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【発明の名称】 画像測定方法及び画像測定装置
【発明者】 【氏名】坂部 知平

【要約】 【課題】広範囲な医療用途などに対して適用することが可能な、高出力かつ高輝度で平行性に優れたX線を利用した画像測定方法及び画像測定装置を提供する。

【構成】ターゲットの表面に所定のエネルギー線源からエネルギー線を照射し、被写体の大きさ以上となるような照射面積を有するように前記ターゲットからX線を発生させ、次いで、前記X線を分光器に入射させ、前記X線から波長及び波長幅を選択するとともに、平行光となった平行X線を生成する。次いで、前記平行X線を前記被写体に対して照射し、前記被写体より得たX線画像を検知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの表面に所定のエネルギー線源からエネルギー線を照射し、被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するように前記ターゲットからX線を発生させる工程と、
前記X線を分光器に入射させ、前記X線から波長及び波長幅を選択するとともに、平行光となった平行X線を生成する工程と、
前記平行X線を前記被写体に対して照射し、前記被写体より得た2次元X線画像を検知する工程と、
を具えることを特徴とする、画像測定方法。
【請求項2】
前記分光器は結晶板を含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像測定方法。
【請求項3】
前記結晶板は、シリコン、リチウムフルオライド(LiF)、グラファイト、ゲルマニウム及び水晶からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料からなる結晶板であることを特徴とする、請求項2に記載の画像測定方法。
【請求項4】
前記結晶板を2以上組み合わせて用いることを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像測定方法。
【請求項5】
前記結晶板の少なくとも一つは、X線表面反射型結晶板として機能することを特徴とする、請求項4に記載の画像測定方法。
【請求項6】
前記結晶板の少なくとも一つは、X線透過型(ラウエ型)結晶板として機能することを特徴とする、請求項4又は5に記載の画像測定方法。
【請求項7】
前記結晶板は、シリコン、ゲルマニウム及びLiFの立方晶からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料からなり、前記結晶板内において互いに直交して存在する少なくとも2つの結晶面での反射を利用して前記平行X線を得ることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項8】
前記結晶板はX線用多層膜反射板を含むことを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項9】
前記結晶板は非対称カット結晶板を含むことを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項10】
前記X線を前記分光器に入射させる以前に、不要な長波長成分を除去するための吸収板を透過させることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項11】
前記ターゲットの表面に被膜を形成し、前記ターゲット表面からの蒸発速度を低減する工程を具えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項12】
前記被膜は、BN、カーボン膜、グラファイト、ダイヤモンド、Beからなる群から選ばれる材料から構成することを特徴とする、請求項11に記載の画像測定方法。
【請求項13】
前記ターゲットは固定式であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項14】
前記ターゲットは回転式対陰極を構成し、前記エネルギー線は前記回転式対陰極の回転による遠心力に抗して存在する部分に照射することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項15】
前記エネルギー線は、ターゲット照射部の少なくとも一部を融解させるような強度で前記ターゲットに照射することを特徴とする、請求項14に記載の画像測定方法。
【請求項16】
前記ターゲットは複数のターゲットであり、これら複数のターゲットに対してエネルギー線を照射し、前記被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するような複数のX線を発生させ、これら複数のX線を前記被写体に対して同時又は順次に照射し、複数のX線画像を得るとともに検知することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項17】
前記ターゲットは単一のターゲットであり、この単一のターゲットを移動させるとともに、前記ターゲットの移動に同期させてエネルギー線を照射し、前記被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するようなX線を順次に発生させるとともに前記被写体に対して照射し、複数のX線画像を得るとともに検知することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の画像測定方法。
【請求項18】
エネルギー線照射によりX線を発生させるためのターゲットと、
前記X線が被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するように前記エネルギー線を生成し、このエネルギー線を前記ターゲットに対して照射するためのエネルギー線源と、
前記X線を入射させ、前記X線から波長及び波長幅を選択するとともに、平行光となった平行X線を生成するための分光器と、
前記平行X線を前記被写体に照射して得たX線画像を検知するための検知器と、
を具えることを特徴とする、画像測定装置。
【請求項19】
前記分光器は結晶板を含むことを特徴とする、請求項18に記載の画像測定装置。
【請求項20】
前記結晶板は、シリコン、リチウムフルオライド(LiF)、グラファイト、ゲルマニウム及び水晶からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料からなる結晶板であることを特徴とする、請求項19に記載の画像測定装置。
【請求項21】
前記結晶板を2以上組み合わせて用いることを特徴とする、請求項19又は20に記載の画像測定装置。
【請求項22】
前記結晶板の少なくとも一つは、X線表面反射型結晶板として機能することを特徴とする、請求項21に記載の画像測定装置。
【請求項23】
前記結晶板の少なくとも一つは、X線透過型(ラウエ型)結晶板として機能することを特徴とする、請求項21又は22に記載の画像測定装置。
【請求項24】
前記結晶板は、シリコン、ゲルマニウム及びLiFの立方晶からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料からなり、前記結晶板内において互いに直交して存在する少なくとも2つの結晶面での反射を利用して前記平行X線を得ることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項25】
前記結晶板はX線用多層膜反射板を含むことを特徴とする、請求項18〜23のいずれ
か一に記載の画像測定装置。
【請求項26】
前記結晶板は非対称カット結晶板を含むことを特徴とする、請求項19〜25のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項27】
前記X線を前記分光器に入射させる以前に、不要な長波長成分を除去するための吸収板を具えることを特徴とする、請求項18〜25のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項28】
前記ターゲットの表面からの蒸発速度を低減するために形成された被膜を具えることを特徴とする、請求項18〜26のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項29】
前記被膜は、BN、カーボン膜、グラファイト、ダイヤモンド、Beからなる群から選ばれる材料から構成することを特徴とする、請求項28に記載の画像測定装置。
【請求項30】
前記ターゲットは固定式であることを特徴とする、請求項18〜29のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項31】
前記ターゲットは回転式対陰極を構成し、前記エネルギー線は前記回転式対陰極の回転による遠心力に抗して存在する部分に照射するように構成したことを特徴とする、請求項18〜30のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項32】
前記エネルギー線は、ターゲット照射部の少なくとも一部を融解させるような強度で前記ターゲットに照射するように構成したことを特徴とする、請求項31に記載の画像測定装置。
【請求項33】
前記ターゲットは複数のターゲットであり、前記検知器は複数の検知器であって、前記複数のターゲットに対してエネルギー線を照射し、前記被写体の大きさ以上の照射面積を有するような複数のX線を発生させ、これら複数のX線を前記被写体に対して同時又は順次に照射し、複数のX線画像を得るとともに前記複数の検知器のそれぞれで検知するように構成したことを特徴とする、請求項18〜32のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項34】
前記ターゲットは単一のターゲットであり、この単一のターゲットを移動させるとともに、前記ターゲットの移動に同期させてエネルギー線を照射し、前記被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するようなX線を順次に発生させるとともに前記被写体に対して照射し、複数のX線画像を得るとともに検知するように構成したことを特徴とする、請求項18〜32のいずれか一に記載の画像測定装置。
【請求項35】
前記平行X線は医療用として使用することを特徴とする、請求項18〜34のいずれか一に記載の画像測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像測定方法及び画像測定装置に関し、特に医療用として好適に用いることが可能な画像測定方法及び画像測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用のX線撮影においては、所定のX線管球が用いられ、このX線管球から発せられるX線を被写体に照射するとともに、前記被写体を透過したX線をフィルムなどの所定の検出部において撮像あるいは検出し、その撮像あるいは検出した映像を解析することにより医療用に供していた。
【0003】
例えば、従来のX線管においては、実効焦点1mm×1mmから出たX線が広がって40cm×40cmまで拡大して被写体に照射されるとすると、そのX線の輝度は(1mm×1mm)/(400mm×400mm)の割合だけ弱くなる。すなわち、被写体に照射されるX線の輝度は、出射直後の輝度に比較して少なくとも6.25×10−6まで減衰してしまう。
【0004】
また、従来のX線管を医療用などに用いる場合においては、不要な成分をフィルターによりカットして使用する場合が大部分であった。しかし、この方法では目的とする波長成分を有効に取り出すには不十分であった。
【0005】
一方、医療用、たとえば冠状動脈のように動いている被写体の3次元CTを高分解能で撮像するためには、平行性の良い高出力かつ高輝度X線を短時間露光する必要がある。しかしながら、従来のX線管球においては、被写体に照射される段階でのX線輝度は格段に減少してしまうとともに、前記X線の平行性も十分なものを得ることができないでいた。かかる観点より、従来のX線管球を特に医療用として使用するには、その使用態様が限定されてしまい、十分広範囲な医療に対して適用することができないでいた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、広範囲な医療用途などに対して適用することが可能な、高出力かつ高輝度で平行性に優れたX線を利用した画像測定方法及び画像測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、
ターゲットの表面に所定のエネルギー線源からエネルギー線を照射し、被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するように前記ターゲットからX線を発生させる工程と、
前記X線を分光器に入射させ、前記X線から波長及び波長幅を選択するとともに、平行光となった平行X線を生成する工程と、
前記平行X線を前記被写体に対して照射し、前記被写体より得たX線画像を検知する工程と、
を具えることを特徴とする、画像測定方法に関する。
【0008】
また、本発明は、
エネルギー線照射によりX線を発生させるためのターゲットと、
前記X線が被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有するように前記エネルギー線を生成し、このエネルギー線を前記ターゲットに対して照射するためのエネルギー線源と、
前記X線を入射させ、前記X線から波長及び波長幅を選択するとともに、平行光となった平行X線を生成するための分光器と、
前記平行X線を前記被写体に照射して得たX線画像を検知するための検知器と、
を具えることを特徴とする、画像測定装置に関する。
【0009】
本発明においては、従来のようなX線管球に代えてX線発生のためのターゲットを用い、このターゲットに対してエネルギー線を照射するようにしている。したがって、前記ターゲットに対する前記エネルギー線の照射強度及び照射面積を適宜制御することにより、従来のX線管球では実現できなかったような高出力かつ高輝度であって、被写体の大きさよりも大きな照射面積を有するようなX線を生成することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記ターゲットから発生したX線を分光器に入射させ、前記X線から平行であって所定の波長範囲にあるX線成分のみを取り出すようにしている。したがって、前記X線成分を被写体に対して短時間照射するのみで、前記被写体のX線画像を高精度に得ることができる。この結果、特に前記被写体が動体であるような場合でも、X線画像を得るためには前記X線を短時間露光すれば足りるので、前記動体の静止画像も高精度に得ることができる。
【0011】
実際、従来の3次元CT装置では測定データをもとに計算機で3次元画像を得る。この時、画像データが全て同じ倍率(実際には倍率1)になるようにするため、3次元CT装置などに用いられているX線管などでは、スリットを通過させることによって平行X線を得るものであるので、前記平行X線においては、本来的に数ミリメータ以下の断面積まで絞り込んだX線ビームとして使用する。したがって、本来的に小さいX線輝度がさらにその効率を下げてしまう結果となる。
【0012】
例えば上述したように、前記平行X線の効率は1mm×1mmのコリメーターを通さないで40cm×40cmの透過写真を撮る場合に比較して1/(400×400)=6.25×10-6にまで減少してしまう。また、前記平行X線の断面積が極めて限定されてしまうため及びデジタルデータから3次元画像を計算により求めるため、前記平行X線を前記被写体に対してスキャンさせる必要が生じる。この結果、前記被写体全体のX線画像を得ようとすると、数十秒オーダの測定時間を要することになる。
【0013】
一方、スキャンの高速化に伴い現状では1秒間に3回転する装置も出来ており、回転中心から200mmの位地で1mm×1mmの面積をX線ビームが走査する時間は僅か0.26ミリ秒にすぎない。即ち画素当たりミリ秒以下の露光のため、露光不足になりやすく、良質な画像、即ち低ノイズで解像度が良い3次元画像が得にくい。
【0014】
結果として、従来の方法では、被写体の大きさや形状によって、測定時間が長時間化し、高解像度のX線画像が得られないなどの問題が生じる。
【0015】
これに対して本発明では、被写体の全体を覆うような大きさの照射面積を有する、高強度の平行X線を得ることができるので、前記被写体のX線画像を得るに際して、前記平行X線を前記被写体に対して一括して照射すれば、スキャンなどを行うことなく目的とするX線画像を得ることができる。したがって、前記被写体のX線画像を極短時間、実際にはミリ秒オーダで得ることができる。
【0016】
さらに、本発明で得る平行X線はそれ自体が被写体の大きさ以上の照射面積を有するので、1ショットで2次元透視画像を得ることができ、しかも従来のX線管のように距離に依存して拡大率が変化するようなことがないので、前記被写体に対して高解像度のX線画像を得ることができるようになる。
【0017】
結果として、本発明の方法及び装置では、被写体の大きさや形状に依存することなく、前記被写体に対し、短時間の測定で、高解像度のX線画像を得ることができる。
【0018】
なお、前記分光器は結晶板を含むようにすることができる。この場合、前記結晶板を2以上組み合わせて用い、前記結晶板の内少なくとも一つは、X線表面反射型結晶板として機能するようにすることができる。また、前記結晶板の内少なくとも一つは、X線透過型結晶板として機能するようにすることができる。これによって、目的とする平行X線を簡易に得ることができる。さらに、これら結晶板の組み合わせ方法を適宜に設定することにより、平行のみならず単色のX線を得ることができる。
【0019】
さらに、前記結晶板をシリコン、ゲルマニウム、リチウムフルオライド(LiF)などの立方晶から構成し、前記結晶板内において互いに直交して存在する少なくとも2つの結晶面での反射を利用して前記平行X線を得るようにすることができる。例えば、1枚の透過型結晶板が結晶内に直交して存在する面指数、(200)面及び(020)面の両方で反射させることによって、非平行のX線を平行化し、平行X線を得るようにすることができる。したがって、単一の結晶板に2枚分の機能を付加せしめることができるので、使用する結晶板の数を減少させた状態で目的とする平行X線を取り出すことができ、さらに次の結晶板で単色X線を得るようにすることができる。
【0020】
また、上述した複数の結晶板の総てをX線表面反射型結晶板とすることもできるし、その総てをX線透過型結晶板とすることもできる。さらに、これらの結晶板を組み合わせて用いることができる。
【0021】
前記結晶板は、例えば本発明のように断面積の大きいX線を用いる場合は、上述したシリコン、ゲルマニウム、リチウムフルオライド(LiF)に加えて、グラファイト、水晶などから構成することもできる。これによって、ターゲットから発生したX線を入射させることによって、上述したような平行X線を簡易に形成することができる。
【0022】
さらに、上記結晶板はX線用多層膜反射板を含むようにすることができる。このような多層膜反射板は、例えば本発明のような高輝度のX線を用いる場合は、2種以上の物質を周期的に層状に重ねた膜として構成することができ、X線の回折現象を利用して単色或いは一定幅のX線を取り出しうる多層膜を意味する。この場合、前記多層膜反射板の周期により取り出される波長と反射角の関係が決まる。また、層の数や周期を微少量変化させることによって反射X線幅を変えることが出来る。本態様によれば、ターゲットから発生したX線を入射させることによって、上述したような平行X線を簡易に形成することができる。
【0023】
また、以下に詳述するように、ターゲットは固定型とすることもできるし、回転式対陰極とすることもできる。後者の場合、エネルギー線を前記ターゲットに対し、ターゲット照射部の少なくとも一部を融解させるような強度で照射することができる。したがって、より高強度のX線、すなわち平行X線を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、広範囲な医療用途などに対して適用することが可能な、高出力かつ高輝度で平行性に優れたX線を利用した画像測定方法及び画像測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の一例を示す構成図である。図1から明らかなように、本例においては、前記平行X線発生装置は、X線発生装置本体10と、分光器30とから構成されている。なお、X線発生装置本体10は、大面積の白色X線が生成されるように構成された、平板状の固定式ターゲットを用いた場合のX線発生装置である。
【0027】
図1に示すX線発生装置本体10においては、真空容器11内に、対陰極12が配置されているとともに、これと対向するようにして陰極13が設けられている。陰極13はウエーネルト14の内側にセラミックなどの絶縁体で固定され、通常陰極とウエーネルトには電位差が与えられ、ウエーネルトが電子線用のレンズとして機能している。
【0028】
対陰極12と陰極13との間にはアパチャーグリッド15及び陽極16が設けられている。アパチャーグリッド15は陰極に対し条件により異なるが概ね±7kV変化でき、負電位の時は電子を遮断し、正電位の時は陰極の空間電荷を中和し、多量の電子を効果的に引き出すのに用いられる。陽極16は陰極13から発せられた電子線20を加速するため及びその後の電位差をなくし高温になったターゲットの影響を減らすために設けられているものであって、本例においては必要に応じて省略することができる。また、真空容器11にはX線取り出し窓17が設けられており、対陰極12から発生したX線21を外部に取り出させるように構成されている。
【0029】
なお、通常グリッドは効率を良くするため網目状のものが多いが、それでは電子線束に編み目状の濃淡が出来るため、敢えて円筒形のグリッドを用いる、即ち電子線20は円筒の中を通るため陰が出来ない。このようなグリッドをアパチュアーグリッドという。
【0030】
なお、本例においては、対陰極12及び真空容器11即ちX線取り出し窓17以外を全て絶縁性オイルで冷却するようにしている。しかしながら、対陰極が図1のように直接外部に出ていると大気圧のため、ターゲットに歪みが生じる場合があるその様な場合、ターゲット12を真空内に固定して大気圧が掛からないようにして対陰極12にパイプを取り付け、所定の冷媒を循環させて冷却するようにすることもできる。
【0031】
また、真空容器11の外方の、X線取り出し窓17の近傍には、分光器30が設けられている。分光器30は、第1の結晶板31及び第2の結晶板32が所定の角度をなすようにして配置されている。
【0032】
図1に示す装置においては、陰極14から発生した電子線20をグリッド15で電流を制御し、陽極16で加速して対陰極12の表面に照射し、所定の面積(大面積)を有する(白色かつ非平行)X線21を生成させる。次いで、X線21をX線取り出し窓17から外部に取り出し、第1の結晶板31で反射させることによって紙面に平行な面方向に平行なX線41とする。
【0033】
具体的には、X線21が第1の結晶板31に入射することによって、X線21は上述したブラッグ回折を受け、平行X線40及び41となって反射される。第1結晶板と第2結晶板が同じ素材で且つ同じ反射面を使用している場合、第一結晶で反射された平行X線41は、第1の結晶板31の入射角度及び反射角度αと等しい角度で第2の結晶板32に入射するので、第2の結晶板32でも同様に反射し、その後は直進して被写体に届くようになる。一方、平行線41と波長の異なる平行X線40は、第1の結晶板31において入射角度及び反射角度がβとなるのに対し、第2の結晶板32における入射角度は異なる角度γとなる。したがって、第2の結晶板32で平行X線40は反射しなくなる。
【0034】
結果として、図1に示す分光器30では平行X線41のみが生成されるようになる。このことは、その波長に於けるその他の平行X線は生成されないことを意味し、したがって、図1に示す分光器30では紙面に平行なX線に限ると単色の平行X線41のみが生成されることになる。
【0035】
なお、図1に関する例では、第1の結晶板31及び第2の結晶板32の2つの結晶板を用い、いずれの結晶板においてもX線の反射を行わせ、X線表面反射型結晶板として機能させている。これらの結晶板は、シリコン、リチウムフルオライド(LiF)、グラファイト、ゲルマニウム及び水晶からなる群より選ばれる材料から構成することができる。
【0036】
図2は、本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の他の例を示す構成図である。図2に示す平行X線発生装置においては、図1と同様のX線発生装置本体10を用い、分光器の構成のみを替えている。
【0037】
図1に示すX線発生装置では、分光器30は2枚の反射型結晶板31及び32によって構成されていたが、本例のX線発生装置では、分光器50は2枚のX線透過型(ラウエ型)結晶板51及び53と、1枚のX線表面反射型結晶板52とから構成されている。図2に示すように、これらの結晶板は、X線発生装置本体10から第1の結晶板51、第2の結晶板52及び第3の結晶板53の順に配列されている。
【0038】
なお、第2の結晶板52は、反射面(主面)が紙面と略平行となっており、X線の反射は紙面の手前側に向かって行われることになる。また、第1の結晶板51及び第3の結晶板53の回折面(主面)は、紙面と略垂直となっている。したがって、第2の結晶板52の反射面(主面)と、第1の結晶板51及び第3の結晶板53の回折面(主面)とは互いに略垂直の関係となる。
【0039】
図2に示す例では、図1に示す例と同様にして、対陰極12から発生した所定の面積(大面積)を有する(白色かつ非平行)X線21を、X線取り出し窓17を介して外部に取り出した後、第1の結晶板51に対して角度δで入射させる。この際、X線21はブラックの回折式2dsinδ= nλに従って回折し、第1の結晶板51内を透過する。この際、特に明示していないが、異なる波長λ’のX線が角度δ’で入射した際に上記ブラックの回折式を満足すれば、同じく第1の結晶板51を透過することができる。したがって、第1の結晶板51を透過したのみでは、X線21は未だ白色かつ非平行なX線のままである。
【0040】
なお、X線21が大面積X線として生成されているので、波長λのX線は紙面に略平行な面に沿った平行成分を有するようになるが、その他の非平行成分も残存する。また、波長λ’のX線は波長λのX線とは異なる方向に回折するので、これらは互いに平行とはならない。
【0041】
次いで、第1の結晶板51を透過したX線21は第2の結晶板52に入射し、紙面手前側に反射されるようになる。この段階で波長毎に平行なX線となる。そして、このようにして得た反射光を第3の結晶板53に対して角度δで入射するようにすることによって、前記反射光の内、第3の結晶板53に対してブラッグの回折式を満足した波長のみ、平行X線61として取り出される。すなわち、断面積の大きな単色の平行X線61が生成されるようになる。
【0042】
なお、平行X線は、上述した要件を満足しさえすれば、第2結晶板52で反射された段階で波長λ及びλ’のX線、すなわち波長の異なるX線毎に平行X線として生成することができる。即ち、第3結晶板を変化するだけで任意の波長の平行X線を選び出すことが出来る。ただし、大きな波長変化に対しては、出射X線の断面積が狭くなることがある。その場合には第1結晶、第2結晶共に入射角を調整することにより上記断面積を元に戻すことが出来る。
【0043】
また、本例においては、第1の結晶板51及び第3の結晶板53は、シリコン、ゲルマニウム及びリチウムフルオライド(LiF)などの等軸晶系の結晶板から構成することができるが、その他の材料からなる結晶板を用いることもできる。
【0044】
図3は、本発明の画像測定装置における平行X線発生装置のその他の例を示す構成図である。図3に示す平行X線発生装置においては、図1と同様のX線発生装置本体10を用い、分光器の構成のみを代えている。なお、本例では、特徴を明確化するために、分光器の構成のみを示すようにしている。
【0045】
図1に示すX線発生装置では、分光器30は2枚の反射型結晶板31及び32によって構成されていたが、本例のX線発生装置では、分光器70は3枚のX線表面反射型結晶板71、72及び73から構成されている。第1の結晶板71は平面型の結晶板であるが、第2及び第3の結晶板は非対称カット結晶板である。非対称カット結晶板とは、図から明らかなように、結晶の外形面としての反射表面とX線を反射する反射面が平行ではなく、傾斜した結晶表面を有するものである。これによって、生成するX線の断面積を変更でき、前記X線の断面積を拡大したり、縮小したりすることができる。
【0046】
なお、本例では、第2の結晶板72及び第3の結晶板73は、結晶の外形面としての反射表面とX線を反射する反射面を約4度の角度で傾斜させている。また、第1の結晶板71の反射面と第2の結晶板72の反射面とは互いに直交するようにして配置されており、第1の結晶板71の反射面と第3の結晶板73の反射面とは、図1の第1結晶板31と第2結晶板32の関係と同じように配置されている。
【0047】
本例に示す分光器70では、X線発生装置本体10から生成したX線21は第1の結晶板71で反射された後、第2の結晶板72に入射し、横方向が拡大された状態で反射される。その後、反射X線は第3の結晶板73に入射し、縦方向が拡大された状態で反射される。
【0048】
このとき、第1の結晶板71の反射面と第3の結晶板73の反射面とは、上記図1に関する例と同様に、所定の角度で入射したX線のみがブラッグ回折条件を満足し、単色の平行X線61が得られるようになる。
【0049】
したがって、本例においては、X線発生装置本体10から生成したX線に比し、断面積が拡大された単色の平行X線を得ることができる。
【0050】
図4は、本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の他の例を示す構成図であり、図5は図4の一部拡大図である。なお、本例において、分光器は上述した図1〜3と同じ構成のものを用いることができるので、図4及び5においては、平行X線発生装置の内、X線発生装置の構造のみを示している。
【0051】
図4及び5に示すX線発生装置においては、回転式対陰極81が収納される対陰極室82と、電子線源83が収納される電子線源室84と、回転式対陰極81を回転駆動する駆動モータ85が設けられた回転駆動部86とが、互いに隣接するとともに気密構造部材82a、84a及び86aによって隔離されて形成されている。また、対陰極室82と電子線源室84とを仕切る隔壁部82bには、電子線源83から射出される電子線100を通過させるに必要な大きさの貫通孔82cが設けられている。さらに、対陰極室82及び電子線源室84の各々には図示しない真空排気装置が接続される真空排気□82d及び84dが設けられている。
【0052】
なお、貫通穴82cが加速電極(陽極)としての作用を担うため、それ以降の電子線は電場勾配の無い空間を通る。従って、ターゲット91aが融点以上に加熱されても放電の起こる危険性は激減する。
【0053】
なお、図においては、電子線100は線状に描かれているが、電子線源83としては、広照射面積の2極管式又は3極管式などを用いることができ、これらから発せられる電子線100は比較的広い照射面積を有する。したがって、電子線100は実際には所定の幅を有するものであるが、ここでは簡略化して線状に記載しているものである。したがって、貫通孔82cもこのような電子線100を通過させるように、所定の大きさを有していることが必要となる。
【0054】
回転式対陰極81は、従来式医療用バルブの様に放射熱伝達により放熱する簡易型ではこの部分が高熱となるためMo(モリブデン)やW(タングステン)等が用いられるが、図4では放熱効率の良い冷媒による方式を例に取っている。この場合はこの部分が高温になることはないのでステンレスなどからなる筒状部91と、この筒状部91の筒の一方の開口部を塞ぐように形成された円板状部92と、筒状部91及び円板状部92の共通の中心軸をその中心軸とする回転軸部93とが連続して一体に形成され、かつ内部は冷却水を流すことができるように空洞に形成されており、筒状部91の筒の内壁表面91aを電子線照射部とするものである。
【0055】
電子線照射部の金属は目的により選ばれる、医療用として多く用いられる金属はMo(モリブデン)やW(タングステン)である。
【0056】
回転対陰極81の回転軸部93は、回転駆動部86内に設けられた1対の軸受け部材93a、93bによって回転自在に支持されている。また、回転軸部93の外周部には上記駆動モータ85の回転子85aが取付けられ、この回転子85aを回転駆動する固定子85bが上記回転駆動部86内において気密構造部材86aに取付けられている。
【0057】
回転軸部93の円板状部92寄りの根元部には、回転軸部93と気密構造部材86aとの間を気密に保持して対陰極室82の真空を維持する回転軸シール部材93cが設けられている。
【0058】
さらに、回転対陰極81の内部には、電子線照射部91aの内壁面に冷却水を流通させるための固定隔壁部材94が挿入設定されている。この固定隔壁部材94は、回転軸部93の内部においては筒状をなしており、円板状部92に至ってその筒の端部を円板状に拡げ、筒状部91の内部の右端部内壁の手前で延長されている。
【0059】
すなわち、この固定隔壁94は、回転式対陰極81の内部の空洞部分をいわば二重管構造に仕切っている。この二重管の外側管部94aは冷却水の導入口96に連通されている。なお、冷却水の導入口96から導入された冷却水は軸受け部材93bや駆動モータ85が設けられた収納スペース内に洩れ出ないようにしつつ二重管の外側管部94a内に導入されるようになっている。
【0060】
したがって、冷却水導入口96から導入された冷却水は、二重管の外側管部94aを進行し、上記筒状部91の内部の右端部内壁で折り返して二重管の内側管部94bに進行して電子線照射部91aの内壁面を冷却した後、内側管部94b内をさらに進行して冷却水の排出□97を通じて外部に排出される。
【0061】
回転式対陰極81の電子線照射部91aの近傍の気密構造部材82aには、電子線照射部91aに電子線100が照射されたときに発生するX線110を外部に取り出すためのX線窓101が形成されている。このX線窓101にはべリリウム膜、アルミニウム膜、等のX線透過性の材料からなるX線透過膜102が形成されており、対陰極室82の真空を維持しながらX線を取り出せるようになっている。
【0062】
取り出されたX線110は、上述したような分光器30,50又は70などを経て平行化され、単色化される。
【0063】
次に、図4及び5に示すX線発生装置を用いたX線発生方法について説明する。上述の構成において、冷却水導入口96から冷却水を導入し、騒動モータ85によって回転式対陰極81を高速回転させ、電子線源83から回転式対陰極81の電子線照射部91aに電子線100を照射し、X線110を発生させる。この際、電子線100の強度は電子線照射部91aの少なくとも一部(表面から数μm)あるいは可成りの部分(表面から数百μm)が融解するような強度とする。但し、回転式対陰極81が貫通しない程度とする必要がある。
【0064】
電子線照射部91aの少なくとも一部が融解するような強度の電子線100を照射することにより、回転式対陰極81の電子線照射部91aから高輝度のX線を発生させることができるようになる。
【0065】
また、従来の方式では熱応力により電子線照射部に凹凸が出来、是にX線が吸収されX線の取り出し効率が下がるため、電子照射部の温度をあまり上げることは出来なかったが、電子線照射部91aの表面から数十〜数百μm融解するような強度の電子線100を照射することにより、電子線照射部91aが回転式対陰極81の回転に伴って逐次融解し、是に強力な遠心力(5,000G〜10,000G)が作用して逐次平坦化処理がなされることになり、電子線照射部位91aの表面は電子線100照射中において常に平坦な状態を保持するようになる。したがって、X線発生部位である91aの荒れに起因したX線の吸収などが生じることがない。この結果、高輝度のX線110を長時間安定的に生成することができるようになる。
【0066】
なお、本例においては、電子線照射部91aの融解に伴って、その表面荒れを表面平均粗さで1μm以下、さらには100nm以下にまですることができる。すなわち、電子線照射部91aの表面を長時間に亘って極めて平坦に維持することができる。一方、従来の方法では、例えば回転式対陰極の表面荒れは表面平均粗さで2〜10μm程度である。したがって、本発明では、このようにX線発生部位91aの表面荒れの相違に基づいて、高輝度のX線を安定的に生成することができることが分かる。
【0067】
また、本例では、電子線照射部91aは回転式対陰極81の筒状部91の内壁面に設定しているので、この場合、筒状部91の前記内壁面において融解が生じることになる。したがって、電子線照射部91aは回転式対陰極81の回転に伴う遠心力に抗して存在するようになり、外方への飛散を効果的に抑制することができる。
【0068】
なお、本例においては、回転式対陰極81の筒状部91に対して特に変形加工を加えることなく、すなわち、筒状部91の側壁が回転軸線(中心軸)に平行となる状態のままで、前記内壁面を電子線照射部91aとしている。しかしながら、電子線照射部91aの表面をその断面の表面輪郭線が回転軸線に対して、コンマ数度ないし十数度傾斜するようにすることもできる。
【0069】
具体的には、筒状部91の前記側壁を前記回転軸線に向けて内側にコンマ数度ないし数十度の角度で傾斜するようにすることができる。この場合、電子線照射部91aは筒状部91の内壁面上において遠心力に抗してより安定的に存在することができるようになる。したがって、電子線照射部91aの融解による外方への飛散をさらに効果的に抑制することができるようになる。
【0070】
一方、筒状部91の前記側壁を前記中心軸から外方へ向けて傾斜させるようにすることもできる。この場合、電子線照射部91aの外方への飛散を抑制した状態で、回転式対陰極81から発生したX線の取り出しを容易にすることができる。
【0071】
さらに、電子線照射部91aの部分を断面がV字溝状又はU字構状に形成すれば、電子照射部91aの融解による外方への飛散を効果的に防止できる。この場合には、V字状又はU字状の溝巾やその傾斜角度もしくは溝深さ等は、X線取り出しが可能な寸法にすることは勿論である。さらには、上記溝形状を、前記表面部分が融解して液状になった場合に遠心力の作用によって形成される液状部の表面形状と同一の表面形状に予め形成しておけば、電子線照射部91aの電子線照射による表面変形を軽減することが可能になる。
【0072】
また、電子線照射部91aの部分だけを、発生させるX線の種類で決まるターゲット物質で構成し、その周囲をより高融点の物質及び/又は熱伝導度のより高い物質で構成すれば、回転式対陰極81全体の冷却効率の向上が図れるとともに、回転式対陰極81全体の変形を防止することができるようになり、高輝度のX線を長時間安定的に発生させるようにすることができる。
【0073】
さらに、回転対陰極81、特に電子線が照射される筒状部91aをターゲット材と、このターゲット材の裏面に設けた高融点及び/又は高熱伝導度の物質との2重構造とし、電子線100を前記ターゲット材に照射してX線110を発生させるとともに、前記物質の裏面側に前記ターゲット材に対する冷媒を流すように構成することによって、前記物質の高融点の効果による高耐熱性の効果及び/又は高熱伝導性の効果による高冷却性の効果とによって、回転対陰極81の筒状部91が前記電子線照射によって貫通するのを抑制し、前記冷媒の漏洩を効果的に抑制することができるようになる。
【0074】
なお、前記冷媒としては、冷却水、不凍液や冷却オイルなどの液体状のものを用いることができる。
【0075】
また、本発明においては、電子線照射部91aの表面から例えば数ミクロン〜数百μmの深さを融解させるようにしているので、対陰極室82内において、電子線照射部91aを構成する金属の蒸気圧が上昇し、X線透過膜102が汚染される場合がある。これを防止するために、対陰極室82内のX線透過膜102の前面(真空内)に交換可能なX線透過性の保護膜を設けることが望ましい。この保護膜としては、例えば、反跳電子に耐えられるNi膜、BN膜、Al膜、マイラー膜等の長尺状の保護膜をロールに巻いた供給ロールと、この供給ロールの保護膜を巻き取る巻取ロールとをX線窓101の内側に設け、供給ロールと巻取ロールとの間に張られた保護膜がX線透過膜102の前面に配置されるようにすればよい。なお、前記保護膜の厚さは、前記反跳電子のエネルギーやX線の吸収などを考慮して適宜に設定する。
【0076】
なお、上述したいずれの具体例においても、エネルギー線として電子線を用いているが、その他のエネルギー線、例えばレーザ光線やイオンなどのエネルギー線を適宜に用いるようにすることができる。
【0077】
また、ターゲットの表面からの蒸発速度を低減するために、例えば前記ターゲット表面に被膜を設けるようにすることもできる。このような被膜としては、電子線の吸収が少ない、即ち原子番号の小さな物質で、高融点且つターゲット金属に溶解しない物質から構成することが好ましい。
【0078】
具体的には、前記被膜は前記ターゲット表面に例えば蒸着などの方法で形成する。なお、前記被膜は、BN、カーボン膜、グラファイト、ダイヤモンド、Beからなる群から選ばれる材料から構成することができる。この皮膜は強力な電子線及びターゲット金属との膨張率の差等により容易にひびが入るが、強力な遠心力によりターゲット金属に押しつけられるため、容易には系外に飛び散ることはなく、皮膜としての効果を長時間持続させることが出来る。
【0079】
次に、本発明の画像測定装置について説明する。図6は、本発明の画像測定装置を、被写体に対して配置した場合の概略構成を示す平面図である。本例では、被写体Sの周囲において、4組の画像測定装置を配置した場合について示している。
【0080】
図6において、参照数字210,220,230及び240は、それぞれ画像測定装置を示しており、参照数字211、221、231及び241は、X線発生装置及び分光器を含む平行X線発生装置であって、上記図1〜5に示したような構成を採っている。また、参照数字212,222,232,及び242は、上記各画像測定装置における、被写体SからのX線画像を検知するための検知器である。
【0081】
図6から明らかなように、各画像測定装置において、各平行X線発生装置及びそれに相当する検知器は、前記平行X線発生装置から生成及び発射されたX線が、被写体Sに照射されてそのX線画像を取得した後、そのX線画像を検知すべく、互いに対向するようにして配置する。
【0082】
すなわち、画像測定装置210においては、平行X線発生装置211から発せられた平行X線は被写体Sに照射され、それによって得られたX線画像が検知器212に入射するように互いに対向して配置されている。また、その他の画像測定装置220、230及び240においても、平行X線発生装置221,231及び241から発せられた平行X線が被写体Sに照射され、それによって得られたX線画像が検知器222、232及び242に入射するように互いに対向して配置されている。
【0083】
図6に示す構成においては、4組の画像測定装置を、被写体Sを囲むようにして配置しているので、被写体Sからそれぞれ異なる4つのX線画像を得ることができ、それぞれを検知することができる。したがって、被写体Sから複数のX線画像を得ることができ、被写体Sの内部構造などを詳細に把握することができる。結果として、被写体Sを例えば所定の生物から構成することにより、前記生物の冠状動脈や心臓などの活動状況を詳細に把握することができる。
【0084】
なお、上述したように、本発明の画像測定装置では、被写体Sの大きさ以上の照射面積を有する高強度の平行X線を得ることができるので、スキャンなどを行うことなく、さらには距離に依存して拡大率が変化するようなことがなく、前記平行X線をミリ秒オーダで短時間被写体Sに照射すれば、目的とするX線画像を得ることができる。したがって、上記生物の冠状動脈や心臓などの活動している物体のX線画像を瞬時に得ることができるので、それらの静止X線画像を簡易かつ高精度に得ることができる。
【0085】
図7は、本発明の画像測定装置を、被写体に対して立体配置した場合の概略構成を示すステレオ投影図である。本例では、被写体Sの周囲において、10組の画像測定装置を配置した場合について示している。なお、中心がいわゆる頂点(例えば北緯90度)に相当するものであって、周辺に行くにしたがって位置が下方にシフト(例えば緯度が低下)している状態を示すものである。
【0086】
図7において、参照数字210,220,230,240,250,260,270,280,290及び300は、それぞれ画像測定装置を示している。なお、図では記載が煩雑となるので特に示してはいないが、各画像測定装置においては、被写体Sに対して平行X線発生装置と検知器とが対向するようにして配置されている。
【0087】
本例では、被写体Sに対して3次元的に平行X線が照射され、それに伴って3次元的なX線画像を得ることができる。したがって、被写体Sの内部構造などをより詳細に把握することができる。尚、2次元画像数が多いほど、3次元CTの精度は向上するが、同時に2次元画像数に比例して被曝量も増すので、画像数はそれらを加味し減らす事が出来る。
【0088】
なお、上述した具体例において、各画像測定装置はそれぞれ別個に動作させることもできるし、それらの総てあるいは選択したいくつかの画像測定装置を同時に動作させることもできる。特に、前者の場合、隣接した画像測定装置などからのノイズが重畳しなくなるので、より高精度のX線画像を得ることができる。また、この場合に、複数の画像を総て得る際に、画像測定装置を同時に動作させる場合に比較して測定が長時間化するが、それでも数十ミリ秒のオーダであり、従来の数十秒のオーダと比較して十分短時間でX線画像を得ることができる。
【0089】
また、上記平行X線はそれ自体が被写体の大きさ以上の照射面積を有するので、距離に依存して拡大率が変化することなく、被写体全体のX線透過2次元画像を得ることが出来る。さらには、特に被写体Sの周囲に複数の画像測定装置を配置しているので、スキャンなどを行わなくても、複数のX線画像を画像測定装置を固定(静止)した状態で得ることができる。したがって、前記被写体が複雑な内部構造を有するような場合でも、ノイズが少ない高解像度のX線画像を得ることができる。
【0090】
本発明の画像測定方法及び画像測定装置は、特に限定されるものではないが、人体を含む種々の生物のCT撮影に対して用いることができる。このような場合、本発明によれば、極めて短時間の平行X線照射で目的とするX線画像を得ることができるので、これまで困難であった心臓のCT撮影などを可能とすることができる。
【0091】
また、本発明の画像測定方法及び画像測定装置では単色の平行X線を発生させることができるため、その平行X線の波長を造影剤の吸収端の高エネルギー側に合わせることにより、大きな吸収を得ることができ、前記造影剤の量を大幅に削減すること或いは/更に被曝量を少なくすることができる。したがって、人体を含む種々の生物に対してCT撮影を行う場合に、生物への負担を軽減することができる。さらに、短時間撮影が可能であるため、生物の呼吸停止時間を大幅に削減したり、前記呼吸に伴うノイズの発生を大幅に低減したりすることができる。
【0092】
なお、当然のことながら、本発明の画像測定方法及び画像測定装置は、医療や生命科学の分野のみならず、非破壊検査などの種々の分野において用いることができる。
【0093】
また、本発明の画像測定装置における検知器は、汎用のものから構成することができる。
【0094】
以上、本発明について具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0095】
例えば、上記具体例では、図7に示すように、10台の画像測定装置を用いた。しかしながら、被写体を中心に、例えば図7の各位置に画像測定装置を動かすための移動装置を設ければ、単一の画像測定装置を適宜移動させることによって、時間的なずれが多少生じるものの、結果的には複数の画像測定装置を準備した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、この場合は、単一の画像測定装置を準備すれば、目的とする被写体の画像を得ることができる。
【0096】
また、例えば3台の画像測定装置を準備し、図7の300,210,290,250に相当する位置では第1の画像測定装置を用いて撮影し、220,230,240に相当する位置では第2の画像測定装置を用いて撮影し、更に260,270,280に相当する位置では第3の画像測定装置を用いて撮影するようにすることもできる。すなわち、必ずしも測定箇所毎に画像測定装置を配備する必要はない。
【0097】
またもし、検出器で撮影した2次元画像のデジタル化が追い付かない程移動装置の速度が大きく出来る場合には、検出器のみ必要台数を(図7の場合は10台)所定の場所に固定し、X線発生装置及び分光器を含む平行X線発生装置のみを動かすこともできる。
【0098】
さらに、多数の2次元画像から3次元画像を求める際、各2次元画像に基準点が必要である。これは、被写体に必要数の基準点に相当するマーカー、例えば小さな(1mm以下の程度)のX線吸収の大きい物質、例えば鉛等の板或いは球を取り付けてから撮影する方法で解決できる。
【0099】
さらに、検出器として撮影機(例えばイメージインテンシファイアーとムービー用CCD)などを用いることによりモニター出力やムービー画像を得ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の一例、を示す構成図である。
【図2】本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の他の例を示す構成図である。
【図3】本発明の画像測定装置における平行X線発生装置のその他の例を示す構成図である。
【図4】本発明の画像測定装置における平行X線発生装置の他の例を示す構成図である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】本発明の画像測定装置を、被写体に対して配置した場合の概略構成を示す平面図である。
【図7】本発明の画像測定装置を、被写体に対して立体配置した場合の概略構成を示すステレオ投影図である。
【符号の説明】
【0101】
10 X線発生装置本体
11 真空容器
12 対陰極
13 陰極
14 ウエーネルト
15 グリッド
16 陽極
17 X線取り出し窓
20 電子線
21 (白色かつ非平行)X線
30 分光器
31 第1の(X線表面反射型)結晶板
32 第2の(X線表面反射型)結晶板
40,41 平行X線
50 分光器
51 第1の(X線透過型)結晶板
52 第2の(X線表面反射型)結晶板
53 第3の(X線透過型)結晶板
61 単色の平行X線
70 分光器
71 第1の(X線表面反射型)結晶板
72 第2の(X線表面反射型)非対称カット結晶板
73 第3の(X線表面反射型)非対称カット結晶板
81 回転式対陰極
82 対陰極室
83 電子線源
84 電子線源室、
85 駆動モータ
86 回転駆動部
91 筒状部
91a 電子線照射部、
100 電子線
110 X線
210,220,230,240,250,260,270,280,290,300 画像測定装置
211,221,231,241 平行X線発生装置
212,222,232,242 検知器
【出願人】 【識別番号】598070588
【氏名又は名称】坂部 知平
【識別番号】505332613
【氏名又は名称】坂部 貴和子
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一

【識別番号】100110180
【弁理士】
【氏名又は名称】阿相 順一


【公開番号】 特開2008−48986(P2008−48986A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229745(P2006−229745)