| 【発明の名称】 |
楊枝 |
| 【発明者】 |
【氏名】中谷 洋
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| 【要約】 |
【課題】良好な使用感を実現しうる適度な硬さでありながら、優れた耐水強度を有し、使用時にも先端部の形状を保持することができる、特に歯間清掃に適した紙の楊枝を提供する。
【構成】本発明の楊枝は、紙軸1の端部を尖頭状に加工した楊枝であって、少なくとも前記尖頭状部分3の先端部に、シラン系コート剤が塗布または含浸されている。このとき、前記紙軸1の耐水強度を向上させるのに充分な量の前記シラン系コート剤が塗布または含浸されているのがよい。さらに、前記紙軸1の少なくとも先端部には、前記シラン系コート剤とともに、香料、抗菌剤、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加物が塗布または含浸されていることがより好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 紙軸の端部を尖頭状に加工した楊枝であって、少なくとも前記尖頭状部分の先端部に、シラン系コート剤が塗布または含浸されている、ことを特徴とする楊枝。 【請求項2】 前記紙軸の耐水強度を向上させるのに充分な量の前記シラン系コート剤が塗布または含浸されている、請求項1記載の楊枝。 【請求項3】 前記紙軸の少なくとも先端部には、前記シラン系コート剤とともに、香料、抗菌剤、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加物が塗布または含浸されている、請求項1または2に記載の楊枝。 【請求項4】 外表面に印刷が施されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の楊枝。 【請求項5】 前記紙軸は、古紙から作られた再生紙を原料として形成されたものである、請求項1〜4に記載の楊枝。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、歯の間などの口腔清掃等に用いる楊枝に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、歯の間の口腔清掃などに用いられる楊枝としては、原木を原料にし、これを細く削って作られた木製の楊枝が一般であった。しかし、木製の楊枝は、素材的に硬すぎて、使用感が悪いほか、使用時に歯ぐきを傷付けるおそれがあった。その上、強度などの品質が1本ずつ異なり、品質の安定を図ることができないという問題もあった。さらに、素材が木であると、表面組織が粗いので、楊枝へ繊細な印刷を施すことは困難であった。 なお、木製の楊枝のうち白樺を原料にした楊枝は、素材的に硬すぎることがなく、比較的良好な使用感が得られていたが、近年、環境保護や森林伐採制限等の観点から、白樺の入手は非常に困難になりつつある。 また、金属製の楊枝なども知られているが、やはり素材的に硬すぎて、使用感が悪く、使用時に歯ぐきを傷付けるおそれがあるという欠点を有していた。 【0003】 そこで、本発明者らは、これまでに、紙を巻いて形成した軸の先端部を円錐尖頭状に成形加工してなる紙製の爪楊枝を提案した(特許文献1参照)。しかしながら、紙の楊枝では、使用時に口腔内で唾液等により濡れると強度が弱くなり、その上に歯の間に擦られたりすると、先端部が折れたり曲がったりしてしまうため、歯間清掃等の目的に使用するのは困難であった。 【0004】 【特許文献1】登録実用新案第3045795号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 そこで、本発明の課題は、良好な使用感を実現しうる適度な硬さでありながら、優れた耐水強度を有し、使用時にも先端部の形状を保持することができる、特に歯間清掃に適した紙製の楊枝を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、 (1)紙軸の端部を尖頭状に加工した楊枝であって、少なくとも前記尖頭状部分の先端部に、シラン系コート剤が塗布または含浸されている、ことを特徴とする楊枝。 (2)前記紙軸の耐水強度を向上させるのに充分な量の前記シラン系コート剤が塗布または含浸されている、前記(1)記載の楊枝。 (3)前記紙軸の少なくとも先端部には、前記シラン系コート剤とともに、香料、抗菌剤、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加物が塗布または含浸されている、前記(1)または(2)に記載の楊枝。 (4)外表面に印刷が施されてなる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の楊枝。 (5)前記紙軸は、古紙から作られた再生紙を原料として形成されたものである、前記(1)〜(4)に記載の楊枝。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、紙軸にシラン系コート剤を塗布または含浸することにより、良好な使用感を実現しうる適度な硬さでありながら、優れた耐水強度を有し、使用時にも先端部の形状を保持することができる、という効果が得られる。これにより、歯の間などの口腔内の清掃を効率よく行え、しかも、紙製であるので、従来の木製等のものに比べて先端部の感触が柔らかくて使用感が良いなどの実用上の利点を有する。 また、本発明によれば、従来の木製の楊枝のように強度や硬度などの品質が原料に依存することがないので、製品間の不揃いがなく品質を常に一定に保持できるほか、製造コストも廉価で、量産に適するなどの効果もある。また、本発明において原料とする紙は安定して供給可能な原料であるので、白樺のように原料入手が困難になるおそれもない。 さらに、本発明によれば、楊枝の表面に繊細で鮮明な印刷が可能であり、例えば、楊枝表面にカラフルな意匠や趣向を凝らした意匠を施すことにより商品価値を高めたり、広告媒体として利用したり、従来のような包装袋への印刷に代えて楊枝自体に印刷を施して、透明フィルム等のように開封前に中の楊枝が透けて見える包装にすることにより、使用者に視覚的な衛生感を与えることができる、といった利点が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の楊枝は、紙軸の端部を尖頭状に加工したものであり、少なくとも前記尖頭状部分の先端部にシラン系コート剤が塗布または含浸されているものである。つまり、本発明の楊枝においては、前記尖頭状部分の先端部が、実際に口腔内に入れられ、濡れたり擦られたりする部分であり、耐水強度が要求される部分である。したがって、本発明においては、少なくともこの先端部に、耐水強度を付与するためにシラン系コート剤が塗布または含浸されているのである。 【0009】 前述のように、シラン系コート剤の塗布または含浸は、少なくとも紙軸の尖頭状部分の先端部に対して行なえばよい。この先端部の範囲は、具体的には、尖頭状部分の形状等によって異なるのであるが、例えば、楊枝の尖頭状部分の先端から少なくとも5mm乃至15mm程度までの部分にシラン系コート剤が塗布または含浸されていればよい。勿論、それ以上であってもよく、例えば、楊枝の尖頭状部分の先端から25mm程度までの部分になされていてもよいし、楊枝全体になされていてもよく、特に限定はされない。 【0010】 シラン系コート剤の塗布量または含浸量は、紙軸の耐水強度を向上させるのに充分な量とするのがよい。 なお、前述のように、紙軸にシラン系コート剤を塗布または含浸させると、少なからず紙軸の硬度が増すことになるが、あまりに硬くなりすぎると、使用感が悪く、使用時に歯ぐきを傷付けるおそれがある。そのため、本発明においては、前記シラン系コート剤を塗布または含浸させるにあたり、前記紙軸が本来有するソフト感を保持しつつ耐水強度を向上させるように前記シラン系コート剤の塗布量または含浸量を適宜調整することが望ましい。 【0011】 前記シラン系コート剤は、ケイ素を含む硬化性化合物、好ましくはケイ酸アルカリ塩またはアルキルトリアルコキシシランの縮合物を主成分とし、例えば触媒等の作用によって硬化・固化しうるものである。 前記ケイ酸アルカリ塩としては、いわゆる水ガラスを用いることができる。 前記アルキルトリアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等が挙げられる。アルキルトリアルコキシシランの縮合物は、これら単量体を1種のみを縮合したものであってもよいし、2種以上を縮合したものであってもよい。 【0012】 前記シラン系コート剤は、前述した主成分のほかに、必要に応じて、触媒、有機溶剤等を含むことができる。例えば、前記アルキルトリアルコキシシランを主成分とする場合には、これを硬化・固化させるために触媒を添加することができる。触媒としては、特に制限はないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ぎ酸、酢酸等の酸触媒や、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等の塩基触媒が挙げられる。これら触媒は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、これら酸もしくは塩基触媒を用いる場合には、水を共存(含有)させるのがよい。 【0013】 前記シラン系コート剤における各成分の配合割合等は、特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。シラン系コート剤としては、例えば、特許第345956号公報において開示されているコート剤などを好ましく用いることができる。 【0014】 なお、前記シラン系コート剤に含まれる全ての成分は、楊枝が通常、口腔内に入れて使用されるものであることを考慮すると、人体に無害で口腔内に入れても安全であることが望ましい。 【0015】 前記シラン系コート剤の塗布または含浸に際しては、特に制限されないが、例えば、紙軸の被コート部(すなわち、少なくとも前記先端部であり、前述したように楊枝全体であってもよい)をシラン系コート剤に浸漬したり、被コート部にシラン系コート剤を塗布したり、被コート部にシラン系コート剤を吹き付けたりすることにより行うことができる。具体的には、例えば、紙軸の先端部のみに塗布する場合には、コンベア等で紙軸を移送する途中の移送路に、紙軸の先端部のみが液中を潜るようにシラン系コート剤を配置しておくなどすればよい。なお、塗布または含浸に供するシラン系コート剤の濃度等は、適宜設定すればよく、特に制限されない。 【0016】 前記シラン系コート剤の塗布または含浸は、あらかじめ塗布または含浸に供する部分(被コート部)をアルコールに浸漬し、乾燥し、さらに紫外線を照射したのちに行なうことが望ましい。これにより、被コート部の表面と形成されるコート膜との間の結合を強化することができる。具体的には、例えば、被コート部を98重量%程度の高純度のイソプロピルアルコールに30分程度浸漬し、その後、100℃程度の高温下に放置し、完全に乾燥させ、その後に30分間程度紫外線を照射するようにすればよい。この場合、アルコールの種類、浸漬時間、乾燥時間や乾燥温度、紫外線照射時間など、諸条件は特に制限されない。 【0017】 前記紙軸の少なくとも先端部には、前記シラン系コート剤とともに、香料、抗菌剤、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加物が塗布または含浸されていることが好ましい。これにより、例えば、香料であれば良好な使用感や所望の風味を与えたり、抗菌剤であれば抗菌作用を付与したり、キシリトールであれば虫歯予防等の効果を得ることができる。香料としては、例えば、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、メントール等のミント系香料のほか、イチゴ風味やりんご風味等の各種風味を付与する香料を用いることができる。抗菌剤としては、キトサン、カテキン、ヒノキチオール、ヒノキオイル等を用いることができる。 なお、前記紙軸の少なくとも先端部に前記添加物を塗布または含浸させるには、例えば、前記シラン系コート剤の中に添加剤を含有させるようにしてもよいし、前記シラン系コート剤を塗布または含浸させる前後のいずれかに添加剤含有液を塗布するようにしてよいし、紙軸を形成する際に用いる糊剤等に添加剤を含有させるようにしてもよい。 【0018】 本発明の楊枝において前記紙軸を構成する紙材(原紙)としては、特に制限はなく、例えば、樹皮の繊維を漉いて乾燥したもの、手漉きによる高級和紙、機械漉きされた普通和紙、洋紙、友禅紙、パルプ紙などの他、古紙から作られた再生紙等が挙げられる。また、これら紙材と、不敷布を用いた繊維、通常の布等を併用することもできる。特に、前記紙軸は、古紙から作られた再生紙を原料として形成されたものであることが、原木を消費せず、資源の有効利用に貢献できる点で好ましい。とりわけ、古紙としては長繊維使用の古紙がよい。 【0019】 本発明の楊枝において、前記紙軸の形成方法は特に制限されないが、例えば、原紙の片面のほぼ全面に糊剤を塗布し、原紙を中実状態に巻込むことにより形成することができる。(以下、このような形態の楊枝を「紙軸楊枝」と称する)。以下、この紙軸楊枝について図面を用いて説明する。 【0020】 図1は、本発明の一実施形態である紙軸楊枝を示す拡大図である。紙軸1は、図2に示されるように原紙2を中実状態に巻いて作製されている。原紙2には、巻込後の形状保持と、軸強度の向上のため、片面のほぼ全面に糊剤を塗布する。このように、糊剤をほぼ全面に塗布することにより、この糊剤がよく紙繊維を捕捉し、紙軸1は簡単に折れたり、曲がったりすることがなく、従来の木製のものに劣らない強度を有し、例えば、噛んでも、濡れても、繊維のほぐれがなくて、保形性がよく、かつ、適度の硬さと柔軟性とを保つこととなる。糊剤としては、特に限定されないが、水に溶けにくく、無毒で、口腔内での使用が可能であり、かつ、軸の硬さを適度に保てるものを選択して用いる。例えば、澱粉糊、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが適する。 【0021】 原紙2を巻込んで作った紙軸1は、適当な長さ(5〜10cm、通常は約7cm)に切断したうえで、その片端または両端を円錐尖頭状に加工することにより、尖頭状部分3が形成される。この加工は、例えば、鉛筆削り形式の軸削機やグラインダーなどを用い、軸端を切削、研削、あるいは必要により研磨することによって行えばよい。 【0022】 形成された先端が円錐尖頭状の成形体には、前述のようにして、前記シラン系コート剤が塗布または含浸される。これにより、本発明の効果を奏する紙軸楊枝が得られるのである。 【0023】 本発明の楊枝には、その外表面に印刷表示が施すことができる。本発明の楊枝は紙製であるので、小さな文字や模様でもきれいに印刷ができるのである。例えば、図1のように、印刷表示部4を設けることが可能である。このように、繊細で鮮明な色刷り印刷で紙軸1に図柄やデザインなどの各種意匠を施すことによって、楊枝の商品価値を高めることが可能であり、また広告媒体として利用することも可能である。この印刷には、紙軸1を転動させながら行う方式を採用するのがよいが、印刷方式はこれに限定されるわけではない。なお、本発明の楊枝に印刷を施す場合、前記シラン系コート剤を塗布または含浸する前に印刷を行なってもよいし、前記シラン系コート剤を塗布または含浸し、必要に応じて硬化・固化させたのちに印刷を行なうようにしてもよい。 【0024】 本発明の楊枝の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、図1に示すような尖頭状部分3が円錐状である形状(いわゆる丸楊枝)のほか、尖頭状部分3の両面に平面を形成した形状(いわゆる平楊枝)、尖頭状部分3が二等辺三角形の断面を有する形状(いわゆる三角楊枝)等であってもよい。 【0025】 本発明の楊枝は、歯の間などの口腔清掃などに好適に用いられものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、料理用楊枝等としても用いることができる。特に、本発明の楊枝は、その先端部が紙軸本来のソフト感を備えた適度な硬さであるので、例えば先端の尖頭状部分が歯茎に接触する恐れのある箇所での使用(例えば、歯と歯茎の間の清掃など)にも、歯茎を傷付けるおそれなく用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【0026】 【図1】本発明の一実施形態にかかる爪楊枝を示す拡大図である。 【図2】本発明の一実施形態にかかる爪楊枝の製造工程の一部を示す斜視図である。 【符号の説明】 【0027】 1 紙軸 2 原紙 3 尖頭状部分 4 印刷表示部
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| 【出願人】 |
【識別番号】392001014 【氏名又は名称】株式会社山洋
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| 【出願日】 |
平成18年6月27日(2006.6.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104318 【弁理士】 【氏名又は名称】深井 敏和
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| 【公開番号】 |
特開2008−5878(P2008−5878A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−176341(P2006−176341) |
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