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【発明の名称】 握力助勢具
【発明者】 【氏名】田中 昌枝

【氏名】田中 文吉

【要約】 【課題】脳梗塞などの病気によって、手の指が湾曲した状態でも装着が容易で、握力のない状態であっても、機能回復訓練用の器具を、握った状態に設定できる握力助勢具の提供を目的とする。

【構成】手を握った状態の拳の表裏面を覆う拳カバー12の一端側に、手首に着脱するための第1の着脱手段14を設けた。また、拳カバー12の他端側には、この拳カバーと直交する方向に延出した帯体に、手首に着脱するための第2の着脱手段22を設けることで握力助勢具とした。 このような握力助勢具は、握力の無い手に物を握らせて腕を動かすことにより、麻痺した腕の訓練を行うことができて、身体の早期回復が期待できるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手を握った状態の拳の表裏面を、手首まで覆う長さに設定した拳カバーと、
この拳カバーの一端側に設けると共に、この拳カバーの一端を前記手首に着脱するために設けた第1の着脱手段と、
この第1の着脱手段が設けられていない前記拳カバーの他端側で、この拳カバーと直交する方向に延出した帯体に、手首に着脱するための第2の着脱手段を設けた手首装着帯とからなる握力助勢具。
【請求項2】
手を握った状態の拳の表裏面を、手首まで覆う長さに設定した拳カバーと、
この拳カバーの中間部に設けられ、指を挿入して手と前記拳カバーとの位置関係を設定する拳カバー位置決め手段と、
前記拳カバーの一端側に設けると共に、この拳カバーの一端を前記手首に着脱するために設けた第1の着脱手段と、
この第1の着脱手段が設けられていない前記拳カバーの他端側で、この拳カバーと直交する方向に延出した帯体に、手首に着脱するための第2の着脱手段を設けた手首装着体とからなる握力助勢具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脳梗塞などの病気によって指が動かなくなり、握力がほとんど無い状態でも、握力を必要とするリハビリ用の器具を使って、腕などを強化できるように改善した握力助勢具に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞などによって、身体機能が低下した場合は、早い時期に回復訓練を行うことが、早期回復の基本である。特に歩行が困難であっても、手や腕の訓練は、寝たり座ったりした状態でも行えるために、早期に始めることが望ましい。
本来ならば、指先や腕の訓練は同時にできれば良いが、腕の回復訓練には器具を握って行うものが多くて、握力がなければ訓練が不可能であった。
そのためには先ず指先の動きを回復させて、器具の握り動作を可能にしなければ、腕の回復訓練が不可能であり、腕のリハビリは遅れがちであって、これが身体機能の回復を遅らせる原因にもなっていた。
指の回復訓練用の器具は各種あるが、握力の乏しい状態での握力を助勢して、腕の訓練を行うことができる補助具は見当らなかった。
例えば握った状態の拳を覆って、指の回復訓練を行う従来例としては、手袋の甲側に指先にまで至る弾性素材を貼り付けた手袋を装着し、握り動作を繰り返すことで、握力を回復させるものがある。(例えば、特許文献1参照)。
また、使用目的は異なるが、握力の弱いお年寄りのために、カバンなどの持ち運びができるように、手袋の掌側に形状記憶板などを設けて、体温や電源などで作動させるものがある。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】 実用新案登録第3080871号公報(第5頁 図1)
【特許文献2】 特開2002−227015号公報(第3頁 図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示す握力鍛錬用手袋は、手袋を用いるために、指先を伸ばせる健常者には何ら問題は無いが、脳梗塞などで指の曲げ伸ばしができずに、指が湾曲した状態の手には、手袋の装着が困難であるという大きな欠点があった。
また、手袋の甲側に設けたゴム等の弾性素材は、通気性が悪い手袋と弾性素材とで手首から先を完全に覆うために、暑い夏場の訓練には適さないものであった。
特許文献2に示す握力補助具及び補助手袋は、握力が弱いだけのお年寄りには問題ないが、指の動かない回復訓練者には、特許文献1と同様に、手への装着が困難であった。
また、形状記憶板の作動は、手袋装着者の体温により行なうために、手袋を介して温度差を認知することが困難であり、電池などの電源を用いると大型になり、その管理が面倒であるという欠点もあった。
本発明は、このような欠点を解消するためになされたものであり、指が湾曲していても装着が容易で、握力がなくても腕の回復訓練ができるようにした握力助勢具の提供を目的とする。
【発明を解決するための手段】
【0004】
上記不具合を解決するために、本発明は次のような構成としている。
請求項1に記載した握力助勢具は、手を握った状態の拳の表裏面を覆う拳カバーの一端側に、手首に着脱するための第1の着脱手段を設けた。
また、拳カバーの他端側には、この拳カバーと直交する方向に延出して設けた帯体に、手首に着脱するための第2の着脱手段を設けることで握力助勢具とした。
このような構成により、握力の無い手に物を握らせて腕を動かすと、麻痺した腕の訓練を行うことができて、早期回復が期待できるものである。
請求項2に記載した握力助勢具は、請求項1に記載した握力助勢具の拳カバーの中間部に、拳カバーと手の位置を設定する位置決め手段を設けることで、握力助勢具の確実な装着と、拳カバーとの位置ずれを防止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、握力の乏しい手に握力助勢具を装着したことにより、以下の効果を得ることができた。
すなわち、指先が回復して握力が戻らなければ、できなかった腕の回復訓練ができるようになったので、身体の早期回復を望むことができるようになった。
従来例で示すように、その大きさが一定の手袋型ではないので、手の大きさに追従できるし、手袋のような装着時の困難性は少ない。
拳の表裏を覆い両側は塞がれていないので、通気性もよく夏場の使用にも対応できる形状である。また、両側が開放されていても、その内部で指や手が位置決めされていることで、確実に握力を助勢することができる等の効果を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明について、図面を参照して説明する。図1は本発明の握力助勢具を示す斜視図、図2は図1を分解して示す斜視図である。
図1で示すように本発明の握力助勢具10は、握力の乏しい拳の表裏面を覆う拳カバー12と、この拳カバーの一端に設けられ、手首に巻付ける手首装着体20とからなる。拳カバー12には、この拳カバーの一端を手首に取付けるための第1の着脱手段14を設けている。この着脱手段はホックやファスナー類でも可能であるが、本発明では手首への装着を容易にするために、ごむ帯を用いている。
手首装着体20は、手首に巻付けた状態で使用するために、第2の着脱手段22を設けている。この着脱手段もホックやファスナー類を用いても可能であるが、本発明の例では互いに圧接することにより固着可能な、市販品で1対よりなる圧接布を用いている。
この圧接布は1対よりなり、帯状よりなる手首装着帯の両端部でその表裏面に配設している。
このような拳カバー12と手首装着体20とについて、更に詳細に説明する。
【0007】
拳カバー12は、伸縮性のある布又は皮などを用いるが、一般的な布でも可能である。基本形状としては長方形であり、その一端側に幅広のゴム帯15を、拳カバー20の幅と略同じ長さに設定し、その両端を拳カバーに縫付けて固定し、第1の着脱手段14としている。
このゴム帯15と拳カバー12の一部とからなる第1の着脱手段14は、ここに手先から挿入して、手首にゴム帯が位置するようにして用いるものである。
また、拳カバー12の中間部には、第1の着脱手段14と同様に幅広のゴム帯17の両端を拳カバー12に縫付けて固着し、位置決め手段16としている。
このゴム帯17と拳カバー12の一部とからなる位置決め手段16は、掌に位置させることで、手と拳カバー12との位置関係を決めて、握力助勢具10の装着を確実に行うものであり、使用中の位置ずれ防止にもなっている。
尚、このような位置決め手段16は、ゴム帯17を用いることなく、布材を用いて、拳カバー上に湾曲させた状態で配設することにより、掌を入れるようにすることでも良い。
【0008】
手首装着体20は、拳カバー12と同様の材料を用いて、拳カバーと一体又は別体に形成して良く、図示の例では一体で示している。
手首装着体20は帯状であり、手首に巻付けて固定できる長さに設定している。この手首装着帯20の両端部表裏面には、1対の圧接布23よりなる第2の着脱手段22を取付けている。
第2の着脱手段22は、1対よりなり互いに圧接することにより取付けできる圧接布を用いているが、ホックやファスナー類を用いても良いことは、前述した通りである。
このような手首装着体20は、手首に巻付けて握力助勢具10を手首に装着するものである。
【0009】
このように構成した握力助勢具10の使用例について、図面を参照して説明する。図3は図1で示した拳カバーの装着状態を示す説明図、図4は同じく拳カバーの装着後を示す説明図である。
握力助勢具10を使用するには、握力が乏しく訓練を必要とする手に装着するものであり、図3で示す例では左手に装着した例を示している。
テーブル等の台上に握力助勢具10を、図1で示したように広げた状態で置くと共に、手先を拳カバー12に設けた第1の着脱手段14と位置決め手段16とに通す。図3で示すように手は第1の着脱手段14が手首に位置するように、また、位置決め手段16は掌に位置するように挿入する。
更に図中で示す棒体5を、掌に位置するようにして指先を曲げて棒体5を握らせる。ここで示した棒体5は訓練に必要な装置や器具などに設けられた握り棒である。
このような状態から、握った手の先方に突出した拳カバー12を、図中の矢印で示すように拳の上方に折り返すと共に、図1で示した手首装着体20を図4で示すように手首に巻付ける。手首装着帯20の両端には、1対の圧接布よりなる第2の着脱手段22が設けられており、この圧接布同士を押圧して両者を固着することで、訓練装置の握り棒5を支持した状態で握力助勢具10を手に装着することができる。
このような図4で示す状態で訓練装置を動かして、腕のリハビリを行うものである。
【0010】
本発明の他の例について、図面を参照して説明する。図5は本発明の他の例の握力助勢具を示す斜視図である。
図5で示すように本発明の他の例で示す握力助勢具30は、前述例と同様の形状及び材質からなる拳カバー32の両端に、手首装着帯と着脱手段とをそれぞれに設けたものであり、この拳カバー32とそれぞれの手首装着帯とについて更に詳細に説明する。
拳カバー32は前述例と同じであり、その中間部にも手の位置を設定するために、ゴム帯よりなる位置決め手段36を設けていることは同じである。
この位置決め手段36は、指を除く掌の上面に位置させることで、拳カバーと手との位置決めを行うものであるが、この位置決め手段36に隣接して、位置決め手段と同様に指入38を設けている。この指入38は指の付根付近上面に位置するように配設するものであり、ここに指を入れて握ると、指入38付近の拳カバーが起立状態になって、拳の上面を覆い易くする作用を持たせたものである。
このような位置決め手段36と指入38とは、ゴム帯で形成し拳カバー32の横幅と略同一の長さに設定して両者を縫い合せるが、伸縮しない布状物で形成する場合は、拳カバー32の横幅よりも長く形成して、それぞれを湾曲した状態で取付けて、掌や指が挿入できるように形成するものである。
【0011】
手首装着帯は、拳カバーの両端にそれぞれ設けられ、拳カバー32の一端に設けた第1手首装着帯40と拳カバー32の他端側に設けた第2手首装着帯50とからなり、手首に巻付け可能な帯状である。
第1手首装着帯40の両端部には、前述例と同様に1対よりなる圧接布を用いた第1の着脱手段44を設けている。
この圧接布も前述例と同様に一方を手首装着帯の表面に取付けた場合は、他方を裏面側に取付けるものである。
同様に第2手首装着帯50の両端にも、圧接布よりなる第2の着脱手段52を設けている。
【0012】
このように構成した握力助勢具30を使用する例について、図面を参照して説明する。図6は図5の使用例を示す説明図である。
本発明の他の例で説明した握力助勢具30を手に装着するには、図5で示す状態で位置決め手段36と指入38とに、指を伸ばした状態で指と手を挿入すると共に、手首に第1手首装着帯40を巻付ける。手首装着帯40を巻付けた後、第1の着脱手段44である圧接布同士を圧着することで、図6で示すように固定する。
この状態から図6で示すように指を曲げて図示しないが図4で示した棒体を握ると指入38が指にそって動くから、指入れ付近の拳カバー32が起立して図6で示す状態になり、起立で生じた空間60に他方の手や指を入れると共に、図中の矢印で示す方向に拳カバーを動かして拳を覆うようにするものである。
従って、指入38は拳カバー32の装着を容易にする作用を有し、位置決め36を削除すると、指入38だけで手の位置決めも兼用した指入38とすることも可能である。
また、手を入れるための空間60を形成するために、位置決め手段を兼用した指入38は、前述例にも適用できることはもちろんのことである。
訓練装置の握り棒を握った状態で、握力助勢具を装着したら、前述例と同様に第2手首装着帯50を手首に取付ける。握力助勢具を取付けたら、訓練装置を動かして腕の訓練を行うものである。
他の例で説明したように、手首装着帯を拳カバーの両端に設けると、図1で示した前述例よりも、更に確実な状態で、握力助勢具を装着することができるものである。
【0013】
以上説明したように、本発明の握力助勢具を用いることにより、今までは指の動きが回復しなければ、物を握って行う腕の訓練は不可能とされていたが、握力助勢具で物を強制的に握らせることで、遅くなりがちであった腕の訓練を、早期に始めることができるから、回復が早くなるものである。
リハビリの初期は、介護者にこの握力助勢具を装着してもらうが、回復状況によっては自分で装着できるように、構造をできる限り簡略化したものである。
また、手首装着帯は、拳カバーの両側方向に延出させたが、一方向のみに延出して、手首に巻廻す構成でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の握力助勢具を示す斜視図である。
【図2】 図1を分解して示す斜視図である。
【図3】 図1で示した拳カバーの装着状態を示す説明図である。
【図4】 同じく拳カバーの装着後を示す説明図である。
【図5】 本発明の他の例の握力助勢具を示す斜視図である。
【図6】 図5の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0015】
10 握力助勢具
12 拳カバー
14 第1の着脱手段
16 位置決め手段
20 手首装着帯
22 第2の着脱手段
30 握力助勢具
32 拳カバー
38 指入
40 第1手首装着帯
44 第1の着脱手段
50 第2手首装着帯
52 第2の着脱手段
【出願人】 【識別番号】506296662
【氏名又は名称】田中 昌枝
【識別番号】506296673
【氏名又は名称】田中 文吉
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−36369(P2008−36369A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−236660(P2006−236660)