。延長収容部材5の両側面には、図4に示すように、ピン5aを挿通させるためピン5aよりも大きな内径を有する孔5bが形成されている。孔5bの形成位置は、収容溝内部31の中心線(図1にAで示す)と同じ高さになるように、すなわち中心線Aとz座標値が同じになるようにする。
【0013】
なお、収容部材3の一端を成型加工して延長収容部材5の機能を具備させることも可能であり、この場合、延長収容部材5は、収容部材3と一体となる。
回転部材4は直方体状であり、延長収容部材5の両側面間に挟持される。その挟持される一対の側面41には、ピン5aの先端を止めるための固定穴4aが形成されている。
延長収容部材5の内面に、回転部材4を嵌めて、ピン5aにより回転部材4を軸支することにより、回転部材4を、延長収容部材5に対して、矢印θ方向に回動可能に支持することができる。この回転軸を「第一の回転軸10」という。第一の回転軸10は、図3に示すように、収容溝内部31の中心線Aと交差している。
【0014】
さらに、回転部材4の、延長収容部材5の両側面間に挟持されない他の一対の側面42には、前記ピン2aを挿通させるための、ピン2aよりも大きな径の挿通孔4bが形成されている。この挿通孔4bに、反対面からピン2aを挿入し、バー2の端面に形成された固定穴に挿入し固定することによって、バー2を回転部材4に対して、矢印φ方向に回転自在に装着することができる。このバー2の回転軸を「第二の回転軸20」という。第二の回転軸20は、バー2の中心線を通る。
【0015】
図5は、バー2の先端部に装着されたストッパ6を示す図である。このストッパ6は、バー2の先端に形成された縦溝を横断するボルトの回りに回転自在に設けられている。前記ボルトの方向を、「第三の回転軸30」という。すなわちストッパ6は、第三の回転軸30を中心にして回転可能となっている。第三の回転軸30の方向は、バー2断面の中心を通り、その長径方向に一致する。ストッパ6は、バー2に当接可能な操作部61とその反対側の開放部62とを含む。
【0016】
図6は、バー2を回転部材4に装着し、回転部材4を延長収容部材5に装着した状態を示す上から見た断面図である。バー2の固定穴に、回転部材4を挿通したピン2aを嵌めて固定することによってバー2を第二の回転軸20の回りに矢印φ方向に回転可能に装着することができる。回転部材4を、ピン5aを用いて延長収容部材5に装着することによって、バー2を第一の回転軸10の回りに矢印θ方向に回動させることができる。
【0017】
ここで、図2,図3、図7を参照しながら、バー2と収容部材5の各部の大きさの関係を説明する。
収容部材3の収容溝内部31の直径S1は、バー2が収容溝内部31に収容された状態で、バー2がφ方向に自由に回転できるように、バー2の長径D1よりも広く形成されている。収容部材3の収容溝入口32の前記第一の回転軸方向(y方向)に沿って測った開口幅S0は、バー2を収容溝3aに挿入可能なように、バー2の短径D0よりも広く形成されている。そして、一度挿入されたバー2が抜けないように、開口幅S0は、前記バー2の長径D1よりも短く形成されている。すなわち、
S1>D1>S0>D0
の関係が満たされていることになる。
【0018】
収容溝内部31の直径S1とバー2の短径D0との差の半分[(S1−D0)/2]をT1とし、収容溝内部31の直径S1とバー2の長径D1との差の半分[(S1−D1)/2]をT2とする(図7参照)。T1は、このクリップ1で挟まれる容器の袋部の厚みUよりも大きく設定し、T2は袋部の厚みUとほぼ同等に設定することが好ましい。T1を厚みUよりも大きく設定することにより、袋部を収容部材3とバー2との間に挟んだ状態でバー2を収容溝内部31に収容することが容易にできる。T2を厚みUとほぼ同じに設定することにより、バー2を収容溝内部31に収容した状態で袋部を収容部材3とバー2との間にしっかりと挟むことができ、クリップ1が袋部から外れないようにすることができる。
【0019】
数値例を挙げると、S0=9mm,S1=11mm,D0=7.2mm,D1=10mm,T1=1.9mm,T2=0.5mmである。
次に、このクリップ1の使用方法を、図8を用いて説明する。
図8は、使用方法を説明する平面図である。袋部としてフィルムFを想定する。
図8(a)はバー2をθ方向に回動させて、フィルムFをバー2と収容部材3との間に挟んだ状態を示す。バー2は第二の回転軸20の回りにθ方向に回動可能なので、このままではバー2が逆方向に回動してクリップ1が外れるおそれがある。
【0020】
そこでストッパ6を手で持って矢印φのように90°回す。すると、バー2は、図7の破線で示すように、収容溝内部31に収容され、収容溝入口32から抜け出なくなる。この平面状態を図8(b)に示す。フィルムFはバー2と収容溝3aの内壁の間に入り込み、しっかりと押さえられる。
次に、ストッパ6を矢印ψ方向に倒すと、ストッパ6は収容溝3aの中に収まり、邪魔にならなくなる。この状態を図8(c)に示す。
【0021】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。例えば、クリップ1に取手を付けることも可能である。具体的には、図9に示すように、クリップ1の収容部材3の底面3bに、支軸8aを装着した支軸ホルダー8を取り付ける。支軸8aは当該底面3bと平行な角度に設定する。取手7に貫通孔を形成して、支軸8aをこの貫通孔に通す。取手7の一端面は前記貫通孔から等距離かつ滑らかな面になるように形成する。好ましくは、取手7の一端面の一部が平面7aで構成されるようにする。取手7の材質は弾力性を有する樹脂とする。クリップ1を使用しないときは、図9(a)に示すように取手7の側面を収容部材3の底面3bに接触させて寝かせ、取手7が邪魔にならないようにする。クリップ1を使用するときは、取手7を、支軸8aを中心にして90°回転させ、前記取手7の一端面の平面7aを、収容部材3の底面3bに接触させる。これで取手7を底面3bから立てることができる。このとき取手7の弾力により平面7aは底面3bに密着するので、少しの力を加えても取手7が倒れないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかるクリップの斜視図である。
【図2】バーの断面図である。
【図3】収容部材の断面図である。
【図4】延長収容部材と回転部材との関係を示す分解斜視図である。
【図5】バーの先端部に形成された第三の回転軸を中心にして回転可能なストッパを示す図である。
【図6】バーを回転部材に装着し、回転部材を延長収容部材に装着した状態を示す、上から見た断面図である。
【図7】収容部材とバーとの寸法関係を示す断面図である。
【図8】クリップの使用方法を説明する平面図である。
【図9】取手7の装着例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 クリップ
2 バー(棒状部材)
3 収容部材
3a 収容溝
4 回転部材
5 延長収容部材
6 ストッパ
7 取手
8 支軸ホルダー
10 第一の回転軸
20 第二の回転軸
30 第三の回転軸
【出願人】 【識別番号】504015746
【氏名又は名称】株式会社 ジェイ・オー・ファーマ
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作

【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫


【公開番号】 特開2008−54842(P2008−54842A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234066(P2006−234066)