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【発明の名称】 光学機器、本発明による光学機器の使用法、ならびに光学機器の観察光路において迷光反射を遮断する方法。
【発明者】 【氏名】オブレブスキー アンドレアース

【要約】 【課題】本発明の課題は、光学機器特に眼底鏡として、ならびに眼を検査する方法として、従来の技術の欠点を持たないものを得ることである。

【構成】眼を検査する光学機器において、すなわち該光学機器は、眼の側に配置された対物レンズを少なくとも1つと、眼を照明するための照明光源を少なくとも1つと、該対物レンズと検査される眼との間に配置された少なくとも1つの光学素子および/または少なくとも1つの光学的配置物(104)とを備え、該光学素子および光学的配置物は、眼内部で検査される平面、すなわち該対物レンズを用いて観察される平面の中間像を生じる、前記光学機器において、光学機器の観察光路に、位置分解された少なくとも1つの減衰素子(107)が配置され、該減衰素子は、少なくとも2つの透明状態に、位置分解された切り替えが可能である光学機器である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼を検査する光学機器において、すなわち該光学機器は、眼の側に配置された対物レンズを少なくとも1つと、眼を照明するための照明光源を少なくとも1つと、該対物レンズと検査される眼との間に配置された少なくとも1つの光学素子および/または少なくとも1つの光学的配置物(104)とを備え、該光学素子および光学的配置物は、眼内部で検査される平面、すなわち該対物レンズを用いて観察される平面の中間像を生じる、前記光学機器において、光学機器の観察光路に、位置分解された少なくとも1つの減衰素子(107)が配置され、該減衰素子は、少なくとも2つの透明状態に、位置分解された切り替えが可能であることを特徴とする、光学機器。
【請求項2】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、該光学機器のホルダー(108)にそってスライド可能な状態で取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、その傾斜を調節できる状態で、前記ホルダー(108)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学機器。
【請求項4】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、該光学機器の観察光路において、観察される眼の網膜の中間像面より外側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3の一項に記載の光学機器。
【請求項5】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、光学機器の観察光路において、観察される眼の角膜の中間像面の中またはその近くに、そして/または観察される眼の角膜の中間像面より上側に配置されることを特徴とする、請求項1〜4の一項に記載の光学機器。
【請求項6】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、前記の光学素子の近くに、かつ対象物または眼と反対側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5の一項に記載の光学機器。
【請求項7】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が位置分解されたものとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜6の一項に記載の光学機器。
【請求項8】
前記の光学素子および/または光学的配置物(104)が、その傾斜を調節可能であることを特徴とする、請求項1〜7の一項に記載の光学機器。
【請求項9】
前記の照明光源が前記のホルダー(108)にスライド可能な状態で取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜8の一項に記載の光学機器。
【請求項10】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が電子光学的スイッチであることを特徴とする、請求項1〜9の一項に記載の光学機器。
【請求項11】
前記の少なくとも1つの減衰素子(107)が、液晶素子、ポリマーシャッター、LCDマトリックス、またはElectrowettingマトリックスとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜10の一項に記載の光学機器。
【請求項12】
少なくとも2つの減衰素子(107)が、別々に作動可能であることを特徴とする、請求項1〜11の一項に記載の光学機器。
【請求項13】
該光学機器が、前記の少なくとも1つの減衰素子(107)を作動するための作動装置を備えることを特徴とする、請求項1〜12の一項に記載の光学機器。
【請求項14】
前記の光学素子および/または光学的配置物(104)が、40ジオプター以上の強さを持つことを特徴とする、請求項1〜13の一項に記載の光学機器。
【請求項15】
1つの制御ユニットが設けられ、該制御ユニットは、迷光反射を、位置分解された状態で、アナログでまたはコンピューター支援によって評価し、該反射の少なくとも一部分を制御ループ内で自動的に抑止することを特徴とする、請求項1〜14の一項に記載の光学機器。
【請求項16】
眼を検査する光学機器において、すなわち該光学機器は、眼の側に配置された対物レンズを少なくとも1つと、眼を照明するための照明光源を少なくとも1つと、該対物レンズと検査される眼との間に配置された少なくとも1つの光学素子および/または少なくとも1つの光学的配置物(104)とを備え、該光学素子および光学的配置物は、眼内部で検査される平面、すなわち該対物レンズを用いて観察される該平面の中間像を生じる、前記光学機器において、1つの制御ユニットが設けられ、該制御ユニットは、迷光反射を、位置分解された状態で、アナログでまたはコンピューター支援により評価し、該反射の少なくとも一部分を制御ループ内で自動的に抑止することを特徴とする、光学機器。
【請求項17】
迷光反射を遮断する方法において、すなわち、眼、特に眼の網膜の検査のために形成された光学機器の観察光路で迷光反射を遮断する方法において、該迷光反射に対する該観察光路における遮断が、請求項1〜16に記載の光学機器を用いて行われることを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記の光学機器、特には該光学機器の対物レンズを、浅い焦点深度で操作することを特徴とする、請求項17に記載の光学機器の観察光路で迷光反射を遮断する方法。
【請求項19】
眼、特に眼の網膜の検査のための、請求項1〜16の一項に記載の光学機器の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、眼、特に眼底を観察するための光学機器、特に眼底鏡に関する。本発明はさらに、光学機器の観察光路において迷光反射を遮断する方法と、本発明による光学機器の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼底検査は、眼の中の覗き込み可能な部分に病変があるかどうか判断するのに用いられる。眼を検査するとき、観察者は、光学素子特にレンズのついた光学機器を用いて、眼の瞳孔から眼の内部を観察する。そのためには眼を、光源で照明しなければならない。眼底検査では2つの異なる方法を区別しなければならない。
【0003】
いわゆる直像眼底検査の場合、眼底鏡を、検査される眼と観察者の眼との間という、非常に近いところに置かなければならない。観察者の眼と検査される眼との距離は、約100mmである。そのため検査はしばし不愉快なものと感じられ、特に患者にとって不愉快である。直像眼底検査の場合、眼底血管または視神経乳頭といった眼の中心部分を、簡単かつ明瞭に拡大することができる。
【0004】
いわゆる倒像眼底検査の場合、約150〜200mm離れたところに光源を、そして検査される眼の約10〜15mm前に光学素子、特にレンズを置いて、眼底を観察する。この場合、網膜(Retina)、網膜周辺部、視神経、血管、黄斑部を容易に検査できる。拡大倍率は、直像眼底検査の場合より小さい。眼に対する視野は、直像眼底検査よりはるかによく、当該眼を双眼(3D)観察することも可能である。
【0005】
倒像眼底検査の場合、眼底の検査は、細隙灯を用いて行うこともできる。細隙灯検査の場合、網膜像を拡大したり、あるいはライトスリットで照明しながら判断を下したりできる。細隙灯検査を行うには、顕微鏡に細隙灯を取り付ける。細隙灯は、細いスリット状の光束を送出する。細隙灯の細い光束によって、眼の組織の透明な部分の光切片を得ることができる。この方法で、組織の細部構造、位置および厚さを、良好に観察することができる。細隙灯を用いれば、眼の前方部分、例えば角膜、結膜、強膜、虹彩、前眼房、水晶体について、正確に判断を下すことができる。ある特定の補助機器、例えば顕微鏡の前に強いレンズを接続すると、硝子体、網膜、視神経乳頭をも検査することができる。
【0006】
直像眼底検査に対する倒像眼底検査の利点は、視野が大きいことである。しかし倒像技術の場合、眼科医は若干多くのトレーニングが求められる。
【0007】
しかし前記の方法による眼底検査の場合、困難も生じる。眼科手術の際には迷光反射が非常に邪魔になる。迷光反射は、手術用顕微鏡または手術用照明の照明光によって、検査される眼の前に保持される光学素子、特にレンズにおいて、そして検査される眼の角膜(Cornea)において生じる。これらの迷光反射は、検査される眼の観察者をくらませ、それにより検査結果を劣化させる。
【0008】
迷光反射を軽減または防止するためには、従来の技術から様々な装置が知られている。眼の網膜に照明光の負荷をかけないようにするための、眼科用検査機器に用いるいわゆる光トラップが、DE3339172A1から知られている。この場合、手術用顕微鏡の照明光路の中心領域で、物体平面と共役面に1つの光吸収層を設けることが、開示されている。この光吸収層は、リング状の絞り開口部の中心部分として形成されている。DE3339172A1に記載の光吸収層(光トラップ)の場合、検査される眼のうち光吸収層に覆われる箇所は、照明が十分でないので、細部の検査を行うことができないのが、その欠点である。またこの眼科用検査機器は構造に柔軟さを欠いていて、異なる眼を検査するとき、必要な適合を行うことができない。検査の最中には、異なる角膜または異なる反射光線に対して、光トラップの適合が不可能である。
【0009】
DE19812050A1から知られている眼科用顕微鏡の場合、眼に対する照明を次のようなチップモジュールの使用によって単純化しようとする。このチップモジュールは、その光透過、光反射、または発光を電子的に作動可能であり、直接光または透過光で照明されまたは自己発光するものである。このチップモジュールによれば、1つの光束のある特定のビームをたしかに遮断できるが、レンズからおよび検査される眼の角膜から、異なる光源の光が反射されるとき、この眼科用顕微鏡は弾力的な調整が不可能である。
【0010】
EP1486159A1は、眼底を検査する眼底鏡として、眼底鏡の対物レンズと検査される眼との間にレンズを配置されているものを記載する。このレンズを通して、観察者の観察光と、光源の照明光とが導かれる。レンズというものは、その2つの表面で照明光を反射する。観察者の邪魔になるこれらの反射を抑止するため、EP1486159A1の眼底鏡は、このレンズをチルト可能として、対物レンズからの反射をそらせようと意図する。これには眼底鏡の構造が非常に複雑になるという欠点がある。なぜならば、このレンズをチルトさせるための機械的装置を、設けなければならないからである。検査される眼の角膜から反射された光は、さらには観察者の観察光路に達して、観察者の視覚を邪魔する。この種の眼底鏡に用いられるレンズは、機械的にはレンズのチルト装置が必要になるため、非常にフラットに形成されることになり、40ジオプターが最大である。これは多くの用途に対応するには不十分である。
【0011】
EP1486159A1から知られている眼または眼底検査のための光学機器は、眼の観察のための接眼レンズを少なくとも1つ、様々な光学的レンズを含むチューブを少なくとも1つ、当該眼の側に配置された対物レンズを1つ、当該眼を照明する照明光源を少なくとも1つ、対物レンズと検査される眼との間に配置されたレンズを少なくとも1つ、ならびにこの光学機器内に固定されたチョッパー素子を1つ備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
EP1486159A1から知られている光学機器を出発点として、本発明の課題は、光学機器特に眼底鏡として、ならびに眼を検査する方法として、従来の技術の欠点を持たないものを得ることである。特にこの光学機器は、光学機器の対物レンズと検査される眼との間に配置された光学機器または光学的配置物からの反射、および検査される眼の角膜からの反射が、観察者の眼に入射して邪魔になることを、防止するものであり得る。さらにこの光学機器は弾力的に調整可能なものとし、光反射する角膜の湾曲の相違を考慮できるものであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこの課題を、請求項1に記載の光学機器、請求項16に記載の光学機器、請求項17に記載の方法、ならびに請求項19に記載の本発明によるこの種の光学機器の使用法によって解決する。本発明のそのほかの実施形態を従属請求項に記載した。本発明のそのほかの利点、内容、詳細を、従属請求項、明細書、ならびに図面に記載した。本発明による光学機器との関連で記載した利点、内容、詳細は、当然のことながら、本発明による方法や当該光学機器の使用法に適用され、またその逆も成り立つ。
【0014】
本発明は、眼を検査するための次のような光学機器に関する。すなわちこの光学機器は、眼を向く側に配置された対物レンズを少なくとも1つ、眼を照明するための照明光源を少なくとも1つ、対物レンズと検査される眼との間に配置された光学素子を1つおよび/または光学的配置物を1つ備える。この素子および配置物は、眼内部の検査される平面の中間像を生じるものであって、この平面を対物レンズで観察する。この場合光学機器の観察光路には、位置分解された減衰素子が少なくとも1つ配置され、この減衰素子は、少なくとも2つの透明状態に、位置分解された切り替えが可能である。本発明によるこの光学機器は、眼底を観察するための光学機器、特には眼底鏡であって、レンズおよび検査される眼の角膜で生じる光反射が、観察者の眼に入って邪魔になるのが防止される。この光学機器は弾力的に調整可能であって、湾曲の異なる角膜の反射を考慮することができる。光学素子または光学的配置物としては、レンズ、レンズシステム、または拡大システムを予定することができる。光学機器の照明光路におけるチョッパー素子、かつ従来の技術から知られている同素子と比較すると、本発明による減衰素子は、光学機器の観察光路に設けられ、観察光路における個々の光線の光度に依存して、異なる透明状態に、位置分解された切り替えが可能である。すなわちこの減衰素子の透明度を減少させることができる。減衰素子が、少なくとも2つの透明状態に、位置分解された切り替えが可能であることにより、この光学機器の観察光路または観察光束において、的を絞って迷光反射を遮断することができる。すなわち反射された照明光の一部を、光学機器の観察光路でフェイドアウトさせることができる。この光学機器の場合、眼の照明は均一のままである。しかし、光学機器の対物レンズと検査される眼との間に配置された光学素子、特にレンズで生じた迷光反射と、検査される眼の角膜で生じた迷光反射とを、観察光路において遮断することができる。従ってこれらの迷光反射が観察者の眼に入って邪魔になることはない。そのほかこの光学機器の場合に有利なのは、照明装置で生じた反射光線だけでなく、手術室で生じた光線または反射光線も遮断できることである。
【0015】
位置分解されているとは、観察光路の断面全体にわたって、減衰素子の個々の領域で、それぞれ異なる切り替えを行うことができるということである。すなわち減衰素子は多数の領域に区分され、これらの領域を、それぞれ異なる透明状態に切り替えることができる。減衰素子の断面は例えば、個別に作動可能な多くの小さい正方形からなるマトリックスに似ている。
【0016】
従ってこの減衰素子、または減衰素子の個々の領域を、例えば透明状態と拡散状態の間で切り替えることができる。拡散状態では、減衰素子の1つの領域が、その減衰素子が配置されている光路を部分的に遮断し、または閉じる。従って減衰素子は、部分的なシャッターまたはいわゆる光トラップの役目を果たす。しかし減衰素子は、光学素子特にレンズから生じる迷光反射、あるいは眼の角膜から生じる迷光反射を、観察光路で遮断するが、従来の技術から知られているような照明光路で遮断するのではない。
【0017】
透明状態では、減衰素子、または減衰素子の位置分解された領域それぞれは、光学機器の1つまたは複数の観察光路を、または1つまたは複数の観察光路の幾つかの部分を遮断することはない。従って反射された光線は妨げられずに、光学機器の1つまたは複数の観察光路を通って観察者の眼に達することができる。
【0018】
減衰素子がいわゆるブロックマトリックスであれば有利である。すなわち、減衰素子の横断面が多数のブロックに区分され、いずれの個々のブロックも、2つの透明状態の間で、特には透明状態から拡散状態に、切り替えることができる。この減衰素子を次のように形成することもできる。すなわちこの減衰素子は1つまたは複数の旋回可能なポインターを備え、1つまたは複数のポインターの1つまたは複数の末端が、1つまたは複数のブロックの大きさをもつものとする。必要に応じて、この1つまたは複数のポインターは、減衰素子における狙いをつけたブロックを覆い、観察光路の幾つかの部分を遮断することができる。
【0019】
本発明による光学機器の場合、減衰素子は、光学素子、または光学的配置物、特にはレンズの、眼を向く側に設けられる。これにより、例えばレンズの両表面から出発する光反射を、簡単に抑制できる。有利な方法としては、この減衰素子を直接にレンズの上に設ける。レンズの両表面で反射する邪魔になる光線を、こうして直接に遮断することができる。レンズより直接上の領域では、すなわち観察される眼から見てレンズの反対側では、反射された光線の散乱が最小である。従って、減衰素子のきわめてわずかの領域/ブロックを、拡散状態に変えればそれでよい。この場合レンズ自体は、検査される眼の直接上に固定することができる。
【0020】
この光学機器の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの減衰素子を、光学機器のホルダーにそってスライド可能な状態で取り付ける。これにより減衰素子は、必要に応じて観察光路内のさまざまに異なるポジションに、簡単に位置決めできる。
【0021】
第2の減衰素子は、例えば対物レンズと第1の減衰素子の間で、ホルダーにそってスライド可能に取り付けることができる。この第2の減衰素子によって、眼の角膜から反射された光線を遮断することができる。その結果、この光線を、1つまたは複数の観察光路からフィルター除去することができ、検査される眼の観察者は、眼に対する最適な視野を得る。第2の減衰素子が、対物レンズと第1の減衰素子の間で、ホルダーにそってスライド可能に取り付けられることにより、本発明による光学機器は、検査される眼のあらゆる角膜に合わせて調整することができる。すなわち眼が異なるとその角膜の湾曲も異なるため、それぞれの眼に入射する光線は、反射も異なることになる。第2の減衰素子がスライド可能に取り付けられることにより、反射の異なる光線を特に簡単に遮断できるようになる。第2の減衰素子の各領域の透明度をも調整できること、特には透明状態から拡散状態に、そしてその逆に調整できることによって、角膜から反射された光線を、特に簡単かつ良好に覆うことができるようになる。
【0022】
このホルダーは、好ましくはレール、ブロックスライドガイド、バー、または同様のものであって、それにそって少なくとも1つの減衰素子を案内できるものとする。ホルダーにおける固定エレメント、およびそれに対応するものとして、少なくとも1つの減衰素子における固定エレメントを用いて、この減衰素子を、ホルダーに沿って希望のポジションに固定することができる。この少なくとも1つの減衰素子の高さ調整は、機械的に、あるいは電動式で行うことができる。
【0023】
少なくとも1つの減衰素子が、傾斜を調節できる状態でホルダーに取り付けられている、このような光学機器が有利である。減衰素子はこれにより、直角に、あるいはある角度の傾斜をつけて、光学機器の観察光路内に位置決めすることができる。
【0024】
さらには特に好ましい光学機器の場合、少なくとも1つの減衰素子が、光学機器の観察光路の中で、検査される眼の網膜の中間像面より外側に配置される。網膜の中間像面より外側とは、この少なくとも1つの減衰素子が、光学機器の観察光路において、網膜の中間像面とある程度距離をとって配置されることを意味する。網膜の中間像面より外側に配置しても、網膜の観察された像は、ほとんど影響されないか、あるいはまったく影響されない。この少なくとも1つの減衰素子は、検査対象物の、すなわち関心対象領域の中間像面には配置されるべきではない。この減衰素子は、好ましくは迷光反射が生じる場所に直接、そして/または迷光反射の発生箇所の像平面に、または像平面近くに、配置されるべきである。
【0025】
そのほか好ましい1つの光学機器の場合、少なくとも1つの減衰素子が、光学機器の観察光路内において、観察される眼の角膜の中間像面に、または中間像面の近くに、そして/または観察される眼の角膜の中間像面より上側に配置されている。この少なくとも1つの減衰素子の配置が、観察光路において角膜の中間像面に近いほど、角膜に生じる迷光反射にそれだけ鮮明に対処することができる。すなわち、この少なくとも1つの減衰素子によって、邪魔になる迷光反射をそれだけ良好に遮断することができる。
【0026】
眼が異なると角膜の湾曲も異なるため、中間像面、すなわち光学機器の光学軸に直角に位置しながら、みずからの中に角膜の像を含む面も、光学素子特にレンズへの距離や、対物レンズへの距離も異なるところに位置する。少なくとも1つの減衰素子を、スライド可能な状態でホルダーに取り付けることにより、この減衰素子を、角膜のそれぞれの中間像面に、または中間像面の近くに、容易にスライドさせることができる。そうすれば、光学機器によって観察される眼の角膜で反射した光線を、少なくとも1つの減衰素子によって、特に簡単に遮断することができる。角膜の中間像面は通常、眼の網膜の中間像面に対して、明らかな間隔を取って結像される。従ってこの少なくとも1つの減衰素子は、観察光路において、網膜の中間像面に十分な間隔を取って設けられている。角膜と像平面と網膜の像平面を分離するため、光学素子または光学的配置物は、焦点深度を最小にして操作するのが好ましい。
【0027】
減衰素子は、眼底鏡レンズによって生じた角膜の中間像面に直接、または中間像面の近くに、配置するのが好ましい。そうすれば、反射抑止を生じる減衰素子の領域は非常に小さいものとし、より低い透明度で(不透明度に至る)これら領域を作動できる。これにより眼底鏡レンズで生じる迷光反射を、特に効果的に遮断できる。
【0028】
レンズがホルダーに取り外し可能な状態で取り付けられている光学機器は、非常に弾力的な光学機器である。なぜならば、当方法であれば、異なるレンズであってその強さも異なるものを、光学機器に取り付けることができるからである。例えば眼底の詳細な図を得るには、40ジオプター以上のレンズを用いることができる。眼を大雑把に検査したいときは、40ジオプター以下のレンズをホルダーに取り付けることができる。
【0029】
もう1つの好ましい光学機器の場合、光学素子または光学的配置物は、その傾斜を調節できる。光学素子特にレンズをチルトできることにより、レンズの両表面で反射する光線を、1点に集光することができる。この集光は、好ましくは、少なくとも1つの減衰素子が配置されている平面で行う。これにより、レンズに反射された邪魔になる光線を、特に簡単に遮断できる。光学素子または光学的配置物のチルトは、機械的なまたは電動式の調節によって行うことができる。
【0030】
光学機器のもう1つの好ましい実施形態では、照明光源がホルダーに、スライド可能な状態で取り付けられている。照明光源がホルダーにスライド可能な状態で取り付けられることによって、眼に対するさまざまに異なる照明を容易に実現できる。このようにすれば、照明光束として円筒形、円錐形のもの、またはクロスするものを、光学機器のレンズに導くことができる。
【0031】
この少なくとも1つの減衰素子は、好ましくは、電子的に作動可能な電子光学式スイッチとする。この少なくとも1つの減衰素子を電子的に作動することにより、この少なくとも1つの減衰素子の領域それぞれを、さまざまに異なる透明状態の間を高速に切り替えることができるようになる。光線を完全に遮断する状態、すなわち拡散状態か、または光線を完全に透過する状態、すなわち透明状態かの2つだけでなく、この両極端の間にあるいかなる透明状態も実現することができる。これは、従来の技術から知られているような絞りを使用することによっては、不可能である。時間的な経過も、本発明によれば事前設定できる。これにより、この少なくとも1つの減衰素子の、またはこの少なくとも1つの減衰素子の個々の領域の、時間的な状態モデルを実現することができる。
【0032】
この少なくとも1つの減衰素子は、好ましくは液晶素子、ポリマーシャッター、LCDマトリックス、またはElectrowettingマトリックスとして形成する。電子的にスイッチング可能な液晶素子、ポリマーシャッター、LCDマトリックス、またはElectrowettingマトリックスは特に有利である。なぜならば第1には、これらの素子は、2つの異なる透明状態に、信頼性をもって切り替えることができるからであり、第2には、これらの素子は、作動の際に反応速度が非常に高いからである。ポリマーシャッターとは、特に電子的に制御可能な光散乱を基盤として動作する光学素子をいう。この光学素子は、外部の電場によって制御される。この場合光学素子は、結晶が対応する方向付けを持つので、電場がスイッチオフされると高度に透明となる。そして電場がかかると、この光学素子は、高い濁度と高い散乱能を持つようになる。ポリマーシャッターは偏光されない光によって動作し、可視領域全体にわたって、高い透過率を可能とする。ポリマーシャッターは、その反応時間がサブミリ秒領域にあるものを使用できるため、有利である。
【0033】
本発明は、ポリマーシャッターのある特定の実施形態に限定されるものではない。考えられる1つの実施形態は、例えば1対のガラス板であって、その間に活性層を挟むものである。この活性層は遊離された液晶分子を含む。この液晶分子は、従来型の液晶の存在のもとに、液晶ポリマー分子の光重合によって得られる。
【0034】
ポリマーシャッターの場合、電場を加えるため、例えば透明な電極を用いることができる。
【0035】
ポリマーシャッターに加えることができる電圧は、例えば200Vとすることができる。これは電圧経過における最大値の差である。1つまたは複数のこの種のポリマーシャッターを動作させるには、それらのポリマーシャッターに、追加的な電気系統端子を設ければそれでよい。
【0036】
少なくとも1つの減衰素子を作動またはアクティブ化するとは、本発明の場合、少なくとも1つの減衰素子を、または少なくとも1つの減衰素子の個々の領域を、もう1つの異なる透明状態に、特には拡散状態にすることをいう。従って電子的基盤で動作する減衰素子の場合、作動とは、透明状態を調整するため必要な電圧を加えることを意味する。
【0037】
好ましくはこの光学機器に、少なくとも1つの減衰素子を作動させる作動装置を設ける。この作動装置は、例えば次のようなスイッチとすることができる。すなわち、このスイッチを介して、少なくとも1つの減衰素子を、または少なくとも1つの減衰素子の複数領域を、アクティブ化またはアクティブ解除することができる、このようなスイッチである。この場合好ましくは、いずれの減衰素子にも専用のスイッチを設けて、各減衰素子を別々に作動できるようにする。
【0038】
好ましくはこの光学機器の場合、レンズが40ジオプター以上の力を持つものとする。そうすれば、眼の細部観察に有利である。
【0039】
また好ましくはこの光学機器は、1つの制御ユニットを備え、この制御ユニットは、反射の強さを、位置分解された状態で、アナログでまたはコンピューター支援によって評価し、またこの制御ユニットは反射を、制御ループ内部で自動的に少なくとも部分的に抑止するものとする。減衰素子のパラメーターを手動で調整すれば、時間がかかる。さらには患者の眼および/または患者の頭部が、手術中に動くということがある。すると調整を何回も行わなければならなくなる。これは作業の流れを邪魔する。反射の邪魔を受けないための人間工学的完全性は、自動調整なしでは恐らく得られない。
【0040】
課題はさらに、眼を検査する次のような光学機器によって解決される。すなわちこの光学機器は、眼の側に配置された対物レンズを1つ、眼を照明するための照明光源を少なくとも1つ、対物レンズと検査される眼との間に配置された光学素子および/または光学的配置物を1つ備えるものである。この光学素子および光学的配置物は、眼内部で検査される平面の中間像を生じる。この平面は対物レンズを用いて観察されるものである。この場合光学機器は1つの制御ユニットを備え、この制御ユニットは、反射の強さを、位置分解された状態で、アナログでまたはコンピューター支援によって評価し、反射を、制御ループ内部で自動的に、少なくとも部分的に抑止する。減衰素子のパラメーターを自動的に調整することにより、時間を省くことができる。さらに加えて、反射を自動的に抑止することによって、眼の検査がより簡単になるが、これは特に、患者の眼および/または患者の頭が手術中に動く場合に当てはまることである。手動による調整であれば、何回も行わなければならなくなる。これは作業の流れの邪魔になる。反射の邪魔を受けないための人間工学的完全性は、自動調整なしでは恐らく得られない。
【0041】
本発明の課題はそのほか、眼、特に眼の網膜を検査するために形成された光学機器の観察光路において迷光反射を遮断するという、このような方法によって解決される。この方法の場合、観察光路における迷光反射の遮断を、前記の本発明による光学機器を用いて行う。減衰素子の個々の領域/ブロックを、少なくとも2つの異なる透明状態に切り替えることができる。これにより、光学素子特にレンズからの迷光反射と、検査される眼の角膜からの迷光反射とを、的を絞って遮断することができる。観察光路の光束中におけるこの迷光反射が位置する箇所において、この少なくとも1つの減衰素子の各領域を暗くするので、迷光反射はもはや観察者の目に到達しなくなる。すなわち、減衰素子の領域/ブロックは、観察光路の個々の観察光線の光度に依存して、切り替えが行われる。前もって定められた光度を上回るとき、減衰素子のそれぞれの領域/ブロックの透明度は変化する。光度が高いとき、減衰素子の領域/ブロックは、拡散状態に切り替えられ、明るい反射光線は遮断される。光度が小さいか通常である場合、減衰素子のすべての領域/ブロックは、透明状態に切り替えられたままである。これは手動でも自動でも行うことができ、その際、観察された像が取り出されて、例えばカメラで撮影され、1つのソフトウェアで評価され、反射を抑止する制御機能がスタートされる。このような配置物は、患者の避けられない目および/または頭の運動を考慮に入れる。
【0042】
好ましくは、迷光反射を光学機器の観察光路で遮断するこの方法の場合、光学機器、特に光学機器の対物レンズは、浅い焦点深度で操作するものとする。これにより、観察光路における中間像または中間像面を、容易に分離することができる。
【0043】
眼、特に眼の網膜の検査に前記の本発明による光学機器を用いることにより、観察者またはオペレーターは、検査される眼を最適に観察することができる。位置分解された減衰素子を少なくとも1つ用いることにより、邪魔になる迷光反射を、的を絞って遮断することができる。この迷光反射は、光学機器の光学素子特にレンズからと、検査される眼、特に眼の角膜から出発したものである。
【0044】
本発明による光学機器とは、観察機器、特に眼底鏡または顕微鏡であって、特には細隙鏡を備えるものである。光学素子とは、屈折力の強いレンズである。
【0045】
本発明を、実施例を用いて添付の図面を参照しながら、下記に詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、検査される眼100の角膜110および網膜111から反射された光線113および112を、模式的に示す。角膜110の中間像面114は、光学素子104ここではレンズと、ここには図示しない対物レンズとの間に位置する。網膜111の中間像面115は、角膜110の中間像面114と、レンズ104との間に位置する。網膜111の中間像面115と、角膜110の中間像面114とを分離するためには、好ましくは光学機器、特に眼底顕微鏡または眼底鏡を、浅い焦点深度で操作する。光学機器に設けられた照明光源で眼100を照明することにより、角膜110で光線が反射され、この光線は、観察者が眼100を検査する際に邪魔になる。よりよい検査結果が得られるためには、この迷光反射を遮断することが重要である。
【0047】
図2は、本発明による光学機器のホルダー108、2つの減衰素子106、107、ここではレンズである光学素子104の実施形態を、模式的に示す。ホルダー108は、光学機器の下側末端で、眼100を向く位置にある。レンズ104は、ホルダー108の眼100側末端に配置されているので、レンズ104は、眼100を検査するとき、眼の手前約50〜150mmの距離にあるのが好ましい。光学機器のここには示さない対物レンズは、眼100から400〜600mmの距離にあるのが好ましい。眼100から見てレンズ104の反対側では、第1の減衰素子106がホルダー108に配置されている。好ましくはこの第1の減衰素子106は、レンズ104の直接手前に置かれて、レンズ104の表面で反射された邪魔になる光線を、直接遮断するものとする。第2の減衰素子107は、レンズ104からの距離が、第1の減衰素子106よりも大きい。この第2の減衰素子107は、好ましくは眼100の角膜110から反射された邪魔になる光線を遮断する。反射された光線を最適に遮断できるよう、第2の減衰素子107は、ホルダー108にそってスライド可能な状態で取り付けられている。これにより第2の減衰素子107は、いかなる眼100であっても、角膜110の中間像面114の中に正確に位置決めできる。眼100それぞれに角膜110は異なるので、いかなる眼100にも最適な適合が得られるようにしている。
【0048】
第1の減衰素子106および第2の減衰素子107において、その個々の領域または複数の領域は、この場合少なくとも2つの透明状態の間で、特には高透明状態と散乱状態との間で切り替え可能である。すなわち、拡散状態ともいう散乱状態では、対応する領域が反射された光線を遮断する。第1の減衰素子106と第2の減衰素子107は、部分的シャッターまたは光トラップの役目を果たす。透明状態では、減衰素子106、107、または減衰素子106、107の各領域が、1つまたは複数の観察光路を遮断することはない。両者の減衰素子106、107は、いわゆるブロックマトリックスである。すなわち減衰素子106、107の横断面は、多数のブロックに区分され、いずれの個々のブロックも、少なくとも2つの透明状態に、特には完全透明状態と拡散状態に、切り替え可能である。
【0049】
図3は、本発明による光学機器の減衰素子106、107と、レンズ104とをもつホルダー108の、もう1つの実施例を示す。図2と異なるのは、両者の減衰素子106、107が傾いて取り付けられていることである。すなわち両者の減衰素子106、107は、その傾斜を調節可能である。これらの減衰素子106、107は、同素子自体が邪魔になる光反射の原因とならないよう、傾斜させることができる。
【0050】
図4および5はそれぞれ、減衰素子106、107を切った断面を示す。図4は、減衰素子106、107の拡散領域101を黒で示す。減衰素子106、107は、多数の領域/ブロックに区分されている。すなわちいずれの減衰素子106、107も、いわゆるブロックマトリックスである。各減衰素子106、107において、いずれの個々のブロックも、少なくとも2つの異なる透明状態に、特には透明状態から拡散状態に、切り替え可能である。邪魔になる迷光反射が、光学機器の観察光路のどこに位置するかに応じて、領域/ブロックを切り替えて、これら迷光反射を正確に遮断することができる。
【0051】
減衰素子106、107は、次のように形成することもできる。すなわち、これらの素子は1つまたは複数の旋回可能なポインター109を備え、この1つまたは複数のポインターの1つまたは複数の末端が、1つまたは複数の網目の大きさをもつものとする(図5参照)。必要に応じて、この1つまたは複数のポインター109は、減衰素子106、107における的を定めた領域を覆い、こうして観察光路の幾つかの部分を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】検査される眼の角膜および網膜から反射された光路の模式図である。
【図2】本発明による光学機器の、減衰素子と、光学素子とを備えるホルダーの、1つの実施例の模式図である。
【図3】本発明による光学機器の、ホルダーと、少なくとも1つの減衰素子と、光学素子との、もう1つの実施例の模式図である。
【図4】遮断された領域を持つ減衰素子。
【図5】ポインターを持つ減衰素子。
【符号の説明】
【0053】
100 検査される眼
101 減衰素子の拡散領域
104 光学素子(レンズ)
106 第1の減衰素子
107 第2の減衰素子
108 ホルダー
109 減衰素子のポインター
110 角膜
111 網膜
112 網膜からの光路
113 角膜からの光路
114 角膜の中間像面
115 網膜の中間像面
【出願人】 【識別番号】506043354
【氏名又は名称】カール ツァイス ズルギカル ゲーエムベーハー
【出願日】 平成19年8月21日(2007.8.21)
【代理人】 【識別番号】100105429
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 尚孝

【識別番号】100093735
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 鐘司

【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎

【識別番号】100153109
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 あき子


【公開番号】 特開2008−49165(P2008−49165A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2007−214707(P2007−214707)