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【発明の名称】 心筋構造表示方法、心筋構造表示システム、心筋構造表示プログラム、および、心筋構造表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【発明者】 【氏名】佐藤 博司

【氏名】飯田 秀博

【要約】 【課題】MRIの拡散情報に基づいて心筋の各層の構造を3次元的に可視化し、心筋のねじれ具合や各層の相対位置など、臨床的、生物学的に意味のある心臓の情報を取り出す。

【構成】心筋構造表示システム10は、MRI装置12で撮像された心臓の拡散テンソル画像データを用いて心臓の拡散異方性データを生成しそのデータから最も水が動きやすい方向を抽出するPDD抽出部14と、14から心臓の心筋3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出部16と、16によって抽出された関心領域および14によって生成されたPDDデータを用いて心筋の少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行部18と、18によって得られた結果に異なる色情報を対応付けする色情報設定部20と、20によって設定された色情報を用いて心筋の少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示部22とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、
前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、
前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、
前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、
前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を有することを特徴とする、
心筋構造表示方法。
【請求項2】
MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像データを用いて前記心臓の拡散異方性を算出して拡散異方性データを生成し、生成された拡散異方性データの中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出してPDDデータを生成するPDD抽出部と、
前記PDD抽出部によって生成されたPDDデータの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出部と、
前記関心領域抽出部によって抽出された関心領域、および、前記PDD抽出部によって生成されたPDDデータを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行部と、
前記トラクトグラフィ実行部によって得られた各々のトラクト結果に、異なる色情報を対応付けする色情報設定部と、
前記色情報設定部によって設定された色情報を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示部と、を有して構成されていることを特徴とする、
心筋構造表示システム。
【請求項3】
コンピュータに、
MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、
前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、
前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、
前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、
前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させることを特徴とする、
心筋構造表示プログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、
前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、
前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、
前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、
前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させるための心筋構造表示プログラムが少なくとも記録されていることを特徴とする、
コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、心筋の構造をMRI(磁気共鳴画像)の拡散情報を元に3次元的に可視化することができる、心筋構造表示方法、心筋構造表示システム、心筋構造表示プログラム、および、心筋構造表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MRIの画像データから得られる拡散情報を用いて、人間や動物の脳や臓器の構造を表示する表示方法が知られており、例えば、大脳白質領域の表示については、3DAC法(特許文献1参照)、線分(矢印)表示法、テンソル楕円形表示法などが提案されている。
【特許文献1】米国特許第5488297号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、人間や動物の心筋は、内膜、中間膜、外膜の3層構造を成していることが知られているが、従来の表示方法は心筋の各層の断面を2次元的に表示するにとどまっており、従来の表示方法で心筋の層構造を3次元的に可視化することは困難であった。心筋の層構造に関する情報が得られれば心臓の異常を早期に発見できる可能性があり、医療の現場においては、心筋の層構造を3次元的に可視化できる表示方法が求められていた。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、MRIの拡散情報に基づいて心筋の各層の構造を3次元的に可視化することができ、心筋のねじれ具合や各層の相対位置など、臨床的、生物学的に意味のある心臓の情報を取り出すことができる。心筋構造表示方法、心筋構造表示システム、心筋構造表示プログラム、および、心筋構造表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段によって、上記課題を解決したものである。
【0006】
(1)本発明は、MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を有することを特徴とする、心筋構造表示方法である。
【0007】
(2)本発明は、MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像データを用いて前記心臓の拡散異方性を算出して拡散異方性データを生成し、生成された拡散異方性データの中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出してPDDデータを生成するPDD抽出部と、前記PDD抽出部によって生成されたPDDデータの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出部と、前記関心領域抽出部によって抽出された関心領域、および、前記PDD抽出部によって生成されたPDDデータを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行部と、前記トラクトグラフィ実行部によって得られた各々のトラクト結果に、異なる色情報を対応付けする色情報設定部と、前記色情報設定部によって設定された色情報を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示部と、を有して構成されていることを特徴とする、心筋構造表示システムである。
【0008】
(3)本発明は、コンピュータに、MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させることを特徴とする、心筋構造表示プログラムである。
【0009】
(4)本発明は、コンピュータに、MRI装置で撮像された心臓の拡散テンソル画像を用いて前記心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出するPDD抽出ステップと、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDの中から、前記心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出ステップと、前記関心領域抽出ステップで抽出された関心領域、および、前記PDD抽出ステップで抽出されたPDDを用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行ステップと、前記トラクトグラフィ実行ステップで得られた各々のトラクト結果に、異なる色を対応付けする色情報設定ステップと、前記色情報設定ステップで設定された色を用いて、心筋の前記少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させるための心筋構造表示プログラムが少なくとも記録されていることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る心筋構造表示方法、心筋構造表示システム、心筋構造表示プログラム、および、心筋構造表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、MRIの拡散情報に基づいて心筋の各層の構造を3次元的に可視化することができ、心筋のねじれ具合や各層の相対位置など、臨床的、生物学的に意味のある心臓の情報を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態に係る心筋構造表示システムについて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る心筋構造表示システムの主要な構成を示したブロックである。
【0013】
この心筋構造表示システム10は、MRI装置12で撮像された心臓の拡散テンソル画像データを用いて心臓の拡散異方性を算出し、算出した拡散異方性の中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出してPDDデータを生成するPDD抽出部14と、このPDD抽出部14によって生成されたPDDデータの中から、心臓の心筋を構成する内膜、中膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出部16と、この関心領域抽出部16によって抽出された関心領域、および、PDDデータ抽出部14によって抽出されたPDDデータを用いて、心筋の少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行部18と、このトラクトグラフィ実行部18によって得られた各々のトラクト結果に、異なる色情報を対応付けする色情報設定部20と、この色情報設定部20によって設定された色情報を用いて、心筋の少なくとも2層のトラクト結果を表示装置24に3次元表示する3次元表示部22と、を有して構成されている。
【0014】
なお、本実施の形態では、PDD抽出部14、関心領域抽出部16、トラクトグラフィ実行部18、色情報設定部20、および、3次元表示部22における各処理は、パーソナルコンピュータ(PC)のハードディスク(HDD)などに格納されたプログラムによって実現される。
【0015】
MRI装置12では、心臓の拡散テンソル画像データとして、心臓に対して異なる方向から拡散傾斜磁場(MPG:Motion Probing Gradient)を印加して撮像された、MPGが6方向以上の画像データと、心臓に拡散傾斜磁場を印加することなく撮像された画像データが撮像される。このように撮像された拡散テンソル画像データは、ハードディスクやDVD−ROMなどの記憶手段に一旦記憶されてPDDデータ生成部14によって読み出し可能に構成してもよく、また、MRI装置12からLANなどの通信手段を介してPDDデータ生成部14によってリアルタイムに受信可能に構成してもよい。
【0016】
ところで、MRI装置12によって、生存している人間や動物の心臓(生きた心臓)の撮像を行う場合、心臓の動きに起因するノイズ(いわゆる動きアーチファクト)が拡散テンソル画像データ上に現れることがある。そのため、心電図(ECG)同期法(心臓の撮像タイミングを心電図波形に同期させる方法)、脈波(PG)同期法(心臓の撮像タイミングを脈波に同期させる方法)、呼吸同期法(心臓の撮像タイミングを呼吸に同期させる方法)、ナビゲータエコー(画像データの作成に使用するエコー信号と同様に、位相エンコードを行っていないエコー信号(ナビゲーターエコー)を収集して位相シフトを読みとり、画像用エコー信号の位相を補正する方法)などによるゲーティングを行ったり、息止めを行うことによって、心臓の撮像時における動きアーチファクトを最小限にすることが好ましい。なお、将来的に、MRI装置において拡散傾斜磁場をさらに高速に印加することが可能となれば、動きアーチファクトの少ない画像データを取得することができ、画像データの補正が不要となる可能性がある上に、生きた心臓の画像データを心筋構造表示システム10でリアルタイムに処理することが可能となり、心筋の動きをリアルタイムで3次元表示することによって、より高度な心臓の検査・診断を行うことができるものと推測される。
【0017】
PDD抽出部14は、心臓の拡散テンソル画像データを参照し、1画素(1ピクセル)ごとに、心臓の拡散異方性を算出して、楕円体テンソル表現などを用いて拡散異方性データを生成する。そして、この拡散異方性データの中から、最も水が動きやすい方向(PDD:Principal Diffusion Direction)を抽出して、拡散テンソル画像データの全ての画素についてPDDデータを生成する。なお、このPDDデータは、拡散異方性データとして、例えば3×3の行列で拡散異方性を表現する楕円体テンソル表現を用いた場合、3×3の行列の中から最も強いベクトル成分を画素ごとに抽出することによって容易に生成することができる。また、PDDの抽出には、テンソルを仮定してもよく、また、q−ball法などによる類推を適用することもできる。
【0018】
心臓の心筋は、内膜、中間膜、外膜の3層構造から成ることが知られているが、本発明の発明者は、心臓では心筋の筋走行に沿って水が動きやすくなるという点に着目し、心臓の拡散テンソル画像データからPDDを抽出するといった従来の表示方法にはない新しい発想を得た。本発明に係る心筋構造表示方法や心筋構造システムは、このような新しい発想に基づいて具現化されたものであり、心臓における拡散異方性を調べることによって、従来の表示方法では得ることができなかった心筋の機能的構造(心筋のねじれ具合、心筋の各層の相対位置など)を取得しようとするものである。
【0019】
関心領域抽出部16は、PDDデータの中から、心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層のうちの少なくとも2層における関心領域(ROI:Region Of Interest)を抽出する。なお、関心領域の抽出方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。したがって、例えば、FA値、MD値、ADC値など、MRI装置12から得られる他の拡散情報を参考にして関心領域を抽出したり、MRI装置12によって撮像されたT1画像、T2画像などを参考にして関心領域を抽出することができる。また、関心領域の抽出は、心筋構造表示システム10の利用者が手作業で行ってもよく、本実施の形態のようにプログラムによって自動的に抽出するように構成してもよい。
【0020】
トラクトグラフィ実行部18は、関心領域抽出部16によって抽出された関心領域、および、PDD抽出部14によって生成されたPDDデータを用いて、心筋の少なくとも2層のトラクトグラフィ(Tractography)を行う。より具体的には、心筋の各層における関心領域を出発点として、PDDデータに記憶されたPDDを線で結び、心筋の各層ごとにトラクト結果を取得する。なお、心筋以外の領域をマスクしてトラクトグラフィを実行すれば、ノイズ成分を効果的に除去することができる。
【0021】
色情報設定部20は、トラクトグラフィ実行部18によって得られた各層のトラクト結果に対して、例えば、光の3原色(赤、緑、青)の情報を対応付けする。例えば、心筋の内膜には赤の色情報を、中間膜には緑の色情報を、外膜には青の色情報を、それぞれ対応付けする。なお、各々のトラクト結果に対応付けする色情報は、光の3原色の情報に限定定されるものではなく、各々のトラクト結果(心筋の各層)が互いに識別可能な色の情報であればよい。
【0022】
3次元表示部22は、心筋の各々の層を、色情報設定部22によって設定された色情報を用いて表示装置24に3次元表示する。なお、画像の3次元表示方法としては、例えば、サーフェス・レンダリングや、ボリューム・レンダリングなどの従来公知の方法を適用することができるが、本実施形態に係る心筋構造表示システム10では、ボリューム・レンダリングの一手法である最大輝度値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)が好適である。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態に係る心筋構造表示システム10は、MRI装置12で撮像された心臓の拡散テンソル画像データを用いて心臓の拡散異方性を算出して拡散異方性データを生成し、生成された拡散異方性データの中から、最も水が動きやすい方向であるPDDを抽出してPDDデータを生成するPDD抽出部14と、PDD抽出部14によって生成されたPDDデータの中から、心臓の心筋を構成する内膜、中間膜、外膜の3層の中の少なくとも2層における関心領域を抽出する関心領域抽出部16と、関心領域抽出部16によって抽出された関心領域、および、PDD抽出14部によって生成されたPDDデータを用いて、心筋の少なくとも2層のトラクトグラフィを行うトラクトグラフィ実行部18と、トラクトグラフィ実行部18によって得られた各々のトラクト結果に、異なる色情報を対応付けする色情報設定部20と、色情報設定部20によって設定された色情報を用いて、心筋の少なくとも2層のトラクト結果を3次元表示する3次元表示部22と、を有して構成されている。
【0024】
このような心筋構造表示システム10によれば、MRIの拡散情報に基づいて心筋の各層の構造を3次元的に可視化することができ、心筋のねじれ具合や各層の相対位置など、臨床的、生物学的に意味のある心臓の情報を取り出すことができる。
【0025】
なお、本発明の心筋構造表示システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
したがって、例えば、心筋3層をすべて表示する心筋構造表示システムに限定されるものではなく、心筋3層のうち、少なくとも2層(内膜と中間膜、中間膜と外膜、または、外膜と内膜)を表示できるものであればよい。
【実施例1】
【0027】
次に、心筋構造表示システム10の実施例について説明する。
【0028】
本実施例では、被検体として雑種成犬(オス、2歳齢、体重25kg)を用い、イソフルレン(2%)麻酔下で電気刺激により心室細動を誘発後、19時間後にMRI装置で心臓を撮像した。なお、MRI装置はGE社製のものを使用し、傾斜磁場強度は40mT/m、スルーレートは150T/m/sとした。また、撮像パラメータは、SE法、TR8000ms、TE52.7ms、空間解像度等方的3mm、スライスギャップレスインターリーブ、受信バンド幅2kHz/ピクセル、b値1000s/mm、MPG印加角度15方向とし、スキャン時間4時間30分で撮像を行った。
【0029】
拡散テンソル画像の解析は、sinc関数カーネルによる1.5mm空間解像度補間、Affine変換(自由度12)による渦電流補正を行った後、FA値、MD値を計算し、PDDの確率分布により、心筋の内膜、中間膜、外膜の3層のトラクトグラフィを行った。その後、市販のアプリケーションを用いて、心筋の各々の層のトラクト結果に異なる色を設定し、3次元表示を行った。
【0030】
この結果を図2および図3に示す。なお、図2は心筋の各層において3つの関心領域を設定して心筋の各層の3次元表示を行った図であり、図3は心筋の各層において3つの関心領域を3箇所(心臓の上部、中間部、下部)に設定して心筋の各層の3次元表示を行った図である。
【0031】
実験の結果、心筋の中膜の同心円状の構造や、内膜および外膜の正負の角度を持った螺旋状の構造、3層の相対位置が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る心筋構造表示方法、心筋構造表示システム、心筋構造プログラムは、死後の人間または動物の心臓(死んだ心臓)の分析・評価のみならず、生存している人間や動物の心臓(生きた心臓)の検査・診断などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る心筋構造表示システムの主要な構成を示したブロック図である。
【図2】心筋の各層において3つの関心領域を設定して心筋の各層の3次元表示を行なった図である。
【図3】心筋の各層において3つの関心領域を3箇所に設定して心筋の各層の3次元表示を行った図である。
【符号の説明】
【0034】
10 心筋構造表示システム
12 MRI装置
14 PDD抽出部
16 関心領域抽出部
18 トラクトグラフィ実行部
20 色情報設定部
22 3次元表示部
24 表示装置
【出願人】 【識別番号】803000056
【氏名又は名称】財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100102912
【弁理士】
【氏名又は名称】野上 敦

【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史

【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹


【公開番号】 特開2008−54721(P2008−54721A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−231757(P2006−231757)