トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法とその装置
【発明者】 【氏名】篠原 一之

【氏名】荒木 美幸

【氏名】石丸 忠之

【氏名】増崎 英明

【氏名】牛丸 敬祥

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された音響又は映像と音響を所定時間再生し前後に無音で無意味な映像を所定時間再生するAV再生手段と、妊婦の胎児の動きを画像表示する画像表示手段と、該画像に表示された胎児の腕振り回数を入力する入力手段と、該入力値によって選択再生した音響又は映像と音響が胎児に良好な影響を与えるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記AV再生手段により選択された音響又は映像と音響を妊婦に鑑賞させるとともに、前記画像に表示された胎児の腕を振る回数を前記入力手段に入力し、
前記判定手段により入力された数値を比較手段により予め定められた基準値と比較して選択再生された音響又は映像と音響とが胎児に良好か否かを判定することを特徴とする妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法。
【請求項2】
前記AV装置の音響は、妊婦のみが鑑賞できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法。
【請求項3】
音響又は音響と映像のAV再生装置と胎児の動きが観察しうる画像判定装置とからなり、
前記AV再生装置は選択された音響又は映像と音響を所定時間再生し、前後に無音で無意味な映像を所定時間再生するAV再生装置であって、該音響の再生は妊婦にのみ聞こえるヘッドホーンが設けられ、
前記画像判定装置は、妊婦の胎児の動きを画像表示する画像表示装置と、該画像に表示された胎児の腕の振り回数を入力する入力装置と、該入力値によって選択再生した音響又は映像と音響が胎児に良好な影響を与えるか否かを判定する判定装置とを備え、
前記AV再生装置により選択された音響又は映像と音響を妊婦に鑑賞させるとともに、前記画像に表示された胎児の腕を振る回数を前記入力装置に入力し、
前記判定装置により入力された数値を比較手段により基準値と比較して、入力された数値が予め定められた数値以上である場合は、胎児にとって良好な音響又は映像と音響であると判定し、数値が予め定められた数値以下である場合は、胎児にとってストレスを与える音響又は映像と音響であると判定することを特徴とする妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、妊婦を介して胎児が(にとって)、選択された映像及び音響の影響が良好か否かを評価する評価方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の胎児は、妊娠5〜6ヶ月で聴力が発生し、8ヶ月ではおおむね3kHzまでの音に対して聴覚をもつようになると報告されており、また、母親の体調や、話し方のテンポ・抑揚などの響き、母親の歌う歌などは、胎児の健康な発育を促進し、出生後の言語能力や音感発達に好影響をもつと言われている。近年、この知見を積極的に利用するために、胎児に音楽を聴かせることによる胎教についての研究が進んでいる。
【0003】
胎児に妊婦外部から音楽を聞かせる胎教装置としては、実開平5−53650号公報(特許文献1)や、特開2000−262623号公報(特許文献2)等各種の装置が開発されている。これらの従来装置は、いずれも、胎児に音楽を聞かせる装置自体に関するものであって、妊婦自身にとって、どんな音楽を聞かせれば胎児に効果的であるかというソフト面については開示されていない。
【0004】
また、音楽ソースと胎児の聞く音楽ソフトについては、新生児や幼児向けの子守歌、環境音楽等が記録されたコンパクトディスク(CD)やカセットテープ等の音楽出版物が知られている。これらの音楽出版物は、通常、スタジオ内に設置したマイクロフォンによって人の歌声、或いは各種楽器を用いて演奏された音楽等を収録し、該収録した音声を前記CDやカセットテープ等の音声記録媒体に記録することにより生産されており、特許第2720858号公報(特許文献3)には、妊婦の子宮内にマイクロフォンを設置し、マイクロフォンにより妊婦の体壁を通して子宮内に伝わる音声を電気信号に変換し、前記電気信号を記録手段に記録して、新生児や幼児にとって安静効果が高く、また大人にとっても快適感のある音楽を録音する音声録音方法が開示されているが、妊婦を介しての胎児にとって、再生される音楽が果たして良いか否かは不明である。
【0005】
更に、特開2003−15677号公報(特許文献4)には、胎教装置から胎内に放射する胎教用音楽信号の音響特性を、胎児が聴いているであろう音(胎聴音)によって客観的に把握可能にすることにより、良好な胎教用音楽ソースの選択を容易にし、また胎教用音楽ソースの周波数特性を有効な周波数領域に制限することにより、胎児にとって騒音となりうる成分をできる限り抑制するものが開発されているが、与えられた音楽等の音響が妊婦の情動を加味したものではない。
【0006】
また、妊産婦(妊婦)の体調も胎児に影響があると考えられ、米国特許第4,898,179号明細書(特許文献5)には、妊産婦(妊婦)及び胎児の心臓鼓動を検出し、妊産婦自身の精神的、情緒的な状態により変化する心臓鼓動の信号に依存し、胎児期の精神的、情緒的発達のために役立たせるためには、妊産婦の精神的、情緒的安定を絶対的に必要とすることが開示されている。
【特許文献1】実開平5−53650号公報
【特許文献2】特開2000−262623号公報
【特許文献3】特許第2720858号公報
【特許文献4】特開2003−15677号公報
【特許文献5】米国特許第4,898,179号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の特許文献1乃至4の再生される音響は、胎児に直接聞こえる音楽についての適否を検討しているだけで、妊婦が音楽や映画を鑑賞した場合の妊婦の喜びや悲しみ等の情動喚起による胎児への影響があるか評価したものではない。また、特許文献5では、妊産婦(妊婦)の精神的、情緒的安定が胎児にとって必要であることは開示されているものの、音楽等の音響や映画等の映像及び音響を妊婦が鑑賞した場合に、胎児に対してどのように影響するかを評価するものではない。
本発明は、前述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、どのような音楽等音響や映画等の映像と音響を妊婦に鑑賞させれば、妊婦が宿す胎児に良好に影響するか、逆に、どのような音楽等の音響や映画等の映像と音響を妊婦に鑑賞させてはならないかを、的確に且つ客観的に評価して選択使用することを可能とした妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法及び評価装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、選択された音響又は映像と音響を所定時間再生し前後に無音で無意味な映像を所定時間再生するAV再生手段と、妊婦の胎児の動きを画像表示する画像表示手段と、該画像に表示された胎児の腕振り回数を入力する入力手段と、該入力値によって選択再生した音響又は映像と音響が胎児に良好な影響を与えるか否かを判定する判定手段とを備え、前記AV再生手段により選択された音響又は映像と音響を妊婦に鑑賞させるとともに、前記画像に表示された胎児の腕を振る回数を前記入力手段に入力し、前記判定手段により入力された数値を比較手段により予め定められた基準値と比較して選択再生された音響又は映像と音響とが胎児に良好か否かを判定することを特徴とする妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法である。
請求項2の発明は、前記AV装置の音響は、妊婦のみが鑑賞できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法である。
ところで、具体的には前記の選択された音響又は映像と音響を再生する所定時間、及び、前後の無音と無意味な映像を再生する所定時間は、それぞれ5分間であり連続して再生される。また、前記比較手段における基準値は、胎児にとって良好な音響又は映像と音響であると判定する腕振り回数の基準値は、8.25回/5分以上、より確実に判定するには9.5回/5分以上であり、胎児にとって、悲しみ、或いは、ストレスを与える音響又は映像と音響であると判定する基準値は、3.04回/5分以下、より確実に判定するには平均2.44回/5分以下である。
【0009】
請求項3の発明は、音響又は音響と映像のAV再生装置と胎児の動きが観察しうる画像判定装置とからなり、前記AV再生装置は選択された音響又は映像と音響を所定時間再生し、前後に無音で無意味な映像を所定時間再生するAV再生装置であって、該音響の再生は妊婦にのみ聞こえるヘッドホーンが設けられ、前記画像判定装置は、妊婦の胎児の動きを画像表示する画像表示装置と、該画像に表示された胎児の腕の振り回数を入力する入力装置と、該入力値によって選択再生した音響又は映像と音響が胎児に良好な影響を与えるか否かを判定する判定装置とを備え、前記AV再生装置により選択された音響又は映像と音響を妊婦に鑑賞させるとともに、前記画像に表示された胎児の腕を振る回数を前記入力装置に入力し、前記判定装置により入力された数値を比較手段により基準値と比較して、入力された数値が予め定められた数値以上である場合は、胎児にとって良好な音響又は映像と音響であると判定し、数値が予め定められる数値以下である場合は、胎児にとってストレスを与える音響又は映像と音響であると判定することを特徴とする妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の妊婦を介して胎児に影響する映像及び音響の評価方法とその装置によれば、どのような音楽等の音響や映画等の映像と音響を妊婦に鑑賞させれば、妊婦が宿す胎児に良好に影響するか、逆に、どのような音楽等の音響や映画等の映像と音響を妊婦に鑑賞させてはならないかを、的確に且つ客観的に評価して選択使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
従来の特許文献5等に開示されているように、胎児期の精神的、情緒的発達のために役立たせるためには、妊産婦(妊婦)の精神的、情緒的安定が絶対的に必要であるが、その環境評価について、妊産婦(妊婦)自身の精神的、情緒的な状態により変化する心臓鼓動の信号に依存することから、妊産婦(妊婦)及び胎児の心臓鼓動を検出することが開示されている。
本発明者らは、妊婦の精神的、情緒的安定を得る環境評価として、従来の心臓鼓動の変動の外に、実際の超音波診断装置の画像によって胎児の顔の表示が喜びの表情やストレスを受けた表情によって判断できることを見出したが、専門家ではないと判断が難しいという難点があった。
本発明の特徴は、実際の超音波診断装置の画像によって胎児の行動を観察すると、喜びや悲しみの情動が、所定時間当たり腕振り回数に的確に現れることを見出し、対象となる音響や映像を妊婦が鑑賞した場合に、この胎児の腕振り回数に着目すれば、その音楽や映画が胎児に対して良好であるか否かを素人であっても的確で客観的評価できることに想到し、これに基づいて本発明の評価方法及び評価装置に想到したものである。
【0012】
本発明の実施例の基本概念を、図1を用いて説明するが、大凡、音響と映像の再生装置Aと胎児画像判定装置Bに分けられる。
音響と映像の再生手段である再生装置Aは、妊婦a及び胎児bに対して、評価すべき選択されたビデオ、DVD、映写等のAVソース、例えば映画を、AV再生装置1によって再生し、出力装置2のヘッドホーン等の音響出力21とスクリーンや液晶ディスプレイ等の映像出力22とによって鑑賞し、妊婦はリクライニングできる椅子23に座りゆったりとしたセミファーラー体位をとるようにし、部屋の明るさも30ルックスとし、妊婦が再生される映画に集中できるような通常のミニ映画館のようなAV環境を作り出す。
なお、妊婦への音響出力2をヘッドホーン21としたのは、妊婦を介しての胎児の影響だけを検出するべく、胎児に音が漏れないようにするためである。胎児画像判定装置Bは、椅子23に座った妊婦aの腹部に、超音波発射装置3からの検出パッド4を胎児bの表情や身体の動きが映し出されるよう使用者が操作し、検出パッド4からのエコーの反射をエコー受信・映像変換装置5にて映像化して胎児の映像を画像表示手段である画像表示装置6に表示し、表示画面で胎児bの表情や身体の動きの映像を観察し、身体の腕の動きに着目し、特に、胎児bの腕振り回数の値を入力手段であるパソコン等のキーボードの入力手段7で入力し、入力された値から比較手段によって基準値と比較して判定手段である判定装置8にて判定する。
なお、前記胎児画像判定装置Bにおいて、超音波発射装置3、検出パッド4、エコー受信・映像変換装置5、画像表示装置6の構成は、通常の超音波診断装置B'を用いた。
【0013】
以上のような評価装置の操作方法を説明すると、前記音響と映像の再生装置AによるAV環境は、評価対象の選択された映画(音響又は映像と音響)を5分間再生(Film)するが、それに先だって、妊婦aの精神状態を安定した状態にするために、無音で無意味な映像を5分間再生(Pre)し、また、評価対象の映画を5分間上映した後に、この映画の胎児に対する影響を確認する意味で、再び、無音で無意味な映像を5分間再生(Post)する。なお、この無意味な映像は、妊婦aの精神状態が安定するような映像であれば、静止した画像でも無意味な動画でもよく、本実験では、長時間放置時のパソコン画面にあるような無意味な画像を使用した。
以上のように、この操作方法は、被験者である同一の妊婦aに対して、
(1)無音と無意味な映像を5分間再生(Pre)、→(2)評価対象の選択された映画(音響又は映像と音響)を5分間再生(Film)、→(3)無音と無意味な映像を5分間再生(Post)の計15分連続して再生する。
このようにして、評価すべき選択されたビデオ、DVD、映写等のAVソースにより、喜びを与えるAV環境、或いは、悲しみを与えるAV環境を作りだす。なお、悲しみを与えるAV環境は、胎児にストレスを与えるものと考えられ、好ましくないものと考えられている。
【0014】
一方、胎児画像判定装置Bにおいては、使用者が画像表示装置6を観察して、各5分間毎に、胎児bの腕振り回数の計数は、本実施例では目視にて数えている。
なお、胎児心拍パターン(FHRP)は、胎児心拍の波形からFHRP-A、 FHRP-B 、FHRP-C 、FHRP-Dと4種類に分類されるため、測定時の条件を一定にするために実験中最も多かったBパターンの胎児bのみを分析の対象とした。
また、腕振り回数の計測の仕方は、胎児の呼吸運動を検出しておき、胎児の呼吸様運動と同期しない「腕」、「足」、「体幹」の動きを計測する必要があるが、2秒以上の連続的な動きで静止するまでを1回として計測し、1秒以内のすばやい動きは「反射」と判断し除外した。
そして、この目視にて数えた腕振り回数の値を入力装置7に入力し、入力された値から比較手段で基準値と比較してパソコン等の判定装置8にて、評価すべきAVソースが胎児に対して喜びを与えるものであるか、ストレスを与えるものであるか、判定不能であるかを判定し、その結果を、画面表示或いはプリント出力する。
なお、前記入力手段は、使用者が観察結果をマニュアル入力しているが、画像処理装置を用いて腕位置を追跡して腕振り回数を自動計数するようにしてもよく、判定手段は必ずしも判定装置8を使用する必要はなくグラフや表に数値を手入力で記載して、判定結果を表示してもよい。
なお、画面表示装置6は、胎児の腕の動きをより的確に把握するものであればよく、3次元解析ができる装置でもよい。
【0015】
次に、胎児bの身体の動きの内で腕の動き、特に、腕振り動作に着目した根拠、また、その判別の基準値について図2〜4を参照して説明する。
そこで、判定装置8の比較手段で比較する基準値を作成する手順を説明する。
先ず、妊婦の情動を引き出すのに、事前に10人程度のプレテストを実施したが、これは候補となる複数の映画を鑑賞して、POMS(Profile of Mood States)を用いて情動の評価を行い、サウンドオブミュージックは他の情動に比べ特異的に「喜び」の点数が高く、チャンプは特異的に「悲しみ」の点数が高かったので、これを使用したが、同程度の点数が得られるのであれば他の映画でも、また、映画に限らず他の映像や画像でもよい。
また、妊婦の情動が喚起されたとしても胎児に伝わるまでの時間を維持する必要があり、少なくとも2分以上が必要と考えられ、また、余り長いと妊婦aに過度の負担を強いるので、データ採取のためには十分な5分間を「喜び」「悲しみ」の情動が維持できる時間として選定した。
すなわち、(イ)妊婦が喜びの情動を喚起するAV環境としては、映画「サウンドオブミュージック」のアルプスで合唱するシーンが5分間続く部分を放映し(Film)、
(ロ)妊婦が悲しみの情動を喚起するAV環境としては、同様に映画「チャンプ」で主人公が息絶えていくシーンを5分間放映した(Film)。なお、チャンプは「悲しみ」情動喚起用フィルムとして論文が存在する。
被験者として複数の健康な妊婦aを、前述の(1)Pre:5分→(2)Film:5分→(3)Post:5分の時間に映画を集中して鑑賞させた。
胎児bの身体の動きが判る測定部位として、腕と、足と、身体全体に着目して、その移動回数を計測した。
【0016】
[腕振り回数]について
胎児bの腕振り回数の実験には、妊婦aを介して胎児bに喜びを与えるAV環境(サウンドオブミュージック)での被験者はn=8人、胎児bに悲しみを与えるAV環境(チャンプ)の被験者はn=9人とし、それぞれ、前述したように、Pre:5分→Film:5分→Post:5分の映画を集中して鑑賞させた。
その結果を示す図2のグラフから判るように(なお、図中*P<0.05は指示された範囲で表示されたデータが有意の意味である。)、
(1)Preの無音無意味な映像環境では、○の喜びの組では平均7.12回/5分、●の悲しみの組では平均5.11回/5分で、多少の差はあっても誤差範囲内であるが、
(2)Filmで、AV環境が変わると、喜びのAV環境○での喜びの組では、Preの前記平均7.12回/5分から平均9.5回/5分に上昇し、下限でも、8.25回/5分(=9.5回(平均値)−1.25回(標準誤差))と盛んに腕を動かすのに対して、悲しみのAV環境の●での悲しみの組では、平均2.44回/5分と降下し、上限でも3.04
回/5分(=2.44回(平均値)+0.6回(標準誤差))と動かなくなる。
そして、再び
(3)Postの無音無意味な映像環境に戻しても、○の喜びの組は平均6.5回/5分に戻るが、●での悲しみの組では悲しみのAV環境を続け平均1.77回1/5分で、上限でも2.64回/5分(=1.77回(平均値)+0.87回(標準誤差))と動かないままでいる。
このように、胎児bの腕振り回数が、(2)Filmで、8.25回/5分以上、より確実に判定するには、9.5回/5分以上であれば、胎児bにとって喜びの環境にあり、再生された音響と映像が胎児bにとって良好であると判断される。
これに対して、胎児bの腕振り回数が、(2)Filmで、平均1.77回/5分以下、より確実に判定するには、2.64回/5分1.77回/5分以下となると、胎児bにとって悲しみ、或いは、ストレスの環境にあり、再生された音響と映像が胎児bにとって好ましくないと判断される。
このように、胎児bの腕振り回数を計数することにより、再生された音響と映像が胎児bにとって好ましいか否かが明確に判定できる。もっとも、上記の中間の回数については、胎児bにとっての影響の判定はどちらとも言えない。
【0017】
[足振り回数]について
胎児bの足振り回数の実験には、妊婦aを介して胎児bに喜びを与えるAV環境の妊婦aの被験者はn=10人、胎児bに悲しみを与えるAV環境の被験者はn=14人とし、それぞれ、前述したように、Pre:5分→Film:5分→Post:5分の映画を集中して鑑賞させた。
その結果を示す図3のグラフから判るように、
(1)Preの無音無意味な映像環境では、○の喜びの組では平均4.3回/5分で、●の悲しみの組では平均4.57回/5分で、ほぼ同じ値であり、
(2)Filmで、AV環境が変わっても、喜びのAV環境○での喜びの組では、平均5.1回/5分に多少上昇し、悲しみのAV環境の●での悲しみの組では平均3.14回/5分で、多少の差は認められるが、誤差範囲に止まり明確な差にはならない。
また、再び
(3)Postの無音無意味な映像環境に戻しても、○の喜びの組は平均4.4回/5分に戻り、●での悲しみの組では3.28回/5分と動かないままでいる。
いずれにしても、傾向が異なることは認められるものの、明確な有意の差にはならず、検出部位としては不適当である。
【0018】
[身体全体(体幹)の移動回数]について
胎児bの身体全体の体幹の移動回数の実験には、妊婦aを介して胎児bに喜びを与えるAV環境の妊婦aの被験者はn=6人、胎児bに悲しみを与えるAV環境の被験者はn=13人とし、それぞれ、前述したように、Pre:5分→Film:5分→Post:5分の映画を集中して鑑賞させた。
その結果を示す図4のグラフから判るように、
(1)Preの無音無意味な映像環境では、○の喜びの組は平均2.66回/5分で、●の悲しみの組は平均3.92回/5分で、
(2)Filmで、AV環境が変って、喜びのAV環境○での喜びの組では、平均2.66回/5分で、悲しみのAV環境の●での悲しみの組も平均2.53回/5分で、誤差範囲に止まり明確な差にはならない。
また、再び
(3)Postの無音無意味な映像環境に戻しても、○の喜びの組は平均2.66回/5分、●での悲しみの組では2.30回/5分と、共に同じ値で推移した。
いずれにしても、身体全体の移動については、明確な有意の差にはならず、検出部位としては不適当である。
【0019】
以上のように、本発明者らは、実際の超音波診断装置の画像によって胎児の顔の表示が喜びの表情やストレスを受けた表情によって判断できることを見出したが専門家では無いと判断が難しいという難点がある。しかしながら、実際の超音波エコーの画像によって胎児の行動においては、喜びのAV環境では腕を振る行為が活発になり、明確に腕振り回数が多くなる。これに反して、悲しみのAV環境では腕を振る行為が少なくなり、明確に腕振り回数が少なくなる。
そして、その腕振り回数も、図2のグラフに示すように、判定装置8に組み込まれる比較手段により基準値は、腕振り回数の数値が、8.25回/5分以上、より確実に判定するには、9.5回/5分以上である場合は、胎児にとって良好な映像と音響であると判定し、数値が、3.04回/5分以下、より確実に判定するには、平均2.44回/5分以下である場合は、胎児にとって悲しみ、或いは、ストレスを与える映像と音響であると判定すれば、自動的に胎児に対する映像及び音響の適否を評価することができる。
また、実施例では映像及び音響ソースで実験を行ったが、周囲が静かであれば、音響だけでもほぼ同じ結果が得られ、胎児に対する音響の適否を評価することができる。
なお、本発明の実施例の装置は、音響と映像の再生装置(A)と胎児画像判定装置(B)とで構成されるが、本発明の本質は、胎児bの喜びや悲しみの情動が、所定時間当たり胎児bの腕振り回数に的確に現れることを見出し、この事実を基礎とするものであることから、胎児画像判定装置(B)のみで音響や映像以外の妊婦が身につけたり食したりしたものが胎児にどのような影響を及ぼすかを判定することが出来る。
例えば、母が身に着ける、衣服、下着(ブラジャー、妊婦帯、ニッパー)、香料、化粧品や妊婦が食する食料品、清涼飲料水、嗜好品(タバコ、酒類を含む)、薬、サプリメントなどの胎児に及ぼす影響を調べることが出来る。また、妊婦の行う運動、性行為、労働(家事も含む)、睡眠、入浴、歌唱、ゲーム、パソコン操作(メール、インターネットを含む)の胎児に及ぼす影響も調べることが出来る。更に、妊婦に対して行う温罨法、マッサージ(指圧も含む)、針、灸、エステ、アロマセラピー、声掛け、腹部を撫でる行為、スキンシップ、の胎児に及ぼす影響も調べることが出来る。また、妊婦や胎児の心身の健康状態や疾患、ストレスの判定にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例の概略を示すブロック説明図
【図2】本発明での喜びと悲しみの音響と映像に対応する妊婦を介しての胎児の腕振り回数のグラフを示す図
【図3】喜びと悲しみの音響と映像に対応する妊婦を介しての胎児の足振り回数のグラフを示す図
【図4】喜びと悲しみの音響と映像に対応する妊婦を介して胎児の身体移動回数のグラフを示す図である。
【符号の説明】
【0021】
A・・音響と映像の再生装置、B・・胎児画像判定装置、
B'・・超音波診断装置
1・・AV再生装置、
2・・出力装置、21・・ヘッドホーン、22・・映像スクリーン、
23・・椅子、
3・・超音波発射装置、4・・装着パッド、
5・・エコー受信・映像変換装置、6・・画像表示装置、
7・・腕振り回数入力装置、8・・判定装置、

特許の図
【出願人】 【識別番号】506092938
【氏名又は名称】株式会社マザー&チャイルド
【出願日】 平成18年10月4日(2006.10.4)
【代理人】 【識別番号】100111442
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 英一


【公開番号】 特開2008−86669(P2008−86669A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−273440(P2006−273440)