| 【発明の名称】 |
血管内補強具 |
| 【発明者】 |
【氏名】古市 将司
|
| 【要約】 |
【課題】細い血管内に挿入可能であると共に血管内からの回収が容易な血管内補強具を提供する。
【構成】血管4内に塞栓用カテーテル6Aを通して動脈瘤5内に留置した塞栓用カテーテル6Aからプラチナ製の塞栓コイル7を押し出し、そしてマイクロカテーテル6内から本発明のプロテクトコイルを押し出して広頚の動脈瘤5の血管4にコイル部2を置き、血管4と動脈瘤5とを分離させる。このとき、塞栓用カテーテル6Aはコイル部2の外側に位置する。ここで、コイル部2を構成するワイヤーは互いに接するほど密になっている。塞栓コイル7によって動脈瘤5内が密に塞栓されると共に、塞栓用カテーテル6A内の塞栓コイルと動脈瘤5内の塞栓コイルとを分離して塞栓用カテーテル6Aを抜去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 血管内に挿入されるカテーテル内に配置され、前記カテーテルの内径と略同一の外径を有する素線で構成される血管内補強具であって、 前記カテーテルから押し出された前記素線はコイル部を形成し、 該コイル部の外径が、前記血管の内径と略同じである ことを特徴とする血管内補強具。 【請求項2】 前記コイル部が形状記憶材で構成された ことを特徴とする請求項1に記載の血管内補強具。 【請求項3】 前記コイル部の両端が開放された ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血管内補強具。 【請求項4】 前記コイル部の第1の環状体と、該第1の環状体と隣り合う第2の環状体とが所定の間隔を隔てて配置されていると共に、前記コイル部の一端から他端へ向けて、前記コイル部の径が順次縮小した ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血管内補強具。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は血管内補強具に関する。詳しくは、動脈瘤閉塞装置と組み合わせて使用される血管内補強具に係るものである。 【背景技術】 【0002】 重篤な血管疾患の一つが動脈瘤であるが、動脈瘤の多くは血管分岐部における股の部分に血流の負担がかかり形成されるが、一度できた動脈瘤は自然に縮小することもなく、多くの症例で年間5〜10%程度ずつ大きくなることが報告されている。 【0003】 動脈瘤の直径と破裂の危険性には相関があり、直径が5〜6mmになると破裂の危険性が高く、破裂した場合の緊急手術の成功率は、専門の緊急病院でも50%程度と低いため、動脈瘤は破裂前に治療することが大変重要である。 【0004】 その一方で、動脈瘤については、投薬など内科的に治療する方法は確立されておらず、外科的に治療することが一般的である。そして、外科的治療おいて、離脱式コイル(GDC等)の登場により、脳動脈瘤の塞栓術が飛躍的な進歩を遂げた。 脳動脈瘤塞栓術とは、開頭手術をせずに動脈瘤に金属を詰めてしまう治療法であり、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対する、クリッピング術と並ぶもうひとつの治療法である。即ち、脚の付け根の血管から細い管を脳動脈瘤まで進めて、プラチナ製のコイルを動脈瘤の中に詰める方法である。 【0005】 しかし、広頚の動脈瘤、動脈瘤から分岐が出ている動脈瘤、解離性動脈瘤、小動脈瘤、巨大動脈瘤には問題が残っている。 ここで、小動脈瘤では、動脈瘤内にカテーテルを挿入するときに穿孔するおそれが高くなる。 また、広頚の動脈瘤では、動脈瘤から親血管にコイルが逸脱するおそれがある。また、広頚の動脈瘤の塞栓術を補う方法としてバルーンカテーテルを併用し、バルーンによりコイルの逸脱を防ぐ方法があるが、バルーンにより血流を閉ざす欠点があり、脳溢血、血栓形成のおそれが増加する。 【0006】 また、コイルの逸脱を防ぐために頭蓋内ステントを併用する例もあるが、硬いステントを頭蓋内まで到達させることは容易ではなく、成功する例は限られている。 【0007】 そこで、不必要な外傷または血管が破損するおそれを回避するため、動脈瘤を閉塞するために動脈瘤に設置された血管閉塞装置と組み合わせて使用する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。図6は従来の血管内装置を説明する概略図であるが、特許文献1には、長手方向の接続部114により接続された一連の周方向ループ112として構成された円柱状の血管内装置110が記載されており、この血管内装置110の構成では、ワイヤーの自由両端が互いに平行となって、1対の周方向部112に形成され、対の平行要素114への遷移部が第2の距離118の間に形成される位置に至るまで半円弧状に延びるが、平行要素は別な対の周方向ループ112へと逆に遷移した後、ステントの端部を形成している端部ループ120に向かって途切れることなく連続している。このような構成により、動脈瘤近辺の領域を補強できる。 【0008】 【特許文献1】特表2002−521088号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、従来の血管内装置は、ワイヤーの自由両端が互いに平行となって、1対の周方向部に形成され、平行要素(長手方向の接続部)も対となっているので、従来の血管内装置をカテーテル内に通すためには、平行な2本のワイヤーを1本に束ねなければならないため、カテーテルの径は太いものに限られてしまう。また、従来の血管内装置は、周方向部と平行要素とを備えて形状が複雑なので、径が1〜2mmの血管には適さない。 また、従来の血管内装置は、対になった長手方向の接続部を備えているので側壁の開口部が大きく、側壁を利用した止血を行なうことができない。また、従来の血管内装置は、周方向ループを備えているので、血管内装置を血管内から回収する場合に、動脈瘤内のコイルと絡んで回収できなくなる可能性がある。 【0010】 本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、細い血管内に挿入可能であると共に血管内からの回収が容易な血管内補強具を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記の目的を達成するために、本発明の血管内補強具は、血管内に挿入されるカテーテル内に配置され、前記カテーテルの内径と略同一の外径を有する素線で構成される血管内補強具であって、前記カテーテルから押し出された前記素線はコイル部を形成し、該コイル部の外径が、前記血管の内径と略同じであることを特徴とする。 【0012】 ここで、カテーテルの内径と略同一の外径を有する素線で構成されるので、カテーテル内に素線が入れられると1本の線状となる。また、コイル部の外径が、挿入される血管の内径と略同じであることによって、動脈瘤から詰め物が逸脱して血管内へ侵入することを抑制できる。 【0013】 また、本発明の血管内補強具において、コイル部が形状記憶材で構成された場合、例えばカテーテル等に挿入されて形状が変化していてもカテーテル等から出されると直ちに記憶された形状に戻ることができる。 【0014】 また、本発明の血管内補強具において、コイル部の両端が開放された場合、血管内にコイル部を留置させながら、コイル部の一端からコイル部内に別の器具を通して他端から出すことができる。なお、コイル部を構成する素線の環状体同士が接して密の状態であれば、コイル部の側壁方向における血流を減弱させて、動脈瘤内への血流の流入を抑制し、よって動脈瘤の破裂を抑制できる。そのため、解離性動脈瘤、小動脈瘤、巨大動脈瘤への応用が期待される。 【0015】 また、本発明の血管内補強具において、コイル部の第1の環状体と、第1の環状体と隣り合う第2の環状体とが所定の間隔を隔てて配置されていると共に、コイル部の一端から他端へ向けて、コイル部の径が順次縮小した場合、コイル部がフィルターの役割を果たし、血流を閉ざすことなく遊離した血栓等を回収できる。 【発明の効果】 【0016】 本発明に係る血管内補強具は、細い血管内に挿入可能であると共に血管内からの回収が容易である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。図1は、本発明を適用した血管内補強具であるプロテクトコイルの構造を説明する概略図である。 図1(a)に示されるプロテクトコイルの第1の態様において、プロテクトコイル1は、1本の弾性力がある形状記憶合金(ニッケルチタニウム合金)からなるワイヤーで構成されていると共に両端が開放された螺旋状のコイル部2と、コイル部2に接続された線状の形状記憶合金(ニッケルチタニウム合金)からなるデリバリーワイヤー3とを備えている。また、コイル部2の外径は、挿入される血管の内径と略同じである。ここで、コイル部2を構成するワイヤーは互いに接するほど密になっている。 また、図1(b)に示されるプロテクトコイルの第2の態様は、コイル部2が、デリバリーワイヤー3が接続したコイル部2の一端から他端へ向けて、コイル部2の径が順次縮小した円錐状である点以外は、第1の態様と同じである。 【0018】 ここで、コイル部の外径が、挿入される血管の内径と略同じであれば、必ずしもコイル部はニッケルチタニウム合金からなるワイヤーで構成されていなくてもよく、例えばステンレス鋼、超弾性合金、プラチナ、またはこれらの組み合わせを含む材料で構成されていてもよい。 【0019】 図2は、本発明のプロテクトコイルを用いて広頚の動脈瘤を塞栓する手順を説明する概略図である。先ず、血管(親血管)4内に塞栓用カテーテル6Aを通して動脈瘤5内に留置した塞栓用カテーテル6Aからプラチナ製の塞栓コイル7を押し出し、そしてマイクロカテーテル6内から本発明のプロテクトコイルを押し出して広頚の動脈瘤5の血管(親血管)4にコイル部2を置き、血管4と動脈瘤5とを分離させる(図2(a)参照。)。このとき、塞栓用カテーテル6Aはコイル部2の外側に位置する。ここで、コイル部2を構成するワイヤーは互いに接するほど密になっている。 次に、塞栓コイル7によって動脈瘤5内が密に塞栓されると共に、塞栓用カテーテル6A内の塞栓コイルと動脈瘤5内の塞栓コイルとを分離して塞栓用カテーテル6Aを抜去する(図2(b)参照。)。 そして、デリバリーワイヤー3を引っ張ってコイル部2をマイクロカテーテル6内に収納して体外に抜去する(図2(c)参照。)。なお、塞栓コイル7が動脈瘤5の外側へ逸脱すなわち血管4内に侵入する可能性が高い場合は、通電してコイル部2とデリバリーワイヤー3とを電解分離させて、コイル部2を血管4内に残す。 【0020】 図3は、本発明のプロテクトコイルを用いて、解離した血管の内壁を補強する手順を説明する概略図である。図3(a)は、解離性の動脈瘤5が形成され、内壁が解離した血管4であり、図3(b)に示すようにマイクロカテーテル6からコイル部2を押し出して解離性の動脈瘤5と血管4とを分離すると共に血管4の内壁を補強する。ここで、コイル部2を構成するワイヤーは互いに接しており、動脈瘤5内への血流の侵入を抑制している。そして、コイル部2とデリバリーワイヤー3とを分離させて、コイル部2を血管4内に留置する(図3(c)参照。)。 【0021】 図4は、本発明のプロテクトコイルを用いて、巨大動脈瘤が生成した血管を補強した状態を説明する概略図である。巨大動脈瘤の場合、瘤内塞栓では治癒しないことが多く、親血管と瘤とを遮断する。 ここで、血管4にマイクロカテーテル(図示せず。)を挿入し、動脈瘤5を越える位置までマイクロカテーテル(図示せず。)を押し進め、マイクロカテーテル(図示せず。)からコイル部2を押し出しながらマイクロカテーテル(図示せず。)を引き戻し、プロテクトコイルのコイル部2によって血管4と動脈瘤5が分離するようにして、コイル部2を血管4内に留置する。ここで、コイル部2を構成するワイヤーは互いに接するほど密になっており、動脈瘤5内への血流の侵入を抑制している。 【0022】 図5は、本発明のプロテクトコイルを用いて、遊離血栓を回収する状態を説明する概略図である。血管4内に血栓9が生成した箇所は狭窄部となって血液が流れにくくなるため、狭窄部に網目状の金属製の筒であるステント8を留置して血液の流れをよくする。しかし、ステント8を狭窄部に留置すると、血栓9が飛散して遊離血栓となり、この遊離血栓を放っておくと再度血管が閉塞するため、デリバリーワイヤー3が接続したコイル部2の一端から他端へ向けて、コイル部2の径が順次縮小した円錐状のコイル部2を血管の末梢に置き、遊離血栓を回収する。 【0023】 このように、本発明の血管内補強具は、カテーテルの内径と略同一の外径を有する素線で構成されるので、カテーテル内に素線が入れられると1本の線状となり、径1〜2mmの細い血管内に挿入可能であると共に血管内からの回収が容易である。 また、コイル部が1本の線状に変化するので、血管からコイル部を回収する場合に動脈瘤内の塞栓コイルに絡む可能性が低減する。 また、コイル部の外径が、挿入される血管の内径と略同じであることによって、動脈瘤から詰め物が逸脱して血管内へ侵入することを抑制できる。 【0024】 また、コイル部が形状記憶材で構成されているので、カテーテル等に挿入されて形状が変化していてもカテーテル等から出されると直ちに記憶された形状に戻ることができる。 【0025】 また、コイル部の両端が開放されているので、血管内にコイル部を留置させながら、コイル部の一端からコイル部内に別の器具を通して他端から出すことができる。 【0026】 また、コイル部の第1の環状体と、第1の環状体と隣り合う第2の環状体とが所定の間隔を隔てて配置されていると共に、コイル部の一端から他端へ向けて、コイル部の径が順次縮小しているので、コイル部がフィルターの役割を果たし、血流を閉ざすことなく遊離した血栓等を回収できる。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】本発明を適用した血管内補強具であるプロテクトコイルの構造を説明する概略図である。 【図2】本発明のプロテクトコイルを用いて広頚の動脈瘤を塞栓する手順を説明する概略図である。 【図3】本発明のプロテクトコイルを用いて、解離した血管の内壁を補強する手順を説明する概略図である。 【図4】本発明のプロテクトコイルを用いて、巨大動脈瘤が生成した血管を補強した状態を説明する概略図である。 【図5】本発明のプロテクトコイルを用いて、遊離血栓を回収する状態を説明する概略図である。 【図6】従来の血管内装置を説明する概略図である。 【符号の説明】 【0028】 1 プロテクトコイル 2 コイル部 3 デリバリーワイヤー 4 血管 5 動脈瘤 6 マイクロカテーテル 6A 塞栓用カテーテル 7 塞栓コイル 8 ステント 9 血栓
|
| 【出願人】 |
【識別番号】506295883 【氏名又は名称】古市 将司
|
| 【出願日】 |
平成18年8月31日(2006.8.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100114627 【弁理士】 【氏名又は名称】有吉 修一朗
|
| 【公開番号】 |
特開2008−54901(P2008−54901A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−235061(P2006−235061) |
|