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【発明の名称】 心肺血液量によって示される患者のボルミックステータス(volemicstatus)を測定するための装置及びコンピュータプログラム
【発明者】 【氏名】ファイファー,ウルリッヒ

【氏名】ミカルド,フレデリック

【氏名】クノル,ラインホルト

【要約】 【課題】心肺血液量CPBVによって示される患者のボルミックステータスを、継続的且つ容易に測定するための装置とコンピュータプログラムとを提供する。

【構成】患者のボルミックステータス(volemic status)を測定するための装置は、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理的心肺相互作用を利用するように構成されている。更に、患者のボルミックステータスを測定するためのコンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されると、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理的心肺相互作用のデータを作成するステップと、前記生理的心肺相互作用のデータを利用して患者のボルミックステータスを測定するステップとを実行するように構成された命令を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係を利用するように構成された、患者又は哺乳類のボルミックステータス(volemic status)を測定するための装置。
【請求項2】
前記装置は、動脈パルス圧又はその代わりの包絡線(5)を形成し、前記動脈パルス圧の包絡線(5)を利用して前記生理学上の心肺相互関係を測定することができるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
次の方程式を利用して呼気心肺血液量(CPBVex)を導き出すことができるように構成されている請求項2に記載の装置。
CPBVex = CO * TTcp,ex,
ここで、COは心拍出量であり、TTcp,exは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間である。
【請求項4】
次の方程式を利用して吸気左心容量(LHVin)を導き出すことができるように構成されている請求項2又は3に記載の装置。
LHVin = CO * TTlh,in,
ここで、COは心拍出量であり、TTih,inは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される左心を通る血液の吸気輸送時間である。
【請求項5】
次の方程式を利用して中間呼気心肺血液量(CPBV)を導き出すことができるように構成されている請求項2に記載の装置。
CPBV = CO * TTcp,
ここで、COは心拍出量であり、TTcpは、双方が前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される、呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間(TTcp,ex)と左心を通る血液の吸気輸送時間(TTlh,in)との間の範囲で変動する中間心肺輸送時間である。
【請求項6】
次の方程式を利用して呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間(TTcp,ex)を導き出すことができるように構成されている請求項3又は5に記載の装置。
TTcp,ex = t(B) ? t(I-E),
ここで、t(I-E)は、吸気の終わり及び呼気の始まりの時間ポイント(8)であり、t(B)は、前記動脈圧の包絡線(5)が呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイント(6)と同じレベルに達する時間ポイント(9)である。
【請求項7】
次の方程式を利用して吸気輸送時間(TTlh,in)を導き出すことができるように構成されている請求項4又は5に記載の装置。
TTlh,in = t(E-I) ? t(A),
ここで、t(E-I)は、呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイント(6)であり、t(A)は、前記動脈圧の包絡線(5)が上昇し始める時間ポイント(7)である。
【請求項8】
動脈パルス輪郭解析、食道ドップラー、経胸腔的又は食道のエコードップラー、経胸腔的又は食道の電気バイオインピーダンス、継続的加熱右心カテーテル、或いはCO2再呼吸のような、あらゆる継続的なリアルタイム心拍出量測定方法から心拍出量(CO)を得ることができるように構成されている請求項3乃至7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
呼吸周期をある程度の近似の平衡に必然的に適合させるべく呼気のパルス圧の一定の安定状態が達せられるかどうかについて調査する中で、単一拡張呼吸サイクルによって心肺血管系の平衡を初期検査することができるように構成されている請求項2乃至8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
圧力制御された人工呼吸モード又は容量制御された人工呼吸モードにおいて、前記平衡の検査を適用することができるように構成されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用することができるように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項12】
3つの異なる平均気道内圧レベル(MPaw)で呼吸することによって、呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用することができるように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項13】
低いPEEPレベル(PEEP1, 11)の相と、高いPEEPレベル(PEEP3, 10)の相と、中間的なPEEPレベル(PEEP2,17)の相とを作成するように構成されている請求項12に記載の装置。
【請求項14】
テスト相(PEEP2)の前の平均気道内圧(Paw mean)と一致する中間的なPEEPレベル(PEEP2, 17)の相を作成するように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
次の方程式を利用して平均心肺血液量(CPBVmean)を導き出すことができるように構成されている請求項13又は14に記載の装置。
CPBVmean = COmean * TTcp mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相での平均心拍出量(CO)であり、TTcp meanは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される血液の平均心肺輸送時間である。
【請求項16】
次の方程式を利用して血液の平均心肺輸送時間(TTcp mean)を導き出すことができるように構成されている請求項15に記載の装置。
TTcp mean = t(D) - t(3-2), or
TTcp mean = t(F) - t(1-2),
ここで、t(3-2)は、PEEP又はMPaw (PEEP3)の最高レベル(10)からPEEP又はMPaw(PEEP2)の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル(17)への変化の瞬間(15)であり、t(1-2)は、PEEP又はMPaw(PEEP1)の最低レベル(11)からPEEP又はMPaw(PEEP2)の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル(17)への変化の瞬間(12)であり、t(D)は、前記動脈パルス圧曲線の包絡線(5)が中間PEEP又はMPawレベル(17)に適合する時間ポイント(16)であり、t(F)は、前記動脈パルス圧曲線の包絡線(5)が中間PEEP又はMPawレベル(17)に適合する時間ポイント(14)である。
【請求項17】
次の方程式を利用して平均左心容量(LHVmean)を導き出すことができるように構成されている請求項13乃至16の何れかに記載の装置。
LHVmean = COmean * TTlh,mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相における平均心拍出量COであり、TTlh,meanは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される血液の平均輸送時間である。
【請求項18】
次の方程式を利用して血液の平均輸送時間(TTlh,mean)を導き出すことができるように構成されている請求項17に記載の装置。
TTlh,mean = t(1-2) ? t(E)
ここで、t(E)は、前記動脈パルス圧の包絡線(5)が上昇し始める時間ポイント(13)である。
【請求項19】
delta SV over delta CPBV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して心臓全体と、
delta SV over delta LHV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して左心とに対するTriPAPの間のスターリング曲線の傾きを導き出すことができるように構成されている請求項15乃至18の何れかに記載の装置。
【請求項20】
コンピュータで実行した際に、
−自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係についてのデータを作成するステップと、
−前記生理学上の心肺相互関係についてのデータを利用して患者のボルミックステータスを測定するステップとを、
実行するように構成された命令を備える、患者のボルミックステータスを測定するためのコンピュータプログラム。
【請求項21】
−動脈パルス圧の包絡線(5)又はその代わりを形成するステップと、
−前記動脈パルス圧の包絡線(5)を利用して前記生理学上の心肺相互関係を測定するステップとを、
実行するように構成された命令を備える請求項20に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
−次の方程式を利用して呼気心肺血液量(CPBVex)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21に記載のコンピュータプログラム。
CPBVex = CO * TTcp,ex,
ここで、COは心拍出量であり、TTcp,exは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間である。
【請求項23】
−次の方程式を利用して吸気左心容量(LHVin)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21又は22に記載のコンピュータプログラム
LHVin = CO * TTlh,in,
ここで、COは心拍出量であり、TTih,inは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される左心を通る血液の吸気輸送時間である。
【請求項24】
−次の方程式を利用して中間呼気心肺血液量(CPBV)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21に記載のコンピュータプログラム。
CPBV = CO * TTcp,
ここで、COは心拍出量であり、TTcpは、双方が前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される、呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間(TTcp,ex)と左心を通る血液の吸気輸送時間(TTlh,in)との間の範囲で変動する中間心肺輸送時間である。
【請求項25】
−次の方程式を利用して呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間(TTcp,ex)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項22又は25に記載のコンピュータプログラム。
TTcp,ex = t(B) ? t(I-E),
ここで、t(I-E)は、吸気の終わり及び呼気の始まりの時間ポイント(8)であり、t(B)は、前記動脈圧の包絡線(5)が呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイント(6)と同じレベルに達する時間ポイント(9)である。
【請求項26】
−次の方程式を利用して吸気輸送時間(TTlh,in)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項23又は24に記載のコンピュータプログラム。
TTlh,in = t(E-I) ? t(A),
ここで、t(E-I)は、呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイント(6)であり、t(A)は、前記動脈圧の包絡線(5)が上昇し始める時間ポイント(7)である。
【請求項27】
−動脈パルス輪郭解析、食道ドップラー、経胸腔的又は食道のエコードップラー、経胸腔的又は食道の電気バイオインピーダンスのような、継続的なリアルタイム心拍出量測定方法から心拍出量(CO)を得るステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項22乃至26の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
−呼吸周期をある程度の近似の平衡に必然的に適合させるべく呼気のパルス圧の一定の安定状態が達せられるかどうかについて調査する中で、単一拡張呼吸サイクルによって心肺血管系の平衡を初期検査するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21乃至27の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項29】
−圧力制御された人工呼吸モード又は容量制御された人工呼吸モードにおいて、前記平衡の検査を適用するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項28に記載のコンピュータプログラム。
【請求項30】
−呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21に記載のコンピュータプログラム。
【請求項31】
−3つの異なる平均気道内圧レベル(MPaw)で呼吸することによって、呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項21に記載のコンピュータプログラム。
【請求項32】
−低いPEEPレベル(PEEP1, 11)の相と、高いPEEPレベル(PEEP3, 10)の相と、中間的なPEEPレベル(PEEP2,17)の相とを作成するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項31に記載のコンピュータプログラム。
【請求項33】
−テスト相(PEEP2)の前の平均気道内圧(Paw mean)と一致する中間的なPEEPレベル(PEEP2, 17)の相を作成するステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項32に記載のコンピュータプログラム。
【請求項34】
−次の方程式を利用して平均心肺血液量(CPBVmean)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項32又は33に記載のコンピュータプログラム。
CPBVmean = COmean * TTcp mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相での平均心拍出量(CO)であり、TTcp meanは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される血液の平均心肺輸送時間である。
【請求項35】
−次の方程式を利用して血液の平均心肺輸送時間(TTcp mean)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項34に記載のコンピュータプログラム。
TTcp mean = t(D) - t(3-2), or
TTcp mean = t(F) - t(1-2),
ここで、t(3-2)は、PEEP又はMPaw (PEEP3)の最高レベル(10)からPEEP又はMPaw(PEEP2)の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル(17)への変化の瞬間(15)であり、t(1-2)は、PEEP又はMPaw(PEEP1)の最低レベル(11)からPEEP又はMPaw(PEEP2)の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル(17)への変化の瞬間(12)であり、t(D)は、前記動脈パルス圧曲線の包絡線(5)が中間PEEP又はMPawレベル(17)に適合する時間ポイント(16)であり、t(F)は、前記動脈パルス圧曲線の包絡線(5)が中間PEEP又はMPawレベル(17)に適合する時間ポイント(14)である。
【請求項36】
−次の方程式を利用して平均左心容量(LHVmean)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項32乃至35の何れかに記載のコンピュータプログラム。
LHVmean = COmean * TTlh,mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相における平均心拍出量(CO)であり、TTlh,meanは、前記動脈パルス圧の包絡線(5)から導き出される血液の平均輸送時間である。
【請求項37】
−次の方程式を利用して血液の平均輸送時間(TTlh,mean)を導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項36記載のコンピュータプログラム。
TTlh,mean = t(1-2) ? t(E)
ここで、t(E)は、前記動脈パルス圧の包絡線(5)が上昇し始める時間ポイント(13)である。
【請求項38】
− delta SV over delta CPBV on at least two PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して心臓全体と、
delta SV over delta LHV on at least two PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して左心とに対するTriPAPの間のスターリング曲線の傾きを導き出すステップを、
実行するように構成された命令を備える請求項34乃至37の何れかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主に流体管理において用いられる心肺血液量CPBVによって示される患者のボルミックステータス(volemic status)を測定するための装置とコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
重病患者の救命医療診療において、胸部血液量、即ち、胸腔内血液量や右心及び左心の拡張末期容量は、患者の健康状態の監視とかかる患者の流体管理とにとって重要な特性であることは一般に知られている。
【0003】
従来技術によると、前記胸部血液量は、希釈測定を用いて測定され得る。インジケータの予め決められた量にて規定されるインジケータの急速静注薬は、患者の上大静脈に中央静脈的に急速に注入され、インジケータ集中応答は、左心室からの流出に可能な限り近い動脈系における心肺通路の後の患者の体循環流れの下流位置で測定される。インジケータ集中応答測定対時間に基づいて、希釈曲線は作成される。
【0004】
少なくとも1つの心肺循環の間、インジケータは、主に血管内のスペースにとどまっている。例えば、インドシアニングリーン(indocyanine green)、エヴァンブルー(Evan's blue)、又は、高張食塩水(hypertonic saline)インジケータは、血管内インジケータとして使用され得る。
【0005】
心肺血液量CPBVは、心拍出量COと個々の血管内インジケータの平均輸送時間TTとの増加により規定される心肺通過の間の分配量によって示される。即ち、
CPBV = CO * TT.
【0006】
心拍出量COと平均輸送時間TTとを希釈曲線から測定することは共通である。また、例えば、心エコー検査、経胸腔的電気バイオインピーダンス、又は継続的加熱右心カテーテルなどの心拍出量CO、或いはCO2再呼吸を同時に表示するあらゆる方法から心拍出量を得ることが知られている。
【0007】
上記方程式によって計算される心肺血液量CPBVは、右心房及び右心室の拡張末期容量と、測定期間中のいくつかの呼吸サイクルにおける肺血液量の最大値と、左心房及び左心室の拡張末期容量と、大動脈血液量のより小さい部分との合計であって、おおよそ一定である、インジケータの最大到達可能分配量から構成される。
【0008】
心肺血液量CPBVを測定するための別の公知の方法は、上記方法のバリエーションであり、そのうちの1つのインジケータが使用される。この単一のインジケータ経肺動脈熱希釈技術を利用することによって、心房及び心室の拡張末期血液量の合計(即ち、全体的拡張末期容量)だけが、正確に測定されるのに対し、肺血液量は、全体的拡張末期容量と大体比例すると仮定して概算される。
【0009】
心肺血液量CPBVを測定するために公知のインジケータ希釈技術を利用する場合、前記測定は、継続的ではなく断続的に、非自動的になされ得るけれども、前記測定は、ユーザーインタラクションを必要としており、集中的な労働とコストとがかかる。
【0010】
本発明の目的は、心肺血液量CPBVによって示される患者のボルミックステータスを、継続的且つ容易に測定するための装置とコンピュータプログラムとを提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係を利用するように構成された、患者のボルミックステータスを測定するための装置によって達成される。更に、この目的は、コンピュータで実行する際に、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係についてのデータを作成するステップと、前記生理学上の心肺相互関係についてのデータを利用して患者のボルミックステータスを測定するステップとを実行するように構成された命令を備える、患者のボルミックステータスを測定するためのコンピュータプログラムによって達成される。
【0012】
心肺血液量CPBVを測定するために、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係を利用することによって、ユーザーの相互作用なしで継続的且つ自動的に前記測定がなされる。従って、本発明に係る装置とコンピュータプログラムとは、より少ない集中的労働及びより少ない集中的コストで患者のボルミックステータスの測定を行う。
【0013】
好ましくは、前記装置は、動脈パルス圧の包絡線を形成し、前記動脈パルス圧の包絡線を利用して、自発的呼吸又は機械的人工呼吸における生理学上の心肺相互関係を測定することができるように構成される。
【0014】
更に、前記コンピュータプログラムは、動脈パルス圧の包絡線を形成するステップと、前記動脈パルス圧の包絡線を利用して生理学上の心肺相互関係を測定するステップとを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0015】
前記装置は、次の方程式を利用して呼気心肺血液量CPBVexを導き出すことができるように構成されていることが好ましい。
CPBVex = CO * TTcp,ex,
ここで、COは心拍出量であり、TTcp,exは、前記動脈パルス圧についての包絡線から導き出される呼気の血行動態についての血液の心肺輸送時間である。また、前記コンピュータプログラムは、上記方程式を利用して呼気心肺血液量CPBVexを導き出すステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0016】
前記装置は、次の方程式を利用して吸気左心容量LHVinを導き出すことができるように構成されていることが好ましい。
LHVin = CO * TTlh,in,
ここで、COは心拍出量であり、TTih,inは、前記動脈パルス圧の包絡線から導き出される左心を通る血液の吸気輸送時間である。また、前記コンピュータプログラムは、上記方程式を利用して吸気左心容量LHVinを導き出すステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0017】
代わりに、前記装置及び前記コンピュータプログラムの命令は、次の方程式を利用して中間呼気心肺血液量CPBVを導き出すことができるように構成される。
CPBV = CO * TTcp,
ここで、COは心拍出量であり、TTcpは、双方が動脈パルス圧の包絡線から導き出される、呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間TTcp,exと左心を通る血液の吸気輸送時間TTlh,inとの間の範囲で変動する中間心肺輸送時間である。
【0018】
好ましくは、前記装置及び前記コンピュータプログラムは、次の方程式を利用して呼気の血行動態状態における血液の心肺輸送時間TTcp,exを導き出すことができるように構成される。
TTcp,ex = t(B) - t(I-E),
ここで、t(I-E)は、吸気の終わり及び呼気の始まりの時間ポイントであり、t(B)は、前記動脈圧の包絡線が呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイントと同じレベルに達する時間ポイントである。
【0019】
好ましくは、前記装置及び前記コンピュータプログラムは、次の方程式を利用して吸気輸送時間TTlh,inを導き出すことができるように構成される。
TTlh,in = t(E-I) - t(A),
ここで、t(E-I)は、呼気の終わり及び吸気の始まりの時間ポイントであり、t(A)は、前記動脈圧の包絡線が上昇し始める時間ポイントである。
【0020】
好ましくは、前記装置は、例えば、動脈パルス輪郭解析、食道ドップラー、経胸腔的又は食道のエコードップラー、経胸腔的又は食道の電気バイオインピーダンスのような継続的なリアルタイム心拍出量測定法から心拍出量COを得ることができるように構成される。また好ましくは、前記コンピュータプログラムは、上記方法から心拍出量COを得るステップを実行するように構成された命令を備える。
【0021】
更に好ましくは、前記装置は、呼気のパルス圧(脈圧)の一定の平坦域が呼吸周期を必然的に適合させるべくある程度の近似の平衡に達するかどうかについて調査する中で、単一拡張呼吸サイクルによって心肺血管系の平衡を初期検査することができるように構成される。また、前記コンピュータプログラムは、上記初期検査するステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0022】
好ましくは、前記装置及び前記コンピュータプログラムは、圧力制御された人工呼吸モード又は容量制御された人工呼吸モードにおいて、平衡の検査を適用することができると共にそのように構成された命令を備える。
【0023】
代わりに、前記装置は、呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用することができるように構成されることが好ましく、また代わりに、前記コンピュータプログラムは、呼気終端正圧(PEEP)のレベルの持続的なステップ変化を利用するステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0024】
更なる代案として、前記装置は、3つの異なる平均気道内圧(MPaw)レベルで呼吸することによって、呼気終端正圧PEEPのレベルの持続的なステップ変化を利用することができるように構成されることが好ましく、また代わりに、前記コンピュータプログラムは、3つの異なる平均気道内圧(MPaw)レベルで呼吸することによって、呼気終端正圧PEEPのレベルの持続的なステップ変化を利用するステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0025】
好ましくは、前記装置は、低いPEEPレベルPEEP1の相と、高いPEEPレベルPEEP3の相と、中間的なPEEPレベルPEEP2の相とを作成するように構成される。好ましくは、前記コンピュータプログラムは、そのような作成を実行するように構成された命令を備える。
【0026】
前記装置は、テスト相PEEP2の前の平均気道内圧Paw meanと一致する中間的なPEEPレベルPEEP2の相を作成するように構成されることが好ましい。好ましくは、前記コンピュータプログラムは、そのような作成を実行するように構成された命令を備える。
【0027】
好ましくは、前記装置は、次の方程式を利用して平均心肺血液量CPBVmeanを導き出すことができるように構成される。
CPBVmean = COmean * TTcp mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相での平均心拍出量COであり、TTcp meanは、動脈パルス圧の包絡線から導き出される血液の平均心肺輸送時間である。また、前記コンピュータプログラムは、そのような方程式を利用して平均心肺血液量CPBVmeanを導き出すステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0028】
好ましくは、前記装置は、次の方程式を利用して血液の平均心肺輸送時間TTcp meanを導き出すことができるように構成される。
TTcp mean = t(D) - t(3-2), or
TTcp mean = t(F) - t(1-2),
ここで、t(3-2)は、PEEP又はMPaw PEEP3の最高レベルからPEEP又はMPaw PEEP2の平均気道内正圧レベル或いは中間レベルへの変化の瞬間であり、t(1-2)は、PEEP又はMPaw PEEP1の最低レベルからPEEP又はMPaw PEEP2の平均気道内正圧レベル或いは中間レベルへの変化の瞬間であり、t(D)は、動脈パルス圧曲線の包絡線が低いPEEPレベルPEEP1又はMPawレベルに適合する時間ポイントであり、t(F)は、動脈パルス圧曲線の包絡線がPEEP又はMPaw中間レベルPEEP2に適合する時間ポイントである。
【0029】
前記装置及び前記コンピュータプログラムは、次の方程式を利用して平均左心容量LHVmeanを、導き出すことができると共にそのように構成される命令を実行することが好ましい。
LHVmean = COmean * TTlh,mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相における平均心拍出量COであり、TTlh,meanは、動脈パルス圧の包絡線から導き出される血液の平均輸送時間である。前記コンピュータプログラムは、そのような方程式を利用して平均左心容量LHVmeanを導き出すステップを実行するように構成された命令を備えることが好ましい。
【0030】
更に好ましくは、前記装置は、次の方程式を利用して血液の平均輸送時間TTlh,meanを導き出すことができるように構成される。
TTlh,mean = t(1-2) - t(E)
ここで、t(E)は、動脈パルス圧の包絡線が上昇し始める時間ポイントである。好ましくは、前記コンピュータプログラムは、そのような測定を実行するように構成された命令を備える。
【0031】
好ましくは、前記装置及び前記コンピュータプログラムは、
delta SV over delta CPBV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して心臓全体についての三相性気道内正圧(TriPAP)の人工呼吸/呼吸モードの間のスターリング曲線の傾きを導き出し、
これらの3つのポイントを通じて適合される前記曲線の傾きを計算し、
そして同様に、
delta SV over delta LHV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して左心についての三相性気道内正圧(TriPAP)の人工呼吸/呼吸モードの間のスターリング曲線の傾きを導き出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下において、本発明は、図に関する好ましい実施形態に基づいて説明される。
本発明に係る装置は、図1に示される線図を形成するように構成される。図において、連続する吸気相2と呼気相3とを具備する気道内圧1についての曲線が示されており、該気道内圧は、吸気相2の区間が呼気相3の区間より高くなっている。更に、図では、動脈圧線図4が示されており、各心拍について、拡張期血圧(最小圧)から収縮期血圧(最大圧)まで達する垂直の棒がプロットされている。加えて、図では動脈パルス圧の包絡線5が示されており、該包絡線は、動脈圧線図4に従って収縮期血圧と拡張期血圧との差として規定される。
【0033】
哺乳類の胸部は、可変容量を具備するチャンバとみなされ得る。チャンバは、心臓、肺、大きな特別な心臓の血管、結合組織、及び食道の部分的容量から構成される。胸部の容量は、呼吸或いは機械的人工換気によって規則的に変化する。病態生理条件の下では、胸部の容量は、増大した腹圧によって、また、例えばダイビングなどの間での外圧によって変化し得る。
【0034】
時間に換算して可変の胸部容量を見ると、可変の胸部容量は、例えば、呼吸又は人工呼吸している間の数秒間に肺の中の気体量と大血管及び心臓の中の血液量とが変化するというような非常に急速に変化する部分的な容量と、例えば、呼気終末陽圧の適用、肺血管外水分量の増加(例えば、肺水腫が形成された場合)、及び病的な部分の容量の増加(例えば、血胸、気胸、又は胸水の場合など)といった治療的介入による肺の有効な残留量のような、より長い期間で変化する部分的な容量とを具備する。
【0035】
自発呼吸の場合に、吸い込まれた空気は、胸部の肋間の筋肉組織と横隔膜とによって生ずる負の胸腔内圧ITPによって肺に入る。しかしながら、しばしば静脈還流と言われる胸部への静脈血流は、自発的な吸入の間によく促進される。自発呼吸での呼気の間に、胸腔内圧は、肺の中の圧力が大気圧を越えるので再び正となり、気体は肺から出ると同時に、静脈還流はゆっくりとなる。自発呼吸が人工肺という形式のチャンバレスピレータによってシミュレーションされる場合には、まったく同じことが人工呼吸の間に起こる。
【0036】
特定の正圧換気での人工呼吸の場合には、吸気は、肺の外の人工呼吸器によって気道内に正の気体圧力を生ずることによって遂行される。呼吸器の気体は、肺の中の気道内圧がより低いので肺に入る。気体は、外部気道の気道内圧と肺及び内部気道の気道内圧とが平衡に達するまで肺に入る。この吸気プロセスの間に、肺は膨らんで胸腔内圧が増大し、大血管(胸腔内の大静脈と大動脈)と心臓自身とは圧縮される。
【0037】
生理学上の観点から、このことは、右心への静脈血流、即ち静脈還流は、減らされるということを意味している。呼気は、胸壁、横隔膜、及び肺自身の収縮力と、より低い程度であるが胸壁自身の重量とによって生じ、そのため、胸腔内圧ITPは静脈還流が増大すると再び低下する。
【0038】
前記装置は、呼吸及び特に人工呼吸における心臓と肺との間の相互作用を利用するように構成されている。従って、機械的な正圧呼吸法だけでなく自発呼吸での静脈還流についての上記説明における変化は、心臓充満と、-フランクスターリングメカニズム-心室拍出量、即ち心臓のストローク容量に直接的な影響を及ぼしている。前記スターリングメカニズムは、心臓拡張の心臓充満量と心臓収縮の心臓のストローク容量との間の、心室が拡張期において満たされる効果への関係を説明しており、より大きいのは、心臓収縮の心臓のストローク容量の拍出量である。
【0039】
適時の方法おいて、以下のことは、肺の膨張と収縮とを有する機械的な正圧呼吸についての心肺血管システムにおいて起こる:
- 肺の膨張の開始によって、静脈還流と右心室充満とストローク拍出量とは減少し、肺血液量、即ち肺の中の血液は、肺から絞り出され、左心室充満とストローク容量拍出量とを短期間で増大させる。
- また、肺の中の血液が完全に絞り出される(膨張が終わる)と、当然、左心室充満と左心室のストローク容量拍出量とは減少する。
- 収縮(即ち呼気)の開始によって、右心室への静脈還流と右心室のストローク容量拍出量とは、再び増大し始める。
- また、肺の中の血液量がその新しい平衡に達すると、左心室充満とストローク容量拍出量とは、機械的な呼吸の開始前に右のそれらのレベルに増大する。
【0040】
通気度、吸気相2の各期間、及び呼気相3の各期間が十分に長い場合、心肺血管システムの平衡は、吸気相と呼気相とのそれぞれに起こり得る。
【0041】
図1を参照すると、前記装置は、呼気についての血流状態の血液の心肺輸送時間TTcp,exを、次の方程式を用いて動脈圧波包絡線5の経路から計算することができる。
TTcp,ex = t(B) - t(I-E),
ここで、t(I-E)は、吸気の終わりである時間ポイント8として定義され、t(B)は、動脈圧の包絡線5が呼気の終わりであり吸気の始まりである時間ポイント6のときと同じレベルに達する時間ポイント9として定義される。
【0042】
同じ条件の下且つ同様に、前記装置は、左心(即ち、左心房と左心室)を通る血液の吸気輸送時間TTlh,inを、次の方程式を用いて計算するように構成されている。
TTlh,in = t(E-I) - t(A),
ここで、t(E-I)は、呼気の終わりである時間ポイント6であり、t(A)は、前記動脈圧の包絡線5が上がり始める時間ポイント7である。
【0043】
更に、前記装置は、各輸送時間TTが測定される各期間のそれぞれの平均心拍出量COを各輸送時間に乗算するように構成されている。従って、前記装置は、呼気の心肺血液量CPBVexと吸気の左心血液量LHVinとを、次の各方程式を用いて計算するように構成されている。
CPBVex = CO * TTcp,ex, and
LHVin = CO * TTlh,in,
【0044】
前記装置は、動脈パルスカウンター解析、食道のドップラー、経胸腔的または食道のエコードップラー、経胸腔的または食道の電気バイオインピーダンス、若しくは他のようなあらゆる継続的なリアルタイムの心拍出量測定方法から、心拍出量COを得るように構成されている。
【0045】
好ましくは、前記装置は、単一の拡張された呼吸サイクルによって心肺血管システムの平衡を初期チェックするように構成されている。従って、呼気のパルス圧の一定の安定状態が達せられなければならない。この原則は、圧力制御された人工呼吸モード(図1に示す)に、又は、容量制御された人工呼吸モード(図1に示さない)に応用され得る。その後、前記呼吸周期は、平衡におおよそ達する程度に適合する。
【0046】
代わりに、前記装置は、不規則な呼吸パターンで自発的に呼吸している患者であっても、気道内圧とパルス圧との間の相互相関を計算するように構成されている。相互相関関数の最大の遅延時間は、TTcp,exとTTlh,inとの間に及ぶ中間心肺輸送時間TTcpを与える。平均心拍出量COと掛け算された前記中間輸送時間TTcpは、中間心肺血液量を見積もるために利用される。即ち、
CPBV = CO * TTcp.
【0047】
更に好ましくは、前記装置は、図1に示された線図に従って、単一の機械的な呼吸の場合に気道内圧において短期の相変化する代わりに、呼気終端正圧PEEPのレベルの延長したステップ変化を利用するように構成され、或いは、3つの異なる平均気道内圧レベルMPawで呼吸する。従って、前記装置は、図2及び3に例示するような線図を形成するように構成されている。
【0048】
図2に示す線図において、気道内圧1の曲線は、連続した高いPEEP又はMPawレベル(PEEP 3)10と、低いPEEP又はMPawレベル(PEEP 1)11とから成る。更に、図3に示す線図において、気道内圧1の曲線は、連続した高いPEEP又はMPawレベル(PEEP 3)10と、中間PEEP又はMPawレベル (PEEP 2) 17と、低いPEEPまたはMPawレベル(PEEP 1)11とから成る。
【0049】
更に、図2及び3に示す線図において、動脈圧線図4がそれぞれ示されており、拡張期血圧(最小圧力)から収縮期血圧(最大圧力)まで達する垂直のバーが、各心拍についてプロットされている。更に、図では、動脈圧の包絡線5がそれぞれ示されており、それは、動脈圧線図4に従って、収縮期血圧と拡張期血圧との差として定義されている。
【0050】
PEEPレベル又はMPawレベルのあらゆる変化は、胸の低圧静電容量血管システムを圧縮する胸腔内圧の同時の一致した変化を起こし、静脈還流と、右心室及び左心室の前負荷とを変化させ、従ってストローク容量拍出量を変化させる。このことは、動脈パルス圧波の包絡線5の揺れ動きを変換したPEEP / MPawレベルの相似相をもたらす。
【0051】
PEEP又はMPawの手順は、BIPAP(Benzer & Baum1989年)として最初に導入された両相のPEEP又はMPawに類似した操作から構成されている;
即ち、低いPEEP11(PEEP 1)の相と、高いPEEP10(PEEP 3)の相と、検査相の前の平均気道内圧(Paw mean)に一致するPEEPレベル17(PEEP 2)の第3相とである(図3参照)。それ故、「TriPAP」と称する三相の平均気道内圧パターンが結果的に生じる。
【0052】
TriPAP人工呼吸パターンを形成する場合、それは、手動又は血流モニタを通した自動制御によって人工呼吸器に設定される必要があり、パターン、タイミング、及びPEEP又はMPawレベルについての情報は、すべての計算を行う血流モニタに、直接的にケーブルを経由して又はワイアレス接続を経由して供給され得る。
【0053】
代わりに、前記情報は、気道内圧、或いは、食道内圧又は直接血流モニタの電気的なバイオインピーダンス呼吸シグナルのような胸腔内圧の代わりを供給することから得られてもよい。更に、PEEP又はMPawレベルのあらゆるステップ変化もまた、同時に且つ直ちに、中心静脈圧の対応する変化に反映され、それ故、この情報もまた、血流モニタ自体の中心静脈圧の直接的な解析から得られ得る。
【0054】
前記装置は、後述するのと同様に、正常に制御された人工呼吸モード又は自発的な呼吸の際に、TriPAPモードを利用するように構成されている。この呼吸TriPAPが継続的な換気/呼吸のモードとして設定されると、前記血流テストは、その上継続的に自動的に繰り返され得る。
【0055】
心肺血液量CPBVと吸気左心容量LHEVとの計算のための各々の輸送時間の測定は、Paw平均条件において主に臨床の関心である。それぞれのPEEP又はMPawレベルは、心肺の血液量CPBVが新しいPEEP又はMPawレベルに適応した場合に観察される動脈圧曲線包絡線についての安定が生ずるまで保存され、従って、心肺輸送時間TTcpより数秒後となる。
【0056】
前記装置は、(時間15t(3-2)で)PEEP又はMPawの最高レベル10から下降する、或いは、(時間12t(1-2)で)PEEP又はMPawの最低レベル11から上昇する2つの方法にて、平均気道内圧に切り替わるところから始まる相での心肺輸送時間TTcpを計算するように構成されている:
- PEEP又はMPawのステップ変化の始まりから、パルス圧包絡線の下り勾配又は上り勾配の最急勾配ポイントにて正接を具備するパルス圧包絡線の後方外挿ラインの交点まで、或いは、
- PEEP又はMPawのステップ変化の始まりから、最大値(時間15t(3-2)から16t(D)まで)後にパルス圧包絡線の一次導関数が再び0に達する、或いは、最小値(時間12t(1-2)から14t(F)まで)後に再び0に達するまで。
【0057】
このことは次の方程式を結果として生じている。
TTcp mean = t(D) - t(3-2), and
TTcp mean = t(F) - t(1-2),
ここで、t(3-2)は、PEEP又はMPaw(PEEP 3)の最高レベル10からPEEP又はMPaw(PEEP 2)の平均気道内圧レベル又は中間レベル17への変化の瞬間15であり、t(1-2)は、PEEP又はMPaw(PEEP 1)の最低レベル11からPEEP又はMPaw(PEEP 2)の平均気道内圧レベル又は中間レベル17への変化の瞬間12であり、t(D)は、動脈圧曲線の包絡線5が中間PEEP又はMPawレベル17に適応する時間ポイント16であり、t(F)は、動脈圧曲線の包絡線5が中間PEEP又はMPawレベル17に適応する時間ポイント14である。
【0058】
上記の平均輸送時間TTcp meanを利用すると、前記装置は、次の方程式を解くことによって平均心肺血液量CPBVmeanを計算するように構成される。
CPBVmean = COmean * TTcp mean,
ここで、Comeanは、安定後の平均気道内正圧相での平均心拍出量COである。
【0059】
平均左心血液量LHVmeanは、血が肺から絞り出されるステップ変化の間でのみ計算され得、そして、それは、PEEP又はMPawを増加させる胸腔内圧の増加によってのみ起こる。従って、前記装置は、次の方程式を解くことによって平均左心血液量LHVmeanを計算することが可能である。
LHVmean = COmean * TTlh,mean,
ここで、前記装置は、次の方程式を解くことによって平均輸送時間TTlh,meanを計算するように構成される。
TTlh,mean = t(1-2) - t(E)
ここで、t(E)は、動脈圧の包絡線5が上昇し始める時間ポイント13である。
【0060】
従来の人工呼吸器においては、BIPAP換気/呼吸は共通のモードである。このモードは、単に2つのPEEP又はMPawレベル、高いPEEP又はMPawレベル10(PEEP 3)と低いPEEP又はMPawレベル11(PEEP 1)とを得るので、それぞれの平均気道内圧は、設定されることができない。このモードにおいて、平均心肺血液量CPBVmeanは、(CPBVPEEP1 + CPBVPEEP3)/2又は(CPBVMPaw1 + CPBVMPaw3)/2から、上記と同じ方法で、浮動的な平均値として継続的に概算され得る。
【0061】
左心血液量LHVについて、LHVPEEP3のみが直接得られる。しかしながら、PEEP又はMPawレベルの変化の間での心肺血液量CPBVと左心血液量LHVとの並列変化を仮定すると、平均心肺血液量LHVmeanは、比率CPBVmean/CPBVPEEP3とLHVPEEP3とを掛け算することによって概算され得る。
【0062】
更に、前記装置は、次の方程式をそれぞれ利用することによってパラメータGEFとLHEFとを導き出すように構成されている。
GEF = 4 * SV/CPBV * K, and
LHEF = 2 * SV/LHV * K,
ここで、GEFは、全体的駆出分画率(the Global Ejection Fraction)であり、LHEFは、左心駆出分画率(the Left Heart Ejection Fraction)である。係数Kは、経肺動脈倍表示熱染料希釈寸法から得られる値にGEFとLHEFとを適合させるための経験的補正係数である。
【0063】
更に、前記装置は、
delta SV over delta CPBV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用した心臓全体について、及び、
delta SV over delta LHV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用した左心についてのTriPAPの間のスターリング曲線の傾きを導き出すように構成されている。
【0064】
代わりに、すべての計算は、パルス圧の代わりに、収縮期血圧又は平均動脈圧によっても実行され得る。代わりに、すべての計算において、気道内圧は、中心静脈圧或いは食道内圧又は電気的バイオインピーダンス呼吸信号のような胸腔内圧の代わりにて置換され得る。
【0065】
上記の言及及び上述のモデリングを考慮すると、患者のボルミックステータス(volemic status)を測定するためのプロセスは、次のステップから成る:
- 自発的呼吸又は機械的人工呼吸についての生理学上の心肺相互関係のデータを作成する。
- 前記生理学上の心肺相互関係のデータを利用して患者のボルミックステータスを測定する。
- 動脈パルス圧についての包絡線5を形成する。
- 前記動脈パルス圧の包絡線5を利用して生理学上の心肺相互関係を測定する。
- 次の方程式を利用して呼気の心肺血液量CPBVexを導き出す
CPBVex = CO * TTcp,ex,
ここで、COは心拍出量であり、TTcp,exは、動脈圧の包絡線5から導き出される呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間である。
- 次の方程式を利用して吸気の左心容量LHVinを導き出す
LHVin = CO * TTlh,in,
ここで、COは心拍出量であり、TTih,inは、動脈パルス圧の包絡線5から導き出される左心を通る血液の吸気輸送時間である。
- 次の方程式を利用して呼気の血行動態状態における血液の心肺輸送時間TTcp,exを導き出す
TTcp,ex = t(B) - t(I-E),
ここで、t(I-E)は、吸気の終端及び呼気の始端の時間ポイント8であり、t(B)は、動脈圧の包絡線5が呼気の終端及び吸気の始端の時間ポイント6と同じレベルに達する時間ポイント9である。
- 次の方程式を利用して吸気の輸送時間TTlh,inを導き出す
TTlh,in = t(E-I) - t(A),
ここで、t(E-I)は、呼気の終端及び吸気の始端の時間ポイント6であり、t(A)は、動脈圧の包絡線5が上昇し始める時間ポイント7である。
- 動脈パルス輪郭解析、食道ドップラー、経胸腔的又は食道のエコードップラー、経胸腔的又は食道の電気バイオインピーダンスのような継続的なリアルタイム心拍出量測定法から心拍出量COを得る。
- 呼吸周期をある程度の近似の平衡に必然的に適合させるべく呼気のパルス圧の一定の安定状態が達せられるかどうかについて調査する中で、単一拡張呼吸サイクルによって心肺血管系の平衡を初期検査する。
- 圧力制御された人工呼吸モード又は容量制御された人工呼吸モードに、平衡の検査を適用する。
【0066】
代わりに、患者のボルミックステータスを測定するためのプロセスは、次のステップから成る:
- 次の方程式を利用して中間呼気心肺血液量CPBVを導き出す
CPBV = CO * TTcp,
ここで、COは心拍出量であり、TTcpは、双方が動脈のパルス圧の包絡線5から導き出される、呼気の血行動態における血液の心肺輸送時間TTcp,exと左心を通る血液の吸気輸送時間TTlh,inとの間の範囲で変動する中間心肺輸送時間である。
【0067】
代わりに、患者のボルミックステータスを測定するためのプロセスは、次のステップから成る:
- 呼気終端正圧PEEPのレベルの持続的なステップ変化を利用する、又は、3つの異なる平均気道内圧レベルMPawで呼吸することによって呼気終端正圧PEEPのレベルの持続的なステップ変化を利用する。
- 低いPEEPレベル(PEEP 1)11の相と、高いPEEPレベル(PEEP 3)10の相と、中間的なPEEPレベル(PEEP 2)17の相とを作成する。
- テスト相PEEP2の前の平均気道内圧Paw meanと一致する中間的なPEEPレベル(PEEP 2)17の相を作成する。
- 次の方程式を利用して平均心肺血液量CPBVmeanを導き出す
CPBVmean = COmean * TTcp mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相での平均心拍出量COであり、TTcp meanは、動脈圧の包絡線5から導き出される血液の平均心肺輸送時間である。
- 次の方程式を利用して血液の平均心肺輸送時間TTcp meanを導き出す
TTcp mean = t(D) - t(3-2), or
TTcp mean = t(F) - t(1-2),
ここで、t(3-2)は、PEEP又はMPaw PEEP3の最高レベル10からPEEP又はMPaw PEEP2の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル17への変化の瞬間15であり、t(1-2)は、PEEP又はMPaw PEEP1の最低レベル11からPEEP又はMPaw PEEP2の平均気道内正圧レベル或いは中間レベル17への変化の瞬間12であり、t(D)は、動脈圧曲線の包絡線5が中間PEEP又はMPawレベル17に適合する時間ポイント16であり、t(F)は、動脈圧曲線の包絡線5が中間PEEP又はMPawレベル17に適合する時間ポイント14である。
- 次の方程式を利用して平均左心容量LHVmeanを導き出す
LHVmean = COmean * TTlh,mean,
ここで、COmeanは、安定後の平均気道内正圧相における平均心拍出量COであり、TTlh,meanは、動脈圧の包絡線5から導き出される血液の平均輸送時間である。
- 次の方程式を利用して血液の平均輸送時間TTlh,meanを導き出す
TTlh,mean = t(1-2) - t(E)
ここで、t(E)は、動脈圧の包絡線5が上昇し始める時間ポイント13である。
- delta SV over delta CPBV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して心臓全体と、及び、
delta SV over delta LHV on 3 PEEP or MPaw levels
からなる差分係数を利用して左心とについてのTriPAPの間のスターリング曲線の傾きを導き出す。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】気道内圧曲線、動脈圧の棒グラフ、及びパルス圧(脈圧)の包絡線を示す第1の図である。
【図2】気道内圧の曲線、動脈圧の棒グラフ、及びパルス圧の包絡線を示す第2の図である。
【図3】気道内圧の曲線、動脈圧の棒グラフ、及びパルス圧の包絡線を示す第3の図である。
【符号の説明】
【0069】
1…気道内圧、2…吸気相、3…呼気相、4…動脈圧線図、5…動脈パルス圧の包絡線
【出願人】 【識別番号】507208691
【氏名又は名称】アイピーアールエム インテレクチュアル プロパティー ライツ マネジメント エージー
【氏名又は名称原語表記】IPRM Intellectual Property Rights Management AG
【住所又は居所原語表記】c/o Dr.Hans Durrer,Gotthardstr.20,6304 Zug,CH
【出願日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇

【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一

【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭

【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉


【公開番号】 特開2008−55142(P2008−55142A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−164266(P2007−164266)