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【発明の名称】 車椅子のフレーム部分にキャスタ取り付けユニットを固定するための装置及び偏心体並びに車椅子
【発明者】 【氏名】アミール カプルンヤ

【要約】 【課題】車椅子のキャスタの旋回軸が地面に対して垂直な位置にあるようにキャスタ取り付けユニットとフレームとの間の角度を調節する。

【構成】本発明は、車椅子のフレーム部分にキャスタ取り付けユニットを固定する装置に関する。この装置は、偏心体を具備し、偏心体のヘッドの周囲には複数の溝が設けられ、これら溝は、フレームに永久的に配置されるピンに嵌合するよう構成されている。この溝対ピンシステムの利点は、車椅子の長期使用による前記角度の変化の危険性を伴うことなく、偏心体を選択された角度で取り外し可能に固定できることにある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子のフレーム部分(3)にキャスタ取り付けユニット(2)を固定するための装置(1)において、前記キャスタ取り付けユニットの軸線と前記フレーム部分の軸線との間の角度が調節可能になっており、該装置(1)が偏心体(4)を具備し、該偏心体(4)は、第1のネジ(5)のための案内部分(10)と、複数の溝(7)を具備した偏心ヘッド(6)とを備え、前記フレーム部分(3)に設けられたピン(8)が前記偏心ヘッド(6)の選択可能な溝(7)内に嵌合するように構成されている装置(1)。
【請求項2】
前記キャスタ取り付けユニット(2)と前記フレーム部分との間にピボット軸線A1を具備し、該ピボット軸線A1は前記偏心体(4)から距離をおいて配置される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ピボット軸線A1において前記キャスタ取り付けユニット(2)を前記フレーム部分(3)に固定できるようにする第2のネジ(9)が前記ピボット軸線A1に沿って設けられている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記角度が、前記偏心体のヘッドの選択された溝(7)を前記ピン(8)に嵌合させて前記偏心体(4)内を案内された前記第1のネジ(5)を締めることにより決定される請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記偏心体(4)内を案内された前記第1のネジ(5)を少なくとも部分的に弛め、前記溝がもはや前記ピン(8)に嵌合しなくなるように前記偏心体(4)をそのヘッド(6)において引き出し、前記弛められた偏心体をそのヘッド(6)において回転させしたがって前記キャスタ取り付けユニット(2)の軸線と前記フレーム部分(3)との間の角度を所望の値に達するまで変更し、前記偏心ヘッド(6)の別の溝を前記ピン(8)に嵌合させ、前記第1のネジ(5)を締めることによって、前記角度を調節可能になっている請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記偏心体の案内部分(10)が、前記車椅子のフレーム部分(3)に設けられたハウジング(13)内に配置されている請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャスタ取り付けユニット(2)が該キャスタ取り付けユニットの軸線に平行に延びるレール(21)を具備し、該レールが長手方向に延びる2つの壁(24,24’)を具備し、これら壁が長手方向に延びる開口部(26)を具備し、該開口部の幅は、前記第1のネジ(5)のネジ部を、任意には前記第2のネジ(9)のネジ部をも挿入するのに十分であり、それにより、ナット(23)が前記2つの壁(24,24’)の間を案内されるように前記レール(21)内に摺動可能に配置され、前記偏心体の案内部分(10)内にある前記第1のネジ(5)のネジ部を前記レール(21)内に配置された前記ナット(23)に締め付けることにより、前記キャスタ取り付けユニット(2)が前記車椅子のフレーム部分(3)に取り付けられるようにした請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記キャスタ取り付けユニット(2)が前記車椅子のキャスタ(11)の旋回軸を収容するための中空シリンダ(20)を具備した請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
偏心体であって、該偏心体(4)内に偏心して挿入されるネジ(5)のための案内部分(10)と、複数の溝を具備した偏心ヘッド(6)とを具備した偏心体。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置及び請求項9に記載の偏心体の一方又は両方を具備した車椅子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子のフレーム部分にキャスタ取り付けユニットを固定するための装置、この装置を具備した車椅子、並びに、偏心ヘッド及びネジ案内部分を具備した偏心体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車椅子において、利用者の好みに応じて車椅子のシートを調節可能になっている。一般に、座又はシートは、車椅子での座りをできる限り快適にする総合的な目的に適うように、上昇又は下降と前方又は後方への傾斜の一方又は両方を行うことができる。
【0003】
所望のシート高さ及びシート深さを見付けるときに、しばしば、車椅子のフレームが歪められ、キャスタのための取付具がもはや地面に対して垂直でなくなってわずかに傾いてしまう。
【0004】
しかしながら、特にキャスタを車椅子の正面側で位置決めするときに、一般にキャスタの旋回軸に対応する、車椅子のキャスタ取り付けユニットの長手軸線が厳密に垂直ないし鉛直でなければ、不利である。この場合、車椅子の推進能力が悪影響を受け、キャスタの旋回軸のハウジング内部に好ましくない力が作用して摩滅が増大し、全方向におけるキャスタの旋回自由度が低下するおそれがある。
【発明の開示】
【0005】
したがって、本発明の目的は、シートの調節、特にシート高さ及びシート深さの調節、に関係なく、キャスタの旋回軸が地面に対して垂直に留まるようにキャスタ取り付けユニットを調節するための手段を提供することにある。
【0006】
また、本発明の別の目的は、要求される垂直旋回軸の特徴が得られるように車椅子のキャスタ取り付けユニットを容易かつ迅速に調節する可能性を提供することにある。
【0007】
一方、調節を迅速に行うというだけでなく、調節を信頼性高くかつ絶え間なく行うということも重要である。換言すれば、偏心体を用いるキャスタ取り付けユニットを車椅子のフレームに選択された角度でただ単にネジで締め付けるだけでは、時間が経つにつれて不十分になる。車椅子での長時間の走行と、障害物を越えるときに車椅子が受ける衝撃とのうち一方又は両方によって、ネジが弛むようになり、調節された角度からのずれが生じることになる。
【0008】
一方、キャスタ取り付けユニットを車椅子のフレームにネジだけで固定すると、調節を迅速に行うことができないおそれがある。というのは、キャスタ取り付けユニットの長手軸線を調節すべきときに、ネジを完全に弛めて締め直さなければならないからである。
【0009】
要約すると、本発明の目的は、車椅子のキャスタの旋回軸線を収容するのに適したキャスタ取り付けユニットを車椅子のフレームに固定し、同時に、使用中のキャスタ取り付けユニットの移動及びこれに伴うキャスタ取り付けユニットとフレームとの間の角度の変化が生じないようにキャスタ取り付けユニットが好ましくは所望の位置で固締されつつ、旋回軸線を地面に対し垂直に配置できるように前記角度を調節可能にし、必要に応じて前記角度を迅速にかつユーザフレンドリに再調節可能にする解決策を提供することにある。
【0010】
本発明は、新規形式の偏心体であって、車椅子のフレームのハウジング内に置かれたときに回転ししたがってフレームとキャスタ取り付けユニットとの間の角度を調節することができる偏心体を提案する。注目すべきことには、この偏心体は、車椅子のフレームに永久的に固定されたピンに嵌合するよう構成された複数の溝を備えたヘッドを具備し、それにより、この偏心体を回転させ選択された溝をピンに嵌合させることにより、キャスタ取り付けユニットを車椅子のフレームに所望の角度で固締することが可能となる。
【0011】
したがって、第1の観点において本発明は、車椅子のフレーム部分にキャスタ取り付けユニットを固定するための装置において、前記キャスタ取り付けユニットの軸線と前記フレーム部分の軸線との間の角度が調節可能になっており、該装置が偏心体を具備し、該偏心体は、第1のネジのための案内部分と、複数の溝を具備した偏心ヘッドとを備え、前記フレーム部分に設けられたピンが前記偏心ヘッドの選択可能な溝内に嵌合するように構成されている装置を提供する。
【0012】
別の観点において本発明は、心体であって、該偏心体内に偏心して挿入される第1のネジのための案内部分と、複数の溝を具備した偏心ヘッドとを具備した偏心体を提供する。
【0013】
更に別の観点において本発明は、本発明の装置及び本発明の偏心体の一方又は両方を具備した車椅子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の目的は、キャスタ旋回軸線を地面に対し垂直になるよう調節することにある。したがって、旋回軸線を収容しかつ車椅子のフレームに固定されるキャスタ取り付けユニットの位置を調節する必要がある。本発明のこの目的のために、キャスタ取り付けユニットの軸線がキャスタ旋回軸の軸線に対応しているということが考慮される。また、車椅子のフレームの軸線は、本発明のこの目的のために、多かれ少なかれ垂直に延びるシリンダ状フレーム部分の軸線であり、この軸線にキャスタ取り付けユニットが固定される。上述したように、フレームの軸線はしばしば、シートの調節及び車椅子の他の機能の一方又は両方により移動される。配置次第で、2つの軸線は実際に、キャスタ取り付けユニット及び車椅子のフレームの寸法によって定まる距離だけ離れつつ互いに並んで位置する。したがって、2つの軸線同士間の角度は、2つの軸線を鉛直面上に投影し、2つの軸線の交差する角度を測定することによって求められる。
【0015】
次に、添付図面を参照しながら本発明の装置を実施例により説明する。
【0016】
図1には、キャスタ取り付けユニット2を車椅子に固定するための、本発明による装置が示される。キャスタ取り付けユニット2は、車椅子のフレームの部分3に固定される。車椅子のフレームは、溶接された単一部品のユニットであってもよいし、脱着可能に連結されうる多数の部分から構成されてもよい。図1には、車椅子フレームのうち、キャスタ取り付けユニットが固定される部分だけが示される。図1は、第1のネジ5を収容する、偏心体4のヘッド6を示している。偏心体4のヘッド6の周囲には多数の溝7が設けられており、これら溝7のうちいずれかを選択して前記車椅子フレーム部分に永久的に取り付けられたピン8に嵌合させることができる。ピンは、例えば溶接、又はピンを具備したフレーム部分を成型することにより、フレームに永久的に設けることができる。
【0017】
偏心体4のヘッドは、全体がディスク又はホイール形状をなしており、その周囲に複数の溝が設けられ、それにより、偏心ヘッドに少なくとも部分的に歯車状の外見が与えられている。ヘッド6はフレーム3上にあり、第1のネジのための、偏心体4の案内部分10(図2を参照)は車椅子のフレーム部分3のハウジング13内に配置される。図1において、車椅子のフレームの外側からハウジング13の位置を視認することができ、一方、中空シリンダの形をなすハウジングそれ自体は、内部に偏心体4があって、第1のネジ5が固締されていることを視認することができない。
【0018】
図1からわかるように、ホイール形の偏心ヘッド6の周囲の一部に5つの溝が設けられており、しかしながら、無論、他の数であっても同様に好適でありうる。一般に、溝は偏心体のヘッドの周囲の1/4から1/2程度をカバーするように配置される。通常、偏心体のヘッドの周囲全体に溝を設ける必要はないが、好ましいとされるならばそのように配置してもよい。溝の数は、偏心ヘッドの寸法及びピン8の寸法に左右される。ピンが小さければ小さいほど、ピン8に嵌合できるように溝は狭くなる。
【0019】
図1からわかるように、偏心体4の溝7の真上のフレーム部分に数6°、3°及び0°が指示されている。これらの数は、それぞれの溝がピンに嵌合することによって得られる角度の変化を指し示す。図1では、真ん中に位置する溝がピンに嵌合すると、キャスタ取り付けユニットとフレームの間に3°の標準角度が得られる。図1において最も右に位置する溝をピンに嵌合させると6°の角度が得られ、真ん中の溝が数字6の下に位置する。これに対し、最も左に位置する溝をピンに嵌合させると、角度は0°になる。
【0020】
図1及び3において、偏心体4は5つの溝を具備し、偏心体を或る溝から次の隣接する溝へ回転させると角度が1.5°変化するように、これら溝は互いに並べて配置される。
【0021】
図1では、第1のネジ5のヘッドを視認することができ、フレーム部分のハウジング13内における第1のネジ5の偏心位置を、偏心ヘッド上における第1のネジ5のヘッドの偏心位置から導き出すことができる。したがって、第1のネジ5の軸線は偏心体の偏心軸線に対応する。
【0022】
図示した実施例によれば、本発明に係る装置は、キャスタ取り付けユニットとフレーム部分3との間のピボット軸線A1を具備し、このピボット軸線A1は偏心体から距離をおいて配置される。ピボット軸線A1においてキャスタ取り付けユニット2をフレーム部分3に固定できるようにする第2のネジ9を、ピボット軸線A1に沿って設けてもよい。
【0023】
図1には第2のネジ9も視認することができ、第2のネジ9は偏心体の約3cm上に位置している。当業者には容易に理解できるように、ピボット軸線を与える第2のネジと偏心体4との間の距離が、偏心体が回転したときのキャスタ取り付けユニットの軸線と車椅子のフレームとの間の角度の変化を決定する。第2のネジと偏心体とが互いに近いほど、偏心体が回転したときの角度の変化は大きくなる。偏心体及び第2のネジは、好ましくは2から10cm、より好ましくは2.5から6cm、最も好ましくは3から5cmの距離だけ互いに離間される。偏心体とピボット軸線A1を画定する第2のネジとの間の距離を決定する目的のために、第2のネジの中心と偏心体のハウジング13の中心との間の距離が測定される。必ずしもそうである必要はないが、図1に描かれたように、ピボット軸線A1は偏心体の上方に位置するのが好ましい。偏心体がピボット軸線の上方に垂直にあり又は横方向に動くことも、同様に想到できる。
【0024】
図1においてキャスタ取り付けユニット2も、車椅子のフレーム部分3により部分的に覆われているが、視認することができる。図1の下の方に示されたキャスタ11は、U字形状フレーム12内に留められており、キャスタ取り付けユニット2の一部をなす中空シリンダ内に収容された旋回軸(視認できない)により旋回される。
【0025】
図2は、フレーム部分3を除いた、キャスタ取り付けユニット2及び偏心体4の好ましい実施例を示している。特に、ハウジング20は、キャスタの旋回軸を収容するために中空シリンダ形状をなしている。また、レール21を視認することができ、レール21内に1つ又は複数のナット22,23が位置決めされると、これらナットはレール21の軸線に沿って一方向(次元)のみに移動することができる。
【0026】
レール21は、キャスタ取り付けユニットの軸線に平行に長手方向に延びる2つの壁24,24’を具備する。レール21には長手方向に延びる開口部26が設けられており、この開口部26の幅は、第1のネジ5のネジ部を、任意には第2のネジ9のネジ部をも挿入するのに十分であり、それにより、ナット23が2つの壁の間を案内されるようにレール内に摺動可能に配置され、偏心体の案内部分10内にある第1のネジ5のネジ部をレール内に配置されたナットに締め付けることにより、キャスタ取り付けユニット2が車椅子のフレーム部分3に取り付けられる。
【0027】
レールの壁24,24’は、キャスタ取り付けユニットの軸線に平行に長手方向に延びる。これら壁24,24’は、前記長手方向に延びる開口部26を設けるために長手軸線に沿って内向きに膨らんでいてもよく、両方の壁の膨出部25,25’は、ナット22及び23の一方又は両方をレール内に保持すると共に、ナットがキャスタ取り付けユニットの軸線に平行にレール内を摺動する以外のいかなる運動を壁と共に阻止している。レール21の目的は、ナットがネジ5,9で固定されうる位置まで移動できるようにし、次いでキャスタ取り付けユニットをフレーム3に保持することにある。ナット22及び23の一方又は両方は、好ましくは矩形の輪郭を有する。壁24,24’は、互いに平行に延びると共に、ナット22及び23の一方又は両方の幅よりもわずかに(0.5から8mm)大きい距離だけ互いに離れており、したがってナットが壁の膨出部25,25’により保持されるのに十分な大きさ及び幅の一方又は両方を有することを依然として保証しつつ、ナットはレール内に嵌合し、レール内を容易に移動可能にする小さな間隙を有している。
【0028】
好ましくは、第2のネジのナット22もキャスタ取り付けユニット2のレール21内に位置する。
【0029】
偏心体4も図2において視認できるが、今度は案内部分10側から示されている。案内部分の機能は、車椅子のフレーム部分のハウジング13内に第1のネジ5を偏心しつつ安定化することにある。第一に、案内部分10は偏心軸線を提供し、この案内部分10は偏心体4のヘッドに隣接して膨出部30を具備し、これら膨出部30は、ハウジング13の一側において案内部分10を偏心しつつ安定させるのを助成する。ハウジング13の他端では、偏心的な案内部分10を安定させるのにワッシャ32が使用される。
【0030】
キャスタ取り付けユニットとフレーム部分3との間にピボット軸線を提供する第2のネジ9も、図2において視認できる。任意のワッシャ状要素33は、長手方向に延びる膨出部25,25’内にある孔(図示しない)内に嵌合するよう構成される。要素33は、前記孔内に配置されると、レール21の軸線に沿って長手方向に移動するのが阻止され、第2のネジ9が要素33を通ってフレーム部分3の孔内に位置決めされ最終的にレール21内に保持されたナット22によりキャスタ取り付けユニットに締め付けられると、ピボット軸線を安定させる。
【0031】
図2に示した更なる部分には、旋回軸線のためのキャップ34及び軸受35,35’が含まれる。
【0032】
図3は偏心体4の前方側面図であり、偏心体4は、上述した通り、ホイール形状をなす偏心ヘッド6及び案内部分10を具備する。この図に示される実施例では、溝7が実際には比較的薄い板40に設けられていることがわかる。この板は、ハウジングの蓋のように、ハウジングの外部で偏心ヘッド6を支持する表面としても機能する。一方、案内部分10は完全にハウジング13の内部に位置決めされている。偏心ヘッド6は更に、より厚いディスク状要素であるサムホイール41を具備し、このサムホイール41は更に、偏心ヘッド6を例えば親指と人差し指との間に摘むことにより偏心体4を手で回すのを容易にするよう構成された、構造化された輪郭を具備する。
【0033】
偏心体4のヘッド6には開口部43が偏心して設けられており、この開口部43は案内部分10に通じている。概して中空シリンダ状の長手断面形状を有するこの開口部43は、案内部分10と組み合わさって、第1のネジ5を収容ししたがって偏心軸線を提供するように構成されている。第1のネジ5は、開口部43を介し偏心体4内に配置されると、そのヘッドにおいて、偏心体4のヘッドの開口部43に設けられた突出リング部分42によって保持される。
【0034】
第1のネジ5をナット23で締め付けることにより、キャスタ取り付けユニット2を調節可能な位置で車椅子のフレーム部分に堅牢にかつ信頼性高く、しかし取外し可能に、固定できるようになる。
【0035】
また、偏心体の案内部分10を図3において視認することができ、その頂部に突起ないし棟状部31があることがわかる。案内部分10の突起31及び縁部36は、ワッシャ32(図2)の孔内を通って配置される必要があり、したがって車椅子のフレーム部分のハウジング13内にいったん配置されると、第1のネジの偏心位置を維持することになる。
【0036】
図3の矢印は、偏心体4を右方向に回転させることができることを示している。容易にわかる通り、偏心体4がそのように回転され、かつ偏心体4がそのハウジング13内に配置されていることを想像すると、第1のネジ5は、案内部分の開口部内を通って配置されているという条件の下、上向きに左へ移動することになる。この移動の結果、キャスタ取り付けユニット2の軸線が上述したピボット軸線A1を中心として変位することになる。
【0037】
偏心体4が回転されたときにキャスタ取り付けユニットが車椅子のフレーム3に関して旋回変位するのは、偏心体4の案内部分10内に配置された第1のネジ5が、偏心体4の中心軸線を中心とする円の周囲に沿って変位した結果である。この円及びその中心は図示されていないが、基礎をなす原理は、当該技術において使用される偏心体と同じである。したがって、第1のネジ5が上述した円の周囲により画定される曲線に沿って平行に変位することは、明白である。
【0038】
偏心体の軸線とは対照的にピボット軸線A1が変位可能でない場合、キャスタ取り付けユニットとフレーム部分3との間の角度は、両者をピボット軸線における固定軸線A1に維持しながら、偏心体4をハウジング13内で回転させしたがってキャスタ取り付けユニットをこの位置においてフレーム部分に対し変位させることによって、変更される。
【0039】
キャスタ取り付けユニットと車椅子のフレーム部分との間の角度は、偏心体のヘッド6の選択された溝7をピンに嵌合させ、偏心体内を案内されたた第1のネジを締めることによって、最終的に決定される。したがって、この角度は、偏心体4内を案内された第1のネジ5を少なくとも部分的に弛めることによって調節することができる。これは通常、それぞれのネジを弛めたり締めたりするのを容易にする工具を使って行われる。更なる工程には、溝がもはやピン8に嵌合しなくなるように偏心体をそのヘッド6において引き出す工程、弛められた偏心体をそのヘッド6において回転させしたがってキャスタ取り付けユニットの軸線とフレーム部分との間の角度を所望の値ないし目標値に達するまで変更する工程、偏心ヘッドの別の溝をピン8に嵌合させる工程、及び第1のネジ5を締める工程が含まれる。
【0040】
したがって、本発明の利点は、角度調節のためにネジ5,9を完全に抜き取る必要がないことにある。反面、偏心体4の第1のネジ5を部分的に弛めると、偏心体4のヘッド6を、ピンに嵌合した溝をそこから離脱させるのに十分なだけ持ち上げることができる。第1のネジ5は弛められてもそのネジ部の幾らかの部分がナット23内に保持されているので、キャスタ取り付けユニットは弛められたネジ5によってフレーム部分3に取り付けられたままである。ピン8は十分に短く構成されているので、それぞれの溝7をピン8に対する固締位置から持ち上げて離脱させるためには、ナット23内に係留されている第1のネジ5をわずかに弛めるだけで足りる。
【0041】
それぞれの溝7をいったん持ち上げてそのピン8との嵌合から離脱させると、弛められた偏心体4を、所望の角度(b)に達するまで手で回転させることができる。調節後の角度において、ピンの真上にある溝がピンに嵌合するよう再び引き下げられ、第1のネジ5が締められる。溝7がピン8に嵌合することにより、偏心体の回転が完全に阻止され、角度は信頼性高くかつ絶え間なく調節される。
【0042】
言うまでもなく、調節を行うために、偏心体4を回転させることにより生ずる旋回を容易にするために、ピボット軸線A1を画定する第2のネジ9も弛めて締め直すのが好ましい。無論、弛めること及び締め直すことの一方又は両方をいずれのネジ5,9で先に行うかは本質的なことでない。しかしながら、偏心体の回転中に両方のネジが弛められているのが好ましい。同様に、それぞれの溝は通常、ネジのどちらかを締め直す前に所望の角度でピンに嵌合させられる。
【0043】
上述したように、偏心体4の輪郭線上に複数の溝7が設けられる。図及び本明細書からわかる通り、本調節手順では、最初の溝がピンから離脱され、偏心体が回転された後に、別の溝がピン8に嵌合され、その結果キャスタ取り付けユニットと車椅子のフレームとの間の角度が変更されることになる。
【0044】
角度の調節は、好ましくは、車椅子についての助言を専門とする販売員が行う。通常、専門販売員は先ず、特定ユーザのニーズ及び好みに応じて車椅子のシートを調節する。本発明の課題について上述した通り、シートの高さ及び深さを、好ましいものは他にもあるが特に、結果的にキャスタの旋回軸が鉛直面に対しわずかに傾くように、調節することができる。専門販売員は、車椅子に関する主な調節をすべて終えたならば、各キャスタ取り付けユニットと車椅子のフレーム3との間の角度の調節を行い、両方のキャスタの旋回軸がそれらの垂直位置を取り戻すように調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】キャスタ取り付けユニットを車椅子に固定するのに使用される本発明の装置を示す図であって、旋回軸がキャスタ取り付けユニット内に収容された状態のキャスタをも示す図である。
【図2】偏心体を含む、キャスタ取り付けユニットの相異なる部品の分解図である。
【図3】本発明の偏心体を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 装置
2 キャスタ取り付けユニット
3 車椅子のフレーム部分
4 偏心体
5 第1のネジ
6 偏心ヘッド
7 溝
8 ピン
10 案内部分
【出願人】 【識別番号】507220947
【氏名又は名称】アンバカレ アンテルナシオナル ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ
【出願日】 平成19年6月29日(2007.6.29)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二


【公開番号】 特開2008−12313(P2008−12313A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−172594(P2007−172594)