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【発明の名称】 超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法
【発明者】 【氏名】川口 貴之

【氏名】橋元 大介

【氏名】藤本 和貴

【氏名】田口 喜祥

【要約】 【課題】生きている牛や豚などの家畜の内部の肉の状態を超音波で調べるに当たり、電子機器や呼吸によって生じるノイズを除去することで、画像を鮮明にして測定精度を高め、また、表面近くの肉の状態の測定から深い部分にある肉の状態を推定することにある。

【構成】加速度センサーもしくはジャイロセンサー12を取り付けた超音波発射部11を家畜に当てて撮影した家畜の枝肉横断面の画像を、デジタル映像信号に変換し、加速度センサーもしくはジャイロセンサー12の情報から家畜の呼吸状態の各画像を区別し、呼吸状態の各画像から特定の同じ状態の画像27を抽出して画像フィルタ処理して画像に含まれる電子機器ノイズ及び呼吸ノイズを除去し得られる画像を鮮明にして肉の状態を診断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置の超音波発射部を家畜に当てて撮影した家畜の枝肉横断面の画像を、デジタル映像信号に変換し、画像フィルタ処理して画像に含まれるノイズを除去し得られる画像を鮮明にして肉の状態を診断することを特徴とする超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法。
【請求項2】
超音波診断装置の超音波発射部に加速度センサーもしくはジャイロセンサーを取り付け、加速度センサーもしくはジャイロセンサーを取り付けた超音波発射部を家畜に当てて撮影した家畜の枝肉横断面の画像を、デジタル映像信号に変換し、加速度センサーもしくはジャイロセンサーの情報から家畜の呼吸状態の各画像を区別し、呼吸状態の各画像から特定の同じ状態の画像を抽出して画像フィルタ処理して画像に含まれる電子機器ノイズ及び呼吸ノイズを除去し得られる画像を鮮明にして肉の状態を診断することを特徴とする超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、生きている牛や豚などの家畜の内部の肉の状態を超音波で調べる技術に係り、特に、電子機器や呼吸によって生じるノイズを除去することで、画像を鮮明にして測定精度を高め、また、表面近くの肉の状態の測定から深い部分にある肉の状態を推定する超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、生体時に牛などの家畜の枝肉性状(胸最長筋面積、僧帽筋形状、皮下脂肪厚など)および肉質(胸最長筋内の脂肪交雑)を判定する際は、食用動物用の超音波診断装置を用いて枝肉横断面の超音波画像を撮影し、過去に撮影した超音波画像とその家畜との枝肉成績をもとに判定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、専門家は超音波で撮影した画像を見て、生きている牛の内部の枝肉性状や肉質などの肉の状態を判断しているが、現実には3〜5割程しか正確には判断できなかった。
これは、超音波での撮影時に、牛舎で使用されている電子機器の影響でノイズが生じ、また、牛は超音波撮影時に呼吸しており、その呼吸で牛の内部の肉は膨縮し、これらに起因して画像が不鮮明になり、不鮮明な画像を通じての判断のために、上記のように判断レベルが低いという問題があった。
また、超音波発信器を当てる体の表面から距離のある深い部分にある肉の状態を計測したい場合には、超音波は距離が長くなると減衰し、得られる画像が不鮮明になるという性質があり、超音波を使っての計測は困難と考えられる。
【0004】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、生きている牛や豚などの家畜の内部の肉の状態を超音波で調べるに当たり、電子機器や呼吸によって生じるノイズを除去することで、画像を鮮明にして測定精度を高め、また、表面近くの肉の状態の測定から深い部分にある肉の状態を推定することのできる超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、超音波診断装置の超音波発射部を家畜に当てて撮影した家畜の枝肉横断面の画像を、デジタル映像信号に変換し、画像フィルタ処理して画像に含まれるノイズを除去し得られる画像を鮮明にして肉の状態を診断する手段よりなるものである。
【0006】
また、請求項2の発明は、超音波診断装置の超音波発射部に加速度センサーもしくはジャイロセンサーを取り付け、加速度センサーもしくはジャイロセンサーを取り付けた超音波発射部を家畜に当てて撮影した家畜の枝肉横断面の画像を、デジタル映像信号に変換し、加速度センサーもしくはジャイロセンサーの情報から家畜の呼吸状態の各画像を区別し、呼吸状態の各画像から特定の同じ状態の画像を抽出して画像フィルタ処理して画像に含まれる電子機器ノイズ及び呼吸ノイズを除去し得られる画像を鮮明にして肉の状態を診断する手段よりなるものである。
【発明の効果】
【0007】
以上の記載より明らかなように、請求項1の発明に係る超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法によれば、画像フィルタ処理して画像に含まれるノイズを除去することで画像を鮮明にでき、これまでのノイズを含んだ状態の画像を調べる場合に比べて、専門家はより正確に肉の状態を判断することが可能となり、生体時の牛豚の家畜の肉の測定精度を高めることができる。これにより、農家或いはその指導員は、今後の牛豚の家畜の飼育方法向上のために利用でき、より良質な食用肉の生産が可能になる。
【0008】
また、請求項2の発明に係る超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法によれば、画像フィルタ処理して画像に含まれるノイズ、特に呼吸ノイズを除去することで画像を鮮明にでき、これまでの呼吸ノイズを含んだ状態の画像を調べる場合に比べて、専門家はより正確に肉の状態を判断することが可能となり、生体時の牛豚の家畜の肉の測定精度を高めることができる。これにより、農家或いはその指導員は、今後の牛豚の家畜の飼育方法向上のために利用でき、より良質な食用肉の生産が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に記載の発明を実施するための最良の形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。
ここで、図1は超音波診断装置とパソコンの概略構成図、図2は加速度による牛の呼吸状態と時間との関係図、図3は各デジタル画像の輝度と時間との関係図である。
【0010】
図において、超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法においては、超音波診断装置1とパソコン2が使用される。超音波診断装置1にはプローブといわれる超音波発射部11が配線コードを通じて接続されている。
【0011】
超音波発射部11は測定する家畜例えば牛の表面に押し当てて牛の内部に超音波を発射する機器である。この超音波発射部11には必要に応じて加速度センサーもしくはジャイロセンサー12が取り付けられている。加速度センサーもしくはジャイロセンサー12は牛の呼吸の状態を検出する機器で、呼吸によって生じるノイズを除去したい場合には取り付けられるが、超音波発射部11に取り付けられずに別々に使用されることもある。記録媒体13は超音波診断装置1で得られた画像情報と加速度センサーもしくはジャイロセンサー12で得られた呼吸情報を録画するための媒体で、例えばDVDが使用される。この記録媒体13は図示しない記録装置を使って記録される。
【0012】
パソコン2には、例えばインターフェース21,画面22,CPU23,ハードディスク24,RAM25などが含まれ、また記録媒体13の図示しない読み取り装置が接続されている。パソコン2には読み込んだ超音波診断装置1で得られた画像情報と加速度センサーもしくはジャイロセンサー12で得られた呼吸情報から、画像フィルタ処理手段を通じて電子機器によるノイズと呼吸によって生じるノイズの除去を行うソフトが組み込まれている。
【0013】
次に、超音波診断装置を用いた家畜の生体時肉判定法について以下説明する。
超音波診断装置1を畜舎に持ち込み、牛豚などの家畜の例えば牛の肩部分から尻尾側に向かって10cm程離れた部分に、超音波診断装置1のプローブという超音波発射部11の先端を密着させ、超音波診断装置1のスイッチを入れて、枝肉横断面の超音波画像を撮影する。
【0014】
スイッチを入れると、超音波診断装置1の画面上に牛の内部の枝肉横断面の超音波画像、つまり牛の内部の枝肉性状又は肉質がアナログ画像として映し出される。このアナログ画像の状態で又はこれをデジタル変換したデジタル画像の状態で例えばDVDなどの記録媒体13に録画する。録画するのは畜舎とパソコン2機器の設置箇所とは一般に離れているためである。そして、録画した画像をアダプターでパソコン2に読み込める信号に変換した後に、つまりデジタル画像に変換してパソコン2に読み込む。
【0015】
ところで、パソコン2で読み込んだデジタル画像には、種々のノイズが含まれている。例えば超音波診断装置1本体や畜舎の周辺にある電子機器から生じる機器ノイズや、測定する牛の呼吸によって生じる呼吸ノイズなどが含まれている。
【0016】
そこで、パソコン2上で、読み込んだデジタル画像中に含まれるこれらのノイズの除去を行う。ノイズの除去方法として、画像フィルタ処理を利用して処理する。このため、パソコン2にはノイズを除去する画像フィルタ処理手段を行うソフトが組み込まれている。
【0017】
機器ノイズの画像フィルタ処理の一つの手法である移動平均を利用した移動平均処理手段は次のような手段からなる。
デジタル画像26を複数コマ、1秒当たり60コマの例えば0.5秒分の30コマ分のデジタル画像26を平均処理する。
【0018】
この30コマのデジタル画像26中にはノイズが入っているコマとノイズが無いコマがあるが、牛の内部の枝肉性状又は肉質の部分は30コマの全てに写されている。つまり、ノイズの部分は30コマ中には入っていたり無かったりする。例えば30コマ中にノイズが含まれるコマが3コマの場合、30コマを平均処理すると、ノイズ部分は10分の1になり、デジタル画像26としては目立たなくなる。
【0019】
このノイズ処理を行わないと、30コマ中に3コマのノイズが含まれる場合、例え0.5秒の間に10分の1ではあるが、画像として見たときにノイズが認識され易いのである。
【0020】
画像フィルタ処理の一つの手法である移動平均処理を行うことにより、平均化されたデジタル画像26の30コマを得る。この30コマの画像は全て平均化された同一の画像となる。つまり、30コマの全てのデジタル画像26には10分の1に所謂薄められたノイズが含まれることになる。
【0021】
呼吸ノイズの画像フィルタ処理の一つの手法である移動平均を利用した移動平均処理手段は次のような手段からなる。
超音波発射部11に取り付けた加速度センサーもしくはジャイロセンサー12により牛の呼吸状態が計測される。牛の呼吸状態は例えば図2に示すように、山と谷を交互に繰り返す波形になる。この波形から同じ状態に位置する部分の画像のみを集める。例えば非呼吸時の最小位置となる谷部分の画像のみ、最大呼吸時の最大位置となる山部分の画像のみ、或いは呼吸途中の特定位置の画像のみ、などの各画像から特定の同じ状態の画像27のみを少なくとも2箇所以上抽出する。抽出箇所は多い方がよいが、計測される牛はせいぜい10秒〜20秒しかじっとしていることができず、それ以上になると動いて計測位置がずれ、抽出箇所は多くて5〜6箇所である。
【0022】
そして、特定の同じ状態の画像27、例えば非呼吸時の最小位置となる谷部分の画像のみを集める。非呼吸時のデジタル画像を複数コマ、1秒当たり60コマの例えば0.5秒分の30コマ分の画像を平均処理する。
【0023】
この非呼吸時の30コマの画像は、呼吸時の各画像と微妙に異なっている。即ち、牛が呼吸することにより、内部の肉は膨縮することになり、非呼吸時と呼吸時では内部の肉の膨縮状態に相違が生じ、非呼吸時と呼吸時とを合わせて平均処理すると呼吸による影響が現れるが、各画像から特定の同じ状態の画像27のみを抽出して平均処理した場合には呼吸による影響を排除できる。
【0024】
移動平均処理に続いて、二値化処理を行う。ノイズの画像フィルタ処理の一つの手法である二値化処理を利用した二値化処理手段は次のような手段からなる。
画像フィルタ処理の一つの手法である二値化処理は、ある明るさを基準として、それ以上明るい場合は「明」とし、それ以下の場合には「暗」とする。明るさとしては、例えば120〜130輝度の明るさの度合いを基準とし、120〜130輝度以上であれば「明」とし、それ以下であれば「暗」とする。
【0025】
30コマの画像中にはノイズが含まれるコマは半分以下のため平均化すると、ノイズ部分は平均より小さくなる。このため、これを二値化処理した場合には、基準値よりも小さくなって「暗」の状態になって消滅することになる。このようにして、ノイズを除去することができる。
【0026】
これに対して、牛の内部の枝肉性状又は肉質の部分は30コマの全てに現れているので、平均化しても全てのコマに薄められることなく同一の濃さで現れ、二値化処理してもその明暗の影響を受けることなく、そのままの明暗の画像が得られるのである。
【0027】
ところで、この二値化処理のときには、枝肉性状と肉質とを調べる場合とで異なることがある。
【0028】
肉の大きさとか脂肪の厚さとか肉の形状を調べる枝肉性状の場合は、基準輝度を変えながら調べる。これは、枝肉性状の場合は基準輝度を変えないと、例えば胸最長筋面積、僧帽筋形状、皮下脂肪厚などが明確にならないからである。
【0029】
枝肉性状を調べる場合、パソコン上で二値化処理された画像の輝度を例えば120に設定し、この基準で二値化された画像を調べる。次に輝度を121に設定しこの基準で二値化された画像を調べる。このように順次、輝度を例えば120〜130の範囲で変えながら画像を調べることで、専門家は枝肉性状を診断するのである。
【0030】
これに対して、肉質を調べる場合、輝度を例えば125に固定して画像を調べ、肉質を診断する。肉質については、どの輝度を基準にするかで変わり、調べる者の経験と勘に頼る部分があるからである。今後は、この二値化されたデータと実際の肉質の相関を調査して、最適な輝度の基準値が得られるように持って行くことが必要である。
【0031】
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
生体時の豚の肉の状態を判断する場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明を実施するための最良の形態を示す超音波診断装置とパソコンの概略構成図である。
【図2】この発明を実施するための最良の形態を示す加速度による牛の呼吸状態と時間との関係図である。
【図3】この発明を実施するための最良の形態を示す各デジタル画像の輝度と時間との関係図である。
【符号の説明】
【0034】
1 超音波診断装置
11 超音波発射部
12 加速度センサーもしくはジャイロセンサー
13 記録媒体
2 パソコン
21 インターフェース
22 画面
23 CPU
24 ハードディスク
25 RAM
26 デジタル画像
27 特定の同じ状態の画像
【出願人】 【識別番号】000214191
【氏名又は名称】長崎県
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100090088
【弁理士】
【氏名又は名称】原崎 正


【公開番号】 特開2008−54817(P2008−54817A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−233698(P2006−233698)