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【発明の名称】 歩行補助装置
【発明者】 【氏名】木村 義雄

【氏名】長嶋 清

【要約】 【課題】ガイドレールの剛性を確保する。

【構成】天井又は壁面上部42に固定されたガイドレール1と、ガイドレール1に案内されて移動するスライダ2と、スライダ2につり下げられた移動手すり3とを備え、スライダ2はガイドレール1の外周面を挟み込んで転動するローラ4を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井又は壁面上部に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに案内されて移動するスライダと、前記スライダにつり下げられた移動手すりとを備え、前記スライダは前記ガイドレールの外周面を挟み込んで転動するローラを有することを特徴とする歩行補助装置。
【請求項2】
前記ガイドレールは、固定手すり設備の途切れている場所に設けられ、途切れた固定手すり設備の端と端を繋ぐ位置の上方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の歩行補助装置。
【請求項3】
スライダの移動抵抗力を増減する移動抵抗調節手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の歩行補助装置。
【請求項4】
前記スライダの前記ガイドレールの周方向への傾斜を防止する傾斜防止手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の歩行補助装置。
【請求項5】
前記移動手すりの高さを調節する高さ調節手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の歩行補助装置。
【請求項6】
前記スライダに接続されて前記ガイドレールに沿って伸び且つ前記ガイドレールの端付近から垂下する線状部材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の歩行補助装置。
【請求項7】
前記線状部材の垂下部分に設けられた錘を備えることを特徴とする請求項6記載の歩行補助装置。
【請求項8】
前記スライダを前記ガイドレールの特定の端に復帰させる復帰手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の歩行補助装置。
【請求項9】
前記復帰手段は、前記ガイドレールを傾斜させることで重力を利用して前記スライダを前記ガイドレールの低い方の端に復帰させるものであることを特徴とする請求項8記載の歩行補助装置。
【請求項10】
前記復帰手段は、前記スライダの移動に応じて弾性変形される弾性部材を備えることを特徴とする請求項8記載の歩行補助装置。
【請求項11】
前記移動手すりがつり下げられた前記スライダを1本の前記ガイドレールの一側半部と他側半部とにそれぞれ1つずつ設けると共に、前記2つのスライダを移動方向が逆になるように連結する連結機構を備え、前記連結機構は、一方のスライダに移動によって引っ張られて他方のスライダを前記移動方向とは逆方向に引っ張るものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の歩行補助装置。
【請求項12】
前記ガイドレールと前記スライダと前記移動手すりと前記復帰手段を1つずつ有する組を2組備え、一方の組のガイドレールを一端が低い状態で配置し、他方の組のガイドレールを他端が低い状態で配置し、且つ上から見た状態で各組のガイドレールを径方向にずらして配置したことを特徴とする請求項9記載の歩行補助装置。
【請求項13】
前記移動手すりがつり下げられた前記スライダを1本の前記ガイドレールに2つ設けると共に、前記復帰手段を2つ設け、一方の復帰手段によって前記ガイドレールの一端側に設けられているスライダを前記ガイドレールの一端に戻し、他方の復帰手段によって前記ガイドレールの他端側に設けられているスライダを前記ガイドレールの他端に戻すことを特徴とする請求項10記載の歩行補助装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者や高齢者等の歩行を補助する歩行補助装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、歩行者が歩行時に掴まる移動式の手すりを備える歩行補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体障害者や高齢者等が歩行時に掴まる手すりを移動式にした歩行補助装置として、例えば特開2006−26254号公報に開示された移動補助装置がある。この移動補助装置は、例えば図16〜図20に示すように、壁102(図16)や天井101(図19)に固定した走行レール103に沿って手すり104を移動させるものである。走行レール103の底面103aにはスリット103bが設けられており、このスリット103bを通して連接棒105が走行レール103内を移動するスライダ106の底面に接続されている。スライダ106の底面及び側面には多数のボール107が取り付けられており、走行レール103内のスライダ106の移動を可能にしている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−26254号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の移動補助装置は走行レール103内をスライダ106が移動する構造であり、スライダ106に連接棒105を接続するためには走行レール103にスリット103を設ける必要があり、走行レール103が剛性に劣っていた。このため、例えば手すり104が傾いて走行レール103内でスライダ106が傾くと、スリット103bが設けられている走行レール103の底面103aが変形する虞があった。
【0005】
また、これから利用しようとする者のいる場所から離れた場所に手すりが移動していた場合、この者自身が手すりを自分のいる場所に手繰り寄せる手段が無いため、複数の者による移動補助装置の利用が困難であった。
【0006】
本発明は、レールの剛性確保が容易な歩行補助装置を提供することを目的とする。また、本発明は、複数の者による利用に適した歩行補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の歩行補助装置は、天井又は壁面上部に固定されたガイドレールと、ガイドレールに案内されて移動するスライダと、スライダにつり下げられた移動手すりとを備え、スライダはガイドレールの外周面を挟み込んで転動するローラを有するものである。
【0008】
ガイドレールは歩行者の移動方向に沿って設けられている。歩行者が移動手すりに掴まりながら移動すると、ガイドレールの外周面を挟み込むローラが転動し、スライダがガイドレールに案内されて移動する。このため、歩行者はガイドレールが設けられている範囲で移動手すりに掴まりながら当該移動手すりと一緒に移動することができる。スライダのローラはガイドレールの外周面を挟み込む構造であり、ガイドレールに剛性を減少させるスリットを設ける必要がないので、ガイドレールの剛性を大きくすることができる。このため、たとえスライダに傾げる力が作用してもガイドレールを変形させることはない。
【0009】
また、請求項2記載の歩行補助装置は、ガイドレールが固定手すり設備の途切れている場所に設けられ、途切れた固定手すり設備の端と端を繋ぐ位置の上方に設けられているものである。例えば建物内通路の壁等には固定手すり設備が設けられているが、出入口が設けられている場所や通路が交差する場所等の壁が途切れる場所では固定手すり設備も途切れてしまう。固定手すり設備を伝わってその途切れた端まで移動してきた歩行者は、歩行補助装置の移動手すりに掴まりながら移動することで、向かい側の固定手すり設備の端まで移動することができる。
【0010】
また、請求項3記載の歩行補助装置は、スライダの移動抵抗力を増減する移動抵抗調節手段を有するものである。したがって、移動抵抗調節手段の調節によってスライダの移動に必要な力を増減させることができる。移動抵抗調節手段としては、例えばガイドレールの外周面を挟み込むローラの間隔を増減する手段、ばねの弾性力によりローラをガイドレールに押し付け、そのばねの弾性力を増減する手段、また、スライダに錘を付けたりその錘の重さを増減させる手段、ガイドレールを傾斜させる手段等が考えられる。
【0011】
また、請求項4記載の歩行補助装置は、スライダのガイドレールの周方向への傾斜を防止する傾斜防止手段を備えるものである。ガイドレールはステー等の取付具によって天井や壁等に固定されている。ガイドレールが長尺の場合、その途中を取付具によって固定する必要がある。スライダがガイドレールの外周面に沿って移動する際、スライダがガイドレールの周方向に傾斜すると途中の取付具に干渉する虞がある。傾斜防止手段によってスライダのガイドレールの周方向への傾斜を防止することで、ガイドレールの途中の取付具とスライダとの干渉を防止することができる。傾斜防止手段としては、例えばガイドレールとして横断面形状が楕円形のパイプや角パイプを使用すること等が考えられる。
【0012】
また、請求項5記載の歩行補助装置は、移動手すりの高さを調節する高さ調節手段を備えるものである。したがって、歩行者の体格や身体状況に応じて移動手すりの高さを調節することができる。
【0013】
また、請求項6記載の歩行補助装置は、スライダに接続されてガイドレールに沿って伸び且つガイドレールの端付近から垂下する線状部材を備えるものである。歩行補助装置を同じ移動方向に続けて利用する場合、2回目の利用ではスライダはガイドレールの向こう側の端に移動している。この場合、歩行者が線状部材を引っ張ることでスライダを向こう側の端から手繰り寄せることができる。
【0014】
また、請求項7記載の歩行補助装置は、線状部材の垂下部分に設けられた錘を備えるものである。したがって、歩行者がスライダを手繰り寄せるのに必要な力を軽減することができる。また、線状部材は錘を折り返しとして、U字形状に垂下しているので、スライダを手繰り寄せる場合はスライダの移動量に対して半分の移動量で、スライダを手繰り寄せることができる。
【0015】
また、請求項8記載の歩行補助装置は、スライダをガイドレールの特定の端に復帰させる復帰手段を備えるものである。したがって、歩行者が移動手すりに掴まりながらガイドレールの特定の端から反対側の端に向かう方向に移動した後、移動手すりから手を離すと、復帰手段がスライダを元の位置(特定の端)に自動的に戻す。
【0016】
また、請求項9記載の歩行補助装置は、復帰手段は、ガイドレールを傾斜させることで重力を利用してスライダをガイドレールの低い方の端に復帰させるものである。したがって、歩行者が移動手すりに掴まりながらガイドレールの低い方の端から高い方の端に向かって移動した後、移動手すりから手を離すと、スライダが重力によって自然に元の位置(低い方の端)に戻る。ここで、ガイドレールの傾斜角度を大きくすると、歩行者が利用する際のスライダの移動抵抗力が大きくなる。また、ガイドレールの傾斜角度を小さくすると、スライダの復帰が不安定になる。このため、ガイドレールの傾斜角度は利用する歩行者の身体状態とスライダの復帰の確実性とを考慮して適宜決定される。
【0017】
また、請求項10記載の歩行補助装置は、復帰手段は、スライダの移動に応じて弾性変形される弾性部材を備えるものである。したがって、歩行者が移動手すりに掴まりながらガイドレールの特定の端から反対側の端に向かう方向に移動すると、弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられる。その後、歩行者が移動手すりから手を離すと、弾性部材に蓄えられていた弾性力が解放され、スライダを元の位置(特定の端)に戻す。
【0018】
また、請求項11記載の歩行補助装置は、移動手すりがつり下げられたスライダを1本のガイドレールの一側半部と他側半部とにそれぞれ1つずつ設けると共に、2つのスライダを移動方向が逆になるように連結する連結機構を備え、連結機構は、一方のスライダに移動によって引っ張られて他方のスライダを前記移動方向とは逆方向に引っ張るものである。
【0019】
したがって、一方のスライダをガイドレールの一端から中央に向けて移動させると、連結機構が他方のスライダをガイドレールの他端から中央に向けて移動させる。また、一方のスライダをガイドレールの中央から一端に向けて戻すと、連結機構が他方のスライダをガイドレールの中央から他端に向けて移動させる。この動きは、一方のスライダを移動させる代わりに、他方のスライダを移動させる場合も同様である。即ち、連結機構の働きによって、2つのスライダはガイドレールの中央に向けて互いに近づいたり、ガイドレールの両端に向けて互いに離れるように移動する。
【0020】
このため、歩行者が一方のスライダにつり下げられている移動手すり(以下、一方の移動手すりという)に掴まりながらガイドレールの一端から中央に向けて移動すると、他方のスライダにつり下げられている移動手すり(以下、他方の移動手すりという)がガイドレールの他端から中央に向けて移動する。そして、歩行者はガイドレールの中央で掴まる移動手すりを代える。その後、歩行者は他方の移動手すりに掴まりながらガイドレールの他端に向けて移動する。同時に、一方の移動手すりはガイドレールの中央から一端に向けて戻される。
【0021】
また、請求項12記載の歩行補助装置は、ガイドレールとスライダと移動手すりと復帰手段を1つずつ有する組を2組備え、一方の組のガイドレールを一端が低い状態で配置し、他方の組のガイドレールを他端が低い状態で配置し、且つ上から見た状態で各組のガイドレールを径方向にずらして配置したものである。
【0022】
したがって、待機状態では、一方の組の移動手すりはガイドレールの一端に、他方の組の移動手すりはガイドレールの他端に移動している。いま、歩行者がガイドレールの一端から他端に向けて移動する場合には、一方の組の移動手すりに掴まりながら移動する。歩行者がガイドレールの他端に移動した後、移動手すりを離すと、重力によってスライダがガイドレールの一端に向けて移動し、移動手すりを元の位置に自然に戻すことができる。同様に、歩行者がガイドレールの他端から一端に向けて移動する場合には、他方の組の移動手すりに掴まりながら移動する。歩行者がガイドレールの一端に移動した後、移動手すりを離すと、重力によってスライダがガイドレールの他端に向けて移動し、移動手すりを元の位置に自然に戻すことができる。各組のガイドレールは上から見た状態で径方向にずれて配置されているので、各組の移動手すりの動きが互いに干渉することはない。
【0023】
また、請求項13記載の歩行補助装置は、移動手すりがつり下げられたスライダを1本のガイドレールに2つ設けると共に、復帰手段を2つ設け、一方の復帰手段によってガイドレールの一端側に設けられているスライダをガイドレールの一端に戻し、他方の復帰手段によってガイドレールの他端側に設けられているスライダをガイドレールの他端に戻す
ものである。
【0024】
したがって、待機状態では、ガイドレールの一端側に配置されるスライダ(以下、一端側スライダという)はガイドレールの一端に、他端側に配置されるスライダ(以下、他端側スライダという)はガイドレールの他端に移動している。いま、歩行者がガイドレールの一端から他端に向けて移動する場合には、一端側スライダにつり下げられた移動手すりに掴まりながら移動する。この移動によって一端側スライダに接続された復帰手段の弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられる。歩行者がガイドレールの他端に移動した後、移動手すりを離すと、弾性部材に蓄えられていた弾性力が解放され、一端側スライダを元の位置(ガイドレールの一端)に戻す。同様に、歩行者がガイドレールの他端から一端に向けて移動する場合には、他端側スライダにつり下げられた移動手すりに掴まりながら移動する。この移動によって他端側スライダに接続された復帰手段の弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられる。歩行者がガイドレールの一端に移動した後、移動手すりを離すと、弾性部材に蓄えられていた弾性力が解放され、他端側スライダを元の位置(ガイドレールの他端)に戻す。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の歩行補助装置では、天井又は壁面上部に固定されたガイドレールと、ガイドレールに案内されて移動するスライダと、スライダにつり下げられた移動手すりとを備え、スライダはガイドレールの外周面を挟み込んで転動するローラを有するので、歩行者はガイドレールが設けられている範囲で移動手すりに掴まりながら移動することができる。スライダのローラはガイドレールの外周面を挟み込んでいるので、ガイドレールの剛性を大きくすることができる。このため、たとえスライダに傾げる力が作用してもガイドレールを変形させることはない。
【0026】
また、請求項2記載の歩行補助装置では、ガイドレールが固定手すり設備の途切れている場所に設けられ、途切れた固定手すり設備の端と端を繋ぐ位置の上方に設けられているので、移動手すりに掴まりながら移動することで、出入口が設けられている場所や通路が交差する場所等の固定手すり設備が途切れている場所を歩行者が渡ることができる。
【0027】
また、請求項3記載の歩行補助装置では、スライダの移動抵抗力を増減する移動抵抗調節手段を有しているので、移動抵抗調節手段の調節によってスライダの移動に必要な力を増減させることができる。このため、歩行者の障害や身体の衰弱の程度に応じてスライダの移動抵抗力を調節することができ、歩行補助装置の使い勝手を向上させることができる。また、例えばスライダの移動抵抗力を増加させることで歩行者に適度の負荷をかけることができるので、運動機能の回復トレーニングを行うことができる。
【0028】
また、請求項4記載の歩行補助装置では、スライダのガイドレールの周方向への傾斜を防止する傾斜防止手段を備えているので、たとえガイドレールの途中に取付具を設けても、当該取付具とスライダとの干渉を防止することができる。このため、ガイドレールを長くすることができ、歩行者の移動手すりに掴まりながらの長距離移動が可能になる。
【0029】
また、請求項5記載の歩行補助装置では、移動手すりの高さを調節する高さ調節手段を備えているので、歩行者の体格や身体状況に応じて移動手すりの高さを調節することができる。このため、歩行補助装置の使い勝手を向上させることができる。
【0030】
また、請求項6記載の歩行補助装置では、スライダに接続されてガイドレールに沿って伸び且つガイドレールの端付近から垂下する線状部材を備えているので、スライダが向こう側に移動している場合であっても、歩行者が線状部材を引っ張ることでスライダを向こう側からこちら側に手繰り寄せることができる。このため、続けて同じ方向への移動に利用することができる。
【0031】
また、請求項7記載の歩行補助装置では、線状部材の垂下部分に設けられた錘を備えているので、歩行者がスライダを手繰り寄せるのに必要な力を軽減することができる。また、線状部材は錘を折り返しとして、ループを形成しているので、スライダを手繰り寄せる場合はスライダの移動量に対して半分の移動量で、スライダを手繰り寄せることができる。
【0032】
また、請求項8記載の歩行補助装置では、スライダをガイドレールの特定の端に復帰させる復帰手段を備えているので、歩行補助装置の利用後に移動手すりを自動的に戻すことができる。
【0033】
また、請求項9記載の歩行補助装置では、復帰手段は、ガイドレールを傾斜させることで重力を利用して前記スライダをガイドレールの低い方の端に復帰させるものであるので、歩行補助装置の利用後に移動手すりを同じ側に自動的に戻すことができる。また、復帰手段として特別の機構が不要であり、製造コストの増加を抑えることができる。
【0034】
また、請求項10記載の歩行補助装置では、復帰手段は、スライダの移動に応じて弾性変形される弾性部材を備えているので、歩行補助装置の利用後に移動手すりを同じ側に自動的に戻すことができる。また、復帰手段として弾性部材を利用しているので、モータ等の駆動源が不要である。このため、電源が無い場所に歩行補助装置を設置することができ、あるいは電池や電池交換を不要にすることができる。
【0035】
また、請求項11記載の歩行補助装置では、移動手すりがつり下げられたスライダを1本のガイドレールの一側半部と他側半部とにそれぞれ1つずつ設けると共に、2つのスライダを移動方向が逆になるように連結する連結機構を備え、連結機構は、一方のスライダの移動によって引っ張られて他方のスライダを移動方向とは逆方向に引っ張るので、歩行者の移動によって2つの移動手すりがガイドレールの両端に必ず戻される。このため、待機状態では、ガイドレールの両端に必ず移動手すりが配置されており、次に歩行補助装置を利用する人はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。
【0036】
また、請求項12記載の歩行補助装置では、ガイドレールとスライダと移動手すりと復帰手段を1つずつ有する組を2組備え、一方の組のガイドレールを一端が低い状態で配置し、他方の組のガイドレールを他端が低い状態で配置し、且つ上から見た状態で各組のガイドレールを径方向にずらして配置したので、歩行補助装置の利用後に移動手すりを元の位置に自動的に戻すことができる。このため、次に歩行補助装置を利用する人はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。
【0037】
また、請求項13記載の歩行補助装置は、移動手すりがつり下げられたスライダを1本のガイドレールに2つ設けると共に、復帰手段を2つ設け、一方の復帰手段によってガイドレールの一端側に設けられているスライダをガイドレールの一端に戻し、他方の復帰手段によってガイドレールの他端側に設けられているスライダをガイドレールの他端に戻すので、歩行補助装置の利用後に移動手すりを元の位置に自動的に戻すことができる。このため、次に歩行補助装置を利用する人はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1〜図4に、本発明の歩行補助装置の第1の実施形態を示す。歩行補助装置は、天井又は壁面上部に固定されたガイドレール1と、ガイドレール1に案内されて移動するスライダ2と、スライダ2につり下げられた移動手すり3とを備え、スライダ2はガイドレール1の外周面を挟み込んで転動するローラ4を有している。本実施形態では、ガイドレール1は壁面上部42に固定されている。
【0040】
ガイドレール1は、例えば横断面形状が楕円形状を成す楕円パイプであり、例えば複数のパイプを繋げて使用している。即ち、複数のパイプを繋げることで、ガイドレール1の必要な長さを確保することができる。ガイドレール1は例えば3つの取付具5によって壁面上部42、即ち壁面の歩行者の通行の邪魔にならない高さの部分に固定されている。各取付具5は、例えば壁面上部42の梁や桁や間柱等の強度部材46(図6等参照)がある位置に固定されている。ガイドレール1には取付具5を取り付ける為のねじ孔が所定間隔で複数設けられており、取付具5の取付位置を変えることができる。このため、梁や桁や間柱等の強度部材46の位置に応じて取付具5の取付位置を適宜選択することができる。ガイドレール1は、歩行者の移動方向に沿って設けられている。
【0041】
スライダ2は、スライダ本体6と、上側ローラ4が取り付けられた上側ローラボックス7と、下側ローラ4が取り付けられた下側ローラボックス8と、壁面上部42に向けて伸びるアーム9を備えている。上側ローラボックス7には例えば2つの上側ローラ4が取り付けられている。また、下側ローラボックス8には、例えば1つの下側ローラ4が取り付けられている。スライダ本体6の側板6a,6aにはガイドレール1を通す切り欠き10が設けられており、切り欠き10の上方に上側ローラボックス7が、切り欠き10の下方に下側ローラボックス8がそれぞれ取り付けられている。各ローラボックス7,8はねじ11によってスライダ本体6に取り付けられている。
【0042】
ここで、上側ローラボックス7の側板に設けられたねじ11を貫通させる孔7aはねじ11の太さに対応した丸孔になっているのに対し、下側ローラボックス8の側板に設けられたねじ11を貫通させる孔8aは上下方向に細長い長孔になっている。したがって、上側ローラボックス7の取付位置を調節することはできないが、下側ローラボックス8の取付位置は調節可能になっている。即ち、下側ローラボックス8を取り付けるねじ11を緩め、このねじ11が長孔8aの上下の縁に当たるまでの範囲で下側ローラボックス8の位置を上下方向にずらすことができる。下側ローラボックス8を上にずらすことで上下のローラ4の間隔が狭くなるので、上下のローラ4のガイドレール1を挟み込む力が大きくなり、スライダ2の移動抵抗力、即ちスライダ2を移動させるのに必要な力が増加する。一方、下側ローラボックス8を下にずらすことで上下のローラ4の間隔が広くなるので、上下のローラ4のガイドレール1を挟み込む力が小さくなり、スライダ2の移動抵抗力が減少する。即ち、本実施形態では、ねじ11と長孔8aとによってスライダ2の移動抵抗力を増減する移動抵抗調節手段が構成される。
【0043】
各ローラ4の中央は凹んでおり、ガイドレール1をしっかりと挟み込むことができる。また、ガイドレール1として楕円パイプを使用しているので、丸パイプと比較して、スライダ2がガイドレール1の周方向に傾斜しずらい。即ち、本実施形態では、ガイドレール1の横断面形状を楕円形状にすることで、スライダ2がガイドレール1の周方向への傾斜を起こしにくくする傾斜防止手段が構成される。なお、本実施形態では、スライダ2に対してガイドレール1の周方向の大きな荷重が働いた場合にガイドレール1に当たるストッパ43をスライダ本体6の内側に取り付けている。このため、たとえスライダ2に対してガイドレール1の周方向の大きな荷重が働いたとしてもその傾斜が制限され、ガイドレール1の途中の取付具5とスライダ2との干渉がより一層確実に防止される。
【0044】
スライダ本体6の下部にはベルト取付用のシャフト12が固定されている。
【0045】
移動手すり3は例えば棒材であり、その両端には金具13が取り付けられている。金具13にはベルト14の下端が接続されている。また、ベルト14の上端はスライダ本体6のシャフト12に接続されている。ベルト14の途中には長さ調節用の金具15が設けられており、折り返したベルト14を摩擦係合させる金具15に対してベルト14を緩めてベルト14の折り返し部分の長さを増減することで、ベルト14の長さを調節することができる。ベルト14の長さを調節することで、移動手すり3の高さを調節することができる。即ち、本実施形態では、長さ調節可能なベルト14が移動手すり3の高さ調節手段である。
【0046】
この歩行補助装置では変形可能なベルト14を使用して移動手すり3をスライダ2につり下げているので、移動手すり3を斜めに引っ張ってもベルト14とスライダ2との接続部分やベルト14と移動手すり3の接続部分等に余分な負担がかからず、耐久性に優れている。また、歩行者の姿勢に応じてベルト14が変形するので、歩行者が自分にあった姿勢を取ることが容易である。さらに、歩行者が移動手すり3に体を預けやすくなり、つんのめり防止を図ることができる。また、壁と移動手すり3の間を歩行者が移動することができる。即ち、例えば歩行者が壁を左に見ながら移動する場合に右手で移動手すり3を掴むことができる。
【0047】
この歩行補助装置には、スライダ2に接続されてガイドレール1に沿って伸び且つガイドレール1の端付近から垂下する線状部材16が設けられている。線状部材16は例えばワイヤである。ただしワイヤに限るものではなく、紐やロープ等でも良い。線状部材16はガイドレール1の両端のプーリ17の間に架け渡されており、その両端はガイドレール1の両端に取り付けられた金具18に接続されている。線状部材16はガイドレール1よりも長いので、プーリ17から外側に垂下してループを形成している。この垂下部分(ループ部分)16aには錘19が設けられている。具体的には、錘19のリング部19aに線状部材16が通されており、錘19は自重によってループの最も低い部分にぶら下がっている。錘19が線状部材16を下に引っ張ることで線状部材16が2つのプーリ17間にぴんと張られ、線状部材16がプーリ17から外れるのを防止することができる。
【0048】
線状部材16の中央はスライダ2のアーム9に接続されている。このため、スライダ2の移動に伴って線状部材16も移動し、左右の垂下部分16aのループの大きさが変化する。即ち、図1において、スライダ2が左側に移動すると、左側の垂下部分16aのループが大きくなって錘19が下がり、右側の垂下部分16aのループは小さくなって錘19が上がる。逆に、スライダ2が右側に移動すると、右側の垂下部分16aのループが大きくなって錘19が下がり、左側の垂下部分16aのループは小さくなって錘19が上がる。また、歩行者が線状部材16を引っ張ることでスライダ2を移動させることができる。
【0049】
なお、錘19の重さを変えることで、スライダ2の移動抵抗力を増減させることができる。即ち、錘19を重くするとスライダ2を移動させるのに必要な力が増加し、錘19を軽くするとスライダ2を移動させるのに必要な力が減少する。このため、錘19の交換によってもスライダ2の移動抵抗力を増減する移動抵抗調節手段を構成することができる。
【0050】
本発明の歩行補助装置は、例えば建物の壁面に設置されている固定手すり設備20を補う目的で設置される。このため、ガイドレール1は、固定手すり設備20の途切れている場所に設けられ、途切れた固定手すり設備20の端と端を繋ぐ位置の上方に設けられている。固定手すり設備20の途切れている場所としては、壁の途中に出入口が設けられている場所、通路が交差する場所等がある。ただし、歩行補助装置の設置場所は固定手すり設備20の途切れている場所に限るものではなく、例えばベッドの側方の上部空間、通路の中央の上部空間等に設けても良い。
【0051】
次に、歩行補助装置の使用について説明する。
【0052】
建物内の通路の壁等には固定手すり設備20が設けられており、身体障害者や高齢者等の歩行者は固定手すり設備20を掴まりながら移動する。固定手すり設備20に掴まりながらその途切れた端まで移動してきた歩行者は、歩行補助装置の移動手すり3に掴まりながら移動することで、向かい側の固定手すり設備20の端まで移動することができる。即ち、固定手すり設備20が途切れている場所を歩行者が渡ることができる。
【0053】
歩行者が移動手すり3に掴まりながら移動すると、ガイドレール1の外周面を挟み込むローラ4が転動し、スライダ2がガイドレール1に案内されて移動する。このため、歩行者はガイドレール1が設けられている範囲で移動手すり3に掴まりながら移動することができる。スライダ2のローラ4はガイドレール1の外周面を挟み込んでいるので、
ガイドレール1内にスライダ2を収容する場合のようにガイドレール1にスリットを設ける必要がなく、ガイドレール1の剛性を大きくすることができる。このため、たとえスライダ2に傾げる力が作用してもガイドレール1を変形させることはない。
【0054】
歩行補助装置を同じ移動方向に続けて利用する場合、2回目の利用ではスライダ2は始めはガイドレール1の向こう側の端に移動している。このような場合には、歩行者が線状部材16を引っ張ることでスライダ2を向こう側の端から手繰り寄せることができる。例えば、図1の状態で、歩行者が歩行補助装置の左側から右側に向けて移動する場合には、図1中左側の垂下部分16aを引っ張れば良い。左側の垂下部分16aが引かれると線状部材16が図中左側に移動し、スライダ2を図中左側に移動させることができる。このように、たとえスライダ2が歩行補助装置の向こう側に移動している場合であっても、歩行者が線状部材16を引っ張ることでスライダ2をこちら側に手繰り寄せることができるので、続けて同じ方向に移動する場合にも歩行補助装置を利用することができる。このため、複数の者での利用に適しており、例えば病院、老人ホーム、役所等の多数の人が利用する施設に設置するのに特に適している。
【0055】
また、歩行者が引っ張る線状部材16の垂下部分16aには錘19が設けられており、この錘19はリング部19aに線状部材16を通すことでつり下げられているので、錘19を掴んで引っ張ることで線状部材16を移動させることができる。このため、線状部材16を直接掴んで引っ張る場合に比べて、操作し易く使い勝手を向上させることができる。また、錘19を設けることで、歩行者がスライダ2を手繰り寄せるのに必要な力を軽減することができる。また、歩行者は錘19を引っ張ると、線状部材16がループを形成しているので、スライダ2の移動量に対して半分の移動量で、スライダ2を手繰り寄せることができる。
【0056】
本発明の歩行補助装置には傾斜防止手段が設けられているので、ガイドレール1の長さを長くすることができる。即ち、ガイドレール1が短ければその両端のみを取付具5によって壁面上部42に固定すれば足りるが、ガイドレール1を長くした場合、その途中の部分を取付具5によって壁面上部42に固定する必要がある。スライダ2がガイドレール1の外周面に沿って移動する際、スライダ2がガイドレール1の周方向に傾斜してしまうと途中の取付具5に干渉する虞がある。傾斜防止手段によってスライダ2のガイドレール1の周方向への傾斜を防止することで、ガイドレール1の途中の取付具5とスライダ2との干渉を防止することができる。このため、ガイドレール1を長くすることができ、歩行者の移動手すり3に掴まりながらの長距離移動を可能にすることができる。
【0057】
また、本発明の歩行補助装置には移動抵抗調節手段が設けられているので、スライダ2を移動させるのに必要な力(移動抵抗力)を増減させることができる。このため、歩行者の障害や身体の衰弱の程度に応じてスライダ2の移動抵抗力を調節することができる。このため、使い勝手が向上する。また、例えばスライダ2の移動抵抗力を増加させることで歩行者に適度の負荷をかけることができるので、運動機能の回復トレーニングを行うこともできる。
【0058】
さらに、本発明の歩行補助装置には移動手すり3の高さ調節手段が設けられているので、歩行者の体格や身体状況に応じて移動手すり3の高さを調節することができる。このため、歩行補助装置の使い勝手を向上させることができる。例えば、歩行者の身長に応じて移動手すり3の高さを調節することが考えられる。また、移動手すり3に載るようにして上から体重を掛けるような体勢で移動手すり3に掴まった方が良いのか、又は移動手すり3にぶら下がるような体勢で移動手すり3に掴まった方が良いのか等に応じて、移動手すり3の高さを調節することが考えられる。
【0059】
次に、本発明の歩行補助装置の第2の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図5に示す歩行補助装置は、移動手すり3がつり下げられたスライダ2を1本のガイドレール1の一側半部1aと他側半部1bとにそれぞれ1つずつ設けると共に、2つのスライダ2を移動方向が逆になるように連結する連結機構21を備え、連結機構21は、一方のスライダ2に移動によって引っ張られて他方のスライダ2を移動方向とは逆方向に引っ張るものである。なお、図5中、左側に記載されているスライダ2を左側スライダ2Lと、右側に記載されているスライダ2を右側スライダ2Rという。
【0060】
連結機構21は、例えば4つのプーリ22,22,23,23と2本の連結ワイヤ24,24より構成されている。4つのプーリのうち、2つは連結ワイヤ24を巻き掛ける溝が1本のプーリ(以下、1本溝プーリという)22で、残りの2つは連結ワイヤ24を巻き掛ける溝が2本のプーリ(以下、2本溝プーリという)23である。各プーリ22,22,23,23はガイドレール1を壁面上部42に固定する取付具5に回転自在に取り付けられている。より詳しくは、ガイドレール1の両端を固定する各取付具5にそれぞれ1つずつの1本溝プーリ22が、ガイドレール1の中央を固定する1つの取付具5に2つの2本溝プーリ23がそれぞれ取り付けられている。各プーリ22,22,23,23は回転軸が垂直になるように取り付けられている。
【0061】
一端が左側スライダ2Lの左端に連結されている連結ワイヤ24は、ガイドレール1の左端に配置された1本溝プーリ22→中央左側に配置された2本溝プーリ23の上側溝→中央右側に配置された2本溝プーリ23の下側溝へと巻き掛けられた後、他端が右側スライダ2Rの左端に連結されている。また、一端が右側スライダ2Rの右端に連結されている連結ワイヤ24は、ガイドレール1の右端に配置された1本溝プーリ22→中央右側に配置された2本溝プーリ23の上側溝→中央左側に配置された2本溝プーリ23の下側溝へと巻き掛けられた後、他端が左側スライダ2Lの右端に連結されている。
【0062】
したがって、例えば左側スライダ2Lをガイドレール1の左端から中央に向けて移動させると、連結機構21が右側スライダ2Rをガイドレール1の右端から中央に向けて移動させる(図5中矢印Aで示す動作)。また、左側スライダ2Lをガイドレール1の中央から左端に向けて戻すと、連結機構21が右側スライダ2Rをガイドレール1の中央から右端に向けて移動させる(図5中矢印Bで示す動作)。この動きは、左側スライダ2Lを移動させる代わりに、右側スライダ2Rを移動させる場合も同様である。即ち、連結機構21の働きによって、2つのスライダ2はガイドレール1の中央に向けて互いに近づいたり、ガイドレール1の両端に向けて互いに離れるように移動する。
【0063】
例えば、歩行者が左側スライダ2Lにつり下げられている移動手すり3(以下、左側移動手すり3Lという)に掴まりながらガイドレール1の左端から中央に向けて移動すると、右側スライダ2Rにつり下げられている移動手すり3(以下、右側移動手すり3Rという)がガイドレール1の右端から中央に向けて移動する。そして、歩行者はガイドレール1の中央で左側移動手すり3Lから右側移動手すり3Rに持ち替える。その後、歩行者は右側移動手すり3Rに掴まりながらガイドレール1の右端に向けて移動する。同時に、左側移動手すり3L及び左側スライダ2Lは連結機構21によってガイドレール1の中央から左端に向けて戻される。
【0064】
このように、歩行者の移動によって2つの移動手すり3L,3Rがガイドレール1の両端に必ず戻される。このため、待機状態では、ガイドレール1の両端に必ず移動手すり3が配置されており、次に歩行補助装置を利用する人はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。
【0065】
次に、本発明の歩行補助装置の第3の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図6に示す歩行補助装置は、スライダ2をガイドレール1の特定の端に復帰させる復帰手段25を備えている。本実施形態では、復帰手段25は、ガイドレール1を傾斜させることで重力を利用してスライダ2をガイドレール1の低い方の端に復帰させるものである。図6では、ガイドレール1の左端が低い方の端(特定の端)となっている。
【0066】
したがって、歩行者が移動手すり3に掴まりながら歩行補助装置の左側から右側に移動した後、移動手すり3から手を離すと、スライダ2が重力によって自然に元の位置(低い方の左端)に戻る。このため、歩行補助装置の利用後に移動手すり3を同じ側に自動的に戻すことができる。また、ガイドレール1を傾斜させれば足りるので、復帰手段25として特別の機構が不要であり、製造コストの増加を抑えることができる。ここで、ガイドレール1の傾斜角度を大きくすると、歩行者が利用する際のスライダ2の移動抵抗力が大きくなる。また、ガイドレール1の傾斜角度を小さくすると、スライダ2の復帰が不安定になる。このため、ガイドレール1の傾斜角度は利用する歩行者の身体状態とスライダ2の復帰の確実性とを考慮して適宜決定される。
【0067】
なお、図6の歩行補助装置に線状部材16及び錘19を設けて、歩行者がガイドレール1の高い方の端から低い方向の端(図6では、歩行補助装置の右側から左側)に向けて移動する場合に移動手すり3を手繰り寄せることができるようにしても良い。
【0068】
次に、本発明の歩行補助装置の第4の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図7に示す歩行補助装置は、ガイドレール1とスライダ2と移動手すり3と復帰手段25を1つずつ有する組26を2組備え、一方の組26のガイドレール1を一端が低い状態で配置し、他方の組26のガイドレール1を他端が低い状態で配置し、且つ上から見た状態で各組26のガイドレール1を径方向にずらして配置したものである。本実施形態では、下側に配置するガイドレール1を長さの短い取付具5で壁面上部42に固定し、上側に配置するガイドレール1を長さの長い取付具5で壁面上部42に固定することで、壁面上部42との間隔を変えて、上から見た状態で2本のガイドレール1を径方向にずらして配置している。下側に配置するガイドレール1は左端が低く、上側に配置するガイドレール1は右端が低くなっている。
【0069】
待機状態では、下側の組26の移動手すり3はガイドレール1の左端に、上側の組26の移動手すり3はガイドレール1の右端に移動している。いま、歩行者が歩行補助装置の左側から右側に向けて移動する場合には、下側の組26の移動手すり3に掴まりながら移動する。歩行者がガイドレール1の右端に移動した後、移動手すり3を離すと、重力によってスライダ2がガイドレール1の左端に向けて移動し、移動手すり3を元の位置に自然に戻すことができる。同様に、歩行者がガイドレール1の右端から左端に向けて移動する場合には、上側の組26の移動手すり3に掴まりながら移動する。歩行者がガイドレール1の左端に移動した後、移動手すり3を離すと、重力によってスライダ2がガイドレール1の右端に向けて移動し、移動手すり3を元の位置に自然に戻すことができる。
【0070】
このように、歩行補助装置の利用後に移動手すり3を元の位置に自動的に戻すことができる。このため、次に歩行補助装置を利用する人(歩行者)はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。
【0071】
次に、本発明の歩行補助装置の第5の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図8に示す歩行補助装置は、移動手すり3がつり下げられたスライダ2を1本のガイドレール1に2つ設けると共に、復帰手段25を2つ設け、一方の復帰手段25によってガイドレール1の一端側に設けられているスライダ2をガイドレール1の一端に戻し、他方の復帰手段25によってガイドレール1の他端側に設けられているスライダ2をガイドレール1の他端に戻すものである。
【0072】
復帰手段25は、スライダ2の移動に応じて弾性変形される弾性部材を備えている。弾性部材は、例えばぜんまいである。弾性部材は、例えばワイヤ30を巻き取るローラ(図示省略)に接続され、このローラと一緒にケース31内に収容されている。ケース31からワイヤ30を引き出すと、ワイヤ30を巻き取っていたローラが回転して弾性部材が弾性変形する。このため、ローラを逆転させようとする弾性力が発生する。そして、ワイヤ30をケース31から引き出す力が減少すると、ローラが逆転してワイヤ30を巻き取る。
【0073】
図8中、左側に設けられたスライダ2(以下、左側スライダ2Lという)をガイドレール1の左端に復帰させる復帰手段25はガイドレール1の左端に固定されており、ワイヤ30の先端は左側スライダ2Lの左端に連結されている。また、右側に設けられたスライダ2(以下、右側スライダ2Rという)をガイドレール1の右端に復帰させる復帰手段25はガイドレール1の右端に固定されており、ワイヤ30の先端は右側スライダ2Rの右端に連結されている。
【0074】
したがって、待機状態では、左側スライダ2Lはガイドレール1の左端に、右側スライダ2Rはガイドレール1の右端にそれぞれ引き寄せられている。いま、歩行者が歩行補助装置の左側から右側に向けて移動する場合を考える。この場合には、左側スライダ2Lにつり下げられている左側の移動手すり3を使用する。歩行者が左側の移動手すり3に掴まりながらガイドレール1の左端から反対側の右端に向かう方向に移動すると、左側の復帰手段25のワイヤ30がケース31から引き出されて弾性部材が変形し、ワイヤ30を巻き取ろうとする弾性力が蓄えられる。
【0075】
歩行者がガイドレール1の右端に移動した後、歩行者が移動手すり3から手を離すと、弾性部材に蓄えられていた弾性力がローラを逆転させてワイヤ30を巻き取る。これにより、左側スライダ2Lがガイドレール1の右端から左端に引き戻される。
【0076】
同様に、歩行者が歩行補助装置の右側から左側に移動する場合には、右側スライダ2Rにつり下げられている右側の移動手すり3を使用する。この移動によって右側の復帰手段25のワイヤ30がケース31から引き出され、ワイヤ30を巻き取ろうとする弾性力が蓄えられる。歩行者がガイドレール1の左端に移動した後、歩行者が移動手すり3から手を離すと、ワイヤ30が巻き取られ、右側スライダ2Rがガイドレール1の左端から右端に戻される。
【0077】
このように、歩行補助装置の利用後に移動手すり3を同じ側に自動的に戻すことができる。このため、次に歩行補助装置を利用する人はそのまま利用することができ、移動方向がどちらの方向であってもそのまま連続して利用することができる。また、復帰手段25として弾性部材を利用しているので、モータ等の駆動源が不要である。このため、電源が無い場所に歩行補助装置を設置することができ、あるいは電池や電池交換を不要にすることができる。
【0078】
なお、ワイヤ30の急激な巻き取りを防止するブレーキ機構を復帰手段25に設けても良い。ブレーキ機構を設けることで、ワイヤ30が急激に巻き取られてスライダ2が勢い良く戻されるのを防止することができる。
【0079】
次に、本発明の歩行補助装置の第6の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図9に示す歩行補助装置では、スライダ2を手繰り寄せる手段である線状部材16と、スライダ2を特定の端に復帰させる復帰手段25とのいずれも備えていない。つまり、反対側に移動させたスライダ2を歩行者の移動を伴わずに元の位置に戻すことができず、同じ方向に続けて利用することを考慮しないタイプの歩行補助装置である。歩行補助装置は、例えば出入口が設けられている場所に設置されている。歩行補助装置を個人宅に設置するなどして一人で利用する場合には、歩行補助装置を同じ方向に続けて利用することはないと考えられるので、スライダ2を手繰り寄せる手段である線状部材16やスライダ2を特定の端に復帰させる復帰手段25を省略することができる。この場合には、歩行補助装置の製造コストを下げることができ、歩行補助装置を安価に提供することができる。
【0080】
次に、本発明の歩行補助装置の第7の実施形態について説明する。なお、上述の部材と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図10に示す歩行補助装置は通路が交差する場所に設置されている。通路が交差する場所は天井まで壁が無いので、ガイドレール1を天井44に固定している。各取付具5は天井44の梁や桁等の強度部材46がある位置に固定されている。天井44にガイドレール1を固定する場合には、取付具5の長さを調節することでガイドレール1を所望の高さに配置することができる。
【0081】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0082】
例えば、上述の歩行補助装置は移動抵抗調節手段を備えていたが、移動抵抗調節手段を省略しても良い。
【0083】
また、上述の歩行補助装置は高さ調節手段を備えていたが、高さ調節手段を省略しても良い。
【0084】
また、上述の説明では、移動手すり3のつり下げにベルト14を使用していたが、ベルト14に代えて棒状部材を使用しても良い。棒状部材32を使用した第8の実施形態を図11に示す。
【0085】
また、上述の説明では、長さ調節可能なベルト14によって移動手すり3の高さを調節する高さ調節手段を構成していたが、高さ調節手段は必ずしもこの構成に限るものではない。例えば、ワンタッチ着脱可能なジョイントによってベルト14をスライダ2及び移動手すり3に接続し、長さの異なるベルト14に交換することで移動手すり3の高さ調節を行なう手段でも良い。また、ベルト14に代えて棒状部材32を使用する場合には、例えば図11及び図12に示すように、棒状部材32の長さ調節機構33によって移動手すり3の高さ調節手段を構成しても良い。さらに、ベルト14又は棒状部材32の高さが異なる複数の位置に移動手すり取付用のジョイントを設け、異なる高さ位置に移動手すり3を付け替えることで移動手すり3の高さを調節する手段でも良い。
【0086】
なお、図11及び図12の長さ調節機構33は、例えば棒状部材32を外筒32aと内筒32bに分割し、内筒32bに出没可能に設けた凸部34を外筒32aの孔35に挿入することで、外筒32aと内筒32bとを一体化させて棒状部材32としての長さを固定するものである。外筒32aには複数の孔35が設けられており、凸部34を挿入させる孔35を変えることで、棒状部材32としての長さを変化させることができる。凸部34の奥にはスプリング36が設けられており、スプリング36を押し縮めながら凸部34を押し込むことができる。そして、内筒32bに対して外筒32aを相対移動させて長さ調節した後、凸部34が孔35に対向すると、スプリング36によって凸部34が孔35内に挿入される。内筒32bの下端には移動手すり3が設けられ、外筒32aの上端はシャフト45によってスライダ2に揺動可能に連結されている。
【0087】
また、上述の説明では、ねじ11と長孔8aとによって移動抵抗調節手段を構成していたが、移動抵抗調節手段は必ずしもこの構成に限るものではない。例えば、ばねの弾性力によりローラ4をガイドレール1に押し付け、そのばねの弾性力を増減させて移動抵抗調節手段としても良い。また、錘19の重さが変わるとスライダ2を移動させるのに必要な力も変化するので、錘19の重さを増減させることを移動抵抗調節手段としても良い。また、ガイドレール1を傾斜させ、その角度を変化させるとスライダ2を移動させるのに必要な力も変化するので、ガイドレール1の傾斜角を変化させることを移動抵抗調節手段としても良い。
【0088】
また、ばねの弾性力によりローラ4をガイドレール1に押し付け、そのばねの弾性力を増減させて移動抵抗調節を行う手段について図13に示す。下側ローラボックス8とスライダ本体6の間に、弾性体(例えば板ばね)37を配置し、下側ローラボックス8は弾性体37を押しながら、スライダ本体6に配置される。この時押し込まれた弾性体37に弾性力が蓄えられ、その弾性力によりガイドレール1を挟み込んでいる。調節ねじ38を回し込み、弾性体37の支点を上下させることで、弾性力を増減させることができる。
【0089】
また、弾性体37の弾性力を増減させて移動抵抗調節手段を構成する場合には、弾性体37を上下させる駆動機構36を設けても良い。この駆動機構36の一例を図14及び図15に示す。駆動機構36は、例えば弾性体37を押し上げるカム39とカム39を回転させる摘み40および摘み40とカム39を繋ぐシャフト42を備えている。
【0090】
摘み40を操作してシャフト42を回転させると、カム39も回転し弾性体37を支えているベース板37aに接触する部分の半径に応じてベース板37aが上下に移動する。すなわちベース板37aと連結されている弾性体37の支点が上下に移動する。摘み40には目印40aが形成されており、この目印40aに対応してスライダ2には案内表示41が付されている。案内表示41として、例えば、スライダ2の移動抵抗力の大きさを示す「強」、「中」、「弱」の文字が付されている。目印40aを「強」にあわせると、カム39の最大半径部分がベース板37aに接触する。このため、弾性体37の撓みが大きくなり弾性力が増加し、ガイドレール1を挟み込む力が大きくなってスライダ2の移動抵抗力が「強」となる。また、目印40aを「中」にあわせると、カム39の半径が2番目に大きい部分がベース板37aに接触する。このため、弾性体37の撓みが2番目に大きくなり弾性力も2番目に増加し、ガイドレール1を挟み込む力が2番目に大きくなってスライダ2の移動抵抗力を「中」にする。一方、目印40aを「弱」にあわせると、カム39の最小半径部分がベース板37aに接触する。このため、弾性体37の撓みおよび弾性力が最小となりガイドレール1を挟み込む力が小さくなって、スライダ2の移動抵抗力が「弱」となる。
【0091】
駆動機構36を備えた移動抵抗調節手段では、摘み40の操作によって簡単に移動抵抗力を調節することができるので、大変便利である。また、目印40aと案内表示41が設けられているので、移動抵抗力の調節が容易であり、使い勝手が大変良好である。
【0092】
また、上述の説明では、スライダ2のスライダ本体6に切り欠き10を形成し、ガイドレール1の全周を囲まないようにして途中の取付具5との干渉を避けるようにしていたが、例えばガイドレール1の長さが短く、ガイドレール1の途中に取付具5を配置しなくても良い場合等には、例えば図11に示すように、スライダ2がガイドレール1の全周を囲むものであっても良い。
【0093】
また、上述の説明では、ガイドレール1の横断面形状を楕円形状にすることで傾斜防止手段を構成していたが、ガイドレール1の横断面形状を楕円形状以外の形状にすることで傾斜防止手段を構成しても良い。即ち、ガイドレール1の横断面形状を円形以外の形状にすることで、傾斜防止手段を構成しても良い。例えば、図11に示すように、ガイドレール1の横断面形状を六角形にすることで傾斜防止手段を構成しても良い。また、ガイドレール1のガイドレールの外周面に長手方向に沿う溝を設け、この溝にスライダ2に形成したガイド等を挿入することで、スライダ2の傾斜を防止しても良い。かかる構成の傾斜防止手段では、ガイドレール1の横断面形状を円形にすることができる。
【0094】
また、ガイドレール1を湾曲させても良い。ガイドレール1を湾曲させることで、通路等のカーブに対応することができる。即ち、歩行補助装置の利用は直線移動を行なう場合に限るものではなく、曲線移動を行なう場合にも利用可能である。
【0095】
また、本発明の歩行補助装置は、固定手すり設備20を補う目的以外の目的に使用しても良い。例えば、移動抵抗調節手段によってスライダ2の移動抵抗力を調節することができるので、運動機能の回復トレーニングを行なう目的に使用しても良い。
【0096】
さらに、ベッドから起き上がるのに歩行補助装置を使用しても良い。例えばベッドの側方の天井44又は壁面上部42に当該ベッドと平行にガイドレール1を固定し、ベッドに寝ている者の手の届く位置に移動手すり3をつり下げておく。ベッドに寝ている者が起き上がる場合には、手を伸ばして移動手すり3を掴み、当該移動手すり3をガイドレール1の長手方向に対して垂直な方向に引っ張りながら起き上がる。ガイドレール1の長手方向に対して垂直な方向に移動手すり3を引っ張ることで、スライダ2は移動することがない。そして、起きがあった後には、そのまま移動手すり3を掴みながらガイドレール1に沿って移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の歩行補助装置の第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の歩行補助装置の平面図である。
【図3】図1の歩行補助装置のスライダの断面図である。
【図4】図1の歩行補助装置のスライダの斜視図である。
【図5】本発明の歩行補助装置の第2の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】本発明の歩行補助装置の第3の実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明の歩行補助装置の第4の実施形態を示す正面図である。
【図8】本発明の歩行補助装置の第5の実施形態を示す正面図である。
【図9】本発明の歩行補助装置の第6の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の歩行補助装置の第7の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の歩行補助装置の第8の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11の歩行補助装置の高さ調節機構を示す断面図である。
【図13】スライダの他の実施形態を示す断面図である。
【図14】スライダの更に他の実施形態を示す断面図である。
【図15】図14のスライダの摘みを示す正面図である。
【図16】従来の歩行補助装置を示し、走行レールを壁に固定した様子を示す側面図である。
【図17】図16の歩行補助装置の要部拡大図である。
【図18】図16の歩行補助装置のスライダを示す側面図である。
【図19】従来の歩行補助装置を示し、走行レールを天井に固定した様子を示す側面図である。
【図20】図19の走行レールを拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 ガイドレール
1a ガイドレールの一側半部
1b ガイドレールの他側半部
2 スライダ
3 移動手すり
4 ローラ
16 線状部材
16a 線状部材の垂下部分
20 固定手すり設備
21 連結機構
25 復帰手段
26 ガイドレールとスライダと移動手すりと復帰手段を1つずつ有する組
42 壁面上部
44 天井
【出願人】 【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美


【公開番号】 特開2008−43558(P2008−43558A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222539(P2006−222539)