| 【発明の名称】 |
歩行補助装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】芦原 淳
【氏名】池内 康
【氏名】工藤 浩
【氏名】日木 豊
【氏名】野田 達哉
|
| 【要約】 |
【課題】脚リンクの第1関節部回りの慣性モーメントを低減して利用者の脚に作用する負荷を軽減できるようにした歩行補助装置を提供する。
【構成】脚リンク5は、荷重伝達部に第1関節部3を介して連結される上方の第1リンク部6と、足平装着部2に第2関節部4を介して連結される下方の第2リンク部7と、第1関節部と第2関節部との間の距離が可変するように第1リンク部と第2リンク部とを連結する中間の第3関節部8と、第3関節部を駆動する駆動源9とで構成され、第1リンク部6の第3関節部8より上方部分に駆動源9を配置して、脚リンク5全体の重心を第3関節部8より上方に位置させる。また、駆動源9が電動モータ91と減速機92とで構成される場合は、電動モータ91を減速機92より上方に配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 荷重伝達部と、利用者の足平に装着される足平装着部と、荷重伝達部と足平装着部との間の脚リンクとを備え、脚リンクにより発生する力を荷重伝達部を介して利用者の体幹に伝達するようにした歩行補助装置であって、 脚リンクは、荷重伝達部に第1関節部を介して連結される上方の第1リンク部と、足平装着部に第2関節部を介して連結される下方の第2リンク部と、第1関節部と第2関節部との間の距離が可変するように第1リンク部と第2リンク部とを連結する中間の第3関節部と、第3関節部を駆動する駆動源とで構成されるものにおいて、 脚リンク全体の重心が第3関節部より上方に位置することを特徴とする歩行補助装置。 【請求項2】 前記駆動源はその重心が前記第1リンク部の前記第3関節部より上方の部分に位置するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の歩行補助装置。 【請求項3】 前記駆動源は電動モータと減速機とで構成され、減速機よりも上方位置に電動モータが設置されることを特徴とする請求項2記載の歩行補助装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、利用者の歩行を補助する歩行補助装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、この種の歩行補助装置として、利用者の体幹に装着される体幹装着部と、体幹装着部に人の股関節に相当する股関節部を介して連結され、利用者の脚の大腿に装着される大腿装着部と、大腿装着部に人の膝関節に相当する膝関節部を介して連結され、利用者の脚の下腿に装着される下腿装着部と、下腿装着部に人の足首関節に相当する足首関節部を介して連結され、利用者の足平に装着される足平装着部とを備え、各関節部と同軸上に該各関節部を駆動する駆動源を設置して、利用者の大腿に大腿装着部を介して股関節部用駆動源からのアシストモーメントを付与すると共に、利用者の下腿に下腿装着部を介して膝関節部用駆動源からのアシストモーメントを付与し、更に、利用者の足平に足平装着部を介して足首関節部用駆動源からのアシストモーメントを付与して、歩行を補助するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。 【0003】 このものでは、利用者の大腿、下腿、足平の全ての動きをアシストできるが、反面、大腿及び下腿が大腿装着部及び下腿装着部で拘束されて、束縛感が強くなり、また、股関節部、膝関節部、足首関節部の各関節部用の駆動源を設ける必要があって、コストが高くなる不具合がある。 【0004】 かかる不具合を解消するため、歩行補助装置を、荷重伝達部と、利用者の足平に装着される足平装着部と、荷重伝達部と足平装着部との間の脚リンクとを備え、脚リンクにより発生する力を荷重伝達部を介して利用者の体幹に伝達するように構成し、脚リンクを利用者の脚に対しフリーとして、束縛感を無くすと共に、荷重伝達部を介して利用者の体幹に伝達される脚リンクからの力により利用者の脚に作用する荷重を軽減し、歩行を補助することも考えられる。この場合、脚リンクが、荷重伝達部に第1関節部を介して連結される上方の第1リンク部と、足平装着部に第2関節部を介して連結される下方の第2リンク部と、第1関節部と第2関節部との間の距離が可変するように第1リンク部と第2リンク部とを連結する中間の第3関節部と、第3関節部を駆動する駆動源とで構成されていれば、駆動源により第3関節部で第1関節部と第2関節部との間の距離を伸ばす方向の力を発生させることにより、利用者の脚に作用する荷重を軽減できる。 【0005】 ここで、脚リンクは利用者の脚に対しフリーであるが、利用者の遊脚(足平が離床している脚)側の脚リンクは、遊脚の前方への振り出しに追従して第1関節部を支点に前方に揺動する。そして、脚リンクの第1関節部回りの慣性モーメントが大きくなると、歩行時に利用者の脚が脚リンクの慣性モーメントを受けて重く感ずる。 【特許文献1】特開2003−220102号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、以上の点に鑑み、脚リンクの慣性モーメントを低減して利用者の脚に作用する負荷を軽減できるようにした歩行補助装置を提供することをその課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題を解決するために、本発明は、荷重伝達部と、利用者の足平に装着される足平装着部と、荷重伝達部と足平装着部との間の脚リンクとを備え、脚リンクにより発生する力を荷重伝達部を介して利用者の体幹に伝達するようにした歩行補助装置であって、脚リンクは、荷重伝達部に第1関節部を介して連結される上方の第1リンク部と、足平装着部に第2関節部を介して連結される下方の第2リンク部と、第1関節部と第2関節部との間の距離が可変するように第1リンク部と第2リンク部とを連結する中間の第3関節部と、第3関節部を駆動する駆動源とで構成されるものにおいて、脚リンク全体の重心が第3関節部より上方に位置することを特徴とする。 【0008】 本発明によれば、脚リンク全体の重心が第1関節部に近付き、脚リンクの第1関節部回りの慣性モーメントが低減される。そのため、利用者の遊脚の前方への振り出しに際し、脚リンクの慣性モーメントに起因して遊脚に作用する負荷を軽減することができる。 【0009】 また、脚リンク全体の重心が第3関節部より上方に位置することは、第1リンク部の質量(第1リンク部に設置される付帯装備を含む質量)が第2リンク部の質量(第2リンク部に設置される付帯装備を含む質量)より大きいことを意味する。ここで、人の脚の大腿は下腿より重い。そして、脚リンク全体の重心を第3関節部より上方に位置させることで、脚リンクの第1リンク部と第2リンク部との質量比が人の脚の大腿と下腿との質量比に近付くことになる。そのため、利用者の遊脚とこれに追従して動く脚リンクとのトータルの固有振動数は遊脚単独の固有振動数に近い値になり、遊脚の運行に違和感を与えることがない。 【0010】 本発明において、駆動源はその重心が第1リンク部の第3関節部より上方の部分に位置するように設置されていることが望ましい。これによれば、第1リンク部自体の質量を意図的に大きくしなくても、駆動源が持つ大きな質量によって脚リンク全体の重心を第3関節部より上方に位置させることができる。従って、脚リンク全体の質量は増加せず、脚リンクの慣性モーメントを合理的に低減できる。 【0011】 また、駆動源が電動モータと減速機とで構成される場合、脚リンクの厚さ制限から電動モータと減速機とを同軸上に配置できないことがある。この場合、減速機より上方位置に電動モータを設置することが望ましい。即ち、電動モータは一般的に減速機より重く、電動モータの設置位置を減速機より上方にして第1関節部に近付けることにより脚リンクの慣性モーメントを効果的に低減できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明の実施形態の歩行補助装置について説明する。歩行補助装置は、図1及び図2に示す如く、利用者Pが跨ぐようにして着座する荷重伝達部たる着座部材1と、利用者の左右の足平に装着される左右一対の足平装着部2,2と、着座部材1に上端の第1関節部3を介して連結されると共に両足平装着部2,2に夫々下端の第2関節部4を介して連結される左右一対の脚リンク5,5とを備えている。 【0013】 各脚リンク5は第1関節部3と第2関節部4との間の距離を可変する屈伸自在なリンクで構成されている。即ち、各脚リンク5は、着座部材1に第1関節部3を介して連結される上方の第1リンク部6と、各足平装着部2に第2関節部4を介して連結される下方の第2リンク部7とを回動式の第3関節部8で屈伸自在に連結して成るものに構成されている。各脚リンク5には、第3関節部8用の駆動源9が搭載されており、各脚リンク5に駆動源9による第3関節部8の駆動で第1関節部3と第2関節部4との間の距離を伸ばす方向の力、即ち、各脚リンク5を伸展させる方向の力を加え、利用者の体重の少なくとも一部を支持する支持力(以下、体重免荷アシスト力という)を発生させる。各脚リンク5で発生された体重免荷アシスト力は着座部材1を介して利用者Pの体幹に伝達され、利用者Pの脚に作用する荷重が軽減される。 【0014】 本実施形態の歩行補助装置は、利用者Pの足平に足平装着部2を装着して着座部材1に着座するだけで使用することができ、殆ど束縛感を受けない。また、第1関節部3及び脚リンク5は利用者Pの股下に位置するため、歩行時の腕振りに際し手が第1関節部3や脚リンク5に当たることがなく、自由な腕振りが可能になる。更に、装置が小型になって、狭い場所でも使用でき、束縛感の軽減及び腕振りの自由さの確保と相俟って、使い勝手が著しく向上する。 【0015】 着座部材1は、利用者Pが着座するサドル状のシート部1aと、シート部1aを支持する下面の支持フレーム1bとで構成されている。また、各脚リンク5用の各第1関節部3は、着座部材1の下側に設けられた前後方向に長手の円弧状のガイドレール31を備えている。そして、このガイドレール31に、各脚リンク5を第1リンク部6の上端部に固定されるスライダー61に軸着した複数のローラ62を介して移動自在に係合させている。かくして、各脚リンク5はガイドレール31の曲率中心を中心にして前後方向に揺動することになり、各脚リンク5の前後方向の揺動支点はガイドレール31の曲率中心になる。 【0016】 図1を参照して、ガイドレール31の曲率中心、即ち、各第1関節部3における各脚リンク5の前後方向の揺動支点3aは着座部材1の上方に位置する。ここで、利用者Pが上半身を前傾する等して着座部材1に対する利用者Pの上半身の体重の作用点が各脚リンク5の前後方向の揺動支点3aの前方にずれると、着座部材1が前下がりに傾斜する。そして、着座部材1がこのまま傾斜し続けると、着座部材1が利用者Pに対し後方にずれてしまう。然し、本実施形態では、着座部材1の前下がりの傾斜に伴い体重作用点は揺動支点3aの下側で後方に変位し、該支点3aと体重作用点との間の前後方向距離が減少して、着座部材1に作用する回転モーメントも減少する。そして、体重作用点が揺動支点3aの真下の位置まで変位したところで、着座部材1に作用する回転モーメントが零になり、この状態で着座部材1が安定する。このようにして着座部材1が自動的に安定状態に収束するため、着座部材1が利用者Pの股下で前後方向にずれることを抑制できる。 【0017】 また、各脚リンク5の上端部のスライダー61は、各脚リンク5の第3関節部8と各脚リンク5の前後方向の揺動支点3a(ガイドレール31の曲率中心)とを結ぶ線よりも後方に位置するガイドレール31の部分に係合している。これにより、利用者Pの各脚の前方への振り出しに追従する各脚リンク5の前方への揺動ストロークをガイドレール31の長さを左程長くせずに確保できる。 【0018】 また、左右の各脚リンク5用の各ガイドレール31は、着座部材1の支持フレーム1bに前後方向の支軸32を介して軸支されている。従って、各ガイドレール31は、着座部材1に横方向に揺動自在に連結されることになり、各脚リンク5の横方向への揺動が許容されて、利用者Pの脚を外転できるようになる。 【0019】 各足平装着部2は、靴21と、靴21内から上方に突出する連結部材22とを備えており、この連結部材22に各脚リンク5の第2リンク部7が第2関節部4を介して連結されている。第2関節部4は、横方向の第1軸41と、上下方向の第2軸42と前後方向の第3軸43とを持つ3軸構造のものに構成されている。また、第2関節部4には2軸の力センサ44が組み込まれている。ここで、上記体重免荷アシスト力は、横方向から見て、第1関節部3における脚リンク5の前後方向の揺動支点3aと、第2関節部4における脚リンク5の前後方向の揺動支点たる第1軸41とを結ぶ線(以下、基準線という)L上に作用する。そして、基準線L上に作用する実際の体重免荷アシスト力(正確には体重免荷アシスト力と着座部材1及び各脚リンク5の重量による力との合力)を力センサ44で検出される2軸方向の力の検出値に基づいて算出している。 【0020】 また、図1に示すように、靴21内に設けられる中敷23の下面に、利用者Pの足平の中趾節関節(MP関節)部分と踵部分とに作用する荷重を検出する前後一対の圧力センサ24,24が取付けられている。そして、各足平装着部2の両圧力センサ24,24の検出値に基づいて、利用者の両足平に作用する全荷重に対する各足平の作用荷重の割合を算出し、予め設定される体重免荷アシスト力の設定値に各足平の荷重割合を乗算した値を各脚リンク5で発生すべき体重免荷アシスト力の制御目標値とし、上記力センサ44の検出値に基づいて算出される実際の体重免荷アシスト力が制御目標値になるように駆動源9を制御している。 【0021】 ここで、駆動源9は脚リンク5に配置されるが、駆動源9は重量物であるため、駆動源9と第1関節部3における脚リンク5の前後方向の揺動支点3aとの間の距離が長くなると、駆動源9を含む脚リンク5全体の重心と揺動支点3aとの間の距離も長くなる。その結果、揺動支点3a回りの脚リンク5の慣性モーメントが大きくなり、利用者Pの遊脚(足平が離床している脚)を前方に振り出す際に、脚リンク5の慣性モーメントに起因して遊脚に作用する負荷が大きくなる。そこで、本実施形態では、駆動源9をその重心が第1リンク部6の第3関節部8より上方の部分に位置するように配置して、駆動源9を含む脚リンク5全体の重心が第3関節部8より上方に位置するようにしている。これによれば、脚リンク5全体の重心と揺動支点3aとの間の距離が短くなり、揺動支点3a回りの脚リンク5の慣性モーメントが低減されて、利用者Pの遊脚に作用する負荷が軽減される。 【0022】 また、脚リンク5全体の重心を第3関節部8より上方に位置させることは、第1リンク部6の質量が第2リンク部7の質量より大きくなることを意味する。ここで、人の脚の大腿は下腿より重い。そして、脚リンク5全体の重心を第3関節部8より上方に位置させることで、脚リンク5の第1リンク部6と第2リンク部7との質量比が人の脚の大腿と下腿との質量比に近付くことになる。また、第1リンク部6と第2リンク部7との長さ比は人の脚の大腿と下腿との長さ比にほぼ等しい。そのため、利用者の遊脚とこれに追従して動く脚リンク5とのトータルの固有振動数は遊脚単独の固有振動数に近い値になり、遊脚の運行に違和感を与えることがない。 【0023】 また、本実施形態において、駆動源9は、電動モータ91と遊星ギヤ式の減速機92とで構成されている。この場合、第1リンク部6の上端近傍に位置させて電動モータ91と減速機92とを同軸上に配置することも考えられる。然し、脚リンク5の横方向の厚さは利用者Pの脚との干渉を避ける上で制限があり、電動モータ91と減速機92とを同軸上に配置したのでは、駆動源9の配置部の厚さが脚リンク5の厚さ制限を越えて、駆動源9が利用者Pの脚に当たる可能性がある。そこで、本実施形態では、第1リンク部6に、電動モータ91と減速機92とを減速機92より上方に電動モータ91が位置するように配置している。これによれば、減速機92に比し重い電動モータ91が揺動支点3aに近付くことになり、揺動支点3a回りの脚リンク5の慣性モーメントを効果的に低減することができる。 【0024】 第3関節部8は、電動モータ91により減速機92と動力伝達機構10とを介して駆動される。これを図3を参照して詳述する。第3関節部8は、第1リンク部6の下端部に第2リンク部7の上端部を横方向の関節軸81を介して軸着するように構成されている。また、動力伝達機構10は、減速機92の出力側に設けた第1クランクアーム部101と、関節軸81より上方にのびる第2リンク部7に一体の第2クランクアーム部102と、両クランクアーム部101,102を連結するロッド103とで構成されている。これによれば、減速機92の回転出力が第1クランクアーム部101とロッド103とを介して第2クランクアーム部102に伝達され、第2リンク部7が第1リンク部6に対し関節軸81を中心にして揺動し、脚リンク5が図1に示す伸展状態から図4に示す如く屈曲する。 【0025】 ところで、利用者Pの脚が真直に伸びている状態で脚リンク5が屈曲していると、第3関節部8が利用者Pの膝関節よりも前方に張り出して、利用者Pに違和感を与える。従って、利用者Pの脚が真直に伸びている状態では、図1に示す如く、第3関節部8の関節軸81が上記基準線L上に位置して、第3関節部8の屈曲角度θが0°になる状態、即ち、脚リンク5が伸展した状態になるようにすることが望まれる。 【0026】 ここで、脚リンク5が単純な屈伸リンクである場合、第1関節部3における脚リンク5の揺動支点3aと第2関節部4の第1軸41とを結ぶ線分の長さを第3関節部8の屈曲角度θで微分した脚リンク5の伸縮速度は、屈曲角度θが0°になったとき0になる。そのため、屈曲角度θが0°になったときには、脚リンク5を伸展させる方向、即ち、着座部材1を押し上げる方向の制御性を失う。従って、利用者Pが両脚で直立している状態から片脚立ちの状態に移行し、立脚側の脚リンク5で発生すべき体重免荷アシスト力が増加しても、立脚が真直に伸びていて立脚側の脚リンク5の第3関節部8の屈曲角度θが0°になっている場合には、体重免荷アシスト力を適切に制御できない。 【0027】 そこで、本実施形態では、脚リンク5の第2リンク部7を第3関節部8に連結される筒状の上半部71と、上半部71に摺動自在に挿通支持される下半部72とで伸縮自在に構成し、更に、第3関節部8の屈曲角度θの増加及び減少動作に連動して第2リンク部7を収縮及び伸張させる連動機構11を設けている。そして、連動機構11は、第2リンク部7の長さを第3関節部8の屈曲角度θで微分した第2リンク部7の伸縮速度が屈曲角度θを0°にしたときにも0にならないように構成されている。 【0028】 これによれば、脚リンク5の伸縮速度は、屈曲角度θが0°のときにも0にはならない。従って、屈曲角度θが0°になっても、着座部材1を押し上げる方向の制御性は失われず、荷重変化に対応して体重免荷アシスト力を適切に制御できる。その結果、利用者Pの脚が真直に伸びている状態で第3関節部8の屈曲角度が0°、即ち、脚リンク5が伸展状態になるようにすることが可能になり、利用者Pが違和感を感ずることなく使用できる。尚、下半部72はロックナット73により任意の長さに調節自在であり、利用者Pの脚の長さに合わせて脚リンク長を調節できる。 【0029】 ここで、第2リンク部7の下半部72を上半部71に対し上下動させる第2リンク部7の伸縮用駆動源と、第3関節部8の屈曲角度θを検出するセンサとを設け、センサからの信号で伸縮用駆動源を作動させて第2リンク部7の下半部72を上下動させるように連動機構を構成することも可能である。然し、これでは、コストが高くなると共に、伸縮用駆動源の影響で脚リンクの総重量が重くなる。そこで、本実施形態では、第1リンク部6に対する第2リンク部7の上半部71の第3関節部8回りの回転運動を第2リンク部7の下半部72の直線運動に変換する機械的機構で連動機構11を構成し、コストダウンを図る共に、脚リンク5の総重量の増加も低く抑えることができるようにしている。 【0030】 連動機構11は、より具体的には、一端を軸111で第2リンク部7の上半部71に枢着した第1連動リンク112と、一端を軸113で第2リンク部7の下半部72に枢着すると共に、他端を軸114で第1連動リンク112の他端に枢着した第2連動リンク115と、一端を軸116で第1リンク部6に枢着すると共に、他端を軸117で第1連動リンク112の中間部に枢着した第3連動リンク118とから成るリンク機構で構成されている。これによれば、第3関節部8の関節軸81、軸111、軸117及び軸116を結ぶ四角形の形が第1リンク部6に対する第2リンク部7の上半部71の第3関節部8回りの回転運動による軸111の変位で変形し、この変形に伴い、軸114と軸111とを結ぶ線分と軸114と軸113とを結ぶ線分との成す角度が変化して、軸111と軸113との間の距離が変化し、第2リンク部7の下半部72が上半部71に対しその長手方向(上下方向)に直線運動する。そして、第3関節部8の屈曲角度θが減少するときは、図1に示すように下半部72が下方に動いて第2リンク部7の長さが増加し、屈曲角度θが増加するときは、図4に示すように下半部72が上方に動いて第2リンク部7の長さが減少する。尚、本実施形態のリンク機構に限らず、カム機構やラックピニオン機構で連動機構11を構成することも可能である。 【0031】 ところで、第1関節部3を上記の如く円弧状のガイドレール31を備えるものに構成すると、着座部材1の下側にガイドレール13との間のスペースを生ずる。そこで、このスペースを有効活用するために、着座部材1の支持フレーム1bに、ガイドレール31との間のスペースに収まるように、駆動源9用のバッテリー12と、コントローラ13と、モータドライバ14とを配置している。 【0032】 ここで、脚リンク5の第1関節部3における揺動支点3a回りの慣性モーメントを低減するため、重量物たる駆動源9は第3関節部8以上の高さ位置に配置することが臨まれ、本実施形態では上記の如く第1リンク部6の第3関節部8より上方部分に駆動源9を配置している。また、重量物たるバッテリー12も第3関節部8より高い着座部材1に配置している。このように駆動源9とバッテリー12とを高い位置に配置すると、利用者Pが直立している状態において、駆動源9とバッテリー12との重量により脚リンク5に第2関節部4の第1軸41を中心にした前後方向の傾動モーメントが発生しやすくなり、この傾動モーメントで着座部材1に前後方向の押し力が作用してしまう。 【0033】 そこで、本実施形態では、利用者Pが直立したときの脚リンク5の状態を基準状態(図1に示す状態)として、重量物たる駆動源9とバッテリー12は、脚リンク5の基準状態において、第2関節部4の第1軸41を通る鉛直で横方向に平行な面、即ち、前額面(本実施形態でこの前額面は上記基準線Lにほぼ一致する)が駆動源9の前後方向幅内とバッテリー12の前後方向幅内とを通るように配置されている。これによれば、上記前額面に対する駆動源9の重心とバッテリー12の重心の前後方向のオフセット距離が短くなる。従って、脚リンク5の基準状態において、駆動源9とバッテリー12の重量により脚リンク5に発生する第2関節部4の第1軸41を中心とした前後方向の傾動モーメントは小さくなる。その結果、利用者Pが直立している状態において、この傾動モーメントによって着座部材1に作用する前後方向の押し力も小さくなり、安定性が向上する。 【0034】 尚、バッテリー12を脚リンク5の第1リンク部6に配置することも可能であるが、本実施形態のように着座部材1にバッテリー12を配置すれば、脚リンク5にバッテリー12の質量が付加されないため、脚リンク5の慣性モーメントを可及的に低減でき、有利である。 【0035】 以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、駆動源9を構成する電動モータ91と減速機92とを共に第1リンク部6の第3関節部8より上方の部分に配置しているが、減速機92を第3関節部8と同軸上に配置して、電動モータ91を第1リンク部6の第3関節部8より上方の部分に配置しても良い。この場合も、電動モータ91と減速機92とのトータルの重心、即ち、駆動源9の重心は第1リンク部6の第3関節部8より上方の部分に位置する。 【0036】 また、上記実施形態では、各脚リンク5が中間に回動式の第3関節部8を有する屈伸自在なリンクで構成されているが、直動式の第3関節部を有する伸縮自在なリンクで脚リンクを構成しても良い。更に、上記実施形態では、第1関節部3を円弧状のガイドレール31を有するものに構成して、第1関節部3における各脚リンク5の前後方向の揺動支点3aが着座部材1の上方に位置するようにしているが、各脚リンク5の上端部を前後方向に揺動自在に軸支する横方向の軸を有する単純な構造の関節部で第1関節部3を構成することも可能である。また、荷重伝達部を利用者の腰回りに装着するハーネスで構成することも可能であり、更に、片方の脚が骨折等で不自由な利用者の歩行を補助するため、上記実施形態の左右の脚リンク5,5のうち利用者の不自由な脚側の脚リンクのみを残して他方の脚リンクを省略することも可能である。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】本発明の実施形態の歩行補助装置の側面図。 【図2】実施形態の歩行補助装置の正面図。 【図3】実施形態の歩行補助装置の脚リンクの第3関節部近傍の斜視図。 【図4】実施形態の歩行補助装置の脚リンクを屈曲させたときの側面図。 【符号の説明】 【0038】 1…着座部材(荷重伝達部)、2…足平装着部、3…第1関節部、4…第2関節部、5…脚リンク、6…第1リンク部、7…第2リンク部、8…第3関節部、9…駆動源、91…電動モータ、92…減速機。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年6月29日(2006.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077805 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 辰彦
【識別番号】100077665 【弁理士】 【氏名又は名称】千葉 剛宏
|
| 【公開番号】 |
特開2008−6076(P2008−6076A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−179632(P2006−179632) |
|