トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 洗眼用容器
【発明者】 【氏名】河井 さほ

【要約】 【課題】洗眼液の漏れを確実に防止できる洗眼用容器を提供する。

【構成】洗眼用容器は、カップ状に形成され、開口周縁が目の周囲に適合する形状に形成された容器本体1と、容器本体1の開口周縁に形成されたフランジ部2と、を備え、容器本体1とフランジ部とは同一の材料で一体的に形成され、当該材料の曲げ弾性率が30〜900MPaであり、フランジ部2の幅は、3.0mm以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状に形成され、開口周縁が目の周囲に適合する形状に形成された容器本体と、
前記容器本体の開口周縁に形成されたフランジ部と、を備え、
前記容器本体とフランジ部とは同一の材料で一体的に形成され、当該材料の曲げ弾性率が30〜900MPaであり、
前記フランジ部の幅は、3.0mm以上である、洗眼用容器。
【請求項2】
前記フランジ部のうち、目尻側に当接する部分の幅は、他の部分の幅よりも大きい、請求項1に記載の洗眼用容器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、洗眼液を収容するカップ状の容器であって、開口周縁を目の周囲に当接し、容器内を液密にした状態で洗眼を行うための洗眼用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、眼病予防、花粉症対策等のため、カップ状の洗眼用容器に洗眼液を注いで、洗眼を行う洗眼方法が広く行われている。この方法では、容器に所定量の洗眼液を注いだ後、その開口周縁を目の周囲に当接し容器内を液密にした状態で、顔を上に向ける。これにより、容器内の洗眼液に目が浸されるので、この状態で瞬きをすることにより洗眼を行う。そして、このような洗眼方法に用いられる種々の洗眼用容器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】国際公開第99/59520号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のような容器では、容器の開口周縁を目の周囲に当接したときに、液密状態を形成することが難しく、顔を上に向けたときに、容器の開口周縁から洗眼液が漏れ易いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、洗眼液の漏れを確実に防止できる洗眼用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、カップ状に形成され、開口周縁が目の周囲に適合する形状に形成された容器本体と、前記容器本体の開口周縁に形成されたフランジ部と、を備え、前記容器本体とフランジ部とは同一の材料で一体的に形成され、当該材料の曲げ弾性率が30〜900MPaであり、前記フランジ部の幅は、3.0mm以上とすることにより達成される。
【0006】
この構成によれば、容器本体の開口周縁に、フランジ部が形成されているため、目の周囲と容器との当接部分の面積を大きくすることができ、これによって洗眼液の漏れを防止することができる。また、液漏れを防止するために容器を目の周囲に強く押しつけても、当接面積が大きいため、目の周囲に痛みが生じるのを防止することができる。
【0007】
特に、本発明においては、容器本体とフランジ部とが一体的に形成されているので、製造コストを低減することができる。また、容器を形成する材料の曲げ弾性率が30MPaより大きいため、容器を目の周囲に当接する際に、強く押し付けても変形しがたく、これによって漏れを確実に防止することができる。特に、容器本体を指で強く把持すると、これに伴って容器本体の開口周縁も変形するため、液漏れが生じやすくなるが、上記のように曲げ弾性率を設定することで、容器本体の過度な変形を防止することができる。さらに、洗眼液を収容するという用途からすると、容器の過度な変形が防止されるため、容器を指で把持して持ち上げたときの安定感が増すという利点もある。一方、容器を形成する材料の曲げ弾性率が900MPaより小さいため、容器を目の周囲に当接する際に、容器本体の開口周縁が適度に変形させることができ、これによってフランジ部が目の周囲にフィットしやすくなる。また、強い力で容器を押しつけなくても水漏れしない程度にフィットするとともに、目の周囲に容器の跡がつくのを防止することができる。なお、本発明でいう曲げ弾性率とは、JIS K 7171に基づいて測定した値をいう。
【0008】
また、容器の曲げ弾性率とともに、フランジ部の幅を3.0mm以上にしているため、液漏れを確実に防止することができるとともに、容器を目の周囲に強く押し付けても、痛みが生じることを確実に防止することができる。なお、容器本体の開口周縁に概ね当接する仮想曲面を想定すると、フランジ部は、この仮想曲面に沿って延びる面を有していると考えることができる。すなわち、フランジ部とは、容器を目の周囲に力をかけずに当接したときに、目の周囲の顔面に沿って延び、顔面と面で当接可能な面状の部位と定義することができる。そして、その幅とは、容器本体の内壁面における開口周縁部分からフランジ部の端部までの直線距離をいう(例えば、図4の符号a)。
【0009】
さらに、上記のように容器本体とフランジ部とを一体的に形成することで次のような利点もある。すなわち、両者を別体で形成すると、これらの接続部分に洗眼液が溜まるおそれがあり、衛生面で問題があるが、一体的に形成することでこのような問題も解決することができる。さらに、一体的に形成されているため、別部材を組み立てたものに比べて剛性が高いという利点もある。
【0010】
上記洗眼用容器においては、フランジ部のうち、目尻側に当接する部分の幅が、他の部分の幅よりも大きいことが好ましい。これは、液漏れが目尻側から最も生じやすいためであり、こうすることで、目尻からの液漏れを確実に防止することができる。例えば、目尻側に当接する部分の幅は、3.0〜30.0mmであることが好ましく、4.0〜20.0mmであることがさらに好ましい。一方、目尻側以外の部分の幅は、3.0〜10.0mmであることが好ましく、4.0〜8.0mmであることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る洗眼用容器によれば、洗眼液の漏れを防止し、しかも容器の当接時に目の周囲に痛みが生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る洗眼用容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る洗眼用容器の斜視図であり、図2は図1の正面図、図3は図1の平面図、図4は図3のA−A線断面図である。
【0013】
本実施形態に係る洗眼用容器は、洗眼液を収容するカップ状の容器であって、開口周縁を目の周囲に当接し、容器内を液密にした状態で洗眼を行うためのものである。図1に示すように、この容器は、平面視楕円状のカップ形の容器本体1と、その開口周縁に形成されたフランジ部2とを備えており、これらが一体的に形成されている。図2に示すように、容器本体1の開口周縁は、目の周囲にフィットするように、径方向に対向する目尻側及び目頭側に対応する部分が他の部分よりも高くなるように形成されている。そして、この開口周縁からフランジ部2が容器本体1の径方向外向きに延びている。
【0014】
図2〜図4に示すように、フランジ部2の幅aは、目尻側に当接する部分21が、それ以外の部分22よりも大きくなっている。これは、洗眼を行う際に、目尻の近傍から洗眼液が漏れることが多いからである。そのため、目尻側に当接する部分の幅は、3.0〜30.0mmであることが好ましく、4.0〜20.0mmであることがさらに好ましい。一方、目尻以外の部分22の幅を大きくすると、鼻などが邪魔になって目の周囲に当接しにくくなるため、例えば、3.0〜10.0mmであることが好ましく、4.0〜8.0mmであることがさらに好ましい。なお、フランジ部の幅aとは、図4に示すように、容器本体1の内壁面における開口周縁からフランジ部2の端部までの直線距離をいい、目の周囲と当接可能な部分の幅をいう。
【0015】
ここで、フランジ部2の幅aの下限値は、後述する容器の強度と大きく関連する。つまり、容器の強度が小さすぎると、容器本体1を指で把持する際に変形しやすくなり、液漏れが生じやすくなる。そのため、フランジ部2の幅を上記のようにある程度の大きさにしておく必要がある。一方、容器の強度が大きすぎると、変形しにくく目の周囲にフィットしにくくなるため、液漏れが生じやすくなる。したがって、フランジ部2の幅の下限値を上記のように設定しておく必要がある。また、フランジ部2の幅を狭くしすぎると、目の周囲に当接したときに、痛みを生じる恐れもあるので、上記のようにすることで、それを防止することもできる。
【0016】
本実施形態に係る洗眼用容器を構成する材料としては、種々のものを用いることができるが、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、低置換度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、合成ゴム、天然ゴム、メタクリル樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリ三フッ化エチレン、熱可塑性エラストマー、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、尿素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、シアノクリレート又はアクリル樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂から構成されることが好ましい。
【0017】
そして、これらの樹脂によって形成される容器の材料の曲げ弾性率を30〜900MPaにすることが好ましく、40〜700MPaにすることがさらに好ましい。これは上述したように、容器を形成する材料の曲げ弾性率が30MPaより小さいと、変形しやすく液漏れが発生しやすいからであり、900MPaより大きいと、逆に変形しにくくフィット性が低下するためである。特に、容器を目に当接させる際に、容器本体1を指で強く把持すると、容器本体1の開口周縁も変形するため、液漏れが生じやすくなるが、上記のように曲げ弾性率の下限値を設定することで、容器本体1の過度な変形を防止することができる。
【0018】
以上のように、本実施形態によれば、容器本体1の開口周縁に、フランジ部2が形成されているため、目の周囲と容器との当接部分の面積を大きくすることができ、これによって洗眼液の漏れを防止することができる。また、液漏れを防止するために容器を目の周囲に強く押しつけても、当接面積が大きいため、目の周囲に痛みが生じるのを防止することができる。
【0019】
特に、フランジ部2の幅a及び容器を構成する材料の曲げ弾性率を上記のように設定しているため、液漏れを確実に防止できるとともに、フィット性も向上することができる。また、目の周囲に当接する際の痛みも防止することができる。
【0020】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、目尻側と当接する部分21のフランジ部の幅を他の部分22よりも大きくしているが、必ずしもこのようにする必要はなく、フランジ部2の幅は適宜変更することができる。例えば、フランジ部2の幅を全周に亘って同じにすることもできる。また、上記実施形態とは反対に目尻側のフランジ部21の幅を、それ以外の部分、例えば目頭側よりも小さくすることもできる。さらに、目の上側、下側、目頭側、目尻側でそれぞれフランジ部の幅が異なるようにしてもよく、或いは、これらのうちの2つ以上の部位で幅が同じになるようにすることもでき、種々の変更が可能である。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0022】
ここでは、本発明に係る実施例1〜4のサンプルと、これと比較する比較例1〜5のサンプルを準備した。ここでは、図5及び図6に示すような洗眼用容器を準備し、それぞれフランジ部の幅(目尻側とそれ以外)、及び容器を構成する材料を変化させ、それ以外は同じ条件のサンプルを準備した。なお、図5は実施例及び比較例に係るサンプルの平面図、図6は図5のB−B線断面図である。また、以下の表に示す曲げ弾性率は、容器を構成する材料自体の曲げ弾性率である。各サンプルのスペックは、以下の表1の通りである。
【0023】
【表1】


そして、各サンプルを用いて被験者6人に洗眼させ、持ち易さ、フィット感、痛みの有無、液漏れの有無を以下の基準で評価してもらった。
(a)持ち易さ
1.良い、2.どちらかといえば良い、3.どちらでもない、4.どちらかといえば悪い、5.悪い
(b)フィット感
1.良い、2.どちらかといえば良い、3.どちらでもない、4.どちらかといえば悪い、5.悪い
(c)痛みの有無
1.痛くない、2.あまり痛くない、3.どちらでもない、4.やや痛い、5.痛い
(d)液漏れの有無
1.なかった、2.あまりなかった、3.どちらでもない、4.ややあった、5.あった
(e)総合評価
上記基準に基づいた6人の被験者による評価において、5段階評価の平均点が2以下を3点、2より大きく3以下を2点、3より大きく4以下を1点、4より大きく5以下を0点とした。そして、4項目の評点合計が11点以上を◎、9〜10点が○、6〜8点が△、5点以下が×とした。結果は、以下の表2の通りである。
【0024】
【表2】


以上の結果より、曲げ弾性率が小さいと変形しやすくなるため、比較例3のように持ち易さの評価が低くなる傾向がある。一方、曲げ弾性率が大きすぎると、フィット感が悪くなる傾向があり、その結果、比較例1では液漏れが確認されている。また、フランジ部の幅が狭いと、曲げ弾性率が適度であっても、比較例2のように液漏れが発生するようである。したがって、フランジ部の幅、及び曲げ弾性率を実施例1〜4のように所定範囲内にすることで、液漏れを防止し、適度なフィット感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る洗眼用容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】実施例及び比較例に係る洗眼用容器の平面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体
2 フランジ部
21 目尻に当接する部分
22 目尻以外の部分

【出願人】 【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100094101
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 泰光

【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治


【公開番号】 特開2008−61787(P2008−61787A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242198(P2006−242198)