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【発明の名称】 吸収性物品
【発明者】 【氏名】栗原 涼子

【要約】 【課題】股間部のフィット性をより高度に向上させ、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止した吸収性物品を提供する。

【構成】透液性トップシート3とバックシート2との間に吸収体4が介在された吸収性物品において、前記吸収体4は、体液排出部位R1を含む股間部領域に吸収体厚を周囲より厚く形成した第1中高部N1を有するとともに、該第1中高部N1上であって前記体液排出部位R1より後方の会陰部対応部分R2に前記第1中高部N1よりも吸収体厚を厚く形成した第2中高部N2を有する構造とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性トップシートとバックシートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体は、体液排出部位を含む股間部領域に吸収体厚を周囲より厚く形成した第1中高部を有するとともに、該第1中高部上であって前記体液排出部位より後方の会陰部対応部分に前記第1中高部よりも吸収体厚を厚く形成した第2中高部を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記第1中高部及び/又は第2中高部は、前記吸収体への圧搾部の付与、別途上層吸収体の積層及び/又は前記吸収体の原料繊維の立体的積繊によって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1中高部及び第2中高部は、体液排出部位から会陰部にかかる範囲に表面側膨出部を備えた下層吸収体に対し、前記体液排出部位に圧搾部を付与した後、上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1中高部及び第2中高部は、下層吸収体の上面に、前記第2中高部が形成された上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1中高部及び第2中高部は、会陰部対応位置に表面側膨出部を有する下層吸収体の上面に、上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1中高部及び第2中高部は、前記第2中高部に相当する均等な厚みを有する吸収体に対し、圧搾部を付与することにより形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1中高部及び第2中高部は、第2中高部を構成する表面側膨出部を有し、それ以外の部分が前記第1中高部に相当する均等な厚みの吸収体に対し、第1中高部形成部及び第2中高部以外の領域に圧搾部を付与することにより形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1中高部及び第2中高部は、下層吸収体、第1中高部を形成するための中層吸収体および第2中高部を形成するための上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1中高部及び第2中高部は、立体的に積繊することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1中高部は、周囲の吸収体よりも4〜11mm厚く形成し、前記第2中高部は第1中高部の吸収体よりも2〜10mm厚く形成してある請求項1〜9いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳しくは局所へのフィット性を上げるために多段構造とした吸収体を備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネートシート不織布などの不透液性バックシートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性トップシートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、体液の漏れを防止するための手段が種々講じられている。これら体液漏れ防止手段の一つとして、吸収体または吸収性物品の厚みを身体の部位に対応して変化させることによって漏れを防止した技術が存在する。たとえば、下記特許文献1では、体液排出部位を含む股間部領域の吸収体厚を最も厚くし、その前方側に位置する前側領域の吸収体厚を前記股間部領域の吸収体厚より薄くし、かつ前記股間部領域の後方側に位置する後側領域の吸収体厚を前記前側領域の吸収体厚よりも薄く形成した吸収性物品が開示されている。下記特許文献2では、液を吸収保持する液吸収層を有し、膣対向部とさらにその後方に延びる臀裂対向部とが形成された生理用ナプキンにおいて、前記臀裂対向部にナプキン本体の肌側表面から隆起する立体構造部が設けられた生理用ナプキンが開示されている。
【特許文献1】特開2003−180733号公報
【特許文献2】特開2005−334293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、上記特許文献1に記載の吸収性物品によれば、女性の身体構造が、股間部の前方部位は比較的平面的であるのに対して、股間部は窪み状になっていることを考慮して、体液排出部位を含む股間部領域の吸収体厚をその他の領域より最も厚く形成するようにしたため、女性局部とのフィット性が上がり、特に体液の前漏れを防止できる点で優れている。しかしながら、女性の身体構造は、図5に示されるように、股間部においても平坦ではなく、膣口から後方側の肛門付近にかけての会陰部が最も窪みが大きい。したがって、上記特許文献1に記載の吸収性物品では、この会陰部のフィット性が十分でないため、後漏れを生じるおそれがあった。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の生理用ナプキンは、臀裂を通じた後漏れを防止すべく、臀裂の形状を考慮して立体構造部を設けたものである。上記引用文献2によれば、就寝時などにおいて、臀裂部を通じた後漏れは防止できるようになるが、前記会陰部でのフィット性が十分でないため、体液排出口から臀裂に至るまでの間に、体液が身体を伝う不快感があるとともに、前記会陰部に滞留した体液の横漏れや斜め後方漏れを生じるおそれがあった。
【0006】
そこで本発明の主たる課題は、股間部のフィット性をより高度に向上させ、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止するとともに、製造を容易にした吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、透液性トップシートとバックシートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体は、体液排出部位を含む股間部領域に吸収体厚を周囲より厚く形成した第1中高部を有するとともに、該第1中高部上であって前記体液排出部位より後方の会陰部対応部分に前記第1中高部よりも吸収体厚を厚く形成した第2中高部を有することを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0008】
本発明者は、股間部のフィット性をより高度に向上させた吸収性物品の開発に向けて鋭意検討を行ったところ、女性の局部の形状は、図5に示されるように、体液排出部位(排血口近傍)から会陰部にかけた窪みは、体の表面よりも体液排出部位が窪んだ位置にあり、更に体液排出部位の後側に位置する会陰部が最も窪んでいることに着目した。その結果、上記請求項1記載の本発明においては、体液排出部位を含む股間部領域に吸収体厚を周囲よりも厚く形成した第1中高部を設けるとともに、該第1中高部上であって前記体液排出部位より後方の会陰部対応部分に前記第1中高部よりも吸収体厚を厚く形成した第2中高部を設けるようにすることで、前記第1中高部が股間部分からヒップの谷間部分にかけての身体へフィットするとともに、前記第2中高部が膣口から後方側の肛門付近にかけての会陰部へフィットすることができるようになり、股間部のフィット性をより高度に向上させ、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止することが可能となる。
【0009】
請求項2に係る本発明として、前記第1中高部及び/又は第2中高部は、前記吸収体への圧搾部の付与、別途上層吸収体の積層及び/又は前記吸収体の原料繊維の立体的積繊によって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0010】
請求項3に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、体液排出部位から会陰部にかかる範囲に表面側膨出部を備えた下層吸収体に対し、前記体液排出部位に圧搾部を付与した後、上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0011】
請求項4に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、下層吸収体の上面に、前記第2中高部が形成された上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0012】
請求項5に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、会陰部対応位置に表面側膨出部を有する下層吸収体の上面に、上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0013】
請求項6に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、前記第2中高部に相当する均等な厚みを有する吸収体に対し、圧搾部を付与することにより形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0014】
請求項7に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、第2中高部を構成する表面側膨出部を有し、それ以外の部分が前記第1中高部に相当する均等な厚みの吸収体に対し、第1中高部形成部及び第2中高部以外の領域に圧搾部を付与することにより形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0015】
請求項8に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、下層吸収体、第1中高部を形成するための中層吸収体および第2中高部を形成するための上層吸収体を積層することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
請求項9に係る本発明として、前記第1中高部及び第2中高部は、立体的に積繊することによって形成してある請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0017】
上記請求項2〜請求項9記載の発明は、前記第1中高部及び第2中高部の形成態様を具体的に示したものであり、これらの形成手段の採用によって、前記第1中高部及び第2中高部が容易に形成できるようになる。
【0018】
請求項10に係る本発明として、前記第1中高部は、周囲の吸収体よりも4〜11mm厚く形成し、前記第2中高部は第1中高部の吸収体よりも2〜10mm厚く形成してある請求項1〜9いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
上記請求項10記載の発明は、第1中高部の吸収体厚を周囲の吸収体よりも4〜11mm厚く形成し、かつ前記第2中高部の吸収体厚を第1中高部の吸収体よりも2〜10mm厚く形成することにより、股間部のフィット性がより高度に向上し、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、股間部のフィット性がより高度に向上し、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止するとともに、製造を容易にした吸収性物品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
図1は本発明の第1形態例に係る生理用ナプキン1の展開図であり、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図、図4は図1のIV−IV線矢視図である。
【0023】
前記生理用ナプキン1は、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記不透液性バックシート2と透液性トップシート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性バックシート2と、前記立体ギャザーBSを形成しているサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性バックシート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0024】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性バックシート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記不透液性バックシート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記不透液性バックシート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0025】
次いで、前記透液性トップシート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性トップシート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0026】
前記吸収体4は、図6に模式的に示されるように、体液排出部位R1を含む股間部領域に吸収体厚を周囲より厚く形成した第1中高部N1を有するとともに、該第1中高部N1上であって前記体液排出部位R1より後方の会陰部対応部分R2に前記第1中高部N1よりも吸収体厚を厚く形成した第2中高部N2を有する構造とされる。前記第1中高部N1は、幅方向中央部にナプキン長手方向に細長くエンボス8によって区画された領域に、使用面側に増厚された吸収体領域である。前記第2中高部N2は、前記第1中高部N1が形成された領域上であって、体液排出部位より後方の会陰部に対応する領域R2に、さらに使用面側に増厚された吸収体が形成された領域である。これらの中高部N1、N2に関しては更に詳しく後述する。なお、エンボスとしては、第1中高部N1を画成する前記エンボス8以外に、前端部に間を空けて略傘形状の前端独立エンボス9が形成されているとともに、後側には間を空けて略逆傘形状の後端独立エンボス11が形成されている。
【0027】
前記第1中高部N1又は第2中高部N2を形成する吸収体4(上層吸収体4A)は、少なくともパルプ繊維と合成繊維とを含むとともに、前記パルプ繊維:合成繊維との比率を重量換算で80〜20:20〜80、好ましくは40〜60:60〜40で混合したものとするのが望ましい。
【0028】
前記上層吸収体4Aは、機能的に体液を迅速に吸収させるけれども、吸収した体液を内部に保留せずに第1中高部N1及び第2中高部N2以外を形成する吸収体4(下層吸収体4B)に浸透させる第1機能と、透液性トップシート3の上面に排出された体液を速やかに吸収する第2機能との両者をバランス良く満足させる必要があるところ、第1機能の浸透性を向上させるために合成繊維を混合させ過ぎると、合成繊維は吸水性を有しないか、親水性処理を施したものであっても吸水性は低いため体液の吸収速度が低下してしまうことになる。経血量が特に多い人の場合、1時間ナプキンを装着後に漏れを防止するには、少なくとも上層吸収体4Aの液体透過率は85%以上、吸収速度は25秒以下とすることが望ましいため、合成繊維とパルプ繊維との混合率を上記数値とすることにより、前記第1機能と第2機能とをバランス良く両立させることができるようになる。また、少なくとも上層吸収体4Aに合成繊維を混合することにより体液吸収状態時でも萎むことなく嵩を保持しクッション性を維持できるようになる。
【0029】
前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。上記上層吸収体4Aには、嵩高となり身体へのフィット性を向上させるため、トウ繊維(繊維束)やポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維を混合することが好ましい。前記トウ繊維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
【0030】
少なくとも上層吸収体4Aは、高吸水性樹脂を含有することができる。前記高吸収性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。配合量は上層吸収体4Aが下層吸収体4B側への浸透を促進する必要上、配合量を多くすると所謂ゲルブロッキング現象が起きるため、パルプ繊維及び合成繊維の合計重量に対して重量換算で1〜10%の割合で配合するのが望ましい。なお、高吸水性樹脂含有率が50%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなるため望ましくない。
【0031】
前記パルプ繊維は、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0032】
一方、前記上層吸収体4Aは合成繊維を含有することを要件とせず、パルプ繊維単独、或いはパルプ繊維と高吸水性樹脂との混合体とすることができる。前記下層吸収体4Bは透過性が重視されず、前記上層吸収体4Aから浸透した体液を内部に保留し外部に滲み出さないように保持することが望ましいため合成繊維を含有しないようにする方がむしろ望ましい。また、高吸収性樹脂の含有率は、体液を吸収し保水するために、前記下層吸収体4Bを構成する繊維の全体重量に対して1〜20%重量%の割合で配合するのが望ましい。
【0033】
前記透液性トップシート3の幅寸法は、図示例では、図2および図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBSは前記透液性トップシート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を15〜23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0034】
前記サイド不織布7は、図2および図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性バックシート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と不透液性バックシート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイングフラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置に第2ウイング状フラップW、Wを形成している。これらウイング状フラップW、Wおよび第2ウイング状フラップW、Wの外面側にはそれぞれ粘着剤層12…,13…を備え、図12に示されるように、ショーツ30に対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wが折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するようになっている。
【0035】
前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された糸状弾性伸縮部材21が配設されるとともに、前記糸状弾性伸縮部材21の上側部位に複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材22,22が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では図3に示されるように、断面Z状に折り畳んで積層された状態で吸収体4側に接着されることによって、前記糸状弾性伸縮部材21配設部位を屈曲点として、断面く字状に内側に開口を向けたポケットP、Pを形成しながら表面側に起立する立体ギャザーBS、BSが形成されている。
【0036】
〔中高部の構造〕
本生理用ナプキン1は、図6に示されるように、股間部へのフィット性をより高度に向上させるとともに、就寝時に体液が前、横、後、斜め後へ漏れるのを防止するために、基層吸収体Nの上面に第1中高部N1及び第2中高部N2を形成したものである。
【0037】
前記第1中高部N1は、股間部分からヒップの谷間部分にかけての身体へのフィット性を向上させるため、少なくとも生理用ナプキン1の縦方向中心線上で、体液排出部位R1を含む股間部分からヒップの谷間部分にかけて段状に膨出する領域である。第1中高部N1の吸収体厚は、吸収体基材となる基層吸収体Nの表面より4〜11mm、好ましくは5〜8mm増厚した厚さ(+h1)とするのがよい。吸収体の増厚が4mm未満の場合は女性局部に対する密着性(フィット性)が得られず、11mmを超える場合は逆にゴワ付きを感じ過ぎて装着性が悪化する。また、前記第1中高部N1は、体液排出部位R1の中心を基点として、生理用ナプキン1の前方向に20〜100mm、後方向に100〜200mmの範囲に亘って形成されていることが望ましい。すなわち、第1中高部N1の長さは、一般的な女性局部及びヒップの谷間部分の長さに合わせて120〜300mmの範囲とするのが望ましい。前記体液排出部位R1は、一般的には本形態例のようにウイングフラップW、Wを有する場合は、ウィングフラップW、W位置の対応箇所として定まり、ウイングフラップW、Wを有しないナプキンの場合はナプキン中央、或いは両側縁に内側に湾曲する曲線状のレッグカットが形成される場合にはレッグカットの略中央位置として定まるものである。
【0038】
一方、前記第2中高部N2は、膣口から後方側の肛門付近にかけての会陰部R2へのフィット性を向上させるため、少なくとも生理用ナプキン1の縦方向中心線上で、かつ前記第1中高部N1上の前記会陰部R2に対応する位置に形成した段状の膨出部位である。第2中高部N2の吸収体厚は、前記第1中高部N1表面より、2〜10mm、好ましくは5〜8mm増厚した厚さ(+h2)とするのがよい。吸収体の増厚が2mm未満の場合は会陰部R2に対する密着性(フィット性)が得られず、10mmを超える場合は逆に第1中高部N1の身体への密着性が悪化する。また、前記第2中高部N2は、体液排出部位の中心から生理用ナプキン1の後方向30〜40mmの点を中心として前後方向に±5〜±30mmの範囲に亘って形成されていることが望ましい。
【0039】
〔中高部の形成手段〕
次に、前記第1中高部N1及び第2中高部N2の形成手段について、図7〜図11に基づいて説明する。なお、図7〜図11は模式的に示したものであって、実際には吸収体の角部分は所定の曲線形状となる。
【0040】
図7は、第1形態例に係る中高部形成態様を示したものである。本形態例では、下層吸収体15Aの体液排出部位に相当する部分に圧搾部を付与した後、上層吸収体15Bを積層したものである。具体的には、まず下層吸収体15Aとして、同図(A)に示されるように、第1中高部N1の前端から第2中高部N2の後端近傍にかけて、縦長の膨出部40が形成されたものを作製し、この縦長の膨出部40のうち、前方部分(同図中ハッチ部分Na)に圧搾部を付与して所定高さまで押し潰し、後方部分に膨出部Nbを形成する(同図(B))。その後、同図(C)に示されるように、上層吸収体15Bを前記下層吸収体15Aに積層することにより、第1中高部N1及び第2中高部N2を形成する、体液排出部位R1に相当する部分の下層吸収体15Aに圧搾部を付与して吸収体を上層の密度よりも下層の密度を高くすることによって、上層から下層に体液が移行し易くなり、吸収スピードが向上するとともに、吸収した体液の拡散性が向上する効果がある。
【0041】
図8は、第2形態例に係る中高部形成態様を示したものである。図8(A)に示される形態例は、ほぼ等厚の下層吸収体16Aの上面に、前記第2中高部N2が形成された上層吸収体16Bを積層することによって第1中高部N1と第2中高部N2とを形成したものである。図8(B)に示される形態例は、第2中高部N2に対応する下層吸収体16Aにあらかじめ膨出部41を設けておき、その上面に上層吸収体16Bを積層することによって第1中高部N1と第2中高部N2とを形成したものである。このように、予め2段に形成した上層吸収体16B又は下層吸収体16Aを積層することにより、第1中高部N1及び第2中高部N2を容易に形成することができる。
【0042】
図9は、第3形態例に係る中高部形成態様を示したものである。図9(A)に示される形態例は、前記第2中高部N2に相当する厚みを有する吸収体17に対し、圧搾部を付与することにより前記第1中高部N1及び第2中高部N2を形成したものである。具体的には、同図(A)に示されるように、第2中高部N2の厚みを有するフラットな吸収体17(図中点線形状の吸収体)に、第2中高部N2の部分を除く第1中高部N1には、第1中高部N1の形成高さまで圧搾部を付与するとともに、第1中高部N1及び第2中高部N2以外の部分には、基層吸収体の形成高さまでさらに圧搾部を付与する。これによって、第2中高部N2の部分を除く第1中高部N1にはやや密な吸収体領域が形成され、それ以外の部分はさらに密な吸収体領域が形成される。
【0043】
また、図9(B)に示される形態例は、第2中高部N2を構成する表面側膨出部を有し、それ以外の部分が前記第1中高部N1に相当する均等な厚みの吸収体18に対し、第1中高部N1及び第2中高部N2形成部以外の領域に圧搾部を付与することにより前記第1中高部N1及び第2中高部N2を形成したものである。具体的には、同図(B)に示されるように、第2中高部N2だけが膨出し、それ以外の部分を第1中高部N1相当の高さとした2段構造の吸収体18(図中点線形状の吸収体)に、第1中高部N1及び第2中高部N2以外の部分に、基層吸収体の形成高さまで圧搾部を付与する。これによって、第1中高部N1及び第2中高部N2の吸収体が柔軟に形成され、身体への密着性が向上するとともに、体液を効率よく吸収できるようになる。
【0044】
図10は、第4形態例に係る中高部形成態様を示したものである。本形態例は、下層吸収体19Aと、第1中高部N1を形成するための中層吸収体19Bと、第2中高部N2を形成するための上層吸収体19Cとをそれぞれ独立的に作製して、各層を積層したものである。前記各層の吸収体は、同じ密度のものでもよいが、下層ほど高密度の吸収体とすることが好ましい。これによって、体液の吸収性能が向上する。
【0045】
図11は、第5形態例に係る中高部形成態様を示したものである。本形態例は、吸収体の積繊時に第1中高部N1及び第2中高部N2が形成されるように、立体的に積繊したものである。これによって各中高部N1、N2が強固に接合するようになる。
【0046】
本生理用ナプキン1においては、前述のように第1中高部N1及び第2中高部N2を形成するが、第1中高部N1の周囲には図1に示されるように、エンボス8を付与するのが望ましい。これにより体圧がかかった状態でも前記第1中高部N1がずれることなく、フィット性を向上することができる。また、第2中高部N2の周囲にもエンボスを付与することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の生理用ナプキン1の展開図である。
【図2】その横断面図(図1のII−II線矢視図)である。
【図3】その横断面図(図1のIII−III線矢視図)である。
【図4】その横断面図(図1のIV−IV線矢視図)である。
【図5】女性局部の窪み形状を示したものである。
【図6】本発明に係る吸収体の縦断面形状を示す模式図である。
【図7】(A)〜(C)は、第1形態例に係る中高部形成手段である。
【図8】(A)〜(B)は、第2形態例に係る中高部形成手段である。
【図9】(A)〜(B)は、第3形態例に係る中高部形成手段である。
【図10】第4形態例に係る中高部形成手段である。
【図11】第5形態例に係る中高部形成手段である。
【図12】ナプキン1の装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1…生理用ナプキン、2…不透液性バックシート、3…透液性トップシート、4…吸収体、4A…上層吸収体、4B…下層吸収体、5…クレープ紙、7…サイド不織布、8…エンボス、9…前端独立エンボス、10…第2の後部側エンボス、11…後端独立エンボス、BS…立体ギャザー、N1…第1中高部、N2…第2中高部、W…ウイング状フラップ、W…臀部側ウイング状フラップ
【出願人】 【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志


【公開番号】 特開2008−6203(P2008−6203A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181861(P2006−181861)