トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 耐延伸性塞栓コイル
【発明者】 【氏名】リチャード・チャンピオン・デイビス・ザ・サード

【氏名】エリアス・ロドリゲス

【要約】 【課題】血管内の治療部位に塞栓コイルを配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具用配備システムを提供する。

【構成】塞栓コイル(32)は、そのコイルの遠位端部(38)に結合されている一方の遠位端部(46)を備えた細長い耐延伸性繊維(40)を有する。耐延伸性繊維は、真っ直ぐな部分によって分離されている周期的な波形部(52)の形態の部分を有する。耐延伸性繊維は、塞栓コイルのルーメン(16)を貫通し、他方の遠位端部(48)は、塞栓コイルの近位端部(42)に結合されている。耐延伸性繊維は、塞栓コイルの遠位端部と近位端部との間の追加の箇所で塞栓コイルに取り付けられていてもよい。加うるに、ヘッドピース(44)が、塞栓コイルの近位端部に取り付けられていて、塞栓コイルを配備カテーテル(14)に連結するのに役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓器具を血管内のあらかじめ選択された部位に配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
細長い可撓性運搬カテーテルであって、近位区画、遠位区画、および、前記運搬カテーテルを貫通して延びるルーメンを備えた、運搬カテーテルと、
細長い可撓性配備カテーテルであって、近位区画、遠位区画、および、前記配備カテーテルを貫通して延びるルーメンを備え、前記細長い可撓性運搬カテーテルの前記ルーメン内にスライド可能に配置された、配備カテーテルと、
塞栓コイルであって、近位端部、遠位端部、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位端部に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられた、
耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられ、前記配備カテーテルの前記遠位区画の前記ルーメン内に流体密に係合した状態で配置されたヘッドピースと、
前記配備カテーテルの前記近位区画に連結されていて、前記塞栓コイルを前記配備カテーテルから解放するために流体圧力を前記配備カテーテルの前記ルーメンに加える流体圧力源と、
を有する、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【請求項2】
請求項1記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記耐延伸性繊維の長さに沿った前記周期的波形部は、緩く巻かれた螺旋コイルの形態をしている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【請求項3】
請求項2記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記塞栓コイルは、螺旋状に巻かれたコイルを含む、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【請求項4】
請求項1記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記近位端部と前記遠位端部との間の追加の箇所で前記塞栓コイルに取り付けられている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【請求項5】
請求項1記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記配備カテーテルの前記遠位区画は、流体圧力が前記配備カテーテルの前記ルーメンに加えられると、前記配備カテーテルの前記遠位区画が外方に拡張して前記ヘッドピースを解放する特性を示す材料で作られている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【請求項6】
血管内の治療部位に配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具において、
塞栓コイルであって、近位区画、遠位区画、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位区画に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位区画に取り付けられた、
耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位区画に取り付けられていて、前記塞栓コイルを塞栓運搬システムに連結するのに役立つヘッドピースと、
を有する、血管閉塞性塞栓器具。
【請求項7】
血管内の治療部位に配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具において、
塞栓コイルであって、近位端部、遠位端部、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位端部に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられた、
耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられていて、前記塞栓コイルを運搬システムに連結するのに役立つヘッドピースと、
を有する、血管閉塞性塞栓器具。
【請求項8】
請求項7記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿う前記波形部は、前記耐延伸性繊維の真っ直ぐな部分の相互間に間隔を置いて設けられている、血管閉塞性塞栓器具。
【請求項9】
請求項7記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿う前記波形部は、螺旋状に巻かれたコイルである、血管閉塞性塞栓器具。
【請求項10】
請求項7記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記塞栓コイルは、螺旋状に巻かれた塞栓コイルを含む、血管閉塞性塞栓器具。
【請求項11】
請求項7記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記近位端部と前記遠位端部との間の追加の箇所で前記塞栓コイルに取り付けられている、血管閉塞性塞栓器具。
【発明の詳細な説明】【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は、人体の血管内に植え込むために設計された医療器具に関し、特に、動脈瘤の治療のための耐延伸性血管閉塞性コイルに関する。血管閉塞性コイルは、コイルが最初にいったん血管内に配置されてからコイルを再位置付けすることが必要となり得る場合に用いるのに特に適している。
【0002】
〔先行技術の説明〕
長年の間、血管閉塞性器具が、特定の治療場所で血管を閉塞するために用いられている。これらの器具は、多種多様な形態を取っており、かかる形態としては、螺旋状に巻かれたコイル、コイル内に巻かれたコイル、または他のかかるコイル形態が挙げられる。種々のコイル形態の例は、米国特許第5,334,210号明細書(発明の名称:血管閉塞用組立体(Vascular Occlusion Assembly))および米国特許第5,382,259号明細書(発明の名称:取り付けられた管状織布または編組繊維カバーを備えた血管閉塞コイル(Vasoocclusion Coil with Attached Tubular Woven or Braided Fibrous Covering))に開示されている。塞栓コイルは、一般に、放射線不透過性金属材料、例えば白金、金、タングステン、またはこれら金属の合金により形成されている。数個のコイルが、所与の場所に配置されることが多く、その特定の場所での血栓生成を促進することにより血管または動脈瘤を通る血液の流れを閉塞させるか、または部分的に閉塞させる。
【0003】
種々の器具または薬剤を人体の血管構造内に配置するために可撓性カテーテルが用いられている。かかる器具または薬剤としては、拡張バルーン、放射性不透過性流体、液体薬剤、および種々の形式の閉塞器具、例えばバルーンや塞栓コイルが挙げられる。かかるカテーテル利用器具の例は、米国特許第5,108,407号明細書(発明の名称:塞栓コイルを配置するための方法および装置(Method and apparatus for Placement of an Embolic Coil))および米国特許第5,122,136号明細書(発明の名称:動脈、血管、動脈瘤、血管奇形部および動静脈フィステルに血栓を電子形成するための、電解式に取り外し可能な血管内ガイドワイヤチップ(Endovascular electrolytically Detachable Guidewire Tip for the Electroformation of Thrombus in Arteries, Veins, Aneurysms, Vascular Malformations and Arteriovenous Fistulas))に開示されている。これら米国特許明細書は、動脈瘤を治療するために、または別の例として、血管を特定の場所で閉塞するために、塞栓コイルを人体の血管内の所定の部位まで運搬するために設計されたカテーテル利用器具を開示している。
【0004】
加うるに、塞栓コイルがカテーテルの遠位端部内に配置され、カテーテルの遠位端部を正しく位置位置付けされると、コイルが、プッシャ部材によりカテーテルの端部から押し出されてコイルを血管内の所定の部位で解放することができるようになっている。塞栓コイルを配置するためのこの手技は、蛍光透視による視覚化のもとで実施され、これにより、人体の血管構造を通るコイルの運動をモニタし、コイルを所望の場所に配置することができるようになっている。
【0005】
特に配備後の回収中に塞栓器具が延伸すること、または運搬中に再位置付けすることを阻止するためには、塞栓器具は、塞栓コイルの形態を取る場合が多く、この塞栓コイルは、この塞栓コイルを貫通して延びるルーメンおよびルーメンを貫通して延びる耐延伸性部材を有している。一実施形態では、耐延伸性部材は、コイルの近位端部および遠位端部に取り付けられた繊維の形態をしている。別の実施形態では、耐延伸性部材は、塞栓コイルの遠位端部に不動に取り付けられ、コイルのルーメンを通って延ばされ、そして細長いプッシャ部材の近位端部に取り外し可能に連結される。プッシャ部材とコイルとの連結部は、典型的には熱可塑性材料で作られた耐延伸性部材に熱を加えることにより切断できる。かかる器具は、米国特許出願公開第2004/0034363号明細書(発明の名称:耐延伸性治療器具(Stretch Resistant Therapeutic Device))に開示されている。
【0006】
耐延伸性塞栓器具の別の形態は、螺旋状に巻かれた外側コイルを有し、耐延伸性部材がこの外側コイルを貫通して延びている。コイルの運動中の延伸を阻止するためには、耐延伸性部材は、少なくとも2つの場所、例えば、近位端部および遠位端部でコイルに不動に取り付けられる。コイルは、運搬器具から解放されたときには、二次形状を取ることができる。かかる器具は、米国特許第5,853,418号明細書(発明の名称:耐延伸性血管閉塞コイル(II)(Stretch Resistant Vaso-occlusive Coils (II)))に開示されている。
【0007】
耐延伸性コイルの更に別の実施形態は、近位端部および遠位端部を備えた一次コイルの少なくとも一部分を貫通して延びる耐延伸性部材、例えば繊維を含む。耐延伸性部材は、コイルの軸方向延伸を阻止するか、または最小限に抑えるために軸線方向に離れた2つの場所で一次コイルに取り付けられている。これら取り付け場所のうちの1つは、コイルのルーメン内に設けられたアンカー組立体により作られる。アンカー組立体は、一次コイルの巻き線内に組み込まれるコイルの形態をしている。かかる器具は、米国特許出願公開第2004/0002733号明細書(発明の名称:耐延伸性血管閉塞コイル内に組み込まれたアンカーコイル(Integrated Anchor Coil in Stretch-Resistant Vaso-occlusive Coils))に開示されている。
【0008】
耐延伸性コイルおよび運搬システムの更に別の実施形態は、プッシャ部材と、塞栓コイルに取り付けられた細いワイヤとの間のインターロック継手の形態をしている。細いワイヤをコイル上の遠位場所、中間場所、または近位場所に取り付けてもよく、この細いワイヤは、ワイヤの近位端部に不動に取り付けられたボール形部材を含む。コイルを治療部位に位置付けするために、遠位端部にボール部材が取り付けられたプッシャ部材は、耐延伸性部材の近位端部のところでボール部材とインターロックする。かかる器具は、米国特許第5,304,195号明細書(発明の名称:インターロック継手を備えた取り外し可能なプッシャ型血管閉塞コイル組立体(Detachable Pusher-Vasoocclusive Coil Assembly with Interlocking Coupling))に開示されている。
【0009】
耐延伸性塞栓コイルの別の実施形態は、塞栓コイルであって、そのルーメンを貫通して延びていて、少なくとも2つの場所でコイルに取り付けられた耐延伸性部材を備えた塞栓コイルを含む。耐延伸性部材は、塞栓コイルのルーメン内に幾分緩く設けられており、コイルは、人体内で解放された後には二次形状を取ることができる。かかる器具は、米国特許第5,853,418号明細書(発明の名称:耐延伸性血管閉塞コイル(II)Stretch Resistant Vaso-occlusive Coils (II))に開示されている。
【0010】
耐延伸性塞栓コイルの更に別の実施形態は、コイルであって、コイルを貫通して延びる耐延伸性部材により補強された近位端部および遠位端部を備えたコイルを含む。耐延伸性部材の遠位端部は、コイルの遠位端部に不動に取り付けられ、耐延伸性部材の近位端部は、細長いプッシャ部材にその遠位端部で取り外し可能に取り付けられる。かかる器具は、米国特許出願公開第2005/0043755号明細書(発明の名称:強化された治療用ストランド構造を備えた血管閉塞コイル(Vasoocclusive Coil with Enhanced Therapeutic Strand Structure))に開示されている。
【0011】
耐延伸性塞栓コイルの更に別の実施形態は、ポリマーで包まれ、螺旋状に巻かれたワイヤを含む。耐延伸性部材が、コイルのルーメンを貫通して延びていてもよく、この耐延伸性部材は、コイル上の少なくとも2つの箇所に取り付けられる。かかる器具は、米国特許第6,280,457号明細書(発明の名称:(ポリマーでカバーされた血管閉塞器具およびこのような器具の製造法(Polymer Covered Vaso-occlusive Devices and Methods of Producing Such Devices))に開示されている。
【0012】
耐延伸性塞栓コイルの更に別の実施形態は、外側コイルおよび少なくとも1つの内側同軸部材を含む。外側コイルが軸方向張力を受けると、外側コイルは、軸方向に長くなり、また、半径方向に縮む。半径方向の縮みは、内側同軸部材の抵抗を受ける。かかる器具は、米国特許出願公開第2004/0006363号明細書(発明の名称:同軸的な耐延伸性血管閉塞器具(Coaxial Stretch Resistant Vaso-Occlusive Device))に開示されている。
【0013】
〔発明の概要〕
本発明は、塞栓器具を血管内のあらかじめ選択された部位に配置する際に用いられる血管閉塞性器具配備システムに関する。本発明の特徴によれば、配備システムは、細長い可撓性運搬カテーテルおよび運搬カテーテルのルーメン内にスライド可能に配置された細長い可撓性配備カテーテルを有する。また、塞栓コイルが設けられ、この塞栓コイルは、好ましくは、螺旋状に巻かれている。耐延伸性繊維が、コイルに、コイルの遠位端部で結合され、コイルのルーメンを貫通して延びる。耐延伸性繊維の複数の部分が、真っ直ぐな部分の相互間に分散された周期的波形部を有し、繊維の近位端部は、塞栓器具の近位端部に結合されている。加うるに、耐延伸性繊維は、コイルの長さに沿った追加の箇所で塞栓コイルに取り付けられていてもよい。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、ヘッドピースが、塞栓コイルの近位端部に取り付けられ、このヘッドピースはまた、配備カテーテルの近位区画のルーメン内に流体密(fluid tight)に係合した状態で配置されている。加うるに、流体圧力源が、流体圧力をヘッドピースに加え、塞栓コイルを配備カテーテルから解放するために、配備カテーテルの近位区画に結合されている。配備カテーテルの遠位区画は、流体圧力が配備カテーテルのルーメンに加えられると、配備カテーテルの遠位区画が外方に拡張してヘッドピースを解放する特性を示す材料により形成されていてもよい。
【0015】
本発明の更に別の特徴によれば、塞栓器具は、螺旋状に巻かれた塞栓コイルを含む。耐延伸性繊維が、塞栓コイルの遠位端部に結合され、塞栓コイルのルーメンを貫通して延び、耐延伸性繊維の近位端部は、塞栓コイルの近位端部に結合されている。耐延伸性繊維は、その長さに沿って、好ましくは螺旋状に巻かれた周期的波形部を有し、これら波形部は、真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられる。加うるに、耐延伸性繊維を塞栓コイルの長さに沿った追加の箇所で塞栓コイルに取り付けてもよい。塞栓コイルを運搬システムに連結するために、ヘッドピースが塞栓コイルの近位端部に取り付けられる。
【0016】
本発明の更に別の特徴によれば、塞栓器具は、螺旋状に巻かれた塞栓コイルを含む。耐延伸性繊維は、塞栓コイルの遠位端部に結合され、塞栓コイルのルーメンを貫通して延び、そして塞栓コイルの近位端部に結合されている。耐延伸性繊維は、その長さに沿って真っ直ぐな部分相互間に散在して設けられた波形部を有する。これら波形部は、繊維に沿ってランダムに配置されていてもよく、または変形例として、本質的に周期的であってもよい。波形部もまた、螺旋状に巻かれていてもよい。加うるに、耐延伸性繊維をコイルの長さに沿った追加の箇所で塞栓コイルに取り付けてもよい。塞栓器具を配備システムに連結するためには、ヘッドピースが塞栓コイルの近位端部に取り付けられる。
【0017】
本発明のこれら特徴およびその利点は、本発明の好ましい実施形態についての以下の説明および図面の記載からより明確に理解されよう。
【0018】
〔好ましい実施形態の説明〕
図1は、本発明の耐延伸性の血管閉塞性器具配備システム10の一実施形態を全体的に示しており、かかる配備システムは、細長い可撓性運搬カテーテル12を有し、この運搬カテーテルは、運搬カテーテル12のルーメン16内にスライド可能に配置された細長い可撓性配備カテーテル14を有し、耐延伸性塞栓器具31が、配備カテーテル14の遠位区画30のルーメン26内に位置している。流体圧力源が、配備カテーテル14の近位区画18に連結され、この流体圧力源は、好ましくは、注射器20の形態をしている。注射器20は、ねじ山付きピストン22を有し、このピストンは、取っ手24により制御され、それにより流体を配備カテーテル14のルーメン26内に注入する。また、図示のように、配備カテーテル14の近位端部18は、ウイング付きハブ28を有し、このウイング付きハブは、人体の血管構造内への配備カテーテルの挿入を助ける。
【0019】
耐延伸性塞栓器具31は、配備カテーテル14の遠位区画30のルーメン26内に配置されている。耐延伸性塞栓器具31は、円柱形の塞栓コイル32を有しており、この塞栓コイル32は、コイル32の遠位端部に結合された非外傷性の遠位ビード36を有している。加うるに、ヘッドピース44が、コイル32の近位端部42に取り付けられており、このヘッドピースは、配備カテーテル14の遠位区画30のルーメン26内に流体密に係合した状態で配置され、それにより、耐延伸性塞栓器具31を配備カテーテルに連結している。
【0020】
塞栓コイル32が、所望の治療部位に位置しているときに、取っ手24を操作してねじ山付きピストン22を前進させ、このピストンは、それにより、流体を配備カテーテル14のルーメン内に注入する。流体が配備カテーテル14のルーメン26中を進められ、圧力がヘッドピース44の近位端部に、かくして塞栓器具に加わり、塞栓器具を配備カテーテル14の遠位区画30内のその定位置から変位させる。
【0021】
所望ならば、配備カテーテル14の遠位区画30を、近位区画18を形成するために用いられたデュロメータとは異なるデュロメータを有する材料で形成してもよい。例えば、配備カテーテル14の近位区画18をデュロメータ範囲が約62D〜75DのPebax材料で形成してもよい。すると、近位区画は、人体の血管構造を横切るのに十分に可撓性であるだけでなく、約400psi(約2.758×106Pa)の流体圧力を配備カテーテルのこの区画の内部に加えると、配備カテーテルのこの区画の壁の半径方向膨張がもしあったとしても僅かであるよう十分に堅固であろう。これとは対照的に、配備カテーテル14の遠位区画30は、デュロメータの比較的小さなポリマー材料で形成してもよい。配備カテーテル14の遠位区画30は、好ましくは、デュロメータ範囲が25D〜55Dのブロックコポリマー、例えばPebaxで形成され、好ましいデュロメータは、40Dである。
【0022】
配備カテーテル14の遠位区画30を形成するために用いられる低デュロメータ材料は、約400psi(約2.758×106Pa)の流体圧力を内部に加えると、遠位端部30の壁が、バルーンのインフレート作用に幾分類似して半径方向に拡張し、それにより塞栓コイル32のヘッドピース44を解除する特性を示す。
【0023】
図2は、耐延伸性塞栓器具31を詳細に示している。耐延伸性塞栓器具31は、塞栓コイル32を有し、この塞栓コイルは、コイル32の遠位端部38に結合された非外傷性遠位ビーズ36を有している。また、耐延伸性繊維40が設けられ、この耐延伸性繊維の遠位端部46は、コイル32の遠位端部38に結合されている。耐延伸性繊維40は、塞栓コイル32のルーメン50を貫通して延び、延長された真っ直ぐな部分により中断されている周期的波形部52を有している。耐延伸性繊維40の近位端部48は、コイル32の近位端部42に取り付けられているか、または代替的に、ヘッドピース44に取り付けられており、このヘッドピースは、コイル32の近位端部42に取り付けられており、かつ、配備システム10の耐延伸性塞栓器具31に結合されている。
【0024】
具体的に説明すると、塞栓コイル32は、好ましくは、真っ直ぐな部分の相互間に分散されて、緩く巻かれた螺旋巻き34により形成されており、この塞栓コイルは、放射線不透過性白金タングステン合金で構成されている。無外傷性遠位ビーズ36は、全体として半球体の形状をしており、血漿ビーズまたははんだ溶接部により形成されている。耐延伸性繊維40は、好ましくは、ニチノールまたは白金ワイヤにより形成されるが、ポリマー編組またはフィラメントにより形成されてもよい。耐延伸性繊維40の周期的波形部52は、ワイヤの部分を所望の形状、例えば螺旋形態に曲げることにより形成される。耐延伸性繊維の曲がり部は、正弦波、ランダムに配置された曲がり部、または螺旋巻きの形態をしていてもよい。
【0025】
塞栓コイルの配置の際、流体圧力を加えてヘッドピース44およびかくして耐延伸性塞栓器具31を配備システム10から離脱させる。本発明の重要な利点は、塞栓器具31が不適切に位置付けされていることが判明した場合、塞栓器具をその場所から引き抜いて別の場所に配置することもできるし、または、人体から全体を取り除くことさえもできるということにある。
【0026】
耐延伸性繊維40は、これにより塞栓コイル32がこれを初期の位置から引き出すときに制御不能に延伸するのが阻止されるので、塞栓器具31の再位置付けを容易にする。塞栓器具31を適当な場所にいったん解放すると、耐延伸性繊維40は、制限された可動性を有し、この制限された可動性は、塞栓器具31を配備カテーテルから解放し、もはやこれによっては拘束されないようにした後には、塞栓器具31の二次形状を或る程度定める場合がある。
【0027】
耐延伸性繊維40は、耐延伸性を塞栓器具31にもたらすが、本発明のもう1つの重要な利点は、波形部または螺旋巻き部を備えた部分を有する耐延伸性繊維40が、塞栓器具の可撓性を増大させるということである。具体的に説明すると、耐延伸性塞栓器具31を近位側に引っ張ると、波形部52は、真っ直ぐになり、それにより塞栓器具31が耐延伸性になる前に或る程度の延伸を可能にする。すると、これら波形部は、塞栓器具31をカテーテルから解放した後に可撓性を塞栓器具31に加えて塞栓器具が配備後に二次形状を取ることができるようにする。
【0028】
明らかなように、当業者には明らかな上述した好ましい実施形態の多くの改良形態があり、例えば、多くのコイル巻線形態を含む塞栓コイルの多くの変化形態および改良形態が存在する。また、種々のコンポーネントを形成するために用いられる材料にはバリエーションがある。加うるに、耐延伸性塞栓器具31の耐延伸性を高めるためには、波形部の形状および出現頻度を変更することができ、塞栓コイルと耐延伸性部材との間の取り付け部の出現頻度もまた、増大させることができる。これら改良形態は、当業者には明らかであり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【0029】
〔実施の態様〕
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)塞栓器具を血管内のあらかじめ選択された部位に配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
細長い可撓性運搬カテーテルであって、近位区画、遠位区画、および、前記運搬カテーテルを貫通して延びるルーメンを備えた、運搬カテーテルと、
細長い可撓性配備カテーテルであって、近位区画、遠位区画、および、前記配備カテーテルを貫通して延びるルーメンを備え、前記細長い可撓性運搬カテーテルの前記ルーメン内にスライド可能に配置された、配備カテーテルと、
塞栓コイルであって、近位端部、遠位端部、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部(undulation)を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位端部に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられた、
耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられ、前記配備カテーテルの前記遠位区画の前記ルーメン内に流体密に係合した状態で配置されたヘッドピースと、
前記配備カテーテルの前記近位区画に連結されていて、前記塞栓コイルを前記配備カテーテルから解放するために流体圧力を前記配備カテーテルの前記ルーメンに加える流体圧力源と、
を有する、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
(2)実施態様(1)記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記耐延伸性繊維の長さに沿った前記周期的波形部は、緩く巻かれた螺旋コイルの形態をしている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
(3)実施態様(2)記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記塞栓コイルは、螺旋状に巻かれたコイルを含む、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
(4)実施態様(1)記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記近位端部と前記遠位端部との間の追加の箇所で前記塞栓コイルに取り付けられている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
(5)実施態様(1)記載の血管閉塞性塞栓器具用配備システムにおいて、
前記配備カテーテルの前記遠位区画は、流体圧力が前記配備カテーテルの前記ルーメンに加えられると、前記配備カテーテルの前記遠位区画が外方に拡張して前記ヘッドピースを解放する特性を示す材料で作られている、血管閉塞性塞栓器具用配備システム。
【0030】
(6)血管内の治療部位に配置の際に用いられる血管閉塞性塞栓器具において、
塞栓コイルであって、近位区画、遠位区画、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位区画に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位区画に取り付けられた、耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位区画に取り付けられていて、前記塞栓コイルを塞栓運搬システムに連結するのに役立つヘッドピースと、
を有する、血管閉塞性塞栓器具。
(7)実施態様(6)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿った前記周期的波形部は、緩く巻かれた螺旋状のコイルの形態をしている、血管閉塞性塞栓器具。
(8)実施態様(6)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記塞栓コイルは、螺旋状に巻かれたコイルを含む、血管閉塞性塞栓器具。
(9)実施態様(6)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記近位区画と前記遠位区画との間の追加の箇所で前記塞栓コイルに取り付けられている、血管閉塞性塞栓器具。
【0031】
(10)血管内の治療部位に配置する際に用いられる血管閉塞性塞栓器具において、
塞栓コイルであって、近位端部、遠位端部、および、前記塞栓コイルを貫通して延びるルーメンを備えた、塞栓コイルと、
耐延伸性繊維であって、
真っ直ぐな部分の相互間に散在して設けられた、前記繊維の長さの少なくとも一部に沿った周期的な波形部を有し、かつ、近位端部および遠位端部を有し、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記ルーメンを貫通して延び、
前記耐延伸性繊維の前記遠位端部は、前記塞栓コイルの前記遠位端部に取り付けられ、
前記耐延伸性繊維の前記近位端部は、前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられた、
耐延伸性繊維と、
前記塞栓コイルの前記近位端部に取り付けられていて、前記塞栓コイルを運搬システムに連結するのに役立つヘッドピースと、
を有する、血管閉塞性塞栓器具。
(11)実施態様(10)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿う前記波形部は、前記耐延伸性繊維の真っ直ぐな部分の相互間に間隔を置いて設けられている、血管閉塞性塞栓器具。
(12)実施態様(10)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿う前記波形部は、前記繊維の長さに沿って周期的に設けられている、血管閉塞性塞栓器具。
(13)実施態様(10)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維の長さに沿う前記波形部は、螺旋状に巻かれたコイルである、血管閉塞性塞栓器具。
(14)実施態様(10)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記塞栓コイルは、螺旋状に巻かれた塞栓コイルを含む、血管閉塞性塞栓器具。
(15)実施態様(10)記載の血管閉塞性塞栓器具において、
前記耐延伸性繊維は、前記塞栓コイルの前記近位端部と前記遠位端部との間の追加の箇所前記塞栓コイルに取り付けられている、血管閉塞性塞栓器具。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の耐延伸性血管閉塞性器具の配備システムの一実施形態の拡大部分断面図である。
【図2】図1に示す耐延伸性塞栓器具の拡大断面図である。
【出願人】 【識別番号】506224849
【氏名又は名称】コーディス・デベロップメント・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Cordis Development Corporation
【住所又は居所原語表記】14000 N.W. 57th Court,Miami Lakes,Florida 33014,U.S.A.
【出願日】 平成19年8月17日(2007.8.17)
【代理人】 【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延

【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭

【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音


【公開番号】 特開2008−49159(P2008−49159A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2007−213020(P2007−213020)