トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 手術用処置装置及び、手術用処置装置の駆動方法
【発明者】 【氏名】木村 健一

【要約】 【課題】従来の手術用装置を使用する際には、処置対象となる生体組織の種類(筋肉、脂肪組織、実質臓器等)や状態(体液が多い状態、又は非常に乾燥した状態等)に応じて、操作者は、予め定めた最適な高周波出力及び超音波出力になるように繁雑な操作により設定した後、処置を実施している。

【構成】高周波電流が供給されるプローブと、プローブに高周波電流を供給する高周波駆動回路及びプローブに固着し超音波振動を与える超音波振動子を備えるハンドピースと、前記超音波振動子を駆動する超音波振動子駆動回路とで構成され、前記超音波振動子駆動回路は、高周波駆動回路にて検出したインピーダンス値に基づき、超音波振動子に供給する電流値を調整し、超音波振動子の振幅を制御する手術用処置装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に生体組織を処置する処置部が設けられ、指示により高周波電流が供給されるプローブと、前記プローブに固着され、該プローブを超音波振動させる超音波振動子とを備えるハンドピースと、
前記プローブに高周波電流を供給する高周波駆動回路と、
前記超音波振動子を駆動する超音波振動子駆動回路と、
を具備し、
前記超音波振動子駆動回路は、前記高周波駆動回路にて検出される高周波出力時のインピーダンス値の大きさに合わせて、前記処置部における超音波振動の振幅を制御することを特徴とする手術用処置装置。
【請求項2】
前記高周波駆動回路は、インピーダンス値の増大に伴って、高周波出力が低減する出力特性を有し、
前記超音波振動子駆動回路は、インピーダンス値の増大に伴って処置部に与える超音波振動の振幅を大きくさせることを特徴とする請求項1に記載の手術用処置装置。
【請求項3】
前記処置部に与えられる前記超音波振動の振幅が最大の時に、前記処置部の振動速度は、7.4m/s〜22.1m/sの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の手術用処置装置。
【請求項4】
前記高周波駆動回路と前記超音波振動子駆動回路は、各々独立して出力制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の手術用処置装置。
【請求項5】
前記ハンドピースは、少なくとも第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、
前記第1のスイッチは、第1の出力モードで前記処置部を駆動する指示を行い、
前記第2のスイッチは、第2の出力モードで前記処置部を駆動する指示を行い、
前記第1のスイッチと第2のスイッチが独立して操作され、前記生体組織を処置する前記プローブの処置部に、高周波電流及び超音波振動の両方又はいずれか一方が供給されることを特徴とする請求項1に記載の手術用処置装置。
【請求項6】
さらに、前記超音波振動子駆動回路及び前記高周波駆動回路の駆動を指示するフットスイッチを具備することを特徴とする請求項5に記載の手術用処置装置。
【請求項7】
生体組織を処置するプローブの処置部に、高周波電流及び超音波振動の両方又はいずれか一方が供給され、
前記プローブに高周波電流を供給する高周波駆動回路が検出した前記生体組織と前記処置部との間における高周波出力時のインピーダンス値の大きさに合わせて、前記処置部に与える前記超音波振動の振幅を制御することを特徴とする手術用処置装置の駆動方法。
【請求項8】
前記プローブに前記高周波出力が供給されるモードが、
止血成分をほとんど含まない凝固処置が不要な切開出力である第1高周波出力モードと、
止血成分を含み凝固処置が必要な切開出力である第2高周波出力モードと、
剥離成分の弱い凝固出力である第3高周波出力モードと、
剥離成分の強い凝固出力モードである第4高周波出力モードと、
生体組織の広い範囲を一様に放電止血するために使用する凝固出力である第5高周波出力モードと、
前記高周波出力が前記プローブに供給されない第6の高周波出力モードと、
のうちの1つの高周波出力モードが選択され、
前記プローブに前記超音波振動が供給されるモードが、
前記超音波振動の振幅が設定値を維持する第1の超音波出力モードと、
前記超音波振動の振幅が前記高周波出力時のインピーダンス値に連動して変化する第2の超音波出力モードと、
前記超音波振動が前記プローブに出力されない第3の高周波出力モードと、
のうちの1つの超音波出力モードが選択され、
前記高周波出力モードと前記超音波出力モードの組み合わせにより、前記手術用処置装置が駆動されることを特徴とする請求項7に記載の手術用処置装置の駆動方法。
【請求項9】
前記高周波出力時のインピーダンス値の増大に伴って、前記処置部に与える超音波振動の振幅を大きくさせることを特徴とする請求項7に記載の手術用処置装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流を用いて生体組織に対して、切開及び凝固する処置を行う手術用処置装置及び、手術用処置装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に手術の際、手術用メスの他に、生体組織に対して止血(凝固)と同時に切開ができる、高周波電流を利用した電気メス等の処置装置が用いられている。この処置装置として例えば、特許文献1において、高周波電流を利用して生体組織の処置を行う電極部により構成されるメス先電極と、メス先電極に高周波電流を供給する高周波電流供給部と、メス先電極に超音波振動を供給する超音波振動供給部と、を有する手術用装置が開示されている。
【0003】
この手術用装置は、メス先電極により生じる生体組織の焦げ付きを防止するために、メス先電極に対して高周波電流を供給している間、メス先電極が超音波振動するように構成されている。この手術用装置を使用する際には、処置対象となる生体組織の種類(筋肉、脂肪組織、実質臓器等)や状態(体液が多い状態、又は非常に乾燥した状態等)に応じて、操作者は、予め定めた最適な高周波出力及び超音波出力になるように繁雑な操作により設定した後、処置を実施している。
【特許文献1】特開2002−306507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この手術用装置は、メス先電極により生じる生体組織の焦げ付きを防止するために、メス先電極に対して高周波電流を供給している間、メス先電極が超音波振動するように構成されている。この手術用装置を使用する際には、処置対象となる生体組織の種類(筋肉、脂肪組織、実質臓器等)や状態(体液が多い状態、又は非常に乾燥した状態等)に応じて、操作者は、予め定めた最適な高周波出力及び超音波出力になるように繁雑な操作により設定した後、処置を実施している。
【0005】
そこで本発明は、操作が簡便であり、生体組織の種類や状態に応じて最適な処置を実施することができる手術用処置装置及び、手術用処置装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、先端側に生体組織を処置する処置部が設けられ、指示により高周波電流が供給されるプローブと、前記プローブに固着され、該プローブを超音波振動させる超音波振動子とを備えるハンドピースと、前記プローブに高周波電流を供給する高周波駆動回路と、前記超音波振動子を駆動する超音波振動子駆動回路と、により構成され、前記超音波振動子駆動回路は、前記高周波駆動回路にて検出される高周波出力時のインピーダンス値の大きさに合わせて、前記処置部における超音波振動の振幅を制御する手術用処置装置を提供する。
【0007】
さらに、生体組織を処置するプローブの処置部に、高周波電流及び超音波振動の両方又はいずれか一方が供給され、前記プローブに高周波電流を供給する高周波駆動回路が検出した前記生体組織と前記処置部との間における高周波出力時のインピーダンス値の大きさに合わせて、前記処置部に与える前記超音波振動の振幅を制御する手術用処置装置の駆動方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作が簡便であり、生体組織の種類や状態に応じて最適な処置を実施することができる手術用処置装置及び、手術用処置装置の駆動方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る手術用処置装置の外観構成を示す図である。
【0011】
この手術用処置装置1は、主として、超音波駆動装置2と、高周波駆動装置3と、ハンドピース4と、により構成される。超音波駆動装置2と高周波駆動装置3は、通信ケーブル5により接続されている。ハンドピース4は、出力用接続ケーブル6、及びSW用接続ケーブル7により超音波駆動装置2にコネクタ接続され、さらに出力用接続ケーブル8により高周波駆動装置3にコネクタ接続されている。また高周波駆動装置3には、対極板9が接続ケーブル10によりコネクタ接続されている。超音波駆動装置2には、操作表示パネル46が設けられ、高周波駆動装置3には、操作表示パネル53が設けられている。
【0012】
次に、ハンドピース4について説明する。
【0013】
図2はハンドピース4の断面図を示している。ハンドピース4は、外装として、先端側(プローブ25側)にシース本体27が設けられ、後端側に略円筒状のケース11が設けられ、ケース11とシース本体27は嵌合(to fit into)されている。ケース11とシース本体27は、それぞれ絶縁性を有する樹脂材料により形成される。但し、絶縁性を有していれば、樹脂材料に限定されるものではない。
【0014】
出力用接続ケーブル6及び出力用接続ケーブル8は、ケース11の後端側に固定され、後端に一体的に設けられた保護用の弾性部材24を貫通して、前述した超音波駆動装置2及び高周波駆動装置3にコネクタ接続される。
【0015】
このケース11内には、超音波振動を発生する超音波振動子(例えば、ボルト締めランジュバン型振動子)12が固定されている。この超音波振動子12には、超音波駆動装置2から供給された電力を超音波振動に変換するためのリング形状の複数の圧電素子13が設けられている。本実施形態では、一例として6個の圧電素子13を直線的に配置する構成を示しているが、個数は設計仕様により適宜変更すればよい。
【0016】
圧電素子13の列先端側には、圧電素子13で発生した超音波振動を増幅するためのホーン14が設けられている。このホーン14は、チタン、ジュラルミン又はステンレス等の金属材料により形成される。
【0017】
一方、ホーン14の後端側にはボルト15が形成されている。このボルト15は、パイプ状の絶縁部材16を介して圧電素子13のリング内に挿通されている。圧電素子17は、圧電素子13の列後端側に設けられた金属製のナット17とボルト15を締め付け固定される。
【0018】
尚、列先端の圧電素子13とホーン14の間には、リング状の絶縁部材18が介在される。同様に、列後端の圧電素子13とナット17の間には、リング状の絶縁部材19が介在される。圧電素子13は、これらの絶縁部材18,19及び16により、ホーン14とナット17に対して電気的に絶縁されている。これらの圧電素子13は、金属製のブリッジ20、21を介して、出力用接続ケーブル6内の導線22に接続される。導線22を通じて超音波駆動用の電力が各圧電素子13に供給される。また、ナット17には、出力用接続ケーブル8内の導線23が接続され、導線23を通じて、高周波電流がナット17及びホーン14に供給される。
【0019】
また、ホーン14の先端側には、ホーン14で増幅した超音波振動を伝達するためのプローブ25がねじにより締結(conclusion)されている。プローブ25は、ホーン14と同様に、チタンやジュラルミン、ステンレス等の金属材料により形成される。プローブ25の先端側には、生体組織を処置するための処置部26が設けられている。
【0020】
図2では、一例として、略平板形状であるヘラ型処置部26を示している。このヘラ型処置部26は、平板形状以外に、図3に示すようなフック型処置部や、図4に示すようなボール型処置部としても良い。
【0021】
また、シース本体27の先端側には、金属パイプ28と、金属パイプ28を覆う絶縁チューブ29が取り付けられている。金属パイプ28の先端側には、プローブ25と金属パイプ28との接触を防止しつつ、ガタツキを無くす支持部材30が設けられている。これらの絶縁部材29と支持部材30は、電気絶縁性が良好なPTFE等の樹脂材料により形成される。
【0022】
さらに、シース本体27には、ハンドスイッチ31として機能する第1スイッチ32と第2スイッチ33が設けられている。これらの第1スイッチ32と第2スイッチ33は、電気回路基板34に実装され、シース本体27内に収容されている。電気回路基板34の接続端子(パッド)には、SW用接続ケーブル7内の導線35が半田付けなどにより接続されている。SW用接続ケーブル7は、シース本体27の後端側から外部に延出して、超音波駆動装置2にコネクタ接続されている。これにより、第1スイッチ32と第2スイッチ33の電気信号(開放、短絡)がSW用接続ケーブル7によって超音波駆動装置2に伝えられる。
【0023】
図5は、超音波駆動装置2と高周波駆動装置3の構成を示すブロック図である。
【0024】
超音波駆動装置2内には、超音波振動子駆動回路37が収容されている。この例では、共振追尾方式としてPLL制御方式、及び振幅制御方式として電流制御方式が採用されている。
【0025】
超音波振動子駆動回路37は、位相追尾回路(PLL)38と、乗算器である電圧制御アンプ(VCA)39と、超音波振動子12にパワーを与えるための電流を生成する電力増幅器(AMP)40と、電圧電流検出部(DET)41と、出力トランス42とが順次直列に接続された出力回路と、を備えている。
【0026】
出力トランス42の出力ポートには、コネクタ接続された出力用接続ケーブル6を介して、ハンドピース4が接続されている。尚、出力トランス42により、超音波振動子駆動回路37とハンドピース4との間は、直流成分が流れないように分離されている。また、位相追尾回路(PLL)38は、超音波振動子12の共振周波数を追尾して共振点駆動するための回路である。
【0027】
位相追尾回路(PLL)38には、電圧電流検出部(DET)41が接続されている。さらに、電圧電流検出部(DET)41には、PLLを掛けるための電圧と電流の位相信号を検出し、あるいは超音波振動子12に流れる電流の大きさを検出する回路が含まれている。さらに、超音波振動子駆動回路37には、差動増幅器43と、D/Aコンバータ44と、CPU45とが設けられている。この構成では、CPU45に、D/Aコンバータ44と、操作表示パネル46とが接続されている。
【0028】
またCPU45は、SW用接続ケーブル7を介して、第1、第2スイッチ32、33に接続される。また、差動増幅器43の一方の入力端には電圧電流検出部(DET)41が、他方の入力端にはD/Aコンバータ44がそれぞれ接続されている。ここで、D/Aコンバータ44では、CPU45で指示した超音波出力条件に対応した電流の大きさを指示する信号を出力する。
【0029】
さらに、差動増幅器43の出力端は、電圧制御アンプ(VCA)39に接続されている。差動増幅器43では、D/Aコンバータ44から出力された信号と電圧電流検出部(DET)41から検出された電流の大きさとを比較して、これらの差が無くなるように動作して差動増幅器43からの増幅出力が電圧制御アンプ(VCA)39に供給される。これにより、超音波振動子12に加える電圧の大きさが制御され、超音波振動子12に流れる電流がCPU45で指示した出力条件と同じになるように制御している。
【0030】
高周波駆動装置3内には、高周波駆動回路48が収容されている。高周波駆動回路48は、高周波出力用及び制御用の電力を供給する可変電圧源(SW電源)49と、電力増幅器(AMP)50と、センサ51とが順次直列に接続され、出力回路として構成されている。センサ51は、コネクタ接続された出力用接続ケーブル8を介してハンドピース4に接続され、さらに接続ケーブル10を介して対極板9に接続される。
【0031】
さらに、高周波駆動回路48には、出力制御部52が設けられている。この出力制御部52には、センサ51と、可変電圧源(SW電源)49と、電力増幅器(AMP)50と、操作表示パネル53と、が接続され、センサ出力信号(モニタ信号)の処理及び各構成部位の制御を行っている。
【0032】
可変電圧源(SW電源)49は、高周波出力用、及び制御用の電力を発生させる。電力増幅器(AMP)50は、高周波電力の増幅、及び出力波形の整形を行う。センサ51は、高周波出力(電圧値、電流値)の変化をモニタし、モニタ信号を出力制御部52に送る。出力制御部52では、センサ51からのモニタ信号を基に、可変電圧源(SW電源)49と電力増幅器(AMP)50に制御信号を送る。これにより、高周波出力の制御が行われる。尚、超音波振動子駆動回路37のCPU45と高周波駆動回路48の出力制御部52とは、双方向に信号を伝達可能な通信ケーブル5により接続されている。CPU45からは、ハンドスイッチ31のON、OFF信号が出力制御部52に送られる。
【0033】
この出力制御部52は、センサ51のモニタ信号(電圧値、電流値)に基づき、随時又は、予め定めた任意の時間間隔で演算される高周波出力時のインピーダンス値(ハンドピース4と対極板9間のインピーダンス値)の大きさを示す信号が算出された都度、CPU45に送られる。
【0034】
さらに、超音波駆動装置2の操作表示パネル46と、高周波駆動装置3の操作表示パネル53とは、CPU45、通信ケーブル5、及び出力制御部52を介して接続されている。操作表示パネル46と操作表示パネル53に表示される設定項目や情報内容は、同じ情報が表示されるように考慮されている。勿論、必要な情報のみを共有して、それ以外は異なる表示を行ってもよい。
【0035】
図6には、一例として、手術用処置装置1の出力モード一覧を示す。
高周波駆動装置3では、従来のモノポーラ型電気メス装置と同様に、「Cut-Pure」(止血成分をほとんど含まない(又は凝固処置が不要な)切開出力)、「Cut-Blend」(ある程度の止血成分を含む切開出力)、「Coag-Soft」(剥離成分の弱い凝固出力)、「Coag-Hard」(剥離成分の強い凝固出力)、「Coag-Spray」(組織の広い範囲を一様に放電止血するために使用する凝固出力)、の各々の出力モードでの高周波出力が可能となっている。超音波駆動装置2では、「On」(超音波振動の振幅が設定値を維持する超音波出力)、「Auto」(超音波振動の振幅が高周波出力時のインピーダンス値に連動して変化する超音波出力)、の各々の出力モードでの超音波出力が可能となっている。これらの高周波出力と超音波出力の組み合わせに対して、それぞれに番号が付与されている。後述する操作表示パネルにおける設定の際に、選択された出力モードが番号により表示される。
【0036】
手術用処置装置1では、高周波出力の各出力モードと、超音波出力の各出力モードとを組み合わせて出力することができる。さらに、高周波出力の「Off」(出力を行わない)に対して、超音波出力の「On」(超音波振動の振幅が設定値を維持する超音波出力)、又は超音波出力の「Max」(超音波振動の振幅が最大値を維持する超音波出力)のいずれかを組合せて出力させることもできる。即ち、超音波出力のみが行われる。
【0037】
また、高周波出力の各出力モード(例えば、「Cut-Pure」や「Coag-Hard」)と、超音波出力の「Off」(出力を行わない)とを組み合わせて出力させることもできる。即ち、高周波出力のみが行われる。
【0038】
次に図7及び図8には、高周波出力の出力特性(負荷特性)の例を示す。
【0039】
図7は、高周波出力時のインピーダンス(ハンドピース4と対極板9間のインピーダンス)を横軸に、最大出力設定時の高周波出力を縦軸にプロットした特性を示している。図中、特性線aは、「Coag-Soft」の出力特性、特性線bは、「Coag-Hard」の出力特性を示している。
【0040】
「Coag-Soft」、及び「Coag-Hard」は、共に、従来のモノポーラ型電気メス装置と同様に、インピーダンスが高くなると、高周波出力が低減する出力特性を有している。尚、「Coag-Soft」に比べ、「Coag-Hard」は、インピーダンスの増加に伴う高周波出力の低減が緩やかな特長を有している。この出力特性の違いが、剥離成分の強弱として作用することになる。また、図8に示す特性線c(太線)は、「Coag- Hard」で出力設定を50Wにしたときの出力特性を示している。この特性線cで示すように、インピーダンスが約2.5kΩまでは高周波出力50Wが維持され、2.5kΩ以降は高周波出力が徐々に減少し、5kΩでは、約25Wに半減している。
【0041】
次に、図9〜図11には、超音波出力の出力特性が異なる例を示している。これらの図9〜図11は、何れも、高周波出力時のインピーダンス(ハンドピース4と対極板9間のインピーダンス)を横軸に、超音波出力を縦軸にそれぞれプロットした特性を示している。尚、超音波出力の大きさ(volume)は、「100%」が最大出力(超音波振動の振幅が最大)であることを示している。尚、ハンドピース4の処置部26における振動速度Vは、「100%」設定で、約7.4m/s〜22.1m/sの範囲にすることが好ましい。振動速度Vは、以下の式で表される。
【0042】
V=π・x・fr
ここで、xは超音波振動の振幅(peak to peak値)、frは超音波振動の共振周波数である。すなわち、「100%」設定では、frが23.5kHzのときxは約100μm〜300μmの範囲が好適し、frが47kHzのときxは50μm〜150μmの範囲が好適する。
【0043】
図9に示す特性線dは、超音波出力モード「On」で出力設定を70%にしたときの出力特性を示し、特性線eは、超音波出力モード「Max」の出力特性を示している。何れも、インピーダンス値に関わらず、一定の超音波出力(超音波振動の振幅)が維持されている。
【0044】
図10に示す特性線fは、超音波出力モード「Auto」の出力特性の一例を示している。ここでは、インピーダンスが高くなると、超音波出力が段階的に増加する出力特性が現れている。インピーダンスが2kΩまでは超音波出力30%、2kΩから4kΩまでは超音波出力70%、4kΩ以降は超音波出力100%が維持されている。
【0045】
図11に示す特性線gは、超音波出力モード「Auto」の出力特性の別の例を示している。ここでは、インピーダンスが高くなると、超音波出力が滑らかに増加する出力特性が現れている。インピーダンスが約1kΩまでは超音波出力30%が維持され、約1kΩから約4kΩまでは超音波出力が滑らかに増加し、約4kΩ以降は超音波出力100%が維持されるようになっている。
【0046】
図12Aは、超音波駆動装置2の操作表示パネル46における表示の一例を示し、図12Bは、高周波駆動装置3の操作表示パネル53における表示の一例を示している。
【0047】
操作表示パネル46には、第1出力モード表示部55と第1出力モード設定部56が表示されている。
【0048】
また、操作表示パネル46には、第2出力モード表示部57と第2出力モード設定部58が表示されている。さらに、操作表示パネル46には超音波出力設定表示部59と超音波出力設定部60が表示されている。操作表示パネル53には、第1出力モード表示部61と第1出力設定表示部62と第1出力設定部63が表示されている。また、操作表示パネル53には、第2出力モード表示部64と第2出力設定表示部65と第2出力設定部66が表示されている。
【0049】
このような表示構成において、操作者は、先ず、操作表示パネル46の第1出力モード設定部56で第1出力モードを選択し、操作表示パネル46の第2出力モード設定部58で第2出力モードを選択する。これらの選択により、第1出力モード表示部55には選択された第1出力モードの内容が表示され、第2出力モード表示部57には選択された第2出力モードの内容が表示される。
【0050】
図12Aでは、第1出力モードとして図6で説明した「No1」が選択され、第2出力モードとして、図6で説明した「No12」が選択されたことを示している。次に、操作表示パネル46の超音波出力設定部60で超音波出力の「On」における超音波出力の設定値(振幅の設定値)を設定する。図12Aでは、超音波出力「70%」(振幅の設定値が最大振幅の70%)が設定されたことを示している。
【0051】
ここで、操作表示パネル46による設定を示す信号が、通信ケーブル5を介して、CPU45から出力制御部52に送られる。そして、操作表示パネル53の第1出力モード表示部61には、第1出力モード設定部56により選択された第1出力モードの高周波出力モード(第1の高周波出力モード)の内容が表示され、操作表示パネル53の第2出力モード表示部64には、第2出力モード設定部58により選択された第2出力モードの高周波出力モード(第2の高周波出力モード)が表示される。
【0052】
そして、図12Bに示すように、操作表示パネル53の第1出力設定部63により設定した第1の高周波出力モードの出力設定値(ここでは、「40W」)が第1出力設定表示部62に表示され、操作表示パネル53の第2出力設定部66により設定した第2の高周波出力モードの出力設定値(ここでは、「50W」)が第2出力設定表示部65に表示される。尚、本実施形態では、第1出力モードは、ハンドピース4の第1スイッチ32に対応し、第2出力モードは、第2出力スイッチ33に対応している。
【0053】
この対応を示すキャラクタ67,68が、第1出力モード表示部55、第1出力モード表示部61、及び第2出力モード表示部57、第2出力モード表示部64の近傍に表示される。
【0054】
図13Aは操作表示パネル46の別の表示例を示し、図13Bは操作表示パネル53の別の表示例を示している。図13Aでは、第1出力モードとして、図6で示した「No8」が選択され、第2出力モードとして、図6で示した「No17」が選択されたことを示している。ここで、第2出力モードは、高周波出力が「Off」であるため、操作表示パネル53の第2出力モード表示部64と第2出力設定表示部65は、自動的に表示が無効状態(「―――」の表示)となる。また、第1出力モードは、超音波出力が「Off」、第2出力モードは超音波出力が「Max」であるため、操作表示パネル46の超音波出力設定表示部59は、自動的に表示が「100%」となる。
【0055】
次に、本実施形態の手術用処置装置1による生体組織の処置について説明する。
先ず、対極板9を手術対象となる生体組織に密着させる。
【0056】
次に、手術用処置装置1の出力条件(第1出力条件、第2出力条件)を設定する。この出力条件の設定は、超音波駆動装置2の操作表示パネル46と、高周波駆動装置3の操作表示パネル53とを操作して行われる。
【0057】
この設定に伴い、設定された第1出力条件と第2出力条件は、操作表示パネル46及び操作表示パネル53に表示される。図12A,12B,13A,13Bを参照。設定する際に、第1出力条件は、第1出力モード表示部55、第1出力モード表示部61、及び第1出力設定表示部62に表示される。第2出力条件は、第2出力モード表示部57、第2出力モード表示部64、及び第2出力設定表示部65に表示される。
【0058】
次に、ハンドピース4の処置部26を生体組織の処置対象部位に接触させる。そして、ハンドスイッチ31の第1スイッチ32をON操作することにより、第1出力条件にてハンドピース4が駆動される。又は、ハンドスイッチ31の第2スイッチ33をON操作することにより、第2出力条件にてハンドピース4が駆動される。これにより、ハンドピース4の処置部26と接触した生体組織が、超音波出力、及び/又は高周波出力により処置される。
【0059】
以下に、各出力条件での作用について説明する。
【0060】
先ず、高周波出力の「Off」に対して、超音波出力の「On」、又は超音波出力の「Max」のいずれかを組合せた出力条件(図6のNo16、又はNo17)について説明する。ここでは、超音波出力のみが行われる。ハンドスイッチ31をON操作すると、超音波振動子駆動回路37によりハンドピース4の超音波振動子12が駆動される。
【0061】
これにより、プローブ25が超音波振動を開始し、プローブ25の処置部26と接触した生体組織は、超音波振動による摩擦熱によって凝固、切開される。尚、超音波出力「On」では、操作表示パネル46の超音波出力設定部60で設定した設定値(例えば、70%)で超音波出力が行われ、超音波出力「Max」では、超音波出力100%で出力される。ここでは、超音波出力「On」、及び「Max」の設定では、共に一定の超音波出力(超音波振動の振幅)が維持される。本実施形態では、振幅制御方式として電流制御方式を採用しているため、超音波振動子12は、定電流制御により駆動される。すなわち、従来の超音波凝固切開装置と同様の処置が行われる。
【0062】
次に、高周波出力の各出力モードと、超音波出力「Off」とを組合せた出力条件(図6におけるNo2,No5,No8,No11又はNo14)について説明する。ここでは、超音波は出力されず、高周波のみが出力される。
【0063】
ハンドスイッチ31をON操作すると、超音波振動子駆動回路37のCPU45から高周波駆動回路48の出力制御部52にON信号が送られる。そして、高周波駆動回路48が駆動され、ハンドピース4の処置部26と対極板9間に高周波電流が流れる。これにより、処置部26と接触した生体組織は、高周波電流によるジュール熱によって凝固されつつ、切開される。すなわち、従来のモノポーラ型電気メス装置と同様な処置が行われる。
【0064】
次に、高周波出力の各出力モードと、超音波出力の「On」とを組合せた出力条件(図6のNo1,No4,No7,No10又はNo13)について説明する。ここでは、高周波出力と超音波出力が同時に行われる。
【0065】
ハンドスイッチ31をON操作すると、超音波振動子駆動回路37によりハンドピース4の超音波振動子12が駆動され、プローブ25が超音波振動する。また、ハンドスイッチ31のON信号が高周波駆動回路48の出力制御部52に送られ、ハンドピース4の処置部26と対極板9間に高周波電流が流れる。
【0066】
これにより、処置部26と接触した生体組織は、超音波出力と高周波出力の双方により処置される。ここで、超音波振動子12は、定電流制御により駆動され、操作表示パネル46の超音波出力設定部60で設定した設定値(例えば、70%)での超音波出力が維持される。
【0067】
尚、高周波出力は、図7及び図8に示す出力特性となる。すなわち、生体組織の電気的インピーダンスが比較的低いときは、設定した高周波出力が維持されるが、インピーダンスが比較的高くなると、高周波出力は低減する。
【0068】
従って、生体組織の電気的インピーダンスが低い状態(例えば、生体組織に多量の血液等が付着した状態)のときには、超音波出力の設定値を予め低め(例えば、30%)に設定することにより、高周波出力で十分な凝固、切開が行われると同時に、超音波出力によるプローブ先端からのキャビテーションの影響(例えば、血液等の飛散)を最小限に抑えることができる。
【0069】
一方、生体組織の電気的インピーダンスが高い状態(例えば、生体組織が非常に乾燥した状態)のときには、超音波出力の設定値を予め高め(例えば、100%)に設定することにより、高周波出力が低減しても超音波出力の作用により、十分な凝固、切開を行うことができる。尚、超音波出力が低め又は、高めの何れ状態の場合においても、プローブ25の処置部26が超音波振動することにより、処置部26への生体組織の付着や焦げ付きが防止されるため、常に良好な凝固、切開を維持することができる。
【0070】
次に、高周波出力の各出力モードと、超音波出力の「Auto」とを組合せた出力条件(図6におけるNo3,No6,No9,No12又はNo15)について説明する。ここでは、高周波出力と超音波出力が同時に行われ、超音波出力の大きさ(volume)は高周波出力時のインピーダンスの大きさに連動して変化する。
【0071】
ハンドスイッチ31をON操作すると、超音波振動子駆動回路37によりハンドピース4の超音波振動子12が駆動され、プローブ25が超音波振動する。また、ハンドスイッチ31のON信号は、高周波駆動回路48の出力制御部52に送られ、ハンドピース4の処置部26と対極板9間に高周波電流が流れる。これにより、処置部26と接触した生体組織は、超音波出力と高周波出力の双方により処置される。
【0072】
このとき、高周波駆動回路48の出力制御部52から、超音波振動子駆動回路37のCPU45に、高周波出力時のインピーダンスの大きさを示す信号が送られる。この信号を基に、CPU45は、図10や図11に示すような超音波出力条件をD/Aコンバータ44に指示し、D/Aコンバータ44ではCPU45で指示した超音波出力条件に対応した電流の大きさを指示する信号を生成する。
【0073】
これにより、超音波出力(超音波振動の振幅)の大きさは、高周波出力時のインピーダンスの大きさに連動して変化する。尚、このときの高周波出力の出力特性は、図7、8に示す様になる。すなわち、生体組織の電気的インピーダンスが比較的低いときは、設定した高周波出力が維持されるが、インピーダンスが比較的高くなると、高周波出力は低減する。ここで、一例として、図6に示すNo12で示す出力条件(高周波出力「Coag-Hard」と超音波出力「Auto」の組合せ)であれば、図14に示すような出力特性となる。
【0074】
図14は、高周波出力「Coag-Hard」の設定値を50Wに設定したときの例である。
【0075】
図14に示す様に、生体組織の電気的インピーダンスが約2kΩ以下と低い状態(例えば、生体組織に多量の血液等が付着した状態)のときには、高周波出力は50Wとなり、超音波出力は30%となる。よって、高周波出力で十分な凝固、切開が行われると同時に、超音波出力によるプローブ先端からのキャビテーションの影響(例えば、血液等の飛散)を最小限に抑えることができる。
【0076】
また、生体組織の電気的インピーダンスが約4kΩ以上と高い状態(例えば、生体組織が非常に乾燥した状態)のときには、高周波出力は約30W以下となり、超音波出力は100%となる。これにより、高周波出力が低減しても超音波出力の作用により、十分な凝固、切開を行うことができる。
【0077】
一方、生体組織の電気的インピーダンスが約2kΩ〜4kΩと中程度の状態(生体組織が通常の状態)のときには、高周波出力は約50W〜30Wとなり、超音波出力は70%となる。これにより、高周波出力と超音波出力の作用により、十分な凝固、切開を行うことができる。尚、電気的インピーダンスが何れの状態であっても、プローブ25の処置部26が超音波振動することにより、処置部26への生体組織の付着や焦げ付きが防止されるため、常に良好な凝固、切開を維持することができる。
【0078】
また、処置する生体組織の電気的インピーダンス(すなわち、処置する生体組織の種類や状態)に応じて、高周波出力、及び超音波出力の大きさが自動的に変化する。よって、処置する生体組織の種類や状態に応じて、高周波出力、及び超音波出力を設定する必要が無くなり、操作が簡便となる。
【0079】
尚、手術用処置装置1の第1出力条件、及び第2出力条件は図6に示す出力条件の中から任意に設定することができる。よって、様々な手術や術者の好みに応じた処置が可能となるため、汎用性が高くなる。
【0080】
以上説明したように、このような動作により、高周波出力の各出力モードと、超音波出力の「Auto」とを組合せた出力条件では以下の効果が得られる。
【0081】
処置する生体組織の電気的インピーダンス(即ち、処置する生体組織の種類や状態)に対応するように、高周波出力、及び超音波出力の大きさが自動的に設定される。よって、操作者が処置する生体組織の種類や状態に応じて、高周波出力、及び超音波出力を設定する操作が無くなり簡便となる。
【0082】
また、手術用処置装置1の出力条件は、前述した出力条件以外にも様々な出力条件(高周波出力のみが行われる、超音波出力のみが行われる等)の中から任意に設定することができる。よって、様々な手術や術者の好みに応じた処置が可能となるため、汎用性が高くなる。
【0083】
次に、第2の実施形態について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る手術用処置装置の外観構成を示している。ここでは、前述した第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0084】
この手術用処置装置71は、主として、超音波/高周波駆動装置72と、ハンドピース73と、フットスイッチ74と、により構成される。ハンドピース73は、出力用/SW用接続ケーブル75により、超音波/高周波駆動装置72に接続されている。この超音波/高周波駆動装置72は、第1の実施形態における超音波駆動装置2と、高周波駆動装置3とを一体的に構成した構成部位である。フットスイッチ74は、SW用接続ケーブル76により、超音波/高周波駆動装置72に接続されている。また、超音波/高周波駆動装置72には、対極板9が接続ケーブル10により接続されている。ハンドピース73には、ハンドスイッチ77としての第1スイッチ78と、第2スイッチ79とが設けられている。尚、本実施形態では、2つのハンドスイッチを挙げて説明しているが、2つに限定されるものではなく、それぞれに機能が割り当てられている複数のスイッチを設けてもよい。
【0085】
超音波/高周波駆動装置72内には、第1の実施形態における図5に示した、超音波振動子駆動回路37と、高周波駆動回路48が収容されている。
【0086】
また、第1の実施形態と同様に、超音波振動子駆動回路37のCPU45と、高周波駆動回路48の出力制御部52とが接続され、双方向に信号を伝達することができる。また、超音波/高周波駆動装置72には、第1の実施形態と同様に、操作表示パネル81が設けられている。
【0087】
出力用/SW用接続ケーブル75は、第1の実施形態で示した、出力用接続ケーブル6と、SW用接続ケーブル7と、出力用接続ケーブル8とが一体となったものである。フットスイッチ74には、ペダルスイッチ82が設けられている。尚、SW用接続ケーブル76は、超音波振動子駆動路37のCPU45に接続されている。
【0088】
このように構成された手術用処置装置71による生体組織の処置について説明する。
【0089】
先ず、対極板9を生体組織に密着させる。
【0090】
次に、手術用処置装置71の出力条件を設定する。この出力条件の設定は、超音波/高周波駆動装置72の操作表示パネル81を操作して行われる。このとき、設定された出力条件は、操作表示パネル81に表示される。
【0091】
次に、ハンドピース73の処置部26を生体組織の処置対象部位に接触させる。その接触させた後、ハンドスイッチ77の第1スイッチ78、第2スイッチ79、又は第3スイッチ80のいずれかをON操作することにより、ハンドピース73が駆動される。又は、フットスイッチ74のペダルスイッチ82をON操作することにより、ハンドピース73が駆動される。
【0092】
これにより、ハンドピース73の処置部26と接触した生体組織が、超音波出力及び/又は高周波出力により処置される。ここで、ハンドスイッチ77の第1、第2、第3スイッチ78、79、80、及びフットスイッチ74のペダルスイッチ82に対応する出力条件は、超音波/高周波駆動装置72の操作表示パネル81にて任意に設定できるようになっている。尚、第1の実施形態と同様に、図6に示す出力条件が設定可能であり、各出力条件での作用は、第1の実施形態と同じである。
【0093】
このように超音波/高周波駆動装置72は、第1の実施形態で示した超音波駆動装置2と、高周波駆動装置3とが一体となった構成であり、出力用/SW用接続ケーブル75は、第1の実施形態で示した、出力用接続ケーブル6と、SW用接続ケーブル7と、出力用接続ケーブル8とが一体となっている。
【0094】
従って、手術用処置装置71のセッティングが簡便になり、短時間で準備することができる。また、処置中のハンドピース73の取り回し性が向上し、さらに、ハンドスイッチ77、及びフットスイッチ74の両方のうち、任意に選択して使用できるため、汎用性が高くなる。
【0095】
次に、第3の実施形態に係る手術用処置装置について説明する。
【0096】
図16A,図16Bには、第3の実施形態に係る手術用処置装置におけるフック型のハンドピースの構成例を示す。図17には、図16Bに示す処置部84におけるA−A断面構成を示す。図18は、第3の実施形態に係る処置部の断面構成を示す図である。ここでは、第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0097】
本実施形態のハンドピースは、バイポーラ型電気メスとして機能するフック型の処置部84である。プローブ85は、第1電極部材86、第2電極部材87、及び絶縁部材88により構成され、超音波振動を伝達する。第1電極部材86及び第2電極部材87は、チタン、ジュラルミン又は、ステンレス等の金属材料により形成される。絶縁部材88は、アルミナやジルコニア等の電気絶縁性セラミック材料、又はPTFEやPEEK等の電気絶縁性樹脂材料により形成される。
【0098】
図16A、及び図17に示すように、第1電極部材86と第2電極部材87は、絶縁部材88によって電気的に絶縁された状態となっている。そして、第1電極部材86には、第1の実施形態で示した出力用接続ケーブル8が接続され、第2電極部材87には、第1の実施形態で示した接続ケーブル10が接続されている。本実施形態では、前述した第1の実施形態における対極板9は不要である。
【0099】
図18は、第3の実施形態の変形例として、針型のハンドピースの構成例を示す。
【0100】
この変形例のプローブ91は先端部92が細長い円柱形状を成し、超音波振動を伝達する。このプローブ91は、チタンやジュラルミン、ステンレス等の金属材料により形成される。プローブ91が挿通されるシース93は、金属パイプ94と、金属パイプ94を覆う絶縁チューブ95と、金属パイプ94の内周に嵌め込まれた絶縁部材96とにより構成される。金属パイプ94は、ステンレス等の金属材料により形成され、絶縁チューブ95と絶縁部材96は、PTFEやPEEK等の電気絶縁性樹脂材料により形成される。
【0101】
また、金属パイプ94の先端部97は、絶縁チューブ95と絶縁部材96に対して先端側に突出している。
【0102】
本実施形態において、プローブ91の先端部92と、金属パイプ94の先端部97により、処置部90を構成する。また、プローブ91には、前述した第1の実施形態における出力用接続ケーブル8が接続され、同じく、金属パイプ94には接続ケーブル10が接続される。本実施形態では、第1の実施形態における対極板9は不要である。
【0103】
このように構成された手術用処置装置による生体組織の処置について説明する。
【0104】
先ず、ハンドピースの処置部84(又は処置部90)を生体組織の処置対象部位に接触させる。そして、第1の実施形態で説明したように、ハンドスイッチ31をON操作することにより、ハンドピースが駆動される。これにより、プローブ85(又は、プローブ91)が超音波振動する。また、プローブ85におけるフック型ハンドピースでは、第1電極部材86と第2電極部材87間に高周波電流が流れる。同様に、プローブ91における針型ハンドピースでは、先端部92と金属パイプ94の先端部97間に高周波電流が流れる。
【0105】
これにより、処置部84(又は処置部90)と接触した生体組織が、超音波出力、及び/又は高周波出力により処置される。
【0106】
本実施形態は、前述した第1の実施形態と同様に、各種高周波出力と、各種超音波出力とを組合せた出力が可能であり、各出力条件での作用は、前述したモノポーラ型電気メスとして機能する第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る手術用処置装置の外観構成を示す図である。
【図2】図2は、ハンドピースの断面構成を示す図である。
【図3】図3は、フック型の処置部を示す図である。
【図4】図4は、ボール型の処置部を示す図である。
【図5】図5は、超音波駆動装置と高周波駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、手術用処置装置の出力モードの一覧を示す図である。
【図7】図7は、高周波出力時のインピーダンスと最大出力設定時の高周波出力による出力特性を示す図である。
【図8】図8は、高周波出力時のインピーダンスと50W出力設定時の高周波出力による出力特性を示す図である。
【図9】図9は、高周波出力時のインピーダンスと超音波出力の大きさよる第1の出力特性を示す図である。
【図10】図10は、高周波出力時のインピーダンスと超音波出力の大きさによる第2の出力特性を示す図である。
【図11】図11は、高周波出力時のインピーダンスと超音波出力の大きさによる第3の出力特性を示す図である。
【図12A】図12Aは、操作表示パネルにおける設定内容を示す図である。
【図12B】図12Bは操作表示パネルにおける設定内容を示す図である。
【図13A】図13Aは、操作表示パネルにおける設定内容を示す図である。
【図13B】図13Bは操作表示パネルにおける設定内容を示す図である。
【図14】図14は、電気的インピーダンスに対する高周波出力及び超音波出力の出力特性を示す図である。
【図15】図15は、第2の実施形態に係る手術用処置装置の外観構成を示す図である。
【図16A】図16Aは、第3の実施形態に係る手術用処置装置における処置部の正面図である。
【図16B】図16Bは、第3の実施形態に係る手術用処置装置における処置部の平面図である。
【図17】図17は、図16Bの処置部におけるA−A断面構成を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係る処置部の断面構成を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1…手術用処置装置、2…超音波駆動装置、3…高周波駆動装置、4…ハンドピース、5…通信ケーブル、6,8…出力用接続ケーブル、7…W用接続ケーブル、9…対極板、10…接続ケーブル、46…操作表示パネル、53…操作表示パネル。
【出願人】 【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成19年8月3日(2007.8.3)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−55151(P2008−55151A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−202802(P2007−202802)