トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 体内の径路の補綴による修復
【発明者】 【氏名】ラオタ−ヤング,カール−ルーツ

【要約】 【課題】腹部大動脈の動脈瘤を治療するための血管用ステントを提供する。

【構成】管形移植片42は体内の径路に挿入するために直径に沿った軸で折りたたむことができる環状締め付けリング30を有する。締め付けリング30は、体内の径路の定位置につくと、外側に向かって弾力的に復元し、体内の径路の内表面によって継続的に、弾力的に偏向させられるようになっている。又、締め付けリング30を管形移植片42の互いに向かい合う端部に取り付けることもできる。体内の径路に位置する環状リング30を選択的に拡張および/または、いくつかの実施形態では、収縮させるアプリケータを使って、リング30とそれに接合した移植片42を、体内の径路に位置させることができる。保持部材を使って、環状リング30が体内の径路内の希望の位置につくまで、その環状リング30を圧縮した状態に保持することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形前の直径が、体内の径路の直径よりも大きい環状の弾性要素を備えた、前記体内の径路に補綴を留置するための装置。
【請求項2】
前記環状の弾性要素が、変形前は円形の断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記要素に取り付けた管形の移植片を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
環状の弾性ばね要素と、前記要素に取り付けた可撓性の管形移植片を備えており、前記要素の変形前の直径は、前記移植片の直径よりも大きいことを特徴とする、体内の径路に挿入するための補綴装置。
【請求項5】
前記移植片が織物で形成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記要素は、前記管形移植片の一端に接合されており、前記管形移植片は前記要素への接続部に近接した位置の第1の直径と、前記要素から離れた位置の第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記要素は、織物製移植片の一端でのみ前記織物製移植片に接合されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
一対の要素を含み、前記要素は、前記管形移植片と接合してあることを特徴とする、請求項3乃至6のいずれかの記載の装置。
【請求項9】
移植片が、前記要素に接合した分岐型移植片であり、前記分岐型移植片は、前記要素に接合した第1の管形部と、前記第1の管形部に接合した一対の管形部とを含み、前記一対の管形部は、自由端を有し、環状の弾性を有する変形可能な要素が前記一対の管形部の自由端に接合されていることを特徴とする、請求項3乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記要素が、共通の芯の回りを複数の巻線で包み、前記巻線を共に接合させることによって形成してあることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記ワイヤが、超弾性位相のニッケル−チタン合金で形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記要素が、前記要素の直径に沿った軸で折りたたまれ、C字型に変形した形状で体内の径路の中に位置することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記環状要素が、変形前は円形の断面を有し、前記要素は、弾性金属で形成され、円周方向を向いた複数のワイヤの素線によって形成され、前記移植片は、互いに向き合う一対の自由端を有し、前記環状要素は、前記移植片の前記自由端のうちの一方に取り付けてあることを特徴とする、請求項3乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記移植片が互いに向き合う一対の自由端を有し、前記要素は前記自由端のうちの一方に接合してあり、前記要素に近接する前記移植片の領域の直径が前記要素から離れた移植片の部分の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記要素が前記移植体の二つの互いに向き合う自由端の一方に取り付けられており、前記移植片は、前記ばね要素に接合された端部の直径が、前記要素から離れた位置の直径よりも大きく、前記移植片は、前記要素に接合した前記端部から直径が小さい部分に向かって先細になっており、移植片の残りの部分は比較的一定の直径を有することを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記移植片は管形であり、一対の互いに向かい合う自由端を有し、ばね要素が前記自由端のそれぞれに取り付けてあることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記移植片が一対の互いに向き合う端部を有し、ばね要素が前記移植片の前記端部のうちの一方にのみ取り付けてあることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
位置決めワイヤを受容するための装置を含むことを特徴とする、請求項1乃至17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、前記ワイヤを取り外し可能に受容するための内部通路含むことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
環状要素の直径が実質的に13mmであることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
一つの方向に延在する第1の対のループと、反対の方向に延在する第2の対のループを有する、折りたたんだ、弾性環状リングを備え、前記第1と第2の対のループは互いに接続してあり、さらに、前記リングに接合した管形移植片を備え、前記移植片は、前記第1の血管の長さに沿って延在するように配置してあり、前記第1の対のループは、第2の血管が前記第1の血管と交差する点を少なくとも部分的に超えて延在するように配置してあり、前記第2の対のループのうちの一方は、少なくとも部分的に前記補綴を超えて前記第1と第2の血管の間を連通させるような開口部を形成していることを特徴とする、罹病状態の第1の血管を修復するための血管用補綴。
【請求項22】
前記第2の対のループが前記補綴を腹部大動脈内に位置させる時に腎動脈を遮断しないように配置されていることを特徴とする、請求項21に記載の補綴。
【請求項23】
前記管形移植片の直径が、前記環状リングの変形前の直径より小さいことを特徴とする、請求項21または22に記載の補綴。
【請求項24】
前記環状リングが実質的に共通の中心軸を有する、複数の弾性ワイヤの素線によって形成されていることを特徴とする、請求項21、22または23に記載の補綴。
【請求項25】
前記リングの断面が、変形前は円形であることを特徴とする、請求項21乃至24のいずれかに記載の補綴。
【請求項26】
前記管形移植片が一対の互いに向き合う自由端を有し、環状リングを前記自由端のそれぞれに接合してあることを特徴とする、請求項21乃至25のうちのいずれかに記載の補綴。
【請求項27】
前記管形移植片が、一対の自由端を有し、環状リングが前記自由端のうちの一方にのみ接合されていることを特徴とする、請求項21乃至25のうちのいずれかに記載の補綴。
【請求項28】
軸方向にガイドワイヤを受容するための装置を含み、前記装置は、前記ガイドワイヤを伸縮自在に、および取り外し可能に受容するように構成されていることを特徴とする、請求項21乃至27のいずれかに記載の補綴。
【請求項29】
弾力で変形可能な環状リングと、一対の互いに向き合う自由端を有する管形 移植片と、前記環状リングに取り付けた前記自由端のうちの一つと、前記リングを遠隔位置から圧縮したり拡張したりすることができるような構成の装置とを備えた、体内の径路の内表面に補綴を固定するための装置。
【請求項30】
前記装置が、前記補綴を通って軸方向に延在するガイドワイヤカテーテルを含み、前記ガイドワイヤカテーテルは、直径に沿った軸でC字型に折りたたんだ時に前記環状リングに取り外し可能に係合するように構成してあり、前記軸から外側に向かって延在するループのそれぞれがガイドワイヤカテーテルとリングおよびループとの間を連結しており、前記ループの相互の変形の度合いを調整することができることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記接続部のそれぞれが遠隔位置から取り外し可能であること特徴とする、請求項31に記載の装置。
【請求項32】
弾力的に変形可能な環状ばね要素と管形移植片を含む第1の補綴部分を備え、前記管形移植片は、一対の自由端を有しており、前記環状ばね要素は、前記自由端のうちの一方に接合してあり、さらに、前記第1の補綴部分と共通の軸方向に並んで、前記第1の補綴部分の内部に係合するように配置してある第2の補綴部分を備え、前記第2の補綴部分は、前記第1の補綴部分の前記管形移植片の内表面に係合するように構成してある、弾力的に変形可能な環状ばね要素を含んでおり、最終的な補綴の長さを調整できることを特徴とする、体内の径路に挿入するための補綴。
【請求項33】
前記第2の補綴部分が、前記環状ばね要素に取り付けた管形移植片を含み、前記管形移植片は、一対の自由端を有し、前記自由端のうちの一方は、前記ばね要素に接合してあり、前記自由端のもう一方は、前記自由端を開放形状で保持するための装置に接合してあることを特徴とする、請求項32に記載の補綴。
【請求項34】
前記装置が、前記第2の補綴部分の前記自由端の中に一対の独立した径路を形成する、一対の比較的剛性の要素を含むことを特徴とする、請求項32または33に記載の補綴。
【請求項35】
前記第2の補綴部分の前記自由端上に前記比較的剛性の要素を入れ子式に係合する第3および第4の補綴を含み、前記第3および第4の補綴部分は、それぞれ、一対の環状の、弾力性を有する変形可能なばね要素と、管形移植片を含み、前記ばね要素は、前記管形移植片の自由端に取り付けてあり、前記ばね要素の少なくとも一方が前記第2の補綴部分の内部に係合するように構成してあることを特徴とする、請求項34に記載の補綴。
【請求項36】
前記第2の補綴部分が、一本の径路を形成する一端と、前記一本の径路と連通する一対の分岐した径路を形成する反対側の端部とを有する移植片を含むことを特徴とする、請求項32乃至35のいずれかに記載の補綴。
【請求項37】
弾性環状リングを前記変形前のリングの断面積より小さい断面積を有する第1の形状に折りたたむ工程と、前記リングを体内の径路の希望の箇所に位置させる工程と、前記リングを、前記第1の形状より大きく、さらに前記変形前のリングの断面積より小さい断面積を有する第2の形状に弾力的に変形させる工程とを含む、補綴装置を体内の径路に固定する方法。
【請求項38】
前記リングを、前記リングを前記体内の径路内に挿入する前に変形させる工程と、前記リングを体内の径路の中の希望の箇所に位置させる工程と、前記リングを拡張させ、その体内の径路に係合する工程とを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
遠隔アクチュエータをつかって体内の径路の中に位置する前記リングを選択的に圧縮したり解放したりする工程を含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記補綴装置を管形カテーテルの内部に挿入することによって、体内の径路の希望の位置に前記補綴装置を挿入する工程と、カテーテルを体内の径路の中の希望の箇所に位置させる工程と、前記補綴装置を前記カテーテルの内部から取り出す工程とを含む、請求項37乃至39のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項41】
環状リングをその直径に沿った軸で断面の小さい形状に折りたたむ工程と、前記軸から離れる方向に延在する一対のループを形成する工程と、前記ループが前記交差する血管を少なくとも部分的に超えて延在するように、前記リングを、前記交差する血管を遮断して、前記直径に沿った軸を交差する血管に近接させて前記血管内に配置する工程を含むことを特徴とする、罹病血管を修復する方法。
【請求項42】
前記環状リングが、患者の体内の定位置についた時に、前記罹病血管によって弾力的に偏向させられることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ばねをその直径に沿った軸で折りたたむことによって、環状弾性ばねを変形させる工程と、前記ばねを体内の径路に位置させ、前記ばねを前記体内の径路に対して弾力的に拡張させる工程と、前記ばねが前記体内の径路に対して外側方向に連続的に押し出すようにする工程とを含む、体内の径路の中に補綴装置を固定する方法。
【請求項44】
前記補綴装置が、前記ばねに接合した管形移植片を含み、前記方法は、さらに、前記管形移植片の内部に第2の補綴装置を入れ子式に挿入し、環状弾性ばね部材を外側方向に拡張させ、前記移植片の内表面に係合させる工程を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第2の補綴装置を前記第1の補綴装置の中に入れ子式に挿入することによって、前記補綴装置の長さを調整する工程を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
一対のステントを、第2の補綴装置の中に入れ子式に挿入し、腸骨動脈から腹部大動脈への径路を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
補綴心臓弁と、前記弁に接続可能な第1の端部と第2の端部を有する可撓性の管形スリーブと、前記第2の端部に接続し、前記装置を上行大動脈の一部の内表面に接合するようにした弾性環状リングとを備えた補綴装置。
【請求項48】
少なくとも二つの環状弾性ばね要素と、前記要素のそれぞれに取り付けた可撓性の管形移植片と、前記要素に長手方向に接続した剛性部材とを備え、前記部材は、前記移植片より可撓性が低いことを特徴とする、体内の径路に挿入するための補綴。
【請求項49】
前記部材が、前記要素を接続するワイヤであることを特徴とする、請求項48に記載の補綴。
【請求項50】
一対の管形補綴を共に体内の径路に挿入する工程と、前記補綴の一方の位置を前記補綴のもう一方の中で入れ子式に調整する工程とを含む、体内の径路の中に補綴を挿入する方法。
【請求項51】
前記補綴を前記径路に共に挿入する前にそれぞれに設けられた環状弾性ばね要素を折りたたみ、前記要素を前記通路の中に固定し、同時に互いに固定する工程を含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、体内の径路内に留置する装置に関し、特に、動脈瘤として知られる動脈拡張症の治療に使用する血管用ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化が起きると、血管が部分的に弱まり、極度に拡張する場合がある。このような拡張した血管は、拡張部分または弱まって広がった部分に血管用管形補綴を使って補強することにより治療することができる。このように、血管の罹病部分は、血管内の圧力から効果的に隔離することができる。
【0003】
血管用管形補綴は、血管を外科的手術によって開き、補綴を定位置に縫合することによって、罹病部分に挿入することができる。しかし、補綴は、カテーテルシステムを使って鼠径部に隣接する股動脈のような、遠隔の開口部から挿入するのが好ましい。これは、身体の主要な腔を切開する必要がないため、外科的処置によって起こりうる合併症の可能性を減少させることができるからである。
【0004】
一般的に、カテーテルを使って、補綴を折りたたんだ状態、あるいは圧縮した状態で挿入し、定位置についてから補綴を拡張するのが望ましい。その理由の一つは、挿入過程において血液の流れを実質的に遮断するのは避けたようがよいからである。従って、補綴を折りたたむことにより、場合によっては、血液の流れを実質的に遮断することなく、補綴を容易に血管内に位置させることができる。
【0005】
一般的には、補綴が修復すべき位置に配置されてから、補綴を拡張する方法として、二つの技術がある。一つの技術では、二つの形状を有する可鍛性の補綴を使用する。一つの形状は、直径が比較的小さく、もう一つの形状は、罹病血管部分のいずれかの側の頚部に接触し、固定する相対的に半径方向に拡張した形状である。この補綴は、可鍛性の金属でできたリングであり、バルーンカテーテルによって拡張し、直径を拡張した状態の補綴を血管の罹病部分に近接する頚部の内側に取り付けることができる。
【0006】
もう一つの一般的な方法は、斜め方向の弾性に抗して圧縮することができる自己拡張型の補綴を使用する方法である。適切な位置に到達すると、補綴は、復元力で拡張し、血管の壁に接触する。
【0007】
罹病組織を効果的に回避するという課題に対して様々な解決策が提案されてきたが、現存の様々な補綴装置の設計には、ある程度の欠点が伴う。例えば、罹病血管部分のいずれかの側にある頚部が比較的短い場合がある。そのため、補綴装置を動脈瘤のいずれかの側にある頚部に適切に係合させるのが難しい。
【0008】
さらに、現存の補綴には、補綴挿入中に血液の流れを止めてしまうものもあり、これは、生理的に悪影響を及ぼす可能性がある。また、もう一つの問題は、現存の補綴の多くは、血管の内表面に対する密閉性が適切でないため、血液が補綴を通過して、補綴と弱った血管との間の領域に漏れ出てしまう場合があるという点である。このような漏れが起きた結果、外傷につながる可能性もある。設計によっては、この装置は、円形でない、または不規則な形状の頚部領域には適合できないものもある。
【0009】
周知の補綴におけるさらにもう一つの問題は、病院が、状況や患者の生理に合わせて様々な寸法の補綴を在庫として保有していなければならない場合があるということである。また、設計によっては、補綴を特別な患者個人に合わせてあつらえなければならないものもある。
【0010】
さらに、一度拡張してしまった場合には、正確な位置決めを行なうのが困難な場合がある。不正確な位置決めをしてしまうと、解決が難しくなる場合もある。
同様に、現存の補綴の多くは、希望の位置から外れてしまい、弱った血管を保護するという機能を効果的に果たさないといったことが起きる可能性がある。
【0011】
これらの、そして他の理由から、罹病血管を修復するという課題と、さらに一般的に言えば、体内の径路の内壁に補綴装置を効果的に固定するという課題に対するよりよい解決策が引き続き必要である。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
本発明の一つの特徴は、補綴を体内の径路に留置するための装置は、環状の弾性要素を含むということである。この要素の変形前の直径は、体内の径路の直径よりも大きい。
本発明のもう一つの特徴は、体内の径路に挿入する補綴は、環状の弾性ばね要素と管形移植片を含むということである。移植片は、要素に取り付けることができる。この要素の変形前の直径は、移植片の直径よりも大きい。
【0013】
本発明のさらにもう一つの特徴は、罹病状態の第1の血管を修復するための血管用補綴が、一方向に延在する第1の対のループと、反対方向に延在する第2の対のループとを有する弾性の環状リングを含むという点である。第1と第2の対のループは、互いに連結してある。管形の移植片は、リングに接合してある。移植片は、第1の血管の全長にわたって延在するように配置し、第1の対のループは、第2の血管が第1の血管と交差する点を少なくとも部分的に超えて延在するように配置してある。第2の対のループのうちの一方は開口部を形成しており、少なくとも部分的に補綴を超えて第1と第2の血管の間を連通させる。
【0014】
本発明のさらにもう一つの特徴は、補綴装置を体内の径路に固定する方法に、断面積が変形前のリングの断面積より小さい第1の形状に弾性環状リングを折りたたむ工程を含む点である。リングは、体内の径路の希望の箇所に位置させ、第1の形状より直径が大きく、かつ、変形前のリングの直径よりも小さい第2の形状に弾力的に変形させる。
【0015】
本発明の、さらにもう一つの特徴は、罹病血管を修復する方法に、環状リングをその直径に沿った軸で折りたたんで、断面の小さい形状にし、この軸から離れる方向に延在する一対のループを形成する工程を含む点である。リングは、その直径に沿った軸を交差する血管に近接させて、ループが、交差する血管を遮断することなく、少なくとも部分的に交差する血管を超えて延在するように配置する。
【0016】
本発明の、さらにもう一つの特徴は、体内の径路の中に補綴装置を固定する方法に、環状弾性ばねをその直径に沿った軸で折りたたむことによって変形させる工程を含む点である。ばねは、体内の径路の中に位置させる。ばねは、体内の径路に向かって弾力的に拡張する。ばねは、連続的に体内の径路を外側方向に押し出す。
【0017】
本発明の、さらにもう一つの特徴は、補綴装置には、心臓弁用補綴が含まれるという点で、これは、弁と連結可能な第1の端部と、第2の端部を有する可撓性の管形スリーブである。変形可能な弾性環状リングを第2の端部に連結し、移植片を上行大動脈の一部の内側表面に接合するように配置する。
【0018】
本発明の、さらにもう一つの特徴は、体内の径路に挿入する補綴は、二つ以上の環状弾性ばね要素と、それぞれの要素に取り付けた可撓性の管形移植片とを含むという点である。剛性部材で、要素を長手方向に連結する。剛性部材は、移植片より可撓性が低い。
本発明の一つ以上の実施形態について、添付の図面と下記の説明に基づいてより詳しく述べる。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、その説明、図面および請求の範囲からより明白となろう。
【0019】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の一つの実施形態による、締め付けリングの一般的な上面図である。
図2は、図1の実施形態が、理想化した体内の径路内に位置しているところを表した、縮小斜視図である。
図3は、体内の径路の中に挿入する前の締め付けリングの正面図である。
図4は、体内の径路の中に導入した後の締め付けリングの正面図である。
図5は、図4に示した実施形態の側面図である。
図6は、取付け装置に取り付けた補綴の正面図である。
図7は、図6の線7−7におおむね沿って切った断面図である。
図8は、図6に示した保持装置の拡大一部切り欠き図である。
図9は、図8の線9−9におおむね沿って切った断面図である。
図10は、図8の線10−10のおおむね沿って切った断面図である。
図11は、保持ループによって保持した補綴の拡大正面図である。
図12は、保持ループの一部の拡大正面図である。
図13は、補綴と挿入装置のもう一つの実施形態の正面図である。
図14は、図13に示す補綴の拡大図である。
図15は、図11に示した実施形態の、体内の径路に挿入する前の状態を示した拡大断面図である。
図16は、図13に示した実施形態の、体内の径路に挿入する前の状態を示した断面図である。
図17は、もう一つの実施形態の、大動脈分岐点の中の定位置に配置した状態を切り欠いて示した正面図である。
図18は、さらにもう一つの実施形態の、大動脈分岐点の中の定位置に配置した状態を切り欠いて示した正面図である。
図19は、図18に示したモジュールの拡大正面図である。
図20は、図19の線20−20におおむね沿って切った断面図である。
図21は、図19の線21−21におおむね沿って切った断面図である。
図22は、図14の実施例の変形例を表した正面図である。
図23は、もう一つの実施例の一部切り欠き正面図である。
図24は、心臓内に位置する補綴装置の状態を切り欠いて示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の実施の形態
図面について説明する。複数の図面において、類似した部分に対しては類似した符号番号を使用している。環状弾性締め付けリング30は、図1、8、および10に示すように、複数の弾性ワイヤの素線32から形成することができる。リング30の一つの実施形態は、単一の長さのワイヤで中心軸‘‘C‘‘を有するマンドレル(図示していない)の回りを包み、糸34を使ってその素線を束にして固定することによって形成することができる。糸34は、外科用縫合材から形成することができる。もちろん、リング30は、他にも、単一素線のワイヤを使用する方法、多重素線ワイヤロープのように、螺旋状によりあわせたワイヤからなる複数の素線を使用する方法、あるいは、弾性の高い環状リングを形成する他の適した技術を含む、様々な技術を使って形成することができる。
【0021】
コイルや素線32の数は、使用するワイヤや適用方法によって変えることができるが、ある実施形態で使用している素線32の数は、図10に示すように、約8本乃至10本である。しかし、コイルまたは素線32の数は、2本乃至100本もしくはそれ以上まで変えることができる。
【0022】
様々な直径のワイヤを使用することができるが、個々の素線32は、直径が約.05乃至1mmのものを使用することができる。ある有利な実施形態では、直径が約.1mmのワイヤ素線32を使用することができる。
【0023】
素線32は、ニチノールのようなニッケル−チタン合金をはじめとする、弾性の高い金属またはプラスチック材料からなるものでよい。一般的に、弾性、超弾性、またはマルテンサイト形態のニチノールを使用する。
【0024】
リング30の直径Dは、体内の径路のどの箇所に使用するかによって、かなりの違いがある。大動脈血管移植術に関しては、リングの直径は約30mmが適しており、その他の状況では、リングの直径(D)は、約6乃至50mmが適当と考えられる。また、実施形態によっては、リングの直径は、13mmが好ましい。
【0025】
図1について説明する。圧縮する前のリング32は、治療する体内の径路36の直径Dよりかなり大きい直径Dを有している。図1に示すように、変形前のリング30の直径方向に正反対の点‘‘A‘‘を互いに向かって歪める。矢印で示すように、この動作により、リング30は、その直径に沿った軸‘‘B‘‘に沿って折りたたまれる。この形状で、リング30は、断面形状を縮小して体内の径路36に挿入することができる。
【0026】
直径に沿った軸‘‘B‘‘に沿って折り曲げた結果、折りたたんだ先端‘‘A‘‘を含むループ38が、折りたたみの直径に沿った軸に並ぶ点‘‘B‘‘と相対的に近位の方向に延在する。ここで使用しているように、‘‘近位‘‘という用語は、血液の流れに対して上流の方向を言い、‘‘遠位‘‘という用語は、血液の流れに対して下流の方向を言う。
【0027】
リング30は、一度体内の径路36の中の定位置につくと、リング30がおおむね正弦波形状をとっても血管36の内壁に接触し続ける。初めの推定によると、図2に示した高さHは、半径方向の圧縮の二次関数である。
【0028】
図2に示した、プラスチックを変形することなしに、可能な最小曲げ直径Dは、材料、締め付けリング30の厚み、リング30を形成している個々の素線32によって異なる。フックの法則によると、素線32は平行に連結されたばねであると見なすことができ、そのたわみ特性値は加法的であり、その個々の低い放射張力の合計が素線32の数に依存する合計張力と等しくなる。リング30全体を圧縮すると、個々の素線32の曲げ直径は、個々の素線32の最小曲げ直径Dとほぼ一致する。
【0029】
推定では、最小曲げ直径Dは、ワイヤの直径の約10倍である。これは、リング30のワイヤの直径は、小さく保つ方がよいということを意味する。しかし、リングが体内の径路36を締め付ける力は、その直径の関数であり、これは、逆にワイヤの直径を大きくした方がよいということを意味する。この駆け引きは、直径が最小曲げ直径を制御する複数の素線32を使用して束を形成し、その合計の直径が締め付け力を制御するように構成することによって最適化することができる。このように、張力が高い締め付けリング30は、比較的小さい圧縮形状にすることが可能である。例えば、4mm乃至6mmという従来の直径を有するカテーテルから取り外すと、リング30はその元の形状に戻り、適度な張力でリング30が体内の径路36の壁に沿ってしっかりと押し付けられる。
【0030】
図3に示すように、補綴40は、環状リング30と移植片42を有するものでもよい。移植片42は、おおむね管形で、一端がリング30に固定されている織物または膜からなる。移植片42は、締め付けリング30の直径Dより小さい直径Dpのものでよい。締め付けリング30と移植片42の間が連結されているので、締め付けリングと移植片42の間の接合点は、直径DKpとなる。締め付けリング30は、管形移植片42の端部を、それ以上拡張できない変形限度まで拡張することができる。このように、リング30は、リングの近位の領域の移植片上で拡張するため、移植片42の直径は、44の領域では徐々に先細となり、さらに、直径が比較的一定の領域46から自由端47まで続く。あるいは、移植片42は、図3で示すように、予め外側に向かって張り出した形状にしておいてもよい。
【0031】
移植片42は、人間の移植に適合する様々な組織材料であれば、何を利用して形成してもよい。例えば、移植片42は、ダクロン、テフロンまたはその他の素材からなる可撓性の織物または編物で形成することができる。管形移植片42は、その円周が変化しにくい材料からなるのが有利である。また、移植片42の部位46が、修復しようとしている体内の径路36の直径Dとほぼ等しい直径Dpであるのが有利である。
【0032】
リング30は、縫合または接着により、領域44と接合することができる。締め付けリング30を、移植片42の内側表面上に配置し、リング30が体内の径路36の壁に抗して拡張した時に、移植片42が管36とリング30の間に挟まるようにするとよい。従って、リング30の直径Dは、移植片42の部位46の直径よりかなり大きいほうがよい。
図4について説明する。補綴40は、左腎動脈50と右腎動脈52に隣接した腹部大動脈48内に位置させることができる。ループ38は、動脈50および52を超えて延在し、部位53は、動脈48および50へつながる開口部のすぐ遠位側に位置している。従って、図5に示すように、動脈48および50への開口部は、リング30の断面がおおむねC字型形状になっているため、環状リング30をそこに隣接して位置させても遮断されることはない。
【0033】
この形状により、リング30は、動脈瘤55と境を接する比較的短い、実質的に変形していない頚部領域54に固定することができる。これは、リング30の少なくとも一部が動脈48および50を通る流れになんら影響せずに頚部54を超えて近位側まで延在しているからである。さらに、締め付けリング30は、その折りたたまれてない形状(図1に示す)まで完全に拡張することがないため、不規則な形状の断面を有する頚部54にも適合することができる。
【0034】
例えば、頚部54の断面が円形でない場合された状態が正弦波形状のリング30は、不規則な形状の体内の径路に適合することができる。圧縮していない状態の直径(D)が、係合先の体内の径路の直径(D)より大きいリング30を作ることにより、リング30と体内の径路36との間は弾力により継続して係合し、たとえ体内の径路が時間の経過と共に拡張しても、係合し続けることができる。これは、正常に脈動する血圧によって、あるいは時間の経過に伴う血管拡張によって定期的に起こりうる。
【0035】
さらに、リング30の直径(DKP)を移植片42の直径(Dp)より大きくすることにより、使用中の移植片の直径は、体内の径路36の中の定位置に位置するリング30の圧縮状態の断面直径(D)に近くなる。これにより、移植片42が頚部54の回りに不必要にたまる可能性が減る。
【0036】
ここで補綴40を管内の希望の箇所に位置させる方法について述べる。図6に示した保持装置56は、少なくとも二箇所の正反対の位置でリング30に固定することができるため、装置56は、補綴40の軸におおむね平行に延在する。装置56は、一端に通路58を有し、さらに装置56をリング30に固定するための取付け金具60を有していてもよい。あるいは、通路58をワイヤ固定取付け金具(図示していない)と置き換えてもよい。場合によっては、装置56の一端にかえし62を設けてもよい。しかし、多くの場合、かえし62は必要ない。
【0037】
装置56は、図7に示すように、通路58内に延在するワイヤ64とワイヤ64を囲むチューブ66によって係合することができる。都合のよいことに、装置56およびチューブ66は、適度に剛性を有する材料からなっているため、ワイヤ64またはチューブ66を装置56の方向に押すことにより、管36の中の補綴40を移動させることができる。ワイヤ64の直径は、約.3乃至1mmがよい。
【0038】
補綴40は、補綴を遠隔の入口点から修復患部へ移送するための管形カテーテル68の中に圧縮して取り付けることができる。カテーテル68は、例えば、股動脈の切開部分から挿入し、環状リング30を装着したい箇所、例えば腹部大動脈内の定位置まで進ませることができる。定位置についたら、チューブ66を使って、補綴40をカテーテル68から押し出すことができる。特に、外科医が、カテーテル68を固定位置に維持しながら、チューブ66を身体の外側から内側に向けて前進させるため、補綴40は、カテーテルを引き出した後も定位置に残る。希望があれば、取付け金具60をプラチナ、イリジウム、あるいは金などのようなX線不透過性材料とし、X線マーカとしての役割を果たすようにすることもできる。
【0039】
上記のような補綴40の位置決め手順は、適用目的によっては有用であるが、さらに、補綴40の特定の箇所への正確で制御可能な位置決めがより簡単にできるのが望ましい。一度リング30を管の壁に向けて拡張してしまったら、位置を直す際にはリング30の抵抗力に反して行なわなければならない。従って、補綴40がカテーテル68を離れた後も、補綴40が正確な位置につくまでリング30を保持したほうが都合がよい。そのため、図11および12に示す例では、ボーデン管70が伸縮自在にワイヤのループ72を保持している。ループ72は、管70を通って軸方向に延在し、環状リング74を形成し、ボーデン管72の近位の自由端の穴76を通る。この点で、ワイヤループ72のループ型の端部78は、ブロッキングワイヤ80を受容し、ループ78が穴の外側に延在している。
図11について説明する。ボーデン管70は、補綴40の外側に沿って、ループ38に近接する点まで延在している。環状リング74は、ループ38の外周の回りの、その長さのほぼ中央部分に延在し、リング30に固定してある鳩目82に係合している、このように、ブロッキングワイヤ80を軸方向に引き出して、ループ型の端部78を解放することにより、ワイヤループ72を引き出して、リング30を解放して希望の位置で復元力によって開くようにすることができる。
【0040】
ブロッキングワイヤ80は、ボーデン管70の中の入口点まで戻すことも、あるいは、図11で示すように、間隙71を通ってボーデン管70から取り出すこともできる。
図15について説明する。カテーテル68は、補綴40を取り囲んでおり、補綴40は、一対のチューブ66と、そこを通って延在するワイヤ64とを取り囲んでいる。必要な場合は、ガイドワイヤ104を設けて、まず、カテーテルを希望の箇所へ誘導し、必要な場合に追加の要素とともに同じ箇所に戻ることができるようにそのまま通路を維持しておくこともできる。ループ型のワイヤ72とブロッキングワイヤ80のついたボーデン管70も、カテーテルの内部の、カテーテルと補綴40との間に延在している。
【0041】
図13および図14に示すさらにもう一つの実施形態では、保持機構84が補綴40を圧縮形状に保持し、それを径路の中の希望の位置に正確に位置させる。
【0042】
機構84は、移植片42を接合した一対のリング30を有する補綴40’を、カテーテル68の中で圧縮した状態で制御することができる。ガイドワイヤカテーテル86は、補綴40’を通って軸方向に延在している。複数の小環88がカテーテル86の外側に延在している。それぞれの小環88は、ワイヤループ90と接続してあり、ワイヤループ90は、ループ38の自由端に位置する鳩目92と接続してある。
【0043】
図14を見ると、それぞれのワイヤループ90が摺動可能および取り外し可能に鳩目92を通って延在し、ループ端94を形成している。また、ブロッキングワイヤ96はループ端94を通って延在している。それぞれのリング30の、折りたたみの軸‘‘B‘‘に沿った部分には、ワイヤーループ98が巻き付いており、ワイヤループ98の自由端はブロッキングワイヤ100に係合している。ワイヤループ98はリング30の回りおよびその上を通って、さらにガイドワイヤカテーテル86の外側上を通り、開口部102からカテーテル86の中に入る。移植片42の両端上に取り付けたリング30は、それぞれ同じ部分を有しており、同じ方法で操作する。
【0044】
従って、図14に示すような方向にリング30を折り曲げる程度や近位と遠位の高さを調整するためには、単に患者の外側まで延在する一本のワイヤ103に連結できるワイヤ98を外側に向かって引張るだけでよい。リング30の高さを減らし、圧縮を軽減するには、ワイヤループ98の張りを緩め、リング30の自然な復元力によりリング30の曲げを解放し、リングの高さを減らせばよい。
【0045】
カテーテル68が希望の箇所に位置したら、すでに説明した技術により、カテーテルからその組立体を取り出すことができる。リング30の圧縮の程度を調節し、装置84が一時的に希望の箇所に位置するように調整することができる。その位置が厳密に正しくないと判断したら、ループ98を操作して装置を再び圧縮し、装置84を新しい位置に再度調整することができる。このように、補綴をすでに解放して、体内の径路に係合した後でも補綴40’の位置を選択的に調整することができる。初めに誤って位置決めしてしまっても、必要に応じて容易に補綴の位置を直すことができる。補綴を希望の箇所に位置させたら、単にブロッキングワイヤ100および96を、カテーテル68を通して組立体から引き出せばよい。これにより、補綴40’が拡張し、取り外すことができなくなる。カテーテル86は、その後、取り出すことができる。
【0046】
希望があれば、それぞれのループ98を独立したワイヤで患者の外部につなげてもよい。あるいは、すでに説明したように、ワイヤ98をつなげて、一本のワイヤのみが外に延在するようにすることもできる。
【0047】
図16は、図13および図14に示した実施形態に使用しているカテーテルの管束であり、カテーテル68から取り外す前の状態を表しており、カテーテル68が補綴40’を取り囲んでいる。補綴40’の中に位置しているのは、ガイドワイヤカテーテル86で、環状リング30の折りたたんだ部分の位置を制御するのに使用する一本もしくはそれ以上のワイヤ103を有している。ガイドワイヤカテーテル86の外側に位置しているのは、ブロッキングワイヤ96および100に相当する一対のワイヤである。
【0048】
本発明のもう一つの実施形態によると、補綴40に、図17に示す補綴106のような一つもしくはそれ以上のモジュールを追加して補うことができる。第2の補綴106は、移植片42による抵抗力に反して外側方向に拡張する環状リング30を使って第1の補綴40に入れ子式に係合している。第2の補綴106は、上側環状リング30’と、下側環状リング30’’とを有する。移植片42に係合するのは上側環状リング30’で、一方、下側環状リング30’’は、遠位の頚部54bに係合する。第2の補綴106が入れ子式に第1の補綴40の中に拡張する量は調整可能で、長さの異なる血管に対し、広い範囲にわたる配置に対応できる。
【0049】
一対のリング30’および30’’を含む補綴106には、図23に示すように、長手のねじれ防止ワイヤ31を設けることができる。ワイヤ31をリング30’および30’’の回りに取り付けて、補綴106がその長手方向の軸の回りでねじれたり、よじれたりしないように制御し、さらに長手方向に支持するように構成することもできる。ワイヤ31は、ワイヤ31を補綴106の内側に位置させるか、あるいは、ワイヤ31を織物でできた移植片42を通して編み込むことによって移植片42によって覆われている。希望があれば、一本もしくはそれ以上の追加のワイヤ31をリング30’および30’’の外周の回りに設けることもできる。
【0050】
第2の補綴106は、第1の補綴の位置決めに使用したすべてのワイヤを取り除いた後に定位置に残っているガイドワイヤ104を使って、第1の補綴の中に位置させることもできる。その後、第2の補綴106を、第1の補綴40を位置決めした後にその位置に残っているガイドワイヤ104を使って同じ位置に戻すことができる。
【0051】
ガイドワイヤ104は、移植片の開口部も維持する。しかし、実際は、補綴40の中を流れる血液の流れにより、開放され、拡張した吹き流しのような動作を行なう。従って、ガイドワイヤ104の誘導動作により、第2の補綴106は移植片42の内側表面と係合することができる。このように、二つの補綴40および106を組み合わせることにより、補綴40の中への補綴106の拡張の度合いを変更して、頚部54aおよび54bの間で調整可能に広げることができる。
【0052】
また、補綴40および106は、図22に示すような機構84を使用して位置決めすることができる。すでに補綴40の中に取り付けてある補綴106を、組になった追加のブロッキングワイヤ96’を使って患者の中に挿入することができる。ブロッキングワイヤ96’は、下側ループ94を通り、補綴40の内部を通って延在する。このように、補綴106を独立して、補綴40の中で調節可能に伸縮させて操作することができる。この場合、ワイヤ98と98’は、患者の外側に別々に伸長させ、補綴40と106を独立して操作しやすくすることができる。
【0053】
上記の補綴に類似した補綴を使用して、腹部大動脈48とそれに付随する頚部54aから下側頚部54bを超えて腸骨または骨盤動脈108および110の中に延在する、図18に示すような分岐ステント120を作ることもできる。この場合も、補綴40は、上記のように、頚部54aと係合する。先に説明した補綴106の代わりとして、次に特殊形状の補綴112を使用することができる。図19に示した補綴112は、その上端にリング30を有し、その下端には、一対のリング114を有している。リング114は、単に開口した形状の補綴112の下端を保持するだけなので、圧縮する必要はない。
【0054】
図20および21に示すように、補綴112の上端は、上記のようなタイプの円形状でよい。また、下端は、補綴112の軸方向に沿って延在し、リング114まで続く二つの分かれた小室を形成する接続部118によって形成される一対の通路を含む二重の管形状でよい。リング114は、補綴112の軸に対して角度をなして位置し、腸骨動脈108および110から入りやすくすることができる。
【0055】
一対の直径の小さい補綴120は、それぞれの腸骨動脈108または110を通って補綴112と係合するように、左右対称に挿入する。特に、上側リング30’’は、リング114を通って入り、移植片42に対して外側方向に拡張する径路116の内部を通る。同時に、それぞれの補綴120のもう一端122は、腸骨動脈108または110で頚部54bと係合する。補綴120のうちの一方は、前に取り付けた補綴の位置決めに使用したものと同じガイドワイヤを使って挿入することができる。しかし、もう一方の補綴120は、そのガイドワイヤとは別に位置決めしなければならない。このため、リング30’’と114に耐X線材料を使用して、リング114の位置決めがしやすいように、また、予め設置したガイドワイヤなしで挿入しなければならない補綴120が、それらのリング114の中を通りやすいようにすることができる。
【0056】
上記のような装置と技術により、外科的処置の間でさえも血液の流れを実質的に遮断することなく、補綴40、40’、120の位置を定めることができる。
【0057】
さらに、補綴40,40’、または120は腎動脈のような交差する血管を実質的に妨げないように構成することができる。同時に、モジュール式の方法を使って生理機能の違いに適合させることもできる。これを、環状リング30をその変形前の形状まで完全に拡張する必要がないという事実と合わせて考えると、異なった様々なステントを常に備えておく必要がないということになる。その代わり、患者のさまざまな状況に適合することのできる、比較的限られた、あるいは、一揃えの寸法を備えておきさえすればよい。
【0058】
リング30が体内の径路に位置している時はC字型形状であるため、補綴を比較的狭い頚部54領域に位置させることができる。リング30は使用中も圧縮された状態を保つため、治療した管を短期間および長期間拡張させるように適応できる。さらに、リング30のばねのバイアス圧力が常にかかるため、径路が不規則な形状をしていても、リング30(と補綴)と体内の径路の壁との間が良好な密着状態に維持される。
【0059】
上記のような位置決め技術により、補綴を体内の径路の中の希望の箇所に正確に位置させることができる。これは、補綴が取り付けられる時には第1の圧縮形状のまま希望の位置へと移送されるため、補綴と血管径路の間の摩擦を克服する必要なく、位置決めすることができる。一度希望の位置についたら、補綴を起動させて壁に係合させることができる。また、希望があれば、壁に係合させた後でも補綴の位置を変更することもできる。これにより、正確に位置決めができるため、取り外しができない拡張形状になってから補綴の位置を変えなければならないようなことはない。このように、外科医は、(例えば、ガイドワイヤとチューブを使って)かなりの精度で制御することができ、よって、補綴をその最も効果的な位置に正確に位置決めすることができる。
【0060】
また、補綴40は、図24に示すように上行大動脈の罹病部分を交換するのに使用することもできる。大動脈の一部を外科手術により取り除いた後に環状リング30を上行大動脈‘‘D‘‘の残りの部分に取り付けることができる。締め付けリング30は、先に述べたように、大動脈‘‘D‘‘の内側表面に固定される。締め付けリングは、管形の、可撓性スリーブまたは移植片42に接合され、移植片42は機械の心臓弁に接合しやすくするための縫合リング130に接合してある。弁と移植片の詳細は、当業者の知るところであり、本出願の中で明示的に引用している米国特許第5,123,919号で説明している。
移植片42は、関係する組織の量により、さまざまな長さのものを使用できる。移植片42は、図示しているよりもさらに拡張することができ、また、かなり短くすることもできる。例えば、心臓弁を交換するだけでよい場合は、移植片42を、機械の弁132とリング30を連結する短い可撓性のスリーブより少し長くするだけでよい。また、本発明について、限られた数の好ましい実施形態に関して説明してきたが、様々な変更や変形が可能であるということは、当業者によって理解できよう。例えば、ある場合では、この装置は、動脈瘤を治療するための血管ステントとして説明しているが、本発明は、あらゆる装置を内部の径路に固定するのに適用することができる。さらに、本発明のある実施形態では、上記のように、一つもしくはそれ以上の利点しかないものもあるが、代わりにここで特に述べていない他の利点を有するものもあるということは理解できよう。添付の請求の範囲は、その精神と範囲にもとることなく、そのような変形や変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一つの実施形態による、締め付けリングの一般的な上面図である。
【図2】図1の実施形態が、理想化した体内の径路内に位置しているところを表した、縮小斜視図である。
【図3】体内の径路の中に挿入する前の締め付けリングの正面図である。
【図4】体内の径路の中に導入した後の締め付けリングの正面図である。
【図5】図4に示した実施形態の側面図である。
【図6】取付け装置に取り付けた補綴の正面図である。
【図7】図6の線7−7におおむね沿って切った断面図である。
【図8】図6に示した保持装置の拡大一部切り欠き図である。
【図9】図8の線9−9におおむね沿って切った断面図である。
【図10】図8の線10−10のおおむね沿って切った断面図である。
【図11】保持ループによって保持した補綴の拡大正面図である。
【図12】保持ループの一部の拡大正面図である。
【図13】補綴と挿入装置のもう一つの実施形態の正面図である。
【図14】図13に示す補綴の拡大図である。
【図15】図11に示した実施形態の、体内の径路に挿入する前の状態を示した拡大断面図である。
【図16】図13に示した実施形態の、体内の径路に挿入する前の状態を示した断面図である。
【図17】もう一つの実施形態の、大動脈分岐点の中の定位置に配置した状態を切り欠いて示した正面図である。
【図18】さらにもう一つの実施形態の、大動脈分岐点の中の定位置に配置した状態を切り欠いて示した正面図である。
【図19】図18に示したモジュールの拡大正面図である。
【図20】図19の線20−20におおむね沿って切った断面図である。
【図21】図19の線21−21におおむね沿って切った断面図である。
【図22】図14の実施例の変形例を表した正面図である。
【図23】もう一つの実施例の一部切り欠き正面図である。
【図24】心臓内に位置する補綴装置の状態を切り欠いて示した正面図である。
【出願人】 【識別番号】399011531
【氏名又は名称】ヴァスキュテック リミテッド
【出願日】 平成19年7月17日(2007.7.17)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄

【識別番号】100110995
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰男

【識別番号】100114649
【弁理士】
【氏名又は名称】宇谷 勝幸

【識別番号】100129126
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 健

【識別番号】100130971
【弁理士】
【氏名又は名称】都祭 正則


【公開番号】 特開2008−36418(P2008−36418A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2007−186160(P2007−186160)