| 【発明の名称】 |
車輪駆動装置および車椅子 |
| 【発明者】 |
【氏名】西口 和秀
【氏名】西村 竜一
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| 【要約】 |
【課題】レバーが自重によって自由回転しても、車椅子(特に、駆動機構)に不具合が発生することを防止可能な車輪駆動装置および車椅子を提供する。
【構成】車輪駆動装置10が用いられる車椅子では、レバー12の揺動に応じて車輪に回転力を付与し、または、車輪に対して遊転する力伝達機構40が、レバー12と車輪との間に取り付けられる。そして、レバー12の揺動と連動して回動可能な可動部20(ハブ24)と、当該可動部20を回動可能に軸支する固定部30(制限部材24)との間には、レバーが遊転する方向に揺動した場合に当該レバー12に対する付勢力を吸収するレバー緩衝部材120が設けられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも車輪を回転自在に支持するフレームを有する移動体に用いられ、前記車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在して設けられるとともに、前記車輪に対して揺動することによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置であって、 前記車輪の略中心を支点として当該車輪の回転方向と略同一方向に向けて往復して揺動可能なレバーと、 前記レバーの一端部に設けられて、当該レバーの揺動と連動して当該レバーの揺動方向と同一方向に回動可能な可動部と、 前記可動部を回動可能に軸支するとともに、前記車輪の略中心部を貫通して前記移動体のフレームに固定される軸部材、および、前記可動部の回動範囲を制限する制限部材を有する固定部と、 前記レバーと前記車輪との間に取り付けられ、前記レバーが一方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪の略中心部に回転力を付与し、前記レバーが前記一方向とは異なる他方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪に対して遊転する力伝達機構と、 前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記レバーが前記他方向に揺動した場合に当該レバーに対する前記他方向に向けた付勢力を吸収するレバー緩衝部材と、 を備えたことを特徴とする車輪駆動装置。 【請求項2】 前記固定部の制限部材は、前記レバーの揺動と連動して回転する前記可動部に当接して、当該可動部の回動範囲を制限するものであり、 前記レバーは、前記一方向に揺動した場合に前記可動部が前記固定部の制限部材に当接する第1揺動位置から、前記他方向に揺動した場合に前記可動部が前記固定部の制限部材に当接する第2揺動位置まで揺動可能であって、 前記レバー緩衝部材は、前記レバーが前記第2揺動位置まで前記他方向に揺動した場合に、前記可動部と前記固定部の制限部材との当接時に発生する衝撃を緩衝することを特徴とする請求項1に記載の車輪駆動装置。 【請求項3】 前記レバー緩衝部材は、前記固定部に設けられて伸縮自在な弾性体を有する受け部と、当該受け部に対向して前記可動部に設けられた係止部とを備えており、 前記係止部は、前記レバーが前記一方向に揺動すると、前記可動部の回転に応じて前記受け部から離間する方向に移動する一方、前記レバーが前記他方向に揺動すると、前記可動部の回転に応じて前記受け部に近接する方向に移動するものであり、 前記受け部は、前記レバーが前記第2揺動位置またはその近傍まで前記他方向に揺動すると、前記係止部により押圧されて前記弾性体が収縮することで生じた弾性力を当該係止部に付与することで、前記レバーを反転させることを特徴とする請求項2に記載の車輪駆動装置。 【請求項4】 前記係止部は、前記可動部から前記他方向に向けて設けられた係止爪を有しており、 前記受け部は、前記弾性体が前記固定部から前記一方向に向けて配置されており、さらに、前記係止爪が当接される当接面を形成する被係止体を当該弾性体の先端に有しており、 前記弾性体は、前記係止爪から前記被係止体に加えられる押圧力に応じて収縮する一方、当該弾性体が収縮することで生じた弾性力に応じて当該被係止体を押圧することで、当該係止爪に対して一方向に向けた付勢力を付与することを特徴とする請求項3に記載の車輪駆動装置。 【請求項5】 座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪と、 前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に、当該車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在して設けられるとともに、当該車輪の略中心部を支点として当該車輪の回転方向と略同一方向に向けて往復して揺動可能なレバーと、 前記レバーの一端部に設けられて、当該レバーの揺動と連動して当該レバーの揺動方向と同一方向に回動可能な可動部と、 前記可動部を回動可能に軸支するとともに、前記車輪の略中心部を貫通して前記フレームに固定される軸部材、および、前記可動部の回動範囲を制限する制限部材を有する固定部と、 前記レバーと前記車輪との間に取り付けられ、前記レバーが一方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪の略中心部に回転力を付与し、前記レバーが前記一方向とは異なる他方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪に対して遊転する力伝達機構と、 前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記レバーが前記他方向に揺動した場合に当該レバーに対する前記他方向に向けた付勢力を吸収するレバー緩衝部材と、 を備えたことを特徴とする車椅子。 【請求項6】 前記固定部の制限部材は、前記レバーの揺動と連動して回転する前記可動部に当接して、当該可動部の回動範囲を制限するものであり、 前記レバーは、前記一方向に揺動した場合に前記可動部が前記固定部の制限部材に当接する第1揺動位置から、前記他方向に揺動した場合に前記可動部が前記固定部の制限部材に当接する第2揺動位置まで揺動可能であって、 前記レバー緩衝部材は、前記レバーが前記第2揺動位置まで前記他方向に揺動した場合に、前記可動部と前記固定部の制限部材との当接時に発生する衝撃を緩衝することを特徴とする請求項5に記載の車椅子。 【請求項7】 前記レバー緩衝部材は、前記固定部に設けられて伸縮自在な弾性体を有する受け部と、当該受け部に対向して前記可動部に設けられた係止部とを備えており、 前記係止部は、前記レバーが前記一方向に揺動すると、前記可動部の回転に応じて前記受け部から離間する方向に移動する一方、前記レバーが前記他方向に揺動すると、前記可動部の回転に応じて前記受け部に近接する方向に移動するものであり、 前記受け部は、前記レバーが前記第2揺動位置またはその近傍まで前記他方向に揺動すると、前記係止部により押圧されて前記弾性体が収縮することで生じた弾性力を当該係止部に付与することで、前記レバーを反転させることを特徴とする請求項6に記載の車椅子。 【請求項8】 前記係止部は、前記可動部から前記他方向に向けて設けられた係止爪を有しており、 前記受け部は、前記弾性体が前記固定部から前記一方向に向けて配置されており、さらに、前記係止爪が当接される当接面を形成する被係止体を当該弾性体の先端に有しており、 前記弾性体は、前記係止爪から前記被係止体に加えられる押圧力に応じて収縮する一方、当該弾性体が収縮することで生じた弾性力に応じて当該被係止体を押圧することで、当該係止爪に対して一方向に向けた付勢力を付与することを特徴とする請求項7に記載の車椅子。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、車輪の回転によって走行する移動体に用いられ、当該車輪に対してレバーを揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置を備える車椅子に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、手動式の車椅子は、車輪と一体的に構成された環状のリムが車輪の外側に設けられている。介護者がいない場合、車椅子の着座者は、このリムを回転させることによって車椅子を走行させる。ところが、このようにして車椅子を走行させるためには上半身に大きな負荷が発生する。とくに、砂利道や水を含んだ軟らかい地面上を走行するときは、その負荷は多大なものとなり、よほどの体力がなければ車椅子を走行させることが困難となる。 【0003】 このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、車椅子に座りながら自ら容易に走行可能な手動式の車椅子が開示されている。この車椅子は、座部の両側にフレームに対して回転自在な複数の車輪が配置されており、これらの車輪の略中心部を支点として車輪の回転方向に揺動可能なレバーが設けられている。レバーの一端部にはレバーの揺動と連動して回動する可動部が設けられており、この可動部は車輪の略中心部を貫通して移動体のフレームに固定された固定部によって回転可能に軸支されている。そして、各車輪とレバーとの間に設けられた力伝達機構は、レバーをいずれか一の方向に揺動させると可動部が車輪の略中心部に回転力を付与し、レバーを逆の方向に揺動させると可動部が車輪に対して遊転する。 【0004】 【特許文献1】特許第3689101号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、特許文献1に記載のように、着座者がフレーム側部に設置されたレバーを操作する車椅子では、通常時(レバーの非操作時)にレバーが固定されていないと、レバーが車輪に対して遊転する方向に向けて自重によって自由回転する構造となっていた。そして、このレバーの自由回転によって、レバーの揺動可能範囲の最下点(例えば、着座者の足元近傍)までレバーが落下していた。 【0006】 このように、通常時(レバーの非操作時)にレバーが自重によって揺動可能範囲の最下点まで自由回転すると、当該レバーに連結されて連動する可動部が、所定位置に固定された固定部と激しく衝突することがあった。この場合、可動部と固定部との衝突によって激しい衝撃音を発するとともに、車椅子の駆動機構内部にまでその衝撃が伝わってしまい、車椅子(特に、駆動機構)に不具合を起こす原因となり得るという問題があった。 【0007】 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、レバーが自重によって自由回転しても、車椅子(特に、駆動機構)に不具合が発生することを防止可能な車輪駆動装置および車椅子を提供することを目的とする。 【0008】 なお、本発明を適用できる移動体は、電気的駆動手段を伴うことなく例えば手動で車輪を回転させる非電動式の移動体であって、自走式の車椅子の他、例えば自転車に代表される非電動式の二輪車、非電動式の三輪車およびこれらを模した玩具等が考えられる。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明において、以下の特徴は単独で、若しくは、適宜組合わされて備えられている。 【0010】 前記課題を解決するための本発明に係る車輪駆動装置は、少なくとも車輪を回転自在に支持するフレームを有する移動体に用いられ、前記車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在して設けられるとともに、前記車輪に対して揺動することによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置であって、前記車輪の略中心を支点として当該車輪の回転方向と略同一方向に向けて往復して揺動可能なレバーと、前記レバーの一端部に設けられて、当該レバーの揺動と連動して当該レバーの揺動方向と同一方向に回動可能な可動部と、前記可動部を回動可能に軸支するとともに、前記車輪の略中心部を貫通して前記移動体のフレームに固定される軸部材、および、前記可動部の回動範囲を制限する制限部材を有する固定部と、前記レバーと前記車輪との間に取り付けられ、前記レバーが一方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪の略中心部に回転力を付与し、前記レバーが前記一方向とは異なる他方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪に対して遊転する力伝達機構と、前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記レバーが前記他方向に揺動した場合に当該レバーに対する前記他方向に向けた付勢力を吸収するレバー緩衝部材と、を備えたことを特徴とする。 【0011】 上記構成によれば、本発明にかかる車輪駆動装置が少なくとも車輪を回転自在に支持するフレームを有する移動体に用いられた場合に、レバーが一方向に揺動したときは車輪に回転力を付与する一方、レバーが他方向に揺動したときは車輪に対して遊転する力伝達機構が、レバーと車輪との間に取り付けられる。そして、レバーの揺動と連動して回動可能な可動部と、当該可動部を回動可能に軸支する固定部との間に、レバーが他方向に揺動した場合に当該レバーに対する付勢力を吸収するレバー緩衝部材が設けられる。従って、レバーが車輪に対して遊転する他方向に揺動すると、当該レバーに対する他方向に向けた付勢力がレバー緩衝部材によって吸収されるため、可動部が固定部に衝突することが防止され、または、可動部が固定部に衝突してもその衝撃が緩衝される。 【0012】 前記課題を解決するための本発明に係る車椅子は、座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪と、前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に、当該車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在して設けられるとともに、当該車輪の略中心部を支点として当該車輪の回転方向と略同一方向に向けて往復して揺動可能なレバーと、前記レバーの一端部に設けられて、当該レバーの揺動と連動して当該レバーの揺動方向と同一方向に回動可能な可動部と、前記可動部を回動可能に軸支するとともに、前記車輪の略中心部を貫通して前記フレームに固定される軸部材、および、前記可動部の回動範囲を制限する制限部材を有する固定部と、前記レバーと前記車輪との間に取り付けられ、前記レバーが一方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪の略中心部に回転力を付与し、前記レバーが前記一方向とは異なる他方向に揺動したときは前記可動部が前記車輪に対して遊転する力伝達機構と、前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記レバーが前記他方向に揺動した場合に当該レバーに対する前記他方向に向けた付勢力を吸収するレバー緩衝部材と、を備えたことを特徴とする。 【0013】 上記構成の車椅子によれば、レバーが一方向に揺動したときは車輪に回転力を付与する一方、レバーが他方向に揺動したときは車輪に対して遊転する力伝達機構が、レバーと車輪との間に取り付けられる。そして、レバーの揺動と連動して回動可能な可動部と、当該可動部を回動可能に軸支する固定部との間に、レバーが他方向に揺動した場合に当該レバーに対する付勢力を吸収するレバー緩衝部材が設けられる。従って、レバーが車輪に対して遊転する他方向に揺動すると、当該レバーに対する他方向に向けた付勢力がレバー緩衝部材によって吸収されるため、可動部が固定部に衝突することが防止され、または、可動部が固定部に衝突してもその衝撃が緩衝される。 【0014】 また、本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、固定部の制限部材は、レバーの揺動と連動して回転する可動部に当接して、当該可動部の回動範囲を制限するものである。レバーは、一方向に揺動した場合に可動部が固定部の制限部材に当接する第1揺動位置から、他方向に揺動した場合に可動部が固定部の制限部材に当接する第2揺動位置まで揺動可能である。そして、レバー緩衝部材は、レバーが第2揺動位置まで揺動した場合に、可動部と固定部の制限部材との当接時に発生する衝撃を緩衝することが好ましい。これによれば、第1揺動位置から第2揺動位置まで揺動可能なレバーが第2揺動位置まで揺動すると、可動部と固定部の制限部材とが当接して衝撃が発生するところ、レバー緩衝部材によってその衝撃が緩衝される。 【0015】 また、本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、レバー緩衝部材は、固定部に設けられた受け部と、可動部に設けられた係止部とを備えている。係止部は、レバーが一方向に揺動すると受け部から離間する一方、レバーが他方向に揺動すると受け部に近接する。そして、受け部は、レバーが第2揺動位置またはその近傍まで揺動すると、係止部により押圧されて弾性体が収縮されることが好ましい。これによれば、固定部に設けられた受け部と可動部に設けられた係止部とが対向して配置されており、レバーが第2揺動位置またはその近傍まで揺動すると、係止部が受け部の弾性体を押圧する一方、当該弾性体の弾性力が係止部に付与されるのでレバーが反転する。なお、レバーの「反転」とは、弾性体の弾性力が係止部に付与されることで、当該係止部が固定された可動部に一方向に向けた付勢力が付与されて、この可動部に連動してレバーが一方向に揺動することをいう。 【0016】 また、本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、係止部は係止爪を有する一方、受け部は係止爪が当接される当接面を形成する被係止体を有する。そして、弾性体は、係止爪から被係止体に加えられる押圧力に応じて収縮する一方、弾性体が収縮することで生じた弾性力に応じて被係止体を押圧することで、係止爪に対して一方向に向けた付勢力を付与することが好ましい。これによれば、係止部と受け部とは各々対向する方向に設けられた係止爪と被係止体とにより当接可能であって、係止爪および弾性体はそれぞれ被係止体を介して相互に押圧力(付勢力)を付与する。 【発明の効果】 【0017】 請求項1および請求項5に記載の発明によれば、レバーが車輪に対して遊転する他方向に揺動すると、当該レバーに対する他方向に向けた付勢力がレバー緩衝部材によって吸収される。そのため、可動部が固定部に衝突することが防止され、または、可動部が固定部に衝突してもその衝撃が緩衝されるため、車輪を駆動するための駆動機構(可動部、固定部、力伝達機構を含む)の損傷や劣化等を抑制することができる。これにより、レバーが自重によって自由回転しても、移動体や車椅子(特に、駆動機構)に不具合が発生することを防止することが可能となる。 【0018】 また、請求項2および請求項6に記載の発明によれば、第1揺動位置から第2揺動位置まで揺動可能なレバーが第2揺動位置まで揺動すると、可動部と固定部の制限部材とが当接して衝撃が発生するところ、レバー緩衝部材によってその衝撃が緩衝される。そのため、レバーが自由回転によって車輪に対して遊転する方向に第2揺動位置まで揺動しても、可動部が固定部の制限部材に衝突して生じる衝撃が緩衝されるため、車輪を駆動するための駆動機構(可動部、固定部および力伝達機構を含む)の損傷や劣化等を抑制することができる。 【0019】 さらに、可動部と固定部との間にレバー緩衝部材を設けても、レバーは可動部が固定部の制限部材により制限される回動範囲内で揺動可能である(すなわち、第1揺動位置から第2揺動位置まで揺動可能である)。そのため、レバー緩衝部材によってレバーの揺動可能範囲が制限されることなく、レバーの揺動可能範囲をより広い範囲で確保することができる。 【0020】 また、請求項3および請求項7に記載の発明によれば、固定部に設けられた受け部と可動部に設けられた係止部とが対向して配置されており、レバーが第2揺動位置またはその近傍まで揺動すると、係止部が受け部の弾性体を押圧する一方、当該弾性体の弾性力が係止部に付与されるのでレバーが反転する。そのため、レバーが第2揺動位置から離間した揺動位置にある場合はレバーの自由な揺動を確保することができる一方、レバーが第2揺動位置またはその近接した揺動位置にある場合はレバーが車輪に対して遊転する方向に揺動することを制限することができる。 【0021】 請求項4および請求項8に記載の発明によれば、係止部と受け部とは各々対向する方向に設けられた係止爪と被係止体とにより当接可能であって、係止爪および弾性体はそれぞれ被係止体を介して相互に押圧力(付勢力)を付与する。よって、係止爪は被係止体を介して弾性体に押圧力を加える一方、弾性体は被係止体を介して係止爪に押圧力を加えるので、係止爪および弾性体が直接相互に作用するよりも均等に押圧力(付勢力)を相互に付与することができる。これにより、レバー緩衝部材について安定的かつ正確な作用を確保することができる。 【0022】 さらに、固定部に設けられた受け部(特に、弾性体)、および、可動部に設けられた係止部(特に、係止爪)について、それぞれの位置関係,形状,大きさ(長さ),材質等を適宜変更して設けることが好ましい。この場合、レバーを車輪に対して遊転する方向に自由回転させた場合に、当該レバーが保持される揺動位置(すなわち、当該レバーの把持部が保持される位置)を任意に変更することが可能となる。つまり、レバーを車輪に対して遊転する方向に自由回転させると、当該レバーの自重による加重と受け部の弾性体の弾性力とが均衡した状態で、係止部が受け部に支持されてレバーの揺動位置が保持される。そして、この状態のときに当該レバーの把持部が保持される位置が、着座者がレバーの把持部を把持して揺動操作を開始する位置(レバー操作開始位置)とすることができる。特に、このレバー操作開始位置を着座者が把持しやすい位置(例えば、座部の近傍や着座者の手元近傍など)とすれば、着座者によるレバー操作の負担を軽減することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 以下、本発明に係る車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の好適な実施形態の例について、各図を参照しつつ説明する。なお、本実施形態における車輪駆動装置では、後述する車椅子を前進させる場合におけるレバーの揺動方向(言い換えれば、車椅子の前進方向)をX方向、車椅子を後退させる場合におけるレバーの揺動方向(言い換えれば、車椅子の後退方向)をY方向と称する。 【0024】 まず、本実施形態における車輪駆動装置10の概要について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 【0025】 図1に示すように、この車輪駆動装置10は、車輪の回転によって走行する例えば車椅子に用いられ、車椅子に取り付けられた場合に車輪に対して揺動自在となる手動式のレバー12と、回転部20(本発明の「可動部」に相当)と、固定部30と、力伝達機構40と、力伝達態様切替機構70とを備えている。 【0026】 レバー12は、湾曲状に延在しており、端部に把持部121を有している。このレバー12が湾曲状に形成されているのは、審美性の観点、および、例えば車椅子の着座者が把持部121を把持しやすくする観点からである。 【0027】 回転部20は、車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合において、レバー12の揺動に伴って車椅子に対して回転する部分であり、カップ体22と、ハブ24とを有している。 【0028】 カップ体22は、レバー12の端部(より詳しくは、把持部121とは反対側の端部)に固定して取り付けられており、盆状または椀状に形成された略円形の部材である。ハブ24は、中央部に略円形の円板部が形成された長手部材であって、一方の端部がT字状に形成されている。そして、円板部がカップ体22の中心部に配置されるようにして、両端部がカップ体22と一体的に取り付けられている。 【0029】 固定部30は、車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合において、レバー12の揺動に伴って回転しない部分、即ち、X方向またはY方向についての回転が制限されるようにして後述する車椅子に固定される部分であり、軸部材32と、制限部材34とを有している。 【0030】 軸部材32は、後述する車椅子の車輪を貫通して車椅子のフレームに固定される。制限部材34は、回転部20が回転したときにハブ24と当接することによって、回転部20の回転範囲、即ちレバー12の揺動可能範囲を制限するための部材である。 【0031】 なお、カップ体22の盆状または椀状に形成された凹部には、制限部材34とハブ24との間に介在して、レバー緩衝機構120が設けられている。レバー緩衝機構120は、レバー12がX方向に揺動した場合に、当該レバー12に対するX方向に向けた付勢力を吸収するものである。このレバー緩衝機構120は、制限部材34の一端側に設けられた受け部130と、ハブ24の一端側に設けられた係止部140とが、各々対向する位置に一対として設けられて構成される。なお、レバー緩衝機構120が本発明の「レバー緩衝部材」に相当するが、その詳細は後述する。 【0032】 さらに、カップ体22の盆状または椀状に形成された凹部における略中心位置に、力伝達機構40が収納されている。より詳細には、この力伝達機構40は、後述する車椅子の車輪とレバー12との間に配置される。この力伝達機構40は、第1の態様、第2の態様および第3の態様のうちいずれかの態様に切替可能となっている。 【0033】 車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合において、力伝達機構40が第1の態様または第2の態様である場合には、レバー12を揺動させることによって車輪に対していずれかの方向に回転力を付与することができる。第3の態様である場合には、レバー12を揺動させても車輪に対して遊転し、いずれの方向にも回転力を付与することができない。なお、第1の態様、第2の態様および第3の態様についての詳細は後述する。 【0034】 ここで、力伝達機構40の構成について、図1および図2を参照しつつ説明する。図2は、力伝達機構40の一例を示す正面図である。 【0035】 図1および図2に示すように、力伝達機構40は、第1ギヤ42、第2ギヤ44、第3ギヤ46、第4ギヤ48、内側レース50および楔締要素52を備えている。第1ギヤ42は、略円形の中空部421を有しており、制限部材34(図1参照)に固定して取り付けられる第2ギヤ44(図1参照)と螺合するように配置されている。また、第3ギヤ46が、第2ギヤ44と同心であって且つ第2ギヤ44と一体的に重ね合わせて配置されている。さらに、第4ギヤ48(図1参照)が、第1ギヤ42と同心であって且つ第3ギヤ46と螺合するように配置されている。この第4ギヤ48は、後述する車輪に固定される。 【0036】 これにより、第1ギヤ42が回転するとこれに螺合する第2ギヤ44が回転する。そして、第2ギヤ44が回転するとこれと一体的である第3ギヤ46が回転する。さらに、第3ギヤ46が回転するとこれに螺合する第4ギヤ48が回転する。第4ギヤ48は車輪に固定されているので、第1ギヤ42が回転すると、この回転力が、第2ギヤ44、第3ギヤ46および第4ギヤ48を介して車輪に伝達される。 【0037】 第1ギヤ42の中空部421には楔締要素52および内側レース50が配置される。より具体的には、第1ギヤ42の径内側に楔締要素52が配置され、さらにこの楔締要素52の径内側に内側レース50が配置される。即ち、楔締要素52は、第1ギヤ42と内側レース50との間に配置されることとなる。 【0038】 また、内側レース50の中心Oには、軸部材32が、内側レース50に対して回転自在に貫通している。ここで、内側レース50は、ハブ24の円板部と同心であって且つハブ24と一体的に固定して取り付けられているので、レバー12を揺動させると、ハブ24の回転に伴って回転する。 【0039】 一方、軸部材32は車椅子のフレームに固定される。即ち、車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合、レバー12を揺動させると、内側レース50が軸部材32に対して回転することとなる。 【0040】 ここで、内側レース50の形状について、図3を参照しつつ説明する。図3は、内側レース50周辺の一例を示す外観斜視図である。 【0041】 図3に示すように、内側レース50は、多角形に形成された板状の部材である。この多角形の角部は、中心Oから外周までの距離が最も大きい最大径部501となっている。これにより、多角形の角部の数と最大径部501の数とは同じとなる。 【0042】 一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間には、中心O側に凹む弧が形成されている。これにより、一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間には、中心Oから外周までの距離が最も小さい最小径部502が形成されることとなる。 【0043】 なお、ハブ24の円板部近傍には、後述するワイヤ722に連結された傘歯車76が配置されている。 【0044】 次に、楔締要素52の構成について、図3および図4を参照しつつ説明する。図4は、楔締要素52の一例を示す外観斜視図である。 【0045】 図4に示すように、楔締要素52は、台座54、複数のローラ56、複数の支持柱58および複数の弾性部材60から構成されている。台座54は、中空部542を有する略円形の形状をしており、外周面の一部には、傘歯車76と螺合する切欠部541が外周面に沿って形成されている。 【0046】 この台座54には、いずれも略同じ直径rである円柱形の複数のローラ56が、中空部542の周囲に配列して載置されている。より具体的には、楔締要素52の径内側に内側レース50が配置された場合に、一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間にローラ56が一つずつ配置されるように、台座54に配列して載置される。 【0047】 また、台座54からは、ローラ56が載置される側に向けて支持柱58が立設している。支持柱58は、互いに隣接する各ローラ56の間(即ち、一のローラと他のローラとの間)に一つずつ立設されており、各ローラ56を支持している。さらに、互いに隣接する各ローラ56の間には、各ローラ56を、台座54の径内側に向けて付勢する弾性部材60としての板バネが配置されている。 【0048】 次に、力伝達機構40の作用について、図5〜図7を参照しつつ説明する。図5は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第1の態様の場合を示す図である。図6は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第2の態様の場合を示す図である。図7は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第3の態様の場合を示す図である。 【0049】 なお、図5〜図7に図示されるように、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離は、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σが最も小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξが最も大きい。また、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σはローラ56の直径rよりも小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξはローラ56の直径rよりも大きい。 【0050】 図5に示す第1の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、Y方向側最大径部501b近傍に配置されている。 【0051】 力伝達機構40が第1の態様の場合において、レバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、これに伴って内側レース50がX方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、X方向について内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内側レース50および第1ギヤ42が一体となってX方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、最小径部502からY方向側最大径部501bにかけて、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離が次第に小さくなっているからである。これにより、内側レース50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して後述する車輪に伝達される。言い換えれば、力伝達機構40が第1の態様である場合は、X方向についてはローラ56の楔締め効果が発揮されるため、レバー12は保持されていなくてもにX方向には自由回転しない。そして、後述する車椅子の着座者等がレバー12をX方向に揺動させると、車輪駆動装置10が取り付けられた車輪がX方向に回転する(すなわち、車椅子が前進する)。 【0052】 一方、レバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転(即ち空転)する。即ち、Y方向について内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。Y方向側最大径部501bから最小径部502にかけて、内側レース50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が次第に大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。言い換えれば、力伝達機構40が第1の態様である場合は、ローラ56の楔締め効果がY方向については発揮されないため、レバー12は保持されていないとY方向に自重によって自由回転(すなわち、レバー12の自由落下)が可能な状態となる。そして、後述する車椅子ではレバー12がY方向に揺動しても、車輪駆動装置10が取り付けられた車輪はY方向に回転しない(すなわち、車椅子は後退しない)。 【0053】 図6に示す第2の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、X方向側最大径部501a近傍に配置されている。 【0054】 力伝達機構40が第2の態様の場合において、レバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、これに伴って内側レース50がY方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、Y方向について内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内側レース50および第1ギヤ42が一体となってY方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、最小径部502からX方向側最大径部501aにかけて、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離が次第に小さくなっているからである。これにより、内側レース50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して後述する車輪に伝達される。言い換えれば、力伝達機構40が第2の態様である場合は、Y方向についてはローラ56の楔締め効果が発揮されるため、レバー12は保持されていなくてもにY方向には自由回転しない。そして、後述する車椅子の着座者等がレバー12をY方向に揺動させると、車輪駆動装置10が取り付けられた車輪がY方向に回転する(すなわち、車椅子が後退する)。 【0055】 一方、レバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転する。即ち、X方向について内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。X方向側最大径部501aから最小径部502にかけて、内側レース50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が次第に大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。言い換えれば、力伝達機構40が第2の態様である場合は、ローラ56の楔締め効果がX方向については発揮されないため、レバー12は保持されていないとX方向に自重によって自由回転(すなわち、レバー12の自由落下)が可能な状態となる。そして、後述する車椅子ではレバー12がX方向に揺動しても、車輪駆動装置10が取り付けられた車輪はX方向に回転しない(すなわち、車椅子は前進しない)。 【0056】 図7に示す第3の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、最小径部502付近に配置されている。 【0057】 力伝達機構40が第3の態様の場合において、レバー12(図1参照)をX方向およびY方向のいずれに向けて揺動させても、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転する。即ち、X方向およびY方向のいずれについても、内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξがローラ56の直径rよりも大きいために、楔締め効果が発揮されないからである。言い換えれば、力伝達機構40が第3の態様である場合は、ローラ56の楔締め効果がX方向およびY方向のいずれについても発揮されないため、レバー12は保持されていないとX方向およびY方向のいずれにも自重によって自由回転(すなわち、レバー12の自由落下)が可能な状態となる。そして、後述する車椅子ではレバー12がX方向およびY方向のいずれに揺動しても、車輪駆動装置10が取り付けられた車輪はX方向およびY方向のいずれにも回転しない(すなわち、車椅子は前進および後退しない)。 【0058】 また、内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転するとき、内側レース50と第1ギヤ42との間には間隙が形成されているので、内側レース50が第1ギヤ42に対して無段で遊転する。即ち、レバー12を揺動させたときに、ラチェットタイプの場合のような衝撃を受けることがない。 【0059】 ここで、内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態であるとき、レバー12を揺動させても衝撃を受けないのは、各ローラ56が、弾性部材60によって台座54の径内側に向けて付勢されているからである。即ち、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離がローラ56の直径よりも大きい部位にローラ56が配置されているとき、内側レース50が回転したとしても、弾性部材60の付勢作用によってローラ56と第1ギヤ42との間に間隙が発生し、第1ギヤ42まで伝達される内側レース50の回転に伴って発生する衝撃を軽減することができるからである。 【0060】 なお、各ローラ56の配置位置(即ち力伝達機構40の態様)については、台座54(図4参照)を周方向に回転させることによって切り替えることができる。この台座54を周方向に回転させる(即ち力伝達機構40の態様を切り替える)ための力伝達態様切替機構70について、図8を参照しつつ説明する。図8は、力伝達態様切替機構70の一例を示す分解斜視図である。 【0061】 図8に示すように、力伝達態様切替機構70は、切替部材72、切替操作部74、前述の傘歯車76および連結部材78を有している。 【0062】 切替部材72は、軸状のものであって、レバー12に沿って設けられている(図1参照)。具体的には、レバー12の長手方向に沿って図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔の内部に切替部材72が配置されている。この切替部材72が軸心720を回転中心として回転したとき、傘歯車76を介して台座54(図4参照)が周方向に回転し、これにより力伝達機構40(図1参照)の態様が切り替えられる。また、この切替部材72は、一方の端部が切替操作部74に連結固定される非撓曲部材721と、一方の端部が非撓曲部材721の他方の端部に連結されるワイヤ722とから構成されている。このワイヤ722の他方の端部には傘歯車76が一体的に固定されている。 【0063】 非撓曲部材721は、例えば棒状の鋼材で構成されており、撓むことがない直線状の部材である。そして、軸心720を回転中心として回転したときに、一方の端部の回転角と他方の端部の回転角とが実質的に同一となる。 【0064】 ワイヤ722は、湾曲可能な部材(即ちフレキシブルに撓む撓曲部材)である。ただし、非撓曲部材721のように、軸心720を回転中心として回転したときに、一方の端部の回転角と他方の端部の回転角とが実質的に同一であること(即ち捩れ角が極めて小さいこと)が好ましい。本実施形態においては、この捩れ角が、5度以内となっている。 【0065】 非撓曲部材721の他方の端部とワイヤ722の一方の端部とは、軸心720を回転中心とする回転方向(α方向およびβ方向)について、任意の角度で連結可能な連結部材78(長ビス781および短ビス782)によって互いに連結固定されている。即ち、非撓曲部材721とワイヤ722とを連結するに際し、非撓曲部材721およびワイヤ722のいずれもが任意の角度において、両者を連結することができる。換言すれば、非撓曲部材721とワイヤ722とを連結するに際し、レバー12の長手方向を回転中心とする回転方向における回転角に制限を受けることなく、両者を連結することができる。 【0066】 切替操作部74は、レバー12の把持部121近傍(より具体的には把持部121よりもさらにレバー12の端部側)に備えられている(図1参照)。この切替操作部74は、α方向およびβ方向に回転自在となっている。また、切替操作部74は、操作本体部741と、この操作本体部741に一体的に固定される頭部742と、を有している。操作本体部741には、操作本体部741をα方向およびβ方向に容易に回転させることができるように、摘み部が形成されている。頭部742には、非撓曲部材721が固定して取り付けられている。 【0067】 なお、本実施形態では、切替操作部74の回転位置によって、力伝達機構40の態様がいずれの態様であるかを把握できるように構成されていることが望ましい。例えば、操作本体部741には、頭部742の周囲に「前」および「後」を表示しておく。そして、操作本体部741を「前」の方向に向けて回転させると、力伝達機構40が第1の態様(前進可能)となるようにすればよい。同様に、操作本体部741を「後」の方向に向けて回転させると、力伝達機構40の態様が第2の態様(後退可能)となるようにすればよい。 【0068】 次に、力伝達態様切替機構70の作用について、図5〜図8を参照しつつ説明する。 【0069】 図8において、操作本体部741をα方向またはβ方向に回転させると、これに伴って頭部742が同じ方向に回転する。この頭部742の回転に伴って、非撓曲部材721、ワイヤ722および傘歯車76が、頭部742と同じ方向に回転する。 【0070】 傘歯車76は、前述のとおり、台座54(図5参照)に形成された切欠部541(図5参照)と螺合するように配置されているので、傘歯車76の回転に伴って、台座54が周方向(即ちX方向またはY方向)に移動する。これにより、ローラ56(図6〜図8参照)が内側レース50に対して移動する(より具体的にはX方向側最大径部501aとY方向側最大径部501bとの間を移動する)。このように、操作本体部741をα方向またはβ方向に回転させることによって、力伝達機構40の態様を、第1の態様、第2の態様および第3の態様のいずれかの態様にすることができる。 【0071】 なお、操作本体部741に「前」および「後」を表示する場合は、「前」の表示位置と「後」の表示位置との角度が、力伝達機構40が第1の態様から第2の態様に切り替わるまでに必要な傘歯車76(即ち切替部材72)の回転角と一致するように表示すればよい。また、「前」と「後」との中間が中立となるようにすればよい。 【0072】 次に、レバー緩衝機構120について、図9〜図14を参照しつつ説明する。図9は、レバーが揺動開始位置Pに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。図10は、図9に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。図11は、レバーが緩衝位置Rに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。図12は、図11に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。図13は、レバーが第2揺動位置Sに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。図14は、図13に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。 【0073】 図9〜図14に示すように、カップ体22の盆状または椀状に形成された凹部には、制限部材34とハブ24との間に介在して、受け部130と係止部140とからなるレバー緩衝機構120が設けられている。受け部130は、レバー12におけるX方向への付勢力を吸収する弾性部として機能する。一方、係止部140は受け部130に当接して、レバー12からの付勢力を受け部130に与え、または受け部130からの弾性力をレバー12に与える力伝達部として機能する。 【0074】 受け部130は、基部131、軸部132a,132b、コイルバネ133a,133b、止めネジ134a,134b、被係止部135、および、拡径部136a,136bからなる。なお、コイルバネ133a,133bが本発明の「弾性体」に相当し、被係止部135が、本発明に「被係止体」に相当する。 【0075】 基部131は、略長方形状の板状部材であって、その長手方向の一端縁部が、六角ナット35によって制限部材34の端部34aに固定されている。そして、基部131の長手方向は、制限部材34の端部34aからみて、当該制限部材34の軸線方向と直交する方向に向けて延びている。また、この基部131の長手方向は、カップ体22の凹部がなす平面と略平行をなす。なお、この基部131は、少なくともカップ体22内部に収容可能な程度の大きさとなっており、当該基部131における長手方向の他端縁部はカップ体22の周縁部に接触しないように、車輪駆動装置10の取り付け方向(すなわち、後述する車輪側)に向けて屈曲している。 【0076】 そして、基部131における長手方向の他端縁部には、制限部材34の軸線方向と平行に、かつ、カップ体22の内側に向けて延びるように、2本の細長円柱状の軸部132a,132bが並列に立設されている。各軸部132a,132bは、各々の端部に形成された雌ネジ孔(図示外)に基部131を介して止めネジ134a,134bが螺合されて、当該基部131に固定されている。なお、軸部132a,132bの各々の全長(高さ)は、当該軸部132a,132bの軸線方向において内側レース50の中心O(カップ体22の中心)に最も近接する位置に、各々の軸部132a,132bの先端部が位置する長さが望ましい。 【0077】 軸部132a,132bには、それぞれコイルバネ133a,133bが巻回されている。そして、コイルバネ133a,133bの先端側には、長方形状の板状部材である被係止部135が配置されている。この被係止部135には、各軸部132a,132bの径よりも若干大きい2つの貫通孔(図示外)が並列に設けられている。そして、各軸部132a,132bが被係止部135に形成された各貫通孔(図示外)を挿通して、被係止部135は各軸部132a,132bに沿って摺動可能となっている。 【0078】 なお、各軸部132a,132bの先端には、各貫通孔(図示外)よりも大きな径を有する封止部材である拡径部136a,136b(図14参照)が取り付けられている。そのため、被係止部135に対して外圧が加えられていない状態では、コイルバネ133a,133bが被係止部135を弾性力によって押圧し、当該被係止部135が拡径部136a,136bで係止された状態に保持されるようになっている。 【0079】 一方、係止部140は、ハブ24におけるT字状に形成された端部24aから若干中心O側において、受け部130に対向する側面部に設けられた金具であって、基部141、延設片142、係止爪片143、および、止めネジ144a,144bからなる。なお、係止爪片143が本発明の「係止爪」に相当する。 【0080】 基部141は、略長方形状の板状部材であって、ハブ24における端部24a側の側面部に、止めネジ144a,144bによって固定されている。この基部141の中心O側の端縁部には、当該基部141の平面に対して略垂直に延設片142が立設されている。また、延設片142における車輪側(言い換えれば、車輪駆動装置10の取り付け方向)の端縁部には、カップ体22の径外方向に向けて係止爪片143が延設されている。つまり、係止部140は、側面視、カップ体22の径外方向に向けて開口した略コの字型をなす板状金具である。なお、本実施形態では、係止部140は、一つの金属板が屈曲形成されており、基部141、延設片142、および、係止爪片143が一体に構成されている。 【0081】 以上のような構成を有するレバー緩衝機構120では、受け部130が固定部30(制限部材34)に取り付けられているため、レバー12が揺動してもその位置は一定である。一方、係止部140が回転部20(ハブ24)に取り付けられているため、レバー12が揺動するとそれに連動して回転移動する。ここで、受け部130が有する被係止部135と係止部140が有する係止爪片143とは、各々が対向するように設けられて、かつ、各々の中心Oからの距離も略等しい。そのため、レバー12がX方向に向けて所定量揺動すると、それに連動する係止部140の係止爪片143は、所定位置に固定された受け部130の被係止部135と当接するようになっている。 【0082】 ここで、レバー緩衝機構120の作用について、図9〜図14を参照しつつ説明する。以下では、レバー12が自重によってX方向に自由回転する場合を例示して、レバー緩衝機構120の作用について説明する。 【0083】 なお、前提として、力伝達機構40が第2の態様または第3の態様(すなわち、レバー12がX方向に遊転可能な状態)であるものとする。また、レバー12をY方向に揺動させた場合に、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に当接してY方向への移動が制限されるレバー位置を「第1揺動位置P」とする。逆に、レバー12をX方向に揺動させた場合に、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に当接してX方向への移動が制限されるレバー位置を「第2揺動位置S」とする。 【0084】 図9および図10に示す車輪駆動装置10は、レバー12が揺動開始位置Qに位置した状態を示している。本実施形態における「揺動開始位置Q」は、レバー12の軸線方向が鉛直方向と略平行になるようにレバー12が起立された状態(すなわち、レバー12が揺動していないデフォルト位置)での回転位置をいう。ここでは、この揺動開始位置Qを基点としてレバー12が揺動する場合を例示して説明する。 【0085】 レバー12が揺動開始位置Qに位置した状態では、レバー12はX方向およびY方向のいずれにも揺動可能である。そして、レバー緩衝機構120が設けられた側におけるハブ24と制限部材34とがなす角度(言い換えれば、中心Oと端部24aを結ぶ直線と、中心Oと端部34aを結ぶ直線がなす、X方向へ向けたハブ24から制限部材34までの角度)が大きい。そのため、レバー緩衝機構120では、受け部130と係止部140とが離間しており、係止爪片143は被係止部135に当接していない。 【0086】 次に、図11および図12に示す車輪駆動装置10は、レバー12が緩衝位置Rに位置した状態を示している。本実施形態における「緩衝位置R」は、レバー12がX方向に向けて揺動開始位置Qから所定量(例えば、45度)揺動した状態での回転位置をいう。 【0087】 すなわち、レバー12が揺動開始位置Qから緩衝位置Rまで揺動すると、当該レバー12の回転に連動して、ハブ24もX方向に向けて所定量(例えば、45度)回転する。すると、レバー12が緩衝位置Rに位置した状態では、レバー緩衝機構120が設けられた側におけるハブ24と制限部材34とがなす角度が、揺動開始位置Qにおける角度よりも小さくなる。これに伴い、ハブ24に設けられた係止部140(係止爪片143)が、制限部材34に設けられた受け部130(被係止部135)に当接する。 【0088】 次に、図13および図14に示す車輪駆動装置10は、レバー12が第2揺動位置Sに位置した状態を示している。本実施形態における「第2揺動位置S」は、レバー12がX方向に向けて揺動開始位置Qから所定量(例えば、90度)揺動した状態での回転位置をいう。なお、レバー12が第2揺動位置Sに位置した状態では、回転部20(ハブ24)と固定部30(制限部材34)とが当接するため、レバー12はさらにX方向には揺動することができない。 【0089】 すなわち、レバー12が緩衝位置Rからさらに第2揺動位置Sまで揺動すると、当該レバー12の回転に連動して、ハブ24もX方向に向けて所定量(例えば、45度)回転する。すると、レバー12が第2揺動位置Sに位置した状態では、レバー緩衝機構120が設けられた側におけるハブ24と制限部材34とがなす角度が、緩衝位置Rにおける角度よりも小さくなる。 【0090】 これに伴い、ハブ24に設けられた係止部140(係止爪片143)が、制限部材34に設けられた受け部130(被係止部135)を、レバー12に対する付勢力に応じてX方向に押圧する。すなわち、係止爪片143が被係止部135を押圧しつつX方向に移動するのに応じて、コイルバネ133a,133bが軸部132a,132bに沿って各々収縮する。なお、レバー12は第2揺動位置Sを超える位置までX方向へ揺動することはできないため、レバー12が第2揺動位置Sまで移動したときにコイルバネ133a,133bは最も小さく収縮する。 【0091】 なお、細長板状をなす係止爪片143は、その側面部で被係止部135に対して略垂直に当接し、被係止部135を押圧しながら拡径部136a,136b(軸部132a,132b)の略中間を通過するようにX方向に移動する。そのため、係止爪片143は被係止部135を介してコイルバネ133a,133bの各々に対して略均等に押圧力を付与する。言い換えれば、レバー12に対するX方向の付勢力(レバー12の自重による加重)は、コイルバネ133a,133bの各々に対して略均等に付与される。 【0092】 このように、レバー12が遊転可能なX方向に向けて自重により自由回転したとしても、レバー緩衝機構120によってレバー12に対するX方向への付勢力が吸収される。すなわち、係止部140(係止爪片143)が受け部130(被係止部135)に当接して押圧するとコイルバネ133a,133bが収縮するので、レバー12に対するX方向への付勢力が間接的に吸収される。そのため、レバー12が揺動可能範囲の最下点(ここでは、第2揺動位置S)まで自由回転して回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に衝突したとしても、レバー緩衝機構120によってその衝突エネルギーが軽減される。よって、車輪駆動装置10の駆動機構(例えば、回転部20,固定部30,力伝達機構40など)に不具合が生じることを防止することができる。 【0093】 より詳細には、レバー12が遊転可能なX方向に向けて第2揺動位置Sまたはその近傍(すなわち、緩衝位置Rから第2揺動位置Sまでの位置)に揺動すると、レバー緩衝機構120によってレバー12に対するX方向への付勢力が吸収されることになる。また、コイルバネ133a,133bの弾性力がレバー12に対するX方向への付勢力よりも大きい場合には、レバー12がX方向に向けて自由回転しても、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に接触する前に当該レバー12はY方向に反転される。この場合には、そもそも回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に衝突しないため、上記と同様に車輪駆動装置10の駆動機構に不具合が生じることを防止することができる。 【0094】 ここで、特に通常時(レバー12の非操作時)には、車輪駆動装置10が具備された車椅子の自由移動を確保するために、力伝達機構40が第3の態様(すなわち、レバー12がX方向およびY方向に遊転可能な状態)に設定されることが多い。この場合に、レバー12の位置を固定するのを忘れたり、レバー12の位置を保持する機構が設けられていない等の理由で、レバー12の自由回転によって車輪駆動装置10の駆動機構に不具合を生じるリスクが高かった。しかし、本実施形態に係る車輪駆動装置10によれば、このようなリスクを回避でき、車輪駆動装置10の品質や安全性を確保することができる。 【0095】 なお、上記では力伝達機構40が第2の態様または第3の態様である場合を例示したが、第1の態様(すなわち、レバー12がX方向に遊転しない状態)であっても、以下のような作用を奏することができる。すなわち、力伝達機構40が第1の態様ではレバー12はX方向に自由回転しないが、例えば車輪駆動装置10が具備された車椅子の着座者が、当該車椅子を前進させるためにレバー12をX方向に揺動させたとする。 【0096】 この場合、車椅子の着座者がレバー12に対して過剰にX方向への付勢力を加えて、レバー12を揺動可能範囲の最下点(ここでは、第2揺動位置S)まで移動させると、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材)に激しく衝突することが考えられる。しかしながら、本実施形態に係る車輪駆動装置10によれば、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に衝突しても、車椅子の着座者がレバー12に対して付与したX方向への付勢力が、レバー緩衝機構120によって上記と同様に吸収されるため、力伝達機構40が第2の態様または第3の態様であるときと同様にして、車輪駆動装置10の駆動機構に不具合が生じることを防止することができる。 【0097】 ところで、図13および図14に示すように、レバー12が第2揺動位置Sに位置した状態では、コイルバネ133a,133bがその収縮により生じた弾性力に応じて被係止部135を押圧して、係止部140(係止爪片143)に対してY方向への付勢力を加えている。そのため、力伝達機構40が第1の態様または第3の態様(すなわち、レバー12がY方向に遊転可能な状態)であれば、コイルバネ133a,133bはレバー12の自重に抗って伸長して、係止部140(係止爪片143)をY方向に向けて回転させる。これに伴い、コイルバネ133a,133bが最も伸長するまでレバー12もY方向に揺動して、理論的には緩衝位置Rの近傍まで移動可能である(図11および図12参照)。なお、実際には、レバー12が操作されていない状態(自由回転可能な状態)であっても、レバー12の自重による加重(X方向への付勢力)が加えられるため、外圧の影響がなければ、レバー12はX方向への付勢力とコイルバネ133a,133bの弾性力とが均衡する位置までY方向に揺動して、当該位置においてレバー12は保持される。 【0098】 なお、細長板状をなす係止爪片143は、その側面部で被係止部135に対して略垂直に当接した状態のまま、被係止部135に押圧されながら拡径部136a,136b(軸部132a,132b)の略中間を通過するようにY方向に移動する。そのため、コイルバネ133a,133bの各々は、被係止部135を介して係止爪片143に対して略均等に押圧力を付与する。言い換えれば、コイルバネ133a,133bによる各々の弾性力は、レバー12に対して略均等に付与される。 【0099】 これにより、力伝達機構40が第1の態様または第3の態様(すなわち、レバー12がY方向に遊転可能な状態)である場合に、レバー12が自由落下やレバー操作によってX方向に揺動可能範囲の最下点(第2揺動位置S)まで揺動しても、当該レバー12は所定位置(緩衝位置Rの近傍)まで自動的にY方向に移動される。よって、車椅子の着座者などはレバー12を揺動可能範囲の最下点(第2揺動位置S)からわざわざ拾い上げる必要がない。特に、レバー12が保持される所定位置(緩衝位置Rの近傍)が、車椅子の着座者が把持しやすい位置であれば(例えば、着座者の手元近傍)、レバー12を拾い上げる労力が軽減されて着座者のレバー操作を便利にすることができる。 【0100】 なお、上記では力伝達機構40が第1の態様または第3の態様である場合を例示したが、第2の態様(すなわち、レバー12がY方向に遊転しない状態)であっても、以下のような作用を奏することができる。すなわち、力伝達機構40が第2の態様ではレバー12はY方向に自由回転しないが、例えば車輪駆動装置10が具備された車椅子の着座者が当該車椅子を後退させるために、揺動可能範囲の最下点(第2揺動位置S)に位置するレバー12をY方向に揺動させたとする。 【0101】 この場合、受け部130(コイルバネ133a,133b)の弾性力によって係止部140(係止爪片143)がY方向に向けて押圧されているため、車椅子の着座者はレバー12を通常よりも少ない力で揺動できる。より詳細には、少なくとも第2揺動位置Sから緩衝位置Rまでは、レバー12を通常よりも少ない力でY方向に揺動させることが可能となる。よって、力伝達機構40が第2の態様であるときも、着座者のレバー操作の負担を軽減することができる。 【0102】 ところで、本実施形態では、レバー12が揺動可能範囲の最下点(第2揺動位置S)まで揺動しても、コイルバネ133a,133bはさらに若干収縮可能となっている(言い換えれば、コイルバネ133a,133bは完全には収縮しきってない)。そして、レバー12のX方向およびY方向の揺動可能範囲は、レバー緩衝機構120の有無によっては変化しない。すなわち、回転部20と固定部30との間にレバー緩衝機構120を設けても、レバー12はハブ24が制限部材34により制限される回動範囲内で揺動可能である(すなわち、第1揺動位置Pから第2揺動位置Sまで揺動可能である)。そのため、レバー緩衝機構120を設けてもレバー12の揺動可能範囲が制限されることなく、レバー12の揺動可能範囲をより広い範囲で確保することが可能となっている。 【0103】 次に、上述の車輪駆動装置10を車椅子100に取り付ける方法について、図15を参照しつつ説明する。図15は、車輪駆動装置10、車椅子100の車輪102およびフレーム106の一例を示す外観斜視図である。 【0104】 車輪駆動装置10を車椅子100に取り付けるとき、先ず、軸部材32を、車輪102の中央部に形成された貫通孔1021を貫通させる。なお、車輪102の中央部には、この車輪102と同心となるように第4ギヤ48が取り付けられているので、軸部材32は、貫通孔1021および第4ギヤ48の中央部に形成された貫通孔481の両方に貫通させる。 【0105】 貫通孔481,1021を貫通して軸部材32は、フレーム106に支持される。より具体的には、フレーム106に固定された固定プレート112に、軸部材固定部114によって軸部材32が固定される。また、貫通孔1021の内側には軸受が設けられているので、車輪102は軸部材32に回転自在に支持されることとなる。即ち、車輪102は、軸部材32を介してフレーム106に回転自在に支持される。 【0106】 さらに、軸部材固定部114には、軸部材32を誘導するための軸部材誘導孔116が形成されている。例えば、軸部材32を多角柱とし、軸部材誘導孔116の内側を、軸部材32に対応する多角孔とすることによって、軸部材32を、軸部材誘導孔116に容易に導くことが可能となる。 【0107】 このように、軸部材32を貫通孔481,1021に貫通させてフレーム106に支持させるだけで、車輪駆動装置10を車椅子に容易に取り付けることが可能となる。このようにして車輪駆動装置10が取り付けられた車椅子を、図16に示す。図16は、車輪駆動装置10が取り付けられた車椅子の一例を示す外観斜視図である。 【0108】 この車椅子100は、一般的な車椅子と同様に、背もたれ部108およびキャスター110を備えている。そして、車輪駆動装置10は、車輪102の略中心からこの車輪102の径外側に向けて延在し、且つ車椅子100に対して揺動自在に設けられている。着座者が、この車輪駆動装置10のレバー12を揺動させることによって、車椅子100を、X方向またはY方向に移動させることが可能となる。 【0109】 より具体的には、力伝達機構40が第1の態様であるとき、着座者がレバー12をX方向に揺動させると車輪102がX方向に回転して車椅子100が前進する。一方、レバー12をY方向に揺動させても、遊転するのみである。また、力伝達機構40が第2の態様であるとき、着座者がレバー12をY方向に揺動させると車輪102がY方向に回転して車椅子100が後退する。一方、レバー12をX方向に揺動させても、遊転するのみである。さらに、力伝達機構40が第3の態様であるとき、着座者がレバー12をX方向およびY方向のいずれに揺動させても車輪102は前進も後退もすることなく、レバー12が遊転するのみである。 【0110】 以上のように、本実施形態の車輪駆動装置10は、車輪102の回転によって走行する車椅子100に用いられる。そして、車輪102の略中心から当該車輪102の径外側に向けて延在して設けられると共に、当該車輪102に対して揺動させることによって当該車輪102を回転させることが可能なものである。このように、車輪駆動装置10によって当該車輪102が回転することによって車椅子100が走行する。 【0111】 より詳細には、車輪駆動装置10が少なくとも車輪102を回転自在に支持するフレーム106を有する車椅子100に用いた場合には、力伝達機構40がレバー12と車輪102との間に取り付けられる。この力伝達機構40が第2の態様または第3の態様であるときは、レバー12がX方向に揺動したときは車輪102に対して遊転する。そして、レバー12の揺動と連動して回動可能な回転部20と、当該回転部20を回動可能に軸支する固定部30との間に、レバー12がX方向に揺動した場合に当該レバー12に対する付勢力を吸収するレバー緩衝機構120が設けられる。従って、レバー12が車輪102に対して遊転するX方向に揺動すると、当該レバー12に対するX方向に向けた付勢力がレバー緩衝機構120によって吸収されるため、回転部20が固定部30に衝突することが防止され、または、回転部20が固定部30に衝突してもその衝撃が緩衝される。 【0112】 よって、回転部20が固定部30に衝突することが防止され、または、回転部20が固定部30に衝突してもその衝撃が緩衝されるため、車輪102を駆動するための駆動機構(回転部20、固定部30、力伝達機構40を含む)の損傷や劣化等を抑制することができる。これにより、レバー12が自重によって自由回転しても、車輪駆動装置10や車椅子100(特に、駆動機構)に不具合が発生することを防止することが可能となる。 【0113】 なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。 【0114】 例えば、本実施形態では、X方向に遊転するレバー12を緩衝するようにレバー緩衝機構120を設けている。これは、Y方向側の第1揺動位置PよりもX方向側の第1揺動位置Sの方が、揺動開始位置Qからみて離間した回転位置であるため、レバー12が自由回転した場合の衝撃や負荷が大きいためという理由からである。よって、Y方向に遊転するレバー12を緩衝するレバー緩衝機構120´を、本実施形態に係るレバー緩衝機構120に替えて、または、これと共に設けてもよい。 【0115】 また、本発明に係る「弾性体」としてコイルバネ133a,133bを用いているが、ゴム部材やエアークッションなどの他の弾性体を用いてもよい。すなわち、レバー12が遊転する方向に揺動した場合に当該レバー12に対する付勢力を吸収することができる部材であればよい。また、本発明に係る「レバー緩衝部材」は、受け部130と係止部140とが一対となって構成されているが、上記機能を達成できるのであれば、一体の部材(例えば、一体の弾性体)として構成してもよい。 【0116】 さらに、コイルバネ133a,133bの弾性係数等を適宜変更してもよい。例えば、より加重の重いレバー12に対応するためや、レバー12に対してより強く緩衝できるように、コイルバネ133a,133bの弾性係数を高く設定してもよい。また、コイルバネ133a,133bの弾性係数を高くすれば、レバー12が自由回転しても揺動可能範囲の最下点(第2揺動位置S)まで達しにくくして、回転部20(ハブ24)が固定部30(制限部材34)に衝突するのを防止することができる。なお、この場合であっても、レバー12の揺動可能範囲が狭くならない程度に、コイルバネ133a,133bの弾性係数を設定することが望ましい。 【0117】 また、上述の実施形態において、この車椅子100は、全体の骨格をなすフレーム106に、着座可能な座部104が支持されている。この座部104の挟む両側には、フレーム106に対して回転自在な車輪102が一つずつ配置されている。ただし、車輪102の数はこれに限られず、例えば座部104を挟む両側に二つずつの車輪が一対となって配置されていても良い。 【0118】 また、上述の実施形態において、車椅子100は、一つの車輪102に対して車輪駆動装置10が一つずつ設けられているが、これに限られず、いずれか一方の車輪102についてのみ車輪駆動装置10が設けられていても良い。この場合、座部104を挟む両側の車輪102を連結することによって、車輪駆動装置10が設けられた側の車輪102を駆動輪、他の車輪102を従動輪とすることが好ましい。これにより、座部104を挟む両側の車輪102のうちいずれか一方の車輪102についてのみ車輪駆動装置10を設けた場合であっても、車椅子100を前進または後退させることが可能となる。 【0119】 また、上述の実施形態において、「レバー12」は、車輪102を回転させるといった機能は同じであるものの、一般的に「アーム」や「ハンドル」と称される場合もある。 【図面の簡単な説明】 【0120】 【図1】本発明に係る車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 【図2】力伝達機構の一例を示す正面図である。 【図3】内側レース周辺の一例を示す外観斜視図である。 【図4】楔締要素の一例を示す外観斜視図である。力伝達機構が第1の態様の場合を示す図である。 【図5】図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第1の態様の場合を示す図である。 【図6】図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第2の態様の場合を示す図である。 【図7】図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第3の態様の場合を示す図である。 【図8】レバーおよび力伝達態様切替機構の一例を示す分解斜視図である。 【図9】レバーが揺動開始位置Pに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 【図10】図9に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。 【図11】レバーが第1揺動位置Rに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 【図12】図11に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。 【図13】レバーが第2揺動位置Sに位置する場合の、車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 【図14】図13に示す車輪駆動装置におけるカップ体の内部機構を示す図である。 【図15】車輪駆動装置、車椅子の車輪およびフレームの一例を示す外観斜視図である。 【図16】車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の一例を示す外観斜視図である。 【符号の説明】 【0121】 10 車輪駆動装置 12 レバー 20 回転部 22 カップ体 24 ハブ 30 固定部 34 制限部材 40 力伝達機構 50 内側レース 52 楔締要素 54 台座 56 ローラ 58 支持柱 60 弾性部材 70 力伝達態様切替機構 100 車椅子 120 レバー緩衝機構 130 受け部 131 基部 132a,132b 軸部 133a,133b コイルバネ 134a,134b 止めネジ 135 被係止部 136a,136b 拡径部 140 係止部 141 基部 142 延設片 143 係止爪片 144a,144b 止めネジ
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| 【出願人】 |
【識別番号】505320399 【氏名又は名称】アバンテ株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月1日(2006.9.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100128923 【弁理士】 【氏名又は名称】納谷 洋弘
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| 【公開番号】 |
特開2008−55009(P2008−55009A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−237079(P2006−237079) |
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