| 【発明の名称】 |
医療用リトラクタ及び棒状具 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩田 浩康
【氏名】遠藤 嘉将
【氏名】菅野 重樹
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| 【要約】 |
【課題】体外側からの操作により、圧排面となる先端部を上下両面方向に自由に屈曲動作させることができ、複雑な圧排動作を行うことを可能にすること。
【構成】体内で臓器等を圧排する部位となるリンク状の先端部11と、先端部11に対して屈曲可能に連なるロッド部14と、このロッド部14の後方に連なる後端部15とを備えてリトラクタ10が構成されている。先端部11は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にするリンク機構により構成されている。後端部15は、前側ダイヤル61及び後側ダイヤル66を備え、前側ダイヤル61の回転操作によって、先端部11を上下両面方向に屈曲動作させ、後側ダイヤル62の回転操作によって、先端部11を開閉動作させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロッド部と、このロッド部に対して屈曲可能に連なる先端部と、この先端部の状態を変化させる操作手段とを備えた医療用リトラクタにおいて、 前記先端部は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にする機構により構成され、 前記操作手段は、前記先端部を屈曲動作させる屈曲操作手段と、前記先端部を開閉動作させる開閉操作手段とからなり、前記屈曲操作手段の操作により、前記展開状態の先端部を上下両面方向に屈曲動作可能にしたことを特徴とする医療用リトラクタ。 【請求項2】 前記屈曲操作手段は、前記先端部の屈曲姿勢を任意の状態に維持可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の医療用リトラクタ。 【請求項3】 前記開閉操作手段は、前記折り畳み状態と展開状態との間で変化する形状を任意の状態に維持可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の医療用リトラクタ。 【請求項4】 前記先端部には、着脱自在となるカバーが取り付けられ、当該カバーは、その形状が前記先端部の形状変化に伴って変化可能な弾性を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の医療用リトラクタ。 【請求項5】 前記先端部は、その最先端側の幅方向ほぼ中央が前方に張り出した面形状に変化可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の医療用リトラクタ。 【請求項6】 ロッド部と、このロッド部に対して屈曲可能に連なる先端部と、この先端部の状態を変化させる操作手段とを備えた棒状具において、 前記先端部は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にする機構により構成され、 前記操作手段は、前記先端部を屈曲動作させる屈曲操作手段と、前記先端部を開閉動作させる開閉操作手段とからなり、前記屈曲操作手段の操作により、前記展開状態の先端部を上下両面方向に屈曲動作可能にしたことを特徴とする棒状具。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、医療用リトラクタ及び棒状具に係り、更に詳しくは、低侵襲手術時に体内の臓器を圧排する際に好適となる医療用リトラクタの他、操作側空間と作業側空間との間のスペースが狭小化している場合の作業に好適で、しかも、不使用時の省スペース化に有用となる棒状具に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、腹部の手術として、大きな開腹を要さずに患者への負担を少なくする腹腔鏡下手術と呼ばれる低侵襲手術が行われている。この低侵襲手術は、体表の複数箇所に開けられた穴から鉗子等の処置具や腹腔鏡を挿入し、当該腹腔鏡によって得られた患部付近の画像を医師がモニタで見ながら、体外側から処置具を操作して患部の処置を行う手術である。ところが、患部が深部に存在するような場合等、体表側から患部までに位置する臓器が邪魔をして、腹腔鏡や処置具を患部にアクセスすることが困難になる場合がある。そこで、このような低侵襲手術時においては、邪魔になる臓器を横に移動(圧排)し、体腔内に術野を確保する必要があり、このような臓器の圧排を行う器具として、リトラクタと呼ばれる棒状具がある。このリトラクタは、臓器を圧排する面状の先端部分を窄めた状態で前記穴から体内に挿入され、その後、体外側での操作により先端部分を面状に広げて、臓器の圧排を行うようになっている。 【0003】 このようなリトラクタのうち、特許文献1の図4〜図6に示されるものは、握持部を握り締めることで、ロッド部の先端側に位置する先端開閉部が棒状からヘラ状に開く構造となっている。 【0004】 また、特許文献2に示されるリトラクタは、筒体と、当該筒体内に挿入された棒材と、この棒材の先端側に取り付けられるとともに、前記筒体内に窄めて収容された弾性材料からなる圧排部材と、棒材の後端側に位置するハンドグリップとを備えている。このリトラクタは、筒体の先端側が体表に開けられた穴から体内に挿入された後、ハンドグリップを握ることで棒材が先端方向に移動して、筒体内に窄められて収容されている圧排部材が筒体内からその外側となる腹腔内に押し出されるようになっている。このとき、圧排部材は、その弾性により広がって圧排面を形成し、当該圧排面が筒体に対して一定の角度で傾斜する姿勢となる。 【特許文献1】特開平6−154152号公報 【特許文献2】特開2002−360582号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、腹腔内で臓器を圧排する動作は、患部の位置等によって多種多用であり、リトラクタの圧排面の複雑な動作が必要になる場合がある。この際、ロッド部は、小径の穴に挿入された状態になっていることから、体内側に圧排面を形成した後、当該圧排面を体外側から動作させる場合には、体外側に延びたロッド部を軸線方向に沿って移動させることによる圧排面の移動と、前記穴回りにロッド部をピボット運動させて圧排面を動かす程度しかできず、複雑な動作を行わせるには限界がある。そこで、体外側からの操作により、体内の圧排面をロッド部に対して少なくとも上下両面方向に屈曲動作させることができれば、低侵襲手術時において、更に複雑な圧排動作が可能になる。 【0006】 しかしながら、前記特許文献1及び2に開示されたリトラクタにあっては、先端側に位置する圧排面を腹腔内で自由に上下両面方向に屈曲動作させることができない。つまり、特許文献1の図4等に示されるリトラクタは、臓器の圧排面となる先端開閉部が棒状からヘラ状に開くだけで、圧排面全体をロッド部に対して上下両面方向に屈曲させることが全くできない。また、特許文献2のリトラクタは、圧排面が展開した状態で、当該圧排面が筒体に対して予め定められた角度に傾斜するものの、体外側からの操作によって圧排面を自由に上下両面方向に屈曲動作させることができない。 【0007】 その他、例えば、建設機械の作業用アタッチメント、スポーツ用具、調理用具、掃除用具、その他の家庭用品等の他の棒状具においても、前述した医療用リトラクタと同様の動作が要請されるものがある。つまり、棒状具の中には、不使用時には、移動性や収納性を考慮して先端部が棒状に畳まれ、使用時には、先端部が面状に展開するとともに、当該先端部がその後側のロッド部に対して上下両面方向に屈曲動作可能となる構造が要請されるものがある。 【0008】 本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、作業に使われる先端部を不使用時にコンパクトな状態にできる一方、当該先端部を使用時に面状に展開して少なくとも上下両面方向に屈曲動作させることができる医療用リトラクタ及び棒状具を提供することにある。 【0009】 特に、体外側からの操作により、圧排面となる先端部を上下両面方向に自由に屈曲動作させることができ、複雑な圧排動作を行うことを可能にする医療用リトラクタを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 (1)前記目的を達成するため、本発明は、ロッド部と、このロッド部に対して屈曲可能に連なる先端部と、この先端部の状態を変化させる操作手段とを備えた医療用リトラクタにおいて、 前記先端部は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にする機構により構成され、 前記操作手段は、前記先端部を屈曲動作させる屈曲操作手段と、前記先端部を開閉動作させる開閉操作手段とからなり、前記屈曲操作手段の操作により、前記展開状態の先端部の面を上下両面方向に屈曲動作可能にする、という構成を採っている。 【0011】 (2)また、前記屈曲操作手段は、前記先端部の屈曲姿勢を任意の状態に維持可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。 【0012】 (3)更に、前記開閉操作手段は、前記折り畳み状態と展開状態との間で変化する形状を任意の状態に維持可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。 【0013】 (4)また、前記先端部には、着脱自在となるカバーが取り付けられ、当該カバーは、その形状が前記先端部の形状変化に伴って変化可能な弾性を備える、という構成を併せて採用することができる。 【0014】 (5)更に、前記先端部を、その最先端側の幅方向ほぼ中央が前方に張り出した面形状に変化可能に設けるとよい。 【0015】 (6)また、本発明は、ロッド部と、このロッド部に対して屈曲可能に連なる先端部と、この先端部の状態を変化させる操作手段とを備えた棒状具において、 前記先端部は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にする機構により構成され、 前記操作手段は、前記先端部を屈曲動作させる屈曲操作手段と、前記先端部を開閉動作させる開閉操作手段とからなり、前記屈曲操作手段の操作により、前記展開状態の先端部の面を上下両面方向に屈曲動作可能にする、という構成を採っている。 【0016】 なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「棒状具」とは、棒体部分の一部に作業部分若しくは使用部分が設けられた器具、用具若しくは道具類の全般を含む概念として用いられる。 【0017】 また、「前」若しくは「先」は、特に明記しない限り、医療用リトラクタを含む棒状具の一端側における作業部分若しくは使用部分側について用いられ、「後」は、その軸線方向の反対側について用いられる。 【0018】 更に、「長さ」とは、特に明記しない限り、ロッド部の軸線に沿う方向の長さを意味し、「幅」とは、ロッド部の軸線に直交する方向の長さを意味する。 【発明の効果】 【0019】 本発明によれば、開閉操作手段によって、先端部を開閉動作させることはもとより、屈曲操作手段によって、展開状態の先端部をロッド部に対して上下両面方向に自由に屈曲動作させることができる。従って、医療用リトラクタについては、操作手段を体外側に配置して先端部を圧排面として使用することで、体外側からの操作により、圧排面を腹腔内で上下両面方向に自由に屈曲動作させることができ、複雑な圧排動作にも対応可能となる。また、その他の棒状具については、不使用時に、移動性や収納性を考慮して先端部を棒状に折り畳むことができ、使用時に、先端部を面状に展開させてロッド部に対して上下両面方向に自由に屈曲動作させることができる。このため、本発明に係る棒状具は、操作側空間と作業側空間との間のスペースが狭小化している場合の作業、若しくは、前記スペースが、棒状具との接触によって破損(破壊)をさせたくない部位(場所)となっている場合の作業に好適となる。また、不使用時の省スペース化にも有用となる。 【0020】 特に、前記(2)、(3)のように構成することで、任意の姿勢や形状とした先端部の状態を維持することができ、様々な圧排動作に対応可能となる。 【0021】 また、前記(4)の構成によれば、先端部の屈曲動作や開閉動作の際に動作するリンク機構を構成する部材間に、臓器や他の体内組織が挟み込まれるのを防止することができる。更に、カバーは着脱自在となっているため、手術の度にカバーのみを交換すれば良く、他の処置具のように、手術の度に、先端部の洗浄や消毒を念入りに行う必要がなくなり、手入れが楽になる他、先端部全体の交換頻度を少なくすることができ、ランニングコストの低減が期待できる。また、臓器等の体内組織に対して所定の摩擦を生じさせる素材でカバーを形成することで、圧排動作時に、先端部と体内組織との間に適切な摩擦力を発生させることができ、圧排動作を行い易くすることができる。この際、圧排対象の体内組織に適切な摩擦力を生じさせられるように、圧排対象に応じて動摩擦係数の異なる素材のカバーを選択的に使用することもできる。 【0022】 更に、前記(5)の構成により、先端部の最先端側における幅方向ほぼ中央が前方に張り出した形状になっているため、例えば、小腸と大腸の隙間等、狭い部位に先端部を進入させ易くなり、様々な部位の圧排動作が行い易くなる。また、前記最先端側における幅方向の両側部分が中央よりも後方に位置することになるため、先端部を体内の隙間に進入させて移動する際に、先端部の周囲に位置する腹壁等、進入目的部以外の体内組織と先端部との余計な接触を回避することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。 【0024】 図1には、本実施形態に係る医療用リトラクタの概略斜視図が示されている。この図において、棒状具としてのリトラクタ10は、体内で臓器等を圧排する部位となるリンク状の先端部11と、この先端部11に着脱自在に取り付けられたカバー12と、先端部11に対して屈曲可能に連なるロッド部14と、このロッド部14の後方に連なって当該ロッド部14よりも太径に設けられた後端部15とを備えて構成されている。 【0025】 前記先端部11は、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にするリンク機構により構成されている。具体的に、先端部11は、図2に示されるように、ロッド部14の先端側から前方に延びる中央部材18と、この中央部材18の幅方向両側に設けられ、当該中央部材18に沿って延びる第1及び第2のサイド部材20,21と、中央部材18及び図2中左上の第1のサイド部材20間における前後複数箇所に掛け渡された第1の横部材23と、中央部材18及び同図中右下の第2のサイド部材21間における前後複数箇所に掛け渡された第2の横部材24と、最も後端側に位置する第1及び第2の横部材23,24に連結されたリンク動作機構26と、中央部材18の後端側から後方に延びてロッド部14に連結されるとともに、後端側が開放する二股状の連結片27とを備えて構成されている。 【0026】 なお、先端部11に関する説明において、特に明記しない限り、「上」は、先端部11が図2に示される位置及び姿勢にある場合の同図中紙面直交方向の上側を意味し、「下」は、同方向下側を意味する。 【0027】 前記中央部材18は、相互にほぼ同一形状をなす上下一対の平棒29,29からなり、これら平棒29,29は、上下対称に配置され、それらの後端側が連なることで一体化されている。各平棒29は、ほぼ角柱状をなす先端側の細棒部30と、細棒部30の後端側に連なるとともに、当該細棒部30よりも大きな幅寸法を有するほぼ半円柱状のドーム状部31とからなる。 【0028】 前記細棒部30は、ドーム状部31の先端面の幅方向ほぼ中央部分に連なっており、当該先端面のうち、細棒部30の存在しないはみ出し領域33が当該細棒部30の幅方向両側にそれぞれ形成されている。 【0029】 前記第1及び第2のサイド部材20,21は、それら後側と中央部材18側の内側で開放する溝35を備えた角材状に形成され、具体的に、上下両側の上部及び下部37,38と、これら上部及び下部37,38の先端間に連なる前部39と、上部及び下部37,38の外側間に連なる側部40とからなる。図3に示されるように、第1のサイド部材20は、上部37よりも下部38が厚肉に設定されており、上部37及び下部38の間に形成される溝35は、第1のサイド部材20の中央よりも上寄りとなる高さ位置に形成されている。一方、第2のサイド部材21は、上部37よりも下部38が薄肉に設定されており、それら間に形成される溝35は、第1のサイド部材20の溝35よりも下側となる高さ位置に形成されている。また、第1及び第2のサイド部材20,21の幅は、ほぼ同一に設定されており、細棒部30の両側に位置する前記各はみ出し領域33,33の幅とほぼ同一になっている。従って、後述するように、各サイド部材20,21が細棒部30にほぼ添った状態となる先端部11の折り畳み状態では、先端部11の平面図である図12(B)や先端部11の正面図である図13に示されるように、各サイド部材20,21は、ドーム状部31に対して幅方向にはみ出さずにほぼぴったり収まることになる。 【0030】 前記第1の横部材23は、図2及び図3に示されるように、ほぼ角柱状をなし、中央部材18及び第1のサイド部材20に対して回転可能に連結されている。すなわち、第1の横部材23の延出方向一端側(図3中右端側)は、中央部材18の上下両側の平棒29,29間に収容され、これら平棒29,29に対して回転可能にピンPで止められている。一方、第1の横部材23の延出方向他端側(図3中左端側)は、第1のサイド部材20の溝35内に収容され、上部37及び下部38に対して回転可能にピンPで止められている。 【0031】 前記第2の横部材24は、ほぼ角柱状をなし、中央部材18及び第2のサイド部材21に対して回転可能に連結されている。すなわち、第2の横部材24の延出方向一端側(図3中左端側)は、中央部材18の上下両側の平棒29,29間における第1の横部材23の下側に配置され、当該第1の横部材23とともに平棒29,29に対して回転可能にピンPで止められている。一方、第2の横部材24の延出方向他端側(図3中右端側)は、第2のサイド部材21の溝35内に収容され、上部37及び下部38に対して回転可能にピンPで止められている。以上により、第2の横部材24は、第1の横部材23よりも下側となる高さで配置されることになる。 【0032】 以上の構成により、中央部材18、第1及び第2のサイド部材20,21及び第1及び第2の横部材23,24により、平行リンクが形成され、当該平行リンクの動作によって、第1及び第2のサイド部材20,21は、第1及び第2の横部材23,24の回転を伴いながら中央部材18に対してそれぞれ離間接近可能となる。ここで、図4〜図6に示されるように、最も後端側に位置する第1及び第2の横部材23,24には、上下両側のドーム状部31,31(図2参照)に回転可能に取り付けられたピンPに支持される基部42と、当該基部42に段差を介して連なる薄肉状部43とがそれぞれ形成されている。 【0033】 前記リンク動作機構26は、図2に示されるように、上下両側のドーム状部31,31の間に設けられており、図4及び図5に示されるように、前記ロッド部14側に繋がる円柱部材45と、この円柱部材45の先端側に固定されたブロック体46と、ブロック体46と第1及び第2の横部材23,23とを連結する上下の連結部材47,48とからなる。 【0034】 前記円柱部材45は、その後端側にロッド部14から延びる後述のワイヤ59が繋がっている。 【0035】 上側の連結部材47は、図4〜図7に示されるように、第1の横部材23の薄肉状部43の上面側とブロック体46の上面側とをピンPにより相対回転可能に連結する。下側の連結部材48は、第2の横部材24の薄肉状部43の下面側とブロック体46の下面側とをピンPにより相対回転可能に連結する。つまり、これら連結部材47,48は、円柱部材45を前後方向に移動させたときに、最後端側の第1及び第2の横部材23,24が基部42に取り付けられたピンPを支点として回転動作可能に連結されている。 【0036】 このように構成されたリンク動作機構26は、次のように作用する。すなわち、図2に示される先端部11の展開状態にあっては、第1及び第2の横部材23,24が、幅方向に延びた状態になっている。この展開状態から、円柱部材45が図5中上方に引っ張られると、各連結部材47,48の回転を伴いながら、第1及び第2の横部材23,24が、各基部42,42を貫通するピンPを支点として相互に接近する方向に回転し、図8に示される状態となって、更に円柱部材45が図8中上方に引っ張られると、やがては、第1及び第2の横部材23,24が隣り合ってほぼ前後方向(図8中上下方向)に延びた折り畳み状態となる。逆に、この折り畳み状態から、円柱部材45が前述と逆方向に引っ張られると、前記展開状態に戻る。 【0037】 前記カバー12は、その形状が先端部11の形状変化に伴って変化可能な弾性を備えている。 【0038】 前記ロッド部14は、図9に示されるように、中空円筒状をなす本体50と、この本体50の内部を前後方向に貫通するように配置された第1及び第2の棒材51,52とを備えている。 【0039】 前記本体50は、図2及び図9に示されるように、その先端側に形成された二股状部54と、当該二股状部54から後方の領域となる中空部55とからなる。 【0040】 前記二股状部54は、先端側が開放しており、その内側に先端部11の連結片27が配置されている。連結片27の幅方向両側部分と二股状部54の相対面(内面)は、連結軸57によって相対回転可能に連結されており、連結軸57を支点として連結片27及び二股状部54が上下方向に相対回転可能となる。 【0041】 前記第1及び第2の棒材51,52は、それぞれ、前後方向に移動可能に配置され、当該移動時に伸縮不能となる材質により形成されている。第1の棒材51の先端側には、先端部11側の円柱部材45に繋がるワイヤ59が取り付けられている。このワイヤ59は、連結片27及び二股状部54の相対回転時に屈曲若しくは湾曲可能となる可撓性を有する一方、第1の棒材51の前後方向の移動時に伸縮しないようになっている。第2の棒材52の先端側は、連結片27に固定されている。 【0042】 前記後端部15は、図9に示されるように、ロッド部14の本体50の後端側で相対回転可能に接続された前側ダイヤル61と、前側ダイヤル61に噛み合う第1のねじ軸62と、前側ダイヤル61から後方に延びるとともに、使用者の把持部分となる把持筒65と、把持筒65の後端側で相対回転可能に接続された後側ダイヤル66と、後側ダイヤル66に噛み合う第2のねじ軸67とを備えて構成されている。 【0043】 前記前側ダイヤル61は、図9及び図10に示されるように、前後方向に貫通するねじ筒状に設けられており、その内部空間に第1のねじ軸62が噛み合うようになっている。 【0044】 前記第1のねじ軸62は、図示省略しているが、把持筒65の内面で軸線方向に延びる突部に回転不能に係合する凹部を備えており、これによって、前側ダイヤル61の回転時には、第1のねじ軸62が共回りせずに前後方向(図9及び図10中左右方向)に移動可能になる。また、第1のねじ軸62は、前後両側が開放する内部空間64を有する筒状に設けられ、当該内部空間64内を前記第1の棒材51が貫通するようになっている。更に、第1のねじ軸62の前端面には、前記第2の棒材52の後端側が固定されており、これによって、先端部11の連結片27と第1のねじ軸62とが第2の棒材52を介して連結されることになる。従って、前側ダイヤル61を回転すると、その回転方向に応じて第1のねじ軸62が前後方向に移動し、これに伴い、第2の棒材52が前後方向に移動して、連結片27が前後方向に押されることになる。すると、連結片27が連結軸57の回りに回転し、先端部11がロッド部14に対して上下両面方向に屈曲することになる。従って、第2の棒材52、前側ダイヤル61及び第1のねじ軸62は、先端部11をロッド部14に対して屈曲動作させる屈曲操作手段を構成する。 【0045】 前記後側ダイヤル66は、前端側が開放する凹部72が形成されており、当該凹部72の内側にはねじ溝が形成されて第2のねじ軸67が噛み合うようになっている。 【0046】 前記第2のねじ軸67も、図示省略しているが、把持筒65の内面で軸線方向に延びる突部に回転不能に係合する凹部を備えており、これによって、後側ダイヤル66の回転時には、第2のねじ軸67が共回りせずに前後方向に移動可能になる。また、第2のねじ軸67の前端面には、第1の棒材51の後端側が固定されており、これによって、第1の棒材51及びワイヤ59を介して、先端部11の円筒部材45と第2のねじ軸67とが連結されることになる。これにより、後側ダイヤル66を回転すると、その回転方向に応じて第2のねじ軸67が前後方向に移動し、これに伴い、第1の棒材51及びワイヤ59が一体的に前後方向に移動して、円柱部材45も前後方向に移動する。すると、前述したリンク動作機構26が作動し、先端部11のリンク機構の作用により、当該先端部11が展開状態と折り畳み状態との間で形状が変化することになる。従って、第1の棒材51、ワイヤ59、後側ダイヤル66及び第2のねじ軸67は、先端部11を開閉動作させる開閉操作手段を構成する。 【0047】 次に、前記リトラクタ10の作用について説明する。 【0048】 先端部11とロッド部14とがほぼ同一平面上で並ぶ図1の初期状態から、前側ダイヤル61を所定方向に回転すると、先端部11は、その側面図である図11(A)の状態から、同図(B)に示されるように、ロッド部14に対して上方に屈曲動作する。一方、前側ダイヤル61を前述と逆方向に回転すると、先端部11がロッド部14に対して下方に屈曲動作する。また、前側ダイヤル61の操作量すなわち回転量を変えることで、ロッド部14に対する先端部11の屈曲角度を任意に変えることができ、この状態で前側ダイヤル61を回転しなければ、そのときの先端部11の屈曲姿勢を維持することができる。 【0049】 また、図2に示された先端部11の展開状態から、後側ダイヤル66を所定方向に回転すると、図12(A)の平面図のように、先端部11のリンク機構の作用により、中央部材18を中心として第1及び第2のサイド部材20,21が前方(同図中左方)にせり出しながら相互に接近する方向に移動する。そして、更に、後側ダイヤル66を同一方向に回転すると、やがて、図12(B)に示される折り畳み状態となる。この際、各サイド部材20,21が細棒部30の幅方向(同図中上下方向)両側に添うように配置され、先端部11がロッド部14(図1等参照)に連なって前方に延びる棒状に折り畳まれる。このとき、各サイド部材20,21は、図13に示されるように、中央部材18のドーム状部31に対して幅方向にはみ出ない状態で、はみ出し領域33の前方にほぼぴったりと収まることになる。一方、この折り畳み状態から、後側ダイヤル66を前述と逆方向に回転すると、前記展開状態に向って先端部11の形状が変化することになる。また、後側ダイヤル66の操作量すなわち回転量を変えることで、先端部11の形状を任意に変えることができ、当該形状のまま後側ダイヤル66を回転操作しなければ、先端部11の形状をそのときの状態に維持できる。 【0050】 なお、特に限定されるものではないが、開腹手術における手掌での圧排を腹腔鏡下手術において良好に再現するため、展開状態における先端部11の形状及び大きさは、人間の手の平に近いサイズ若しくは平面積を有する方形状にするとよい。 【0051】 腹腔鏡手術の際に前記リトラクタ10を使用する場合、先端部11をロッド部14とほぼ同一の外径を有する棒状の折り畳み状態とした上で、医師等の使用者が把持筒65を手で持って、棒状になっている先端部11を体表に空けられた穴内(図示省略)に挿入し、当該先端部11を腹腔内に配置させる。この状態から、後側ダイヤル66を回転して先端部11を図2に示される展開状態にする。このとき、先端部11に取り付けられたカバーは、その弾性により、先端部11の形状変化に追従して拡張される。そして、圧排対象となる臓器に先端部11を当てて、前側ダイヤル61を回転すると、先端部11によって形成された圧排面がそのほぼ法線方向に屈曲動作し、当該屈曲動作により対象の臓器を圧排可能となる。 【0052】 従って、このような実施形態によれば、圧排面となる面状に展開した先端部11を棒状に折り畳むことができ、しかも、圧排面の法線方向となる上下方向に先端部11を屈曲動作させることができ、低侵襲手術時における種々の圧排動作を簡単に行うことができる。 【0053】 なお、前記先端部11として、図14に示されるように、その最先端側の幅方向ほぼ中央が前方に張り出した面形状に変化できるようにするとよい。このような形状にすれば、先端部11を移動させる際に、先端部11の最先端側における幅方向両端側で、先端部11の周囲に位置する進入目的部以外の腹壁等の体内組織に対する余計な接触を回避することができる。また、小腸と大腸との狭い隙間に進入させ易くできる。なお、図14では、その最先端側の幅方向ほぼ中央が尖った面形状となっているが、その他、当該最先端側を湾曲状にすることも可能である。 【0054】 また、前記実施形態では、先端部11に前述のリンク機構を採用したが、先端部11に対して、棒状に窄められた折り畳み状態と面状に広がった展開状態との間で形状が変化する開閉動作を可能にする限り、他の機構を採用することも可能である。 【0055】 更に、先端部11を構成する各部材の角を面取りすることで、当該各部材が体内組織に当たったときの損傷を防止することができる。 【0056】 また、前記実施形態では、前側ダイヤル61の回転操作によって、先端部11を屈曲動作させ、後側ダイヤル66の回転操作によって、先端部11を開閉動作させることとしたが、本発明はこれに限らず、ハンドグリップを使った他の機構を採用することも可能である。要するに、前記屈曲操作手段及び開閉操作手段としては、先端部11を屈曲動作させ、先端部11を開閉動作させることができる限りにおいて、種々の構造を採用することができる。 【0057】 更に、以上の実施形態では、棒状具のうち医療用リトラクタ10に本発明を適用した場合について図示説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、建設機械の作業用アタッチメント、スポーツ用具、調理用具、掃除用具、その他の家庭用品等、他の棒状具に本発明を適用することができる。要するに、使用時には、先端部11が面状に展開するとともに、当該先端部11がその後側のロッド部14に対して屈曲動作可能となる一方で、不使用時には、移動性や収納性を考慮して、先端部11が棒状の状態に折り畳まれる構造が要請される棒状具であれば、本発明を適用可能である。 【0058】 その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、構成部材の点数やその形状等、種々の変更が可能である。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】本実施形態に係る医療用リトラクタの概略斜視図。 【図2】先端部の拡大斜視図。 【図3】図2のA−A線に沿う方向の断面図。 【図4】リンク動作機構をその周囲の一部の部材とともに示した概略拡大斜視図。 【図5】リンク動作機構の概略平面図。 【図6】図5のA−A線に沿う方向の断面図。 【図7】図5のB−B線に沿う方向の断面図。 【図8】リンク動作機構の作用を説明するための概略平面図。 【図9】ロッド部及び後端部の断面図。 【図10】図9の部材を一部省略して拡大した断面図。 【図11】(A)は、先端部がロッド部に対して屈曲していない状態を示す概略側面図であり、(B)は、先端部がロッド部に対して屈曲した状態を示す概略側面図である。 【図12】(A)は、先端部が展開状態から折り畳み状態に移行する途中の状態を示す概略平面図であり、(B)は、折り畳み状態の先端部を示す概略平面図である。 【図13】折り畳み状態の先端部の概略拡大正面図。 【図14】変形例に係る先端部の概略平面図。 【符号の説明】 【0060】 10 医療用リトラクタ(棒状具) 11 先端部 12 カバー 14 ロッド部 51 第1の棒材(開閉操作手段) 52 第2の棒材(屈曲操作手段) 59 ワイヤ(開閉操作手段) 61 前側ダイヤル(屈曲操作手段) 62 第1のねじ軸(屈曲操作手段) 66 後側ダイヤル(開閉操作手段) 67 第2のねじ軸(開閉操作手段)
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| 【出願人】 |
【識別番号】899000068 【氏名又は名称】学校法人早稲田大学 【識別番号】391016842 【氏名又は名称】岐阜県
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| 【出願日】 |
平成18年8月24日(2006.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100114524 【弁理士】 【氏名又は名称】榎本 英俊
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| 【公開番号】 |
特開2008−48907(P2008−48907A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−228193(P2006−228193) |
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