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【発明の名称】 胃ろうカテーテル導入装置
【発明者】 【氏名】花ヶ崎 和 夫

【要約】 【課題】1回の穿刺で胃壁固定と胃ろうカテーテルのバンパー挿入部の拡張を同時に実現するとともに、操作中における胃からの空気漏れを防止できる胃ろうカテーテル導入装置を提供する。

【構成】筒体4の基端側に把持部材5を有する装置本体6と装置本体6の筒体4の内部に摺動自在に配置された穿刺針7とを有する穿刺装置1と、穿刺装置1の筒体4に内装される外筒体9と、外筒体9に内装された胃ろうカテーテル案内具10と、胃ろうカテーテル案内具10の先端部に揺動自在に取り付けられたクリップ11と、一端をクリップ11に連結されクリップ11を揺動させる作動片12とを有する胃壁固定ろう孔拡張装置とから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と把持部材を有する装置本体と、装置本体の筒体の内部に摺動自在に配置された穿刺針とを有する穿刺装置と、
穿刺装置の筒体に内装される外筒体と、外筒体に内装された胃ろうカテーテル案内具と、胃ろうカテーテル案内具の先端部に揺動自在に取り付けられたクリップと、クリップを揺動させる作動片とを有する胃壁固定ろう孔拡張装置とを有することを特徴とする胃ろうカテーテル導入装置。
【請求項2】
穿刺装置の筒体は、一端から他端まで連続して延びるスリットを有することを特徴とする請求項1に記載の胃ろうカテーテル導入装置。
【請求項3】
胃壁固定ろう孔拡張装置の胃ろうカテーテル案内具は、全体形状が靴べら状であることを特徴とする請求項1または2に記載の胃ろうカテーテル導入装置。
【請求項4】
胃壁固定ろう孔拡張装置の外筒体は、その開口端を閉じる袋体を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の胃ろうカテーテル導入装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮内視鏡的胃ろう造設術法に用いられる胃ろうカテーテル導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食物の摂取ができない患者には、経鼻的に胃に栄養チューブを挿入し、栄養液を栄養チューブを通して胃の内部に投与することで患者に対する栄養補給を行なっているが、鼻から栄養チューブを挿入した状態では、患者に対する美的感覚を損ない、栄養チューブによる違和感が強い。
【0003】
患者の美的感覚を損なうことなく栄養チューブの違和感を解消するために、経皮内視鏡的胃ろう造設法を用いて腹壁および胃壁にろう孔を形成し、胃ろうカテーテルを体外からろう孔を通して胃の内部に挿入し、栄養液を胃ろうカテーテルを通して胃の内部に送り込む栄養補給方法が採用されている。
【0004】
内視鏡的胃ろう造設法は、大きくPull/Push法とIntroducer法の2つに分けられる。
Pull/Push法は、経皮的に挿入したガイドワイヤを胃内で内視鏡下でスネヤーなどを用いて把持し、ガイドワイヤを経口的に体外に引き出し、そのガイドワイヤに胃ろうカテーテルを接続して再び胃内に引き戻すようにするものであり、このとき胃ろうカテーテルをガイドワイヤに結びつけて胃壁外の方向より引きあげるのがPull法であり、胃ろうカテーテルをガイドワイヤにかぶせて胃内に押し込むのがPush法である。
【0005】
Introducer法は、トロカール針を経皮的に胃内腔へ向けて穿刺し、その後、内針を抜去し外筒シースを通してバルン型胃ろうカテーテルを体外から胃内腔に向けて挿入し、バルン型胃ろうカテーテルのバルンを膨らませて固定する方法である。
【0006】
Pull/Push法は、胃ろう造設を簡便に行うことができるが、胃ろうカテーテルが口腔咽頭を通過するため、清潔操作が困難であり、手術後にろう孔周囲炎を発症させてしまうことがある。
【0007】
Introducer法は、胃ろうカテーテルを体外から胃内腔に向けて挿入するため、清潔操作が可能であり、術後に発生するろう孔周囲炎の予防が期待されるが、留置される胃ろうカテーテルが細いバルン型のものに限られ、早期のろう孔拡張や頻回の入れ替えが必要であるため、術後の管理が煩雑となってしまう。
【0008】
そこで、Introducer法を改良して、Pull/Push法で使用されているボタンタイプの胃ろうカテーテルを含む大口径のバンパータイプの胃ろうカテーテルを直接胃に留置する手技が開発された。
【0009】
上記改良Introducer法は、穿刺針の刺入に先立ち、胃と腹壁を糸やTファスナーで3点あるいは4点で固定し、胃と腹壁のずれを防止してから、その中心部に細い穿刺針を穿刺してガイドワイヤを留置し、皮膚切開を加えた後、穿刺孔をダイレイターで鈍的に拡張し、胃に十分空気を注入してから胃ろうカテーテルを押し込むように挿入する方法である(非特許文献1)。
【非特許文献1】在宅医療と内視鏡治療 2005年1月号第79頁ないし第83頁「新しい胃瘻造設法(Direct法)と瘻孔感染」。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記改良Introducer法は、胃と腹壁の固定と内視鏡による視野の確保も含めた十分な量の送気が必要であり、胃ろうカテーテル挿入の応力に耐えるのは胃内腔の空気圧だけであるから、胃ろうカテーテル挿入時に、胃の前壁が後壁に近づき、内視鏡による視野が確保できない場合があり、また、過剰な量の空気の送入は空気の腹腔内への漏れ(気腹)を惹起し、造設手技が完遂できなくなる可能性がある。
【0011】
また、上記改良Introducer法は、手技に必須な胃壁固定に別途胃壁固定具が必要であり、胃と腹壁に複数回穿刺するので、隣接する肝臓や横行結腸など他臓器を穿刺してしまう可能性があり、また、胃と腹壁の固定位置の間隔を広げすぎると胃壁が緩みすぎて胃ろうカテーテルの挿入がうまく行かず、胃と腹壁の固定位置の間隔が狭すぎると胃壁が拡張できず、胃ろうカテーテルの挿入がうまく行かないことがある。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたもので、1回の穿刺だけで胃と腹壁の固定と胃ろうカテーテル挿入部の拡張を同時にでき、操作中における胃からの空気漏れを防止できる胃ろうカテーテル導入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の胃ろうカテーテル導入装置は、筒体の基端側に把持部材を有する装置本体と装置本体の筒体の内部に摺動自在に配置された穿刺針とを有し、腹壁および胃壁にろう孔を形成する穿刺装置と、穿刺装置の筒体に内装される外筒体と外筒体に内装された胃ろうカテーテル案内具と胃ろうカテーテル案内具の先端部に揺動自在に取り付けられたクリップと一端をクリップに連結されクリップを揺動させる作動片とを有し、胃を腹壁に固定しろう孔を拡張する胃壁固定ろう孔拡張装置とから構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1回の穿刺で胃と腹壁の固定と胃ろうカテーテル挿入部の拡張を同時にでき、胃の前壁刺入部周囲を牽引することで胃の前壁と後壁が接近することがなく、胃内の内視鏡の良好な視野を確保でき、胃ろうカテーテルを挿入する際、胃ろうカテーテルを胃壁固定ろう孔拡張装置の案内片に沿って挿入することで、胃ろうカテーテル挿入による胃の後壁の損傷を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明によれば、穿刺装置の筒体に一端から他端まで連続して延びるスリットを設けたことで、穿刺装置の筒体への胃壁固定ろう孔拡張装置の挿入を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明によれば、胃壁固定ろう孔拡張装置の胃ろうカテーテル案内具は全体形状を靴べら状で、バンパータイプの胃ろうカテーテルの挿入を胃内の内視鏡で確認しながら確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明によれば、胃壁固定ろう孔拡張装置の外筒体基端側に開口端を閉じる袋体を設けたことで、操作中における胃からの空気漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による胃ろうカテーテル導入装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】
本発明による胃ろうカテーテル導入装置は、図1および図2に示すように、患者の腹壁および胃壁にろう孔を造設する穿刺装置1と、患者の胃を腹壁に固定し造設されたろう孔を拡張する胃壁固定ろう孔拡張装置2とから構成される。
【0020】
上記穿刺装置1は、図1に示すように、長手方向に延びるスリット3を設けた筒体4と筒体4の基端側に設けられた把持部材5とを有する装置本体6と、装置本体6の筒体4の内部に摺動自在に配置された穿刺針7とから構成される。
【0021】
装置本体6の筒体4は、好ましくは、硬いプラスチック材料により成形された長さが6〜10cmで、内径が6mmの円筒であるが、軟質プラスチック材料により成形されたものであってもよい。穿刺針7は、たとえば、16Fトロカール針であり、筒体4の内部を摺動して経皮的に胃の内腔へ向けて穿刺される。穿刺針7は、患者の腹壁22および胃壁21にろう孔を形成する。
【0022】
上記胃壁固定ろう孔拡張装置2は、図2および図3に示すように、基端を閉じるように基端側外面に薄いプラスチックフィルム袋8を設けた外筒体9と、外筒体9に内装された胃ろうカテーテル案内具10と、胃ろうカテーテル案内具10の先端部に揺動自在に取り付けられたクリップ11と、一端をクリップ11に連結され胃ろうカテーテル案内具10の長さ方向に延びる作動片12とから構成される。外筒体9は、外径が6mmで、長さが12〜17cmで、穿刺装置1の穿刺針7を抜き取った後の筒体4に内装される。
【0023】
上記胃ろうカテーテル案内具10は、硬質プラスチック材料により成形された断面が円弧で、全体形状が靴べら状の片である。好ましくは、胃ろうカテーテル案内具10は、全長が20cmで、先端幅が15mmで、基端幅が10mmで、先端から基端まで連続した案内面10aを形成している。図示しないバンパータイプの胃ろうカテーテルは、バンパー部を胃ろうカテーテル案内具10円弧凹面をなす案内面10aに沿って摺動させる。
【0024】
上記クリップ11は、硬質プラスチック材料から形成された長さが26mmで、幅が5mmの片であり、外筒体9の長さ方向に平行に位置するように外筒体9の内部に収容される。クリップ11は、全体が外筒体9より突出したとき、当然に胃ろうカテーテル案内具10に対して直交する方向に位置され、胃のろう孔の内縁部に係止される。
【0025】
上記作動片12は、軟質プラスチック材料の積層フィルムをテープ状に裁断した片であり、一端を胃ろうカテーテル案内具10の先端部に揺動自在に取り付けられたクリップ11の一端側に結合されている。
【0026】
作動片12は、胃ろうカテーテル案内具10が胃ろうカテーテルを導入した後引き上げることによって、クリップ11を胃ろうカテーテル案内具10に対して水平位置になるように揺動させ、胃ろうカテーテル案内具10を外すことができるようにする。
【0027】
つぎに、本発明による胃ろうカテーテル導入装置の作用を説明する。
準備段階として、内視鏡20を胃21の内腔21aに入れ、胃21の内部に溜まった胃液を吸引し、胃の内部を観察しやすくする。これに続いて、内視鏡20で胃21の内腔21aに空気を送り込み、胃21を十分膨らませる。そして、体外から光サインや指サインで胃21の穿刺部位を内視鏡20により観察し、胃21の穿刺部位を決定し、皮膚を局所麻酔してから、腹壁22を15mm程切開する。
【0028】
つぎに、切開した腹壁22を図示しないペアンで拡張してから、穿刺装置1の穿刺針7を、図4(a)に示すように、経皮的に胃21の内腔21aに向けて穿刺する。そして、穿刺装置1の外筒4が胃21の内腔21aに入ったことを内視鏡20により確認したら、穿刺装置1の穿刺針7を、図4(b)に示すように、外筒4から抜去する。穿刺針7を外筒4から抜去した後の外筒4の開口端を指で押さえることにより、胃21の内腔21aの空気が外筒4を通して漏れるのを防ぐようにする。
【0029】
つぎに、胃壁固定ろう孔拡張装置2を、図5(a)に示すように、外筒体9が穿刺装置1の外筒4の直上に位置するように配置し、胃壁固定ろう孔拡張装置2を押し下げ、胃壁固定ろう孔拡張装置2の外筒体9を、図5(b)に示すように、穿刺装置1の外筒4に挿入する。
【0030】
この操作段階では、胃壁固定ろう孔拡張装置2のクリップ11は、一部が外筒体9から突出した外筒体9の長さ方向に平行な位置にある。外筒体9は、開口端を袋8により閉じられているので、胃21の内腔21aの空気が外筒体9を通して漏れることはない。
【0031】
つぎに、胃壁固定ろう孔拡張装置2の胃ろうカテーテル案内具10を柔軟な袋8を介してさらに押し下げると、胃ろうカテーテル案内具10は、外筒体9に沿って胃21の方向に摺動する。これにより、胃ろうカテーテル案内具10の先端に設けたクリップ11は、図6(a)に示すように、外筒体9から完全に突き出た状態になる。
【0032】
胃ろうカテーテル案内具10の先端に設けたクリップ11が外筒体9から突き出たことを内視鏡20により確認したら、胃ろうカテーテル案内具10を柔軟な袋8を介して引き上げる。これにより、胃ろうカテーテル案内具10の先端に設けたクリップ11は、図6(b)に示すように、胃ろうカテーテル案内具10に対して水垂直位置に揺動する。胃壁固定ろう孔拡張装置2は、垂直方向に位置する胃ろうカテーテル案内具10と水平位置のクリップ11により全体としてT字型に展開する。
【0033】
つぎに、穿刺装置1の外筒4および胃壁固定ろう孔拡張装置2を手で持ち、穿刺装置1の外筒4および胃壁固定ろう孔拡張装置2を体外に引き出す方向に引き上げると、穿刺装置1の外筒4と胃壁固定ろう孔拡張装置2の外筒体9は体外に引き出されるが、胃壁固定ろう孔拡張装置2の胃ろうカテーテル案内具10は、先端に設けた水平位置のクリップ11が胃粘膜の穿刺部に係止されるため、体外に引き出すことができず、その係止位置を保持する。
【0034】
最後に、胃ろうカテーテル案内具10の基端側を左手で把持し持ち上げると、胃ろうカテーテル案内具10は、図7に示すように、水平位置のクリップ11により胃21を腹壁22に固定する。この操作によって、胃壁は自然に拡張されることになる。
【0035】
バンパー式胃ろうカテーテルの挿入は、胃ろうカテーテル案内具10を把持したまま、経皮的にバンパー式胃ろうカテーテルを交換する要領で、バンパー式胃ろうカテーテルのバンパー部にオブチュレーターを取り付け、バンパー式胃ろうカテーテルの先端を押し伸ばした状態にして、胃ろうカテーテル案内具10に沿って導入することで行う。
【0036】
内視鏡20でリアルタイムに胃21にバンパー式胃ろうカテーテルのバンパー部が出たことが確認されたら、胃ろうカテーテル案内具10を胃21の方向に押し下げ、胃ろうカテーテル案内具10の先端に設けたクリップ11を作動片12によりを引き上げる。これにより、胃ろうカテーテル案内具10の先端に設けたクリップ11は、水平位置から垂直位置に揺動し、胃粘膜の穿刺部から係脱される。さらに、作動片12を引き上げることで、胃ろうカテーテル案内具10は、クリップ11とともに体外に引き出され、操作を終了する。
【0037】
本発明によれば、一回の穿刺だけで胃壁固定とバンパー挿入部の拡張を同時に実現でき、バンパー式胃ろうカテーテルのバンパー部のろう孔への挿入は、バンパー部を胃ろうカテーテル案内具に沿って誘導させることで行うので、バンパー式胃ろうカテーテルのバンパー部を確実に胃内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による胃ろうカテーテル導入装置の穿刺装置を示す斜視図である。
【図2】本発明による胃ろうカテーテル導入装置の胃壁固定ろう孔拡張装置を示す斜視図である。
【図3】胃壁固定ろう孔拡張装置の分解斜視図である。
【図4】穿刺装置の作用を示す図である。
【図5】胃壁固定ろう孔拡張装置の穿刺装置に挿入する段階を示す図である。
【図6】胃壁固定ろう孔拡張装置のの作用を示す図である。
【図7】胃壁固定ろう孔拡張装置の胃ろうカテーテル案内具を取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 穿刺装置
2 胃壁固定ろう孔拡張装置
3 スリット
4 筒体
7 穿刺針
8 袋
9 外筒体
10 胃ろうカテーテル案内具
11 クリップ
12 作動片
20 内視鏡
21 胃
22 腹壁
【出願人】 【識別番号】505077253
【氏名又は名称】花ヶ崎 和 夫
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之

【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平

【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁


【公開番号】 特開2008−54739(P2008−54739A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−232075(P2006−232075)