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【発明の名称】 医用画像撮影方法及び医用画像撮影装置
【発明者】 【氏名】境田 英之

【氏名】望月 直樹

【要約】 【課題】オーダで指定された検査部位との不一致を防止し、かつ取り直しの必要もない医用画像撮影方法及び医用画像撮影装置を提供する。

【構成】患者をCT装置の寝台に固定する。プレスキャンの開始を指示し、プレスキャン画像を取得する。モニタに表示されたプレスキャン画像を見ながら本スキャン領域を設定する。プレスキャン画像と本スキャン領域の設定情報とを部位認識部に送る。プレスキャン画像の画像解析を行って、本スキャン部分の部位を認識する。オーダ情報と部位認識部からの認識結果とを基に、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定する。一致していないと判定した場合には、モニタに警告を表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め用のプレスキャン画像を取得するプレスキャンステップと、
取得した前記プレスキャン画像を基に本スキャンの撮影領域を設定する設定ステップと、
前記撮影領域の本スキャンを行って患者の医用画像を取得する本スキャンステップとを有する医用画像撮影方法において、
前記プレスキャン画像の画像解析を行って前記プレスキャン画像に撮影された解剖学的構造を認識する認識ステップと、
検査の内容を指示するオーダ情報と前記認識ステップの認識結果とを基に、前記撮影領域に設定された解剖学的構造が前記オーダ情報で指定された解剖学的構造と一致しているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって一致していないと判定された際に警告を行う警告ステップとを設けたことを特徴とする医用画像撮影方法。
【請求項2】
前記認識ステップは、前記設定ステップの後に設けられ、取得した前記プレスキャン画像のうち前記撮影領域に設定された部分の解剖学的構造のみを認識することを特徴とする請求項1記載の医用画像撮影方法。
【請求項3】
前記認識ステップは、前記設定ステップの前に設けられ、前記プレスキャン画像全体の解剖学的構造を認識することを特徴とする請求項1記載の医用画像撮影方法。
【請求項4】
前記設定ステップは、前記オーダ情報と前記認識ステップの認識結果とを基に、前記オーダ情報で指定された解剖学的構造に対応する部分を前記撮影領域に設定することを特徴とする請求項3記載の医用画像撮影方法。
【請求項5】
前記設定ステップには、前記プレスキャン画像と前記オーダ情報で指定された解剖学的構造とを表示手段に表示するステップが含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の医用画像撮影方法。
【請求項6】
前記プレスキャンステップは、患者に向けて放射線を照射する放射線出力手段と、患者を透過した放射線を検出する放射線検出手段とによって、患者を一方向から見た透視画像を前記プレスキャン画像として取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の医用画像撮影方法。
【請求項7】
解剖学的構造には、頭部、胸部、腹部、骨盤部、脚部などの部位と、脳、心臓、肺、肝臓、胃などの臓器とが含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の医用画像撮影方法。
【請求項8】
位置決め用のプレスキャン画像を取得するプレスキャン手段と、取得した前記プレスキャン画像を基に本スキャンの撮影領域を設定する設定手段と、前記撮影領域の本スキャンを行って患者の医用画像を取得する本スキャン手段とを備えた医用画像撮影装置において、
前記プレスキャン画像の画像解析を行って前記プレスキャン画像に撮影された解剖学的構造を認識する認識手段と、
検査の内容を指示するオーダ情報と前記認識手段の認識結果とを基に、前記撮影領域に設定された解剖学的構造が前記オーダ情報で指定された解剖学的構造と一致しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって一致していないと判定された際に警告を行う警告手段とを設けたことを特徴とする医用画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスキャン画像を基に本スキャンの撮影領域を設定して患者の医用画像を取得する医用画像撮影方法及び医用画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
診療所や病院などの医療施設には、CR(Computed Radiography)装置、CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴映像)装置、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影)装置、超音波診断装置などといった様々なモダリティ(医用画像撮影装置)が普及している。モダリティによって撮影された医用画像は、医師が患者を診断する際などに用いられ、患者の症状を決定する上で大きな役割を担っている。
【0003】
外科や内科などの各科の医師は、放射線科に検査を依頼する際、検査方向や検査部位などを指示したオーダを受け渡す。モダリティのオペレータ(放射線科医や放射線技師など)は、オーダに基いて撮影を行い、オーダに対応した医用画像を取得するのであるが、取得した医用画像の撮影部位が必ずしもオーダ通りであるとは限らない。特に、CT装置やMRI装置などの断層画像を医用画像として取得するモダリティでは、患者によって臓器の位置などが多少異なるため、位置合わせが難しいという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、患者の医用画像を実際に撮影する本スキャンの前に、撮影領域の位置決めを行うためのプレスキャンを行うCT装置やMRI装置などが知られている(特許文献1、2参照)。こうしたCT装置やMRI装置などは、プレスキャンによって取得したプレスキャン画像をモニタに表示する。オペレータは、プレスキャン画像に重ねて表示されたカーソルなどを移動させることにより、本スキャンの撮影領域を設定する。このように、患者本人の画像を見ながらモニタ上でグラフィカルに本スキャンの撮影領域を設定することができるので、患者の臓器の位置などを確認しながら本スキャンの撮影領域を精度よく設定することができる。
【特許文献1】特開平6−189935号公報
【特許文献2】特開2005−245914号公報
【特許文献3】特開2004−290329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オーダの検査部位自体をオペレータが間違えている場合などには、上述のようなプレスキャンを行ったとしても、オーダとの不一致を防止することはできない。例えば、オーダで指定された検査部位が胸部であるのに、オペレータが腹部であると錯誤してしまった場合、プレスキャンによって腹部に正確に合わせることができたとしても、それはオーダの検査部位と一致するものではない。
【0006】
また、特許文献3には、CR装置で取得された医用画像の撮影部位の判別を行い、撮影部位がオーダと一致しているか否かを判定するようにした医用画像処理装置が記載されている。しかし、この医用画像処理装置は、実際に撮影された医用画像(前述の本スキャンによって取得された画像)の判定を行うものであるため、オーダと一致していないと判定された際には再び撮影を行わなければならない。このため、取り直しによる無用な検査時間を要するとともに、取り直しによる無用な放射線被曝を患者に与えてしまう。特に、撮影モダリティがCT装置である場合には、本スキャン撮影による被曝線量が多いため、こうした取り直しによる放射線被曝が大きな問題となる。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、オーダで指定された検査部位との不一致を防止し、かつ取り直しの必要もない医用画像撮影方法、及び医用画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の医用画像撮影方法は、位置決め用のプレスキャン画像を取得するプレスキャンステップと、取得した前記プレスキャン画像を基に本スキャンの撮影領域を設定する設定ステップと、前記撮影領域の本スキャンを行って患者の医用画像を取得する本スキャンステップと、前記プレスキャン画像の画像解析を行って前記プレスキャン画像に撮影された解剖学的構造を認識する認識ステップと、検査の内容を指示するオーダ情報と前記認識ステップの認識結果とを基に、前記撮影領域に設定された解剖学的構造が前記オーダ情報で指定された解剖学的構造と一致しているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップによって一致していないと判定された際に警告を行う警告ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
なお、前記認識ステップは、前記設定ステップの後に設けられ、取得した前記プレスキャン画像のうち前記撮影領域に設定された部分の解剖学的構造のみを認識することが好ましい。また、前記認識ステップは、前記設定ステップの後に設けられ、前記プレスキャン画像全体の解剖学的構造を認識するものとしてもよい。
【0010】
さらに、前記設定ステップは、前記オーダ情報と前記認識ステップの認識結果とを基に、前記オーダ情報で指定された解剖学的構造に対応する部分を前記撮影領域に設定することが好ましい。
【0011】
なお、前記設定ステップには、前記プレスキャン画像と前記オーダ情報で指定された解剖学的構造とを表示するステップが含まれることが好ましい。
【0012】
また、前記プレスキャンステップは、患者に向けて放射線を照射する放射線出力手段と、患者を透過した放射線を検出する放射線検出手段とによって、患者を一方向から見た透視画像を前記プレスキャン画像として取得することが好ましい。
【0013】
さらに、解剖学的構造には、頭部、胸部、腹部、骨盤部、脚部などの部位と、脳、心臓、肺、肝臓、胃などの臓器とが含まれることが好ましい。
【0014】
なお、本発明の医用画像撮影装置は、位置決め用のプレスキャン画像を取得するプレスキャン手段と、取得した前記プレスキャン画像を基に本スキャンの撮影領域を設定する設定手段と、前記撮影領域の本スキャンを行って患者の医用画像を取得する本スキャン手段と、前記プレスキャン画像の画像解析を行って前記プレスキャン画像に撮影された解剖学的構造を認識する認識手段と、検査の内容を指示するオーダ情報と前記認識手段の認識結果とを基に、前記撮影領域に設定された解剖学的構造が前記オーダ情報で指定された解剖学的構造と一致しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって一致していないと判定された際に警告を行う警告手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、プレスキャン画像の画像解析を行ってプレスキャン画像に撮影された解剖学的構造を認識し、この認識結果と検査の内容を指示するオーダ情報とを基に、撮影領域に設定された解剖学的構造がオーダ情報で指定された解剖学的構造と一致しているか否かを判定し、一致していないと判定された際に警告を行うようにしたので、オペレータなどに注意を促し、実際に撮影される医用画像の不一致を防止することができる。また、本スキャンを行う前に判定を行うことができるので、取り直しの必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、病院などの医療施設で用いられる医用画像情報システム10の構成を概略的に示すブロック図である。医用画像情報システム10は、患者の断層画像などを医用画像として撮影するCT装置(医用画像撮影装置)12と、このCT装置12が撮影した断層画像などの各種の医用画像を保管する画像サーバ14と、医療施設内の種々の情報を管理する情報管理サーバ16と、診察の際などに医師に用いられる複数のクライアント端末18とで構成されている。また、これらの各部は、医療施設内のLAN20によって互いに接続されている。
【0017】
この医用画像情報システム10は、医療施設で生じる各種の情報や医用画像などを電子データとして管理することにより、カルテや医用画像のフイルムなどの保管スペースを医療施設から削減する。また、医用画像情報システム10は、各クライアント端末18が各種の情報や医用画像などを簡単に読み出せるようにすることにより、医療施設の業務の効率化を図る。
【0018】
画像サーバ14は、例えば、PACS(picture archiving and communication system for medical application:医用画像保管・伝送システム)のサーバである。この画像サーバ14には、CT装置12からの断層画像の他に、例えば、ネットワークやメディアなどを介して他の医療施設から送られてきた医用画像や、症状の対比などに用いられる参考用の画像などが保管される。画像サーバ14に保管された各医用画像は、必要に応じて各クライアント端末18に読み出され、医師による読影や患者への説明などに用いられる。なお、医用画像には、CT装置12で撮影された断層画像の他に、CR装置やMRI装置などの他のモダリティで撮影された画像も含むものとする。また、参考用の画像には、モダリティで撮影された画像の他に、イラストレーションによって描かれたものなども含むものとする。
【0019】
情報管理サーバ16は、例えば、HIS(hospital information system:病院情報システム)のサーバや、RIS(radiology information system:放射線科情報システム)のサーバである。情報管理サーバ16は、患者情報、診療情報、検査情報、会計情報などといった各種の情報を患者毎に管理する。なお、患者情報は、各患者の個人情報を表すものであり、例えば、患者氏名、患者ID、現住所、生年月日、年齢、性別、家族構成、及び既往歴やアレルギーの有無などが含まれる。
【0020】
診療情報は、患者に対しての診療の情報であり、例えば、診療日付、診療科、傷病名、診断結果、治療期間、投薬の種類及び量、処方薬局名などが含まれる。なお、治療期間とは、同一傷病に関して医療施設に通院した期間である。検査情報は、診断に際して撮影された医用画像などの情報であり、例えば、検査日付、検査機器、検査方法、検査部位などが含まれる。なお、検査方法とは、正面及び側面などの撮影に対する患者の向きや、造影剤の有無などである。また、検査部位とは、検査の対象となっている頭部、胸部、腹部、骨盤部、脚部、及びこれらの一部が重複した頭頸部や胸腹部などである。さらに、会計情報には、例えば、診察費用、投薬費用、検査費用、及び保険適用の有無を表す情報などが含まれる。
【0021】
各クライアント端末18は、例えば、診療室毎、あるいは診療科毎などの単位で医療施設に複数配置され、上記各情報の入力などに用いられる。医師は、例えば、患者と対面して診察を行いながら、クライアント端末18を介して各情報の入力を行う。また、クライアント端末18は、医師が診断結果を患者に説明する際に、CT装置12で撮影された断層画像や情報管理サーバ16から読み出した各情報などを表示し、診断結果の説明を支援する。なお、各クライアント端末18は、例えば、周知のパーソナルコンピュータやワークステーションなどによって構成すればよい。
【0022】
また、情報管理サーバ16には、CT装置12の予約表が構築されている。医師は、CT装置12による撮影を必要とした際に、クライアント端末18を介して情報管理サーバ16の予約表にアクセスする。そして、予約表の空いている日時を指定して検査の内容を指示するオーダ情報を入力することにより、CT装置12の検査予約を行う。情報管理サーバ16は、新しい検査予約を受け付ける毎、あるいは一定期間毎などのタイミングで、オーダ情報を放射線科内のクライアント端末18やCT装置12などに配信する。放射線科の医師や技師などは、このオーダ情報に基いてCT装置12を操作し、オーダ情報に対応した断層画像を撮影する。
【0023】
このように、情報管理サーバ16は、患者毎の各情報を管理するとともに、CT装置12の空き状況を管理し、同じ時間帯に複数の検査予約が重なってしまうことを防止する。なお、オーダ情報には、例えば、患者情報、医師情報、検査方法、検査部位などが含まれる。ここで、医師情報とは、検査を依頼した医師の氏名や在籍する診療科、及び連絡先などの情報である。
【0024】
なお、図1では、複数のクライアント端末18を示しているが、クライアント端末18は、1台だけであってもよい。一方、CT装置12、画像サーバ14、情報管理サーバ16の各部は、複数設けられていてもよい。
【0025】
図2は、CT装置12の構成を概略的に示す外観斜視図である。CT装置12は、患者に向けてX線を照射するX線出力部(放射線出力手段)40と患者を透過したX線を検出するX線検出部(放射線検出手段)42とが設けられたガントリ(プレスキャン手段、本スキャン手段)30と、このガントリ30の中央付近に形成された診断用開口30aに患者を運ぶ寝台32と、これらを制御するコントローラ34とで構成されている。一般に、ガントリ30と寝台32とは、スキャナ室に設置され、コントローラ34は、スキャナ室と仕切られた操作室に設置される。
【0026】
X線出力部40とX線検出部42とは、診断用開口30aを挟んで対向するとともに、診断用開口30aの略同心円上に位置するように、ガントリ30に取り付けられている。ガントリ30は、診断用開口30a内に患者がいる状態で、診断用開口30aの中心軸を軸にX線出力部40とX線検出部42とを回転させながらX線出力部40にX線を照射させることにより、様々な方向からの投影データを取得する。
【0027】
寝台32の上部には、横になった状態の患者を支持する天板32aが設けられている。寝台32は、患者の乗り降りが容易な高さと診断用開口30aに応じた高さとの間で天板32aを昇降移動させるとともに、天板32aを水平移動させて患者を診断用開口32a内に進入させる。
【0028】
コントローラ34には、様々な操作画面を表示するモニタ(表示手段、警告手段)44と、キーボードや種々のスイッチなどが配された操作入力部46とからなるコンソール(設定手段)48が設けられている。コントローラ34は、図示を省略したケーブルなどによってガントリ30、及び寝台32と接続されている。そして、コントローラ34は、操作入力部46を介して入力されたオペレータ(放射線科医や放射線技師など)からの指示に応じてガントリ30と寝台32とを制御する。
【0029】
図3は、CT装置12の電気的構成の概略を示すブロック図である。ガントリ30には、X線出力部40、X線検出部42の他に、これらを回転させる回転駆動機構50が設けられている。また、寝台32には、天板32aを昇降移動させる昇降移動機構52と、天板32aを水平移動させる水平移動機構54とが設けられている。なお、これらの各機構50、52、54には、モータやギアなどからなる周知の機構を用いればよい。
【0030】
コントローラ34は、コンソール48と、CPU(判定手段)60と、HDD62と、X線制御部64と、画像再構成部66と、駆動制御部68と、部位認識部(認識手段)70と、ネットワークインタフェース72とを有している。また、これらの各部は、バス74を介して互いに接続されている。HDD62には、CT装置12を制御するための各種のプログラムが記憶されている。CPU60は、HDD62から各プログラムを適宜読み出して逐次処理することにより、CT装置12の各部を制御する。また、CPU60は、操作入力部46を介して入力されたオペレータからの指示に応じて各種の処理を実行するとともに、各プログラムの処理に応じた操作画面をモニタ44に表示する。
【0031】
X線制御部64は、X線出力部40に接続されている。X線制御部64は、CPU60からの指示に応じてX線出力部40に制御信号を送信し、X線制御部40の照射タイミングや放射線量などを制御する。画像再構成部66は、X線検出部42に接続されている。画像再構成部66は、X線検出部42から出力された様々な方向からの投影データを再構成し、各投影データに基く断層画像を作成する。なお、画像の再構成には、例えば、バックプロジェクション法などといった周知の手法を用いればよい。
【0032】
駆動制御部68は、回転駆動機構50と昇降移動機構52と水平移動機構54とに接続されている。駆動制御部68は、各機構50、52、54のそれぞれに応じたドライバを有している。駆動制御部68は、CPU60からの指示に応じて各機構50、52、54に駆動信号を送信し、各機構50、52、54を駆動する。
【0033】
部位認識部70は、画像再構成部66が作成した断層画像などの画像解析を行って、その画像にどの部位が撮影されているかを認識する。なお、部位認識部70による画像解析は、例えば、各画素のCT値を基に画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を予め記憶された各部位の特徴量と比較してマッチングさせることにより行われる。
【0034】
ネットワークインタフェース72は、コントローラ34を医療施設のLAN20に接続する。ネットワークインタフェース72は、例えば、Ethernet(登録商標)など、LAN20の規格に応じたものが適宜選択される。
【0035】
CT装置12による撮影では、断層画像を撮影する本スキャンの前に、本スキャン時の撮影領域の設定に用いられるプレスキャン画像を撮影するプレスキャンが行われる。プレスキャンでは、例えば、X線出力部40に低線量でX線を照射させ、X線出力部40とX線検出部42とを回転させずに、患者を乗せた天板32aを一定速度で移動させる。これにより、図4に示すような、患者を一方向から見た透視画像(レントゲン像)が、プレスキャン画像PIとして取得される。
【0036】
なお、プレスキャンの撮影領域は、オペレータによって任意に設定されるか、あるいは、ガントリ30と寝台32とによる撮影範囲の全てが撮影領域として設定される。ここで、撮影範囲とは、天板32aの移動によってガントリ30で撮影可能な全ての範囲のことであり、撮影領域とは、この撮影範囲の中で設定可能な任意の領域のことである。また、これ以降では、プレスキャンの撮影領域のことを「プレスキャン領域」、本スキャンの撮影領域のことを「本スキャン領域」と称す。
【0037】
取得されたプレスキャン画像PIは、図4に示すように、モニタ44の操作画面80に表示される。また、操作画面80には、プレスキャン画像PIとともに本スキャンの開始位置を指定する開始位置指定ライン82と、本スキャンの終了位置を指定する終了位置指定ライン84とが表示される。オペレータは、操作画面80を見ながら操作入力部46を操作して各ライン82、84の位置を上下に移動させることで、本スキャンの開始位置と終了位置とを指定する。これにより、各ライン82、84の間が本スキャン領域として設定される。
【0038】
本スキャン領域を設定したオペレータは、スライス厚などの他の設定項目の入力や造影剤の投与などをオーダ情報に基いて行い、本スキャンを開始する。このように、プレスキャンを行うことで、患者の臓器の位置などを確認しながら本スキャン領域の設定を精度よく行うことができる。なお、他の設定項目を入力するタイミングは、上記に限ることなく、例えば、プレスキャンを開始する前などに予め行っておいてもよい。
【0039】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による医用画像情報システム10の作用について説明する。診断に際してCT装置12による撮影が必要であると判断した医師は、クライアント端末18を介して情報管理サーバ16の予約表にアクセスし、予約表の空いている日時にオーダ情報を入力してCT装置12の検査予約を行う。入力されたオーダ情報は、情報管理サーバ16によって放射線科内のクライアント端末18やCT装置12などに配信される。クライアント端末18やCT装置12などでオーダ情報を確認したCT装置12のオペレータは、そのオーダ情報に基いて患者の撮影を行う。また、CT装置12に配信されたオーダ情報は、ネットワークインタフェース72を介してHDD62に入力され、HDD62に記録される。
【0040】
患者の撮影を行うCT装置12のオペレータは、まず、寝台32の天板32aに患者を乗せ、バンドやプロテクタなどで患者を固定する。天板32aに患者を固定したオペレータは、操作入力部46を操作して昇降移動機構52を駆動し、天板32a(患者)を診断用開口30aの高さに合わせる。天板32aの高さを合わせたオペレータは、操作入力部46を介してプレスキャン領域の設定などを行い、プレスキャンの開始をコントローラ34に指示する。オペレータからプレスキャンの開始を指示されたコントローラ34のCPU60は、ガントリ30及び寝台32を制御してプレスキャンを行い、設定されたプレスキャン領域に応じたプレスキャン画像PIを取得する。
【0041】
プレスキャンを行ったCPU60は、図4に示すように、取得したプレスキャン画像PIと、各ライン82、84とを操作画面80に表示する。プレスキャン画像PIの表示などに応じてプレスキャンの完了を確認したオペレータは、前述のように各ライン82、84の位置を指定して本スキャン領域を設定する。本スキャン領域の設定を確認したCPU60は、プレスキャン画像PIと本スキャン領域の設定情報とを部位認識部70に送る。
【0042】
プレスキャン画像PIと本スキャン領域の設定情報とを受け取った部位認識部70は、プレスキャン画像PIの画像解析を行って、本スキャン領域に設定された部分(以下、本スキャン部分と称す)に、どの部位が撮影されているかを認識する。本スキャン部分の部位を認識した部位認識部70は、その認識結果をCPU60に送る。部位認識部70から認識結果を受け取ったCPU60は、HDD62にアクセスし、HDD62から当該検査のオーダ情報を読み出す。オーダ情報を読み出したCPU60は、このオーダ情報と部位認識部70から受け取った認識結果とを基に、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定する。
【0043】
本スキャン部分の部位とオーダ情報の検査部位とが一致していると判定したCPU60は、オペレータからの開始指示などに応じて本スキャンを開始し、本スキャン領域やスライス厚などの各種の設定項目に合った複数枚の断層画像を取得する。取得された各断層画像は、ネットワークインタフェース72を介して画像サーバ14に送られ、検査毎にまとめられた状態で画像サーバ14に保管される。
【0044】
一方、本スキャン部分の部位とオーダ情報の検査部位とが一致していないと判定したCPU60は、図6に示すように、操作画面80にウィンドウ86をポップアップ表示して本スキャン領域がオーダ情報と一致していないことを警告し、本スキャン領域の再設定をオペレータに促す。
【0045】
このように警告を行ってオペレータに注意を促すことにより、間違った本スキャン領域が設定されることを防止し、オーダ情報の検査部位と異なる部位が撮影された断層画像が取得されることを防ぐことができる。また、本スキャン領域の設定段階で不一致を判定するので、プレスキャンや本スキャンをやり直す必要がなく、検査時間の無用な延長、及び患者の余計な放射線被曝などを防止することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、部位認識部70に本スキャン部分の部位認識をさせる際に、プレスキャン画像PIと本スキャン領域の設定情報とを送るようにしているが、これに限ることなく、例えば、プレスキャン画像PIから本スキャン部分を抽出し、その抽出した画像を部位認識部70に送って、本スキャン部分の部位認識をさせるようにしてもよい。
【0047】
次に、図7に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記構成と機能・構成上同一のものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。図7のフローチャートでは、プレスキャン画像PIを取得した後、そのプレスキャン画像PIの部位認識を行うようにしている。
【0048】
プレスキャンを行ったCPU60は、取得したプレスキャン画像PIを部位認識部70に送る。プレスキャン画像PIを受け取った部位認識部70は、画像解析を行ってプレスキャン画像PIの部位認識を行い、図8に示すように、プレスキャン画像PIに撮影された各部位を認識する。プレスキャン画像PIの各部位を認識した部位認識部70は、その認識結果をCPU60に送る。
【0049】
部位認識部70から認識結果を受け取ったCPU60は、図4に示すように、プレスキャン画像PIと、各ライン82、84とを操作画面80に表示し、オペレータに本スキャン領域を設定させる。本スキャン領域の設定を確認したCPU60は、HDD62にアクセスし、HDD62から当該検査のオーダ情報を読み出す。オーダ情報を読み出したCPU60は、このオーダ情報と部位認識部70から受け取った各部位の認識結果とを基に、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定する。
【0050】
判定を行ったCPU60は、上記第1の実施形態と同様に、一致している場合には本スキャンを開始し、一致していない場合には警告表示(図6参照)を行って本スキャン領域の再設定をオペレータに促す。このように、部位認識部70による各部位の認識を本スキャン領域の設定の前に行っても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。図9のフローチャートでは、図7のフローチャートと同様に、プレスキャン画像PIを取得した後、そのプレスキャン画像PIの部位認識を行うようにしている。プレスキャンを行ったCPU60は、取得したプレスキャン画像PIを部位認識部70に送り、プレスキャン画像PIに撮影された各部位を部位認識部70に認識(図8参照)させて、その認識結果を取得する。
【0052】
各部位の認識結果を取得したCPU60は、HDD62にアクセスし、HDD62から当該検査のオーダ情報を読み出す。オーダ情報を読み出したCPU60は、このオーダ情報と部位認識部70から受け取った各部位の認識結果とを基に、オーダ情報で指定された検査部位に対応する部分を本スキャン領域に設定する。本スキャン領域を設定したCPU60は、その本スキャン領域に合わせて各ライン82、84を表示する。例えば、オーダ情報で指定された検査部位が胸部である場合には、部位認識部70の認識結果に基いて図4に示す状態で、各ライン82、84を操作画面80に表示する。
【0053】
操作画面80にデフォルト表示された各ライン82、84は、上記各実施形態と同様に、操作入力部46の操作によって移動させることができる。オペレータは、例えば、各ライン82、84の位置を微調整したい場合や、他の部位も含めたい場合などに操作入力部46を操作して、本スキャン領域を修正する。ここで、本スキャン領域が修正されたことを検知したCPU60は、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定し、一致していない場合には警告表示(図6参照)を行う。一方、本スキャン領域が修正されていないことを検知したCPU60は、設定した本スキャン領域に従って本スキャンを開始する。
【0054】
このように、オーダ情報で指定された検査部位に対応する部分を本スキャン領域に設定することで、オーダ情報の検査部位と異なる部位が撮影された断層画像が取得されることを確実に防止することができる。
【0055】
なお、本スキャン領域の修正が必要ない場合などには、図10に示すフローチャートのように、プレスキャン画像PIの部位認識とオーダ情報の読み出しとを行って、オーダ情報の検査部位に応じた本スキャン領域を設定した後、その本スキャン領域に従って即座に本スキャンを開始するようにしてもよい。
【0056】
次に、図11に示すフローチャートを参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。図11のフローチャートでは、プレスキャン画像PIを取得した後、オーダ情報の読み出しを行なうようにしている。プレスキャンを行ったCPU60は、HDD62にアクセスし、HDD62から当該検査のオーダ情報を読み出す。オーダ情報を読み出したCPU60は、図12に示すように、取得したプレスキャン画像PIと、各ライン82、84とを操作画面80に表示するとともに、ウィンドウ90を操作画面80にポップアップ表示し、オーダ情報で指定された検査部位をプレスキャン画像PIと並べて表示する。これにより、本スキャン領域を設定する前からオペレータに注意を促すことができる。
【0057】
プレスキャン画像PIやウィンドウ90などを操作画面80に表示したCPU60は、オペレータに本スキャン領域を設定させる。本スキャン領域の設定を確認したCPU60は、プレスキャン画像PIと本スキャン領域の設定情報とを部位認識部70に送って、部位認識部70に本スキャン部分の部位を認識させ、その認識結果を取得する。認識結果を取得したCPU60は、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定し、一致していない場合には警告表示(図6参照)を行う。
【0058】
なお、本例では、図5のフローチャートと同じように、本スキャン領域の設定を行った後、本スキャン部分の部位認識のみを行うようにしているが、これに限ることなく、図7に示すフローチャートなどのように、先にプレスキャン画像PI全体の部位認識を行うようにしてもよい。また、プレスキャン画像PIと検査部位とを並列表示する際に、図9に示すフローチャートのように、本スキャン領域をデフォルト表示するようにしてもよい。
【0059】
また、本例では、検査部位のみを並列表示するようにしているが、これに限ることなく、例えば、スライス厚などの他のオーダ情報を検査部位と一緒に表示するようにしても良い。さらには、並列表示に限ることなく、ウィンドウの切り換えなどによって検査部位とプレスキャン画像PIとを表示するようにしてもよい。
【0060】
さらに、本例では、検査部位を並列表示してオペレータに本スキャン領域を設定させた後、本スキャン部分の部位がオーダ情報で指定された検査部位と一致しているか否かを判定するようにしているが、検査部位を並列表示させるだけでもオペレータに十分注意を促すことができる。従って、前述のような判定などを行うことなく、図13に示すフローチャートのように、検査部位とプレスキャン画像PIとの並列表示のみを行うようにしてもよい。
【0061】
なお、上記各実施形態では、一方向から見た透視画像をプレスキャン画像PIとして取得するようにしているが、プレスキャン画像PIはこれに限ることなく、例えば、体軸に垂直な断層画像(いわゆるアキシャル像)や、これにMPR(Multi Planer Reconstruction:多断面再構成法)処理を加えて再構成される他の面の断層画像などをプレスキャン画像PIとしてもよい。また、アキシャル像をプレスキャン画像PIとして取得する際には、所定のプレスキャン領域内で複数枚取得するようにしてもよいし、始点と終点の2枚を取得するようにしてもよいし、さらには始点又は終点の1枚だけを取得するようにしてもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、モニタ44の操作画面80にウィンドウ86を表示することによって不一致の場合の警告を行うようにしているが、警告は、これに限ることなく、例えば、専用のランプなどを点灯させて警告を行うようにしてもよいし、スピーカなどから警告音を発することによって行うようにしてもよい。さらには、警告の際に、オーダ情報で指定された検査部位を示すウィンドウ90をポップアップ表示させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態では、頭部、胸部、腹部、骨盤部、脚部などの各部位を解剖学的構造として認識するようにしているが、これに限ることなく、例えば、脳、心臓、肺、肝臓、胃などの臓器を解剖学的構造として認識するようにしてもよい。
【0064】
さらに、上記各実施形態では、医用画像撮影装置としてCT装置12を示しているが、これに限ることなく、例えば、MRI装置など、プレスキャンと本スキャンとを行って医用画像を撮影する他の如何なるモダリティに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】医用画像情報システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】CT装置の構成を概略的に示す外観斜視図である。
【図3】CT装置の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図4】操作画面の一例を示す説明図である。
【図5】CT装置による患者の撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【図6】操作画面に警告を表示した例を示す説明図である。
【図7】部位認識を先に行う撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【図8】プレスキャン画像の各部位の認識を説明する概念図である。
【図9】本スキャン領域のデフォルト表示と部位の判定とを行う撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【図10】本スキャン領域のデフォルト表示のみを行う撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【図11】検査部位の並列表示と部位の判定とを行う撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【図12】操作画面に検査部位を並列表示した例を示す説明図である。
【図13】検査部位の並列表示のみを行う撮影手順を概略的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 医用画像情報システム
12 CT装置(医用画像撮影装置)
30 ガントリ(プレスキャン手段、本スキャン手段)
40 X線出力部(放射線出力手段)
42 X線検出部(放射線検出手段)
44 モニタ(表示手段、警告手段)
48 コンソール(設定手段)
60 CPU(判定手段)
70 部位認識部(認識手段)
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲

【識別番号】100095234
【弁理士】
【氏名又は名称】飯嶋 茂

【識別番号】100117536
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英了


【公開番号】 特開2008−36261(P2008−36261A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216740(P2006−216740)