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【発明の名称】 眼内レンズの挿入器具
【発明者】 【氏名】田中 雅良

【要約】 【課題】眼内レンズの収容作業を容易且つ確実に行うことの出来る、新規な構造の眼内レンズの挿入器具を提供すること。

【構成】器具本体に挿入筒部70の基端部と連通せしめられた載置部20を設け、該載置部20に眼内レンズ26を載置せしめる載置面30を形成すると共に、該載置面30の形成部位に貫通を形成する一方、該載置面30の形成部位に外側から担持部材50を組み付け、該担持部材50に突設された支持部が該貫通孔を通じて該載置面30に突出せしめられて該支持部の突出先端面で前記眼内レンズ26が支持されるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズを収容状態でセットする略筒形状を有する器具本体を備えており、該器具本体内に軸方向の後方から挿入された押出部材で該眼内レンズを軸方向前方に移動させつつ小さく変形せしめて該器具本体の軸方向先端部に設けられた挿入筒部を通じて押し出すことにより眼内に挿入する眼内レンズの挿入器具において、
前記器具本体に前記挿入筒部の基端部と連通せしめられた載置部が設けられており、該載置部に前記眼内レンズを載置せしめる載置面が形成されていると共に、該載置部における該載置面の形成部位に貫通孔が形成されている一方、該載置面の形成部位には外側から担持部材が組み付けられており、該担持部材に突設された支持部が該貫通孔を通じて該載置面に突出せしめられて該支持部の突出先端面で前記眼内レンズが支持されるようになっていることを特徴とする眼内レンズの挿入器具。
【請求項2】
光学領域を有する本体部分と該本体部分から外周側に突出して該本体部分を眼内に位置決めする保持部とを含んで構成された前記眼内レンズに適用されて、該眼内レンズにおける該本体部分の該光学領域を外れた位置に前記支持部の突出先端面が当接せしめられて、該支持部により、該眼内レンズにおける該本体部分の外周縁部と該保持部との少なくとも一方が支持されるようになっている請求項1に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項3】
前記支持部の前記載置面からの突出高さ寸法が、該支持部に支持せしめられる前記眼内レンズの前記光学領域が該載置面から離隔した状態となるように設定されている請求項2に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項4】
前記載置面が平坦面とされている請求項1乃至3の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項5】
前記挿入筒部の基端部における幅方向中央部に、前記器具本体の軸方向に延びると共に上方に突出せしめられて前記眼内レンズを上方に凸となる形状に変形せしめる導入突部が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項6】
前記導入突部を前記器具本体の軸方向と直交する方向で所定距離だけ離隔せしめた状態で一対形成して、これら一対の導入突部によって前記押出部材を該器具本体の軸方向に案内するようにした請求項5に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項7】
前記載置部に前記器具本体の外側に開口せしめられた開口部が形成されていると共に、該開口部を覆蓋せしめる蓋部が該器具本体に一体成形されている一方、該蓋部における該載置部との対向面上には、該器具本体の軸方向に延びると共に、該蓋部で該開口部を覆蓋せしめた状態で前記挿入筒部の基端部の内周面と略等しい高さ位置に突出せしめられる案内突部が形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項8】
前記蓋部における前記載置部との対向面上に、前記押出部材を前記器具本体の軸方向に案内する押出部材案内部が一体的に形成されている請求項7に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項9】
前記蓋部の厚さ方向に貫通して前記器具本体の外部から該器具本体内に潤滑剤を注入可能とする潤滑剤注入孔が形成されている請求項7又は8に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項10】
前記押出部材の先端部を前記器具本体の軸方向で前記載置部の後方に位置せしめた状態で保持する保持手段が設けられた請求項1乃至9の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項11】
前記押出部材の先端縁部に、前記眼内レンズに当接せしめられる変形容易な変形部材が設けられた請求項1乃至10の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項12】
前記押出部材の先端縁部にY字状に分枝せしめられた一対の枝部が形成されていると共に、中空円筒形状を有する弾性部材が湾曲せしめられて該弾性部材の両端部が該枝部のそれぞれに外挿せしめられることによって、該弾性部材によって略ループ形状を有する前記変形部材が構成されている請求項11に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項13】
前記押出部材の先端部に、前記挿入筒部の内周面と該押出部材との間に所定の空隙を形成する切欠が形成されている請求項1乃至12の何れか一項に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項14】
前記押出部材の先端部が略ロッド形状をもって形成されると共に、該押出部材の先端縁部からやや後方の部位が、所定の軸方向長さ寸法をもって該先端部の幅方向の全体に亘って切り欠かれることによって、前記切欠が形成された請求項13に記載の眼内レンズの挿入器具。
【請求項15】
前記押出部材の先端部が略ロッド形状をもって形成されると共に、該先端部の幅方向両端部が先端縁部から軸方向の所定寸法に亘って切り欠かれることによって、前記切欠が形成された請求項13に記載の眼内レンズの挿入器具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズを眼内に挿入するために用いられる眼内レンズの挿入器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、白内障等の手術においては、角膜(鞏膜)や水晶体前嚢部分などの眼組織に設けた切開創を通じて、嚢内の水晶体を摘出、除去せしめた後、その水晶体に代替する眼内レンズを、前記切開創より眼内に挿入して嚢内に配する手法が、採用されている。
【0003】
特に近年においては、特許文献1乃至特許文献3に記載の如き眼内レンズの挿入器具を用いた手法が広く採用されている。このような挿入器具を用いれば、水晶体の摘出除去のために形成した切開創を広げることなく眼内レンズを挿入出来ることから、施術に要する手間を軽減出来ると共に、術後乱視の発生や感染の危険を低減することが出来る。
【0004】
ところで、従来の挿入器具としては、特許文献1乃至特許文献3にも記載されているように、開閉可能なヒンジ部に眼内レンズを載置した後に、ヒンジ部を閉じて眼内レンズを挟み込むことによって、眼内レンズを器具本体内に収容するようにされたものが多い。
【0005】
ところが、このような構造とされた挿入器具においては、ヒンジ部を閉じて眼内レンズを器具本体に収容する際に、ヒンジ部から手を離すとヒンジ部が開いて眼内レンズを脱落してしまうおそれがあった。それ故、ヒンジ部を閉じた後はスリーブなどの保持部材を用いてヒンジ部を閉状態に固定するなどの操作が別途必要であった。
【0006】
また、ヒンジ部を閉じて眼内レンズを挟み込んでゆく過程において、眼内レンズの位置が微妙に変動して、初期変形を所望の形状に与えられないおそれもあった。眼内レンズの初期変形が正しく行われないと、その後の眼内レンズの押出しを円滑に行えなかったり、場合によっては、眼内レンズに無理な力が加わることによって、眼内レンズを損傷するおそれもあった。
【0007】
【特許文献1】特許第3412103号公報
【特許文献2】特許第3420724号公報
【特許文献3】特許第3665643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、眼内レンズの収容作業を容易且つ確実に行うことの出来る、新規な構造の眼内レンズの挿入器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様は、眼内レンズを収容状態でセットする略筒形状を有する器具本体を備えており、該器具本体内に軸方向の後方から挿入された押出部材で該眼内レンズを軸方向前方に移動させつつ小さく変形せしめて該器具本体の軸方向先端部に設けられた挿入筒部を通じて押し出すことにより眼内に挿入する眼内レンズの挿入器具において、前記器具本体に前記挿入筒部の基端部と連通せしめられた載置部が設けられており、該載置部に前記眼内レンズを載置せしめる載置面が形成されていると共に、該載置部における該載置面の形成部位に貫通孔が形成されている一方、該載置面の形成部位には外側から担持部材が組み付けられており、該担持部材に突設された支持部が該貫通孔を通じて該載置面に突出せしめられて該支持部の突出先端面で前記眼内レンズが支持されるようになっていることを、特徴とする。
【0011】
本態様に従う構造とされた挿入器具においては、担持部材を器具本体から取り外して、載置面に突出せしめられた支持部を載置面上から取り除くことによって、眼内レンズを載置面上に載置せしめることが出来る。これにより、担持部材を器具本体から取り外すという簡易な操作で眼内レンズを載置面上に載置することが出来て、眼内レンズの載置作業を容易に行うことが出来る。それと共に、眼内レンズを所期の位置に安定して載置することも出来ることから、眼内レンズの位置ずれに起因して予期せぬ形状に変形せしめたり、かかる変形に起因する眼内レンズの損傷のおそれも軽減することが出来るのである。
【0012】
なお、担持部材の器具本体に対する組み付け方法は、何等限定されない。例えば、担持部材と器具本体のそれぞれに互いに嵌り合う嵌合部を形成して、担持部材を器具本体に嵌め込んで固定する態様などが採用可能である。なお、担持部材の固定構造としては、支持部の上面形状を貫通孔に挿通せしめるに連れて次第に大きくなるように形成して、支持部を貫通孔に押し込むことによって担持部材を器具本体に固定する態様が、好適に採用される。このようにすれば、貫通孔と支持部を担持部材の固定機構として用いることが出来て、別途に固定機構を設けることも不要とされるからである。
【0013】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る眼内レンズの挿入器具において、光学領域を有する本体部分と該本体部分から外周側に突出して該本体部分を眼内に位置決めする保持部とを含んで構成された前記眼内レンズに適用されて、該眼内レンズにおける該本体部分の該光学領域を外れた位置に前記支持部の突出先端面が当接せしめられて、該支持部により、該眼内レンズにおける該本体部分の外周縁部と該保持部との少なくとも一方が支持されるようになっていることを、特徴とする。
【0014】
本態様に従う構造とされた挿入器具においては、支持部が眼内レンズの光学領域に接触することが回避される。これにより、支持部との接触に起因する光学領域の損傷を防ぐことが出来る。
【0015】
なお、本態様に従う構造とされた挿入器具が適用される眼内レンズとしては、本体部分と保持部が一体形成された眼内レンズでも良いし、本体部分と保持部が別体形成された眼内レンズであっても良い。
【0016】
また、本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記支持部の前記載置面からの突出高さ寸法が、該支持部に支持せしめられる前記眼内レンズの前記光学領域が該載置面から離隔した状態となるように設定されていることを、特徴とする。
【0017】
このようにすれば、眼内レンズの光学領域を支持部のみならず載置面に対しても非接触状態で支持することが出来る。これにより、眼内レンズの光学領域の他部材との接触に起因する損傷のおそれをより有効に軽減することが出来る。
【0018】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記載置面が平坦面とされていることを、特徴とする。このようにすれば、眼内レンズをより安定して載置することが出来て、眼内レンズの収容操作をより容易に行えると共に、眼内レンズの位置ずれを軽減することも出来る。
【0019】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記挿入筒部の基端部における幅方向中央部に、前記器具本体の軸方向に延びると共に上方に突出せしめられて前記眼内レンズを上方に凸となる形状に変形せしめる導入突部が形成されていることを、特徴とする。
【0020】
このようにすれば、眼内レンズを導入突部に当接せしめることによって、眼内レンズに初期変形を加えることが出来る。これにより、眼内レンズを挿入筒部内に滑らかに案内することが出来ると共に、挿入筒部内での変形を安定して行うことが出来る。なお、本態様は、前記第四の態様における平坦な載置面と組み合わせることによってより好適に用いられる。即ち、眼内レンズに初期変形を加え難い平坦な載置面であっても、導入突部によって眼内レンズの初期変形を安定して加えることが可能となるのである。
【0021】
また、本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記導入突部を前記器具本体の軸方向と直交する方向で所定距離だけ離隔せしめた状態で一対形成して、これら一対の導入突部によって前記押出部材を該器具本体の軸方向に案内するようにしたことを、特徴とする。
【0022】
このようにすれば、導入突部によって眼内レンズに初期変形を安定して加えることが出来ると共に、押出部材が器具本体の軸方向から斜めに振れるようなことを抑えて、押出し部材を軸方向に安定して案内することが出来る。これにより、押出部材による眼内レンズの押出しをより安定して行うことが出来る。なお、本態様からも明らかなように、前記第五の態様における導入突部は、必ずしも一つである必要は無く、複数形成しても良い。
【0023】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記載置部に前記器具本体の外側に開口せしめられた開口部が形成されていると共に、該開口部を覆蓋せしめる蓋部が該器具本体に一体成形されている一方、該蓋部における該載置部との対向面上には、該器具本体の軸方向に延びると共に、該蓋部で該開口部を覆蓋せしめた状態で前記挿入筒部の基端部の内周面と略等しい高さ位置に突出せしめられる案内突部が形成されていることを、特徴とする。
【0024】
このようにすれば、蓋部で載置部を覆蓋せしめることによって、眼内レンズの脱落を防止することが可能となり、眼内レンズの収容および眼内への挿入をより容易に行うことが出来る。また、眼内レンズの外界との接触を抑えることも出来て、衛生上も優れた効果を発揮することが出来る。そして、特に本態様によれば、案内突部を設けたことによって、眼内レンズの載置部内での高さ位置を挿入筒部の内周面の高さ位置に合わせることが出来て、眼内レンズの挿入筒部への押し込みをより安定して円滑に行うことが出来ることから、引っ掛かり等に起因して眼内レンズに無理な力が及ぼされて眼内レンズを損傷せしめるようなおそれも有効に軽減することが出来るのである。
【0025】
また、本発明の第八の態様は、前記第七の態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記蓋部における前記載置部との対向面上に、前記押出部材を前記器具本体の軸方向に案内する押出部材案内部が一体的に形成されていることを、特徴とする。
【0026】
このようにすれば、押し出しに際する押出部材の振れを抑えることが出来て、眼内レンズの押し出しをより安定して行うことが出来る。更に、押出部材案内部が蓋部に形成されることによって、眼内レンズの押し出しに悪影響を与えることも無いと共に、より高い設計自由度をもって押出部材案内部を形成することが出来る。
【0027】
なお、押出部材案内部の具体的な形状等は特に限定されるものではなく、押し出し部材の形状や大きさの他、押出部材案内部が形成される蓋部の形状や対向せしめられる載置部の形状等を考慮して、適宜に設定され得る。例えば、押出部材を幅方向両側から挟むように突起や突条などの突部を形成することによって押出部材の幅方向の振れを抑えたり、蓋部から載置面に向けて突出する突部を設けて、かかる突部と載置面で押出部材を上下方向両側から挟むことによって、押出部材の上下方向の振れを抑えるなどしても良いし、更には、それらを組み合わせて、押出部材の幅方向および上下方向の振れを共に抑えるようにする等しても良い。
【0028】
また、本発明の第九の態様は、前記第七又は八の態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記蓋部の厚さ方向に貫通して前記器具本体の外部から該器具本体内に潤滑剤を注入可能とする潤滑剤注入孔が形成されていることを、特徴とする。
【0029】
このようにすれば、載置部を覆蓋せしめた状態で潤滑剤を挿入器具の内部に注入出来ることから、眼内レンズの脱落を防止しつつ、潤滑剤を容易に注入することが出来る。また、載置部を開放することなく潤滑剤を注入出来ることから、眼内レンズの外界との接触を抑えることが出来て、衛生面上も優れた効果を発揮することが出来る。
【0030】
また、本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記押出部材の先端部を前記器具本体の軸方向で前記載置部の後方に位置せしめた状態で保持する保持手段が設けられたことを、特徴とする。
【0031】
このようにすれば、器具本体と押出部材を一体的に取り扱うことが出来て、器具本体に押出部材を挿入する操作が不要とされる。これにより、眼内レンズを眼内に挿入する際には、器具本体から担持部材を取り外した後に、押し出し部材を押し込むという操作のみで眼内レンズの挿入を行うことが出来ることから、挿入作業をより簡易なものとすることが出来る。
【0032】
また、本発明の第十一の態様は、前記第一乃至第十の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記押出部材の先端縁部に、前記眼内レンズに当接せしめられる変形容易な変形部材が設けられたことを、特徴とする。
【0033】
このようにすれば、眼内レンズを押し出す際に、眼内レンズに過大な力が及ぼされることを回避して、眼内レンズ、特に、軟弱な保持部の損傷のおそれを軽減することが出来る。また、変形部材が変形せしめられることによって、載置部から挿入筒部に至る形状変化にも有効に対応することが出来て、眼内レンズの押し出しを安定して行うことも可能となる。更にまた、載置部内に潤滑剤が注入されているような場合には、変形部材によって潤滑剤に有効に圧力を及ぼすことが出来て、その圧力をもって眼内レンズを押し出すことが可能とされており、眼内レンズの損傷のおそれをより有効に軽減することが出来る。
【0034】
なお、前記第十一の態様に係る眼内レンズの挿入器具においては、本発明の第十二の態様として、前記押出部材の先端縁部にY字状に分枝せしめられた一対の枝部が形成されていると共に、中空円筒形状を有する弾性部材が湾曲せしめられて該弾性部材の両端部が該枝部のそれぞれに外挿せしめられることによって、該弾性部材によって略ループ形状を有する前記変形部材が構成されている態様が、好適に採用され得る。
【0035】
また、本発明の第十三の態様は、前記第一乃至第十二の何れか一つの態様に係る眼内レンズの挿入器具において、前記押出部材の先端部に、前記挿入筒部の内周面と該押出部材との間に所定の空隙を形成する切欠が形成されていることを、特徴とする。
【0036】
このようにすれば、眼内レンズを押し出す際に、保持部を挿入筒部の内周面と押出部材の間で挟み込んで損傷するおそれを軽減することが出来る。なお、切欠の具体的な形状は、特に限定されるものではなく、当業者の判断において適宜の形状が採用可能である。
【0037】
例えば、前記第十三の態様に係る眼内レンズの挿入器具においては、本発明の第十四の態様として、前記押出部材の先端部が略ロッド形状をもって形成されると共に、該押出部材の先端縁部からやや後方の部位が、所定の軸方向長さ寸法をもって該先端部の幅方向の全体に亘って切り欠かれることによって、前記切欠が形成された態様が、好適に採用され得る。
【0038】
また、前記第十三の態様に係る眼内レンズの挿入器具においては、本発明の第十五の態様として、前記押出部材の先端部が略ロッド形状をもって形成されると共に、該先端部の幅方向両端部が先端縁部から軸方向の所定寸法に亘って切り欠かれることによって、前記切欠が形成された態様等も、好適に採用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0040】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としての眼内レンズの挿入器具10を示す。挿入器具10は、全長に亘ってその内部が貫通せしめられて前後端縁部が開口せしめられた略筒形状を有する器具本体12の内部に、押出部材としてのプランジャ14が挿通されて構成されている。なお、以下の説明において、前方とは、挿入器具10の延出方向(図1中、左下方向)をいうものとし、上方とは、図1中、上方向をいうものとする。また、左右方向とは、挿入器具10の背面視における左右方向(図1中、右下方向が左、左上方向が右)をいうものとする。
【0041】
より詳細には、器具本体12は、略筒形状とされた本体筒部16を有している。本体筒部16の内部には、略矩形断面形状をもって軸方向に貫通する貫通孔15が形成されている。また、本体筒部16の後端部からやや前方の部位には、本体筒部16の延出方向と直交する向きに広がる板状部18が一体的に形成されている。
【0042】
一方、器具本体12における本体筒部16の前方には、載置部としてのステージ20が形成されている。図2に示すように、ステージ20には、眼内レンズ26の本体部27の径寸法より僅かに大きな幅寸法をもって軸方向に延びる凹状溝22が形成されている。凹状溝22は、眼内レンズ26の保持部28、28を含む最大幅寸法よりもやや大きな軸方向長さ寸法をもって形成されている。
【0043】
なお、本実施形態における挿入器具10に収容される眼内レンズ26は、図3にも示すように、光学領域25を備える本体部分としての本体部27と、本体部27から外周側に突出せしめられて、眼内において本体部27を位置決めする一対の保持部28,28を含んで構成されている。そして、特に本実施形態における眼内レンズ26は、これら本体部27および保持部28,28が同じ部材で一体成形された眼内レンズであり、本実施形態における挿入器具10は、そのような眼内レンズに好適に採用され得るが、例えば、本体部27と保持部28,28の部材が異ならされた眼内レンズに対して採用することも勿論可能である。
【0044】
更に、凹状溝22は、上方に開口せしめられた開口部29を有する一方、その底面が載置面30とされている。載置面30は、眼内レンズ26の最小幅寸法(図3における上下寸法)よりもやや大きな幅寸法を有すると共に、眼内レンズ26の最大幅寸法(図3における左右寸法)よりも大きな軸方向長さ寸法を有する平坦面とされている。なお、載置面30の高さ位置は、本体筒部16における貫通孔15の底面の高さ位置よりも僅かに上方に位置せしめられており、本体筒部16における貫通孔15の前端縁部には、貫通孔15の底面から上方に延び出して載置面30の後端縁部に接続する壁部31が形成されている(図7参照)。これにより、凹状溝22は貫通孔15と連通せしめられており、凹状溝22の幅寸法が貫通孔15の幅寸法と略等しくされている。
【0045】
そして、開口部29の側方(本実施形態においては、右側)には、蓋部としてのカバー部32が器具本体12と一体として形成されている。カバー部32は、開口部29の軸方向寸法と略等しい軸方向寸法を有すると共に、開口部29の幅寸法よりもやや大きな幅寸法をもって形成されている。かかるカバー部32は、開口部29の上端縁部が側方に(本実施形態においては、右側)に延び出して形成された略薄板形状の連結部34によって器具本体12と連結されている。連結部34は、幅方向略中央部分を器具本体12の軸方向に延びる屈曲部36において最も薄肉とされており、屈曲部36で折り曲げ可能とされている。これにより、カバー部32は、連結部34を折り曲げて開口部29に重ね合わせることが出来るようにされている。
【0046】
ここにおいて、カバー部32の載置面30と対向せしめられる対向面38には、器具本体12の軸方向に延びる一対の案内突部としての左右案内板部40a,40bが突出して一体形成されている。これら左右案内板部40a,40bは、凹状溝22の幅寸法よりもやや小さな対向面間距離をもって、カバー部32の軸方向の全体に亘って形成されている。なお、対向面38の外周縁部は、全周に亘ってやや肉厚に形成されており、本実施形態における左右案内板部40a,40bは、これら肉厚に形成された外周縁部よりも更に突出せしめられている。また、対向面38における左右案内板部40a,40bの対向面間の略中央位置には、左右案内板部40a,40bと平行に器具本体12の軸方向に延びる案内突部としての中央案内板部42が一体成形されている。なお、本実施形態においては、中央案内板部42は、肉厚に形成された対向面38の外周縁部と等しい高さ寸法とされており、軸方向で対向する外周縁部に亘る寸法をもって、外周縁部から延びるように一体形成されている。
【0047】
また、カバー部32における連結部34と反対側の縁部には、係合片44が突出形成されている一方、開口部29におけるカバー部32と反対側の上端縁部には、外側に突出する突出縁部46が形成されており、かかる突出縁部46における係合片44と対応する位置には、係合切欠48が形成されている。
【0048】
このような構造とされたステージ20における載置面30の下側には、担持部材50が取り外し可能に設けられている。図3および図4に示すように、担持部材50は器具本体12と別体として構成されており、略矩形板形状を有する板部51に対して、一対の位置決め板部52、52、本体支持部56,56、および脚支持部58、58が上方に突出せしめられて一体形成されている。なお、図3および図4においては、理解を容易とするために、眼内レンズ26を載置した状態を図示する。また、担持部材50に関する以下の説明において、担持部材50の縦方向とは、本体支持部56,56、脚支持部58,58の配列方向(図3中、左右方向)を、担持部材50の幅方向とは、本体支持部56,56、脚支持部58,58の配列方向と直交する方向(図3中、上下方向)をいうものとする。
【0049】
位置決め板部52,52は、板部51の幅方向中央部を挟んで板部51の縦方向の全長に亘って略平行に延びる一対の板形状とされている。かかる位置決め板部52,52における外側面間の幅方向離隔距離は、眼内レンズ26の本体部27の径寸法より僅かに小さくされている。
【0050】
そして、板部51の略中央部には、一対の本体支持部56,56が上方に突出して形成されている。本体支持部56は、上面視において位置決め板部52,52の両外側面に亘る幅寸法を有すると共に、眼内レンズ26の本体部27よりもやや大きな曲率半径を有する略円弧形状とされており、板部51および位置決め板部52,52から上方に突出して形成されている。なお、本体支持部56,56は、下方に行くに連れて次第に幅寸法が僅かに大きくされている。そして、本体支持部56,56の縦方向の離隔距離が、保持部28,28において本体部27と接続する基端部60,60の眼内レンズ26の径方向での離隔距離より僅かに大きくされている。これにより、眼内レンズ26は、基端部60が本体支持部56の上面61に載置されて支持されるようになっており、本体部27が担持部材50に接触すること無く支持されるようになっていると共に、非変形状態で支持されるようになっている。
【0051】
さらに、本体支持部56における上面61の周方向の一方の端部には、上面61から更に上方に突出する位置決め突部としての外側突片62aおよび内側突片62bが形成されている。これら突片62a,62bは、外側突片62aが本体支持部56の周方向の外側端部に形成される一方、外側突片62aから本体支持部56の周方向の内側に所定距離を隔てて内側突片62bが形成されている。ここにおいて、外側突片62aと内側突片62bとの本体支持部56の周方向での離隔距離は、保持部28の基端部60から延び出した部分の幅寸法よりもやや大きくされている。また、外側突片62aおよび内側突片62bの内側壁面は、基端部60の外周縁部の形状に合わせて湾曲せしめられている。
【0052】
これにより、本体支持部56に載置せしめられた眼内レンズ26の保持部28は、突片62a,62bの間から本体支持部56の外側へ延び出すようにされている。そして、突片62a,62bによって保持部28の周方向の回転が阻止されて、眼内レンズ26が周方向で位置決めされるようになっている。ここにおいて、本実施形態においては、図3に示すように、眼内レンズ26は、位置決め板部52の延び出し方向の投影面積が最も小さくなるように位置決めされる。
【0053】
さらに、本体支持部56,56から外側にやや離隔した位置決め板部52,52の対向面間の略中間位置には、一対の脚支持部58,58が設けられている。脚支持部58,58は、板部51から上方に向けて突出せしめられた略円柱形状とされており、その上端面64は、本体支持部56の上面61と略同じ高さ位置とされた平坦面とされている。また、脚支持部58,58は、上端面64から板部51へ行くに連れて径寸法が僅かに大きくされている。そして、かかる脚支持部58の上端面64に、本体支持部56の外方に延び出した保持部28の延び出し部分が載置されるようになっている。
【0054】
これにより、眼内レンズ26は、本体支持部56、56の上面61、61によって保持部28の基端部60が支持されるようになっていると共に、脚支持部58、58の上端面64、64によって、保持部28の延出部分が支持されるようになっている。このように、本実施形態においては、本体支持部56,56および脚支持部58,58によって支持部が構成されていると共に、上面61,61および上端面64,64が支持部の突出先端面とされており、眼内レンズ26は、光学領域25を外れた領域で支持せしめられるようになっている。
【0055】
また、図5にモデル的に示すように、載置面30には、本体支持部56、56の上面形状より僅かに大きな略相似形状をもって厚さ方向に貫通する貫通孔としての挿通孔66,66および脚支持部58,58の上面形状より僅かに大きな略相似形状をもって厚さ方向に貫通する貫通孔としての挿通孔68,68が形成されている。
【0056】
そして、担持部材50が、ステージ20における載置面30の下側に取り付けられる。具体的には、載置面30の裏側から、挿通孔66,68のそれぞれに対して、本体支持部56、脚支持部58が挿通せしめられる。そして、本体支持部56および脚支持部58は、下方に行くに連れて上面視寸法が次第に大きくされていることから、本体支持部56および脚支持部58が挿通孔66,68に挿通されて上方に押し込まれることによって、挿通孔66,68の復元力および互いの部材間の摩擦力によって、担持部材50が載置面30の裏側に固定されるようになっている。また、本体支持部56および脚支持部58の上方への押し込み量は、位置決め板部52が載置面30の裏面に当接せしめられることによって制限されるようになっている。なお、担持部材50に係止爪などの抜け止め機構を設ける等しても良い。
【0057】
ここにおいて、図6にも示すように、本体支持部56の上面61および脚支持部58の上端面64の高さ位置は、後述する挿入筒部の基端部としての導入部78の、最大幅寸法位置(導入部78の高さ寸法の中間位置よりやや下方の位置)に、位置せしめられるようになっている。
【0058】
そして、載置面30の上側に突出せしめられた本体支持部56,56の上面61,61および脚支持部58,58の上端面64,64に眼内レンズ26が載置される。ここにおいて、図7にも示すように、眼内レンズ26は、載置面30から所定距離を隔てた状態で支持されており、光学領域25を含むレンズ全体が、載置面30と接触することの無いようにされている。そして、前述のように、眼内レンズ26は、保持部28、28のみによって担持部材50に支持せしめられていることから、担持部材50への載置状態において、本体部27が担持部材50や載置面30と接触することのないようにされている。なお、図7及び後述する図8においては、理解を容易とするために、担持部材50を省略して図示する。
【0059】
さらに、ステージ20の前方で、器具本体12の軸方向先端部には、挿入筒部としてのノズル部70が一体成形されている。ノズル部70は、器具本体12側の基端部から延出方向の先端部に行くに連れて次第に先細となる外形形状をもって形成されていると共に、延出方向の全長に亘って貫通する貫通孔72が形成されている。
【0060】
図8に示すように、貫通孔72は、器具本体12側に開口せしめられた基端開口部74がステージ20と接続されることによって、ステージ20と連通せしめられている。より詳細には、基端開口部74は、全体として、底面76が平坦面とされて、上面が略円弧形状とされた扁平な略楕円形状とされている。そして、底面76がステージ20の載置面30と段差無く接続されている。また、基端開口部74は、底面76から僅かに上方の部位が最大幅寸法となるように形成されており、基端開口部74の最大幅寸法は、載置面30の幅寸法と略等しくされている。
【0061】
そして、貫通孔72には、基端開口部74から先端側へ向けて断面積が次第に小さくされた導入部78が形成されている。導入部78においては、底面76の幅寸法が先端へ行くに連れて次第に小さくされていると共に、左右両面の横断面形状の曲率が次第に大きくされて、その高さ寸法が小さくされている。なお、かかる導入部78における底面76は、基端開口部74から先端へ行くに連れて次第に上方に傾斜せしめられている。一方、貫通孔72の上面80の高さ位置は、略一定とされている。これにより、導入部78は、前方に行くに連れて底面76が上面80に接近せしめられると共に、その幅寸法が次第に小さくされている。
【0062】
さらに、貫通孔72における導入部78から先端開口部86の間には、先端開口部86へ向けて断面積が次第に小さくされた縮径部88が形成されている。縮径部88は、左右両面の横断面形状が先端へ行くに連れて略円弧形状に変形せしめられるとともに、上面80および底面76の幅寸法が次第に小さくされている。なお、縮径部88における上面80の平坦部と底面76の平坦部との高さ方向の離隔距離、即ち、縮径部88の高さ寸法は略一定とされている。これにより、先端開口部86は、上下面に平坦部を有すると共に、上下両面が略円弧形状に接続された略オーバル形状とされている。
【0063】
また、導入部78における底面76の幅方向中央部には、僅かに上方に突出して器具本体12の軸方向に線状に延びる導入突部90が形成されている。かかる導入突部90は、導入部78の後端部から、縮径部88の後端部に至る長さ寸法をもって形成されている。また、導入突部90は、導入部78の底面76が軸方向前方に行くに連れて次第に高くされることによって、縮径部88の後端部において、底面76と等しい高さ位置とされている。
【0064】
以上のように、本実施形態における器具本体12は、本体筒部16、ステージ20、カバー部32、およびノズル部70が一体形成されて、単一の部材として構成されている。なお、器具本体12は光透過性を有する部材で形成されており、ステージ20がカバー部32で覆蓋せしめられた状態においても、カバー部32を通して、器具本体12に収容された眼内レンズ26が視認可能とされている。
【0065】
そして、このような構造とされた器具本体12の後方から、押出部材としてのプランジャ14が挿し入れられて、貫通孔15に挿通されている。図9に、プランジャ14を示す。プランジャ14は、器具本体12の軸方向長さ寸法よりもやや大きな軸方向長さ寸法を有する略ロッド状の部材とされており、略扁平形状とされた作用部92と、略矩形ロッド形状とされた挿通部94が一体成形されている。
【0066】
作用部92は、プランジャ14の中心軸上を延びる棒状部96と、棒状部96から幅方向両側に広がる薄板状の扁平部98を含んで構成されている。扁平部98は、棒状部96の基端部から挿通部94と略等しい幅寸法をもって先端方向に向けて延び出すと共に、棒状部96の長さ方向略中間部分から、棒状部96の先端部からやや後方の部位に行くに連れて幅寸法が次第に小さくされた先鋭部100が形成されている。ここにおいて、先鋭部100の上面視形状は、ノズル部70における縮径部88および導入部78の水平方向の断面形状に沿うような形状とされている。
【0067】
さらに、棒状部96の先端縁部には、先端方向に向けて略Y字状に分岐する一対の枝部102,102が一体的に形成されている。そして、例えばゴムなどの変形容易な弾性材料によって形成された中空円筒形状のチューブ104が略ループ状に湾曲せしめられて、その両端部が枝部102,102に外挿されて取り付けられている。これにより、プランジャ14の先端縁部には、上面視において略ループ状に、チューブ104が取り付けられる。ここにおいて、チューブ104は、両端部のみが枝部102,102に外挿されていることから、プランジャ14の先端に位置せしめられる長さ方向の中間部分は変形容易とされており、本実施形態においては、チューブ104によって、変形部材が構成されている。
【0068】
一方、挿通部94は、貫通孔15の長さ寸法よりも僅かに大きな長さ寸法をもって形成されている。そして、挿通部94は略全体がH字状の横断面形状とされており、その幅寸法および高さ寸法が、貫通孔15の幅寸法および高さ寸法よりも僅かに小さくされている。また、挿通部94の後端縁部には、軸直角方向に広がる円板状の押圧板部106が形成されている。
【0069】
さらに、挿通部94には、保持手段としての係止爪部108が形成されている。係止爪部108は、挿通部94の軸直方向に貫通する貫通孔110内に突出する略板形状を有すると共に、貫通孔110への突出先端部には、挿通部94の外側(本実施形態においては、上方)に突出する係止突部112が形成されている。そして、プランジャ14が本体筒部16に挿通された状態で、係止突部112が、本体筒部16において厚さ方向に貫設された係止孔114と係合せしめられることによって、プランジャ14の本体筒部16に対する相対位置が位置決めされるようになっている。また、かかる係止突部112および係止孔114の形成位置は、係合状態において、チューブ104の先端部分が貫通孔15から僅かに突出せしめられて、ステージ20に僅かに差し掛かる位置(図1に示す位置)となるように設定されている。なお、本実施形態においては、係止突部112および係止孔114は、挿入器具10の上面に位置せしめられていたが、例えば、下面や側面に位置せしめても良い。
【0070】
このような構造とされた挿入器具10は、先ず、プランジャ14の先端部分が器具本体12の後方から挿入されて、初期位置(前述の、図1に示す位置)に位置せしめられた状態で、担持部材50が、前述のように、ステージ20の下側から器具本体12に取り付けられる。これにより、担持部材50の本体支持部56、56および脚支持部58,58が載置面30の上側に突出せしめられる。そして、本体支持部56,56の上面61,61および脚支持部58,58の上端面64,64に、眼内レンズ26が載置せしめられるようになっている。
【0071】
そして、屈曲部36が屈曲せしめられて、カバー部32によってステージ20の開口部29が覆蓋せしめられて、眼内レンズ26が、器具本体12内に収容状態でセットされる。なお、カバー部32は、係合片44が係合切欠48に係合せしめられることによって、閉状態に維持される。
【0072】
そして、カバー部32が閉状態とされることによって、左右案内板部40a,40bおよび中央案内板部42が、載置面30に向けて突出せしめられる。ここにおいて、図8に示すように、左右案内板部40a,40bの突出先端部の高さ位置は、器具本体12の軸方向投影において基端開口部74における上面80の左右部分の高さ位置と略等しくなるように設定されている。また、中央案内板部42の突出先端部の高さ位置は、器具本体12の軸方向投影において基端開口部74の上面80の高さ位置と略等しくなるようにされている。更に、左右案内板部40a,40bの突出先端面は、軸方向投影において基端開口部74に沿うように傾斜せしめられている。これにより、器具本体12内に収容された眼内レンズ26の過大な上下動が制限されている。なお、プランジャ14は、眼内レンズ26を担持部材50上に載置した後や、カバー部32を閉じた後に器具本体12に挿入しても良い。
【0073】
以上のようにして、眼内レンズ26が、挿入器具10内に収容される。そして、本実施形態における挿入器具10は、眼内レンズ26を収容した状態で殺菌処理等がなされた後に、梱包されて配送される。
【0074】
そして、本実施形態における挿入器具10を用いて眼内レンズ26を眼内に挿入する場合には、先ず、担持部材50を本体筒部12の下方に引き抜いて、本体筒部12から取り外す。これにより、眼内レンズ26を支持する本体支持部56,56、脚支持部58,58が載置面30上から下方に引き抜かれて、眼内レンズ26が載置面30上に載置される。ここにおいて、本実施形態における挿入器具10においては、載置面30が平坦面とされていることから、眼内レンズ26を安定して載置することが出来ると共に、凹状溝22の幅寸法が担持部材50に載置された状態の眼内レンズ26の幅寸法と略等しくされていることから、載置面30に載置した状態における眼内レンズ26の周方向の回転も有効に防止されている。
【0075】
続いて、眼組織に設けた切開創にノズル部70の先端部分を挿入せしめた状態で、プランジャ14の押圧板部106を器具本体12側に押し込む。これにより、載置面30に載置せしめられた眼内レンズ26の保持部28にプランジャ14のチューブ104が当接せしめられて、眼内レンズ26が基端開口部74に向けて案内される。
【0076】
なお、眼内レンズ26の押し出しの前に、必要に応じて、適宜の潤滑剤をステージ20やノズル部70の内部に注入されることが望ましい。特に本実施形態においては、カバー部32に、厚さ方向に貫通する潤滑剤注入孔としての注入孔116が形成されており、かかる注入孔116を通じて、カバー部32を閉じた状態で注入出来るようにされている。かかる潤滑剤の注入は、例えば、ノズル70の基端開口部74から注入したり、カバー部32を一旦開いて、ステージ20の開口部29から注入したり、或いは、プランジャ14を一旦器具本体12から引き抜いて、貫通孔15の後端の開口部から注入する等しても良い。ここにおいて、特に本実施形態においては、プランジャ14の先端部分に変形容易なチューブ104が設けられている。これにより、ステージ20に注入された潤滑剤に有効に圧力を及ぼすことが出来て、その圧力をもって眼内レンズ26を押し出すことが可能とされており、軟弱な保持部28,28の損傷を有効に防止することも出来る。
【0077】
そして、基端開口部74から導入部78内に案内された眼内レンズ26は、本体部27の幅方向中央部分に導入突部90が当接せしめられることによって、本体部27が上方に凸となるように湾曲変形せしめられる。これにより、眼内レンズ26は、導入部78内で、貫通孔72の形状に沿う初期変形が加えられて、縮径部88に押し込まれる。
【0078】
そして、プランジャ14が更に押し込まれることによって、眼内レンズ26は、縮径部88内を先端方向に案内されて、更に小さく変形せしめられた後に、先端開口部86から挿入器具10の外部に押し出されて、眼内に挿入されることとなる。なお、本実施形態におけるプランジャ14の器具本体12への押し込み量は、先鋭部100の先端部分が貫通孔72によって係止されることで制限されるようになっており、かかる押し込みの最大位置で、チューブ104が先端開口部86から僅かに突出するようにされている。
【0079】
このような構造とされた挿入器具10においては、眼内レンズ26を担持部材50に載置せしめることによって、眼内レンズ26を容易に収容せしめることが出来ると共に、安定して収容せしめることが出来る。そして、光学領域25を含む本体部27を変形せしめることなく収容出来ることから、径時による光学領域25の湾曲変形のおそれも軽減されて、挿入器具10内に眼内レンズ26を長時間収容することが可能とされている。これにより、挿入器具10に眼内レンズ26を収容した状態での梱包や保管が可能となって、施術の際に眼内レンズを挿入器具内に収容する手間も不要とされる。
【0080】
そして、特に本実施形態においては、担持部材50への載置状態において、本体部27が担持部材50や載置面30などの他の部材と非接触とされていることから、本体部27を傷つけるおそれも軽減されている。また、カバー部32に左右案内板部40a,40b、中央案内板部42を設けたことによって、担持部材50に載置された眼内レンズ26の上方への過大な変位が制限されることから、輸送時の振動等に起因して眼内レンズ26が担持部材50から外れるようなおそれも軽減されて、挿入器具10への収容状態を安定して維持することが可能とされている。
【0081】
さらに、本実施形態における挿入器具10を使用する際には、担持部材50を取り外すという非常に簡易な操作によって眼内レンズ26を載置面30上に載置することが可能とされている。そして、カバー部32によってステージ20を覆蓋せしめた状態で眼内レンズ26の載置を行えることから、眼内レンズ26の脱落のおそれも防止されると共に、眼内レンズ26の外界との接触も軽減されて、衛生面上も優れた効果を得ることが出来るのである。
【0082】
更にまた、本実施形態における挿入器具10においては、眼内レンズ26を押し出すに際して、左右案内板部40a,40b、および中央案内板部42によって眼内レンズ26の上方への変位量が制限されることから、眼内レンズ26を基端開口部74に安定して案内することが出来て、引っ掛かり等に起因する眼内レンズ26の損傷のおそれを軽減することも出来る。そして、基端開口部74から導入部78に案内された眼内レンズ26を導入突部90に当接せしめることによって、眼内レンズ26に安定した初期変形を加えることが出来て、ノズル部70における眼内レンズ26の変形を安定して行うことも可能となる。
【0083】
加えて、本実施形態における挿入器具10においては、プランジャ14の先端部にチューブ104が設けられて変形容易とされていることによって、眼内レンズ26の押し出しに際して、眼内レンズ26に無理な力が加わることが軽減されており、押し出しに際する眼内レンズ26の損傷や破損のおそれも軽減されている。更に、特に本実施形態においては、チューブ104が略ループ形状とされていることから、横長断面のステージ20から略オーバル形状断面とされたノズル部70に至る断面形状の変化にも有利に対応して追従することが可能とされている。
【0084】
また、本実施形態の如きプランジャ14の先端形状は、ステージ20およびノズル部70に潤滑剤を注入せしめた際に、より有効な効果を奏することとなる。即ち、チューブ104が変形容易な略ループ形状とされていることによって、潤滑剤に及ぼした圧力を用いて眼内レンズ26を押し出すことが出来ることから、軟弱な保持部28の損傷をより有効に抑えることが出来る。更に、ステージ20からノズル部70に至る領域の断面形状の変化に有効に対応出来ることから、潤滑剤に対してより有効に圧力を及ぼすことが出来て、眼内レンズ26をより安定して押し出すことが出来るのである。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。なお、以下の説明において、前述の実施形態と実質的に同様の部材および部位については、前述の実施形態と同様の符号を付することによって、詳細な説明を省略する。
【0086】
例えば、担持部材や担持部の具体的な形状は、前述の如き形状に限定されない。図10に、担持部材の異なる態様としての担持部材120を示す。担持部材120は、前述の担持部材50と略同様に、略矩形板形状を有する板部122に対して、上方に突出して板部122の縦方向の全長に亘って略平行に延びる一対の嵌合板部124,124が一体成形されている。
【0087】
そして、担持部材120においては、嵌合板部124,124のそれぞれから、略1/4周の略円弧状の上面視形状をもって、対向する嵌合板部124、124に向けて延びる支持部としての本体支持部126、126が形成されている。更に、本体支持部126の突出先端面としての上面127における周方向の外側端部には、上方に突出する外側突片128aが形成されており、外側突片128aから所定距離を隔てた周方向の内方には、上方に突出する内側突片128bが形成されている。
【0088】
また、本体支持部126,126の外側には、板部122から上方に突出する一対の支持部としての脚支持部130、130が形成されている。本態様における脚支持部130は、本体支持部126において対向する嵌合板部124への突出端部から、嵌合板部124の軸方向で本体支持部126のやや外側に位置せしめられており、一対の脚支持部130,130の形成位置が、嵌合板部124の延び出し方向で僅かに異ならされている。そして、本態様における脚支持部130の突出先端面としての上端面132の形状は、嵌合板部124の延び出し方向と略同じ方向に伸びる略矩形状とされている。
【0089】
このような構造とされた担持部材120は、前述の担持部材50と同様にして、載置面30の裏側に取り付けられる。即ち、図示は省略するが、載置面30には、本態様における本体支持部126、126、脚支持部130,130の上面形状に対応する形状の挿通孔が貫設されている。また、本体支持部126および脚支持部130は下方に向けて次第に僅かに大きく形成されている。これによって、載置面30に形成された挿通孔に本体支持部126および脚支持部130が押し込まれて、担持部材120が載置面30の裏側に固定されるようになっている。
【0090】
そして、担持部材120に眼内レンズ26を載置せしめる際には、保持部28の基端部60が本体支持部126の上面127に載置せしめられると共に、保持部28の外方への延び出し部が外側突片128aと内側突片128bの対向面間から本体支持部126の外方へ延び出されて、脚支持部130の上端面132上に載置せしめられる。これにより、前述の実施形態と同様に、眼内レンズ26の周方向の回転を阻止しつつ、本体部27を非接触状態で載置せしめることが出来る。そして、本態様によれば、眼内レンズ26と担持部材120との接触面積をより小さくすることが出来て、他部材との接触に起因する損傷のおそれをより軽減することが出来る。
【0091】
なお、上述の担持部材50,120における脚支持部58,130は、何れも保持部28に対して部分的に接触せしめられて、互いの接触面積が小さくされることによって、接触に起因する損傷のおそれが軽減されているが、脚支持部は必ずしもこれらの形状に限定されるものではなく、保持部28に沿う形状に形成して、保持部28の略全体を支持せしめる等しても良い。
【0092】
また、押出部材の具体的形状は、前述の如き形状に限定されない。以下に、本発明において好適に用いることの出来る押出部材を、幾つか例示する。例えば、図11に、押出部材の異なる態様としてのプランジャ140の先端部分の上面図を示す。プランジャ140は、前述のプランジャ14におけるチューブ104の具体的形状が異ならされたものである。プランジャ140における変形部材としてのチューブ142は、例えばゴムなどの変形容易な弾性材料によって形成された中空の略円筒形状とされており、長さ方向の2箇所で屈曲せしめられていることによって、上面視において略三角形状とされている。そして、チューブ142の両端部が、枝部102,102に外挿されて固定されている。これにより、プランジャ140の先端部分は、両枝部102,102とチューブ142によって、上面視において三角形状とされており、プランジャ140の先端縁部において、器具本体12の軸方向に直交する方向に直線状に延びる直線状部144がチューブ142によって構成されている。また、直線状部144の幅寸法は、凹状溝22の幅寸法と略等しくされている。
【0093】
このようにすれば、直線状部144、即ち、プランジャ140の先端縁部を、凹状溝22の幅方向の略全体に亘らせることが出来る。これにより、特に凹状溝22内に潤滑剤等が充填されている場合には、凹状溝22の幅方向の略全体に亘って、略一様に押出し方向の圧力を与えることが可能となるのであり、眼内レンズ26の押出しをより安定して行うことが出来る。そして、前述のプランジャ14と同様に、直線状部144が変形容易とされていることから、眼内レンズ26に対して無理な力を加えることも無い。
【0094】
また、図12に、押出部材の更に異なる態様としてのプランジャ150の先端部分の上面図を示す。プランジャ150の先端部分には、変形部材としての作用部材152が設けられている。作用部材152は、前端縁部154の幅寸法が凹状溝22の幅寸法と略等しくされている一方、後端縁部156の幅寸法は、枝部102,102におけるプランジャ150の軸方向の中間位置での離隔距離と略等しくされている。これにより、作用部材152は、後端縁部156に近い部位の両側端部が枝部102、102に挟まれるようにして、プランジャ150の先端部分に位置せしめられる。なお、作用部材152は、枝部102,102に対して接着剤等で固定的に設けても良いし、非固定的に設けても良い。ここにおいて、作用部材152の前端縁部154は、枝部102,102の先端部分からやや突出せしめられている。また、後端縁部156と枝部102,102の基端部158との間には適当な空隙が形成されている。なお、作用部材152は、例えばゴムやシリコンなどの変形容易な弾性を有する材料から形成されている。このような態様においても、凹状溝22の幅方向の全体に亘って略一様に安定して押圧力を及ぼすことが出来る。
【0095】
更にまた、図13および図14に、押出部材の更に異なる態様としてのプランジャ170の先端部の上面図および断面図を示す。本態様におけるプランジャ170は、棒状部96の先端部に、上方に開口する切欠172が形成されている。棒状部96は、略円形断面をもってストレートに延びる略ロッド形状とされている。そして、棒状部96における先端縁部173から軸方向でやや後方の位置から、軸方向の所定寸法に亘って、棒状部96の幅方向の全体に切欠172が形成されている。これにより、棒状部96の先端部は、軸方向断面において略コの字形状とされていると共に、切欠172が形成された部位は、軸直角方向の断面において略半円形状とされている。また、特に本実施形態においては、切欠172の軸方向後方の端縁部となる後端壁部174は、棒状部96の軸直角方向に対してやや傾斜せしめられており、後端壁部174の傾きが、軸方向で対向する眼内レンズ26の外周縁部の傾きと略等しくされている。なお、切欠172の軸方向寸法は、少なくとも眼内レンズ26の保持部28の延び出し部分の幅寸法よりも大きくされている。また、棒状部96の幅方向中間部分には、上方に突出して軸方向に延びる上方突出部175が形成されている。
【0096】
このような構造とされたプランジャ170は、眼内レンズ26を押し出す際には、保持部28が切欠172に載せられた状態で、プランジャ170の先端縁部173が本体部27の周縁部に接触せしめられる。これにより、プランジャ170の押出力が軟弱な保持部28に及ぼされて保持部28を損傷せしめるようなことが回避されると共に、プランジャ170の押出力を本体部27に及ぼすことが出来て、眼内レンズ26を安定して押し出すことが出来る。更に、眼内レンズ26が貫通孔72内に案内された場合にも、貫通孔72の内周面(上面80)と切欠172の間に所定の空隙が形成されて、かかる空隙内に保持部28が位置せしめられることから、貫通孔72の内周面とプランジャ170との間で保持部28が挟まれて損傷せしめられるようなおそれも有効に低減されているのである。また、特に本実施形態においては、後端壁部174の傾きが、保持部28の傾きと略等しくされていることから、保持部28が後端壁部174に当接したとしても、保持部28には眼内に装用された場合と同様の本体部27に向かう方向の作用力が及ぼされることから、保持部28に対して無理な方向に力を及ぼして変形せしめたり、損傷せしめるおそれも軽減されている。
【0097】
さらに、図15に、押出部材の更に異なる態様としてのプランジャ180の先端部の上面図を示す。本態様におけるプランジャ180は、棒状部96の先端縁部の幅方向両端部に、軸方向の所定寸法に亘る切欠182a,182bが形成されている。本態様における棒状部96は、ストレートに延びる略ロッド形状とされており、上下端部に直線状部184を有する略一定の略オーバル形状断面とされている。そして、棒状部96の幅方向両端部が、先端縁部から軸方向後方に所定寸法に亘って切り欠かれており、これにより、棒状部96の幅方向両端部に切欠182a,182bが形成されていると共に、切欠182a,182bの間には、作用部186が形成されている。なお、切欠182a,182bの軸直角方向の寸法は、棒状部96の幅寸法の略1/4程度とされている。また、特に本実施形態においては、作用部186の先端縁部188は、上面視において軸方向で対向する保持部28の基端部60の外周縁部の傾きと略等しい傾きをもって傾斜せしめられている。
【0098】
このような構造とされたプランジャ180は、眼内レンズ26を押し出す際には、先端縁部188が、眼内レンズ26における基端部60の外周縁部に当接せしめられる。そして、プランジャ180が更に押し込まれることによって、眼内レンズ26は、導入突部90によって上方に凸となるように変形せしめられて、貫通孔72内に押し込まれる。これにより、プランジャ180側に位置する保持部28も、貫通孔72の内周面に略沿うように変形せしめられる。ここにおいて、本実施形態におけるプランジャ180においては、貫通孔72の内周面と切欠182a,182bの間に空隙が形成されるようになっており、保持部28の基端部60および基端部60に近接した延出部分が、かかる空隙内に位置せしめられるようになっている。これにより、保持部28が貫通孔72の内周面とプランジャ180の間で挟まれて損傷せしめられるようなおそれも軽減されている。また、特に本実施形態においては、先端縁部188が基端部60の外周縁部の形状に沿うように傾斜せしめられていることから、先端縁部188の基端部60に対する点接触を可及的に回避して、保持部28を損傷せしめるおそれがより低減されているのである。
【0099】
また、蓋部に設けられる案内突部の具体的な形状についても、前述の如き形状に限定されない。例えば、前述の実施形態においては、カバー部32の幅方向中央上を延びる一条の中央案内板部42と、それらの両側に一対の左右案内板部40a,40bが形成されていたが、例えば、中央案内板部42の代わりに、カバー部32の幅方向中央を挟む一対の案内板部を形成して、左右案内板部40a,40bと合わせて、4つの案内板部を形成する等しても良い。
【0100】
また、前述の実施形態においては、導入突部90は、導入部78における底面76の幅方向中央部に一条のみ形成されていたが、導入突部の数は必ずしも一つに限定されるものではなく、複数の導入突部を形成しても良い。
【0101】
そのような複数の導入突部を備えた器具本体の例として、図16〜図19に、異なる態様の器具本体190を示す。器具本体190は、前述の器具本体12と略同じ形状とされており、前述の器具本体12に比して、導入部78における底面76の幅方向中央部分において、一対の導入突部192a,192bが形成されている点が異ならされている。なお、図16および図19においては、器具本体190に対して、押出部材として前述のプランジャ180が挿入された状態を示すが、押出部材の具体的な形状は特に限定されるものではなく、例えば前述した各態様のプランジャ14、140,150,170などを用いることも可能である。また、図16、図17、図19においては、眼内レンズ26を省略すると共に、担持部材120を取り外した状態を示し、図16においては、カバー部32を省略して示す。
【0102】
器具本体190における導入突部192a,192bは、それぞれ、導入部78における底面76から僅かに上方に突出せしめられて形成されており、器具本体12の軸方向に線状に延びる形状とされている。そして、これら導入突部192a,192bの軸方向寸法は、導入部78の後端部から、縮径部88の前端部に至る長さ寸法とされている。なお、導入突部192a,192bは、底面76が宿径部88において軸方向前方に行くに連れて次第に高くされることによって、縮径部88の前端部において、底面76と等しい高さ位置となるようにされている。
【0103】
そして、これら導入突部192a,192bは、底面76の幅方向の中央を挟んで、器具本体190の軸直角方向で互いに所定距離を隔てて略平行に配設されている。かかる導入突部192a,192bの離隔距離は、押出部材の先端部の幅寸法より僅かに大きい寸法とされることが好ましく、特に本態様においては、図19にモデル的に示すように、プランジャ180における作用部186の幅寸法よりもやや大きく、導入突部192a,192bと棒状部96との間に、僅かな隙間が生じる程度の離隔距離とされている。
【0104】
さらに、特に本態様においては、図18にも示すように、カバー部32における対向面38の幅方向中央部に、器具本体190の軸方向に延びる中央案内突部194が一体的に形成されている。中央案内突部194は、全周に亘って肉厚に形成された対向面38の外周縁部の突出寸法よりもやや大きな突出寸法をもって形成されており、カバー部32の長さ方向の全長に亘ってストレートに延びる梁形状とされている。
【0105】
また、対向面38の外周縁部と中央案内突部194との接続部位で、カバー部32の後端部側には、一対の左右案内突部196a,196bが形成されている。左右案内突部196a,196bは、肉厚に形成された対向面38の外周縁部から突出せしめられてカバー部32と一体的に形成されており、互いの対向面間距離は、プランジャ180における棒状部96の径寸法よりもやや小さくされている。更に、特に本態様においては、左右案内突部196a,196bは、略三角の断面形状をもって形成されていると共に、突出先端部が丸められている。
【0106】
なお、特に本態様におけるカバー部32には、中央案内突部194を挟んで、一対の注入孔116,116と、一対の当接突部198,198が、それぞれカバー部32の斜め方向で対向して形成されている。当接突部198、198は、対向面38から突出せしめられてカバー部32と一体的に形成されており、突出先端の高さ位置が左右案内突部196a,196bの突出先端と略等しくされている。そして、当接突部198,198は、カバー部32を覆蓋せしめた状態で、担持部材120によって支持された眼内レンズ26の保持部28、28の上方にそれぞれ位置せしめられて、眼内レンズ26が上方へ変位せしめられた際に当接せしめられることによって、眼内レンズ26の上方への過大変位を制限するようにされている。
【0107】
このような構造とされた器具本体190は、カバー部32を覆蓋せしめると、図19に示すように、中央案内突部194および左右案内突部196a,196bが、プランジャ180の上方に位置せしめられる。ここにおいて、中央案内突部194と載置面30との離隔距離は、プランジャ180の棒状部96の径寸法よりも僅かに大きい程度とされており、これによって、プランジャ180の上下方向の変位が制限されている。更に、左右案内突部196a,196bが、棒状部96の上方の左右両側で棒状部96を挟むように位置せしめられることによって、プランジャ180の左右方向の変位が制限されている。これにより、プランジャ180を押し出す際には、中央案内突部194と左右案内突部196a,196bによってプランジャ180の斜め方向の過大変位が制限されて、プランジャ180を軸方向に安定して押し出すことが出来るようにされている。このように、本態様においては、中央案内突部194および左右案内突部196a,196bによって、押出部材案内部が形成されている。
【0108】
さらに、特に本態様においては、左右案内突部196a,196bが、カバー部32における軸方向の後側に形成されていることから、カバー部32を覆蓋せしめることによって、押し出し前の位置にセットされたプランジャ180が押し出し前の段階から左右案内突部196a,196bに挟まれた状態とされる。これにより、プランジャ180を左右案内突部196a,196bに引っ掛かることなく、押し出しの初期の段階から軸方向に安定して案内出来るようにされている。
【0109】
そして、プランジャ180によって眼内レンズ26が押し出されると、眼内レンズ26の中央部付近に導入突部192a,192bが当接せしめられる。これにより、眼内レンズ26に初期変形を与えて、貫通孔72内に押し込むことが出来る。それと共に、押し出しに際する眼内レンズ26と貫通孔72との摩擦抵抗や引っ掛かりなどに起因して、プランジャ180の作用部186や棒状部96が器具本体190の軸方向に対して斜めに変位せしめられた場合には、作用部186や棒状部96が導入突部192a乃至は192bに当接せしめられることによって、プランジャ180の斜め方向への過大な変位が抑えられる。そして、特に本態様においては、載置部32の軸方向の両端部にそれぞれ導入突部192aおよび192bと左右案内突部196a,196bが形成されていることによって、プランジャ180の水平方向の過大変位を載置部32の両端部で制限することが出来ると共に、中央案内突部194が軸方向に延びて形成されていることから、プランジャ180の鉛直方向の過大変位を載置部32の軸方向の全体に亘って制限することが出来る。従って、載置部32の略全体に亘って、プランジャ180の位置を安定せしめることが出来て、より安定した押し出しを行うことが出来るのである。
【0110】
なお、押出部材案内部の具体的な形状は様々な形状が適宜に採用可能であって、上述の如き形状に限定されない。例えば、中央案内突部194を、軸方向に断続的に延びる形状としても良い。また、左右案内突部196a,196bをカバー部32における軸方向前方や軸方向中間部分に形成したり、或いは、上記態様における左右案内突部196a,196bを軸方向前方に延び出させて、カバー部32の長さ方向の全体に亘って形成するなどしても良い。更には、カバー部32に軸方向に延びる凹溝を形成して、かかる凹溝の両縁部で実質的に突部を構成して、かかる突部で押出部材を案内しても良いし、又、押出部材に凹溝を形成すると共に、カバー部32にかかる凹溝と係合せしめられる突起を形成して、これら凹溝と突起の案内作用によって押出部材を案内する等しても良い。
【0111】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施形態としての眼内レンズの挿入器具を示す斜視図。
【図2】同挿入器具の要部拡大斜視図。
【図3】同挿入器具に用いられる担持部材および眼内レンズの上面図。
【図4】同担持部材および同眼内レンズの斜視図。
【図5】載置面を示す説明図。
【図6】図1におけるVI−VI断面をモデル的に示す断面説明図。
【図7】図1に示した挿入器具の要部拡大断面図。
【図8】図1におけるVIII−VIII断面をモデル的に示す断面説明図。
【図9】同挿入器具に用いられる押出部材を示す斜視図。
【図10】担持部材の異なる態様を示す上面図。
【図11】押出部材の異なる態様を示す上面図。
【図12】押出部材の更に異なる態様を示す上面図。
【図13】押出部材の更に異なる態様を示す上面図。
【図14】図13におけるXIV−XIV断面を示す断面図。
【図15】押出部材の更に異なる態様を示す上面図。
【図16】器具本体の異なる態様を示す上面図。
【図17】同器具本体を示す斜視図。
【図18】同器具本体を示す斜視図。
【図19】図16におけるXIX−XIX断面をモデル的に示す断面説明図。
【符号の説明】
【0113】
10:挿入器具、12:器具本体、14:プランジャ、20:ステージ、26:眼内レンズ、29:開口部、30:載置面、50:担持部材、56:本体支持部、58:脚支持部、61:上面、64:上端面、66:挿通孔、68:挿通孔、70:ノズル部
【出願人】 【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝


【公開番号】 特開2008−61677(P2008−61677A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239870(P2006−239870)