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【発明の名称】 膨張可能なステント及び該ステントを与える方法
【発明者】 【氏名】イアン・エム.・ペン

【氏名】ドナルド・アー.・リチ

【要約】 【課題】相互に連通する基部の端部と末端部の端部と該基部の端部と末端部の端部との間に設けられたチューブ状壁とを具えた膨張可能なステント。

【構成】この管状壁は、長軸方向の軸と、ステントの長軸方向の軸に実質的に平行に設けられた一連の長軸方向の支柱を備えた複数の交差部材によって規定された多孔性表面とを備えている。前記各長軸方向の支柱は、ステントが撓んだ際に、直径方向に対面する一対の前記長軸方向の支柱を実質的に補完し合って伸長及び圧縮させるための撓み手段を備えている。該ステントに半径方向の外向きの力が付与された場合に、ステントが第1の収縮位置から第2の膨張位置まで拡大可能である。一連の長軸方向の支柱にこのような撓み手段を設けることによって、未膨張状態のステントの横方向の可撓性と膨張状態のステントの半径方向の剛性の間に非常に望ましいバランスが得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に連通する基部の端部及び末端部の端部と、該基部の端部と末端部の端部との間に配置された管状壁とを備えた膨張可能なステントであって、該管状壁は、長軸方向の軸と、ステントの長軸方向の軸に実質的に平行に配置された一連の長軸方向の支柱を具えた複数の交差部材によって規定された多孔性表面とを有し、前記各長軸方向の支柱は、ステントが撓んだ状態で、直径方向に対面する一対の前記長軸方向の支柱を実質的に補完し合って伸長及び圧縮させるための撓み手段を備え、該ステントに半径方向の外向きの力が付与された状態で、ステントが第1の収縮位置から第2の膨張位置まで膨張可能であることを特徴とするステント。
【請求項2】
前記撓み手段の少なくとも一つの側方部分は、各長軸方向の支柱に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記少なくとも一つの側方部分が、尖った頂点を備えていることを特徴とする請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記少なくとも一つの側方部分が、丸くなった頂点を備えていることを特徴とする請求項2に記載のステント。
【請求項5】
前記少なくとも一つの側方部分が、平坦な頂点を備えていることを特徴とする請求項2に記載のステント。
【請求項6】
前記撓み手段が、各長手方向支柱に設けられた少なくとも第1側方部分及び第2側方部分を備えていることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項7】
前記第1側方部分及び第2側方部分が、対称的であることを特徴とする請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記第1側方部分及び第2側方部分が、非対称的であることを特徴とする請求項6に記載のステント。
【請求項9】
前記第1側方部分及び第2側方部分が、実質的に同じ形状及び異なる大きさを有することを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記第1側方部分及び第2側方部分が、異なる形状及び大きさを有することを特徴とする請求項8に記載のステント。
【請求項11】
前記第1側方部分及び第2側方部分が、実質的に同じ形状及び異なる大きさを有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載のステント 。
【請求項12】
前記複数の交差部材が、前記長手方向軸に実質的に平行な一対の側壁を有する多角形からなる第1繰返パターンを規定するように配列され、前記撓み手段が前記側壁のそれぞれに配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のステント。
【請求項13】
前記撓み手段が、S字形状部分を備えていることを特徴とする請求項12に記載のステント。
【請求項14】
前記S字形状部分が、結合された一対の湾曲部分を備えており、各湾曲部分が約180度の円弧を有していることを特徴とする請求項12又は13に記載のステント。
【請求項15】
前記S字形状部分が、結合された一対の湾曲部分を備えており、各湾曲部分が180度より大きい円弧を有していることを特徴とする請求項12又は13に記載のステント。
【請求項16】
前記湾曲部分が、実質的に同じ大きさを有する請求項14又は15に記載のステント。
【請求項17】
前記湾曲部分が、異なる大きさであることを特徴とする請求項14又は15に記載のステント。
【請求項18】
前記撓み手段を備える一連の長軸方向の支柱が、多孔性表面にすべて長手方向の支柱を備えていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のステント。
【請求項19】
前記ステントが、ステンレスで構成されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のステント。
【請求項20】
前記ステントが、自己膨張性材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のステント。
【請求項21】
前記自己膨張性材料が、ニチノールであることを特徴とする請求項20に記載のステント。
【請求項22】
前記自己膨張性材料が、約30℃より高い温度で膨張することを特徴とする請求項20に記載のステント。
【請求項23】
前記自己膨張性材料が、約30℃乃至約40℃の範囲の温度で膨張することを特徴とする請求項20に記載のステント。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能なステント(expandable stent)に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは広く知られている。実際、「ステント」と言う用語は、「管内の血管移植(intraluminal vascular graft)」や「膨張可能な(expansible)人工器官」等の用語と同義に使用されている。本明細書を通じて、「ステント」と言う用語は広い意味を有し、人体管路(body passageway)(例えば、内腔や動脈)内への埋め込みのための膨張可能なすべての人工器官装置を包含することを意図している。
【0003】
過去6乃至8年の間に、或る場合には手術の代替手段として使用される可能性のために、ステントの使用に対して多くの関心が寄せられている。一般的には、ステントは、人体管路の一体性を保ちながら、該通路を開放し且つ開放状態を維持するのに使用される。本明細書で使用される場合には、「人体管路」とは広い意味を有し、人体内のすべての導管(duct)(例えば天然の又は医療のための)を包含し、血管、気管、胃腸管等を含む群から選ばれた部材を含んでいる。
【0004】
初期のステントは自己膨張性のスプリング状の装置であって、収縮状態で人体管路に挿入されていた。このステントは、解放されると自動的に膨張して、該ステントの大きさと人体管路の弾性とに応じて最終直径まで拡大する。このようなステントの一例は、ワールステント(Wallstent)TMとして公知である。
【0005】
この自己膨張性ステントは、展開すると人体管路の壁面に不当な恒久的応力を加える欠点があることが、何人かの研究者によって見出された。更に、このステントは、膨張する際に予測不能な態様で長さが短くなるので、信頼性が低い。こうしたことから、ステントの拡大によって目標とする人体管路を開放状態に維持するのに充分な力のみが付与されるように、制御可能に膨張できるステントの開発が行われて来た。
【0006】
一般的に、これらの後期のシステムにおいては、ステントは、バルーン(balloon)と関連して、カテーテル・システムによって人体管路の目標領域に入れられる。ステントが適正に位置決めされると(例えば、管内埋め込みの場合には血管の目標領域は対照媒体で満たされ、透視検査の際に見えやすくされている)、バルーンは膨張して塑性変形によってステントを膨張させ、ステントは人体管路に対して押し付けられる。上述のように、少なくとも人体管路を開放状態に維持するのに必要な量の力が加えられる。この時点でバルーンは収縮し、カテーテル内に引き入れられ、次いで取り出される。理想的には、ステントは所定の場所に留まり、人体管路の目標領域が実質的に閉塞しないように(又は狭くならないように)維持する。
【0007】
業界で有名な一つのステントは、パルマツ−シャツ(Palmaz-Schatz)TMのバルーン拡張型ステント(以後、パルマツ−シャツ(Palmaz-Schatz)型ステントと称する)として知られている。このステントは、米国特許第4,733,665号、米国特許第4,739,762号、米国特許第5,102,417号及び米国特許第5,316,023号を含む多くの特許において述べられている。これらの各特許の内容は、その番号を引用することによって本明細書中に組み入れられている。
【0008】
業界で有名なもう一つのステントは、ジャンツルコ−ロウビン(Gianturco-Roubin)フレックス−ステント(Flex-Stent)TM(以後、Gianturco−Roubin型ステントと称する)として知られている。このステントは、米国特許第4,800,882号、米国特許第4,907,336号及び米国特許第5,041,126号を含む多くの特許において述べられている。これらの各特許の内容は、その番号を引用することによって本明細書中に組み入れられている。
【0009】
他のタイプのステントが次の特許に開示されている。
【0010】
米国特許第5,035,709号(ジャンツルコ(Gianturco)他)
米国特許第5,037,392号(ヒルステッド(Hillstead))
米国特許第5,147,385号(ベック(Beck)他)
米国特許第5,282,824号(Gianturco)
カナダ特許第1,239,755号(ウォルステン(Wallsten))及び カナダ特許第1,245,527号(Gianturco他)
これらの各特許の内容は、その番号を引用することによって本明細書中に組み入れられている。
【0011】
これらの先行技術のステントは、或る程度の成功を収めてはいるが、業界は、可撓性と安定性が改善され、且つ目標の内腔に殆ど又は全く傷を与えることなく容易に埋め込みが可能な新規なステントを常に求めている。
【0012】
番号を引用することによってその内容が本明細書中に組み入れられている本出願人のカナダ特許出願第2,134,997号(ペン(Penn)他)には、改良された膨張可能なステントが記載されている。このステントは基部端と末端の間に設けられた管状の壁を具えている。この管状壁は、長軸方向の軸と第1繰返パターンを規定する複数の交差部材によって形成された多孔性表面とを有する。
【0013】
この第1繰返パターンは、前記長軸方向の軸に実質的に平行な一対の側壁を有する多角形を具えている。第1の凹形壁と第2の凸形壁とが二つの側壁を連結している。前記第1壁と第2壁は前記長軸方向の軸に平行な軸に沿って同じ長さを有する。このステントは、半径方向に外向きの力がステントに働いた場合に、第1の収縮位置から第2の拡張位置まで拡大可能である。
【0014】
’997号特許出願に記載されているように、前記第1繰返パターンは、特に単一管状膨張可能ステントと二股状膨張可能ステントに利用されることができる。
【0015】
’997号特許出願に開示されているステントは進歩したものではあるが、目標とする人体管路で拡大するのにかなりの力を必要とする場合がある。更に、未拡張のステントを著しく湾曲した経路を通って目標とする人体管路まで動かさなければならないような状況においては、この’997号特許出願に開示されているステントの埋め込み作業は難しい。
【0016】
したがって、これらの欠点を克服する改良されたステントを得ることが望まれている。この改良されたステントが、特に単一管状膨張可能ステント及び二股状膨張可能ステント用に容易に構成できることが、更に望ましい。後者のタイプのステントは、動脈瘤、閉塞、その他の慢性疾病の治療に有用である。このステントを比較的容易に埋め込みできることも望ましい。更に、このステントが比較的低圧で均等に拡張でき、しかも長軸方向の収縮が無いか又は少ないことも望ましい。更に、このステントが、例えば米国特許第5,282,824号(Gianturco)に記載されているような、「コイル型ステント」に伴う問題である人体管路の内部を非対称的に被覆するようなことの無いことが望ましい。更に、このステントを埋め込む際又はその後に、人体管路の長軸方向の軸に沿って移動することが無いことが望ましい。更に、このステントは未膨張状態での横方向の可撓性と膨張状態での半径方向の剛性とのバランスが良好な特徴を有していることが望ましい。
【特許文献1】米国特許第4,733,665号明細書
【特許文献2】米国特許第4,739,762号明細書
【特許文献3】米国特許第5,102,417号明細書
【特許文献4】米国特許第5,316,023号明細書
【特許文献5】米国特許第4,800,882号明細書
【特許文献6】米国特許第4,907,336号明細書
【特許文献7】米国特許第5,041,126号明細書
【特許文献8】米国特許第5,035,709号明細書
【特許文献9】米国特許第5,037,392号明細書
【特許文献10】米国特許第5,147,385号明細書
【特許文献11】米国特許第5,282,824号明細書
【特許文献12】カナダ特許第1,239,755号明細書
【特許文献13】カナダ特許第1,245,527号明細書
【特許文献14】カナダ特許出願第2,134,997号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来技術の前述の欠点の少なくとも一つを解消し又は緩和する新規な膨張可能なステントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一つの態様においては、相互に連通する基部端と末端と該基部端と末端との間に設けられた管状壁とを具えた膨張可能なステントであって、該管状壁は、長軸方向の軸とステントの長軸方向の軸に実質的に平行に設けられた一連の長軸方向の支柱を具えた複数の交差部材によって規定された多孔性表面とを具え、前記各長軸方向の支柱は、ステントが撓んだ際に直径方向に対面する一対の前記長軸方向の支柱を実質的に補完し合って伸長及び圧縮させるための撓み手段を具え、該ステントに半径方向の外向きの力が付与された場合に、ステントが第1の収縮位置から第2の膨張位置まで膨張可能である、ステントが提供される。
【0019】
即ち、本発明のこの態様においては、一連の長軸方向の支柱に撓み手段を使用していることによって、未膨張ステントの横方向の可撓性と膨張ステントの半径方向の剛性との間に非常に望ましいバランスが得られることが見出された。実際に、この撓み手段は、直径方向に対面する一対の長軸方向の支柱が実質的に補完し合って伸長・圧縮できるようにすることによって、未膨張ステントに横方向の可撓性を与える。撓んだ状態のステントを考えた場合、湾曲の接線(即ち二次元の)に沿って位置する第1の長軸方向の支柱は曲げモーメントに応じて伸長されるであろう。逆に、前記第1長軸方向の支柱に対して直径方向に対面して位置する(即ち第1長軸方向の支柱に対して上方、下方又は同じ半径方向平面にある)第2の長軸方向の支柱は、この曲げモーメントに応じて圧縮されるであろう。一般的に、伸長・圧縮の程度は、実質的に補完し合うものとなるであろう。換言すれば、多くの場合、第1長軸方向の支柱は伸長されて第1距離が長くなり、第2長軸方向の支柱は圧縮されて第2距離が短くなるであろう。第1距離は第2距離よりも大きいことが好ましく、第1距離と第2距離との和は、第1長軸方向の支柱と第2長軸方向の支柱の元の長さの和に実質的に等しいことが最も望ましい。
【0020】
直径方向に対面する一対の長軸方向の支柱を実質的に補完し合って伸長・圧縮ができるようにすることによって、未膨張ステントに横方向の可撓性が与えられるならば、長軸方向の支柱に設けられる撓み手段の形状は特に限定はされない。
【0021】
本明細書中で使用されている「直径方向に対面する一対の長軸方向の支柱」と言う用語は、広い意味を持つことを意図している。即ち、この「対」は同じ水平面(即ち同じ多角形リング)内にあってもよく、又は異なる水平面内にあってもよい(例えば、一方の支柱は第1多角形リング内にあり、直径方向に対面する他方の支柱は、第1リングの上方又は下方の第2多角形リング内にある)。この撓み手段は、好ましくは、長軸方向の支柱に設けられた少なくとも一つの側方部分を具え、更に好ましくは、長軸方向の支柱に設けられた第1側方部分と第2側方部分とを具えている。「側方部分」とは、支柱の内側又は外側(即ち支柱の半径方向)に弓状に湾曲している該長軸方向の支柱の一部分のことを意味する。この側方部分の頂面は尖っていても、丸くなっていても、又は実質的に平坦であってもよい。撓み手段が第1側方部分と第2側方部分とを具えている場合、これら二つの部分は対称的であっても非対称的であってもよい(非対称的な場合には、形状は同じであるが大きさは異なる二つの部分及び形状と大きさが異なる二つの部分が設けられている)。更に、撓み手段が第1側方部分と第2側方部分とを具えている場合、これらの部分は同じ方向又は反対方向に湾曲していてもよい。
【0022】
この撓み手段の特に好ましい実施例は、正弦曲線型又はS字形状部分を含んでいる(この部分の種々の例についてはここに図示され、後述されている)。好ましくは、この正弦曲線型又はS字形状部分は多角形の第2頂面に隣接し、支柱の残りの部分は実質的に真っ直ぐになっている。この特長によってステントの横方向の可撓性が改善され、該ステントの埋め込みが容易となり、拡張の際のステントの長軸方向の短縮が少なくなる。
【0023】
もう一つの実施例においては、側壁(即ち長軸方向の支柱)の少なくとも一方、好ましくは両方ともが正弦曲線型又はS字形状部分を具えている。好ましくは、この正弦曲線型又はS字形状部分は前記側壁の端に設けられている。この特長によってステントの横方向の可撓性が改善され、その埋め込みが容易となり、更に、拡張の際のステントの長軸方向の短縮が少なくなる。
【0024】
正弦曲線型又はS字形状部分を側壁及び/又は第1頂面と第2頂面(もし存在していれば)とを連結する支柱に設けた場合、この部分の精密な形状は特に限定されず、ほぼS字形状をなす。即ち、この正弦曲線型又はS字形状部分は一対の連結された湾曲部分によって構成され、本出願の図8に示されているように、各湾曲部分は約180度の円弧を有している。「円弧」とは、湾曲部分の根点を中心とする、該湾曲部分の一方の端から他方の端までの角度のことを言う。別の例では、前記正弦曲線型又はS字形状部分は、各湾曲部分が180度より大きい円弧を有する連結された一対の湾曲部分で構成され、これは本出願の図9に示されている。更に、この一対の連結された湾曲部分は同じ大きさのもの(これは本出願の図8と9に示されている)又は異なる大きさのもの(これは本出願の図10に示されている)でもよく、後者が最も好ましい実施例である。
【0025】
撓み手段を具えた一連の長軸方向の支柱は、ステントの多孔性表面を形成している複数の交差部材で構成されたすべてが実質的に長軸方向の支柱を具えていることが好ましい。
【0026】
本発明のこの態様の場合には、長軸方向の軸に実質的に平行な一対の側壁(即ち撓み手段を具えた一対の前記長軸方向の支柱)と、これらの側壁同士を連結する第1頂面を有する凹形の第1壁と第2頂面を有する凸形の第2壁とを有する多角形で構成された第1繰返パターンを規定するように、前記交差部材が配列されていることが望ましい。本明細書を通じて、「凹形」及び「凸形」と言う用語は広い意味で使用され、頂面を有する形状を意味している。このように、第1壁は第1頂面を有し、第2壁は第2頂面を有する。即ち、第1頂面(即ち凹形第1壁の)は前記多角形の内側に向かい、一方、第2頂面(即ち凸形第2壁の)は前記多角形から離れる方に向かっている。
【0027】
別の態様において、本発明は、相互に連通した基端と先端と、該基端と先端との間に設けられた管状壁とを具えた膨張可能なステントであって、前記管状壁は長軸方向の軸と、第1繰返パターンを規定するように配置された複数の交差部材によって形成された多孔性表面とを有し、該第1繰返パターンは、実質的に該長軸方向の軸に平行な一対の側壁と、第1頂面を有する凹形第1壁と第2頂面を有する凸形第2壁とを有する多角形で構成され、前記第1壁と第2壁は前記側壁同士を連結し、前記第1頂面と第2頂面の少なくとも一方は実質的に平坦であり、前記ステントに半径方向に外向きの力が加わった場合に、第1の収縮位置から第2の膨張位置まで膨張可能なステントを提供する。
【0028】
本発明のこの態様においては、第1繰返パターンの多角形の側壁に撓み手段が有る場合にも無い場合にも、このような(第1頂面と第2頂面の少なくとも一方が実質的に平坦な)第1繰返パターンを使用することによって、改善されたステントが得られる。この第1繰返パターンの使用に伴う利点は次の通りである。
【0029】
1.ステントを拡張させるのに要する力が実質的に減少する。
【0030】
2.拡張の際に、ステントが受ける外傷性応力が少なくなる。
【0031】
3.拡張の際にステントの塑性変形が容易となる。
【0032】
4.ステントの構成が容易となる。
【0033】
5.ステントの拡張の際、第1頂面及び第2頂面の歪みが無くなり、又は少なくなる。
【0034】
第1頂面と第2頂面の少なくとも一方を実質的に平坦にすると、通常、凹形第1壁及び/又は凸形第2壁の頂面には一対の肩部が形成される。これらの肩部は丸くなっていることが望ましい。このような丸い肩部を設けることによって、次のような付加的な利点が得られる。
【0035】
6.(i)管路内のエンドルミナール内容物(endoluminal content)及び(ii)管路の形状に起因する人体管路の目標領域に対する潜在的な外傷(potential trauma)が少なくなる。
【0036】
7.得られた膨張したステントがより流線型になって流れに沿い、人体管路の目標領域に対する潜在的な外傷が少なくなる。
【0037】
8.ステントを膨張させるのに要する力が更に減少する。
【0038】
9.ステントの拡張比(即ち、未膨張ステントの直径に対する最大拡張時の膨張ステントの直径の比)が改善される。
【0039】
10.ステントの拡張の際、凹形第1壁と凸形第2壁が長軸方向の軸に対して実質的に直角となり、ステントの剛性が改善される(これは、ステントの後戻り(recoil)の発生を少なくするのに非常に重要である)。
【0040】
11.膨張されたステントのパターンが、人体管路中の流体の流れ易さを改善する。
【0041】
本発明のステントが前述の第1繰返パターンを具えている場合には、第1頂面と第2頂面との間に連結支柱を設けることが望ましい。一般的に、この連結支柱は実質的に長軸方向を指向している(即ち、ステントの長軸方向の軸に平行である)。この特長によって、例えば湾曲した人体管路を通じてステントを挿入した場合、ステントが撓む際に前記肩部の上昇が少なくなる。その結果、肩部によって人体管路が擦られることがなくなるので、人体管路に対する潜在的な外傷が少なくなる。
【0042】
一つの好ましい実施例においては、連結支柱は長軸方向の軸に対して湾曲している(これについては後述され且つ図示されている)。この支柱は、第1頂面と第2頂面との間の距離よりも好ましくは約35%まで、より好ましくは約15%まで、更に好ましくは約2%〜約8%の範囲、最も好ましくは約3%〜約7%の範囲だけ大きい長さを有するように充分に湾曲している。この特長によってステントの横方向の可撓性が改善され、その埋め込みが容易になる。或る場合には、この湾曲部は前述の撓み手段を構成するように設計される。換言すれば、湾曲部の形状は、ステントが撓む際に連結支柱の伸長と圧縮を実質的に補完するように設計されている。
【0043】
本発明のステントの更に他の好ましい特長は、繰返パターンの多角形の側壁の一方又は両方が湾曲していることである。好ましくは、両方の側壁が湾曲している。更に好ましくは、この湾曲部が前述の撓み手段として機能することである。
【0044】
理想的には、この湾曲側壁は、凹形第1壁と凸形第2壁との終端の間の距離よりも約35%まで、より好ましくは約15%まで、更に好ましくは約2%〜約8%の範囲、最も好ましくは約3%〜約7%の範囲だけ大きい長さを有している。この特長によって支柱の横方向の可撓性が改善され、それの埋め込みが容易となる。
【0045】
支柱と側壁の両方が湾曲していることが好ましい。湾曲している各部材が実質的に同じ長さであることが更に好ましい。
【0046】
本発明のステントの更に別の特長は、支柱と多角形の側壁が湾曲していることに加えて、繰返パターンの多角形のすべての長軸方向の壁が湾曲していることである。即ち、本発明のこの実施例においては、凹形第1壁は多角形の第1頂面と側壁とを連結する一対の湾曲第1頂面壁を具え、凸形第2壁は多角形の第2頂面と側壁とを連結する一対の湾曲第2頂面壁を具えている。或る場合には、湾曲部は前述した撓み手段を具えるように構成されてもよい。理想的には、この湾曲第1頂面壁と湾曲第2頂面壁は、それぞれが、第1頂面と側壁との間及び第1頂面と側壁との間の直線(即ち湾曲していない)距離よりも約35%まで、より好ましくは約15%まで、更に好ましくは約2%〜約8%の範囲、最も好ましくは約3%〜約7%の範囲だけ大きい長さを有している。この実施例においては、繰返パターン(即ち、支柱、第1頂面壁、第2頂面壁及び側壁)の環状部分における実質的にすべての隣接する湾曲壁が相互に実質的に等間隔に配置されていることが、更に好ましい。本発明のステントのこの好ましい特長により、ステントの横方向の可撓性が更に改善され、これの埋め込みが更に容易になる。
【0047】
本発明のステントの更に他の好ましい特長は、複数の構成を有する多孔性表面が設けられていることにある。詳しくは、或る場合には、このステントをその長さに沿って可撓性と剛性の程度を変化させるように構成することが望ましい。このステントの比較的撓み易い部分は、このステントを比較的曲がりくねったルートを経由して目標とする人体管路に容易に送り込むことを可能にし、一方、このステントの比較的頑丈な部分は、人体管路を開放状態に維持するのに役立つ。以下に更に詳細に述べるように、これは、ステントの長軸方向の長さに沿って繰返パターンを変化させることによって達成される。
【0048】
本発明の一態様によれば、膨張可能な二股状ステントが提供される。本明細書全体を通じて、「二股状ステント」と言う用語は広い意味を有することを意図し、一つの一次管路とこれに接続された少なくとも二つの二次管路からなるすべてのステントを包含する。したがって、三股状ステントはこれに包含される。更に、二次管路の一方が一次管路と連続しており、その結果、他方の二次管路が実質的にこの一次管路の分枝になる場合もある。
【0049】
本発明のステント(二股状又は単一管状)は、更に、その表面にコーティング材料を具えていてもよい。このコーティング材料はステントの表面に連続状に又は不連続状に設けられる。更に、このコーティングはステントの内面及び/又は外面に設けることができる。このコーティング材料は、一つ以上の生体不活性材料(例えばステントの血栓形成性を少なくするための)や埋め込み後に人体管路の壁を通じて浸透する医薬組成物(例えば人体管路に抗凝固作用を与えたり、医薬を供給したりするための)等であってもよい。
【0050】
このステントは、人体の脈管の壁及び/又は該脈管を通じて流れる血液等の液体との間での悪い相互作用を最少にするような生体適合性を有するコーティングを具えていることが望ましい。このコーティングはポリマー材料であることが望ましく、この材料は、一般的に、予め形成されたポリマーを溶媒中に溶かした溶液や分散液をステントに付着させ、溶媒を除去することによって付与される。ポリマー以外のコーティング材料を使用することもできる。ポリマーの場合の好適なコーティング材料の例としては、生体適合性を有することが知られているポリテトラフルオロエチレン又はシリコーンゴム類、又はポリウレタン類が挙げられる。しかし、このポリマーは両性イオンの側基、一般的にはホスホリル・コリン基又はこれに類似した基等の燐酸アンモニウム・エステル基を有することが望ましい。好適なポリマーの例は、国際特許出願WO−A−93/16479及びWO−A−93/15775に記載されている。これらの明細書に記載されているポリマーは、血液適合性であると共に、一般的に生体適合性を有し、その上滑らかである。血液等との好ましくない相互作用を最少にするように、ステントの表面は完全にコーティングされ、血栓が発生しないようにすることが重要である。
【0051】
こうした良好なコーティングは、コーティング溶液の粘度、コーティング技術及び/又は溶媒除去方法等のコーティング条件を適宜に選択することによって得られる。
【0052】
本発明のもう一つの実施例においては、ステントがポリマー材料に接合されている。詳しくは、ポリマー材料は、それがステントの少なくとも一部分を包み込むように、ステントの上に押し出される。この技術は、二つ以上のステントを可撓性ポリマーの管によって束ねるのに使用される。この技術は、ステントを管、グラフト等の他の人工器官装置に接合するのにも使用される。このようにして、本発明のこの実施例においては、ステントは内腔用人工器官内に組み込まれる。
【0053】
本発明の更に別の実施例においては、ステントは(例えば縫合等によって)GortexTM材料等の既存の内腔人工器官や尺側皮静脈(basilic vein)等の生体材料に固定することができる。この点に関して、ステントを既存の内腔人工器官や生体材料に固定するには、ステントの端部に、平坦な頂面を有する凸形壁を具えた前述の多角形の環状列を設けることによって容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
添付の図面を参照して本発明の実施例を説明するが、これらの図面においては同じ符号で同じ部品を示している。
【0055】
図1には、ステント10が示されている。このステント10は基端15と末端20を具えている。更に、このステントは前記基端15と末端20との間に設けられた管状壁25を具えている。図示されているように、管状壁25は多孔性である。この管状壁25の多孔性は、複数の交差部材30によって規定されている。交差部材30は、図1にAで示されている第1繰返パターンを規定している。
【0056】
図1Aに示されているように、繰返パターンAは一対の側壁35、40を具えた多角形である。側壁35、40は、ステントの長軸方向の軸45に実質的に平行であり、したがって側壁35、40は長軸方向の支柱であると考えられる(実際、各図を見ても、側壁は長軸方向の支柱であると考えられる)。側壁35、40は凹形壁50と凸形壁60によって連結されている。
【0057】
図示されているように、凹形壁50は三つのセグメント52、54及び56によって構成されている。図示の実施例では、セグメント54は平坦な頂面であり、その結果、一対の実質的に直角な肩部57、58を具えている。凸形壁60は三つのセグメント62、64及び66によって構成されている。図示の実施例では、セグメント64は凸形壁60の頂面である。
【0058】
当業者であれば自明の通り、第1繰返パターンを設ければ必然的に図示のように第2繰返パターンBが規定される。これも当業者であれば自明の通り、第2繰返パターンBは長軸方向の軸45に実質的に垂直な軸(図示しない)に関して第1繰返パターンAの鏡像である。したがって、図示の実施例においては、隣接する繰返パターンA及び繰返パターンBの列は、多角形又は「矢じり」を連結したものであると考えることができる。
【0059】
更に当業者であれば自明の通り、凹形壁50及び/又は凸形壁60の形状は、凹形壁50と凸形壁60の少なくとも一方が実質的に平坦な頂面を維持している限り、ステントの機能と性能を損なうことなしに調整することができる。例えば、前記三つのセグメントを適宜に湾曲した或いは円弧状の壁に置き換えてもよい。又は、三つ以上のセグメントを使用して凹形壁50及び/又は凸形壁60を形成してもよい。当業者であれば、他の変形も可能なことは明らかであろう。
【0060】
更に、当業者であれば自明の通り、本発明の要旨と範囲から逸脱することなく、ステント本体に沿って選ばれた点において第1繰返パターンAと第2繰返パターンBの種々の壁を省略してもよい(むしろ好ましい)。例えば、ステントの長軸方向の可撓性を改善する目的で、ステント本体に沿って選ばれた点において側壁35と40の一方又は両方を省略することができる。更に、ステントの横方向の可撓性を改善する目的で、ステント本体に沿って選ばれた点において一つ以上のセグメント62、64及び66を省略することができる。
【0061】
また更に、ステントの可撓性を改善し、該ステントの境界の外側の他の構造物(例えば側方分枝/動脈)への接近を可能にする目的で、図1に示されたステントを改変して、選ばれた基礎上で第1繰返パターンA及び/又は第2繰返パターンBを省略することができる。
【0062】
図2〜10を参照すると、繰返パターンAの多数の好適実施例が示されている。図面を判りやすくするために、図2〜8においては、図1の符号に対応して、これと同じ下二桁の数字を有する符号が使われている。例えば、凹形壁は図1では符号50で示されているが、図2ではエレメント150で、図3ではエレメント250で示されている等である。
【0063】
即ち、図2に示された繰返パターンAは、凹形壁150と凸形壁160とで構成され、前者は平坦な頂面を有している。更に、図示されているように、凹形壁150と凸形壁160はステントの長軸方向の軸(図示しない)に垂直な軸に沿って同じ長さではない。そして、この実施例においては、凹形壁150の平坦な頂面は一対の実質的に丸くなった肩部157と158を有するように改変されている。
【0064】
図3によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図3においては、凹形壁250の平坦な頂面は、一対の丸くなった肩部257と258を持つように改変されている。更に、凹形壁250のセグメント254と凸形壁260のセグメント264を連結するように、支柱270が付加されている。図示されているように、支柱270は凹形壁250と凸形壁260を構成しているどのセグメントよりも細い寸法を有している。即ち、支柱270は、ステントを比較的曲がりくねった目標の人体管路に挿入する際に、支柱の可撓性を保持し且つ丸い肩部257、258の上昇を抑制する必要性を調和させる比較的細い維持ワイヤーであると考えることができる。
【0065】
図4によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図4においては、凹形壁350の平坦な頂面は、一対の丸くなった肩部357、358を具えるように改変されている。更に、湾曲した支柱370が付加され、凹形壁350のセグメント354と凸形壁360のセグメント364を連結している。
【0066】
図5によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図5において、凹形壁450の平坦な頂面は、一対の丸くなった肩部457、458を具えるように改変されている。更に、湾曲した支柱470が付加され、凹形壁450のセグメント454と凸形壁460のセグメント464を連結している。更に、側壁435、440も湾曲している。上述のように、繰返パターンAとBの隣り合う列において側壁435と440は反対方向に反っているので、隣り合う列の実質的に直径方向の側壁は、前述の撓み手段として機能するであろう。
【0067】
図6によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図6において、凹形壁550は一対の丸くなった肩部557と558を有する平坦な頂面554を有するように改変され、凸形壁560も一対の丸くなった肩部567と568を有する平坦な頂面564を有するように改変されている。更に、湾曲した支柱570が付加され、凹形壁550の平坦な頂面554と凸形壁560の平坦な頂面564を連結している。更に、側壁535と540も湾曲している。
【0068】
図7によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図7において、凹形壁650は一対の丸くなった肩部657と658を有する平坦な頂面654を有するように改変され、凸形壁660も一対の丸くなった肩部667と668を有する平坦な頂面664を有するように改変されている。更に、湾曲した支柱670が付加され、凹形壁650の平坦な頂面654と凸形壁660の平坦な頂面664を連結している。更に、側壁635と640も湾曲している。更になお、平坦な頂面664をそれぞれ側壁635と640に連結する壁651と652も湾曲している。この設計によれば、ステントの横方向の可撓性が更に改善されるものと信じられている。
【0069】
図8によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図8において、凹形壁750は一対の丸くなった肩部757と758を有する平坦な頂面754を有するように改変され、凸形壁760も一対の丸くなった肩部767と768を有する平坦な頂面764を有するように改変されている。更に、支柱770が付加され、凹形壁750の平坦な頂面754と凸形壁760の平坦な頂面764を連結している。更に、側壁735と740は、それぞれ、凸形壁760に隣接して正弦曲線型(sinusoidal)(又はS字形状)部分736と741を具えるように改変されている。更に、支柱770は、凹形壁750の平坦な頂面に隣接して正弦曲線型(又はS字形状)部分771を具えるように改変されている。
【0070】
この設計によって、ステントの横方向の可撓性が更になお改善される。
【0071】
図9によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図9において、凹形壁850は一対の丸くなった肩部857と858を有する平坦な頂面854を有するように改変されている。更に、側壁835と840は、それぞれ、凸形壁860に隣接して一対の正弦曲線型(又はS字形状)部分836と841を具えるように改変されている。この設計によれば、図2に示されたステントの横方向の可撓性が更に改善される。図9の各正弦曲線型(又はS字形状)部分836、841は、それぞれが180度よりも大きい円弧、別の概念的表現をすれば一対のΩ型部分(図8の正弦曲線型(又はS字形状)部分736、741、771と比較のこと)を有する一対の連結された湾曲部分を具えていることに注目されたい。
【0072】
図10によれば、繰返パターンAは図1に示されたものと似ている。図10において、凹形壁950は一対の丸くなった肩部957と958を有する平坦な頂面954を有するように改変されている。更に、支柱970が付加され、凹形壁950の平坦な頂面954を凸形壁960のセグメント964に連結している。
【0073】
更に、側壁935と940は、それぞれ、凸形壁960に隣接して一対の正弦曲線型(又はS字形状)部分936と941を具えるように改変されている。更に、支柱970は、凹形壁950の平坦な頂面に隣接して正弦曲線型(又はS字形状)部分971を具えるように改変されている。図10の各正弦曲線型(又はS字形状)部分936、941、971は、それぞれが180度よりも大きい円弧を有する一対の連結された湾曲部分を具えていることに注目されたい。更に、正弦曲線型(又はS字形状)部分936と941の湾曲部分は同じ大きさのものであり、一方、正弦曲線型(又はS字形状)部分971の湾曲部分は異なった大きさのものである。正弦曲線型(又はS字形状)部分936と941と正弦曲線型(又はS字形状)部分971とが散在しているために、ステントを拡開するのに使用されるバルーンその他の手段によって生じる拡張力に特には無関係に、このステント内のすべてのセグメントが実質的に均等に半径方向に膨張可能な独特の利点が得られる。更に、この構成によって、ステントを拡張するのに必要な力(例えばバルーンによる圧力)が小さくてすむ。更にまた、この構成によれば、ステントの横方向の可撓性が改善される。
【0074】
当業者であれば自明のように、正弦曲線型(又はS字形状)部分971は、繰返パターンAの長軸方向の軸に対して水平なパネル内で正弦曲線型(又はS字形状)部分936と941に対してずれている。これらの正弦曲線型(又はS字形状)部分がずれていることは、ステントの湾曲点を増加させるのに役立ち、挫屈を回避しながらステントを曲げることが可能になる。このように、ステントの表面領域の大きな部分にわたって正弦曲線型(又はS字形状)部分を段階的に分布させることによって、ステントの可撓性が改善される。
【0075】
図2〜10に示された種々の実施例の利点は上に述べられた通りである。
【0076】
上述のように、図8〜10に示されたステントの設計において、長軸方向の支柱に正弦曲線型(又はS字形状)部分等の撓み手段を使用することによって、未拡張状態のステントの可撓性が改善される付加的な利点が得られる。詳しくは、前述の特長があるために、ステントが撓む際に湾曲部に隣接するステントの内側表面の圧縮が可能となり、一方、同時に湾曲部に隣接するステントの外側表面の伸長が可能となり、その間、ステントの一体性強度は実質的に不変に維持され、ステントの挫屈が防止される。
【0077】
したがって、このような撓み手段を他の一般的な構成のステントの長軸方向の支柱に設けることが、本発明のもう一つの特長である。図12a〜12iによれば、図8の正弦曲線型(又はS字形状)部分736、741及び771、図9の正弦曲線型(又はS字形状)部分836、841、及び図10の正弦曲線型(又はS字形状)部分936、941及び971の代わりに使用することができる弓型側方部分の種々の例が示されている。即ち、図12aに示された撓み手段は非対称的なジグザグ状であると考えられ、一方、図12bに示されたものは対称的なジグザグ状であると考えられ、図12cに示されたものは並列された対称的な二つの頂点を有するものと考えられる。図12dに示された撓み手段は、単一のΩ型と考えられ、図12eに示されたものは並列された(つながっていない)二つのΩ型と考えられ、図12fに示されたものは反対向きの(つながっていない)二つのΩ型と考えられる。図12gに示された撓み手段は反対向きのΩ型(伸長を容易にする)/U型ジョイント(圧縮を容易にする)と考えられる。図12hに示された別の撓み手段は、レール型撓み手段であると考えられ、一方、図12iに示されたものは反対向きのレール型撓み手段であると考えられる。本発明の要旨と範囲内に入るその他の構成は、当業者にとって自明であろう。
【0078】
当業者であれば、図2〜10及び12に示された各実施例を組み合わせて、本発明の要旨と範囲内に入る他の構成を導き出すことが可能なことを理解するであろう。詳しくは、本発明の好適実施例は、図2〜10に示された種々の繰返パターンを組み合わせて、比較的撓み易い(flexible)領域と頑丈な(rigid)領域を有する次のようなステントを得ることを含んでいる。
【0079】
F−R
F−R−F
R−F−R
ここでFは比較的撓み易い領域であり、Rは比較的頑丈な領域である。図1〜10に示された実施例を参照すると、曲がりくねった管路を通るステントの追随性(trackability)は、図1に示された構成から図10に示された構成まで次第に良好になっている。例えば、本発明の一実施例によれば、ステントは図10の構成を取り入れた第1部分と、図9の構成を取り入れた第2部分とを具えている。このようなマルチ・部分型の構成は、横方向の可撓性(主として図9の構成から得られる)と後次伸長性半径方向剛性(post-expansion radial rigidity)(主として図10の構成から得られる)との非常に望ましい組み合わせを提供する。
【0080】
相対的可撓性/剛性をステントの長さに沿って変化させる別のやり方は、前述の多角形を形成するセグメントの太さを変えることである。詳しくは、セグメントの太さを約0.0015〜約0.0045インチの範囲、好ましくは約0.002〜約0.0040インチの範囲で変化させる。太さが小さくなればなるほど、得られたステントが撓み易くなる。逆に、太さが大きくなればなるほど、得られたステントが撓み難くなる。こうして、セグメントの太さをうまく選ぶことによって、ステントの相対的可撓性/剛性をその長さに沿って変えることができる。
【0081】
ステントにその長さに沿って可変の相対的可撓性/剛性を与えること、特に一つの相対的可撓性部分と一つの相対的剛性部分を具えたステント(即ち前述のF−R型実施例)は新規であると確信する。このようなステントは、開口狭窄部(これらの症状は冠状動脈、静脈移植片及び腎臓動脈に生じることが多い)に埋め込むのに非常に望ましい。この点に関して、図11に開口狭窄部が示されている。即ち、右冠状心臓弁膜尖105、右冠状動脈110及び該右冠状動脈開口部セグメント115が示されている。更に、狭窄部120が開口部セグメント115を狭めていることが示されている。理想的には、このような開口狭窄部に埋め込み可能なステントは拡張後に充分な剛性を有し、開口閉塞部(図11の領域Y)の弾性的後戻り(recoil)に抵抗する必要がある。しかし、充分な剛性を有するステントは、(i)右冠状動脈のきつい湾曲(図11の領域X)のために動脈に沿って進行するのに手間取るか、又は(ii)このきつい湾曲は通過しても、引き続く右冠状動脈110の領域Xを真っ直ぐに伸ばしてしまい、その結果、該動脈の引き裂きを生じる危険性を増加させるので好ましくない。逆に、右冠状動脈のきつい湾曲(図11の領域X)を通過するのに充分な可撓性を有するステントは、右冠状動脈の開口部(図11の領域Y)の後戻りを許してしまう。したがって、本出願人が知る限りにおいて、図11に示されたようなタイプの開口部狭窄の治療にステントを使用する効果的なやり方は知られてない。前述のような長さに沿って相対的可撓性/剛性が変化しているステントは、開口部狭窄を治療する新規な手段であると確信する。図11は、右冠状動脈の領域Xにおける長軸方向の部材の実質的に補完的な伸長と圧縮をも示している。
【0082】
本発明のステントを製造するやり方には特に限定はない。このステントは管状の出発材料にレーザー切断技術を適用することによって製造されることが好ましい。即ち、この出発材料は、金属や合金(限定的なものではないが、ステンレス、チタン、タンタル、ニチノール(nitinol)、エルギロイ(Elgiloy)、NP35N及びこれらの混合物を含む)の細い管であり、部分的に切除されて前述の繰返パターンAが残される。即ち、本発明の好ましい設計では、ワイヤーを望ましい形状に形成して所定箇所に溶接する従来技術のワイヤーメッシュによる設計とは異なって、管状壁で構成されている。本発明の好ましい管状壁によるステントは、溶接を使用しないで代わりに特殊な切断技術を利用しているので、製造が容易であると共に品質が良好に制御される。
【0083】
このステントは、(メチルメタクリロイルオキシ・エチル)−2−(トリメチルアンモニウム・エチル)燐酸の分子内塩とラウリル・メタクリレートとの1:2(モル)共重合物のエタノール溶液(国際特許出願WO−A−93/01221の実施例2に記載されている)によって、次のようにコーティングされている。未拡張状態のステントが、該ステントよりも僅かに大きい直径を有する管内に入れられる。次いでこの管はコーティング溶液で満たされ、この溶液は前記管から徐々に滴り落ちて完全にコーティングされたステントを形成する。その直後に、温かい空気又は窒素の流れが前記管を通じて、0.15m/秒の直線速度、室温〜50℃の範囲の温度、30秒〜5分間の範囲の時間で送られ、エタノール溶媒を蒸発させることによってコーティングを乾かす。
【0084】
このコーティングに代えて、又はそれに付加して(上又は下に)、23モル%の(メタクリロイルオキシ・エチル)−2−(トリメチルアンモニウム・エチル)燐酸の分子内塩、47モル%のラウリル・メタクリレート、5モル%のγトリメトキシシリルプロピル・メタクリレート(γtrimethoxysiiylpropyl methacrylate)及び25モル%のγヒドロキシプロピル・メタクリレートからなる架橋結合可能なコーティングを使用してもよい。これは、5mg/mlのエタノール溶液から前述の技術によってステントに適用される。この溶液は前述のように乾燥され、次いで70〜75℃で少なくとも約1時間、例えば一晩加熱することによって硬化される。この硬化工程によって、メトキシ・シリル基が、他のメトキシ・シリル基か、メタノールを追い出すヒドロキシプロピル・メタクリレートモノマーから誘導されたヒドロキシ基のどらかかと実質的に完全に反応する。好ましい一つの実施例によれば、架橋結合可能なコーティングが清浄化されたステントに付与され、硬化され、次いで前述のラウリル・メタクリレート共重合物のもう一つのコーティングが付与される。
【0085】
コーティングされたステントは酸化エチレン、γ線又は電子ビームによって滅菌され、続いて挿入のためにバルーン・カテーテルに装着される。
【0086】
ステント10は、ガイドワイヤー、カテーテル、バルーンを使用してステントを位置決めし拡張する従来型のシステムを使用して埋め込まれる。ステント10等の単一管型ステントは従来法によって埋め込まれ、これは当業者であれば可能である。例えば、米国特許第4,733,665号、米国特許第4,739,762号、米国特許第5,035,706号、米国特許第5,037,392号、米国特許第5,102,417号、米国特許第5,147,385号、米国特許第5,282,824号、米国特許第5,316,023号及びそれに引用されているすべての文献又は前述の引用文献のいずれかを参照のこと。本発明のステントが二股状ステントとして構成されている場合には、番号を引用することによって本出願中に組み入れられている前記’977特許出願に概略が述べられている方法を使用して埋め込むことができる。この二股状ステント(bifurcated stent)は、本出願人の名義で1996年5月3日に出願されたカナダ特許出願第2,175,729号に開示されている方法のいずれかによって製造可能である。
【0087】
該出願の内容は番号を引用することによって、本明細書中に組み入れられている。
【0088】
ステント10の埋め込みは、他の種々の手段によって行うことができることは、当業者であれば自明であろう。例えば、ステントを或る温度に達すると−膨張する適宜な材料で作製してもよい。この実施例においては、前記材料は少なくとも約30℃、好ましくは約30〜約40℃の範囲の温度で自己膨張可能な合金(例えばニチノール(nitinol)等)である。この実施例においては、ステントは従来型のカテーテルを使用して埋め込まれ、ステントに作用させる半径方向の外向きの力はステント自体の内部で発生する。更に、ステント10をバルーン/カテーテルによって与えられるのとは別の機械的力を付与して膨張(expand)させるように構成することもできる。例えば、抵抗スリーブ又は保持膜を具えたカテーテルを用いてステント10を埋め込み、次いで、ステントが所定位置に達するとカテーテルと共にこれらを引き出して、ステントの膨張を可能にする。即ち、この例においては、ステントは弾性的に圧縮され、圧縮力(即ちスリーブ又は膜によって与えられていた)が除かれると自己膨張する。
【0089】
当業者であれば自明のように、単一管状ステントに関して繰返パターンAが説明され、且つ図1に示されている。図1〜10に図示され説明された繰返パターンAとそれに関連するすべての特長(図12a〜12iに示された撓み手段を含む改変を包含する)は、番号を引用することによってその内容が本明細書中に組み入れられている前述の’997号特許出願に述べられ図示されたもの等の、二股状ステントにも同じく適用可能である。
【0090】
本発明を例示の実施例を参照して説明したが、この説明はこれに限定されることを意図するものではない。当業者であれば、これらの実施例の種々の改変並びに本発明の他の実施例も自明であろう。したがって、請求の範囲はこれらの改変や実施例をカバーすることを企図している。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】拡張される前の単一管状ステントの分解斜視図を示す。
【図1A】図1に示すステントの一部の分解図を示す。
【図2】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図3】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図4】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図5】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図6】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図7】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図8】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図9】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図10】本発明のステントに有用な繰返パターンの実施例(相対的なスケールではない)の二次元的表現を示す。
【図11】本発明の好適実施例が適用可能な開口部狭窄を示す。
【図12a】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12b】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12c】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12d】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12e】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12f】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12g】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12h】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【図12i】本発明のステントの好適実施例の長軸方向の支柱に設けることのできる撓み手段(二次元的な)の実施例を示す。
【出願人】 【識別番号】507248619
【氏名又は名称】エビーシオ・メディカル・デバイセズ・ユーエルシー
【出願日】 平成19年8月22日(2007.8.22)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−12326(P2008−12326A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−216325(P2007−216325)