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【発明の名称】 光照射装置
【発明者】 【氏名】山下 大輔

【氏名】山下 豊

【氏名】山内 豊彦

【氏名】岡田 裕之

【要約】 【課題】対象物にレーザ光を照射する際に、安全かつより確実にレーザ光の照射状態を検出する。

【構成】光照射装置1は、レーザ光を発生させるレーザ光源10と、所定の波長の検出光を発生させる検出光用光源20と、レーザ光を一方の端面30aにおいて入力して他方の端面30bから出射して対象物3に照射し、検出光を一方の端面30aにおいて入力すると共に他方の端面30bの近傍に所定の波長の光を反射するFBG32が形成された光ファイバ30と、FBG32により反射されて一方の端面30aから出射される検出光の強度を検出する光検出器50と、検出された検出光の強度に基づいて、対象物3へのレーザ光の照射状態を検出する信号処理部60とを備える。レーザ光源10から発生するレーザ光は、FBG32に反射される波長の光以外のものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させる第1の光源と、
所定の波長の検出光を発生させる第2の光源と、
前記第1の光源からレーザ光を一方の端面において入力して他方の端面から出射して対象物に照射し、前記第2の光源から前記検出光を前記一方の端面において入力すると共に前記他方の端面の近傍に前記所定の波長の光を反射するFBGが形成された光ファイバと、
前記光ファイバに前記第2の光源から前記一方の端面において入力され、前記FBGにより反射されて当該一方の端面から出射される前記検出光の強度を検出する反射光検出手段と、
前記反射光検出手段により検出された前記検出光の強度に基づいて、前記光ファイバからの前記対象物への前記レーザ光の照射状態を検出する照射状態検出手段と、を備え、
前記第1の光源から発生するレーザ光は、前記FBGに反射される波長の光以外のものであることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
レーザ光を発生させる第1の光源と、
所定の波長の検出光を発生させる第2の光源と、
前記第1の光源からレーザ光を一方の端面において入力して他方の端面から出射して対象物に照射する第1の光ファイバと、
前記第2の光源から前記検出光を一方の端面から入力すると共に前記第1のファイバの前記他方の端面の近傍に前記所定の波長の光を反射するFBGが形成された第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバに前記第2の光源から前記一方の端面において入力され、前記FBGにより反射されて当該一方の端面から出射される前記検出光を検出する反射光検出手段と、
前記反射光検出手段により検出された前記検出光の強度に基づいて、前記光ファイバからの前記対象物への前記レーザ光の照射状態を検出する照射状態検出手段と、
を備える光照射装置。
【請求項3】
前記照射状態検出手段は、前記対象物への前記レーザ光の照射を行う際の、前記反射光検出手段により検出された前記検出光の強度の変化に基づいて前記照射状態を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第2の光源は、複数の波長の光を発生させ、
前記FBGは、前記複数の波長の光を反射するように複数形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記光ファイバを通して固定するカテーテルを更に備える請求項1〜4の何れか一項に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内に形成された血栓等の対象物に対して光ファイバからレーザ光を照射する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管内に形成された血栓を溶解させる等の目的で、光ファイバを用いてレーザ光を血栓等の対象物に照射させることが提案されている。このレーザ光の照射を安全かつ効率的におこなうために、光ファイバの先端を正確に血栓にコンタクトさせる必要がある。レーザ光による血栓溶解は、人体へカテーテルを挿入した状態で行われるため、レーザ光照射用のファイバの血栓に対するコンタクト状態の確認は、血管造影剤を使用したX線透過が不可欠であった。
【0003】
その一方で、血管内におけるレーザ光の照射による状態(蒸気バブルの存在)を検出する方法として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この方法では、検出用の光を照射した後、反射及び散乱により光ファイバに戻った検出用の光の強度変化を検出して、上記のレーザ光の照射による状態を検出する。
【特許文献1】特表2001−517805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のX線を透過させる方法は患者への負担となるため、より安全にレーザ光の照射状態を把握する方法が求められていた。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、蒸気バブルのような光の反射及び散乱の性質を変化させるものが光ファイバの先端に接触していなければ検出を行うことができない。従って、特許文献1に記載された方法は、蒸気バブルのような光の反射及び散乱の性質を変化させるものが発生しないような場合、また発生したとしてもそれが光ファイバの出射端面に接触していない場合には適用することができない。即ち、特許文献1に記載された方法は、ごく限られた場合にしか使用することができない。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、対象物にレーザ光を照射する際に、安全かつより確実にレーザ光の照射状態を検出することができる光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光照射装置は、レーザ光を発生させる第1の光源と、所定の波長の検出光を発生させる第2の光源と、第1の光源からレーザ光を一方の端面において入力して他方の端面から出射して対象物に照射し、第2の光源から検出光を一方の端面において入力すると共に他方の端面の近傍に所定の波長の光を反射するFBG(Fiber Bragg Grating)が形成された光ファイバと、光ファイバに第2の光源から一方の端面において入力され、FBGにより反射されて当該一方の端面から出射される検出光の強度を検出する反射光検出手段と、反射光検出手段により検出された検出光の強度に基づいて、光ファイバからの対象物へのレーザ光の照射状態を検出する照射状態検出手段と、を備え、第1の光源から発生するレーザ光は、FBGに反射される波長の光以外のものであることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光照射装置では、第1の光源から発生して光ファイバからレーザ光が出射される。この出射に応じて、音圧等の圧力が光ファイバの出射位置の近傍に対して作用して、当該位置において光ファイバに歪みが発生する。この歪みにより、光ファイバに形成されたFBGの反射特性が変化して、反射される検出光の強度が変化する。従って、本発明に係る光照射装置では、このFBGにより反射される検出光の強度を検出して、当該強度に基づいて光ファイバからの対象物へのレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0009】
上記のように本発明に係る光照射装置によれば、検出光でレーザ光の照射状態を検出するので安全に当該検出を行うことができる。また、本発明に係る光照射装置では、レーザ光の照射状態の検出が、光ファイバを伝播する検出光により、レーザ光の出射に応じた光ファイバに作用する圧力を検出することによって行われる。従って、本発明に係る光照射装置では、光の反射及び散乱の性質を変化させるもの等がないような一般的な場合にでも、レーザ光の照射状態を検出することができる。即ち、本発明に係る光照射装置によれば、より確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る光照射装置は、レーザ光を発生させる第1の光源と、所定の波長の検出光を発生させる第2の光源と、第1の光源からレーザ光を一方の端面において入力して他方の端面から出射して対象物に照射する第1の光ファイバと、第2の光源から検出光を一方の端面から入力すると共に第1のファイバの他方の端面の近傍に所定の波長の光を反射するFBGが形成された第2の光ファイバと、第2の光ファイバに第2の光源から一方の端面において入力され、FBGにより反射されて当該一方の端面から出射される検出光を検出する反射光検出手段と、反射光検出手段により検出された検出光の強度に基づいて、光ファイバからの対象物へのレーザ光の照射状態を検出する照射状態検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記の構成の光照射装置でも、上述したものと同様に、検出光でレーザ光の照射状態を検出するので安全に当該検出を行うことができる。また、本発明に係る光照射装置では、レーザ光の照射状態の検出が、光ファイバを伝播する検出光により、レーザ光の出射に応じた光ファイバに作用する圧力を検出することによって行われる。従って、本発明に係る光照射装置では、光の反射及び散乱の性質を変化させるもの等がないような一般的な場合にでも、レーザ光の照射状態を検出することができる。即ち、本発明に係る光照射装置によれば、より確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0012】
照射状態検出手段は、対象物へのレーザ光の照射を行う際の、反射光検出手段により検出された検出光の強度の変化に基づいて照射状態を検出することが望ましい。この構成によれば、光ファイバに作用する圧力を確実に検出することができるので更に確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0013】
第2の光源は、複数の波長の光を発生させ、FBGは、複数の波長の光を反射するように複数形成されることが望ましい。この構成によれば、FBGにより反射される検出光を確実に検出することができるので、更に確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0014】
光照射装置は、光ファイバを通して固定するカテーテルを更に備えることが望ましい。この構成によれば、血栓等に対する治療への適用を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出光でレーザ光の照射状態を検出するので安全に当該検出を行うことができる。また、本発明では、レーザ光の照射状態の検出が、光ファイバを伝播する検出光により、レーザ光の出射に応じた光ファイバに作用する圧力を検出することによって行われる。従って、本発明では、光の反射及び散乱の性質を変化させるもの等がないような一般的な場合にでも、レーザ光の照射状態を検出することができる。即ち、本発明によれば、より確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面とともに本発明に係る光照射装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0017】
図1に本実施形態に係る光照射装置1の構成を示す。光照射装置1は、人体等の生体の血管2内に形成された血栓3に対して治療を行う装置である。具体的には、光照射装置1は、血管2に光ファイバ30を挿入して、血管2内に形成された血栓(対象物)3に対して光ファイバ30からレーザ光を照射して、血栓3を溶解するものである。また、本実施形態に係る光照射装置1では、レーザ光の照射を安全かつ効率的に行うために、レーザ光の照射状態を検出する。レーザ光の照射状態とは、治療対象の血栓3に対する光ファイバ30のレーザ光の出射端の相対位置(適切な位置から照射が行われているか)、及びレーザ光の照射効果(レーザ光によって血栓3が溶解しているか)等を指す。
【0018】
以下、光照射装置1の構成を説明する。図1に示すように、光照射装置1は、レーザ光源10と、検出光用光源20と、光ファイバ30と、光学系40と、光検出器50と、信号処理部60と、カテーテル70とを備えて構成される。
【0019】
レーザ光源10は、血栓3に照射するためのレーザ光を発生させる第1の光源である。レーザ光源10から発生するレーザ光は、パルス光(パルスレーザ)である。レーザ光源10は、発生させたレーザ光が光ファイバ30に入力されるように設けられる。レーザ光源10から発生したレーザ光は、光ファイバ30の一方の端面30aに入射して、光ファイバ30に入力される。この入力の際、レーザ光は、光学系40に含まれるレンズ41により平行光にされて、レンズ42により光ファイバ30の端面30aに入射される。
【0020】
レーザ光源10から発生するレーザ光の波長及び強度は、血栓3を溶解するのに適したものにするのが好ましい。また、レーザ光の波長は、後述するように、検出光用光源20から発生する検出光と干渉しないものとする必要がある。レーザ光源10としては、例えば、レーザダイオードを用いることができる。
【0021】
検出光用光源20は、レーザ光の照射状態の検出に用いられる所定の波長の検出光を発生させる第2の光源である。検出光用光源20は、例えば、発生させる検出光が、レーザ光源10からのレーザ光線の光路に垂直に向かうように配置される。検出光用光源20から発生した検出光は、光学系40に含まれるビームスプリッタ43により、その光路がレーザ光の光路と一致して光ファイバ30に向かうように反射される。そして、検出光は、レーザ光と同じように光ファイバ30の一方の端面30aに入射して、光ファイバ30に入力される。この入力の際、レーザ光は、光学系40に含まれるレンズ42により光ファイバ30の端面30aに入射される。
【0022】
検出光用光源20から発生する検出光としては、例えばレーザ光が用いられる。検出光は後述するようにFBG32により反射される波長の光を用いる。また、検出光の波長は、レーザ光との干渉を防止するため、レーザ光の波長の近傍(±10nm程度)の波長以外とする。検出光用光源20としては、例えば、レーザダイオードを用いることができる。
【0023】
光ファイバ30は、レーザ光源10からレーザ光を一方の端面(レーザ光入射端面)30aにおいて入力して他方の端面(レーザ光出射端面)30bから出射して対象物である血栓3に照射するものである。
【0024】
光ファイバ30から血栓3にレーザ光が照射されると、血栓3がエネルギーを吸収して溶解する。その際、血栓3においてごく短時間にエネルギーの吸収が起こるため、破裂音が発生し、光ファイバ30も物理的な圧力(音圧)を受ける。また、血栓3以外の血液や血管壁にレーザ光が照射された場合もレーザ光の照射状態に応じて、光ファイバ30が圧力を受ける。なお、この照射は、光ファイバ30が、レーザ光出射端面30b側から血管2に挿入されて行われて、不可視状態で行われる。
【0025】
また、光ファイバ30は、検出光用光源20から検出光を一方の端面(検出光入射端面)30aにおいて入力するものである。即ち、光ファイバ30には、レーザ光及び検出光の2つの異なる光が入射される。ここで、光ファイバ30のレーザ光入射端面及び検出光入射端面である端面30aは、入射が確実に行えるように位置決めされて固定されている。例えば、図1に示すように、光ファイバ30に当該端面30a側の端部にコネクタ31を接続して、レーザ光源10、検出光用光源20及び光学系40等を格納したユニット(図示せず)の所定位置にコネクタ31を差し込むことにより端面30aの位置決めを行う。
【0026】
また、光ファイバ30のレーザ光出射端面30bの近傍(例えば、端面30bから数mm程度の箇所)に所定の波長の光を反射するFBG32が形成されている。FBG32が反射する光の波長は、検出光用光源20からの検出光の波長である。レーザ光は、レーザ光出射端面30bから出射される必要があるため、レーザ光はFBG32に反射される波長の光以外のものである。従って、レーザ光及び検出光の波長は、干渉を防止する以外にも上記の目的で互いに異なるものとなる。
【0027】
図2に、光ファイバ30のFBG32が形成された箇所を示す。光ファイバ30には、入射側から波長λaのレーザ光と波長λbの検出光とが入力される。波長λaのレーザ光は、FBG32で反射されずに透過して、レーザ光の出射側に向かう。一方、波長λbの検出光は、FBG32で反射されて、入射された方向に向かう。
【0028】
図2に示すように、FBG32は、光ファイバ30のコア33の長手方向(光軸方向)に周期的な屈折率の強弱を付与することにより形成される。その結果、光ファイバ30の長手方向に周期的変調:Λが得られ、周期に合致した波長:λb=2nΛの光のみが反射する(ここで、nは伝播モードの屈折率を示す)。その一方、他の波長の光は、屈折率変動を感知せずに透過する。なお、通常、FBG32が反射する光は、上記の波長λbの光だけでなく、波長λbを中心として波長軸に対して反射率の分布(反射スペクトル)を構成する。
【0029】
光ファイバ30に対して上述したように圧力が作用すると光ファイバ30に歪みが発生する。この歪みに応じて屈折率や上記Λが変化して、FBG32が反射する光の波長がシフトする。即ち、光ファイバ30に対して圧力が作用すると、FBG32の反射特性(反射スペクトル)が変化する。従って、波長λbの検出光に対する反射率も変化する。FBG32を、光ファイバ30に圧力が作用していない状態で波長λbの検出光を最も反射する(反射率が最も大きくなる)こととした場合、光ファイバ30への圧力に応じて波長λbの検出光の反射率は小さくなる。即ち、光ファイバ30への圧力に応じて、反射される検出光の強度が減少する。
【0030】
なお、FBG32は、反射スペクトルの中心波長及び反射率を自由に選択できるので、任意の波長の検出用光を反射するものを形成することができる。また、検出光の波長も、任意に選択できるので、まず、血栓3の溶解に適したレーザ光の波長を決定して、その後その波長のレーザ光に干渉しないように検出光の波長及びFBG32で反射する光の波長を決定することが好ましい。なお、FBG32の原理上、1/3、1/5及び1/7波長…の光も反射してしまうと考えられるため、検出光の波長及びFBG32で反射する光の波長をレーザ光の3倍、5倍の波長…の近傍(±10nm程度)にすることを避ける。
【0031】
光学系40は、レーザ光及び検出光を導くためのものである。具体的には、光学系40は、2つのレンズ41,42及び2つのビームスプリッタ43,44とから構成されている。これらの構成要素は、適切にレーザ光及び検出光を導くために、適宜位置決めされて配置されている。光学系40は、上述したように、レーザ光源10からのレーザ光を光ファイバ30に入力させる。また、光学系40は、上述したように、検出光用光源20からの検出光を光ファイバ30に入力させる。更に、光ファイバ30のFBG32により反射されて端面30aから出射した検出光を、レンズ42により平行光にして、ビームスプリッタ43で反射させてレーザ光の光路と分岐させる(ここまでは光ファイバ30入射する検出光の光路と同じとなる)。更に、当該出射した検出光を、ビームスプリッタ44で反射させて、光ファイバ30入射する検出光の光路と分岐させて、光検出器50に入射させる。
【0032】
なお、光学系40は、必ずしもこのような構成を取る必要はなく、レーザ光及び検出光を光ファイバ30に入力させ、光ファイバ30のFBGにより反射された検出光を光検出器50に入力するものであればよい。例えば、サーキュレータを用いて、上記のような機能を構成することとしてもよい。
【0033】
光検出器50は、光ファイバ30に入力されFBG32により反射されて端面30aから出射される検出光の強度を検出する反射光検出手段である。光検出器50は、入射した検出光の波長毎の強度を検出する。光検出器50としては、具体的は、例えば、スペクトラムアナライザが用いられる。また、それ以外にも光電子増倍管やフォトダイオード等を用いてもよい。光検出器50は、検出した光の強度を示す信号を信号処理部60に出力する。
【0034】
信号処理部60は、光検出器50により検出された検出光の強度に基づいて、光ファイバ30からの対象物へのレーザ光の照射状態を検出する照射状態検出手段である。信号処理部60は、光検出器50と電気的に接続されており、光検出器50から検出された検出光の強度を示す信号を受信して、当該信号を処理することにより、対象物へのレーザ光の照射状態を検出する。
【0035】
上述したように、FBG32により反射される検出光の強度は、光ファイバ30に作用する圧力に応じて変化するので、当該変化を評価することにより、レーザ光の照射状態を検出する。反射される検出光の強度の変化の評価は、予め信号処理部60において記憶されているルールに基づいて行われる。
【0036】
レーザ光が血栓3に対して照射された場合、血栓3からの破裂音により、光ファイバ30が物理的な圧力(音圧)を受ける。この圧力の影響によって、FBG32の反射特性が変化する。反射特性が変化すると、FBG32で反射して光検出器50で検出される検出光の強度もそれに応じて変化する。一方、血液を含まない血管壁等にレーザ光が照射された場合、破裂音は発生しない。また、あるいは少量の血液があった場合、血液の量に応じて破裂音が小さくなる。また、血液と血栓3とでは、生じる破裂音、即ち、光ファイバ30への圧力の与えられ方が異なる可能性がある。
【0037】
上記のような現象を踏まえて、予めルールを設定しておく。例えば、反射される検出光の強度が一定の率以上減少した場合、(即ち、一定以上の圧力が光ファイバ30に加わった場合)、レーザ光によって血栓3が溶解したと検出するというルールを設定しておく。また、反射される検出光の強度(の変化)に応じて、光ファイバ30の出射端面30bと対象物である血栓3との距離を評価するようなルールであってもよい。また、光検出器50により検出された検出光の強度の変化の情報そのものを、レーザ光の照射状態を示す情報としてもよい。
【0038】
信号処理部60により検出されたレーザ光の照射状態を示す情報は、ユーザにより参照できるように、光照射装置1が備えるディスプレイ(図示せず)に画面表示したり、スピーカに音声出力したりする。また、レーザ光の照射状態を示す情報を、それ以降のレーザ光を照射するための参照情報として用いる(フィードバック制御)こととしてもよい。
【0039】
信号処理部60は、具体的には、光検出器50からの信号をAD変換するAD変換器や上述した評価のための処理を情報処理として行なうCPU(Central Processing Unit)等の構成要素を備えている。
【0040】
カテーテル70は、柔らかい細管であり、光ファイバ30を血管2に挿入するためのものである。カテーテル70は、長さ方向に2つの孔70a,70bを有しており(ダブルルーメン構造)、そのうちの一つの孔70aには光ファイバ30を通して固定する。その際、カテーテル70の先端に、光ファイバ30のレーザ光の出射端面30bが位置するようにされる。レーザ光を確実に血栓3に照射するためである。もう一方の孔70bには、カテーテルを目的箇所に到達させるためのガイドワイヤ80を通す。また、もう一方の孔70bから生食液を供給してもよい。
【0041】
引き続いて、本実施形態に係る光照射装置1の動作(使用方法)を説明する。上述したように、本実施形態に係る光照射装置1は、人体の血管2に形成された血栓3に対してレーザ光を照射して溶解させるものである。まず、カテーテル70を、人体の血管2に挿入して血栓3が形成された箇所に向けて進める。カテーテルを挿入する向きは、光ファイバ30のレーザ光の出射端面30bが前側になるようにする。
【0042】
カテーテル70が、概ね血栓3が形成された箇所に到達したら、レーザ光の照射状態を検出するために、検出光用光源20から検出光を発生させて、光ファイバ30に入射する。検出光は、光ファイバ30内部においてFBG32で反射して、光ファイバ30から出射して、光検出器50に入力される。光検出器50では、検出光の強度が検出されて、当該強度を示す信号が、信号処理部60に入力される。信号処理部60では、レーザ光が照射される前の、FBG32により反射された検出光の強度が把握される。検出光は光ファイバ30に入射し続けておく。
【0043】
続いて、レーザ光源10からレーザ光を発生させて、光ファイバ30に入射する。光ファイバ30に入射されたレーザ光は、出射端面30bから血管2内に出射する。上述したように、レーザ光の対象物に対する照射状態に応じて、光ファイバ30に作用する圧力(音圧)が変化する。作用する圧力により、FBG32で反射して光検出器50で検出される検出光の強度も変化する。信号処理部60では、レーザ光源10からのレーザ光の出射前と出射後の検出光の強度を比較して、その変化を評価することによって、レーザ光の照射状態を検出する。検出されたレーザ光の照射状態の情報は、ユーザに参照されたり、光照射装置1の動作のフィードバック制御に用いられたりする。
【0044】
上述したように本実施形態に係る光照射装置1では、光ファイバ30内部のFBGで反射される検出光でレーザ光の照射状態を検出する。従って、血管造影剤の使用やX線の照射を行うことなく、レーザ光の照射状態を検出することができ安全に当該検出を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態に係る光照射装置1では、レーザ光の照射状態の検出が、光ファイバ30を伝播する検出光により、レーザ光の出射に応じた光ファイバ30に作用する圧力を検出することによって行われる。従って、本実施形態に係る光照射装置1では、血管2内に光の反射及び散乱の性質を変化させるもの等がないような一般的な場合にでも、レーザ光の照射状態を検出することができる。即ち、本実施形態に係る光照射装置1によれば、より確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。
【0046】
これらにより、治療施行時に患者や実施者が被爆の危険に晒されることなく、安全かつ正確に治療をおこなうことができる。
【0047】
また、本実施形態に係る光照射装置1では、レーザ光の照射状態の検出のためのみに血管2に挿入するものが不要であり、レーザ光を照射するための光ファイバ30にFBG32を形成するだけでよい。また、検出光用光源20、検出光のための光学系、検出光を検出して解析する装置50,60を従来の装置に付与することだけで実施が可能である。従って、簡易な構成とすることができ、容易に実施することが可能である。
【0048】
また、本実施形態のように、血栓3へのレーザ光の照射を行う際の、検出された検出光の強度の変化に基づいて照射状態を検出することとすれば、光ファイバ30に作用する圧力を確実に検出することができ、更に確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。また、本実施形態のようにカテーテル70を備える構造とすれば、血栓3に対する治療への適用を確実に行うことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、FBG32を形成する個数については特に述べていないが、一つだけでなく複数個のそれぞれ異なる波長の光を反射するようにしたFBGを形成することとしてもよい。そのような構成とした場合、それに対応して検出光用光源20から、複数の波長の光を発生させるものとする。この構成によれば、FBG32により反射される検出光を確実に検出することができるので、更に確実にレーザ光の照射状態を検出することができる。また、光ファイバ30に位置毎にFBGを形成することとすれば、光ファイバ30のどの位置にどのような圧力が加わったかを検出することができるので、より詳細な照射状態を検出することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る光照射装置1では、光ファイバ30が一本である構成としたが、レーザ光用の光ファイバ(第1の光ファイバ)と検出光の光ファイバ(第2の光ファイバ)との二本の光ファイバを備える構成としてもよい。その場合、FBGは、当然検出光の光ファイバのみに形成される。またその場合、例えば、二本の光ファイバを束ねるようにして、レーザ光の対象物への照射による圧力がFBGに作用するように、レーザ光用の光ファイバの出射端面の近傍にFBGが形成される。
【0051】
上記のようにレーザ光と検出光とが別々の光ファイバに入力されることとすれば、レーザ光と検出光とが互いに干渉を起こすことがない。従って、レーザ光と検出光とを同じ波長の光にすることができる。これにより、例えば、1つの光源でレーザ光と検出光とを両方供給する構成とすることができる。
【0052】
また、本実施形態の光照射装置1では、レーザ光の照射対象は人体の血管2に形成された血栓3としたが、それ以外のものに適用されてもよい。例えば、人体の尿管に形成された結石に対して、それを破壊する目的でレーザ光を照射するものに適用されてもよい。即ち、人体等の血管や尿管の内部等で何らかの対象物に対してレーザ光を照射するものに対して、本発明を適用することができる。その場合、レーザ光の照射効果が十分に得られるように、対象物に応じてレーザ光の波長や強度を適宜変更するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る光照射装置の構成を示す図である。
【図2】光ファイバのFBGが形成された箇所を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1…光照射装置、2…血管、3…血栓、10…レーザ光源、20…検出光用光源、30…光ファイバ、30a,30b…端面、32…FBG、41,42…レンズ、43,44…ビームスプリッタ、50…光検出器、60…信号処理部、70…カテーテル、80…ガイドワイヤ。
【出願人】 【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
【出願日】 平成18年8月7日(2006.8.7)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹

【識別番号】100092657
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 史朗

【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟

【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治


【公開番号】 特開2008−36153(P2008−36153A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−214775(P2006−214775)