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【発明の名称】 寝具からの離床検出システム及び離床検出方法
【発明者】 【氏名】岩成 徹

【氏名】石田 良一

【氏名】藤井 主峰

【氏名】米澤 良治

【氏名】小川 英邦

【要約】 【課題】患者等の離床検出時の精度を向上し、誤検出を防止するベッド離床検出システム及び方法を提供する。

【構成】寝具からの人体の離床を検出するシステムは、人体に誘導される商用交流電圧を検出するセンサ(5)と、センサ(5)からの出力に基づき人体の寝具に対する離床を検出する離床検出装置(20)とを備える。センサ(5)は、表面電極(5a)と、間隙部を含む形状を有し電気的に接地されたアース電極(5b)と、表面電極とアース電極との間に介在する誘電体(5c)とで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具からの人体の離床を検出するシステムであって、
人体に誘導される商用交流電圧を検出するセンサと、
前記センサからの出力に基づき人体の寝具に対する離床を検出する離床検出装置とを備え、
前記センサは、表面電極と、間隙部を含む形状を有し電気的に接地されたアース電極と、前記表面電極と前記アース電極との間に介在する誘電体とで構成された
ことを特徴とする離床検出システム。
【請求項2】
前記アース電極の形状は櫛歯状または格子状であることを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項3】
前記アース電極は、所定間隔で配置された複数の線状電極で構成されることを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項4】
前記表面電極は前記アース電極と同様の形状を有することを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項5】
前記センサは、寝具横の床上または踏み台上に配置される敷物に設置されることを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項6】
前記センサの表面電極及びアース電極は導電性マテリアルで形成され、前記導電性マテリアルには、金属、導電性織布、導電性ゴム、導電性カーボン、導電性ポリマー、導電性プラスチック、導電性ナイロン、導電性シリコン、導電性高分子、または導電性セラミックス、導電性塗料が含まれる、ことを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項7】
前記離床検出装置は、離床が検出されたときにその旨を所定の報知先に報知する報知手段を備えた請求項1記載の離床検出システム。
【請求項8】
前記報知手段はPHSまたはナースコールシステムであることを特徴とする請求項7記載の離床検出システム。
【請求項9】
前記離床検出装置は、前記センサ出力に基づき、所定時間以上連続して離床検出状態が続いたときに異常であると判断し、前記報知手段を通じて異常を通知する、ことを特徴とする請求項7記載の離床検出システム。
【請求項10】
前記離床検出装置は前記センサ出力を閾値と比較することで離床/在床の区別を行い、前記閾値は人体についての裸足または靴下着用時に計測されるセンサ出力と、靴またはスリッパ着用時に計測されるセンサ出力とが区別して判別できるように設定される、ことを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項11】
前記離床検出装置は、インピーダンス変換器と、帯域通過フィルタと、可変利得増幅器と、RMS−DCコンバータまたは検波回路と、制御部とで構成される、ことを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項12】
前記センサは寝具上に複数配置され、前記離床検出装置は、各センサからの出力に基づき、寝具上での人体の動きの推移を検出し、その検出結果にしたがい、人体の寝具からの離床を予測することを特徴とする請求項1記載の離床検出システム。
【請求項13】
検知対象物に誘導される商用交流電圧を検出するセンサであって、
表面電極と、
間隙部を含む形状を有し電気的に接地されたアース電極と、
前記表面電極と前記アース電極との間に介在する誘電体と
で構成されることを特徴とするセンサ。
【請求項14】
前記アース電極の形状は櫛歯状または格子状であることを特徴とする請求項13記載のセンサ。
【請求項15】
前記表面電極は前記アース電極と同様の形状を有することを特徴とする請求項13記載のセンサ。
【請求項16】
前記アース電極は、所定間隔で配置された複数の線状電極で構成されることを特徴とする請求項13記載のセンサ。
【請求項17】
前記アース電極を挟んで前記表面電極と対向して配置された第2の表面電極と、前記第2の表面電極と前記アース電極との間に介在する第2の誘電体とをさらに含むことを特徴とする請求項13記載のセンサ。
【請求項18】
寝具からの人体の離床を検出する方法であって、
請求項13ないし17に記載のいずれかのセンサを用いて人体に誘導される商用交流電圧を検出するステップと、
前記検出結果に基づき人体の寝具に対する離床を検出するステップと
を含むことを特徴とする離床検出方法。
【請求項19】
前記センサは寝具上に複数配置され、
前記方法はさらに、各センサからの出力に基づき、寝具上での人体の動きの推移を検出し、その検出結果にしたがい、人体の寝具からの離床を予測するステップを含むことを特徴とする請求項18記載の離床検出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド等の寝具からの離床の検出又は離床の予測を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護保険法の施行に伴い、病院、福祉施設等における患者及び入所者等の身体拘束が原則禁止されている。そこで、患者及び入所者の早期介護、保護を行うには、24時間に亘る患者及び入所者の行動を把握する必要がある。特に、患者及び入所者の最も重要な行動として、ベッドからの離床を把握することが重要である。
【0003】
このため、人がベッドから離床したことを検出するシステムとして従来より種々のシステムが開発されている。
【0004】
例えば、圧力検知マットをベッド脇の床に配置し、離床した患者が圧力検知マットを踏むことで、離床を監視するベッド通報装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、ベッドの脚下に加重センサを配置し、患者の離床を検出する装置がある(例えば、特許文献2、3参照)。
【0005】
また、寝具上における人体に誘導する商用交流電源を導電性誘導電極により検出し生体情報、ベッド上の姿勢及び離床を検出する寝具上の人体からの各種情報モニタリング装置およびモニタリング方法もある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−094525号公報
【特許文献2】特開平11−076178号公報
【特許文献3】特開2004−105416号公報
【特許文献4】特開2004−261542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような圧力マットを使用する場合、離床検出対象の患者等以外の人(例えば、看護師や介護人)がマットを踏むことにより、誤検出が発生する場合がある。また、特許文献2、3のようなベッドの脚下に加重センサを設置した場合と感圧センサを用いた離床・在床装置では、ベッド上の人以外の物にも反応してしまい、誤作動を起こすことが考えられる。
【0008】
特許文献4のモニタリング装置では、人体に誘導される商用交流電圧を、ベッド上に配置された金属電極で検出している。すなわち、特許文献4では、敷布等の絶縁物を介して人体と金属電極との間に形成される静電容量を介して人体に誘導された交流電圧を検出している。しかし、特許文献4では、金属電極の電位がフローティング状態であるため、人体に誘導される商用交流電圧が不安定となり、正確な離床を判断することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、患者等の離床検出時の精度を向上し、誤検出を防止するベッド離床検出するシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の、寝具からの人体の離床を検出するシステムは、人体に誘導される商用交流電圧を検出するセンサと、センサからの出力に基づき人体の寝具に対する離床を検出する離床検出装置とを備える。センサは、表面電極と、間隙部を含む形状を有し電気的に接地されたアース電極と、表面電極とアース電極との間に介在する誘電体とで構成される。
【0011】
例えば、アース電極の形状は櫛歯状または格子状である。または、アース電極は、所定間隔で配置された複数の線状電極で構成されてもよい。
【0012】
離床検出装置は、離床が検出されたときにその旨を所定の報知先に報知する報知手段を備えてもよい。
【0013】
センサは寝具上に複数配置されてもよい。その際、離床検出装置は、各センサからの出力に基づき、寝具上での人体の動きの推移を検出し、その検出結果にしたがい、人体の寝具からの離床を予測する。
【0014】
本発明に係るセンサは、検知対象物に誘導される商用交流電圧を検出するセンサであって、表面電極と、間隙部を含む形状を有し電気的に接地されたアース電極と、表面電極とアース電極との間に介在する誘電体とで構成される。
【0015】
本発明に係る離床検出方法は、寝具からの人体の離床を検出する方法であって、上記のセンサを用いて人体に誘導される商用交流電圧を検出するステップと、その検出結果に基づき人体の寝具に対する離床を検出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、患者等の寝具からの離床の検出精度を向上することができる。また、裸足時等とスリッパ着用時等の区別が可能となることから、外来者等のセンサの踏みつけによる誤検出を防止できる。また、本発明では、寝具上に複数のセンサを配置することで、患者等の寝具等から離床を予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(実施の形態1)
1.システム構成
図1に、本発明に係る離床検出システムの構成例を示す。離床検出システムは、病院、福祉施設等に設定されたベッド3上で横臥する患者や入所者等(以下「患者等」という。)8がベッド3から離れたことを検出するシステムである。
【0019】
図1に示すように、離床検出システムは、センサ5と、センサ5からの電気信号を受けて離床を判断し、報知する離床検出装置20とで構成される。
【0020】
離床検出装置20は、インピーダンス変換器9と、帯域通過フィルタ10と、デジタルポテンシォメータ11と、非反転増幅器12と、RMS−DCコンバータ13と、制御部14と、報知手段15とで構成される。制御部14はマイクロコンピュータで構成され、例えば、マイクロチップ社のPIC16F877が利用できる。報知手段15は、PHS(Personal Handyphone System)またはナースコールシステムである。デジタルポテンシオメータ11及び非反転増幅器12は可変利得増幅器17を構成する。
【0021】
1.1 センサ
図2はセンサ5の詳細な構成を示した図である。図2(a)はセンサ5を上部から見た図であり、図2(b)は断面図である。図2(b)に示すように、センサ5は2枚の金属電極5a及び5b間に誘電体5cを挟んで形成される容量性素子Cbeである。センサ5は金属電極5aを上側(天井側)にし、金属電極5bを下側(床面側)にして配置される。その際、金属電極5bは接地されてグランド電位に固定される(図1参照)。以降、上側の金属電極5aを「表面電極」と、下側の金属電極5bを「アース電極」と呼ぶ。
【0022】
センサ5において表面電極5aとアース電極5bは同じ形状を有し、互いに同じ部分が対向するよう誘電体5cを介して対称な位置に配置される。図2(a)に示すように、表面電極5aとアース電極5bの形状は櫛歯状に形成している。すなわち、電極の部分間に間隙部(電気力線透過部)を設けた形状としている。なお、表面電極5aについては、アース電極5bと同じ形状にせず、電極の部分間に間隙部を設けない面状(板状)に形成することもできる。
【0023】
センサ5は通常ベッド3脇の床の上または踏み台の上に配置される敷物(マット)に取り付けられて使用される。敷物は例えば、布、皮、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、毛、を素材とする。患者等8がベッドから降りて、この敷物を脚部で踏むつけたときに、患者等8に誘導された商用交流電圧によりセンサ5の表面電極5aの電位変化をもたらし、その変化が電気信号としてセンサ5から出力される。
【0024】
表面電極5aとアース電極5bは導電性マテリアルで形成される。ここで、導電性マテリアルとは、金属、導電性織布、導電性ゴム、導電性カーボン、導電性ポリマー、導電性プラスチック、導電性ナイロン、導電性シリコン、導電性高分子、導電性セラミックス、導電性塗料等である。
【0025】
2.検出原理
本離床検出システムにおける離床検出の原理を説明する。
図1を参照し、導電体である患者等8は、病院、福祉施設等の電源線及び電灯線のような100V(又は200V)の商用交流電源線1(東日本では50Hz、西日本では60Hz)との間に静電容量Cabを形成し、その静電容量2を介して電源線1の交流電圧を静電誘導する。通常、電源線1により静電誘導される交流電圧は心電図や脳波記録においては、雑音として取り扱われ除去される。しかし、本発明では、この交流電圧を信号源として積極的に使用し、患者等8のベッド離床のモニタリングを行う。このため、図2に示すような構成を有するセンサ5を、ベッド3横の床に配置する。その際、センサ5のアース電極5bは接地しグランド電位に固定する。モニタリングは、センサ5の表面電極5aとアース電極5bとの間に形成される静電容量Cbeを介して、患者等8に誘導された交流電圧を表面電極5aで静電誘導することで行う。
【0026】
建物内の電源線及び電灯線は、天井や床に這わしているため、床に直接配置するセンサ5の電極5a、5bは、床からの電源線及び電灯線による交流電圧の影響を受けやすい。本発明では、センサ5の床側の電極すなわちアース電極5bを接地しグランド電位に固定することで、表面電極5aの電位をグランド電位に近づけることができ、表面電極5aに対する床からの電源線及び電灯線による交流電圧の影響を低減している。さらに、図2(a)に示すように電極形状を櫛歯状にして間隙部を設けている。この間隙部は床からの電気力線を透過させるためのものであり、その間隙部を通して床からの静電誘導を患者等8に伝達させることができる。これにより、患者等8の体の一部がセンサ5に接触したときの表面電極5aの電位変化をより大きくでき、検出精度を向上できる。すなわち、図2(a)に示すような電極形状のセンサを用いることで、図3に示すように、患者等8には天井からの静電誘導V1に加えて床からの静電誘導V2が印加され、トータルでV1+V2が誘導される。床からの静電誘導V2がない場合、患者等8には天井からの静電誘導V1のみしか誘導されないため、本発明のセンサ5を用いることで、センサ5においてより大きな電位変化が得られ、結果として検出精度を向上できる。
【0027】
3.離床検出システムの動作
離床検出システムの基本的な動作は次のとおりである。
離床検出装置20において、インピーダンス変換器9はシールド線を介してセンサ5の表面電極5aから、表面電極5a上で静電誘導された交流電圧信号E0を入力する。
【0028】
バンドパスフィルタ10は、静電誘導された交流電圧信号E0から、電波を放出する装置等からのノイズの影響を除去するとともに、電源線1からの60Hz(または50Hz)の交流電圧信号のみを取り出す。
【0029】
デジタルポテンシオメータ11と非反転増幅器12からなる可変利得増幅器17は、バンドパスフィルタ10の出力信号を増幅する。可変利得増幅器17のゲインは、検出した交流信号が飽和しないように制御部14により適宜調整される。RMS−DCコンバータ13は可変利得増幅器17からの交流信号をその実効値に応じた大きさの直流電圧信号に変換する。
【0030】
制御部14はRMS−DCコンバータ13からの出力信号をサンプリング周波数40Hzで取り込み、取り込んだ情報に基づき離床検出動作を行う。制御部14は離床を検出すると、報知手段15を制御して報知動作を実行させる。
【0031】
報知手段15は例えばPHSにより所定の連絡先に通報したり、ナースコールシステムを介して看護師に連絡したりする。
【0032】
3.1 制御部の処理
図4のフローチャートを参照し、離床検出システムの制御部14の詳細な処理を説明する。
【0033】
離床検出システムの電源が投入されると、制御部14は、インピーダンス変換器9等を介して、在床状態におけるセンサ5の表面電極5aの誘導交流電圧E0を検出信号として取り込む(S11)。制御部14は、検出信号に基づいてデジタルポテンシオメータ11のゲインを調整する(S12)。すなわち、離床検出システムの設置環境に応じて基本的な誘導電圧の大きさが異なるため、設置環境に依存せずに同じ信号レベルが得られるようゲインを調整する。次に、制御部14は、離床/在床の判断を行うための基準電圧となる、誘導交流電圧E0の閾値を設定する(S13)。以上までが初期化処理である。
【0034】
その後、続いて離床検出システムは離床検出動作を行う。離床検出装置20において、制御部14は、インピーダンス変換器9等を介して、センサ5の表面電極5aから、表面電極5a上で静電誘導された交流電圧信号E0を検出信号として入力する(S14)。入力した検出信号と、ステップS13で設定した閾値とを比較して離床したか否かの検出を行う(S15)。患者等8が離床してセンサ5上にその脚部が接触すると、センサ5の表面電極5a上に患者等8の電位が静電誘導され、その電位が在床時の電位に比べて上昇する。よって、制御部14は、入力した検出信号が閾値以上である場合、離床したと判断し、報知手段15を制御し報知動作を実行させる(S16)。制御部14は、入力した検出信号が閾値未満である場合、在床と判断し、検出動作を継続する(S14〜S15)。なお、制御部14は、一定時間以上連続して離床状態を検出したときに「異常」であると判断し、報知手段15を制御して「異常」を通知させてもよい。
【0035】
4.患者等と外来者等の判別
一般に病院や介護施設では、患者等以外にも看護師や介護者、外来者など(以下「外来者等」という。)の人の出入りが激しい。特に、ベッド3の周辺にセンサ5を配置して離床を検知する本システムは、患者等以外の外来者等が電極を踏んでしまい誤報する恐れがある。このため、患者等とそれ以外の外来者等とを区別して判断する必要がある。本実施形態のセンサ5は検出精度が高いため、裸足又は靴下着用時の人体がセンサに接触したときの検出信号と、靴又はスリッパ着用時の人体がセンサに接触したときの検出信号との区別が可能である。通常、患者等は裸足又は靴下を着用し、外来者等は靴又はスリッパを着用していることから、本実施形態のセンサ5により、患者等と外来者等の区別が可能となる。
【0036】
図5に、靴下着用時とスリッパ着用時のそれぞれにおける本実施形態のセンサ5の出力(ここでは、図1におけるノードAにおける電圧)を示す。なお、実験は、5階建てビルの3階で行った。電源線はビル3階の天井と床下に単相100Vと3相200Vが配線されている状態で、絶縁層にOHPフィルムを用いて実験を行った。
【0037】
図5に示すように、スリッパを履いた状態では、1.4Vp-p(※Vp-pはピーク間電圧を示す)となり、靴下着用状態では、4Vp-pとなっている。このようにスリッパ着用時と靴下着用時とでセンサ出力の大きさに差異がある。このような出力の差異は、人体8とセンサ5の表面電極5aとの距離(裸足や靴下着用時等は距離が小さくなり、スリッパや靴着用時は距離が大きくなる。)の違いに起因する。なお、スリッパ着用時と靴着用時とでは、ほぼ同様のセンサ出力値示し、また、靴下着用時と裸足時もほぼ同様のセンサ出力値を示す。
【0038】
よって、上記の場合、閾値を2Vp-pに設定することにより、靴下着用時とスリッパ着用時との差異を区別できる。よって、靴下着用時とスリッパ着用時との差異を区別することで、センサ5の踏みつけ主体が、患者等なのか、外来者等なのかを区別することが可能となる。このように、離床検出装置20において、離床/在床の区別を行うための閾値は、患者等についての裸足または靴下着用時に計測されるセンサ出力と、靴またはスリッパ着用時に計測されるセンサ出力とが区別して判別できるように設定される。
【0039】
なお、上記実験においてセンサ5の表面電極5aの上にマットを引いた状態でも、同様の結果を得ることができた。
【0040】
5.センサ電極形状の変形例
図6に、センサ5のアース電極5bの形状の種々の変形例を示す。表面電極5aはアース電極5bと同じ形状を有する。表面電極5aは、アース電極5bと、それぞれ対応する部分が対向するよう絶縁体5cを介して配置される。
【0041】
図6(a)は格子状、図6(b)は櫛歯状の電極形状を示す。図6(c)、(d)、(e)では、アース電極5bは複数の電極5b1、…で構成される。この場合、各電極5b1、…と表面電極5aとで構成される各容量は並列接続され離床検出装置に接続される。
【0042】
なお、図6において、表面電極5aの形状をアース電極5bと同じ形状にせず、面状に形成してもよい。
【0043】
6.まとめ
以上のように、本実施形態の離床検出システムによれば、少なくともセンサ5の床面に配置側の電極(アース電極)5bの形状を電極部分間に間隙部を設けた形状にするとともに、アース電極5bを接地する。これにより、床からの静電誘導の影響を患者等8に伝えることが可能となるとともに、アース電極5bの電位を安定させることができることから、患者等8の離床検出精度を向上することができる。また、裸足時等とスリッパ着用時等の区別が可能となることから、外来者等のセンサの踏みつけによる誤検出を防止できる。
【0044】
また、本離床検出システムは、日常生活環境下にある電灯線、電力線の交流電圧を信号源として使用することで、特別な信号源を使用することなくベッド離床のモニタリングを可能とする。
【0045】
また、本離床検出システムは、病院、福祉施設にかかわらず使用可能であり、モニタリングシステムの設置を意識させることなくベッド離床を検出し、患者及び入所者の早期介護、保護を可能にする。
【0046】
(実施の形態2)
本実施形態では、ベッド3に複数のセンサを配置する例をいくつか説明する。ベッド上にセンサを複数配置することで、患者等の離床またはベッドからの転落を予測することが可能となる。離床検出装置20の構成は実施の形態1のものと同様である。
【0047】
センサ配置例1
図7は、ベッド3上に複数のセンサSが縦横に配置された例を示した図である。各センサSは表面電極5aとアース電極5bと絶縁体5cとで構成され、具体的な構成は実施の形態1で説明したいずれかの構成となる。
【0048】
各センサSの出力電圧値は、患者等の体の一部の接触の程度(面積、距離)により変化する。よって、このようにマトリクス状に配置された各センサSからの出力をモニタリングすることで、患者等8のベッド3上での移動を検出できる。制御部14は、各センサSからの出力の変化に基づき、患者等8のベッド3上での動きの推移を検出する。制御部14は、患者等8がベッド3の中央部から端部へ移動したことを検出したときに、報知手段15を制御して所定の報知先に報知させることで、事前に、患者等の離床またはベッド3からの転落の可能性を伝えることができる。
【0049】
センサ配置例2
図8は、ベッド3上のセンサ配置の別の例を示した図である。図8の例では、ベッド3上、中央部にマトリクス状にセンサSを配置するとともに、さらにベッド3の長手方向に沿って延在するセンサS1、S2及びS3、S4を、ベッド3の幅方向の両端の領域に配置している。
【0050】
センサS1は表面電極51aとアース電極51bと絶縁体5cとで構成される。センサS2〜S3も同様である。
【0051】
ベッド3の両端の領域に配置したセンサS1、S2及びS3、S4の出力信号をモニタリングすることで、患者等がベッド3の端に移動したことを検出でき、患者等の離床またはベッド3からの転落を予測することができる。
【0052】
センサ配置例3
図9は、ベッド3上のセンサ配置のさらに別の例を示した図である。図8の例では、ベッド3の幅方向の各端領域に配置されたセンサS1とセンサS2またはセンサS3とセンサS4は、長手方向に並べて配置されていた。これに対して、図9の例では、センサS1とセンサS2、またはセンサS3とセンサS4を幅方向に並べて配置している。このように配置することで、ベッド3の幅方向の端領域において、より細かな患者等の幅方向の移動の検出が可能となる。
【0053】
センサ配置例4
図10は、ベッド3上のセンサ配置のさらに別の例を示した図である。図10の例では、センサ5の表面電極5aは、ベッド3の長手方向に所定間隔で配置された複数のX電極5x1、5x2、…、5xnと、ベッド3の幅方向に所定間隔で配置された複数のY電極5y1、5y2、…、5ymとを含む。X電極5x1、…、5xnと、Y電極5y1、…、5ymとは絶縁体55により電気的に絶縁されている。表面電極5aと、アース電極5bと、絶縁体5cとでセンサ5が構成される。アース電極5bは面状の形状を有する。
【0054】
各X電極5x1、…、5xnは、それぞれ面状のアース電極5bと対をなし1つの容量性素子を形成し、各X電極5x1、…、5xnから離床検出装置20へ、それぞれ独立した信号が入力される。同様に、各Y電極5y1、…、5ymも、それぞれアース電極5bと対をなし1つの容量性素子を形成し、各Y電極5y1、…、5ymから離床検出装置20へそれぞれ独立した信号が入力される。離床検出装置20は、各X電極5x1、…、5xnと各Y電極5y1、…、5ymそれぞれからの信号をモニタリングすることで、ベッド3上での患者等の移動を検出することができる。
【0055】
本実施形態によれば、ベッド上に複数のセンサを配置することでベッド上での患者等の移動状態をモニタリングできるため、それにより、患者等のベッドからの離床または転落を予想することができる。
【0056】
なお、離床を検知するため又は寝具上の人体の動きを検出するためにのセンサ5はベッドマットレスや敷き布団の下に設置してもよく、そのような状態でも十分にセンシングすることができる。
【0057】
(実施の形態3)
本実施形態では、センサの別の構成例を示す。図11は本実施形態のセンサの詳細な構成を示した図である。本実施形態のセンサ55は3層電極構造を有する。センサ55は、金属電極5a1と金属電極5a2の間に金属電極5bを配置する。金属電極5a1と金属電極5bの間及び金属電極5a2と金属電極5bの間に誘電体5cが配置される。金属電極5a1と金属電極5a2が表面電極を構成し、金属電極5bがアース電極を構成する。
【0058】
センサ55の2つの表面電極5a1、5a2のそれぞれから電圧(出力1、2)が出力される。離床検出装置は、表面電極5a1、5a2それぞれからの出力1、2を受けて離床を判断する。なお、床側になった表面電極は天井側の表面電極より出力電圧が大きく、離床時の変化も小さいため、いずれの表面電極でセンシング可能かを判別することはできる。床側になった表面電極は離床時変化が小さいため、実質的には、天井側の表面電極からのセンサ出力に基づき離床が判断される。
【0059】
以上のようにセンサを3層構造にすることで、両面でのセンシングが可能となり、センサの裏表関係なく使用することができる。
【0060】
なお、本実施形態のセンサに対しても実施の形態1、2に示した電極形状、配置に関する技術思想を同様に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1の離床検出システムの構成を示す図
【図2】(a)離床検出システムのセンサの構成を示す図、(b)センサの断面図
【図3】センサの電極形状の原理を説明するための図
【図4】離床検出装置の制御部のフローチャート
【図5】センサ出力(誘導交流電圧)を示す図
【図6】センサの電極形状のバリエーションを示す図
【図7】(a)本発明の実施の形態2におけるベッド上でのセンサの配置例1を示す図、(b)A−A’断面図
【図8】(a)本発明の実施の形態2におけるベッド上でのセンサの配置例2を示す図、(b)A−A’断面図
【図9】(a)本発明の実施の形態2におけるベッド上でのセンサの配置例3を示す図、(b)A−A’断面図
【図10】(a)本発明の実施の形態2におけるベッド上でのセンサの配置例4を示す図、(b)A−A’断面図
【図11】3層電極構造のセンサの構成例を示す図
【符号の説明】
【0062】
1 商用交流電源
2 電源線−生体間静電容量(Cab)
3 ベッドまたは布団
5、55 センサ
5a、51a、5a1、5a2 表面電極
5b、51b アース電極
5c 誘電体(絶縁層)
7 表面電極−アース電極間静電容量(Cbe)
8 人体(患者等)
9 インピーダンス変換器
10 バンドパスフィルタ(fc=60Hz)
11 ディジタルポテンシオメータ
12 非反転増幅器(40dB)
13 RMS−DCコンバータ
14 制御部
15 報知手段
17 可変利得増幅器
S、S1〜S4 センサ
【出願人】 【識別番号】502379756
【氏名又は名称】株式会社 技術センター中国
【識別番号】595075595
【氏名又は名称】学校法人鶴学園
【出願日】 平成19年7月23日(2007.7.23)
【代理人】 【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二

【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市


【公開番号】 特開2008−62033(P2008−62033A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−191008(P2007−191008)