| 【発明の名称】 |
超音波診断装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大坂 卓司
【氏名】松村 剛
【氏名】外村 明子
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| 【要約】 |
【課題】被検体の内部組織の局所的な弾性情報を適切に得ることができる超音波診断装置を提供する。
【構成】本発明の超音波診断装置は、被検体1の内部組織に加わる圧力が変動する過程で計測された超音波断層データに基づいて、被検体1の断層部位における超音波画像を生成して表示手段16に表示し、表示手段16に表示された超音波画像上の関心部位に複数の追跡点A〜Fを設定すると、超音波画像上で追跡点の位置変化を追跡する手段と、複数の追跡点間の距離d1〜d5を計測し、距離の変化を求める手段によって、距離の変化又は距離の変化に基づく弾性情報が得られ、これに応じて追跡点間の表示態様を変更する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体の内部組織に加わる圧力が変動する過程で計測された超音波断層データに基づいて、前記被検体の断層部位における超音波画像を生成する手段と、該超音波画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記超音波画像上の関心部位に複数の追跡点を設定する手段と、前記超音波画像上で前記追跡点の位置変化を追跡する手段と、前記複数の追跡点間の距離を計測し、該距離の変化を求める手段と、該距離の変化又は該距離の変化に基づいて求めた弾性情報に応じて前記追跡点間の表示態様を変更する手段とを備えてなる超音波診断装置。 【請求項2】 前記追跡点の位置変化を追跡する手段は、前記複数の追跡点の移動先を、それぞれ前記断層部位における1次元又は2次元方向に追跡することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 【請求項3】 前記弾性情報は、前記距離の変化の変化率であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 【請求項4】 前記超音波画像は、前記超音波断層データに基づいて生成された前記被検体の断層部位における超音波断層画像又は/及び弾性画像であり、該弾性画像は、異なる時刻に計測された1対の前記超音波断層データに基づいて、前記被検体の断層部位における複数の計測点の変位を求め、該変位に基づいて生成されるものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 【請求項5】 前記内部組織は、血管であり、前記関心部位は、該血管の内壁に形成されたプラークの膜部であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の超音波診断装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、超音波診断装置に係り、具体的には、被検体の内部組織の局所的な弾性情報を指標化した画像をユーザに提供して、診断における組織の鑑別性を向上させることができる超音波診断装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の一般的な超音波診断装置は、被検体に超音波を送信し、被検体内からの反射エコー信号を受信する超音波送受信手段と、この超音波送受信手段からの反射エコー信号を用いて、運動組織を含む被検体内の超音波断層データを所定周期で繰り返して得る走査手段と、この走査手段によって得た時系列データを表示する画像表示手段を有して構成されており、被検体内の生体組織の構造を例えばBモード像として表示している。 【0003】 最近では、組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性情報は、例えば、組織の癌化や加齢による柔軟性の欠如など、疾病による組織性状を敏感に反映することが知られていることから、組織の硬さ又は軟らかさを弾性画像として表示することが行われている。 【0004】 例えば、特許文献1では、生体組織に加わる圧力が変動する過程での反射エコー信号を利用して生体組織の変位を求め、この変位及び圧力に基づいて歪みや弾性率を演算し、弾性画像を生成して表示する組織弾性イメージング法が記載されている。 【0005】 特許文献1によれば、例えば血管の診断において、その血管が正常なのかあるいは動脈硬化を起こしているのかを画像表示上で診断可能であるとされている。 【0006】 【特許文献1】特許第3268396号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、特許文献1の技術で生成される組織弾性画像は、診断情報として適切に活用できない場合がある。 【0008】 すなわち、診断対象によっては、診断対象の組織の全体が硬いか・軟らかいかの把握もさることながら、診断対象組織の局所的な部分が硬いか・軟らかいかを把握することが特に重要なファクターとなる場合がある。例えば血管内壁に堆積したプラークでは、プラークの表面の膜が破綻するとプラークが流出して抹消の血管を詰まらせる危険性があるため、プラーク自体の弾性情報のみならず、プラーク表面の膜部分の弾性情報が特に必要となる。 【0009】 しかし、特許文献1の技術では、診断対象組織の全体の弾性情報を得ることはできても、例えばプラーク表面の膜のような局所的な部分の弾性情報を適切に得ることに関しては考慮されていない。 【0010】 本発明は、被検体の内部組織の局所的な弾性情報を適切に得ることができる超音波診断装置を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記課題を解決するため、本発明の超音波診断装置は、被検体の内部組織に加わる圧力が変動する過程で計測された超音波断層データに基づいて、被検体の断層部位における超音波画像を生成する手段と、超音波画像を表示する表示手段と、表示手段に表示された超音波画像上の関心部位に複数の追跡点を設定する手段と、超音波画像上で追跡点の位置変化を追跡する手段と、複数の追跡点間の距離を計測し、距離の変化を求める手段と、距離の変化又は距離の変化に基づいて求めた弾性情報に応じて追跡点間の表示態様を変更する手段とを備えてなることを特徴とする。 【0012】 すなわち、被検体の内部組織の超音波画像を参照して、例えばプラークの表面の膜部分のような局所的な特定の関心部位に複数の追跡点を設定すると、圧力変動に伴って追跡点間の距離が変化する。この距離の変化は、追跡点間の組織等の硬さ又は軟らかさに相関する弾性情報であるので、この弾性情報に応じて、例えば色相情報を与えてカラー表示するなどして追跡点間の表示態様を変更すれば、各追跡点間の弾性情報を相対的に可視化できる。その結果、関心部位の弾性情報を適切に認識することができる。 【0013】 この場合において、追跡点の位置変化を追跡する手段は、複数の追跡点の移動先を、それぞれ断層部位における1次元又は2次元方向に追跡することが望ましい。 【0014】 これによれば、追跡点の移動先を適切に求めることができるので、例えば関心部位がプラーク表面の膜部分の場合は、膜の面方向に沿った追跡点間の距離の変化を適切に求めることができる。 【0015】 また、距離の変化に基づいて求める弾性情報は、距離の変化を変化前の追跡点間の距離で割った変化率とすることができる。これによれば、各追跡点間において、変化前の追跡点間距離が等しいとは限らないため、このように変化率に応じて追跡点間の表示態様を変更することで、関心部位の弾性情報を定量的に提供することが可能となる。 【0016】 また、超音波画像を、超音波断層データに基づいて生成された被検体の断層部位における超音波断層画像又は/及び弾性画像とすることが望ましく、この弾性画像は、異なる時刻に計測された1対の超音波断層データに基づいて、被検体の断層部位における複数の計測点の変位を求め、この変位に基づいて生成される。この場合、いわゆるBモード像のような超音波断層画像を参照して追跡点を設定し、これに関心部位における弾性情報を重ね合わせて表示することが可能である。また、被検体の断層部位における弾性画像を参照して追跡点を設定し、これに関心部位における弾性情報を重ね合わせて表示することもできる。さらに、超音波断層画像と、弾性画像と、関心部位における弾性情報とを、診断対象などに応じて適宜組み合わせて表示することにより、総合的な診断情報を提供することも可能である。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、被検体の内部組織の局所的な弾性情報を適切に得ることができる超音波診断装置を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態を、図1〜図11を用いて説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。 【0019】 図1は、本発明を適用した超音波診断装置のブロック構成図である。図1に示すように、被検体1に当接して用いられる超音波の探触子2は、被検体1との間で超音波を送信及び受信する複数の振動子が配設されて形成されており、送信手段3から供給される送波パルスにより駆動され、機械式又は電子的にビーム走査を行うようになっている。送信手段3は、探触子2を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成するとともに、送信される超音波の収束点をある深さに設定する機能を有している。そして、スイッチング回路から構成された送受分離手段4によって、超音波の送波時においては、送信手段2で生成された送波パルスを探触子2に伝えるようになっている。 【0020】 一方、超音波の受信時においては、送受分離手段4によって、探触子2が受信した被検体内から発生する反射エコー信号が受信手段5に伝えられ、受信手段5は、受信した信号を所定のゲインで増幅して超音波受波信号を生成する。整相加算手段6は、この超音波受波信号を入力し、位相制御を行って収束点に対応した超音波ビームを形成し、超音波断層データであるRF信号を生成する。 【0021】 次に、超音波断層画像の生成に関する機能の説明を行う。超音波像演算手段7は、整相加算手段6からのRF信号に対して、ゲイン補正・LOG圧縮・検波・輪郭強調・フィルタ処理等の各種信号処理を行い、超音波断層画像データを構成する。また、白黒信号情報交換手段8は、いわゆるスキャンコンバータであり、超音波像演算手段7の出力データをデジタル信号に変換するA/D変換器と、変換された複数の断層画像データを時系列に記憶するフレームメモリと、制御コントローラを含んで構成されている。そして、白黒信号情報交換手段8のフレームメモリに格納された被検体内の断層フレームデータを1画像として取得し、取得された断像フレームデータをテレビ同期で読み出すことにより、超音波断層画像が生成される。 【0022】 次に、弾性画像の生成に関する機能の説明を行う。変位量演算手段11は、整相加算手段6の出力信号であるRF信号の1対のフレームデータ間に加わった応力による組織変位量を演算する。つまり、ある時相nにおけるフレーム内の座標(X、Y)が次の時相であるn+1フレーム内のどの座標に移動したかを推定するものであり、この推定処理を、例えば、任意の大きさに設定された領域であるROI(Region of Interest)内において実行する。推定の方法としては、例えば、ブロックマッチング法などを使用している。このブロックマッチング法とは、時相nにおけるフレーム内を例えばK×L画素からなるブロックに分け、このブロック内の情報に着目し、着目しているブロックに最も近似しているブロックを次の時相であるn+1フレームから探すことで移動先を推定し、移動量を算出するものである。 【0023】 変位量演算手段11で算出されたフレームデータ間の変位量は、弾性演算手段12に入力され、歪みや弾性率に変換される。例えば、あるフレームデータ間で算出された変位を空間微分して、相対的な量である歪みΔεが算出される。また、歪みΔεを生じさせた際の応力をΔPとした場合、ΔP / Δε(=Y)を算出することによって、絶対的な物理量であるヤング率を算出することができる。 弾性情報解析手段13は、弾性演算手段12において算出された歪みや弾性率などの弾性データの質を判定する判定処理や、安定して弾性画像を表示させるための信号処理、さらには、弾性データを例えばカラー画像などユーザが弾性情報を判別可能な画像として表示させるための階調化処理などを行う。 【0024】 カラー信号情報交換手段14は、弾性情報解析手段13によって階調化処理された弾性データに応じて、例えば光の3原色、すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に変換するものである。例えば、歪みが大きい弾性データを赤色コードに変換すると同時に、歪みが小さい弾性データを青色コードに変換する。なお、赤(R)緑(G)青(B)の階調は256有し、255は大輝度で表示することであり、逆に0は全く表示されないことを意味する。また、階調の数はこれに限られず、超音波診断装置の処理能力に応じて適宜設定することができる。このようにして弾性データをカラーデータに変換して、弾性画像が生成される。 【0025】 そして、白黒信号情報交換手段7から出力される超音波断層画像とカラー信号情報交換手段14から出力される弾性画像は、切換え加算手段15を介して表示手段16に表示される。つまり、切換え加算手段15は、指令に応じて、入力される2つの超音波画像を切換え表示したり、並べて表示したり、重ねて表示する。また、操作卓17により保存命令がなされている場合は、超音波画像は保存手段18に保存される。 【0026】 表示手段16は、いわゆるモニターであり、切換え加算手段15の出力データ、被検体の情報、検査で使用している探触子の種類、周波数等を表示させるものである。また、操作卓17は、いわゆるパーソナルコンピュータにおけるキーボード等の入力手段であり、被検体の情報の入力や、各種診断モードの切換え、計測用の各種設定等を行う際に使用するものである。また、このような情報の入力等は、これに限らず、例えば表示手段16に直接触れて入力するタッチパネルなど、種々の入力デバイスを使用することも可能である。 【0027】 また、保存手段18は、いわゆるデータの記憶媒体であり、超音波診断の際、医師等の検査者によって保存が必要と判断された画像データ(静止画像や動画像)の保存を行い、過去データとの比較をして診断を行うときなど、必要に応じ読み出しを行い表示手段16に表示させるものである。 【0028】 続いて、本発明の特徴部である追跡処理手段20の構成について詳細に説明する。図2に示すように、追跡処理手段20は、追跡点位置解析手段20eと、追跡点演算手段20fと、移動量算出手段20gで構成される。 【0029】 追跡点位置解析手段20eは、保存された超音波画像上に、操作卓17にて追跡点を設定する際の座標を計測するものである。また、追跡点演算手段20fは、1連の動画データに対し、例えば時相nの超音波画像上に設定した追跡点が次時相n+1の超音波画像上の何処に移動したかを求めるものである。移動先を求める手法としては、変位量算出手段11と同様にブロックマッチング法など種々の手法を利用することができる。ここで、ブロック内の情報を探索する際には1次元及び2次元方向に探索することによって移動先を精度良く推定するものである。 【0030】 移動量算出手段20gは、追跡点演算手段20fによって推定処理された結果に基づいて、追跡点間の距離を計測すると共に、1連の動画データでの追跡点間の距離の変化を算出するものである。 【0031】 以上のように構成される超音波診断装置の動作について説明する。図3は、拍動によって拡張と収縮を周期的に行う頚動脈を超音波診断装置で撮像している様子を模式的に示す図である。図3に示すように、被検体の頚部に探触子2を接触させて撮像を行う。頚動脈は、拍動によって拡張と収縮を繰り返すので、時間経過に伴い撮像部位の組織は変位し、得られる超音波画像も図3に示すように時間経過に伴って変化することとなる。 【0032】 超音波画像は、図4に示すように、表示手段16の右側に整相加算手段6の出力データである超音波断層データに対して超音波像演算手段7、白黒信号情報交換手段8で処理された超音波断層画像が表示され、左側に変位量演算手段11〜カラー信号情報交換手段14で処理された弾性画像が表示される。なお、弾性画像描出の際には、ROI25を設定し、このROI25内に含まれた弾性情報を画像化している。この弾性画像と弾性画像用カラーマップ26に基づいてROI25内の組織の硬さ又は軟らかさを認識することができる。さらに、被検体の心拍の様子を示す生体信号27も併せて表示される。生体信号27では、波形の突起する個所が心拍における収縮末期を示しており、突起個所から次の突起個所までの区間R−R28を被検体の1心拍とみなすものである。 【0033】 また、図5に示すように、超音波断層画像及び弾性画像を構成する時系列に沿ったフレームデータ30−1〜30−Nは、操作卓17上の保存ボタン17aを押すと、データの書き込みと読み出しを制御する制御部18aによって、フレームメモリ18bに保存される。ただし、保存ボタン17aの操作に限らず、生体信号27の突起個所を検出することによって、1心拍における区間R−R28のフレームデータ30を自動的に保存することもできる。また、1心拍に限らず、複数心拍分のフレームデータ30を保存することも可能である。 【0034】 保存されたフレームデータ30は、操作卓17上の読み出しボタン17bを押すことによって、その一覧が表示され、任意のフレームデータを選択ボタン17cで選択することによって、超音波動画像を再生表示できる。 【0035】 次に、関心部位への追跡点の設定に関する説明をする。追跡点の設定は、操作卓17によって、フレームメモリ18bから選択された任意の超音波画像に対して行われる。図6上部は、追跡点の設定例について示したものであり、関心部位としての頚動脈の内壁に堆積したプラーク32の境界に沿って、言い換えればプラーク32表面の膜に沿って追跡点A〜追跡点Fまで6点の追跡点を設定している。追跡点の数はこれに限られず、複数であればよい。 【0036】 設定された各追跡点は、追跡点演算手段20fによって、それぞれ次のフレームデータにおいてどの位置に移動したのか追跡される。追跡点演算手段20fは、図7に示すように探索窓20aに対して探索領域20bがあり、1次元探索20cだけではなく、2次元探索20dを行うことで組織の横方向に対する組織変動も精度良く追跡するものである。特に、プラークの場合は血流によって、1次元方向のみならず、2次元方向にも移動するので有効である。なお、追跡処理としては、超音波画像の輝度値、或いは輝度値の変化量等を利用するものである。 【0037】 各追跡点の移動先が追跡され、各追跡点の座標を得ると、移動量算出手段20gは、各追跡点間の距離を計測すると共に、拍動による圧力変動に伴う各追跡点の移動前後の各追跡点間の距離の変化を算出する。つまり、図6上部に示すように移動前の追跡点A〜追跡点Fのそれぞれ隣り合う追跡点間の距離をd1〜d5とし、図6下部に示すように移動後の追跡点A´〜追跡点F´のそれぞれ隣り合う追跡点間の距離をd1´〜d5´とすると、各追跡点間の距離の変化Δd1〜Δd5は以下の式で求められる。 (数式1) Δdt=│dt´―dt│(t=1〜5) このΔdtは、それぞれの追跡点間における、プラーク32に加わる圧力の変動に対するプラーク膜の変化量であり、プラーク膜の硬さ又は軟らかさに相関する弾性情報である。また、ここでは、各追跡点間の移動前の距離が均一であるとは限らないため、以下の式のように、各追跡点間の距離の変化率D1〜D5を求めている。 (数式2) Dt=Δdt/dt(t=1〜5) これにより、各追跡点間の移動前の距離が均一でなかったとしても、各追跡点間の弾性情報を定量化することができる。 【0038】 そして、この各追跡点間の弾性情報が、変化率D1〜D5に応じて階調化処理された後、カラー信号情報交換手段14へ導かれる。そして、カラー信号情報交換手段14によって、各追跡点間の表示態様を、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の色相を付す、又は硬い部分を実線にして軟らかい部分を破線にするなど、ユーザが弾性情報を判別可能な画像に処理されて表示手段16に表示される。 【0039】 図8は、プラーク32の関心部位である膜の弾性情報を画像化する一例を示す図である。図8の左部は、1心拍における一連の超音波動画像を再生している様子を示しており、同図右部は連続データのうちの任意のフレームを抜粋したものである。ここでは、関心部位の弾性情報として、各追跡点間の表示を、軟らかい部分は点線で、硬い部分は実線で表示する例を示している。 【0040】 図8右部において、プラーク32の追跡点A〜追跡点Cの間は軟らかく、追跡点C〜追跡点Fの間は硬いということが示されている。これにより、検査者はプラーク左部側が破綻の危険性を含む領域として、注意すべき個所と認識することができる。 【0041】 また、図9は、本発明の超音波診断装置の表示態様の一例を示す図である。この例では、表示手段16の左部に、プラーク32にROI25を設定したプラーク32の全体の弾性画像を表示し、右部に、関心部位としてプラーク32の表面の膜に追跡点を設定し、各追跡点間の弾性情報を可視化した画像を表示している。さらに、各追跡点間の距離d1〜d5を数値として表示している。 【0042】 図9の左部の弾性画像では、ROI25内の組織の歪みや弾性率などに応じて、色相を付して表示しており、プラーク32の左半分が全体的に軟らかいものと判断することが可能となる。また、図9の右部の画像により、図8の場合と同様にプラーク32の左半分の膜が軟らかいことを認識することができる。これらの両情報により、プラーク32の左半分は、膜が軟らかく破綻しやすい上に、プラーク32の組織性状も軟らかいので、血液と共に流出して抹消血管を詰まらせる危険性が高いという判断が可能となる。 【0043】 これにより、積極的にプラークの成長を抑制させるような薬剤を投与するといったような診断・治療に結びつけることが可能となる。また、薬剤を投与した後に同一のプラークを再度診断し、前回の診断時の画像と比較することにより薬剤の効果を確認することも可能である。 【0044】 図10は、本発明の超音波診断装置の表示態様の他の例を示す図である。図10に示した例は、プラーク32の表面の膜は全体的に硬いが、プラーク内部全体の弾性分布が軟らかい場合を示している。このような症例の場合、内部の弾性分布が軟らかくても、表面が硬い繊維性のキャップで覆われているため、破綻の危険性は低く、狭窄率が高くないようであれば、経過観察などの診断に結びつく可能性を含むものである。 【0045】 また、図11は、心臓に直結し、全身に血液を送り出す根幹動脈である大動脈において本発明を適用した場合を示す図であり、動脈を短軸で輪切りにした超音波画像を示している。大動脈もプラーク32の発生が多く確認される血管であるが、大動脈に対する超音波の撮像法は、どの部位の大動脈を撮像するかによって多種存在する。その一つとして、内視鏡的なアプローチを必要とする場合もあり、本例は診断を受ける者が探触子2を飲み込んで超音波検査を受けた場合のものである。 【0046】 このように、本発明を適用するためには、被検体1の体表面に探触子2を接触させて計測する場合に限られず、例えば経直腸探触子、経食道探触子、術中用探触子、血管内探触子など、任意の超音波探触子を使用することも可能である。 【0047】 また、図12は、本発明の超音波診断装置の表示態様の他の例を示す図である。上述の表示態様の例では、表示手段16の左部に、ROI25を設定したプラーク32の全体の弾性画像を表示し、右部に関心領域としてプラーク32の表面の膜に追跡点を設定し、各追跡点間の弾性情報を可視化した画像を表示したが、図12に示すように、表示手段16は、超音波断層画像と弾性画像と各追跡点間の弾性情報を同一画像上に表示することもできる。 【0048】 具体的には、切換え加算手段15が、超音波断層画像と弾性画像と各追跡点間の弾性情報とを重ねて表示させるようにそれぞれの出力信号を加算する。切換え加算手段15は、加算された超音波断層画像と弾性画像と各追跡点間の弾性情報を表示手段16に出力することにより、表示手段16はこれらの情報を表示する。 【0049】 このように、同一画像上に弾性画像と各追跡点間の弾性情報を表示することにより、プラーク内部とプラーク表面の弾性情報が一元化される。そのため、検査者は、プラークの特性を効率的に把握することができる。 【0050】 以上、本発明により、動脈に堆積したプラーク32全体の弾性分布とプラーク32の表面の膜のような局所的な部分の弾性情報を画像化することが可能となるので、多角的な超音波診断を提供できる。 【0051】 なお、本実施形態では、診断対象を血管の内壁部に堆積するプラークとし、プラークの表面の膜を関心部位とする例について説明してきたが、これに限らず、本発明は、例えば血管そのものや、大腸、小腸、食道などの体腔内の組織に対しても適用することができる。この場合、拍動による圧力変動だけではなく、例えば、探触子による外部圧迫による圧力変動、呼吸に伴う圧力変動、体腔内に流体を流動させることによる圧力変動などを利用して同様の計測をおこなえばよい。 【0052】 また、本実施形態では、超音波断層画像及び弾性画像を取得して保存手段に保存しているが、これに限らず、診断対象の組織の特性に応じて、超音波断層画像又は弾性画像のいずれか一方のみを保存して、これに対して追跡点を設定し関心部位の局所的な弾性情報を画像化してもよい。 【0053】 また、本実施例では、設定された追跡点の圧力変動に伴う移動先を、時系列に沿って連続的に次のフレームデータから探索することを中心に説明してきた。しかし、これに限らず、例えば、1心拍のフレームデータのうち最も圧力が高い(血圧が高い)時と最も圧力が低い(血圧が低い)時のフレームデータ間で追跡点の移動先を探索するなど、診断対象の圧力変動に対する移動の速さや、フレームデータの取得レートなどを考慮して適宜設定することができる。 【0054】 また、保存手段に保存する超音波画像は1心拍分に限らず、複数心拍分の超音波画像を連続的に保存してもよい。この場合、それぞれの心拍における同圧力時の各追跡点の座標を平均化して追跡処理を行い、各追跡点間の弾性情報を画像化することで、信頼性の高い診断情報を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0055】 【図1】本発明を適用した超音波診断装置のブロック構成図である。 【図2】追跡処理手段の構成を示す図である。 【図3】拍動によって拡張と収縮を周期的に行う頚動脈を超音波診断装置で撮像している様子を模式的に示す図である。 【図4】本発明の超音波診断装置の超音波画像の表示例を示す図である。 【図5】保存手段と操作卓の構成を示す図である。 【図6】関心部位に対して設定する追跡点の例を示す図である。 【図7】追跡点演算手段の追跡点の移動先の追跡について説明する図である。 【図8】プラークの関心部位である膜の弾性情報を画像化する一例を示す図である。 【図9】本発明の超音波診断装置の表示態様の一例を示す図である。 【図10】本発明の超音波診断装置の表示態様の他の例を示す図である。 【図11】心臓に直結する根幹動脈である大動脈において本発明を適用した場合を示す図である。 【図12】本発明の超音波診断装置の表示態様の他の例を示す図である。 【符号の説明】 【0056】 1 被検体 2 探触子 3 送信手段 4 送受分離手段 5 受信手段 6 整相加算手段 7 超音波像演算手段 8 白黒信号情報交換手段 11 変位量演算手段 12 弾性演算手段 13 弾性情報解析手段 14 カラー信号情報交換手段 15 切換え加算手段 16 表示手段 17 操作卓 18 保存手段 20 追跡処理手段 32 プラーク
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| 【出願人】 |
【識別番号】000153498 【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098017 【弁理士】 【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
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| 【公開番号】 |
特開2008−49043(P2008−49043A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230738(P2006−230738) |
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