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【発明の名称】 エネルギ手術装置
【発明者】 【氏名】中本 孝治

【氏名】中村 俊夫

【氏名】▲高▼橋 和彦

【氏名】吉江 方史

【要約】 【課題】必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止できる安全性の高いエネルギ手術装置を提供すること。

【構成】エネルギ手術装置であって、被検体を処置する処置手段101と、処置手段101にエネルギを供給するエネルギ供給手段103と、処置手段101の状態変化を検出する状態変化検出手段102と、エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段105と、エネルギ指示入力手段105によるエネルギ供給指示の入力と、状態変化検出手段102での検出結果とに基づき、エネルギ供給手段103によるエネルギ供給を調整する調整手段104とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を処置する処置手段と、
前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、
前記処置手段の状態変化を検出する状態変化検出手段と、
前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、
前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記状態変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整する調整手段と、
を具備することを特徴とするエネルギ手術装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記状態変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備えることを特徴とする請求項1記載のエネルギ手術装置。
【請求項3】
前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用されることを特徴とする請求項1または2記載のエネルギ手術装置。
【請求項4】
被検体を処置する処置手段と、
前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、
前記処置手段が受ける力量の変化を検出する力量変化検出手段と、
前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、
前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記力量変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整する調整手段と、
を具備することを特徴とするエネルギ手術装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記力量変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備えることを特徴とする請求項4記載のエネルギ手術装置。
【請求項6】
前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用されることを特徴とする請求項4または5記載のエネルギ手術装置。
【請求項7】
被検体を処置する処置手段と、
前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、
前記処置手段の状態変化を検出する状態変化検出手段と、
前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、
前記処置手段を能動的に駆動する動力手段と、
前記動力手段の動作を指示する動力指示入力手段と、
前記動力指示入力手段による指示に応じて前記動力手段を制御する制御手段と、
前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記動力指示入力手段による動力指示と、前記状態変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給と前記動力手段による駆動の一方あるいは両方を調整する調整手段と、
を具備することを特徴とするエネルギ手術装置。
【請求項8】
前記状態変化検出手段は、前記処置手段が受ける力量の変化を検出することを特徴とする請求項7記載のエネルギ手術装置。
【請求項9】
前記調整手段は、前記状態変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備えることを特徴とする請求項7記載のエネルギ手術装置。
【請求項10】
前記調整手段は、前記状態変化検出手段の状態変化量が前記閾値を超えないように前記動力手段の駆動を調整することを特徴とする請求項9記載のエネルギ手術装置。
【請求項11】
前記調整手段は、前記状態変化検出手段の状態変化量が前記閾値を超えた場合に、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整することを特徴とする請求項9記載のエネルギ手術装置。
【請求項12】
前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用されることを特徴とする請求項7から11のいずれか1つに記載のエネルギ手術装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギ手術装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、治療処置を行う方法の一つとして、高周波(数百kHz)でかつ高電圧(数百〜数千V)を利用した電気メス等のエネルギ手術装置が外科手術等に広範に使用されている。高周波エネルギを用いた手術装置を開示した特許文献として例えば特開平7−8503号公報がある。
【0003】
また、治療処置を行う方法の一つとして、生体組織を吸着あるいは把持し、この吸着あるいは把持している部材に超音波振動を加えて生体組織を切除あるいは凝固するなどの処置を行う超音波処置装置が外科手術等に広範に使用されている。このような超音波処置装置を開示した特許文献として例えば特開平10−5236がある。
【特許文献1】特開平7−8503号公報
【特許文献2】特開平10−5236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のエネルギ手術装置においては、処置手段が生体組織に対して過剰な力で働いている状態で、エネルギ供給手段が処置手段に対してエネルギを供給すると、生体組織を過剰に切開してしまったり、生体組織を穿孔してしまったりする場合があった。そのため、エネルギ手術装置を扱う医師は電気手術装置の先端部に対して過剰な力が加わらないように細心の注意を払いながら処置を行う必要があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止可能な、より安全性の高いエネルギ手術装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、エネルギ手術装置であって、被検体を処置する処置手段と、前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、前記処置手段の状態変化を検出する状態変化検出手段と、前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記状態変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整する調整手段と、を具備する。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記調整手段は、前記状態変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備える。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用される。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、エネルギ手術装置であって、被検体を処置する処置手段と、前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、前記処置手段が受ける力量の変化を検出する力量変化検出手段と、前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記力量変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整する調整手段と、を具備する。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記調整手段は、前記力量変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備える。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第4または第5の態様において、前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用される。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、エネルギ装置であって、被検体を処置する処置手段と、前記処置手段にエネルギを供給するエネルギ供給手段と、前記処置手段の状態変化を検出する状態変化検出手段と、前記エネルギ供給の指示を入力するエネルギ指示入力手段と、前記処置手段を能動的に駆動する動力手段と、前記動力手段の動作を指示する動力指示入力手段と、前記動力指示入力手段による指示に応じて前記動力手段を制御する制御手段と、前記エネルギ指示入力手段によるエネルギ供給指示の入力と、前記動力指示入力手段による動力指示と、前記状態変化検出手段での検出結果とに基づき、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給と前記動力手段による駆動の一方あるいは両方を調整する調整手段と、を具備する。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記状態変化検出手段は、前記処置手段が受ける力量の変化を検出する。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、第7の態様において、前記調整手段は、前記状態変化量の閾値を入力する閾値入力手段を備える。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記調整手段は、前記状態変化検出手段の状態変化量が前記閾値を超えないように前記動力手段の駆動を調整する。
【0016】
また、本発明の第11の態様は、第9の態様において、前記調整手段は、前記状態変化検出手段の状態変化量が前記閾値を超えた場合に、前記エネルギ供給手段によるエネルギ供給を調整する。
【0017】
また、本発明の第12の態様は、第7から第11のいずれか1つの態様において、前記エネルギ手術装置は、内視鏡と共に使用される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、状態変化量検出手段の検出結果に基づき、エネルギ供給手段によるエネルギ供給または動力を調整する調整手段を具備したことで、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止して、手術中の安全性を向上することが可能となる。
【0019】
例えば第1実施形態および第3実施形態によれば、歪ゲージで得た信号により、制御装置が電極部へのエネルギ供給量を制御することで、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止できるので安全性が向上する。
【0020】
また、第2実施形態および第4実施形態によれば、歪ゲージで得た信号により、制御装置が湾曲部の湾曲を制御することで、電極部にかかる負荷を軽減する。また、湾曲部の湾曲を制御しても電極部にかかる負荷が大きい場合には、制御装置により電極部の通電を制御する。これらのことにより、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止できるので安全性が向上し、手術症例数の比較的少ない初級レベルの医師にも安全に使える機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
以下に、図1〜図7を用いて本発明の請求項1〜6に関する第1実施形態を説明する。本実施形態のエネルギ手術装置は、処置手段としての電気メスの状態変化、例えば電気メスに加わる力を検出する状態変化検出手段と、この状態変化検出手段の検出結果に基づき、処置手段へのエネルギ供給量を調整する調整手段とを具備し、このような構成によって被検体に対する処置手段の処置量が調整される。
【0023】
図1は、第1実施形態の概略を説明するための図である。図1において、エネルギ指示入力手段105は、処置手段101にエネルギを供給するための指示を術者より受ける。エネルギ指示入力手段105は、この指示入力信号を調整手段104に伝える。
【0024】
一方、状態変化検出手段102は、処置手段101の状態変化を検出する。検出された状態変化は調整手段104に伝えられる。調整手段104は、エネルギ指示入力手段105からの信号と、状態変化検出手段102からの信号を基に、エネルギ供給手段103への出力信号を決定して出力する。エネルギ供給手段103は、調整手段104からの信号をもとに、処置手段101にエネルギを供給する。処置手段101はエネルギ供給手段103からのエネルギを受けて、被検体100に処置を施す。
【0025】
図2(A)は本発明の第1実施形態の構成を示す図である。電気手術装置1には、電源コード2と、電気手術装置1より出力される高周波信号に基づいて患者に処置を行う軟性鏡用電気メス3と、患者の足や背中等に付ける対極板4と、高周波出力指示を入力するフットスイッチ5がそれぞれコード6a〜6dにより接続されている。電気手術装置1は閾値表示手段34と閾値設定ボタン35a〜35cからなる閾値入力手段33を具備する。
【0026】
軟性鏡用電気メス3の先端部は電極部7を具備する。この電極部7の材料はSUS304により形成されており、通電するようになっている。また、軟性鏡用電気メス3には歪ゲージ8が貼り付けられており、軟性鏡用電気メス3の先端部にかかる力を検出することができる。
【0027】
図2(B)は、軟性鏡用電気メス3の歪ゲージ8が貼り付けてある部分A−Aの断面図である。歪ゲージ8は軟性鏡用電気メス3に対して複数方向(8a〜8d)に貼り付けられていて、軟性鏡用電気メス3に対して複数方向からかかる力を検出できるようになっている。また歪ゲージ8は図示しないケーブルを介して、電気手術装置1内部のセンサ信号処理装置(後述)に接続されている。絶縁カバー9は絶縁体により形成されており、電極部7に電圧を印加したときに漏電するのを防止する。ハンドル10は電極部7と連動して動くようになっており、術者はこのハンドル10を動かすことにより、電極部7の出し入れを操作する。
【0028】
上記軟性鏡用電気メス3は軟性内視鏡19と組み合わせて処置を行うために用いる。
【0029】
図3は、軟性鏡用電気メス3を軟性内視鏡19に挿入する際の全体図である。上記内視鏡19は軟性の挿入部21と手元操作部22を有し、手元操作部22には図示しない光源装置やビデオプロセッサ等に接続するユニバーサルコード23が連結されている。また、手元操作部22には処置具を挿入するためのチャンネル管路末端開口部30が形成されている。軟性内視鏡19の本体には観察光学系、照明光学系及びチャンネル管路等が内蔵されている。
【0030】
上記挿入部21は内視鏡先端部24とこれに隣接した内視鏡湾曲部25とこの湾曲部25の手元側に接続された内視鏡可撓管26とによって構成されている。また、上記挿入部21の先端部には観察光学系の観察窓27、照明光学系の照明窓28及びチャンネル管路先端開口部29が形成されている。チャンネル管路末端開口部30に軟性鏡用電気メス3を先端から挿入すると、軟性鏡用電気メス3の先端がチャンネル管路先端開口部29から出るようになっている。
【0031】
図4は、電気手術装置1の内部構成を示す図である。AC/DC変換装置12は電源コード2により供給された商用電源に基づいてDC電圧を生成し、電気手術装置1内の構成機器に該DC電圧を供給する。出力トランス装置13は電極部7と対極板4に電圧を印加するようになっている。対極板4を患者の背中や足等につけて、電極部7を患者の病変に付けることにより、通電するようになっている。対極板4、電極部7付近はともに発熱するが、対極板4は面積が広いために温度上昇が小さい。一方、電極部7は面積が小さいため、電極部7付近は温度上昇が激しく生体組織を焼灼する。
【0032】
各部の制御を行う制御装置14は、波形発生装置15と、センサ信号処理装置17と、計算装置18とを含んでいる。波形発生装置15は高周波処置を行うための波形発生を行う。パワーアンプ装置16は波形発生装置15で発生した波形をエネルギ増幅する。センサ信号処理装置17は歪ゲージ8のセンシング信号を処理して軟性鏡用電気メス3の先端部にかかる力を検出する。
【0033】
以下に上記した第1実施形態の構成の作用を、図5のフローチャートを用いて説明する。ステップS1−1で処理がスタートする。ステップS1−2にて通電指示としてフットスイッチ(高周波スイッチ)5からの信号が入るとステップS1−3に進む。
【0034】
歪ゲージ8は軟性鏡用電気メス3の先端部にかかる力を検出するが、そのセンシング情報は制御装置14に送られる。制御装置14には、センシング情報から軟性鏡用電気メス3の先端部にかかる力が過剰であるかそうでないかを識別するための閾値が予め設定されている。なお、このときの閾値は別途閾値入力装置33内の閾値設定ボタン35a〜35cにより任意の値に設定され、閾値表示装置34に表示されるようになっている。閾値を任意の値に設定可能にしたことにより、術者の好みの閾値を設定したり、また患部組織の状況に応じた閾値を設定したりすることが可能になっている。
【0035】
制御装置14のセンサ信号処理装置17は歪ゲージ8のセンシング信号を処理してセンシング情報を得る。制御装置14はセンサ信号処理装置17で得られたセンシング情報が閾値を上回らないか否かを判断する(ステップS1−3)。上回らない場合はステップS1−4に進む。
【0036】
ステップS1−4にて、制御装置14は波形発生装置15で生成された波形をパワーアンプ装置16に出力する。パワーアンプ装置16は制御装置14より受け取った波形をエネルギ増幅して出力トランス装置13に出力する。出力トランス装置13はパワーアンプ装置16より得た電圧に応じて、電極部7及び対極板4に高周波出力する。対極板4は患者の足等に付けられ、電極部7は病変部付近に付けられているため、患者(被検体100)の体を通して通電する。通電が起こると、結果として病変部は焼灼される。通電した後にステップS1−5に進む。
【0037】
ステップS1−5にて、術者が電気手術装置1の電源を切らない場合、ステップS1−2に戻る。上記ステップS1−2〜1−5を反復する(ループ制御)ことによって病変部付近を焼灼する。
【0038】
一方、ステップS1−2において、通電指示としてのフットスイッチ5からの信号が入らない場合にはステップS1−5に移行し、ここでNOならばステップS2に戻る。上記ステップS1−2,1−5を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。
【0039】
一方、ステップS1−3にて、センサ信号処理装置17にて得られたセンシング情報が閾値を上回る場合にはステップS1−2,S1−3,S1−5を実行し、ステップS1−5でNOならばステップS2に戻る。上記ステップS1−2,S1−3,S1−5を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。この場合には術者がフットスイッチ5を押しても、通電は行われない。
【0040】
そして、ステップS1−5にて術者が電気手術装置1の電源を切った場合にはステップS1−6に進み、処理を終了する。
【0041】
以下に上記した第1実施形態を、内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD(endoscopic submucosal dissection)に適用したときの詳細を図6を用いて説明する。ESDとは、内視鏡を用いて胃や大腸内にある病変を一括切除する手技である。図6は胃内部の病変模式図であり、ESDを行うにあたり、予め病変部36を含む粘膜組織20と固有筋層31の間に生理食塩水32を局注しておく。軟性鏡用電気メス3は軟性内視鏡19のチャンネル管路末端開口部30から挿入して用いる。術者は軟性内視鏡19を操作し、電極部7を粘膜組織20に当てる。この状態で電極部7に高周波電圧を印加することで、病変部36周辺の粘膜組織20を焼灼し切開していく。
【0042】
ここで図中に示すように、電極部7から粘膜組織20に対してFの力がかかり、逆に粘膜組織20から電極部7に対してF’の反発力がかかる。力Fと反発力F’には、F=F’の関係式が成り立つ。力Fが過剰に大きい状態で高周波電圧を印加すると、必要以上に粘膜組織20を切開したり固有筋層31を穿孔したりしてしまう可能性がある。
【0043】
そこで第1実施形態では、歪ゲージ8により検出される反発力F’が閾値より高い場合には電極部7に高周波電圧を印加することを制御する。このことによって、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に粘膜組織20を切開したり、固有筋層31を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0044】
なお、本実施形態では手技の1例として胃内におけるESDを挙げたが、本実施形態で示した原理を用いることで、他の軟性内視鏡とエネルギ手術装置を利用したあらゆる手技において、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0045】
以下に第1実施形態のそれぞれの装置が図1中のどの手段に相当するのかを示しておく。フットスイッチ5はエネルギ指示入力手段105に相当する。制御装置14は調整手段104に相当する。出力トランス装置13はエネルギ供給手段103に相当する。軟性鏡用電気メス3は処置手段101に相当する。歪ゲージ8は状態変化検出手段102に相当する。
【0046】
なお、ここでは電極部7の形状としてフックタイプを用いたが、形状は特に制限しない。曲がっていない形状や挟みこむ形状を用いても良い。
【0047】
(第2実施形態)
以下に、主として図8〜図12を用いて本発明の請求項7〜12に関する第2実施形態を説明する。
【0048】
図8は、第2実施形態の概略を説明するための図である。図8において、動力指示入力手段126は、 処置手段122を動作させるための指示を術者128より受ける。また、エネルギ指示入力手段127は、処置手段122にエネルギを供給するための指示を術者128より受ける。動力指示入力手段126は動力指示に関する信号を制御手段125−1に伝える。エネルギ指示入力手段127はエネルギ指示に関する指示を調整手段125−2に伝える。
【0049】
また、状態変化検出手段123は、処置手段122の状態変化を調整手段125−2に伝える。制御手段125−1は、動力指示入力手段126からの信号と、状態変化検出手段123からの信号を基に動力手段121への出力を決定して、出力信号を出力する。また、調整手段125−2は、エネルギ指示入力手段127からの信号と、状態変化検出手段123からの信号とを基にエネルギ供給手段124への出力を決定して出力信号を出力する。なお、エネルギ供給手段124への出力と動力手段121への出力のいずれか一方であっても良い。
【0050】
動力手段121は、制御手段125−1からの信号を基に処置手段122を動作させる。また、エネルギ供給手段124は、調整手段125−2からの信号を基に処置手段122にエネルギを供給する。処置手段122はエネルギ供給手段124からのエネルギを受けて被検体120に処置を施す。
【0051】
図9は本発明の第2実施形態の構成を示す図である。電気手術装置1には、電源コード2と、電気手術装置1より出力される高周波信号に基づいて患者に処置を行う軟性鏡用電動湾曲電気メス40と、患者の足や背中等に付ける対極板4と、高周波出力指示を入力するフットスイッチ5と、軟性鏡用電動湾曲電気メス40の湾曲指示を入力する湾曲指示入力装置44がそれぞれコード6a〜6fにより接続されている。
【0052】
電気手術装置1は閾値表示手段34と閾値設定ボタン35a〜35cからなる閾値入力手段33を具備する。軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部は電極部7を具備する。この電極部7の材料はSUS304により形成されており、通電するようになっている。また、軟性鏡用電動湾曲電気メス40には歪ゲージ8が貼り付けられ、軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部にかかる力を検出するようになっている。
【0053】
図2(B)は軟性鏡用電動湾曲電気メス40の歪ゲージ8が貼り付けてある部分A−Aの断面図である。歪ゲージ8は軟性鏡用電動湾曲電気メス40に対して複数方向(8a〜8d)に貼り付けられていて、軟性鏡用電動湾曲電気メス40に対して複数方向からかかる力を検出できるようになっている。また歪ゲージ8は図示しないケーブルを介して、電気手術装置1内部のセンサ信号処理装置(後述)に接続されている。絶縁カバー9は絶縁体により形成されており、電極部7に電圧を印加したときに漏電するのを防止する。
【0054】
軟性鏡用電動湾曲電気メス40は湾曲部43を含み、湾曲するようになっている。この湾曲部43はワイヤ46を引くことで湾曲する。このワイヤ46は電磁モータ44が回転するとプーリ45を介して引張される。この電磁モータ44には図示しないエンコーダが内装されており、このエンコーダは回転数を検出可能になっていて、コード6eを介してモータ制御装置(後述)に回転数を伝達している。これらの電磁モータ44とプーリ45はモータボックス48に内装されている。この湾曲部43は湾曲指示入力装置41にあるジョイスティック42を操作することで湾曲指示が入力される。
【0055】
上記軟性鏡用電動湾曲電気メス40は軟性内視鏡19と組み合わせて、処置を行うために用いられる。図10は軟性鏡用電動湾曲電気メス40を軟性内視鏡19に挿入する際の全体図である。本実施形態の軟性内視鏡19との基本構成は第1実施形態で述べた内容と同様である。
【0056】
図11は電気手術装置1の内部構成を示す図である。AC/DC変換装置12は電源コード2により供給された商用電源よりDC電圧を生成し、電気手術装置1内の構成機器にDC電圧を供給する。出力トランス装置13は電極部7と対極板4に電圧を印加するようになっている。対極板4を患者の背中や足等につけて、電極部7を患者の病変に付けることにより、通電するようになっている。対極板4、電極部7付近はともに発熱するが、対極板4は面積が広いため、温度上昇が小さい。一方、電極部7は面積が小さいため、電極部7付近は温度上昇が激しく、生体組織を焼灼する。
【0057】
各部の制御を行う制御装置14は波形発生装置15と、センサ信号処理装置17と、計算装置18と、モータ制御装置47とを含む。波形発生装置15は高周波処置を行うための波形発生を行う。パワーアンプ装置16は波形発生装置15で発生した波形をエネルギ増幅し、またモータ制御装置47で発生した制御信号をエネルギ増幅する。
【0058】
センサ信号処理装置17は歪ゲージ8の信号を処理して、軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部にかかる力を検出する。モータ制御装置47は電極モータ44を制御するための信号を計算する。
【0059】
以下に上記した第2実施形態の構成の作用を、図12のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS2−2にて、湾曲指示が行われない場合に関して説明する。ステップS2−1で処理がスタートする。ステップS2−2にて、湾曲指示としてジョイスティック42からの信号が入らないとステップS2−3に進む。ステップS2−3にて、通電指示としてフットスイッチ(高周波スイッチ)5からの信号が入るとステップS2−4に進む。
【0060】
歪ゲージ8は軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部にかかる力を検出するが、そのセンシング情報は制御装置14に送られる。制御装置14には、センシング情報から軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部にかかる力が過剰であるかそうでないかを識別するための閾値が予め設定されている。軟性鏡用電動湾曲電気メス40に前記閾値以上の力がかかったとき、瞬時に粘膜を切除してしまう値に設定してある。なお、閾値は別途閾値入力装置33内の閾値設定ボタン35a〜35cにより任意の値に設定され、閾値表示装置34に表示するようになっている。閾値を任意の値に設定可能にしたことにより、術者の好みの閾値を設定したり、また患部組織の状況に応じた閾値を設定したりすることが可能になっている。
【0061】
制御装置14のセンサ信号処理装置17は歪ゲージ8のセンシング信号を処理してセンシング情報を得る。制御装置14はセンサ信号処理装置17で得られたセンシング情報が閾値を上回らないか否かを判断する(ステップS2−4)。上回らない場合はステップS2−5に進む。
【0062】
ステップS2−5にて、制御装置14は波形発生装置15の波形をパワーアンプ装置16に出力する。パワーアンプ装置16は制御装置14より受け取った波形をエネルギ増幅して出力トランス装置13に出力する。出力トランス装置13はパワーアンプ装置16より得た電圧に応じて、電極部7と対極板4の間に電圧を印加する。対極板4は患者の足等につけて、電極部7は病変部36付近に付けられているため、患者の体を通して通電する。通電が起こると、結果として病変部は焼灼される。通電した後にステップS2−6に進む。
【0063】
ステップS2−6にて、術者が電気手術装置1の電源を切らない場合、ステップS2−2に戻る。上記ステップS2−2〜2−6を反復する(ループ制御)ことにより病変部付近を焼灼する。
【0064】
ステップS2−3にて、術者が通電指示としてフットスイッチ5を押さない場合にはステップS2−6に移行し、ここでNOならばステップS2−2に戻る。上記ステップS2−2,2−3,2−6を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。
【0065】
ステップS2−4にて、センサ信号装置17にて得られたセンシング情報が閾値を上回る場合には、ステップS2−2,2−3,2−4,2−6を実行し、ステップS2−6でNOならばステップS2−2に戻る。上記ステップS2−2,2−3,2−4,2−6を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。この場合には術者がフットスイッチ5を押しても、通電は行われない。
【0066】
ステップS2−6にて、術者が電気手術装置1の電源を切った場合、ステップS2−7に進み、終了する。
【0067】
次にステップS2−2にて、湾曲指示が行われる場合について説明する。ステップS2−1で処理がスタートする。ステップS2−2にて、湾曲部43の湾曲指示としてジョイスティック42からの信号が入ると、ステップS2−8に進む。ステップS2−8にて、通電指示としてフットスイッチ5からの信号が入ると、ステップS2−9に進む。ステップS2−9にて、センサ信号処理装置17は歪ゲージ8の信号を処理して、軟性鏡用電動湾曲電気メス40の先端部にかかる力を検出し、ステップS2−10に進む。ステップS2−10にて、ステップS2−2で得た湾曲指示情報とステップS2−9で得たセンシング情報に基づいてセンシング情報が閾値を上回らないように湾曲部43の湾曲制御が行われ、ステップS2−11に進む。
【0068】
ステップS2−11にて、ステップS2−4と同様の処理が行われ、センシング情報が閾値を下回るとき、ステップS2−12に進む。ステップS2−12にて、ステップS2−5と同様の処理が行われ、電極部7に通電がなされ、病変部は焼灼される。そしてステップS2−6でNOならばステップS2−2に戻る。上記ステップS2−2,2−8〜2−12,2−6を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。
【0069】
また、ステップS2−8にて、通電指示としてフットスイッチ5からの信号が入らないと、ステップS2−13に移行し、ステップS2−2で得た湾曲指示通りに湾曲制御が行われる。その後にステップS2−6に移行する。上記ステップS2−2,2−8,2−13,2−6を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。
【0070】
また、ステップS2−11にて、センシング情報が閾値を上回るとき、ステップS2−6に移行する。上記ステップ2−2,2−8,2−9,2−10,2−11,2−6を反復しながら(ループ制御)、術者が電源を切るか、フットスイッチ5を押すまで待機する。結果として、湾曲部47を湾曲制御してもセンサ測定値が閾値を下回らないため、電極部7の通電はなされない。
【0071】
以下に上記した第2実施形態を、内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD(endoscopic submucosal dissection)に適用したときの詳細を図6を用いて説明する。第1実施形態と共通の部分は説明を省略し、ここでは第1実施形態と異なる点のみを説明する。第2実施形態では、歪ゲージ8により検出される反発力F’が閾値より高い場合に、Fが小さくなるように湾曲部43の湾曲を制御する。湾曲を制御してもFが閾値よりも高い場合は、電極部7に印加する高周波電圧を制御する。このことによって、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に粘膜組織20を切開したり、固有筋層31を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0072】
なお、本実施形態では手技の一例として胃内におけるESDを挙げたが、本実施形態で示した原理を用いることで、他の軟性内視鏡とエネルギ手術装置を利用したあらゆる手技において、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0073】
以下に第2実施形態のそれぞれの装置が図8中のどの手段に相当するのかを示しておく。湾曲指示入力装置41は動力指示入力手段126に相当する。フットスイッチ5はエネルギ指示入力手段127に相当する。制御装置14は制御手段125−1及び調整手段125−2に相当する。出力トランス装置13はエネルギ供給手段124に相当する。軟性鏡用電動湾曲電気メス40は動力手段121および処置手段122に相当する。歪ゲージ8は状態変化検出手段123に相当する。
【0074】
なお、第2実施形態では、湾曲部43を湾曲する方法としてワイヤ46と電磁モータ44を用いたが、湾曲機構を有するものであればいかなる手段でも問題ない。例えば、電磁モータ44の代用として空気圧アクチュエータを用いてもよく、またワイヤ46と電磁モータ44の代わりに人工筋肉を用いても良い。
【0075】
また、電極部7を動作させるための方法として、滑らかに曲がる湾曲部43を用いたが、電極部7を動作させることが可能な方法ならばいかなる方法でも良い。例えば、屈曲機構や回転機構を用いても良い。
【0076】
また、湾曲指示手段としてジョイスティック41を用いたが、本実施形態において、入力方法の形態は特に制限しない。例えばハプティックデバイスやタッチパネル式モニタや音声認識を用いても良い。
【0077】
また、湾曲部43の湾曲と高周波信号を制御したがどちらか一方の制御でも良い。どちらか一方の制御を用いる場合には、術者によって制御対象を選択する入力インターフェイスを具備しても良い。
【0078】
また、電極部7の形状としてフックタイプを用いたが、形状は特に制限しない。曲がっていない形状や挟みこむ形状を用いても良い。
【0079】
(第3実施形態)
以下に、主として図13〜図15を用いて本発明の請求項1、2、4、5に関する第3実施形態を説明する。図13は本発明の第3実施形態の構成を示す図である。電気手術装置1の基本構成は図1の第1実施形態で示したものと同じであるが、ここでは軟性鏡用電気メス3の代わりに腹腔鏡手術に用いる電気メス50が接続される点が異なる。
【0080】
図14は電気手術装置1の内部構成を示す図である。内部構成に関しても図4の第1実施形態で示したものと同じである。第3実施形態の構成の作用は、図5で示したフローチャートと同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0081】
以下に上記した第3実施形態を、内視鏡下外科手術に適用したときの詳細を図15を用いて説明する。図15は内視鏡下外科手術の際の人体腹部53の断面図である。内視鏡下外科手術において、上記電気メス50は硬性内視鏡54と組み合わせて、処置を行うために用いる。
【0082】
以下は特に内視鏡下外科手術において、肝臓52を切除する場合を例としてあげる。予め、人体腹部53に複数の穴を開けておき、その穴に硬性内視鏡54や処置具を通すためのトラカール55を挿入しておく。硬性内視鏡54および電気メス50はこのトラカール55に挿入して用いる。そして手術する空間を確保するため、人体腹部53内を二酸化炭素等のガスで満たしておく。また、背中に対極板4を貼り付けておく。
【0083】
術者は電気メス50を操作し、電極部7を肝臓52に当てる。この状態で電極部7と電極板4の間に高周波電圧を印加することで、肝臓52を焼灼し、切開していく。ここで図中に示すように、電極部7から肝臓52に対してFの力がかかり、逆に肝臓52から電極部7に対してF’の反発力がかかる。ここで力Fと反発力F’には、F=F’の関係式が成り立つ。ここで力Fが過剰に大きい状態で高周波電圧を印加すると、必要以上に肝臓52を切開したり、穿孔したりしてしまう可能性がある。
【0084】
上記した第3実施形態では、歪ゲージ8の検出する反発力F’が閾値より高い場合に、電極部7に高周波電圧を印加することを制御する。このことによって、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に肝臓52を切開したり、穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。
【0085】
なお、本実施形態では手術の一例として内視鏡下外科手術を挙げたが、本実施形態で示した原理を用いることで、他の手術装置を利用したあらゆる手術においても、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。この際、特に内視鏡と共に利用する必要はなく、開腹下外科手術の際に本実施形態を用いても良い。
【0086】
以下に本実施形態のそれぞれの装置が図1中のどの手段に相当するのかを示しておく。フットスイッチ5はエネルギ指示入力手段105に相当する。制御装置14は調整手段104に相当する。出力トランス装置13はエネルギ供給手段103に相当する。電気メス50は処置手段101に相当する。歪ゲージ8は状態変化検出手段102に相当する。
【0087】
なお、本実施形態では、電極部7の形状として針状タイプを用いたが、形状は特に制限しない。曲がっていない形状や挟みこむ形状を用いても良い。
【0088】
(第4実施形態)
以下に、主として図16〜図18を用いて本発明の請求項7〜11に関する第4実施形態を説明する。
【0089】
図16は本発明の第4実施形態の構成を示す図である。電気手術装置1の基本構成は図9の第2実施形態で示したものと同じであるが、軟性鏡用電動湾曲電気メス40の代わりに腹腔鏡手術に用いる電動湾曲電気メス60が接続される点が異なる。また、湾曲部43の湾曲を指示するための手段として湾曲指示入力装置41の代わりにジョイスティック61及びレバー62を用いる。また、電磁モータ、プーリ、ワイヤは図示してないが、電動湾曲電気メス60に内装されているものとする。
【0090】
図17は電気手術装置1の内部構成を示す図である。内部構成に関しても図11の第2実施形態で示したものと同じである。第4実施形態の構成の作用は、図12で示したフローチャートと同様である。
【0091】
以下に上記した第4実施形態を、内視鏡下外科手術に適用した場合の詳細を図18を用いて説明する。図18は内視鏡下外科手術の際の人体腹部53の断面図である。内視鏡下外科手術において、上記電動湾曲電気メス60は硬性内視鏡54と組み合わせて、処置を行うために用いられる。
【0092】
以下は特に内視鏡下外科手術において、肝臓52を切除する場合を例としてあげる。
【0093】
予め、人体腹部53に複数の穴を開けておき、その穴に硬性内視鏡54や処置具を通すためのトラカール55を挿入しておく。硬性内視鏡54および電動湾曲電気メス60はこのトラカール55に挿入して用いる。そして手術する空間を確保するため、人体腹部53内を二酸化炭素等のガスで満たしておく。また、背中に対極板4を貼り付けておく。
【0094】
術者は電動湾曲電気メス60を操作し、湾曲部43の形状を変化させて、切除操作を最も行いやすいポジションを決めたのち、電極部7を肝臓52に当てる。この状態で電極部7と対極板4の間に高周波電圧を印加することで、肝臓52を焼灼し、切除していく。ここで図中に示すように、電極部7から肝臓52に対してFの力がかかり、逆に肝臓52から電極部7に対してF’の反発力がかかる。ここで力Fと反発力F’には、F=F’の関係式が成り立つ。ここでFが過剰に大きい状態で高周波電圧を印加すると、必要以上に肝臓52を切開したり、穿孔したりしてしまう可能性がある。
【0095】
上記した第4実施形態では、歪ゲージ8の検出する反発力F’が閾値より高い場合に、湾曲部43の湾曲をFが小さくなるように制御する。湾曲を制御してもFが閾値よりも高い場合は、電極部7に印加する高周波電圧を制御する。このことによって、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に肝臓52を切開したり、穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。なお、本実施形態では手術の一例として内視鏡下外科手術を挙げたが、本実施形態で示した原理を用いることで、他のエネルギ手術装置を利用したあらゆる手術においても、電極部7に対して過剰な力が加わったときに、必要以上に生体組織を切開したり、生体組織を穿孔したりすることを防止し、安全性を高めることができる。この際、特に内視鏡と共に利用する必要はなく、開腹下外科手術の際に本実施形態を用いても良い。
【0096】
以下に本実施形態のそれぞれの装置が図8中のどの手段に相当するのかを示しておく。ジョイスティック61およびレバー62は動力指示入力手段126に相当する。フットスイッチ5はエネルギ指示入力手段127に相当する。制御装置14は制御手段125−1および調整手段125−2に相当する。出力トランス装置13はエネルギ供給手段124に相当する。電動湾曲電気メス60は動力手段121および処置手段122に相当する。歪ゲージ8は状態変化検出手段123に相当する。
【0097】
なお、湾曲部43を湾曲する方法としてワイヤと電磁モータを用いたが、湾曲機構を有するものであればいかなる手段でも問題ない。例えば、電磁モータの代用として空気圧アクチュエータを用いてもよく、またワイヤと電磁モータの代わりに人工筋肉を用いても良い。
【0098】
また本実施形態では、電極部7の位置を制御するための方法として、滑らかに曲がる湾曲部43を用いたが、電極部7の位置を変えることが可能な方法ならばいかなる方法でも良い。例えば、屈曲機構や回転機構を用いても良い。
【0099】
また本実施形態では、湾曲指示手段として、ジョイスティック61およびレバー62を用いたが、本実施形態において、入力方法の形態は特に制限しない。例えばハプティックデバイスやタッチパネル式モニタや音声認識を用いても良い。
【0100】
また本実施形態では、湾曲指示手段は電動湾曲電気メス60に内装されているが、電動湾曲電気メスと離れていても良い。
【0101】
また本実施形態では、湾曲部43の湾曲と高周波信号を制御したが、どちらか一方の制御でも良い。どちらか一方の制御を用いる場合には、術者によって制御対象を選択する入力インターフェイスを具備しても良い。
【0102】
また本実施形態では、電極部7の形状として針状タイプを用いたが、形状は特に制限しない。曲がっていない形状や挟みこむ形状を用いても良い。
【0103】
なお、上記した第1から第4の各実施形態では、状態変化検出手段が測定する状態変化量として、電極部7にかかる力量を例としてあげたが、測定する状態変化量は力量に限定されない。例えば、電極部7にかかる歪量や、温度変化量、速度、加速度、位置情報を測定しても良い。
【0104】
また、上記各実施形態では軟性鏡用電気メス3にかかる力のセンシング手段として歪ゲージ8を用いたが、センサの種類は、光ファイバセンサやピエゾセンサ、半導体歪ゲージ、静電容量センサ等の他の力量検出センサを代用しても良い。また、力量検出以外の温度センサやMEMS圧力センサ、ジャイロセンサ、磁気センサを代用しても良い。
【0105】
また、歪ゲージ8の貼り方は特に限定しない。図7(A)、(B)に示すように、3枚や2枚の歪ゲージ8でも良い。このことによって電極部7に加わる力の方向や測定精度は損なわれるが、歪ゲージ8と該歪ゲージ8を接続するケーブルを減らして、装置の簡易化とコストの低減を実現することが可能となる。
【0106】
また、電極部7にかかる力が測定可能ならば、歪ゲージ8を貼る位置に関して、他の貼り方でも良い。また、高周波出力エネルギの指示入力手段としてフットスイッチ5を用いたが、例えばハンドスイッチや音声認識スイッチ等の他の指示入力手段を用いても良い。
【0107】
また、電極部7の材料としてSUS304を用いたが、導電性物体であれば他のもので代用することができる。
【0108】
また、上記各実施形態において、センサ信号処理装置17にて得たセンシング情報が閾値を上回らないか否かを判断し、電極部7の高周波信号をON/OFF制御したが、センサ信号処理装置17にて得たセンシング情報に基づいて制御装置14が電極部7の高周波信号を増減させる制御を行っても良い。
【0109】
さらに、上記各実施形態において軟性鏡用電気メスを用いたが、他のエネルギ処置具、例えば超音波処置具等にも適用することができる。
【0110】
(第5実施形態)
以下に、本発明の第5実施形態を説明する。内視鏡的粘膜下剥離術における偶発症として切開処置具などによる穿孔が挙げられる。これは、切開処置具を固有筋層に強く押し付けることが原因であるが、内視鏡のチャンネルを経由した処置具を内視鏡のアングル操作では切開処置具の先端に設けられた切開部にかかる力量を術者が感じ取ることが困難である。また、切開処置具を粘膜に押し付けることによって病変の周辺をマーキングする場合においても、処置具が長大であるために切開部にかかる力量を感じ取ることも困難であった。
【0111】
上記の課題を解決するために、第5実施形態は、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0112】
1. 切開処置具の先端に設けられた切開部にかかる力量を検知する機能を有する。
【0113】
2. 1.において、切開処置具は処置具の送り込みと振り分け動作をマニピュレータにて駆動する。
【0114】
3. 1.または2.において、切開部にかかる力量が固有筋層を穿孔する力量に達する前に警告する機構を設ける。
【0115】
4. 3.において、警告手段を内視鏡観察モニターに表示する。
【0116】
5. 2.において、切開部にかかる力量が粘膜筋層を穿孔する直前の力量に達した場合に、動作を停止する機能を設ける。
【0117】
6. 2.〜5.において、処置具システムに使用される処置具は局注針である。
【0118】
(第6実施形態)
以下に、本発明の第6実施形態を説明する。内視鏡的粘膜下剥離術における偶発症として切開処置具などによる出血が挙げられる。止血を防止しながら切開できることをコンセプトとして開発された高周波電源装置には、凝固とカットのモードを交互に切り替えるエンドカットモードなどが搭載されているが、切開処置具の移動が早い場合には血管を凝固する前に血管を切除するために出血する場合がある。さらに、出血した場合には止血作業を要するために、治療時間にも多大な影響を与えていた。
【0119】
上記の課題を解決するために、第5実施形態は、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0120】
1.高周波電源装置と組み合わせて使用する切開処置具において、先端に設けられたナイフ部の駆動を電気的に制御するとともに、高周波電源の出力設定の情報と連動してナイフ部の駆動速度を制御する機能を有する。
【0121】
2.高周波電源装置と組み合わせて使用する切開処置具を挿通し、切開処置具を任意の方向に駆動可能な駆動機構を有する内視鏡において、処置具の駆動を電気的に制御するとともに、高周波電源の出力設定の情報と連動してナイフ部の駆動速度を制御する。
【0122】
3.1.または2.において、高周波電源のモードはエンドカットモードである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、第1実施形態の概略を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態の構成を示す図である。
【図3】図3は、軟性鏡用電気メス3の歪ゲージ8が貼り付けてある部分A−Aの断面図である。
【図4】図4は、電気手術装置1の内部構成を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態の構成の作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態をESDに適用したときの詳細を説明するための図である。
【図7】図7は、3枚や2枚の歪ゲージ8を用いた例を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態の概略を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態の構成を示す図である。
【図10】図10は、軟性鏡用電動湾曲電気メス40を軟性内視鏡19に挿入する際の全体図である。
【図11】図11は、電気手術装置1の内部構成を示す図である。
【図12】図12は、第2実施形態の構成の作用を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態の構成を示す図である。
【図14】図14は、電気手術装置1の内部構成を示す図である。
【図15】図15は、内視鏡下外科手術の際の人体腹部53の断面図である。
【図16】図16は、本発明の第4実施形態の構成を示す図である。
【図17】図17は電気手術装置1の内部構成を示す図である。
【図18】図18は、第4実施形態を、内視鏡下外科手術に適用した場合の詳細を説明するための図である。
【符号の説明】
【0124】
1…電気手術装置、
2…電源コード、
3…軟性鏡用電気メス、
4…対極板、
5…フットスイッチ、
6a〜6f…コード、
7…電極部、
8…歪ゲージ、
9…絶縁カバー、
10…ハンドル、
12…AC/DC変換装置、
13…出力トランス装置、
14…制御装置、
15…波形発生装置、
16…パワーアンプ装置、
17…センサ信号処理装置、
18…CPU装置、
19…軟性内視鏡、
20…粘膜組織、
21…挿入部、
22…手元操作部、
23…ユニバーサルコード、
24…内視鏡先端部、
25…内視鏡湾曲部、
26…内視鏡可撓管、
27…観察窓、
28…照明窓、
29…チャンネル管路先端開口部、
30…チャンネル管路末端開口部、
31…固有筋層、
32…生理食塩水、
33…閾値入力装置、
34…閾値表示装置、
35a〜35c…閾値設定ボタン、
36…病変部、
40…軟性鏡用電動湾曲電気メス、
41…湾曲指示入力装置、
42…ジョイスティック、
43…湾曲部、
44…電磁モータ、
45…プーリ、
46…ワイヤ、
47…モータ制御装置、
48…モータボックス、
50…電気メス、
51…皮膚、
52…肝臓、
53…人体腹部、
54…硬性内視鏡、
55…トラカール、
60…電動湾曲電気メス、
61…ジョイスティック、
62…レバー、
100…被検体、
101…処置手段、
102…状態変化検出手段、
103…エネルギ供給手段、
104…調整手段、
105…エネルギ指示入力手段、
106…術者、
120…被検体、
121…動力手段、
122…処置手段、
123…状態変化検出手段、
124…エネルギ供給手段、
125−1…制御手段、
125−2…調整手段、
126…動力指示入力手段、
127…エネルギ指示入力手段、
128…術者。
【出願人】 【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−61962(P2008−61962A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245974(P2006−245974)