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【発明の名称】 歯科治療においてあらゆる下顎位の再現を迅速にかつ正確に、上下顎模型を咬合器にマウントし、其の時の下顎顆頭にあたるコンダイルの位置を記録する事によって、歯科治療に役立つ事の出来る咬合器とフェイス・ボウ。
【発明者】 【氏名】山中 築男

【要約】 【課題】歯科治療において咬合診断や咬合調整を行なう時、患者の咬合状態やあらゆる下顎位を正確に然も短時間で咬合器を提供する。患者の上下顎関係を誰が採得しても、又年齢による容貌の変化が有っても、咬合器に正確なマウントが出来る咬合器とフェイス・ボウを提供する。

【構成】硬化時間が掛かり膨張する石膏を使用しないでマウントする。従来は側方顆路、矢状顆路をパントグラフやチェックバイトで計測しそれを咬合器に移していたが、ある面で咬合に異常が有った時に現れる現象まで取り入れて、中心位と咬頭嵌合位にずれがあるとき、下顎顆頭が変位し、顎機能に異常な力が加わり顎関節症や外傷性の咬合を引き起こす点に鑑み、該ずれが有ったとき、下顎顆頭即ち咬合器のコンダイルの部位でのずれを記録し、該ずれを修正出来る咬合を再構成する。上顎模型をマウントする際、フェイス・ボウの基準点に永久に変わらない水平面を基準に取り入れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科治療を行う時に上下顎の石膏模型、義歯等を上下、左右、前後の位置、又咬合平面の角度を自由に然も簡単に手早く咬合器にマウントし、歯科治療を行う歯科医師の診療や歯科技工士が補綴物を製作するときに役立つ事を目的にした咬合器。
【請求項2】
下顎が中心位や咬頭嵌合位やいろいろな下顎位を取った時、生体では下顎頭にあたる咬合器のコンダイルの位置が変位するので、その位置と変位量をハウジングに貼り付けた方眼紙に印記して記録を残し、歯科治療に役立たせる為の咬合器。
【請求項3】
永久に変わらない水平面を基準としたフェイス・ボウで誰が取っても同じ条件で上顎模型の位置を再現出来、それを咬合器に移す事の出来る咬合器とフェイス・ボウ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
下顎運動や下顎の位置について、今までにいろいろな人によっていろいろな理論が紹介されてきました。臨床家はそれらを勉強し日常の歯科診療を行なっているのですが、それらの理論が救いであったり、悩みであったりしながら仕事をしています。
【0002】
私が日常仕事をしながら下顎運動とは、あるいは咬合とはどのようなものかと謂う事を考え勉強しながら気が付き考え出した咬合器とフェイス・ボウです。
【0003】
下顎顆頭の運動についてもいろいろな考え方がありました。田中良種先生が咬合治療後にイミディエイド・サイド・シフトが消えたと言う症例を発表されたのを読み、ある事に気が付いたのです。
【0004】
咬合の治療において過去にいろいろな遣り方が発表され、それと同様にいろいろな咬合器が開発されて来ました。
【0005】
今までの咬合器はそのほとんどが石膏模型をマウントするのに石膏泥を使用し咬合器に接着させるのですが、硬化するのに時間が掛かり、石膏の硬化膨張なども有り一寸使いづらいところがありました。
【背景技術】
【0006】
過去に咬合を再構成するのにフルバランス、グループファンクション、ロングセントリック、ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンなどいろいろ有ったのですが、どれも決定的なものは無く、ほとんどの人が迷いながら試行錯誤してきました。
【0007】
下顎運動に側方顆路角というのが有って、パントグラフとかチェックバイトなどで計測し、それを咬合器に反映させて補綴物を製作してきました。
【0008】
下顎位について中心位の考え方がいろいろ有ったのですが、時代と共に変化して今では生理的中心位が主流になってきたようです。
【0009】
ある学派は側方運動にはタイプが数種類有り,これが下顎の運動であるから、咬合器の運動もそれに合わせた側方顆路を取り入れて補綴物を製作していました。そしてランディーンが1973年に側方顆路角は最初の運動が違うだけで後はプログレッシブ・サイド・シフトが7.5度であることを発表しました。
【0010】
技術分野0003で述べましたが1977年に田中良種先生が発表された事は、早期接触を無くせばイミディエイド・サイド・シフトが消えたと言う事です。逆に言えばイミディエイド・サイド・シフトが有れば早期接触が有るという事に成ります。
【0011】
咀嚼運動においてギシェーの咬合学の中でごく限られた範囲内でしか歯牙は接触しない。又山下敦教授によると生理的咬合と咀嚼系のコントロールの中で、一旦歯が接触すると急速に歯は離れるので臼磨運動はしない、と述べています。
【0012】
このような事から私は歯牙のファセットは異常なもので、側方運動もプログレシブ・サイド・シフト以外の運動は異常なものではないかと考えたのです。
【0013】
1969年河野正司教授により全運動軸が発表される。
【0014】
2004年、日本大学歯学部同窓会生涯教育2004で下顎の中心位や咬合調整の事について紹介されています。それによると術者の誘導なく患者自身が下顎安静位から静かに咬合させた位置が中心位(Phisilogic Centric Position今後PCPとします。)であるとしています。又早期接触の咬合調整もそのようにして患者に高低を問う事も無く調整されます。
【0015】
咬合に異常が有ると上下顎の模型を咬合させると模型が前後左右にシーソーします。其の時生体では下顎頭が下顎窩の中で上下、左右、前後に移動する事になります。すると下顎頭に付着している諸器官は引っ張られたり、押さえられたり正常機能とは異なった動きをする事になりこの事が顎機能異常につながると考えました。
【0016】
歯軋りとか、咬合習癖などによっても同じ様に顎機能異常が起こり、顎関節症に繋がっていきます。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
咬合に異常が有ると顎機能にいろいろな異常が現れてきます。そのような時の下顎位はPCPと咬頭嵌合位あるいは習慣性咬合にずれが生じます。
【0018】
又其の時の咬合平面も違ってきます。それぞれの咬合平面で角度差が生じてきます。
【0019】
上顎模型を咬合器にマウントするとき、フェイス・ボウを使用しますが、前方基準点や後方基準点の取り方によっては上顎の咬合平面が違ってきます。
【0020】
今までは中心位あるいは咬頭嵌合位で採得したバイトで、上下顎の模型を咬合器にマウントし、矢状顆路や側方顆路をチェックバイトやパントグラフから決定していた。
【0021】
しかしチェックバイトは最初の動きが解らないし、オーバーバイトやオーバージェットに影響をうけます。パントグラフは咬合調整で変わるし、顎関節のモデリングやリモデリングの問題も有ります。
【課題を解決するための手段】
【0022】
咬合器はインサイザルピン29の在る方が前で、支柱8が在る方を後ろ、前から見た面を前頭面、上から見た面を水平面、横から見た面を矢状面とします。
【0023】
咬合器に上下顎模型17や18をマウントする時、今までは石膏泥で上下のマウンティングプレート16や19に接着させていたのですが0005で述べた様な事があるので本咬合器では瞬間接着剤、あるいは即時重合レジンで接着します。この事で時間の短縮と精密度の問題を解決する事ができます。接着する前に顎模型の基底面はモデルトリーマーで平面にしておきます。
【0024】
本咬合器はマウンティングプレートと顎模型の高さの変位量を、マウンティングプレート支柱13や27が上下する事により解決しています。
【0025】
又回転板15や22が矢状面で回転する事と、支柱13や27が水平面で回転する事であらゆる顎模型の基底面に対応できます。
【0026】
又、図に示してあるように目盛りを設定し、記録する事でそれぞれの下顎位の変位量を計測する事が出来ます。
【0027】
マウンティングプレート回転板15と22はマウンティングプレート16と21の裏面に回転板が嵌め込めるように溝が掘ってあり、前頭面で左右に可動出来る。固定するときは即重レジンで固定する。これにも同じ理由で目盛りを設定する。
【0028】
マウンティングプレート19と20はスプリットキャストに成っており、異なったバイトに対応出来る。
【0029】
マウンティングプレート20と21の対面は鳩尾形の溝が掘ってあり20に凹型、21に凸型を付与する事で、矢状面から見て前後に可動出来る。これも同様に目盛りを設定する。これも即重レジン固定する。
【0030】
下顎マウンティングプレート21と回転板22、支柱27は上顎の16,15,13とは上下関係が違うだけで同様になっています。
【0031】
ハウジング6はハウジング回転板5と溶接してあり一体で、回転固定具4で固定され矢状面で回転する事が出来、矢状顆路の調整が出来る。目盛りが付与されています。
【0032】
固定具4は上弓1と鳩尾形の溝で接し取り外せる様に成っており、上弓1が凹で固定具4が凸になっています。
【0033】
ハウジング6には前方運動誘導壁7と側方運動誘導壁10が溶接してありコンダイル34を下顎運動に伴って動くときに誘導する。
【0034】
ハウジング6、回転板5、固定具4は回転板押さえ板33とそれに溶接してあるボルト3とナット2によって上弓1と固定される。
【0035】
印記用ハウジング37とハウジング6は固定具4の箇所で上弓1と取り外す事が出来、互換性を持つ。
【0036】
コンダイル34は印記ピン38を誘導する孔、誘導孔35を設ける。これは水平面から見て中心を通り直角に交わる。1つは前頭面に、他方は矢状面に平行に設定する。
【0037】
2,3,4,5,6,7,8,9,10,33,34,35,36,37,38、の各部品は左右一対を有す。
【0038】
上顎模型を咬合器にマウントするのにフェイス・ボウが必要です。まず患者の視線の高さに2本のロープを前後に張り、患者がこのロープを1本に重なって見えるように頭の位置を決定します。
【0039】
バイトフォーク39に上顎歯牙の歯痕40が記録出来るように咬んでもらいます。その状態で水準器42を水平になるように、回転板43と支柱44で調整し水準器回転板固定ナット47と水準器固定ネジ46で固定する。
【0040】
バイトフォーク39に残った歯痕に合わせて上顎模型17を置き、ステッキーワックス等で固定する。
【0041】
下顎マウンティングプレート20の上面に中切歯点指示プレート49を乗せる。
【0042】
中切歯指示穴41から中切歯支持点50を出し、上顎模型17の中切歯点と合わせ、バイトフォーク39と中切歯指示プレート49をパテ又はマルチパット等で固定する。
【0043】
下顎マウンティングプレート回転板22と下顎模型支柱27を調整してバイトフォークに固定した水準器が水平にする。又高さは支柱27を上下させ適当な高さで固定する。
【0044】
上顎模型17の基底面と上顎マウンティングプレートの接着面が合うように回転板15と上顎模型支柱13を調整し、瞬間接着剤又は即重レジンで接着する。
【0045】
下顎模型18は咬合採得したバイトで上顎模型17に仮着し、下顎模型18の基底面とスプリットキャスト凹型19の接着面が合うように回転板22と支柱27を調整し同様に接着する。
【発明の効果】
【0046】
従来の咬合器は前述したような問題が有ったが、本咬合きは瞬間接着剤又は即重レジンで接着する為、時間と精密度を大きく改善出来る。
【0047】
本咬合器はスプリットキャスト19,20を併用する事で、下顎の回転板22と支柱27が可動に成っている為、あらゆるバイト、下顎位にも簡単に対応出来る。故に治療室において咬合診断や治療を行なうとき、あるいは下顎位を変えたいときなど手短に行なうことが出来る。従来はそのような事を行なうときは接着させた石膏を取り外して、最接着しなければいけなかった。
【0048】
従来の咬合器は咬合平面を計測する事は出来なかったが、本咬合器ではスプリットキャスト19の平面を使用し、上顎模型17の咬合面に接する事で測る事が出来、バルクウィル角の計測も簡単に行なえる。
【0049】
咬合平面のあらゆるずれは下顎顆頭、即ち咬合器においてはコンダイルですが、これの変位につながります。従来の咬合器では異なるバイトを一台の咬合器で再現する事は出来なかったのですが、本咬合器では可能です。
【0050】
このような事が出来ると謂う事は、その異なるなる下顎位(つまりPCPと咬頭嵌合位など)を一台の咬合器で再現出来、コンダイルの部分がどのように変移するかを確認する事が出来ます。又印記用ハウジング37に記録する事で咬合治療に役立てます。このような咬合器は過去には有りません。
【0051】
従来下顎顆頭の位置を確認するときは、レントゲンに頼るしか無かったのですがレントゲンは平面で立体的では有りません。本咬合器ではそれがある程度判断することができます。
【0052】
矢状顆路、側方顆路について矢状顆路は0013で述べた全運動軸を採用し、側方顆路はプログレッシブ・サイド・シフトを採用すべきではないかと考えます。
【0053】
プログレッシブ・サイド・シフトは7.5度ですが、これは平均的顆頭間距離を半径とした円とその接線とのなす角度に近似しています。と言う事は下顎顆頭が何の障害も無く回転したときの運動軌跡と言う事に成ります。
【0054】
0014で述べたような咬合調整を行うとき、患者はいろいろな噛み方をするし、口腔内は一方向からしか見る事が出来なく、診療室で簡単に下顎位が変えられる本咬合器があればこれを参考にして調整することが容易になる事と考えます。
【0055】
従来のフェイス・ボウは後方基準点(耳穴、ヒンジ・アキシスなど)と前方基準点(眼窩点、鼻翼など)を計測して咬合器に移していたが、計測の仕方によって上顎模型の咬合平面に狂いが生じやすかった。又術者によっても違いが生じた。本フェイス・ボウは永久に変わらない水平面を基準にする為、誰が取っても又どんなに時が経っても狂いの無いフェイス・ボウが採得出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
あらゆる下顎位や上顎模型に対応する為には、従来のように石膏泥でマウンティングプレートにマウントする方法では出来ません。本咬合器のように上弓1や下弓23とマウンティングプレート16,21の間に可動出来る部分が必要になります。其の為には本咬合器のような装置がなければなりません。
【0057】
いろいろな事を述べてきましたが、下顎運動には正常なもの、異常なものを、もう一度よく再考し、顆路を考える必要が有ると思います。従来の顆路の考え方は異常な下顎運動の結果現れたものも有ると考えます。だからパントグラフやチェックバイトで得られた顆路をそのまま使うのでは無く、問題は下顎位が違えば下顎顆頭も変位すると言う事です。その変化を記録出来る咬合器が必要になってきます。其の為には本咬合器のような装置が必要になってきます。
【0058】
咬合平面の狂いは咬頭傾斜角や前歯の傾斜角、スピーの湾曲、ウィルソンの湾曲など咬合のあらゆる部位に影響を及ぼします。だから従来のフェイス・ボウのように誤差が生じ易かったり、年齢とともに変化する基準点ではなく、永久に変わらないものを基準にする事が大事です。其の為には本フェイス・ボウのような水平面など不変なものを基準にする事が大事です。
【実施例1】
【0059】
咬合器の各顆路について矢状顆路は0013で述べた全運動軸を、側方顆路角はプログレッシブ・サイド・シフトを使用する。又前方運動と側方運動にはフィッシャーアングルを付与する。
【実施例2】
【0060】
バイトはPCPで採得したものを使う。このようにして技工操作を行い補綴物を完成する。後は患者に仮着してファセットの出方を観察してどうするか判断するべきと、考えます。
【実施例3】
【0061】
私が歯科医院に勤務しているとき、第一大臼歯にキャスト・クラウン製作し、仮着後そのクラウンを診たときに予想外のファセットが現れていました。考察の結果下顎位のずれと判断してそのずれを考慮してクラウンを再製作し、再装着したところ患者にも大変満足を得る事ができました。
【産業上の利用可能性】
【0062】
過去に咬合理論はいろいろな事が発表されて、咬合は宗教のようなものとまでいわれていました。本咬合器は使用の仕方によってはどのような理論にも対応でき従来の煩雑さと誤差を解消する事で診療室において大変役立つものと考えています。今日の現状を考えたときその治療法は大きく改善されるものと思います。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】咬合器全体の立体斜視図
【図2】上顎に関係する部品の分解斜視図 11と31は溶接
【図3】下顎に関係する部品の分解斜視図 32と26は溶接 25と27は省略
【図4】ハウジングに関係する部品の分解斜視図 3と33、 5と6は溶接6と76と10は溶接
【図5】印記用ハウジングに関係する部品の分解斜視図
【図6】フェイス・ボウの立体斜視図
【図7】水準器に関係する部品の分解斜視図 45と48,42と43は溶接
【図8】中切歯指示点プレートの立体斜視図
【符号の説明】
【0064】
1上弓
2ハウジング固定用ナット
3ハウジング固定用ボルト
4ハウジング回転板固定具
5ハウジング回転板
6ハウジング
7コンダイル前方運動誘導壁
8咬合器支柱
9脚
10コンダイル側方運動誘導壁
11上顎模型回転板固定ボルト
12上顎模型回転板固定ナット
13上顎模型支柱
14上顎模型支柱固定ネジ
15上顎模型回転板
16上顎マウンティングプレート
17上顎模型
18下顎模型
19スプリットキャスト凹型
20スプリットキャスト凸型
21下顎マウンティングプレート
22下顎マウンティングプレート回転板
23下弓
24下顎模型支柱固定ネジ
25下顎模型回転板固定ナット
26下顎模型回転板固定ボルト
27下顎模型支柱
28インサイザルピン固定ネジ
29インサイザルピン
30インサイザルテーブル
31上顎回転板固定具
32下顎回転板固定具
33ハウジング回転板固定具
34コンダイル
35印記ピン誘導孔
36印記用ハウジング固定ボルト
37印記用ハウジング
38印記ピン
39バイトフォーク
40歯痕
41中切歯指示穴
42水準器
43水準器回転板
44水準器支柱
45水準器固定ボルト
46水準器固定ネジ
47水準器固定ナット
48水準器回転板固定具
49中切歯指示プレート
50中切歯指示点
【出願人】 【識別番号】306022786
【氏名又は名称】山中 築男
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6144(P2008−6144A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180927(P2006−180927)