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【発明の名称】 内視鏡可撓管の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 学

【要約】 【課題】曲げ方向に硬度の異なる部分を有する可撓管を製造するときに、加工が容易であり、接合部分の強度を強くすることができる可撓管を製造することを目的とする。

【構成】高硬度外皮チューブ41と、高硬度外皮チューブ41よりも硬度の低い低硬度外皮チューブ42との両者の端面を、外周側が連続的に減少するテーパ形状にカットして高硬度テーパ部41Cと低硬度テーパ部42Cとする。可撓管構造部材23には、高硬度テーパ部41Cが先頭になるように高硬度外皮チューブ41を挿入し、反対方向から低硬度テーパ部42Cが先頭になるように低硬度外皮チューブ42を挿入する。そして、高硬度テーパ部41Cに低硬度テーパ部42Cをオーバーラップさせてから、加熱を行って、一体化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬度が異なる可撓部を有する内視鏡可撓管の製造方法であって、
高硬度の熱可塑性樹脂からなる高硬度外皮チューブと、この高硬度外皮チューブよりも硬度の低い熱可塑性樹脂からなる低硬度外皮チューブとの端面を、外周側が連続的に減少するテーパ形状にカットして高硬度テーパ部と低硬度テーパ部とする端面カット工程と、
曲げ方向に可撓性のある螺旋管に筒状網体を装着した可撓管構造部材の一方向から前記高硬度テーパ部が先頭となるように前記高硬度外皮チューブを挿入して被覆させる高硬度外皮チューブ被覆工程と、
前記一方向とは反対方向から前記低硬度テーパ部が先頭となるように前記低硬度外皮チューブを挿入して被覆させる低硬度外皮チューブ被覆工程と、
前記高硬度外皮チューブの前記高硬度テーパ部に前記低硬度外皮チューブの前記低硬度テーパ部をオーバーラップさせるオーバーラップ工程と、
前記可撓管構造部材に被覆された前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを加熱して一体化する加熱工程とを経て、前記内視鏡可撓管を製造することを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡可撓管の製造方法において、
前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとの外周に熱収縮性チューブを被覆させてから、前記熱収縮性チューブに加熱を行い、
前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとが前記可撓管構造部材に含浸させ、冷却させた後に、前記熱収縮性チューブを剥離することにより、前記内視鏡可撓管を製造することを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡可撓管の製造方法において、
前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとに前記熱収縮性チューブが被覆された被覆可撓管の加熱は、高温状態の高温槽内部で行われ、
前記高温槽内部には、前記被覆可撓管を挿通することができる挿通孔が形成された遮蔽部材により、前記高硬度外皮チューブが溶融する温度の高温部と前記低硬度外皮チューブが溶融する温度の低温部とに分割され、
前記被覆可撓管を前記挿通孔に挿通して、前記高硬度外皮チューブの部分を前記高温部に、前記低硬度外皮チューブの部分を前記低温部に曝すことにより、前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを夫々異なる温度で溶融させることを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部における内視鏡可撓管の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用等に用いられる内視鏡は、挿入部に本体操作部を連接して概略構成される。挿入部は、本体操作部への連設部分から大半の長さ分が可撓管で、この可撓管にはアングル部が、アングル部には先端部本体が順次連設されている。可撓管は曲げ方向に可撓性を有するものであり、アングル部は本体操作部からの遠隔操作で上下及び左右に湾曲させることができるようになっている。このため、本体操作部には術者等が手指で操作できるアングル操作手段が装着されている。
【0003】
体腔等の内部に挿入される可撓管は長尺なものとなり、しかも体腔内では可撓性に富む構造としなければならない。可撓管として要求される可撓性は、曲げ方向における可撓性であり、伸縮方向及び潰れ方向においては、十分な強度を持たせる必要がある。可撓管は、その全長にわたって可撓性を有する必要があるが、特に本体操作部への連設側では押し込み推力を良好にするために、曲げ方向に対する剛性が必要となる。一方、アングル部への連設側では曲がり方向にある程度追従させ、且つ曲がった挿入経路に円滑に追従して曲がるようにするために、可撓性の度合いをより大きくする方が望ましい。従って、可撓管は基端側(本体操作部側)と先端側(アングル部側)とでは可撓性の度合いを異ならせることが必要となる。
【0004】
そこで、内視鏡挿入部の可撓性を軸方向に変化させているものが特許文献1に開示されている。特許文献1の図22にも示されるように、挿入部外皮カバーの先端側は硬度の低い熱可塑性エラストマの比率を増やし、挿入部カバーの手元側は硬度の高い熱可塑性エラストマの比率を増やすことにより、外皮先端側を柔らかく、外皮手元側を先端側に比べて硬くしている。
【特許文献1】実開平6−61201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、熱可塑性エラストマの混合比率の高い挿入部カバー外皮と混合比率の低い挿入部カバー外皮とが連結されているが、当該連結部分の連結強度は強力なものとしなければならない。特に、下部消化管用の大腸鏡として内視鏡が用いられる場合は、大きく曲がった部分を通過するため、軟性の挿入部先端側は大きく撓む一方、剛性の挿入部基端側はそれほど撓むことはない。そうすると、挿入部先端側が大きく撓むときには、前記連結部分に対して作用する張力・収縮力は極めて強いものとなるため、前記連結部分に剥離や分離等が生じることとなる。
【0006】
特許文献1に示されるように、挿入部カバー外皮の先端側と手元側とを連結するときには、両者の端面を接合することが通常考えられるが、この場合、軸方向に直交する端面の接合力だけで両者が接合されているため、それほど強い接合力を発揮し得ない。接合力を強力にするためには端面の面積を大きくする必要があるが、内視鏡挿入部は患者の苦痛軽減等の観点から細径化することが要求されているため、接合端面を大きくすることができず、従って高い接合力を満たすことができない。
【0007】
そこで、本発明は、曲げ方向に硬度の異なる部分を有する可撓管を製造するときに、接合部分の強度を強くすることができる可撓管を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡可撓管の製造方法は、硬度が異なる可撓部を有する内視鏡可撓管の製造方法であって、高硬度の熱可塑性樹脂からなる高硬度外皮チューブと、この高硬度外皮チューブよりも硬度の低い熱可塑性樹脂からなる低硬度外皮チューブとの端面を、外周側が連続的に減少するテーパ形状にカットして高硬度テーパ部と低硬度テーパ部とする端面カット工程と、曲げ方向に可撓性のある螺旋管に筒状網体を装着した可撓管構造部材の一方向から前記高硬度テーパ部が先頭となるように前記高硬度外皮チューブを挿入して被覆させる高硬度外皮チューブ被覆工程と、前記一方向とは反対方向から前記低硬度テーパ部が先頭となるように前記低硬度外皮チューブを挿入して被覆させる低硬度外皮チューブ被覆工程と、前記高硬度外皮チューブの前記高硬度テーパ部に前記低硬度外皮チューブの前記低硬度テーパ部をオーバーラップさせるオーバーラップ工程と、前記可撓管構造部材に被覆された前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを加熱して一体化する加熱工程とを経て、前記内視鏡可撓管を製造することを特徴とする。
【0009】
この内視鏡可撓管の製造方法によれば、オーバーラップしたテーパ部分全体が前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを連結するための接着面となるため、異なる硬度を有する可撓管の連結部分の強度が強い可撓管を製造することができる。また、前記高硬度テーパ部と前記低硬度テーパ部との両者とも、外周側が連続的に減少するようなテーパ形状にカットしているため、容易に加工することができる。
【0010】
また、本発明の内視鏡可撓管の製造方法は、前記の内視鏡可撓管の製造方法において、 前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとの外周に熱収縮性チューブを被覆させてから、前記熱収縮性チューブに加熱を行い、前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとが前記可撓管構造部材に含浸させ、冷却させた後に、前記熱収縮性チューブを剥離することにより、前記内視鏡可撓管を製造することを特徴とする。
【0011】
この内視鏡可撓管の製造方法によれば、熱収縮性チューブにより前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとは、前記可撓管構造部材に確実に被覆させることができる。
【0012】
また、本発明の内視鏡可撓管の製造方法は、前記内視鏡可撓管の製造方法において、 前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとに前記熱収縮性チューブが被覆された被覆可撓管の加熱は、高温状態の高温槽内部で行われ、前記高温槽内部には、前記被覆可撓管を挿通することができる挿通孔が形成された遮蔽部材により、前記高硬度外皮チューブが溶融する温度の高温部と前記低硬度外皮チューブが溶融する温度の低温部とに分割され、前記被覆可撓管を前記挿通孔に挿通して、前記高硬度外皮チューブの部分を前記高温部に、前記低硬度外皮チューブの部分を前記低温部に曝すことにより、前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを夫々異なる温度で溶融させることを特徴とする。
【0013】
この内視鏡可撓管の製造方法によれば、前記高温部と前記低温部とで夫々異なる温度で加熱することにより、軟化温度が異なる前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとを適正な温度で加熱させることができる。
【0014】
また、本発明の内視鏡可撓管の製造方法において、前記高硬度外皮チューブと前記低硬度外皮チューブとの前記高硬度テーパ部及び前記低硬度テーパ部のテーパ角度は15°前後、長さは1.5mm乃至2.0mm程度であることが好ましい。当該角度及び長さにより、内視鏡可撓管として実際に体腔内に挿入されるときに大きく湾曲したとしても、可撓管に作用する張力や収縮力等に耐えることができる。また、テーパ部の角度を小さく且つ全長を長くすることにより、接着強度を強力なものとすることができるが、過度にテーパ部の角度を小さく且つ全長を長くすると、テーパをカットするときの加工が難しくなるため、前記テーパ角度及び前記テーパ長さが好ましい。
【0015】
また、本発明の内視鏡可撓管の製造方法において、前記高硬度外皮チューブの加熱温度は160℃乃至190℃、前記低硬度外皮チューブの加熱温度は150℃乃至180℃が好ましい。当該温度範囲により加熱することにより、適度に両チューブを前記筒状網体に含浸させることができる。前記高硬度外皮チューブは前記低硬度外皮チューブよりも軟化温度が約10℃程高い。このため、前記高温槽の前記高温部は前記低温部よりも10℃程度高く温度されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、曲げ方向に硬度の異なる部分を有する可撓管を製造するときに、加工が容易であり、接合部分の強度を強くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1のフローチャートの流れに沿って説明する。図2は内視鏡の全体構成図を示すが、内視鏡は本体操作部10に挿入部20を連結して設けられ、本体操作部10からはライトガイド軟性部30が延在されている。本体操作部10にはアングル操作手段11が設けられ、先端側は可撓管20a、アングル部20b、先端部本体20cの順番に連結されている。可撓管20aは、図3にも示されるように、金属帯片を螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管21a及び21bに金属線を編組してなる筒状網体(ネット)22で覆うようになし、この筒状網体22には外皮層24を積層させて接着する。図3にも示されるように、螺旋管は21aと21bとにより二重構造となっている。螺旋管21aと21bとに筒状網体22を被覆したものを可撓管構造部材23とする。
【0018】
可撓管20aは、基端側は押し込み推力を持たせるために可撓性の度合いを低くし、先端側は追従性を持たせるために可撓性の度合いを高くする。そこで、可撓管20aは、本体操作部10への連結側から所定長さ分は曲げ方向における可撓性の度合いが高い高硬度可撓部25となし、アングル部20bへの連結側から所定長さ分は曲げ方向における可撓性の度合いが高硬度可撓部25よりも低い低硬度可撓部26とする構成を採用する。図4は、高硬度可撓部25と低硬度可撓部26との連結部分の拡大図を示している。高硬度可撓部25と低硬度可撓部26との硬度を異ならせるために、螺旋管21a、b又は筒状網体22の硬度を変化させる方法もあるが、ここでは、可撓管構造部材23の外周に被覆させる外皮層24の硬度を変化させる。
【0019】
外皮層24としてウレタン系樹脂を素材とする熱可塑性チューブを適用したものを例示して説明する。図4に示すように、高硬度可撓部25を構成する外皮層24として高硬度外皮チューブ41を、低硬度可撓部26を構成する外皮層24として低硬度外皮チューブ42を、可撓管構造部材23に被覆させる。高硬度外皮チューブ41も低硬度外皮チューブ42もウレタン系樹脂を素材とする熱可塑性チューブであるが、高硬度外皮チューブ41の硬度は低硬度外皮チューブ42の硬度よりも高い。このため、両チューブを加熱したときの軟化温度は、低硬度外皮チューブ42よりも高硬度外皮チューブ41の方が高いが、両チューブは熱可塑性チューブであるため、高硬度外皮チューブ41の軟化温度より高い温度で加熱を施すと、ネットである可撓管構造部材23の筒状網体22に含浸して一体化する。そして、その後冷却することにより、両チューブと筒状網体22との密着強度を強めることができる。
【0020】
ここで、前述したように、内視鏡挿入部が体腔内等に挿入されると、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とには強力な引っ張り力又は収縮力が作用し、連結部分に剥離や分離等が生じるおそれがある。そこで、連結部分に対する剥離や分離等に対する耐性を高めるために、両者の連結強度を強力なものにする。本発明では、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との連結部分をテーパ形状としている。当該連結部分をテーパ形状にすることにより、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との連結部分の接触面積を大きく確保することができ、両者の連結強度を強くすることができる。以下、上記の可撓管20aを製造する方法について説明する。
【0021】
最初に、成形機等により生成される異硬度のチューブ(高硬度外皮チューブ41及び低硬度外皮チューブ42)の夫々の端面をテーパ形状にカットする(ステップS1:端面カット工程)。高硬度外皮チューブ41の端面をカットして形成された部分を高硬度テーパ部41Cとし、低硬度外皮チューブ42の端面をカットして形成された部分を低硬度テーパ部42Cとする。一般に、成形機等により生成されるチューブの端面は同一平面上で円筒状となっているため、前述したように、連結強度を高めるために、両者の端面をテーパ形状にカットする必要がある。このとき、図5に示されるように、ダイアモンドカッター等の切断手段Cを用いて両者の端面をテーパ形状にカットする。
【0022】
ここで、チューブの外周側が連続的に減少するようなカットを行うことは比較的容易である。つまり、図5のような角度でカッター(切断手段C)の刃をチューブに当接させることはそれほど難しくはない。このような角度でカットを行うと、チューブの先端側が最も細くなり、基端側に向けて徐々に厚みが太くなる。これとは逆に、チューブの内周側が連続的に減少するようなカット、つまりチューブの先端側から基端側に向けて徐々に厚みが細くなるようなカットを行う場合には、図5に示されるカッターの刃の方向とは逆の方向でカッターの刃をチューブに当接させる必要がある。このため、内周側が連続的に減少するようなカットを行うことは難しいため、加工性の観点から問題がある。
【0023】
前述したように、高硬度テーパ部41C及び低硬度テーパ部42Cを接触面とするときには、両テーパ部を相互に平行にする必要がある。つまり、高硬度テーパ部41C又は低硬度テーパ部42Cのうち、何れか一方を外周側が連続的に減少するようにカットし、他方を内周側が連続的に減少するようにカットする必要がある。しかし、前述したように、内周側が連続的に減少するカットを施すことは加工性の観点から問題がある。そこで、本発明では、図5に示されるように、異硬度のチューブである高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との端面を、両者とも外周側が連続的に減少するカットを施す。これにより、加工性の問題は解消することができる。
【0024】
次に、可撓管構造部材23の外周に高硬度外皮チューブ41を被覆させる(ステップS2:高硬度外皮チューブ被覆工程)。このとき、可撓管構造部材23の一方向から高硬度テーパ部41Cを先頭に高硬度外皮チューブ41を挿入する。次に、高硬度外皮チューブ41を挿入した方向とは反対方向から低硬度外皮チューブ42を低硬度テーパ部42Cが先頭となるように挿入する(ステップS3:低硬度外皮チューブ被覆工程)。高硬度外皮チューブ41及び低硬度外皮チューブ42は可撓管構造部材23に対して密着させる必要があるため、高硬度外皮チューブ41及び低硬度外皮チューブ42の径は可撓管構造部材23よりも細いものを使用し、両チューブを膨らませた状態で可撓管構造部材23に挿入して密着させる。両チューブを膨らませるための方法として、図5に示されるような心材等の治具90に差し込んで空気を供給して膨らませる方法等がある。また、高硬度テーパ部41Cのテーパと低硬度テーパ部42Cのテーパとは相互に逆の方向となって、可撓管構造部材23に挿入されるため、図6(a)に示されるように、両者の先端が突き当たる。
【0025】
ここで、低硬度外皮チューブ42をさらに高硬度外皮チューブ41の方向に押し込むことによって、図6(b)に示されるように、高硬度外皮チューブ41の高硬度テーパ部41Cに低硬度外皮チューブ42が乗り上げられ、オーバーラップされる(ステップS4:オーバーラップ工程)。このとき、低硬度外皮チューブ42は高硬度外皮チューブ41よりも軟性であるため、低硬度外皮チューブ42の方をテーパ部の内径を広げるようにして、高硬度外皮チューブ41の高硬度テーパ部41Cに乗り上げらせることができる。
【0026】
図6(b)に示されるように、オーバーラップ部分では、内側と外側との厚みの合計がオーバーラップしていない部位の厚みと同じであるから、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とを含む全体が平坦化される。これにより、高硬度テーパ部41Cと低硬度テーパ部42Cとの両者が、外周側が連続的に減少するようなテーパ形状であったとしても、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とを連結させることができる。このとき、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とは、両者のテーパ部が接触面となるのではなく、高硬度テーパ部41Cと低硬度外皮チューブ42のカットされていない面とが接触面となっている。
【0027】
そして、高硬度外皮チューブ41に低硬度外皮チューブ42をオーバーラップさせた状態のものに、シリコンチューブ等の熱収縮性チューブ50を被覆させる(ステップS5:熱収縮性チューブ被覆工程)。熱収縮性チューブ50は挿入部20の一部を構成するものではなく、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とを可撓管構造部材23に確実に被覆させるために用いられる。
【0028】
ここで、高硬度外皮チューブ41及び低硬度外皮チューブ42は熱可塑性チューブであるため、加熱を施すと軟化して一体化する一方、熱収縮性チューブ50は加熱を施すと熱収縮する。そうすると、軟化した高硬度外皮チューブ41及び低硬度外皮チューブ42は熱収縮性チューブ50の熱収縮力により圧縮されて、その外周面が熱収縮性チューブ50に倣って平坦化される。従って、熱収縮力により、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との外周は、オーバーラップ部分を含めて完全に一体となって平面化されることになる。そして、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とは可撓管構造部材23の筒状網体22(ネット)に対しても軟化した状態で押し付けられることから、両チューブは筒状網体22に含浸される。よって、両チューブは確実に可撓管構造部材23に密着されることになる(ステップS6:加熱工程)。
【0029】
ところで、高硬度外皮チューブ41は低硬度外皮チューブ42よりも硬度が高いため、高硬度外皮チューブ41の軟化温度は低硬度外皮チューブ42の軟化温度よりも高い。そうすると、高硬度外皮チューブ41の軟化温度で低硬度外皮チューブ42を軟化させた場合、低硬度外皮チューブ42の軟化度合いは高くなるため、低硬度外皮チューブ42の軟化度合いが大きくなり、可撓管構造部材23の筒状網体22への含浸量が大きくなってしまう。そこで、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とは、夫々異なる温度で加熱することもできる。ただし、異なる温度で加熱した場合でも、熱収縮性チューブ50が熱収縮する温度であることが必要である。
【0030】
図7に、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とを加熱する場合の一例を示す。図7では、高温状態に保たれている高温槽60の内部で、熱収縮性チューブ50が被覆されている可撓管20a(以下、被覆可撓管51とする)が加熱されている。高温槽60の上部には、被覆可撓管51を吊るすための懸架部材61が設けられている。懸架部材61には複数の被覆可撓管51を吊るすことが可能になっている。被覆可撓管51を直立状態にするために、荷重の大きい釣鐘部材62が使用される。被覆可撓管51には、一端が懸架部材61に吊り下げられるため、他端が釣鐘部材62を吊り下げるために、例えばフック等が連結されている。従って、釣鐘部材62の荷重によって、被覆可撓管51は直立状態を維持することができる。
【0031】
高温槽60には遮熱板63が配置されている。遮熱板63を境界にして、上部と下部との空間が分割されている。前述したように、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42とは夫々異なる温度で加熱する必要があるため、遮熱板63を境界にして上部の空間(上部空間60U)と下部の空間(下部空間60D)とで温度を異ならせている。このため、上部空間60Uの図示しない熱源と下部空間60Dの図示しない熱源とが異なる温度で加熱を行う。遮熱板63には断熱性の高い素材を使用することにより、上部空間60Uと下部空間60Dとの温度を適格に異ならせることができる。上部空間60Uは高硬度外皮チューブ41を軟化させるのに適当な温度に管理され、下部空間60Dは低硬度外皮チューブ42を軟化させるのに適当な温度に管理されている。例えば、高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との軟化温度が20℃異なる場合には、上部空間60Uの温度は下部空間60Dの温度よりも20℃程高くするように温度管理を行う。
【0032】
また、遮熱板63には被覆可撓管51を挿通するための挿通孔63Hが複数形成されている。当該挿通孔63Hに被覆可撓管51を挿通することにより、被覆可撓管51のうち高硬度外皮チューブ41の部分を上部空間60Uに、低硬度外皮チューブ42の部分を下部空間60Dに曝すことができる。このとき、被覆可撓管51に被覆されている高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との連結部分が、遮熱板63よりも上部に位置するように、遮熱板63を位置調整する。
【0033】
そして、所定時間被覆可撓管51を高温槽60内部に曝しておくと、前述したように熱収縮性チューブ50の熱収縮力により高硬度外皮チューブ41と低硬度外皮チューブ42との連結部分は軟化状態で一体化されて、外周面は完全に平坦化される。そして、可撓管20aから熱収縮性チューブ50を剥離する(ステップS7:熱収縮性チューブ剥離工程)。熱収縮性チューブ50の剥離を行うと、図4に示されるような硬度の異なる高硬度可撓部25と低硬度可撓部26とを有する可撓管20aが製造される。
【0034】
以上説明したように、本発明の可撓管の製造方法は、硬度の異なる部分を有する可撓管を製造するときに、硬度の異なるチューブの先端を外周側が連続的に減少するようなテーパ形状にカットしてオーバーラップさせて加熱して一体化させることにより、硬度が変化する境界部分の連結強度を高めた可撓管を製造することができる。また、両チューブともに、外周側が連続的に減少するようなテーパ形状にカットすることにより、容易に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】内視鏡の概略構成図である。
【図3】可撓管の概略構成図である。
【図4】可撓管の断面図である。
【図5】テーパ部を加工するときの説明図である。
【図6】可撓管構造部材に高硬度外皮チューブと低硬度外皮チューブとを被覆したときの断面図である。
【図7】高温槽により、高硬度外皮チューブと低硬度外皮チューブとを加熱しているときの説明図である。
【符号の説明】
【0036】
20 挿入部 20a 可撓管
20b アングル部 20c 先端部本体
21a 螺旋管 22 筒状網体
23 可撓管構造部材 24 外皮層
25 高硬度可撓部 26 低硬度可撓部
41 高硬度外皮チューブ 41C 高硬度テーパ部
42 低硬度外皮チューブ 42C 低硬度テーパ部
50 熱収縮性チューブ 51 被覆可撓管
60 高温槽 63 遮熱板
63H 挿通孔
【出願人】 【識別番号】591240353
【氏名又は名称】フジノン佐野株式会社
【出願日】 平成18年8月8日(2006.8.8)
【代理人】 【識別番号】100089749
【弁理士】
【氏名又は名称】影井 俊次


【公開番号】 特開2008−36204(P2008−36204A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−215527(P2006−215527)