| 【発明の名称】 |
膝痛緩和装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】三嶋 有紀子
【氏名】後藤 孝夫
【氏名】山本 松樹
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| 【要約】 |
【課題】膝関節の固定力を向上できるとともに、装着性を向上できる膝痛緩和装置を提供することにある。
【構成】膝痛緩和装置は、人体の下肢に装着されるアクチュエータ8と、該アクチュエータ8が装着された下肢の膝にかかる剪断力を検出する剪断力検出手段1と、該剪断力検出手段1の検出出力を元に前記アクチュエータ8を制御する制御手段7とを備え、該制御手段7は、前記検出出力が所定の閾値以上であれば、前記下肢の膝関節を固定するように前記アクチュエータ8を制御し、前記検出出力が所定の閾値未満であれば、前記下肢の膝関節を固定しないように前記アクチュエータ8を制御するように構成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体の下肢に装着されるアクチュエータと、該アクチュエータが装着された下肢の膝にかかる剪断力を検出する剪断力検出手段と、該剪断力検出手段の検出出力を元に前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出出力が所定の閾値以上であれば、前記下肢の膝関節を固定するように前記アクチュエータを制御し、前記検出出力が所定の閾値未満であれば、前記下肢の膝関節を固定しないように前記アクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする膝痛緩和装置。 【請求項2】 前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢にかかる床反力とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝痛緩和装置。 【請求項3】 前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢の加速度とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝痛緩和装置。 【請求項4】 前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢にかかる床反力と、前記下肢の加速度とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝痛緩和装置。 【請求項5】 前記アクチュエータは、人体の下肢の膝を囲繞する筒状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膝痛緩和装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、人体に装着されて、歩行時等に生じる膝痛を緩和するための膝痛緩和装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来から、歩行時等に生じる膝痛を緩和するために膝に装着される膝痛緩和装置が提供されている。 【0003】 このような膝痛緩和装置は、主に、膝関節の運動を矯正、制御することにより、膝関節の運動方向の不安定性を支持、又は固定によって改善し、これにより膝関節の痛みを緩和するものであり、主として、硬性膝装具と、軟性膝装具とに大別される(例えば、非特許文献1)。 【非特許文献1】加倉井周一著、「新編 装具治療マニュアル−疾患別・症状別適応−」、第1版、医歯薬出版株式会社、2004年10月10日、p.249−258 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 前者の硬性膝装具は、大腿から下腿を支持する金属製フレーム構造(支柱)を有するものであり、固定力や変形矯正力に優れているが、装着性や簡便性が悪かった。 【0005】 一方、後者の軟性膝装具は、硬性膝装具とは異なり金属製フレーム構造を有しておらず、伸縮性等を有する素材を用いて膝やその周辺を圧迫することにより固定力を持たせた弾性サポータ型の装具である。このような軟性膝装具は、硬性膝装具に比べて装着性や簡便性に優れているが、固定力は硬性膝装具より劣っていた。 【0006】 以上述べたように、従来の膝痛緩和装置では、膝関節の固定力の向上と、装着性の向上とを両立することができていなかった。 【0007】 本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、膝関節の固定力を向上できるとともに、装着性を向上できる膝痛緩和装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上述の課題を解決するために、請求項1の膝痛緩和装置の発明では、人体の下肢に装着されるアクチュエータと、該アクチュエータが装着された下肢の膝にかかる剪断力を検出する剪断力検出手段と、該剪断力検出手段の検出出力を元に前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出出力が所定の閾値以上であれば、前記下肢の膝関節を固定するように前記アクチュエータを制御し、前記検出出力が所定の閾値未満であれば、前記下肢の膝関節を固定しないように前記アクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする。 【0009】 請求項2の膝痛緩和装置の発明では、請求項1の構成に加えて、前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢にかかる床反力とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする。 【0010】 請求項3の膝痛緩和装置の発明では、請求項1の構成に加えて、前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢の加速度とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする。 【0011】 請求項4の膝痛緩和装置の発明では、請求項1の構成に加えて、前記剪断力検出手段は、前記アクチュエータが装着された下肢の関節の角度と、前記下肢にかかる床反力と、前記下肢の加速度とをそれぞれ検出する検出手段を有し、該検出手段の検出結果を用いて前記下肢の膝にかかる剪断力を算出するように構成されていることを特徴とする。 【0012】 請求項5の膝痛緩和装置の発明では、請求項1〜4のいずれか1項の構成に加えて、前記アクチュエータは、人体の下肢の膝を囲繞する筒状に形成されていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0013】 請求項1〜4の膝痛緩和装置の発明は、膝にかかる剪断力が所定の閾値以上である場合には、アクチュエータにより下肢の膝関節を固定し、剪断力が所定の閾値未満である場合には、アクチュエータにより下肢の膝関節を固定しないようにしているので、膝痛が発生するおそれがあるときのみ膝関節を固定できるようになり、これにより膝痛が発生するおそれがあるときには従来の軟性膝装具に比べて固定力を向上できて、膝痛を緩和できるという効果を奏する上に、膝痛が発生するおそれがないときには従来の硬性の膝痛膝装具に比べて下肢を自由に動かすことができ、これにより装着性を向上できるという効果を奏する。また、膝痛の発生に深い係わりがある膝にかかる剪断力を元にアクチュエータを制御して、膝関節の固定/非固定を行うので、本当に膝関節を固定する必要があるときのみ、アクチュエータにより膝関節の固定を行わせることができるから、好適なタイミングで膝関節を固定でき、これにより膝痛の緩和を確実に行えるとともに、装着性のさらなる向上を図ることができるという効果を奏する。 【0014】 請求項5の膝痛緩和装置の発明は、アクチュエータが人体の下肢の膝を囲繞する筒状に形成されているので、膝を全周に亘って押さえ込むことができ、これにより膝関節の固定力を向上できて、膝痛をさらに緩和できるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下に、本発明の膝痛緩和装置の一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。 【0016】 本実施形態の膝痛緩和装置は、図1に示すように、人体9の下肢90(図2(a)参照)に装着されるアクチュエータ8と、該アクチュエータ8が装着された下肢90の膝にかかる剪断力Fs(図3(a)参照)を検出する剪断力検出手段1と、該剪断力検出手段1の検出出力である剪断力Fsを元にアクチュエータ8を制御する制御手段7とを備えている。 【0017】 まず、剪断力検出手段1について説明する。本実施形態では、図2(b)及び図3(a),(b)に示すようなリンクモデルを用いて剪断力Fsの検出を行うように構成されており、剪断力Fsを検出するために必要な運動データを得るための検出手段2と、検出手段2で検出した運動データと人体9の身体データを元に剪断力Fsの算出を行う演算手段6とを備えている。 【0018】 検出手段2は、人体9に装着されるセンサ群からなり、具体的には、アクチュエータ8が装着される下肢(図2では左下肢)90の足90aの裏に装着される圧力センサ3と、下肢90の足90aに装着される足用センサユニット4と、下肢90の下腿90bに装着される下腿用センサユニット5とを備えている。 【0019】 圧力センサ(フットセンサ)3は、人体9が歩行等の運動を行った際に、下肢90の足90aにかかる床反力を検出するためのものであり、図2(a)に示すように、アクチュエータ8が装着される下肢(図2(a)では、左下肢)90の足90aの裏に装着される。 【0020】 足用センサユニット4は、下肢90の足90aにそれぞれ装着される加速度センサ4a及びジャイロセンサ4bを有し、これらは一ユニット化されている。 【0021】 加速度センサ4aは、人体9が歩行等の運動を行った際に、下肢90の足90aの加速度を検出するためのものであり、ジャイロセンサ4bは、人体9が歩行等の運動を行った際に、下肢90の足90aの角速度を検出するためのものである。 【0022】 また、ジャイロセンサ4bは、加速度センサ4aにより得られた加速度(足用センサユニット4が装着された足90aの位置における加速度)を足90aの重心位置における加速度に補正するために用いられる。ここで、加速度センサ4aにより得られた加速度をa0、ジャイロセンサ4bにより得られた角速度をθ’、足用センサユニット4の装着位置(加速度センサ4aの装着位置)と足90aの重心位置との距離をrとすると、足90aの重心位置における加速度agは、a0+θ”×r+θ’×(θ’×r)で与えられる(後述の参考文献1参照)。 【0023】 下腿用センサユニット5は、下肢90の下腿90bにそれぞれ装着される加速度センサ5a及びジャイロセンサ5bを有し、これらは一ユニット化されている。 【0024】 加速度センサ5aは、上記の加速度センサ4aと同様のものであって、人体9が歩行等の運動を行った際に、下肢90の下腿90bの加速度を検出するために用いられる。また、ジャイロセンサ5bは、上記のジャイロセンサ4bと同様のものであって、人体9が歩行等の運動を行った際に、下肢90の下腿90bの角速度を検出するために用いられる。 【0025】 さらに、ジャイロセンサ5bは、加速度センサ5aにより得られた加速度(下腿用センサユニット5が装着された下腿90bの位置における加速度)を下腿90bの重心位置における加速度に補正するために用いられる。尚、このような加速度の補正方法は、足用センサユニット4の場合と同様の方法を用いている。 【0026】 尚、これら圧力センサ3、加速度センサ4a,5a、及びジャイロセンサ4b,5bとしては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用した半導体センサを用いている。また尚、ジャイロセンサを用いる代わりに、角度センサを用いるようにしてもよい。 【0027】 演算手段6は、検出手段2の圧力センサ3と、足用センサユニット4の加速度センサ4a及びジャイロセンサ4bと、下腿用センサユニット5の加速度センサ5a及びジャイロセンサ5bとからそれぞれ得られる運動データ、及び予め入力された人体9の身体データ(体重や、身長等)を用いて、膝にかかる剪断力Fsの算出を行うように構成されている。尚、この演算手段6は、人体9の下肢90の足90a、下腿90b、及び大腿90cの各質量や、重心位置等の統計データを有しており、入力された人体9の身体データに適応する統計データを取り出して使用するようになっている。 【0028】 以下に、演算手段6における剪断力Fsの算出方法について図3(a),(b)を参照して説明する。ここで、図3(a)は、下腿90bのリンクモデルの説明図であり、図3(b)は、足90aのリンクモデルの説明図であり、図3(a)においてHは、水平面(xy平面)を示している。尚、図3(a),(b)に示すリンクモデルでは、水平面内における人体9の左右方向をx軸方向、水平面内における人体9の前後方向をy軸方向、鉛直方向をz軸方向と規定している。 【0029】 図3(a),(b)に示すリンクモデルでは、人体9の下肢90における直進運動(y軸方向及びz軸方向)の運動方程式を用いて、膝(すなわち、大腿90cと下腿90bの節点N3)にかかる剪断力Fsを算出する。ここで、剪断力Fsは、yz平面内で、大腿90cと下腿90bの節点N3に働く力のうち、下腿90bの長軸方向に直交する方向の力成分として定義している。 【0030】 まず、人体9の足90aにおける直進運動(y軸方向及びz軸方向)の運動方程式は、図3(b)に示すように、位置Pにおいて足90aが床面(接地面)から受ける力(以下、「床反力」と称する)のy軸成分をF0y、z軸成分をF0zとし、足90aのつま先(足90aと床面(又は地面)等との節点)N1の関節反力のy軸成分をF1y、z軸成分をF1zとし、下腿90bと足90aとの節点N2の関節反力のy軸成分をF2y、z軸成分をF2zとし、足90aの重心位置g1における加速度のy軸成分をa1y、z軸成分をa1zとし、足90aの質量をm1とし、重力加速度をgとすると、それぞれ次式(1),(2)で表すことができる。 【0031】 【数1】
【0032】 ここで、剪断力Fsを算出する際には、境界条件として、F1y=F1Z=0を用いる。すなわち、つま先に関節反力がかかっていないとする。 【0033】 また、上記式(1),(2)において、床反力のy軸成分F0y、及びz軸成分F0zは、圧力センサ3より得ることができ、足90aの質量m1は、人体9の身体データより得ることができる。さらに、足90aの加速度のy軸成分a1y、及びz軸成分a1zは、足90aに装着された足用センサユニット4の加速度センサ4a及びジャイロセンサ4bと、足用センサユニット4の装着位置と足90aの重心位置との距離を用いて算出することができる。尚、足用センサユニット4の装着位置と足90aの重心位置との距離は、足用センサユニット4の取り付け時に入力しておく。 【0034】 したがって、上記式(1),(2)により、節点N2に働く関節反力のy軸成分F2y、及びz軸成分F2zが得られる。 【0035】 次に、人体9の下腿90bにおける直進運動(y軸方向及びz軸方向)の運動方程式は、図3(a)に示すように、大腿90cと下腿90bの節点N3の関節反力のy軸成分をF3y、z軸成分をF3zとし、下腿90bの重心位置g2における加速度のy軸成分をa2y、z軸成分をa2zとし、下腿90bの質量をm2とすると、それぞれ次式(3),(4)で表すことができる。 【0036】 【数2】
【0037】 上記式(3),(4)において、下腿90bの加速度のy軸成分a2y、及びz軸成分a2zは、下腿90bに装着された下腿用センサユニット5の加速度センサ5a及びジャイロセンサ5bと、下腿用センサユニット5の取り付け位置と下腿90bの重心位置との距離を用いて算出することができる。尚、下腿用センサユニット5の装着位置と下腿90bの重心位置との距離は、下腿用センサユニット5の装着時に入力しておく。 【0038】 また、下腿90bの質量m2は、人体9の身体データより得ることができる。 【0039】 加えて上記式(1),(2)によりF2y及びF2zが得られているため、上記式(3),(4)により節点N3に働く関節反力のy軸成分F3y、及びz軸成分F3zをそれぞれ算出することができる。 【0040】 ところで、本実施形態では、上述したように人体9の下肢90の膝にかかる剪断力Fsを、図3(a)に示すように、yz平面内で、大腿90cと下腿90bの節点N3に働く関節反力のうち、下腿90bの長軸方向に直交する方向の力成分としているから、剪断力Fsは次式(5)で表される。 【0041】 【数3】
【0042】 上記式(5)に、上記式(3),(4)により得られた節点N3に働く関節反力のy軸成分F3y、及びz軸成分F3zと、ジャイロセンサ5bより得られる角速度θ’より算出されるθとを代入することによって、人体9の下肢90の膝にかかる剪断力Fsを得ることができる。 【0043】 そして、演算手段6は、以上述べたようにして下肢90の膝にかかる剪断力Fsを検出し、この剪断力Fsの値を、制御手段7に検出出力として出力する。 【0044】 アクチュエータ8は、図4(a)〜(e)に示すように、人体9の下肢90の膝を覆うような筒状の本体部80と、本体部80の内面に複数設けられるエアバッグ81とを備えている。ここで、本体部80は、伸縮性を有する布材等を用いて形成されており、これにより装着が容易に行えるようになっている。また、エアバッグ81は、制御手段7により厚みが制御されるように構成されている。 【0045】 次にアクチュエータ8の動作について説明する。例えば、図4(b),(c)に示すように、エアバッグ81の内部が減圧されてエアバッグ81が縮んだ状態(厚みが薄くなった状態)では、アクチュエータ8内においてエアバッグ81で囲まれる空間部が広くなり、これによりアクチュエータ8を装着した場合でも膝関節を自由に動かすことができるようになっている。一方、図4(d),(e)に示すように、エアバッグ81の内部が加圧されてエアバッグ81が膨らんだ状態(厚みが厚くなった状態)では、アクチュエータ8内においてエアバッグ81で囲まれる空間部が狭くなり、これにより膝関節を締め付けて、固定できるようになっている。 【0046】 制御手段7は、ベルト等を用いて人体9の腰部に装着されるものであり、剪断力検出手段1から得た検出出力(剪断力Fsの値)を元に、アクチュエータ8に制御信号を伝送して、アクチュエータ8の動作を制御するように構成されている。 【0047】 ここで、剪断力Fsを膝痛発生の判断基準として用いるのは以下の理由による。すなわち、各種センサを用いて被験者の膝にかかる剪断力Fsを計測しながら、膝痛が発生した際に、被験者にスイッチを押してもらうという実験を行ったところ、図5(a)に示すように、被験者がスイッチを押した時間t0で、剪断力Fsがピーク付近に位置しているという結果が得られたからである。 【0048】 以下に、本実施形態の制御手段7についてさらに詳しく説明する。制御手段7は、剪断力検出手段1の検出出力、すなわち剪断力Fsが所定の閾値Th以上であれば、人体9の下肢90の膝関節を固定するようにアクチュエータ8を制御し、剪断力Fsが所定の閾値Th未満であれば、下肢90の膝関節を固定しないようにアクチュエータ8を制御するように構成されている。 【0049】 例えば、図5(b)に示す場合では、剪断力Fsが閾値Th以上となる時間t1〜時間t2までの間、アクチュエータ8を制御して膝関節の固定を行う。この他の剪断力Fsが閾値Th未満となっている間は、膝関節を固定しないようにアクチュエータ8を制御するのである。 【0050】 ところで、制御手段7からアクチュエータ8に制御信号を伝送してから実際にアクチュエータ8が動作して膝関節の固定が行われるまでにはタイムラグがある。そのため、アクチュエータ8の動作は、実際に膝痛が発生する剪断力Fsのピークタイミングよりも前の時点から行わせることが好ましい。この点は、閾値Thを小さくして、アクチュエータ8の動作のタイミングを早めることで対処することができる。 【0051】 また、閾値Thは、人体9が自分に適した値となるように変更できるようにしてもよい。或いは、アクチュエータ8の動作がチャタリング等を起こさないように、剪断力Fsが閾値Th以上となった際には、一定期間アクチュエータ8の動作を継続するようにしてもよく、また閾値Thを変化させることでチャタリングを防止するようにしてもよい。 【0052】 尚、制御手段7と、剪断力検出手段1及びアクチュエータ8とは、それぞれ図示しないケーブル等を用いて接続されている。また尚、制御手段7と、剪断力検出手段1及びアクチュエータ8との接続は、ケーブル等の有線式のものに限らず、無線等を用いて接続するようにしてもよい。 【0053】 以上述べた本実施形態の膝痛緩和装置によれば、膝にかかる剪断力Fsが所定の閾値Th以上である場合には、アクチュエータ8により下肢90の膝関節を固定し、剪断力Fsが所定の閾値Th未満である場合には、アクチュエータ8により下肢90の膝関節を固定しないようにしているので、膝痛が発生するおそれがあるときのみ膝関節を固定することができるようになり、これにより膝痛が発生するおそれがあるときには従来の軟性膝装具に比べて固定力を向上できて、膝痛を緩和できるという効果を奏する。その上、膝痛が発生するおそれがないときには従来の硬性の膝痛膝装具に比べて下肢90を自由に動かすことができ、これにより装着性を向上できるという効果を奏する。 【0054】 また、膝痛の発生に深い係わりがある膝にかかる剪断力Fsを元にアクチュエータ8を制御して、膝関節の固定/非固定を行うので、本当に膝関節を固定する必要があるときのみ、アクチュエータ8により膝関節の固定を行わせることができるから、好適なタイミングで膝関節を固定でき、これにより膝痛の緩和を確実に行えるとともに、装着性のさらなる向上を図ることができるという効果を奏する。 【0055】 加えて、アクチュエータ8が人体9の下肢90の膝を囲繞する筒状に形成されているので、膝を全周に亘って押さえ込むことができ、これにより膝関節の固定力を向上できて、膝痛による痛みをさらに緩和できるという効果を奏する。尚、アクチュエータ8は筒状に形成されているものに限らず、帯状のものを膝に巻きつけることで、膝を囲繞するものであってもよいし、その他の形状であってもよく、要は、膝関節の固定/非固定の切換えを行うことができ、かつ、非固定時には、膝関節の運動の邪魔にならないようなものであればよい。 【0056】 さらに、足用センサユニット4には、ジャイロセンサ4bが設けられているので、足用センサユニット4を正確に足90aの重心位置に取り付けなくても、足90aの重心位置における加速度を得ることができ、これにより足用センサユニット4の取り付けの自由度が向上するという効果を奏する。この点は、下腿用センサユニット5においても同様である。 【0057】 ところで、上記の例では、剪断力検出手段1は、アクチュエータ8が装着された下肢90の関節の角度(すなわち下腿90bの水平面Hに対する角度θ)と、下肢90の足90aにかかる床反力のy軸成分F0Y及びz軸成分F0Zと、下肢90の足90a及び下腿90bのそれぞれの加速度のy軸成分a1y,a2y及びz軸成分a1z,a2zとをそれぞれ検出する検出手段2として、圧力センサ3と、加速度センサ4a,5aと、ジャイロセンサ4b,5bとを有しており、この検出手段2の検出結果を用いて下肢90の膝にかかる剪断力Fsを算出するように構成されている。 【0058】 ここで、関節反力は、例えば上記式(1),(2)等に示されるように、床反力による項と、加速度による項とを有しており、関節反力を床反力と加速度とを用いて算出した場合と、関節反力を床反力のみを用いて算出した場合と、関節反力を加速度のみを用いて算出した場合との各場合において、関節反力の値を比較すると、図6に示すようなグラフが得られた。 【0059】 図6に示すグラフを参照すれば明らかなように、加速度による項の影響は、床反力の影響に比べて小さい。 【0060】 そこで、剪断力検出手段1としては、アクチュエータ8が装着された下肢90の関節の角度と、下肢90の足90aにかかる床反力のy軸成分F0Y及びz軸成分F0Zとをそれぞれ検出する検出手段として、ジャイロセンサ5bと、圧力センサ3とを有し、この検出手段の検出結果を用いて下肢90の膝にかかる剪断力Fsを算出するように構成されたものであってもよい。 【0061】 このようにすれば、加速度センサの分だけ構成を簡略化でき、また、加速度を含む計算を省略できるという効果が得られる。 【0062】 一方、床反力は、両下腿の質量をそれぞれms、左下腿の重心位置における加速度をasL、右下腿の重心位置における加速度をasRとし、両大腿の質量をそれぞれmt、左大腿の重心位置における加速度をatL、右大腿の重心位置における加速度をatRとし、頭部及び上肢を含む体幹の質量をmu、該体幹の重心位置における加速度をauとすれば、床反力Frfは、次式(6)で表すことができる。この点については、参考文献1(大瀧保明、佐川貢一、猪岡光、「加速度センサとジャイロセンサを用いた連続歩行分析アルゴリズム」、日本機械学会論文集(C編)、社団法人日本機械学会、2001年3月、67巻、655号、p782−788)に詳細に記載されている。 【0063】 【数4】
【0064】 つまり、左右の下腿と、左右の大腿と、体幹とにそれぞれ加速度センサを設けることで、床反力Frfを求めることができる。 【0065】 したがって、剪断力検出手段1としては、アクチュエータ8が装着された下肢90の関節の角度と、アクチュエータ8が装着された下肢の足、左右の下腿、左右の大腿、及び体幹の加速度をそれぞれ検出する検出手段2として、ジャイロセンサと、加速度センサとを有し、この検出手段の検出結果を用いて下肢90の膝にかかる剪断力Fsを算出するように構成されるものであってもよい。 【0066】 このようにすれば、圧力センサ3を省略することができ、足の裏にセンサがあることによる違和感等が生じることがなくなる。 【0067】 尚、本実施形態では、x軸方向を無視した例を示しているが、当然ながらx軸方向を考慮して剪断力Fsの検出を行うようにしてもよい。 【0068】 また尚、検出手段2では、圧力センサ3や、加速度センサ4a,5a、ジャイロセンサ4b,5bを用いているが、これらの代わりにビデオカメラを用い、画像処理により床反力や、加速度、角速度等を算出するようにしてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0069】 【図1】本発明の一実施形態の膝痛緩和装置のブロック図である。 【図2】(a)は、膝痛緩和装置を装着した状態を示す説明図であり、(b)は、リンクモデルの説明図である。 【図3】(a)は、下腿のリンクモデルの説明図であり、(b)は、足のリンクモデルの説明図である。 【図4】(a)は、アクチュエータを装着した状態を示す説明図であり、(b),(c)は、通常時のアクチュエータの説明図であり、(d),(e)は、固定時のアクチュエータの説明図である。 【図5】(a)は、剪断力の時間変化と膝痛の発生タイミングを示すグラフであり、(a)は、剪断力の時間変化と膝痛緩和装置の動作タイミングを示すグラフである。 【図6】関節反力を示すグラフである。 【符号の説明】 【0070】 1 剪断力検出手段 7 制御手段 8 アクチュエータ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月26日(2006.7.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清
【識別番号】100085604 【弁理士】 【氏名又は名称】森 厚夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−29424(P2008−29424A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−203930(P2006−203930) |
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