| 【発明の名称】 |
人の状態検出装置及び人の状態検出方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】重藤 和英
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| 【要約】 |
【課題】人に対する違和感を抑制し、人の状態を高精度に検出する人の状態検出装置及び人の状態検出方法を提供することを課題とする。
【構成】人の状態検出装置1であって、外部環境による被験者への第1物理刺激を検出する刺激検出手段2,3,10と、被験者に対して第2物理刺激を付与する刺激付与手段4,5,10と、刺激付与手段4,5,10で付与した第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する反応検出手段6,7,10と、反応検出手段6,7,10で検出した被験者の反応に基づいて被験者の状態を判定する状態判定手段10とを備え、刺激検出手段2,3,10で第1物理刺激を検出した場合に刺激付与手段4,5,10によって第2物理刺激を付与することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部環境による被験者への第1物理刺激を検出する刺激検出手段と、 被験者に対して第2物理刺激を付与する刺激付与手段と、 前記刺激付与手段で付与した第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する反応検出手段と、 前記反応検出手段で検出した被験者の反応に基づいて被験者の状態を判定する状態判定手段と を備え、 前記刺激検出手段で第1物理刺激を検出した場合に前記刺激付与手段によって第2物理刺激を付与することを特徴とする人の状態検出装置。 【請求項2】 第1物理刺激は外部環境による被験者への音であり、第2物理刺激は被験者に対する振動であることを特徴とする請求項1に記載する人の状態検出装置。 【請求項3】 外部環境による被験者への第1物理刺激を検出する刺激検出ステップと、 前記刺激検出ステップで第1物理刺激を検出した場合に被験者に対して第2物理刺激を付与する刺激付与ステップと、 前記刺激付与ステップで付与した第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する反応検出ステップと、 前記反応検出ステップで検出した被験者の反応に基づいて被験者の状態を判定する状態判定ステップと を含むことを特徴とする人の状態検出方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、刺激に対する反応から人の状態を高精度に検出する人の状態検出装置及び人の状態検出方法に関する。 【背景技術】 【0002】 運転中の安全性向上などに利用するために、覚醒状態、心理状態、疲労状態などの人の状態を検出する装置が各種提案されている。例えば、特許文献1に記載の人の状態検出装置では、被験者に対して物理的な刺激(振動)を与え、その物理的な刺激に対する生理反応によって被験者の状態を検出する。 【特許文献1】特願2005−316773号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 従来の人の状態検出装置では、状態検出を行うために被験者に対して物理的な刺激を与える。しかし、この物理的な刺激よって、被験者に違和感を与える虞があり、その違和感から不快感を生じる場合がある。 【0004】 そこで、本発明は、人に対する違和感を抑制し、人の状態を高精度に検出する人の状態検出装置及び人の状態検出方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明に係る人の状態検出装置は、外部環境による被験者への第1物理刺激を検出する刺激検出手段と、被験者に対して第2物理刺激を付与する刺激付与手段と、刺激付与手段で付与した第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する反応検出手段と、反応検出手段で検出した被験者の反応に基づいて被験者の状態を判定する状態判定手段とを備え、刺激検出手段で第1物理刺激を検出した場合に刺激付与手段によって第2物理刺激を付与することを特徴とする。 【0006】 この人の状態検出装置では、刺激検出手段により被験者がおかれている環境において被験者が受けている第1物理刺激を検出する。そして、刺激検出手段で第1物理刺激を検出できたときに、人の状態検出装置では、刺激付与手段により被験者に第2物理刺激を付与する。このとき、被験者は装置側で付与している第2物理刺激を受けるが、その第2物理刺激が外部環境で発生している第1物理刺激によってマスクされる。人の状態検出装置では、反応検出手段によりその第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する。そして、人の状態検出装置では、状態判定手段により第2物理刺激に対する反応から被験者の状態を判定する。このように、この人の状態検出装置では、被験者が外部環境から第1物理刺激を受けているときに装置側で状態検出用の第2物理刺激を与えることにより、その第2物理刺激による被験者に対する違和感(ひいては、不快感)を抑制できる。さらに、この人の状態検出装置では、人の物理刺激に対する反応という客観的な情報を用いて(人の主観的な情報を用いない)、状態を判定するので、人の状態を高精度に検出することができる。また、この人の状態検出装置では、物理刺激に対する人の反応によって状態を判定するので、人が能動的な作業を行う必要がなく、人に対して負荷を与えない。このように負荷を与えないので、運転などの主作業を行っている場合、その主作業を実施しているときでも状態の検出精度が低下することがなく、状態検出中にその主作業の実施がおろそかになることもない。 【0007】 なお、被験者の反応としては、被験者の様々な反応であり、例えば、生理反応、行動反応があり、生理反応(生理指標)が好ましい。生理指標は、人から生体計測できる様々な指標であり、例えば、眼電(EOG[Electrooculogram])による生理指標(瞬目など)、脳波(EEG[Electroencephalogram])による生理指標(α波、β波など)、心電(ECG[Electrocardiogram])による生理指標(心拍数など)、皮膚電気活動(EDA[Electro Dermal Activity]による生理指標(皮膚電位反応(SPR[Skin Potential Response])など)、筋電(EMG[Electromyogram]))による生理指標がある。被験者の状態としては、例えば、覚醒状態、心理状態(焦り、イライラなど)、疲労状態である。第1物理刺激(外部環境)は、外部環境から被験者が受ける様々な刺激であり、例えば、被験者に聞こえる音、被験者が感じる振動である。第2物理刺激は、第1物理刺激を受けているときに被験者に与えることができる様々な刺激であり、例えば、音から変換した機械振動、振動から変換した電流である。 【0008】 本発明の上記人の状態検出装置では、第1物理刺激を外部環境による被験者への音とし、第2物理刺激を被験者に対する振動としてもよい。 【0009】 この人の状態検出装置では、刺激検出手段により、被験者に聞こえている音を第1物理刺激として検出する。刺激検出手段で音を検出できたときに、人の状態検出装置では、刺激付与手段により第2物理刺激として振動を被験者に付与する。そして、人の状態検出装置では、反応検出手段によりその振動に対する被験者の反応を検出し、状態判定手段により振動に対する反応から被験者の状態を判定する。 【0010】 本発明に係る人の状態検出方法は、外部環境による被験者への第1物理刺激を検出する刺激検出ステップと、刺激検出ステップで第1物理刺激を検出した場合に被験者に対して第2物理刺激を付与する刺激付与ステップと、刺激付与ステップで付与した第2物理刺激に対する被験者の反応を検出する反応検出ステップと、反応検出ステップで検出した被験者の反応に基づいて被験者の状態を判定する状態判定ステップとを含むことを特徴とする。この人の状態検出方法は、上記した人の状態検出装置と同様の作用及び効果を奏する。 【発明の効果】 【0011】 本発明は、被験者が外部環境による第1物理刺激を受けているときに状態判定用の第2物理刺激を付与することにより、人に対する違和感を抑制できるとともに人の状態を高精度に検出することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、図面を参照して、本発明に係る人の状態検出装置及び人の状態検出方法の実施の形態を説明する。 【0013】 本実施の形態では、本発明に係る人の状態検出装置を、車両に搭載され、運転者の覚醒状態を推定する状態推定システムに適用する。本発明に係る状態推定システムでは、運転者の覚醒状態を推定し、覚醒状態が低い場合には運転者に対して注意喚起する。 【0014】 図1〜図3を参照して、本実施の形態に係る状態推定システム1について説明する。図1は、本実施の形態に係る状態推定システムの構成図である。図2は、本実施の形態に係る音から変換した機械振動の付与タイミング、その機械振動に対するSPR値、そのSPR値から求められたAR値の時系列データの一例である。図3は、与えた振動に対する生体反応(SPR値)の比較例であり、(a)が振動として物理振動を与えた場合であり、(b)が振動として音から変換した機械振動を与えた場合である。 【0015】 状態推定システム1は、運転者に対して物理刺激を与え、その物理刺激に対する運転者の生理反応として皮膚電気活動(EDA)(特に、皮膚電位反応(SPR))を検出し、AR[Active Reference]法により皮膚電気反応に基づいて運転者の覚醒状態を推定する。特に、状態推定システム1では、運転者に与える物理刺激が違和感とならないように、車室内で聞こえる音を利用し、音を検出できているときに音から変換した機械振動を物理刺激として運転者に与える。そのために、状態推定システム1は、マイクロフォン2、ハイパスフィルタ3、増幅器4、振動子5、皮膚電気活動センサ6、増幅器7、スピーカ8、ディスプレイ9及びECU[Electronic Control Unit]10を備えている。AR法とは、リファレンスである刺激(振動など)を一定時間毎に人に与え、その刺激に対して得られた人の生理反応の区間毎の相対変化に基づいて人の状態を(覚醒状態など)を推定する手法である。 【0016】 なお、本実施の形態では、マイクロフォン2、ハイパスフィルタ3、ECU10における処理が特許請求の範囲に記載する刺激検出手段に相当し、振動子5、増幅器4、ECU10における処理が特許請求の範囲に記載する刺激付与手段に相当し、皮膚電気活動センサ6、増幅器7、ECU10における処理が特許請求の範囲に記載する反応検出手段に相当し、ECU10における処理が特許請求の範囲に記載する状態判定手段に相当する。 【0017】 マイクロフォン2は、車室内(特に、運転者の周辺が好適)に取り付けられ、車室内の音を検出するセンサとして機能する。マイクロフォン2は、音が入力されるとその音を電気信号として検出し、その電気信号をハイパスフィルタ3に送信する。このマイクロフォン2に入力される音は、車室内で聞こえる環境音であり、例えば、ロードノイズなどの走行音、車両の風切り音、ギャップの乗り越え音、エンジン音、オーディオからの出力音である。これらの音は、主に走行中に聞こえる場合が多いが、停止中でもオーディオからの出力音などは聞こえる。 【0018】 ハイパスフィルタ3は、マイクロフォン2で検出した音の低周波成分を除去するフィルタである。除去する低周波帯域としては、機械振動に変換する際のノイズ成分を除去するために、振動子5で変換できない低周波の周波数帯域を考慮して設定される。ハイパスフィルタ3では、マイクロフォン2から送信された音の電気信号から低周波成分を除去し、その低周波成分除去後の音の電気信号をECU10に送信する。 【0019】 振動子5は、オーディーオシステムにおける体感音響用(音を機械振動に変換する装置として機能)の振動子であり、状態推定システム1では状態推定用の物理刺激を与える手段及び注意喚起用の振動を与える手段として利用される。振動子5は、シート(少なくとも運転席のシート)の数箇所又は1箇所に内蔵される。内蔵する位置や個数は、任意であり、例えば、運転者の背中部分の左右1箇所ずつ計2個内蔵される。振動子5では、ECU10から出力されて増幅器4で増幅された制御電流が供給されると、その制御電流に応じて振動する。 【0020】 皮膚電気活動センサ6は、皮膚電気活動(特に、SPA[Skin Potential Activity])を検出するセンサである。皮膚電気活動センサ6は、運転者の精神性発汗を検出するために、運転者の掌が接触するステアリングホイールの左右にそれぞれ取り付けられる。皮膚電気活動センサ6では、皮膚電気活動を検出すると、その検出信号を増幅器7に送信する。増幅器7では、検出信号を増幅し、その増幅した検出信号をECU10に送信する。ちなみに、人は、覚醒状態が高いときには刺激に対して精神性発汗が出易い傾向にあり、覚醒状態が低いときには精神性発汗が出難い傾向にある。 【0021】 スピーカ8、ディスプレイ9は、車両内の各システムと共用で利用され、状態推定システム1では運転者に対する注意喚起を行う際に利用される。スピーカ8では、ECU10から音声信号を受信すると、その音声信号に応じて音声を出力する。ディスプレイ9では、ECU10からの画像信号を受信すると、その画像信号に応じて画像を表示する。 【0022】 ECU10では、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、状態推定システム1を統括制御する。ECU10では、マイクロフォン2で検出され、ハイパスフィルタ3で低周波成分が除去された音の電気信号を取得し、運転者が環境音を聞いているときに状態推定用の振動を発生させるための制御電流を増幅器4を介して振動子5に出力する。その状態推定用振動を発生させる毎に、ECU10では、皮膚電気活動センサ6の検出信号を増幅器7で増幅した信号を受信し、その信号に基づいて皮膚電位反応から運転者の覚醒状態を推定する。さらに、ECU10では、覚醒状態が運転に支障をきたすレベルの場合、スピーカ8、ディスプレイ9及び振動子5を用いて運転者に対して注意喚起する。 【0023】 ECU10では、一定時間毎に、ハイパスフィルタ3からの低周波成分が除去された音の電気信号を受信する。そして、ECU10では、その受信した電気信号のレベルが音検知レベル以上か否かを判定する。音検知レベルは、マイクロフォン2に入力された音が運転者に十分に聞こえる大きさか否かを判定するためのレベルであり、実験などによって予め設定される。 【0024】 音の電気信号のレベルが音検知レベル以上の場合、ECU10では、刺激付与時間毎に、その低周波成分が除去された電気信号に相当する制御電流を増幅器4に出力する。刺激付与時間は、振動子5による振動を与えた後に皮膚電位反応を検出可能な時間より十分に余裕をもたせた時間である。図2には、一点鎖線の矢印T1,T2,・・・により、制御電流を出力するタイミング(振動子5からの振動を発生させるタイミング)の一例を示している。なお、この制御電流の出力は、音の電気信号のレベルが音検知レベル以上となっているときには常に行ってもよいし、あるいは、音検知レベル以上となっているときに所定周期が経過する毎に所定時間だけ行ってよい。所定周期は、運転者の皮膚電気反応を定期的に取得するための周期であり、任意の時間(例えば、数10分)でよい。 【0025】 ECU10では、振動子5で振動を発生させる毎に、増幅器7からの増幅検出信号(皮膚電気活動)に基づいて振動に対する皮膚電気反応を検出する。まず、ECU10では、皮膚電気活動をフィルタ処理し、皮膚電気活動から直流成分(皮膚電位水準)を除去する。そして、ECU10では、その直流成分を除去した皮膚電気活動の処理区間(状態推定用の振動を発生直後の処理区間ΔT)から最大値と最小値を抽出し、その最大値と最小値の差(絶対最大値:つまり、処理区間におけるPeak−to−Peak)を算出する。あるいは、ECU10では、その直流成分を除去した皮膚電気活動の処理区間の平均を算出する。この絶対最大値又は平均値が、振動子5の振動に対する皮膚電気反応(SPR)である。図2には、黒丸を端点とする実線S1,S2,・・・により、各タイミングT1,T2,・・・で振動子5によって振動を発生させたときに検出したSPR値の一例を示している。 【0026】 ECU10では、皮膚電位反応を検出する毎に、今回検出した皮膚電位反応と前回検出した皮膚電位反応を用いて、式(1)により皮膚電位反応のAR値(標準化値)を算出する。皮膚電位反応のAR値が0.0より大きいほど、覚醒状態が高い傾向にあると推定できる。皮膚電位反応のAR値が0.0より小さいほど、覚醒状態が低い傾向にあると推定できる。 【数1】
【0027】 式(1)において、AR(t)は今回のAR値であり、SPR(t)は今回のSPR値であり、SPR(t−1)は前回のSPR値である。このt−1とtとの時間間隔は、刺激付与時間である。図2には、黒丸を端点とする破線A2,A3,・・・により、前後するSPR値から求めたAR値の一例を示している。例えば、タイミングT2の場合、タイミングT2での符号S2で示すSPR値は前回のタイミングT1での符号S1で示すSPR値の2倍であり、符号A3で示すAR値は0.33となる。また、タイミングT5の場合、タイミングT5での符号S5で示すSPR値は前回のタイミングT4での符号S4で示すSPR値の1/3倍であり、符号A5で示すAR値は−0.5となる。 【0028】 ECU10では、皮膚電位反応のAR値を求める毎に、そのAR値に基づいて運転者が運転に支障をきたすほど覚醒度が低いレベルか否かを判定する。具体的には、例えば、ECU10では、AR値を算出する毎に、AR値が閾値以下か否かを判定する。閾値は、運転者が運転に支障をきたすほど覚醒度が低いレベル(注意力が低下しているレベル)であるか否かを判定するための閾値であり、0.0未満の値が設定される。あるいは、ECU10では、AR値を算出する毎に、AR値を用いて、式(2)により覚醒レベル(眠気モデル)DLを算出する。 【数2】
【0029】 式(2)において、DL(t)は今回の覚醒レベルであり、AR(t)は今回のAR値であり、DL(t−1)は前回の覚醒レベルである。覚醒レベルDLは、値が大きいほど覚醒度が高く、値が小さいほど覚醒度が低い。 【0030】 ECU10では、上記の閾値判定や覚醒レベルDLなどによって運転者が運転に支障をきたすほど覚醒度が低いレベルと判定した場合、運転者に対して注意喚起するための音声メッセージ及び画像を生成し、その音声データからなる音声信号をスピーカ8に送信するとともにその画像データからなる画像信号をディスプレイ9に送信する。また、ECU10では、運転者に対して覚醒状態を上昇させるための比較的強い振動を発生させるための制御電流を発生し、その制御電流を増幅器4に出力する。なお、表示、音声、振動による注意喚起については、閾値の設定や覚醒レベルDLの判定を変えることにより、段階的に行う(覚醒度が低いほどより強い注意喚起を行う)ようにしてもよいし、あるいは、注意喚起するか否かの1段階で行うようにしてもよい。 【0031】 なお、このようにして求められる皮膚電位反応のAR値に基づく覚醒状態の推定の妥当性を評価するために、様々な被験者に対して、音から変換した機械振動を与えて皮膚電位反応のAR値を求めるとともに官能評価も実施した。そして、皮膚電位反応のAR値と官能評価値とを比較すると、皮膚電位反応のAR値に基づく覚醒状態と官能評価値による覚醒状態とが同様の傾向が得られ、良好な結果が得られた。官能評価は、被験者による能動的なタスク(例えば、刺激に対するボタン操作、質問に対する回答)を課すことによる主観的な評価と被験者の顔を撮像した画像に基づく顔の表情の変化による客観的な評価とを総合的に判断して得られたものである。 【0032】 また、図3には、被験者に対して物理刺激を与えたときの生体反応(SPR値)についての実験例を示しており、(a)がタイミングTで偏心モータによる振動を与えた場合であり、(b)が本実施の形態と同様の手法によりタイミングTで音から変換した機械振動を与えた場合である。(a)図、(b)図における破線で囲むSPR値の時間変化を比較すると、どちらの物理刺激を与えた場合も、大きさが多少異なるが、同様の生体反応が得られることが判る。したがって、状態判定用の物理刺激として、音から変換した機械振動を十分に利用することができる。 【0033】 図1を参照し、状態推定システム1の動作について説明する。ここでは、車両が走行中であり、ロードノイズなどによる走行音や風切り音が車室内に聞こえている場合について説明する。 【0034】 マイクロフォン2では、車両走行中の様々な環境音が入力され、その音を電気信号に変換してハイパスフィルタ3に送信している。この環境音は、運転者に聞こえている。ハイパスフィルタ3では、その音の電気信号から低周波成分を除去し、ECU10に送信している。 【0035】 また、皮膚電気活動センサ6では、運転者の掌からの発汗を検出し、その検出信号を増幅器7に送信している。増幅器7では、皮膚電気活動センサ6からの検出信号を増幅し、その増幅した検出信号をECU10に送信している。 【0036】 ECU10では、一定時間毎に、ハイパスフィルタ3から低周波成分除去後の音の電気信号を受信し、その電気信号のレベルが音検知レベル以上か否かを判定する。音検知レベル以上の場合、ECU10では、刺激付与時間毎に、その電気信号に応じた制御電流を増幅器4に出力する。増幅器4では、その制御電流を増幅し、振動子5に出力する。この増幅された制御電流が供給されると、振動子5では、増幅された制御電流に応じた振動を発生させる。この発生される振動は、運転者に聞こえる音から変換した機械振動である。運転者は、この機械振動をシートから受けるが、聞こえている環境音にマスクされ、機械振動による違和感を受けない。 【0037】 ECU10では、振動子5で振動を発生させる毎に、増幅器7からの増幅検出信号に基づいてその振動発生直後の皮膚電気信号を解析し、その振動に対する皮膚電位反応を求める。そして、ECU10では、この今回求めた皮膚電位反応と前回求めた皮膚電位反応からAR値を算出する。さらに、ECU10では、この皮膚電位反応のAR値に基づいて運転者が運転に支障をきたすほど覚醒度が低いレベルか否かを判定する。運転に支障があると判定した場合、ECU10では、注意喚起するための案内を行う音声メッセージ及び画像を生成し、その音信信号をスピーカ8に送信するとともに画像信号をディスプレイ9に送信する。この音声信号を受信すると、スピーカ8では、音声信号に応じて注意喚起メッセージを出力する。また、この画像信号を受信すると、ディスプレイ9では、画像信号に応じて注意喚起画像を表示する。さらに、ECU10では、運転者の覚醒度を高めるための制御電流を生成し、その制御電流を増幅器4に出力する。この制御電流は増幅器4で増幅されて振動子5に供給されると、振動子5では、振動を発生する。これらの音声、表示、振動によって、運転者は、覚醒度が高まり、運転に対する注意力が増す。 【0038】 この状態推定システム1によれば、運転者の覚醒度を判定するために、物理刺激として運転者に聞こえる音から変換した機械振動を与えることにより、その物理刺激による運転者に対する違和感を極力抑制でき、不快感を与えない。 【0039】 また、状態推定システム1によれば、運転者に不快を与えない刺激を与え、その刺激に対する皮膚電位反応の変化から状態を推定しているので、運転者に負荷を与えず(つまり、運転者が能動的なタスクを行う必要がなく)、運転者の覚醒状態を客観的な情報に基づいて高精度に推定できる。運転者は、状態推定によって運転自体がおろそかになることがなく、覚醒状態が低下したときには注意喚起される。さらに、状態推定システム1によれば、前後で検出した皮膚電位反応を用いてAR法によって標準化を行っているので、SPR値の個体差がなくなり、運転者の覚醒状態を高精度に推定できる。このように運転者の覚醒状態が高精度に推定されるので、適切なタイミングで注意喚起を行うことができ、安全性が向上する。 【0040】 以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。 【0041】 例えば、本実施の形態では車両の運転者の状態として覚醒度(覚醒状態)を推定する装置に適用したが、他の乗り物の運転者、各種プラントの監視者、夜間の従業者などの様々な人の状態を推定するために利用してもよいし、覚醒状態以外に心理状態(焦り、イライラ、退屈)、疲労状態などの他の状態を推定する装置に適用してもよい。 【0042】 また、本実施の形態では運転者に聞こえる音(第1物理刺激)を検出し、その検出した音から変換した機械振動(第2物理刺激)を運転者に与える構成としたが、物理刺激の組み合わせについて様々な組み合わせを適用でき、例えば、被験者が受ける振動(第1物理刺激)を検出し、その振動から変換した電流(第2物理刺激)を被験者に与える。 【0043】 また、本実施の形態では前後の刺激に対する生体反応を比較するAR法を利用して運転者の状態を判定する構成としたが、状態の判定方法については様々な方法が適用でき、例えば、比較することなく、第2物理刺激に対する生理反応から状態を直接判定する構成でもよいし、第2物理刺激に対する生理反応の変化量の大きさから状態を判定する構成でもよい。 【0044】 また、本実施の形態では生理指標として皮膚電気活動(EDA)、特に、皮膚電位反応(SPR)を利用したが、様々な生理指標を利用でき、例えば、眼電(EOG)による生理指標(瞬目など)、脳波(EEG)による生理指標(α波、β波など)、心電(ECG)による生理指標(心拍数など)、筋電(EMG)による生理指標などを利用してもよく、また、皮膚電気活動の中でも皮膚抵抗水準(SRL)、皮膚抵抗反応(SRR)、皮膚電位水準(SPL)などの他の生理指標を利用してもよい。さらに、1つの生理指標だけで状態を推定するのではなく、複数の生理指標を組み合わせて状態を推定するようにしてもよい。また、生理指標(生理反応)以外にも、被験者の様々な反応を利用でき、例えば、被験者の行動による反応(運転者の場合、ステアリング操作、ブレーキ操作など)である。 【0045】 また、本実施の形態では覚醒状態が運転に支障をきたすレベル以下になった場合には画像表示、音声出力、振動などによって注意喚起する構成としたが、警報ブザーなどの他の手段で注意喚起する構成としてもよいし、あるいは、状態が運転に支障レベル以下になった場合には運転支援システム(例えば、プリクラッシュセーフティシステム、アダプティブクルーズコントロールシステム、レーンキープシステム)の制御タイミングや制御閾値を変えるなどして、より安全性を高めるように車両側で制御するようにしてもよい。また、人の状態を検出し、その検出した人の状態を出力するだけの構成としてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0046】 【図1】本実施の形態に係る状態推定システムの構成図である。 【図2】本実施の形態に係る音から変換した機械振動の付与タイミング、その機械振動に対するSPR値、そのSPR値から求められたAR値の時系列データの一例である。 【図3】振動に対する生体反応(SPR値)の比較例であり、(a)が振動として物理振動を与えた場合であり、(b)が振動として音から変換した機械振動を与えた場合である。 【符号の説明】 【0047】 1…状態推定システム、2…マイクロフォン、3…ハイパスフィルタ、4…増幅器、5…振動子、6…皮膚電気活動センサ、7…増幅器、8…スピーカ、9…ディスプレイ、10…ECU
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100113435 【弁理士】 【氏名又は名称】黒木 義樹
【識別番号】100122770 【弁理士】 【氏名又は名称】上田 和弘
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| 【公開番号】 |
特開2008−49067(P2008−49067A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230983(P2006−230983) |
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