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【発明の名称】 手動車椅子用走行アシスト機構
【発明者】 【氏名】安田 寿彦

【氏名】振角 大祐

【氏名】川久保 直幸

【氏名】田中 勝之

【要約】 【課題】非アシスト時のアシスト機構による走行抵抗を無くした、手動車椅子アシスト機構を提供する。

【構成】モータ回転軸、従動回転軸3、モータ側ゴムローラ軸4、従動側ゴムローラ軸5およびピン6をリンクで結合した5節リンク機構によって、アシスト動力および制動力を車椅子タイヤ31に伝達する2つのゴムローラ28、29を可動とする。ピン6の位置を電動制御して、2つのゴムローラ28、29と車椅子タイヤ31が接触した状態と離れた状態を切り換える。非アシスト時に2つのゴムローラ28、29と車椅子タイヤ31を離すことでアシスト機構による走行抵抗を無くす。電動ブレーキ30を付加したモータ2を動力源とするアシスト機構を、車椅子の左右の車輪を独立に制御できる形態で手動車椅子に取り付けて、パワーアシストをはじめ上り坂の逆転走行防止、下り坂の最高速度制限などを行って、手動車椅子の走行をアシストする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動車椅子の走行をアシストするための動力および制動力を車椅子タイヤに伝達するゴムローラを備えた手動車椅子において、当該ゴムローラと車椅子タイヤとを接触状態と非接触状態とに切り換えるための制御機構を備えたことを特徴とする手動車椅子用走行アシスト機構。
【請求項2】
前記ゴムローラと車椅子タイヤとを接触状態と非接触状態に切り換えのための制御機構は、車椅子タイヤを挟む2つのゴムローラと、該ゴムローラを車椅子タイヤを対称軸として同時可動しさらにアシスト時に車椅子タイヤの太さや空気圧状態に応じてゴムローラ間の間隔を所要の間隔に調節するための5節リンク機構と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の手動車椅子用走行アシスト機構。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の手動車椅子用走行アシスト機構は、前記制動力を車椅子タイヤに伝達するゴムローラを介して制動力を車椅子タイヤに供給する電動ブレーキをさらに備え、制動力を車椅子タイヤに伝達する制動機構を備えていることを特徴とする手動車椅子用走行アシスト機構。
【請求項4】
請求項1、2および3に記載されている手動車椅子用走行アシスト機構は、前記制御機構および制動機構を手動車椅子の左右輪に独立に設置したことを特徴とする手動車椅子用走行アシスト機構。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、操作者がハンドリムやレバーなどを操作して人力で走行する手動車椅子に取り付けて、操作者の身体的負担を軽減し、安全性を向上させる手動車椅子用走行アシスト機構に関する。
【背景技術】
【0002】
手動車椅子に取り付けて、電動車椅子にするための装置(以下、電動車椅子モジュールと呼ぶ)がある。電動車椅子モジュールの中に、2つのゴムローラで車椅子のタイヤを挟み、モータの動力をゴムローラを介してタイヤに伝達して手動車椅子の電動駆動を可能にするものが市販されている。この電動車椅子モジュールは、手動車椅子を電動駆動するとき、2つのゴムローラでタイヤを、常時、挟んでいる。手動車椅子を手動で動かすときには、車椅子利用者がレバーを操作して、手動でゴムローラをタイヤから離す必要がある。したがって,このタイプの電動車椅子モジュールを、たとえば、パワーアシスト機構に用いると、車椅子操作者がハンドリムに操作力を加えていないときに、モータに電流を流さないと、モータによる負荷およびゴムローラと車椅子タイヤの接触が走行抵抗となり、アシスト機構による走行抵抗が無い惰性走行を実現できない。
【0003】
また,車椅子タイヤおよびハンドリムと一体構造となり、車椅子のフレームに取り付ける車椅子のパワーアシストモジュールがある。前記パワーアシストモジュールは、タイヤおよびハンドリムと一体となっているので、既設のタイヤおよびハンドリムを取り外してから取り付ける必要があるので、車椅子タイヤおよび手動操作機構を変更せずにアシスト機能のみを、車椅子に付加することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のゴムローラで車椅子タイヤを挟む構造を有する電動車椅子モジュールを用いて、手動車椅子のパワーアシストを行うと、非アシスト時において、アシスト機構による走行抵抗が大きくなり、操作者が車椅子に加えた操作力の無駄な消費があった。一方、ゴムローラを介して動力を車椅子タイヤに伝達する形態の電動車椅子モジュールは、車椅子タイヤおよびハンドリムやレバーなどの操作機構を変更することなく、手動車椅子に取り付けが可能であるという長所を有する。
【0005】
この発明は、ゴムローラを介して動力および制動力を車椅子タイヤに伝達する形態の手動車椅子用走行アシスト機構において、操作者が車椅子に加えた操作力の無駄な消費を無くすために、非アシスト時のアシスト機構による走行抵抗を無くすことができる手動車椅子用走行アシスト機構を提供して、操作者の操作力を有効に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1では、手動車椅子の走行をアシストするための動力および制動力を車椅子タイヤに伝達するゴムローラを備えた手動車椅子において、当該ゴムローラと車椅子タイヤとを接触状態と非接触状態とに切り換えるための制御機構を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2では、前記ゴムローラと車椅子タイヤとを接触状態と非接触状態に切り換えのための制御機構は、車椅子タイヤを挟む2つのゴムローラと、該ゴムローラを車椅子タイヤを対称軸として同時可動しさらにアシスト時に車椅子タイヤの太さや空気圧状態に応じてゴムローラ間の間隔を所要の間隔に調節するための5節リンク機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3では、請求項1および請求項2に記載の手動車椅子用走行アシスト機構は、前記制動力を車椅子タイヤに伝達するゴムローラを介して制動力を車椅子タイヤに供給する電動ブレーキをさらに備え、制動力を車椅子タイヤに伝達する制動機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4では、請求項1、2および3に記載されている手動車椅子用走行アシスト機構は、前記制御機構および制動機構を手動車椅子の左右輪に独立に設置したことを特徴とする手動車椅子用走行アシスト機構。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明ではアシスト機構がアシストを行わない時にアシスト機構による走行抵抗をなくしたので、操作者が車椅子に加えた操作力のアシスト機構による消費をなくし操作者の車椅子操作のための負担を軽減し快適な手動走行ができる。
【0011】
また、「左右輪に異なる動力を伝達できるパワーアシスト」、「上り坂での逆転走行防止」、「上り坂での身体的負担が少なく安全な方向転換」、「下り坂での最大速度制限」、「下り坂での直進走行自動制御」、「片流れ軽減」などのアシスト機能を、既設のタイヤおよびハンドリムやレバーなどの手動操作機構を変更することなく手動車椅子に装備できるので、手動車椅子用走行アシスト機構の簡易な取り付けのみによって、手動車椅子の安全・快適な走行が可能となる。
【0012】
本発明と、特願2005−269601記載の従来技術である走行アシスト機能付き片手用車椅子の操作機構を組み合わせることによって、片手のみの操作によって、「左右輪に異なる動力を伝達するパワーアシスト」、「上り坂での逆転走行防止」、「上り坂での身体的負担が少なく安全な方向転換」、「下り坂での最大速度制限」、「下り坂での直進走行自動制御」、「片流れ軽減」などのアシスト機能を備えた片手用車椅子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態を図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9および図10に示す。だだし、図1は手動車椅子用走行アシスト機構の概観の略図である。図2は手動車椅子用走行アシスト機構を上方向から見た図である。図3は手動車椅子用走行パワーアシスト機構を左側面方向から見た図である。図4は手動車椅子用走行パワーアシスト機構を右側面方向から見た図である。図5は手動車椅子用走行パワーアシスト機構を下方向から見た図である。図6は手動車椅子用走行アシスト機構を正面から見た図である。ゴムローラと車椅子タイヤの接触状態と非接触状態を切り換える5節リンク機構の仕組みを示す簡略図である。ゴムローラと車椅子タイヤが非接触状態の場合である。図7は手動車椅子用走行アシスト機構を正面から見た図である。ゴムローラと車椅子タイヤの接触状態と非接触状態を切り換える5節リンク機構の仕組みを示す簡略図である。ゴムローラと車椅子タイヤが接触している状態である。図8は5節リンク機構を駆動するピンを動かす仕組みを説明する図である。ゴムローラと車椅子タイヤが非触状態である場合である。図9は5節リンク機構を駆動するピンを動かす仕組みを説明する図である。ゴムローラと車椅子タイヤが接触している状態である。図10は手動車椅子用走行アシスト機構を車椅子に固定する方法を示す図である。
【0014】
図1、図2および図3に示す、モータ2は車椅子の走行をアシストするための動力を供給する。モータ本体2Aはベース1に取り付ける。モータ回転軸2Bには、キーなどでモータの回転力が伝達されるモータ回転軸歯車20を取り付ける。モータ回転軸歯車20には、従動回転軸歯車21が噛み合っている。従動回転軸歯車21の回転はキーなどで従動回転軸3に伝達され、従動回転軸歯車21と従動回転軸3は一体になって回転する。従動回転軸3には、ベアリング7の内輪がはめあわされており、ベアリング7の外輪はベース1にはめあわされている。モータ回転軸歯車20と従動回転軸歯車21の歯数は同数とする。以上の構造によって、モータ2の動力が従動回転軸3に伝達され、モータ回転軸2Bと従動回転軸3は、平行を保ったまま同時に回転する。モータ回転軸2Bと従動回転軸3の回転方向は逆となり、回転速度は同じになる。
【0015】
図1、図3,図4および図5に示すように、モータ側ゴムローラ軸4および従動側ゴムローラ軸5には、車椅子のタイヤに動力を伝達するためのモータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29をそれぞれ取り付けている。モータ側ゴムローラ軸4とモータ側動力伝達ゴムローラ28は一体になっており、モータ側ゴムローラ軸4が回転すると、モータ側動力伝達ゴムローラ28はモータ側ゴムローラ軸4と一体となって回転する。従動側ゴムローラ軸5と従動側動力伝達ゴムローラ29は一体になっており、従動側ゴムローラ軸5が回転すると、従動側ゴムローラ29は従動側ゴムローラ軸5と一体となって回転する。
【0016】
モータ回転軸2からゴムローラ軸4への動力の伝達は、プーリとタイミングベルトを用いる。図3に示すように、モータ回転軸2Bにモータ側プーリA22をモータ回転軸2Bとモータ側プーリA22が一体となって回転するように取り付ける。モータ側ゴムローラ軸4にモータ側プーリB23をモータ側ゴムローラ軸4とモータ側プーリB23が一体となって回転するように取り付ける。モータ側タイミングベルト24を、モータ側プーリA22とモータ側プーリB23に懸けて、モータ2の動力をモータ側ゴムローラ軸に伝達し、モータ2の動力をモータ側動力伝達ゴムローラ28に伝達する。
【0017】
従動回転軸3から従動側ゴムローラ軸5への動力の伝達も、プーリとタイミングベルトを用いる。図4に示すように、従動回転軸3に従動側プーリA25を従動回転軸3と従動側プーリA25が一体となって回転するように取り付ける。従動軸側ゴムローラ軸5に従動側プーリB26を従動軸側ゴムローラ軸5と従動側プーリB26が一体となって回転するように取り付ける。従動側タイミングベルト27を、従動側プーリA25と従動側プーリB26に懸ける。モータ2の動力は、モータ側歯車20および従動側歯車21を介して従動回転軸3に伝達され、さらに、従動側タイミングベルト27を介して従動側ゴムローラ軸5に伝達され、最終的に、従動側動力伝達ゴムローラ29に伝達される。
【0018】
つぎに、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29が車椅子タイヤ31に接触している状態と接触していない状態とを切り換えるために用いる5節リンク機構について説明する。
【0019】
図3に示すように、モータ回転軸2に内輪がはめあわされているベアリング8の外輪とモータ側ゴムローラ軸4に内輪がはめあわされているベアリング9の外輪は、共に、モータ側リンクA10にはめ合わされている。図6および図7に示すように、モータ側リンクA10によって、モータ回転軸2とモータ側ゴムローラ軸4の距離は一定に保たれ、モータ側ゴムローラ軸4の中心はモータ回転軸2Bを中心とした円上を移動することができる。
【0020】
図4に示すように、従動回転軸3に内輪がはめあわされているベアリング11の外輪と従動側ゴムローラ軸5に内輪がはめあわされているベアリング12の外輪は、ともに、リンク13にはめあわされている。図6および図7に示すように、リンク13によって、従動回転軸3と従動側ゴムローラ軸5の距離は一定に保たれ、従動側ゴムローラ軸5の中心は従動回転軸3を中心とした円上を移動することができる。
【0021】
図3および図5に示すように、モータ側ゴムローラ軸4に内輪がはめあわされているベアリング14の外輪とピン6に内輪がはめあわされているベアリング15の外輪は、ともに、リンク16にはめあわされている。
【0022】
図4および図5に示すように、従動側ゴムローラ軸5に内輪がはめあわされているベアリング17の外輪とピン6に内輪がはめあわされているベアリング18の外輪は、ともに、リンク19にはめあわされている。
【0023】
以上のようにして、モータ回転軸2B、従動回転軸3、モータ側ゴムローラ軸4、従動側ゴムローラ軸5およびピン6を、モータ側リンクA10、従動側リンクA13、モータ側リンクB16および従動側リンクB19によって、結合した5節リンク機構を構成する。モータ回転軸2Bと従動回転軸3のベース1上の位置は固定しているので、モータ側ゴムローラ軸4、従動側ゴムローラ軸5およびピン6を保持することができる。ピン6の位置を固定することによって、モータ側ゴムローラ軸4および従動側ゴムローラ軸5の位置が決定する
【0024】
上記のような5節リンク機構を用いて、モータ2の動力を車椅子タイヤ31に伝達するモータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29と車椅子タイヤ31の接触と非接触を切り換える仕組みを説明する。
図6および図7は、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29と車椅子タイヤ31の接触と非接触を切り換えるための5節リンク機構の仕組みを正面から見た簡略図である。モータ側動力ゴムローラ28および従動側動力ゴムローラ29で車椅子タイヤ31を挟み、モータ側動力ゴムローラ28と従動側動力ゴムローラ29の間隔の中心に車椅子タイヤ31が配置されるように、手動車椅子用走行アシスト機構を設置する。
【0025】
図6および図7に示すように、モータ本体2A、従動回転軸用ベアリング7の外輪はベース1に固定してあり、モータ回転軸2Bおよび従動回転軸3の位置はベース1上で固定されている。モータ側ゴムローラ軸4、従動ゴムローラ軸5およびピン6の位置は、リンク機構の制限範囲内において可動である。
ピン6を動かすと、モータ側ゴムローラ軸4および従動側ゴムローラ軸5、すなわち、モータ側ゴムローラ28および従動側ゴムローラ29の位置を動かすことができ、モータ側ゴムローラ28と従動側ゴムローラ29の間隔を調整することができる。中間軸6の位置を固定すれば、モータ側ゴムローラ28および従動側ゴムローラ29の位置を固定することができる。
【0026】
図6のようにモータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29が車椅子タイヤ31と接触していない状態について述べる。
図6に示す位置にピン6を保持し、モータ側リンクB16および従動側リンクB19を一直線状にすると、モータ側動力伝達ゴムローラ28と従動側動力伝達ゴムローラ29の間隔が最大となる。このとき、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29は車椅子タイヤ30から離れ、モータ2の動力を車椅子タイヤ31に伝達できない。このとき、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29と車椅子タイヤ31の接触による走行抵抗、すなわち、アシスト機構による走行抵抗が車椅子に加わることはない。
【0027】
図7のようにモータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29が車椅子タイヤ31に接触した状態について述べる。
ピン6を図6に示す位置から図7に示す位置に移動させると、モータ側ゴムローラ軸4および従動側ゴムローラ軸5、したがって、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29の位置も、図7に示す位置に動く。ピン6をモータ側ゴムローラ軸4の中心と従動側ゴムローラ軸の中心を結ぶ線分の垂直2等分線上を移動させることによって、この垂直2等分線を対称軸として、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29は対称の状態を保ったまま移動する。図7に示す状態にピン6を保持することで、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29を車椅子タイヤ31に接触させた状態で固定できる。このような図7に示す状態のとき、モータ側ゴムローラ28および従動側ゴムローラ29を介して、車椅子タイヤ30へモータの動力を伝達することができる。
【0028】
モータ側ゴムローラ軸4の中心と従動側ゴムローラ軸の中心を結ぶ線分の垂直2等分線上のピン6の位置によって、モータ側動力伝達ゴムローラ28と従動側動力伝達ゴムローラ29の間隔を調節できるので、車椅子タイヤ31の太さや空気圧の状態に応じて、モータ2の動力を伝達するために適切な間隔にモータ側動力伝達ゴムローラ28と従動側動力伝達ゴムローラ29の間隔を調節することができる。
【0029】
また、図7に示す状態で、図1、図2および図3に示す電磁ブレーキ30によって、モータ回転軸2Bを回転できなくすると、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29が回転できなくなり、車椅子タイヤ31が回転できなくなる。このように制動機構により車椅子を静止させることができる。
【0030】
以上のように、ピン6を図6に示す位置から図7に示す位置に、あるいは、ピン6を図7に示す位置から図6に示す位置に動かすことで、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29と車椅子タイヤ31の非接触状態と接触状態を切り換え、モータ2の動力および電磁ブレーキ30の保持力の伝達の可否を切り換える。
【0031】
このようにモータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29と車椅子タイヤ31の非接触状態と接触状態の切り換えることができるので、アシストを行うときには、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29を車椅子タイヤ31に接触させ、アシストを行わないときには、モータ側動力伝達ゴムローラ28および従動側動力伝達ゴムローラ29を車椅子タイヤ31から離すことによって、非アシスト時には、アシスト機構による走行抵抗が加わらない、効率的なアシストが可能となる。
【0032】
上記のような構造のアシスト機構を車椅子の左右輪に、それぞれ、ひとつずつ合計2つ取り付けることにより、「左右輪に異なる動力を伝達できるパワーアシスト」、「上り坂での逆転走行防止」、「上り坂での身体的負担が少なく安全な方向転換」、「下り坂での最大速度制限」、「下り坂での直進走行自動制御」、「片流れ軽減」などのアシスト機能に応用できる。
【0033】
図8および図9は、ピン6の位置を移動させる方法の一例を示す.
図5に示すように、ピン6の片端はベース1に設置されたピン案内溝35に挿入されている。図8および図9に示すように、ピン6は、ピン移動レバー32の直線部を有するスリット34に通されている。ピン移動レバー32とピン移動レバー回転軸33は一体となっているので,ピン移動レバー回転軸33を回転させることによって、ピン移動レバー32が回転する。ピン移動レバー32が回転すると、ピン6はピン移動レバー32のスリット34の中を移動しながら、ピン案内溝35に沿って移動する。
【0034】
ピン移動レバー回転軸33をステッピングモータで回転させれば、容易に、ピン案内溝35の任意の位置で停止させることができるので、ピン6の位置をピン案内溝35の任意の位置に移動させることができる。ピン6の位置がモータ側動力伝達ゴムローラ28と従動側動力伝達ゴムローラ29の間隔を決定するので、ステッピングモータのような回転角度が容易に制御できるアクチュエータの利用によって,モータ側動力伝達ゴムローラ28と従動側動力伝達ゴムローラ29の間隔を容易に調節できる。
【0035】
ピン6の位置決めには、ソレノイドのような直動型のアクチュエータを使用する方法もある。
【0036】
図10は、手動車椅子用走行アシスト機構を車椅子に固定する方法を示している。図10は車椅子の側面から見た図である。車椅子のフレーム37に固定具38を取り付ける。さらに、固定具38にベース1を固定することで手動車椅子用走行アシスト機構を取り付ける。
【0037】
特願2005−269601記載の従来技術である走行アシスト機能付き片手用車椅子の操作機構は、操作者が前進・後退、さらに、直進・右折・左折のいずれの動作を選択しているのか、どれくらいの強さの操作力をハンドリムに加えているのか、また、車椅子のできる左右輪がどのような速度で走行しているかという情報を出力することができる。
【0038】
この操作機構と本発明を組み合わせることによって、非アシスト時にアシスト機構による走行抵抗のないアシストを実現しながら、片手のみの操作によって、「左右輪に異なる動力を伝達するパワーアシスト」、「上り坂での逆転走行防止」、「上り坂での身体的負担が少なく安全な方向転換」、「下り坂での最大速度制限」、「下り坂での直進走行自動制御」、「片流れ軽減」などのアシスト機能を備えた片手用車椅子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】手動車椅子用走行アシスト機構の概略図である。
【図2】手動車椅子用走行アシスト機構を上方向から見た図である。
【図3】手動車椅子用走行アシスト機構を左横方向から見た図である。
【図4】手動車椅子用走行アシスト機構を右横方向から見た図である。
【図5】手動車椅子用走行アシスト機構を下方向から見た図である。
【図6】手動車椅子用走行アシスト機構を正面から見た図である。ゴムローラと車椅子タイヤの接触状態と非接触状態を切り換える5節リンク機構の仕組みを示す簡略図である。ゴムローラと車椅子タイヤが非接触状態の場合である。
【図7】手動車椅子用走行アシスト機構を正面から見た図である。ゴムローラと車椅子タイヤの接触状態と非接触状態を切り換える5節リンク機構の仕組みを示す簡略図である。ゴムローラと車椅子タイヤが接触している状態である。
【図8】5節リンク機構を駆動するピンを動かす仕組みを説明する図である。ゴムローラと車椅子タイヤが非触状態である場合である。
【図9】5節リンク機構を駆動するピンを動かす仕組みを説明する図である。ゴムローラと車椅子タイヤが接触している状態である。
【図10】手動車椅子用走行アシスト機構を車椅子に固定する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ベース
2 モータ
2A モータ本体
2B モータ回転軸
3 従動回転軸
4 モータ側ゴムローラ軸
5 従動側ゴムローラ軸
6 ピン
7 ベアリング
8 ベアリング
9 ベアリング
10 モータ側リンクA
11 ベアリング
12 ベアリング
13 従動側リンクA
14 ベアリング
15 ベアリング
16 モータ側リンクB
17 ベアリング
18 ベアリング
19 従動側リンクB
20 モータ側歯車
21 従動側歯車
22 モータ側プーリA
23 モータ側プーリB
24 モータ側タイミングベルト
25 従動側プーリA
26 従動側プーリB
27 従動側タイミングベルト
28 モータ側動力伝達ゴムローラ
29 従動側動力伝津ゴムローラ
30 電磁ブレーキ
31 車椅子タイヤ
32 ピン移動レバー
33 ピン移動レバー回転軸
34 スリット
35 ピン案内溝
36 ベアリング
37 車椅子フレーム
38 固定具

【出願人】 【識別番号】305046424
【氏名又は名称】安田 寿彦
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−43596(P2008−43596A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223345(P2006−223345)