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【発明の名称】 内視鏡及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中村 一郎

【要約】 【課題】湾曲部を覆う外装ゴムを湾曲部に固定する固定部材の固定が熟練度を要求されることなく、作業性の容易化を図ることができ、コストダウンを図ることができる内視鏡を提供する。

【構成】内視鏡の湾曲部3を覆う外装ゴム12と、外装ゴム12の先端部及び後端部の少なくとも一方を湾曲部3に固定する固定部材14とからなる内視鏡において、固定部材14は、外装ゴム12の外周面に複数回密着させて巻回された熱可塑性樹脂からなる糸16と、この糸16の少なくとも外周側が溶融されて固着された溶融層16dとからなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の湾曲部を覆う外装ゴムと、前記外装ゴムの先端部及び後端部の少なくとも一方を前記湾曲部に固定する固定部材とからなる内視鏡において、
前記固定部材は、前記外装ゴムの外周面に複数回密着させて巻回された熱可塑性樹脂からなる糸と、この糸の少なくとも外周側が溶融されて固着された溶融層とからなることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記固定部材は、熱可塑性樹脂からなる糸の内周側が不完全溶融層で、外周側が完全溶融層であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
【請求項3】
前記固定部材は、熱可塑性樹脂からなる糸の内周側が不完全溶融層で、該不完全溶融層の前記外装ゴムに接する面は前記糸の輪郭によって凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂からなる糸は、モノフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記モノフィラメント糸は、芯線部と、該芯線部の外周に設けられた鞘部とからなり、該鞘部は、前記芯線部より融点が低いことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂からなる糸は、撚り線からなるマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項7】
前記マルチフィラメント糸は、芯線部と、該芯線部の外周に設けられた鞘部とからなり、該鞘部は、前記芯線部より融点が低いことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂からなる糸は、ポリオレフィン系であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項9】
内視鏡の湾曲部を覆う外装ゴムと、前記外装ゴムの先端部及び後端部の少なくとも一方を前記湾曲部に固定する固定部材とからなる内視鏡において、
前記固定部材は、前記外装ゴムの外周面に複数回密着させて巻回した熱可塑性樹脂からなる糸を溶融して固着してなることを特徴とする内視鏡。
【請求項10】
前記外装ゴムの、前記糸が巻回される部位は、他の部分より肉厚であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項11】
前記外装ゴムの、前記糸が巻回される部位の内側には弾性体が介在され、該弾性体は、前記糸の締付力によって肉厚が減じられることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項12】
前記外装ゴムの、前記糸が巻回される部位の内側の少なくとも一部には断熱層が設けられてことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項13】
内視鏡の湾曲部を覆う外装ゴムと、前記外装ゴムの先端部及び後端部の少なくとも一方を前記湾曲部に固定する固定部材とからなる内視鏡の製造方法において、
前記固定部材は熱可塑性樹脂からなる糸からなり、該糸を前記外装ゴムの外周面に複数回密着させて巻回する第1の工程と、
熱可塑性樹脂からなる糸を溶融して固着する第2の工程と、
からなることを特徴とする内視鏡の製造方法。
【請求項14】
前記第2の工程は、前記外装ゴムの外周面に巻回された熱可塑性樹脂からなる糸に熱風を送風して溶融させることを特徴とする請求項13記載の内視鏡の製造方法。
【請求項15】
前記第2の工程は、前記外装ゴムの外周面に巻回された熱可塑性樹脂からなる糸の内周側が不完全溶融状態とし、前記外装ゴムに接する面は前記糸の輪郭によって凹凸が形成されることを特徴とする請求項13または14記載の内視鏡の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端部に湾曲部を介して先端構成部を設けた内視鏡及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医療用の軟性内視鏡において、体腔内に挿入する挿入部は、可撓管部と、この可撓管部の先端部に湾曲部を介して先端構成部が設けられている。湾曲部は、複数個の節輪を関節ピンによって回動自在に連結した湾曲管と、この湾曲管に外装された網管と、この網管のさらに外周部を被覆する外装ゴムとから構成されている。外装ゴムは、内視鏡の内部を水密に保つため、その先端側が先端構成部の基端部外周に被覆されると共に、基端側が可撓管部の先端部外周に被覆されている。
【0003】
先端構成部に被覆された外装ゴムの先端部位の外周と可撓管部に被覆された外装ゴムの後端部位の外周とにそれぞれテグス等の糸状体を巻き付けて緊縛することにより外装ゴムを固定している。さらに、緊縛した糸状体の周囲に接着剤を塗布することにより、外装ゴムの固定状態を強固にしている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
特許文献1は、外装ゴムの外周部に、絹糸、ナイロン、ポリイミド等の糸部材を複数回巻回し、この糸部材の外周に接着剤を塗布して糸部材の脱落を防止したものである。
【0005】
特許文献2は、外装ゴムの外周部に、テグス等の糸部材を複数回巻回し、この糸部材の外周に熱可塑性樹脂からなる外装体を設け、さらにこの外装体の外周に熱収縮チューブからなるリング部材を外装する。そして、リング部材の外側から温風を送風してリング部材を熱収縮させるとともに外装体を溶融して糸部材の脱落を防止し、その後、リング部材を除去している。
【特許文献1】特開平6−319677号公報
【特許文献2】特開2000−41937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、外装ゴムの外周部に糸部材を巻回した後、その外周部に所定量の接着剤を塗布する作業があり、作業に熟練度が要求される。特許文献2は、外装ゴムの外周部に糸部材を巻回する工程、外装体を外装する工程、外装体の外周にリング部材を外装する工程、リング部材の外側から温風を送風する工程、さらにリング部材を取り除く工程が必要であり、作業工程が多く、作業時間が長く、コストアップの原因になっている。
本発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、湾曲部を覆う外装ゴムを湾曲部に固定する固定部材の固定が熟練度を要求されることなく、作業性の容易化を図ることができ、コストダウンを図ることができる内視鏡及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、内視鏡の湾曲部を覆う外装ゴムと、前記外装ゴムの先端部及び後端部の少なくとも一方を前記湾曲部に固定する固定部材とからなる内視鏡において、前記固定部材は、前記外装ゴムの外周面に複数回密着させて巻回された熱可塑性樹脂からなる糸と、この糸の少なくとも外周側が溶融されて固着された溶融層とからなることを特徴とする。
【0008】
また、内視鏡の湾曲部を覆う外装ゴムと、前記外装ゴムの先端部及び後端部の少なくとも一方を前記湾曲部に固定する固定部材とからなる内視鏡の製造方法において、前記固定部材は熱可塑性樹脂からなる糸からなり、該糸を前記外装ゴムの外周面に複数回密着させて巻回する第1の工程と、熱可塑性樹脂からなる糸を溶融して固着する第2の工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外装ゴムに固定部材として熱可塑性樹脂からなる糸を巻回し、この糸を溶融するだけで、外装ゴムを固定できる。したがって、作業性が向上し、コストダウンを図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図3は、第1の実施形態を示し、図1は内視鏡の挿入部の先端側を示す斜視図、図2は図1のA部を拡大した縦断側面図、図3(a)〜(d)は内視鏡の製造工程を示す縦断側面図である。
【0012】
図1に示すように、内視鏡の挿入部1は、可撓管部2、この可撓管部2の先端部に設けられた湾曲部3及びこの湾曲部3の先端部に設けられた先端構成部4とから構成されている。先端構成部4には照明窓5、CCD等の備えた観察窓6及び吸引管路の開口7等が設けられている。
【0013】
湾曲部3は、図2に示すように、内層には湾曲可能な管状体8として、複数個の節輪9が関節ピン10によって回動自在に連設されている。節輪9には、金属または化学繊維を筒状に編んで形成した網管11が外装され、その両端部は湾曲部3の両端部に配設される節輪9に接着または半田等によって固定されている。
【0014】
さらに、網管11にはチューブ体よりなる外装ゴム12が外装されている。外装ゴム12の先端部は先端構成部4を構成する金属または硬質の樹脂よりなる先端硬質部13に固定され、外装ゴム12の後端部は可撓管部2に固定されている。外装ゴム12の先端硬質部13に対する固定構造及び外装ゴム12の可撓管部2に対する固定構造は同様であり、外装ゴム12の先端部及び後端部は固定部材14によって先端硬質部13及び可撓管部2にそれぞれ固定されている。
【0015】
先端硬質部13の後端部には外装ゴム12の先端部が嵌合される小径部からなる装着部15が設けられている。そして、装着部15には固定部材14によって外装ゴム12が固定されている。
【0016】
固定部材14を構成する糸16は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレンからなるモノフィラメントであり、芯線部16aと、この芯線部16aの周囲に設けられた鞘部16bとから形成されている。そして、鞘部16bは、芯線部16aより融点が低く、例えば、溶融温度が約170℃である。
【0017】
図3(a)に示すように、装着部15に嵌合した外装ゴム12の外周部に、巻線機もしくは手作業によって糸16を複数回密巻き状態に巻回すると、糸16の鞘部16bが互いに接触した状態の糸巻回層16cになる。
【0018】
次に、同図(b)に示すように、糸巻回層16cの外周に、PTFE(収縮温度:340℃)からなる熱収縮チューブからなるリング部材17を外装する。リング部材17は糸16の巻回幅より幅広い部材であり、その収縮温度は、糸16の鞘部16bの溶融温度よりも高くなる材質を使用している。
【0019】
次に、同図(c)に示すように、リング部材17の外側から、例えばヒートガン(1000W)のノズル18をリング部材17に対して数cm離し、リング部材17に略均等に熱風を数秒〜10秒間、送風すると、リング部材17が熱収縮し始める。さらに、リング部材17に略均等に熱風を20〜30秒間、送風すると、リング部材17の全体が熱収縮して糸巻回層16cの外周面に密着し、糸16の鞘部16bが溶融して隣り合う鞘部16bが融合して一体化した溶融層16dが得られる。このとき、溶融層16dの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われているため、鞘部16bを略同時に溶融促進する効果があるとともに、溶融層16dの外周面を平滑に仕上げる効果がある。
さらに、糸巻回層16cはリング部材17の外周から熱風によって加熱されるため、糸巻回層16cの内層、つまり外装ゴム12と接触する面側は、溶融に至るまでの時間が長く掛かる。したがって、前記熱風の送風時間であると、糸16の鞘部16bが不完全溶融状態で、糸16の輪郭が残り、その輪郭によって波状の凹凸19が形成される。さらに、糸16の芯線部16aは鞘部16bより融点が高いため、鞘部16bが溶融しても芯線部16aは不完全溶融状態にあり、糸16が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持するという効果がある。
つまり、糸16は巻回時の締付力によって外装ゴム12を外側から内側に締め付けているが、加熱溶融されると締付力が緩くなるが、糸巻回層16cの内層は不完全溶融状態の糸16の輪郭で凹凸19が形成され、さらに、糸16の芯線部16aも不完全溶融状態にあるために、締付力が緩くなることはなく、糸16が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持することになる。
【0020】
同図(d)は、溶融層16dが冷却固化された後、リング部材17を取り除いた状態を示し、外装ゴム12の端部が固定部材14によって固定された状態が理解される。しかも、溶融層16dの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われていたため、リング部材17に対する加熱がたとえ不均一でもリング部材17が糸巻回層16cに対する熱伝導が均一化されて溶融層16dの外周面が平滑に仕上げる効果がある。
なお、前記実施形態においては、リング部材17として、PTFE(収縮温度:340℃)からなる熱収縮チューブを使用したが、FEP(収縮温度:100〜200℃)からなる熱収縮チューブを使用した場合、糸16が溶融する温度と熱収縮チューブの収縮温度の温度差が少ない。したがって、熱収縮チューブが収縮した後も糸16が溶融するまでさらに加熱する必要がある。
図4は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態の固定部材14を構成する糸21は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレンからなる複数本の繊維の撚り線からなるマルチフィラメントであり、芯線部21aと、この芯線部21aの周囲に設けられた鞘部21bとから形成されている。そして、鞘部21bは、芯線部21aより融点が低く、例えば、溶融温度が約170℃である。
【0021】
図4(a)は外装ゴム12に糸21を複数回密巻き状態に巻回し、熱収縮チューブからなるリング部材17を外装した状態を示し、(b)は糸21が加熱溶融した後、リング部材17を取り除いた状態を示す。
第1の実施形態と同様に、リング部材17の外側からヒートガンによってリング部材17に熱風を送風すると、まず、リング部材17が熱収縮し、続いて糸巻回層21cの鞘部21bが溶融して隣り合う鞘部21bが融合して一体化した溶融層21dが得られる。このとき、溶融層21dの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われているため、鞘部21bを略同時に溶融促進する効果があるとともに、溶融層21dの外周面を平滑に仕上げる効果がある。
さらに、糸巻回層21cはリング部材17の外周から熱風によって加熱されるため、糸巻回層21cの内層、つまり外装ゴム12と接触する面側は、溶融に至るまでの時間が長く掛かる。したがって、糸21の鞘部21bが不完全溶融状態で、糸21の輪郭が残り、その輪郭によって細かい波状の凹凸19が形成される。さらに、糸21の芯線部21aは鞘部21bより融点が高いため、鞘部21bが溶融しても芯線部21aは不完全溶融状態にあり、糸21が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持するという効果がある。
図5は第3の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、本実施形態の固定部材14を構成する糸22は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、溶融温度が約170℃の例えばポリプロピレン、ポリエチレンからなるモノフィラメントである。
【0022】
図5(a)は外装ゴム12に糸22を複数回密巻き状態に巻回し、熱収縮チューブからなるリング部材17を外装した状態を示し、(b)は糸22を加熱溶融し、リング部材17を取り除いた状態を示す。
第1の実施形態と同様に、リング部材17の外側からヒートガンによってリング部材17に熱風を送風すると、まず、リング部材17が熱収縮し、続いて糸巻回層22aが溶融して隣り合う糸22が融合して一体化した溶融層22bが得られる。このとき、溶融層22bの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われているため、溶融層22bの全体が略均一に溶融される。したがって、溶融層22bの内周面は外装ゴム12の外周面に密着し、溶融層22bの外周面は平滑に仕上げられる。本実施形態は、糸巻回層22aの全体を溶融させるため、溶融層22bの内層は外装ゴム12の外周面と隙間なく密着する。
【0023】
図6は第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、本実施形態は、固定部材14を構成する糸23は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、溶融温度が約170℃の例えばポリプロピレン、ポリエチレンからなるモノフィラメントである。
【0024】
図6(a)は外装ゴム12に糸23を複数回密巻き状態に巻回し、熱収縮チューブからなるリング部材17を外装した状態を示し、(b)は糸23を加熱溶融し、リング部材17を取り除いた状態を示す。
第1の実施形態と同様に、リング部材17の外側からヒートガンによってリング部材17に熱風を送風すると、まず、リング部材17が熱収縮し、続いて糸巻回層23aが溶融して隣り合う糸23が融合して一体化した溶融層23bが得られる。このとき、溶融層23bの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われているため、溶融層23bの内周面は外装ゴム12の外周面に密着し、溶融層23bの外周面は平滑に仕上げられる。
【0025】
このとき、糸巻回層23aはリング部材17の外周から熱風によって加熱されるため、糸巻回層23aの内層、つまり外装ゴム12と接触する面側は、溶融に至るまでの時間が長く掛かる。したがって、ヒートガンによる加熱時間を調整し、糸巻回層23aの内層まで溶融に至る直前にヒートガンによる加熱を止めると、糸巻回層23aの内層の糸23が不完全溶融状態で、糸23の輪郭が残り、その輪郭によって凹凸19が形成される。さらに、糸巻回層23aの内層の糸23が不完全溶融状態であると、糸23が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持できる。つまり、糸巻回層23aの内層の糸23が不完全溶融状態にあるために、締付力が緩くなることはなく、糸23が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持することになる。
【0026】
図7は第5の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、本実施形態は、固定部材14を構成する糸24は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、溶融温度が約170℃の例えばポリプロピレン、ポリエチレンからなる複数本の繊維の撚り線からなるマルチフィラメントである。
【0027】
図7(a)は外装ゴム12に糸24を複数回密巻き状態に巻回し、熱収縮チューブからなるリング部材17を外装した状態を示し、(b)は糸24を加熱溶融し、リング部材17を取り除いた状態を示す。
第1の実施形態と同様に、リング部材17の外側からヒートガンによってリング部材17に熱風を送風すると、まず、リング部材17が熱収縮し、続いて糸巻回層24aが溶融して隣り合う糸24が融合して一体化した溶融層24bが得られる。このとき、溶融層24bの外周面は、熱収縮したリング部材17によって覆われているため、溶融層24bの内周面は外装ゴム12の外周面に密着し、溶融層24bの外周面は平滑に仕上げられる。
【0028】
このとき、糸巻回層24aはリング部材17の外周から熱風によって加熱されるため、糸巻回層24aの内層、つまり外装ゴム12と接触する面側は、溶融に至るまでの時間が長く掛かる。したがって、ヒートガンによる加熱時間を調整し、糸巻回層24aの内層まで溶融に至る直前にヒートガンによる加熱を止めると、糸巻回層24aの内層の糸24が不完全溶融状態で、糸24の輪郭が残り、その輪郭によって細かい凹凸19が形成される。さらに、糸巻回層24aの内層の糸24が不完全溶融状態であると、糸24が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持できる。つまり、糸巻回層24aの内層の糸24が不完全溶融状態にあるために、締付力が緩くなることはなく、糸24が外装ゴム12を締め付ける締付力を維持することになる。
【0029】
なお、前記各実施形態においては、糸巻回層に熱収縮チューブからなるリング部材を外装し、リング部材の外周からヒートガンによって加熱したが、糸巻回層に熱収縮チューブからなるリング部材を必ずしも外装する必要はなく、ヒートガンによって糸巻回層を直接加熱してもよい。また、加熱する手段としては、ヒートガンに限定されるものではなく、加熱炉に数秒間入れて加熱してもよい。
【0030】
図8は第6の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を巻回する前の状態の縦断側面図、(b)は外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図であり、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、先端硬質部13の小径部からなる装着部15に嵌合される外装ゴム12の先端部26、つまり、糸が巻回される部位の肉厚t1を、他の部分の肉厚t2より厚く形成したものである。第1〜第5の実施形態と同様に、外装ゴム12の先端部26に糸を複数回密巻きに巻回すると、先端部26は圧縮されて糸巻回層が形成される。糸巻回層は加熱溶融されると、溶融層16dが形成される。糸巻回層が加熱溶融されると、外装ゴム12の先端部26を締付ける締付力が若干緩むが、先端部26を肉厚にした分、糸を強く巻回することができる。したがって、外装ゴム12を締め付ける締付力を維持することになる。
【0031】
なお、外装ゴム12の先端部について説明したが、外装ゴム12の後端部においても同様に肉厚とすることにより、糸を強く巻回することができ、挿入部1の水密構造が一層確実となる。
【0032】
図9は第7の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を巻回する前の状態の縦断側面図、(b)は外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図であり、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、先端硬質部13の小径部からなる装着部15にリング状ゴム等の弾性体27を嵌合し、この弾性体27の外周に外装ゴム12を嵌合したものである。この状態で、外装ゴム12に糸を複数回密巻きに巻回すると、外装ゴム12及び弾性体27は糸の締付力によって肉厚が減じられて糸巻回層が形成される。糸巻回層は加熱溶融されると、溶融層16dが形成される。糸巻回層が加熱溶融されると、外装ゴム12の糸の締付力が若干緩むが、弾性体27が圧縮される分、糸を強く巻回することができる。したがって、外装ゴム12を締め付ける締付力を維持することになる。
【0033】
なお、外装ゴム12の先端部について説明したが、外装ゴム12の後端部においても同様に肉厚とすることにより、糸を強く巻回することができ、挿入部1の水密構造が一層確実となる。
【0034】
図10〜図12は第8の実施形態を示し、図10は挿入部の先端部の横断正面図、図11は同縦断側面図、図12は外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図であり、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、先端硬質部13の装着部15に対応する先端硬質部13の内腔13aにセラミック等の断熱材からなる断熱層28を設けたものである。この断熱層28は内腔13aの内周面の全体もしくは内腔13a内のCCD30等に対向する一部に設けてもよい。このように断熱層28を設けると、糸巻回層をヒートガン等によって加熱溶融させる際に、先端硬質部13が加熱されても、断熱層28によって熱を遮断することができ、CCD30等の内蔵物を保護することができる。
図13は第9の実施形態を示し、第1,8の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態は、先端硬質部13の装着部15及び網管11にセラミック等の断熱材からなる断熱層29を設けたものである。この断熱層29は装着部15及び網管11の全周もしくは内腔13a内のCCD30等に対向する一部に設けてもよい。このように断熱層29を設けると、糸巻回層をヒートガン等によって加熱溶融させる際に、先端硬質部13が加熱されても、断熱層29によって熱を遮断することができ、CCD30等の内蔵物を保護することができる。
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、内視鏡の挿入部の先端側を示す斜視図。
【図2】同実施形態を示し、図1のA部を拡大した縦断側面図。
【図3】同実施形態を示し、(a)〜(d)は製造工程を示す縦断側面図。
【図4】本発明の第2の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を複数回密巻きした状態の縦断側面図、(b)は糸を加熱溶融した状態の縦断側面図。
【図5】本発明の第3の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を複数回密巻きした状態の縦断側面図、(b)は糸を加熱溶融した状態の縦断側面図。
【図6】本発明の第4の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を複数回密巻きした状態の縦断側面図、(b)は糸を加熱溶融した状態の縦断側面図。
【図7】本発明の第5の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を複数回密巻きした状態の縦断側面図、(b)は糸を加熱溶融した状態の縦断側面図。
【図8】本発明の第6の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を巻回する前の状態の縦断側面図、(b)は外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図。
【図9】本発明の第7の実施形態を示し、(a)は外装ゴムに糸を巻回する前の状態の縦断側面図、(b)は外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図。
【図10】本発明の第8の実施形態を示し、挿入部の先端部の横断正面図。
【図11】同実施形態を示し、挿入部の先端部の縦断側面図。
【図12】同実施形態を示し、外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図。
【図13】本発明の第9の実施形態を示し、外装ゴムに巻回した糸を溶融した状態の縦断側面図。
【符号の説明】
【0036】
1…挿入部、3…湾曲部、12…外装ゴム、14…固定部材、16…糸、16a…芯線部、16b…鞘部、16d…溶融層、17…リング部材
【出願人】 【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−55052(P2008−55052A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238039(P2006−238039)