| 【発明の名称】 |
上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、判定装置、及び判定用シート |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 美鈴
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| 【要約】 |
【課題】上部消化管がん手術の術後機能障害の程度を客観的に把握するために有用な、術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シートを提供すること、並びに術後機能障害の疫学的調査を行うために有用な、疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートを提供すること。
【構成】本発明による20項目の評価尺度を使用した判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シート、並びに術後機能障害の疫学的調査を行うために有用な、疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シート。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目に対して、下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定方法。 【請求項2】 20項目に対して6段階評価のいずれかが選択され、20項目に対して選択された点数の和が、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出されることを特徴とする、請求項1に記載の判定方法。 【請求項3】 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日の合計点とともに、グラフに記入してグラフ化することを特徴とする、請求項2に記載の判定方法。 【請求項4】 最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが比較され、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さい場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することを特徴とする、請求項2に記載の判定方法。 【請求項5】 最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理され、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向が求められ、 合計点の変化の傾向が日時の経過とともに減少する傾向である場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することを特徴とする、請求項2に記載の判定方法。 【請求項6】 請求項1に記載の20項目の各項目に対して、請求項1に記載の6段階評価のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法。 【請求項7】 請求項1に記載の20項目の各項目に対して、請求項1に記載の6段階評価のいずれかが選択され、 前記20項目に対して選択された点数の和が合計点として算出され、 該合計点を、多数の被験者について算出して、統計処理することを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法。 【請求項8】 被験者に提示された請求項1に記載の20項目の各項目に対して請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが判定される工程、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【請求項9】 被験者に提示された請求項1に記載の20項目の各項目に対して請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理する工程、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向を求める工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定した場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【請求項10】 被験者に提示された請求項1に記載の20項目の各項目に対して請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、記録する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【請求項11】 被験者に提示された請求項1に記載の20項目の各項目に対して、請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、被験者及び入力日に対応した合計点として算出する工程、 多数の被験者の合計点を統計処理する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【請求項12】 請求項1に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点が、最新の入力日以前の入力日のなかで最も近い入力日(直前の入力日)の合計点として合計点記憶手段にあらかじめ記憶された合計点よりも、小さいか否かを判定する判定手段、 最新の入力日の合計点が、直前の入力日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという結果を出力する判定結果出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置。 【請求項13】 請求項1に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理をする統計演算手段、 統計処理をすることによって、合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する判定手段、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという判定結果を出力する判定結果出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置。 【請求項14】 請求項1に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力装置。 【請求項15】 請求項1に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、請求項1に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日の合計点として、被験者及び入力日に関連づけて記憶する合計点記憶手段、 多数の被験者及び入力日に関連づけられた合計点を統計処理する統計演算手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査装置。 【請求項16】 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目が表示され、各項目に対応させてそれぞれ下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 が表示されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定用シート。 【請求項17】 20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることを特徴とする、請求項16に記載の判定用シート。 【請求項18】 合計点が日時とともに減少する傾向にあるか否かを判断容易とするために、 横軸を日付又は経過日数、縦軸を合計点として記入可能なグラフ欄が表示されたグラフ用シートと、 請求項16又は請求項17に記載の判定用シートとを含んでなる、判定用シートキット。 【請求項19】 請求項16に記載の20項目が記載され、各項目に対応させてそれぞれ、請求項16に記載の6段階評価が記載されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学調査用シート。 【請求項20】 20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることを特徴とする、請求項19に記載の疫学調査用シート。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、判定装置、及び判定用シート、さらに上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートに関する。 【背景技術】 【0002】 がん手術後の生存者は、医療技術の進歩や検診システムの充実により増加傾向にある。現在がん疾患は、糖尿病や腎臓病と同じ慢性疾患の一つとして扱われるようになり、がんという病気を持ちながら生活する長期生存者が増加している(非特許文献1)。がん疾患全体の長期生存患者をみると2000年末で161万人に達しており、2015年にはほぼ倍増すると予測されている(非特許文献2)。このようにがん生存者は、医療技術の進歩や検診システムの充実により増加傾向にある(非特許文献3)。実際に、胃がん患者は48.1万人と多く、第1位である(非特許文献4)。胃がんの治療として外科的手術が優先されが、手術後は消化管の切除や再建に伴い、様々な機能障害を生じる(非特許文献5)。機能障害外にも、がん手術後の術後生存患者は、医療従事者が予測している以上に再発の不安を抱えている(非特許文献2)。同様に、食道がんにおいても食道の切除や再建に伴い、種々の機能障害を生じる(非特許文献6〜9)。 胃がんや食道がんのような上部消化管がん患者の術後の機能障害は、年月の経過とともに消失するのではなく、年月が経過しても大半の患者が何らかの機能障害や不定愁訴を抱えながら生活しており(非特許文献10〜12)、術後5年後で一人平均8.3項目(非特許文献13)、術後1-2年後で5.5項目(非特許文献14)という複数の症状を持ち、不快な症状に悩まされている。 そして、胃がんや食道がんのような上部消化管がんの手術は消化管系のなかでも特に難しい手術であり、さらに術後の状態の患者による個体差も大きい傾向にあるために、患者の術後の機能障害に、患者本人、家族、介護者が、どう認識してどう対応するかは大きな問題となっている。 【非特許文献1】がんの統計編集委員会,がんの統計<2001年版>,財団法人がん研究振興財団,(2001) 【非特許文献2】山口建:がん生存者の社会的適応に関するする研究,平成12年度厚生労働省がん研究報告書,P.276-P.278,(2001) 【非特許文献3】佐藤行彦,佐藤任宏,築野和雄,他:胃がん20年生存者の検討,埼玉県医師会誌489,P69−P70,(1990) 【非特許文献4】山口建:がん生存者の社会的適応に関する研究,平成13年度厚生労働省がん研究報告書,P820-P822,(2002) 【非特許文献5】青木照明,羽生信義:胃切除障害のマネジメント,医薬ジャーナル.P21,(2001) 【非特許文献6】Banki,F.Mason,R.et.al:Vagal-sparing esophagectomy-a more physiologic alternative, Annals of surgery,VOL.263, NO.3,P.324-P.325,(2002) 【非特許文献7】湯浅淑子:食道がん術後患者の機能喪失に対する精神的看護,ストレスコーピング理論を用いて, 消化器外科ナーシング,VOL.5.NO.5.P489-P498,(2000) 【非特許文献8】Wang,L.S.Huang,M,H.et.al:Gastric substitution for respectable carcinoma of the esophagus: an analysis of 368 cases, Annals of Thoracic surgery,VOL.53.NO.2.P289-P294,(1992) 【非特許文献9】Collard,J,M.Otte,J,B.et.al.:Quality of life three years or more after esophagectomy for cancer, 104(2), P391-P394,(1992) 【非特許文献10】Yamashita.et.al:Gastrointestinal hormone in dumping syndrome and reflex esophagitis after gastric surgery,J-Smooth-muscle-research, VOL.33.NO.2.P37-P48,(1997) 【非特許文献11】佐々木道江:胃切除術後患者の術式別食事援助,看護技術,VOL.38.NO.3.P41−P44.(2000) 【非特許文献12】佐藤寿雄・亀山仁一他:胃切除術後遺症,特に術後愁訴からみた各種切除術式の検討,消化器外科,VOL.3.NO.10.P1663−P1669,(1988) 【非特許文献13】金崎悦子:胃切除後5年を経過した患者の食生活及び身体愁訴に関する実態調査,愛媛県立医療技術短期大学紀要,第5号,P.127-135.(1992) 【非特許文献14】Nakamura M, Kido Y: Nursing assignment for gastrointestinal symptoms of post-gastrectomy patients in Japan. Paper presented at the Fifth International Nursing Research Conference;67. (2004) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 このような状況のもと、本発明者等は、上部消化管がん術後生存者の生活の質の向上を支援する方策を長年研究してきた。そして、本発明者等は、上部消化管がん術後生存者にとって、術後に現れる機能障害の症状は誰しもが経験する症状であるのか、自分一人だけに現れた症状なのか、あるいはこのような症状は日時の経過とともに改善してゆくものなのか、自分の症状は改善しつつあるのかを、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて知ることができれば、生活の質の低下を防ぐ方策につながるとの発想に至った。 【0004】 特に、胃がんや食道がんのような上部消化管がんの手術は消化管系のなかでも特に難しい手術であり、術後の状態の患者による個体差も大きい傾向にあるという事情から、術後の機能障害の程度を、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて知ることは、患者本人、家族、介護者にとって、有意義な支援となる。 【0005】 従って、本発明の目的は、上部消化管がん術後生存者自身が、術後機能障害の程度を客観的に把握するために有用な、術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シートを提供することにある。 【0006】 また、上部消化管がん術後生存者に現れるこれら複数の機能障害の程度を客観的かつ信頼性ある尺度によって測定し評価した疫学的調査はこれまでなされてこなかった。しかし、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいてこれらの機能障害について症状やその程度、生活障害について長期的な実態把握をすることができれば、上部消化管がん術後生存者に客観的な見通しを与えて、生活の質の向上に寄与すると、本発明者等は考えている。さらに、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいてこのような実態把握をすることができれば、術式ごとの機能障害の程度を明らかにすることができ、特に手術が難しいとされる胃がんや食道がんのような上部消化管がんにおいて、手術療法を選択する際の意思決定に資することが期待でき、手術後の生活に関する予測から術後の生活をイメージし安心して手術に参画できるという利益があると考えている。 【0007】 従って、本発明の目的は、上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査を行うために有用な、疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートを提供することにもある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者等は、上部消化管がん術後に伴う機能障害の程度の客観的な評価尺度法を確立することを鋭意研究してきた。そして、インタビューとパイロットスタディの結果、まず優れた評価尺度となる34項目に到達した。次にこれを283名の上部消化管がん術後生存者に対する調査に適用して、統計的な分析を行ったところ、さらに32項目に整理するという成果を得た。そしてこの32項目を、379名の上部消化管がん術後生存者に対する調査(さらに283名の上部消化管がん術後生存者に対する再調査)に適用し、統計的な分析を行って評価尺度として確立した。そしてこの32項目の統計的な分析によって、驚くべきことにこれらがわずか20項目に整理可能であることを明らかにした。この20項目に対して、統計的な分析を行って、このわずか20項目が上部消化管がん術後に伴う機能障害の程度の客観的かつ信頼性ある評価尺度となることを確立した。 【0009】 すなわち、数年間で数次にわたるこの大規模な調査によって、本発明者等は、上部消化管がん術後に伴う機能障害の程度の客観的かつ信頼性ある評価尺度となる20項目に到達し、これによって以下の本発明を完成するに至った。 【0010】 従って、本発明は、以下の[1]〜[20]にある。 [1] 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目に対して、下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定方法。 【0011】 [2] 20項目に対して6段階評価のいずれかが選択され、20項目に対して選択された点数の和が、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出されることを特徴とする、[1]に記載の判定方法。 【0012】 [3] 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日とともに、グラフに記入してグラフ化することを特徴とする、[2]に記載の判定方法。 【0013】 [4] 最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが比較され、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さい場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することを特徴とする、[2]に記載の判定方法。 【0014】 [5] 最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理され、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向が求められ、 合計点の変化の傾向が日時の経過とともに減少する傾向である場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することを特徴とする、[2]に記載の判定方法。 【0015】 [6] [1]に記載の20項目の各項目に対して、[1]に記載の6段階評価のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法。 【0016】 [7] [1]に記載の20項目の各項目に対して、[1]に記載の6段階評価のいずれかが選択され、 前記20項目に対して選択された点数の和が合計点として算出され、 該合計点を、多数の被験者について算出して、統計処理することを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法。 【0017】 [8] 被験者に提示された[1]に記載の20項目の各項目に対して[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが判定される工程、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【0018】 [9] 被験者に提示された[1]に記載の20項目の各項目に対して[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理する工程、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向を求める工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定した場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【0019】 [10] 被験者に提示された[1]に記載の20項目の各項目に対して[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、記録する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【0020】 [11] 被験者に提示された[1]に記載の20項目の各項目に対して、[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、被験者及び入力日に対応した合計点として算出する工程、 多数の被験者の合計点を統計処理する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査をコンピュータに実行させるためのプログラム。 【0021】 [12] [1]に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点が、最新の入力日以前の入力日のなかで最も近い入力日(直前の入力日)の合計点として合計点記憶手段にあらかじめ記憶された合計点よりも、小さいか否かを判定する判定手段、 最新の入力日の合計点が、直前の入力日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという結果を出力する判定結果出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置。 【0022】 [13] [1]に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理をする統計演算手段、 統計処理をすることによって、合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する判定手段、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという判定結果を出力する判定結果出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置。 【0023】 [14] [1]に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力装置。 【0024】 [15] [1]に記載の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 前記20項目の全て又はそれらの一部に対して、[1]に記載の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 前記20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 前記合計点を、被験者により点数が入力された入力日の合計点として、被験者及び入力日に関連づけて記憶する合計点記憶手段、 多数の被験者及び入力日に関連づけられた合計点を統計処理する統計演算手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査装置。 【0025】 [16] 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目が表示され、各項目に対応させてそれぞれ下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 が表示されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定用シート。 【0026】 [17] 20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることを特徴とする、[16]に記載の判定用シート。 【0027】 [18] 合計点が日時とともに減少する傾向にあるか否かを判断容易とするために、 横軸を日付又は経過日数、縦軸を合計点として記入可能なグラフ欄が表示されたグラフ用シートと、 [16]又は[17]に記載の判定用シートとを含んでなる、判定用シートキット。 【0028】 [19] [16]に記載の20項目が記載され、各項目に対応させてそれぞれ、[16]に記載の6段階評価が記載されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学調査用シート。 【0029】 [20] 20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることを特徴とする、[19]に記載の疫学調査用シート。 【発明の効果】 【0030】 本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シートによれば、上部消化管がん術後生存者が、術後機能障害の程度を客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて把握することができる。これによってこのような機能障害の症状は誰しもが経験する症状であるのか、自分一人だけに現れた症状なのか、あるいはこのような症状は日時の経過とともに改善してゆくものなのか、自分の症状は改善しつつあるのかを自ら知ることができ、これが生活の質の向上につながる。 【0031】 消化管系のなかでも特に難しく、術後の状態の患者による個体差も大きい傾向にある胃がんや食道がんのような上部消化管がんの手術において、術後の機能障害の程度を、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて知ることによって、患者本人、家族、介護者にとって、生活の質の向上のための工夫や支援をより的確に行うことができる。 【0032】 本発明は、精選されたわずか20項目に対する6段階評価の選択によってこれを行うことができるために、被験者の身体に物理的な影響を与えることなく、投薬も必要なく、被験者に高度な専門知識を要求することもなく、所要時間も短時間であり、普段の日常生活に対する制約はほぼ無視できる程に最小となっている。 【0033】 また、本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートによれば、上部消化管がん術後生存者に現れるこれら複数の機能障害の程度を客観的かつ信頼性ある尺度によって測定し評価した疫学的調査を容易に行うことができる。これによって客観的かつ信頼性ある尺度に基づいてこれらの機能障害について症状やその程度、生活障害について長期的な実態把握をすることができる。このことは、上部消化管がん術後生存者に客観的な見通しを与えて、生活の質の低下を防ぐことに寄与する。 【0034】 さらに、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいてこのような実態把握をすることにより、術式ごとの機能障害の程度を明らかにすることができ、これによって、特に手術が難しいとされる胃がんや食道がんのような上部消化管がんにおいて、手術療法を選択する際の意思決定に資する。また、患者とその家族にとっては、手術後はどのような機能障害を生じるのか、手術前にある程度の見通しがつくために、術後機能障害に関する対処や工夫の方法、手術後の患者の生活についてよりよい工夫方法などを手術前に創造でき、術後の生活をイメージし安心して手術に参画できる。さらに、看護者にとっては、上部消化管がん患者の術前オリエンテーションにおいて手術後の生活に関する状況を情報提供でき、それに伴う生活上の問題や支援方法の示唆を得ることへと発展できる。医師にとっては、術式の評価,術前のインファームドコンセントに資する。 【0035】 特に、本発明によれば上記の疫学的調査は、精選されたわずか20項目に対する6段階評価の選択によってこれを行うことができるために、被験者の身体に物理的な影響を与えることなく、投薬も必要なく、被験者に高度な専門知識を要求することもなく、所要時間も短時間であり、長期にわたる継続的な調査にも協力を得やすいものとなっている。 【発明を実施するための最良の形態】 【0036】 以下に本発明を詳細に説明する。最初に、本発明者等による上部消化管がん患者の術後機能障害評価尺度の開発について説明し、次に本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シートについて説明し、次に本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートについて説明する。 【0037】 [上部消化管がん患者の術後機能障害評価尺度の開発の背景] 上部消化管がん(ここでは胃がんおよび食道がんのことを言う)切除後の患者は、消化管の再建により術後早期のみならず、遠隔期においても複数の身体症状を抱えながら暮らしている場合が多くある。このような長期生存者は増加傾向にあるものの術後遠隔期の機能障害の程度や生活上の問題についての客観的評価法ならびに生活支援に関する研究が求められている。上部消化管がん患者の術後機能障害評価尺度の開発は、臨床における看護支援に有意義な知見をもたらすことが期待される。 【0038】 すなわち、この開発は、上部消化管がん患者の術後機能障害の程度を評価するための尺度を開発することを目的としている。さらにこれによって術後遠隔期の機能障害に伴う生活上の問題を把握し、その支援に貢献することを目的としている。 【0039】 [尺度の開発過程の概要] 開発過程は、「尺度の項目作成の検討後、尺度案34項目の作成」、「尺度案34項目を用いた予備調査後、尺度(暫定版)32項目の作成」、「尺度(暫定版)32項目を用いた本調査後、術後機能障害評価尺度32項目の確立」、「術後機能障害評価尺度20項目の作成」のの各段階を経て行った。これらを以下に説明する。 【0040】 [対象者の選出] 対象者は以下の条件を満たすものとした。 1.研究参加への同意を得られた患者 2.上部消化管がん(胃がんおよび食道がん)にて手術後3ヶ月後から3年経過した患者 3.認知症がなく言語的コミュニケーションが可能な患者 4.今回の手術が再手術ではない患者 5.調査する3ヶ月以内に化学療法および放射線療法の治療を受けていない患者 6.術後、再発徴候のない患者 7.他の消化器系の合併症がない患者 【0041】 [倫理的配慮] 以下の倫理的配慮を行った。 ・本研究のフィールドとなった2つの大学の倫理委員会での承諾を得た。 ・対象者には自由意志による研究参加への同意を得た上で研究を進め、プライバシーの保護に努めた。 ・予備調査、本調査の実施直前に、少なくとも半年以内の生存を確認した上で調査を行った。 【0042】 [尺度の項目作成] 最初の尺度の項目作成は、「術後機能障害の概念規定」、「先行研究ならびに面接調査による術後の身体症状の整理」、「研究者と専門家による尺度項目の検討:尺度第1案」、「パイロットスタディ 28名→尺度第2案」、「プリテスト 6名→尺度案34項目」の流れで行った。すなわち、まず、上部消化管がん患者の術後機能障害の概念について、「手術後の再建法に伴い出現しやすい様々な身体症状をおこしている機能の障害」と規定し、次に先行研究(和文献64件、洋文献37件)、ならびに面接調査による術後に出現しやすい身体症状を抽出し、整理し、整理した尺度項目を研究者および専門家により検討し、尺度案を作成し、パイロットスタディおよびプリテスト後、尺度項目の修正を2度行い、尺度案34項目を作成した。 【0043】 [予備調査の概要] 次に、作成した尺度案34項目を用いて、項目を検討するために予備調査を283名を対象に行った。予備調査の結果から統計学的に項目分析(G-P分析、I-T相関分析、α係数、因子分析)を行い、さらに研究者と専門家による尺度項目を検討したうえで、尺度(暫定版)32項目を作成した。 【0044】 [尺度の評定形式] 尺度の評定形式は、次の尺度を用いた。質問項目は一例を挙げれば「食欲不振がありますか」という問いであり、これに対して、次の評価のいずれかを選択して回答することになる。 【0045】 5段階評価(尺度) 1 :ほとんどない 2 :少しだけ 3 :多少は 4 :かなり 5 :非常に 【0046】 [予備調査の結果] 予備調査は、回収数223名(78.8%)、有効回答数219名(77.4%)が得られた。対象特性は、平均年齢は64.9±9.8歳、男性167名(76.3%),女性52名(23.7%)、胃がん168名、食道がん51名、尺度案34項目の合計得点の全体平均は64.8±13.2点(最小37点―最大114点)であった。 【0047】 [項目分析後の検討結果] 統計学的検討の結果、 34項目中3項目が削除の候補にあげられた。しかし、統計学的な指標は項目の削除や修正の判断材料にはなりえるが、統計学的な指標のみで項目の削除を決定してよいものではない。そこで、どの項目を残す必要があるか、また見落としの項目は無いかなど十分に研究者および臨床外科医、尺度開発の専門家とともに検討した。最終的に2項目を削除、1項目は文言の修正として、上部消化管がん術後の機能障害評価尺度(暫定版)は32項目となった。予備調査は、以上のように行った。 【0048】 [本調査の概要] 本調査は、尺度(暫定版)32項目を用いて、379名を対象に行った。得られたデータから暫定版32項目の信頼性の検討(クロンバックα係数、再テスト法)、ならびに妥当性の検討(既知グループ技法、因子分析)を行い、最終的に術後機能障害評価尺度32項目を確立した。これらを以下にさらに詳細に説明する。 【0049】 [本調査の結果] 本調査の結果、配布数379名、回収数292名(77.1%)、有効回答数283名(74.7%)を得た。対象特性は、平均年齢65.3±9.7歳、胃がん221名(男性153名、女性68名)、食道がん62名(男性 56名、女性6名)、尺度(暫定版32項目)の合計得点の平均は60.8±16.7点(最小33点ー最大114点)であった。 【0050】 [術後経過別の合計得点] 術後経過別の合計得点は、次表の通りであり、有意差は認められなかった。 【0051】 [表1 :術後経過別の合計得点 N=283] 【表1】
【0052】 [7因子の抽出] 7つの因子を抽出して、第1因子から順に、「逆流症状」「活動力障害」「食直後通過障害」「ダンピング様症状」「移送障害」「低血糖症状」「下痢症状」と命名した。 【0053】 [各因子の下位尺度の項目] 各因子の下位尺度の項目とα係数は以下の通りである。因子負荷量は0.35を規準にした。 【0054】 第1因子:逆流症状 α係数=.885 酸っぱい物のこみ上げ 苦い物のこみ上げ 苦い物のこみ上げによる不眠 飲み込む時のむせ感 【0055】 第2因子:活動力障害 α係数=.838 体力や行動力低下の程度 体重減少の程度 息切れやふらつきの程度 摂取量低下の程度 だるさや疲れの程度 腹部膨満の程度 【0056】 第3因子:食直後通過障害 α係数=.811 食事中の食べ過ぎ感 吐き気の程度 みぞおちの痛み 胸や胃のもたれ感 食後30分以内の腹痛 食後30分以内の腹鳴 硬い食べ物のつかえ感 【0057】 第4因子:ダンピング様症状 α係数=.815 食後30分以内の動悸 食後30分以内の冷や汗 食後約3時間以内の冷や汗 食後30分以内のめまい 食べ物がしみる感じ 食後の嘔吐の程度 酸っぱい物のこみ上げによる不眠 【0058】 第5因子:移送障害 α係数=.796 食欲不振の程度 げっぷの程度 軟らかい食べ物のつかえ感 胸焼けの程度 【0059】 第6因子:低血糖症状 α係数=.705 食後約3時間以内の倦怠感 食後約3時間以内の眠気 【0060】 第7因子:下痢症状 α係数=.856 下痢の程度 軟らかい便の程度 【0061】 [信頼性の検討] 次に作成した尺度の信頼性・妥当性の検討を行った。信頼性は Cronbach`sα係数と再テスト法にて分析した。32項目全体のCronbach`sα係数は.926、下位項目のCronbach`sα係数は.705〜.856より信頼性を有することが示された。再テスト法は本調査の有効回答者283名に本調査後約2-3週間経過した時点で実施した。その結果、回収数は245名(86.6%)、有効回答数は240名(84.8%)であった。 32項目の合計得点の信頼性係数(Pearsonの相関係数)=.865、項目ごとの信頼性係数(Pearsonの相関係数)=.494〜.799により回答の一致が示された。これらの結果より、尺度の再現性ないしは信頼性を有することが示された。 【0062】 [妥当性の検討] 次に妥当性の検討を行った。妥当性は、既知グループ技法と因子分析の結果を分析した。既知グループ技法では各術式による尺度合計得点の違いを解釈し、胃がんと食道がんの尺度合計得点において有意差を認めた(胃がん尺度合計得点:58.1±15.8点、食道がん尺度合計得点:70.1±16.7点 (P<0.0001))ことから構成概念妥当性の一部を有することが示された。また因子分析による下位項目の因子構造から、研究者および臨床外科医、尺度開発の専門家の判断より因子的妥当性を有することが確認された。尺度開発では、信頼性・妥当性の検討に加え開発過程が正しく行われることが重要である。今回の開発過程は、文献検討から項目決定、尺度確立に至るまで正確な取り組みを実行できたものと考えている。 【0063】 [術後機能障害評価尺度の得点比較] 術後機能障害評価尺度の得点比較を、2領域(食道癌根治手術の場合、胸・腹)と3領域(食道癌根治手術の場合、頸・胸・腹)について行った。機能障害の障害度トータルスコアは2領域で64.9±16.6点,3領域は74.3±13.3点であった.このトータルスコアは,Mann-Whitney検定にて有意に3領域郭清群が術後の障害度が高かった(p=0.031)。 【0064】 [表2 :術後機能障害評価尺度の得点比較] 【表2】
【0065】 [カテゴリー毎のスコア] カテゴリー毎のスコアは、以下の通りであった。 【0066】 [表3 :7つの因子毎の得点比較] 【表3】
【0067】 [20項目尺度の開発] 以上のように確立された術後機能障害評価尺度32項目をもとに、さらに尺度項目の選出を行った。まず、術後機能障害評価尺度32項目から、32項目GP分析、IT相関,平均得点によって20項目の選出を行った。項目選出は、統計学的手法を用いて、因子付加が一つの因子について、0.35以上で、かつ2因子にまたがって0.35以上の付加を示さない項目を選出して行った。この20項目に対して、信頼性の検討(クロンバックα係数法、再テスト法)、および妥当性の検討(既知グループ技法、因子分析)を行って、術後機能障害評価尺度20項目を確立した。 【0068】 [各因子の下位尺度の項目] 各因子の下位尺度の項目とα係数は以下の通りである。因子負荷量は0.35を規準にした。 【0069】 第1因子:逆流症状 α係数=.820 苦い物のこみ上げによる不眠 酸っぱい物のこみ上げ 飲み込む時のむせ感 【0070】 第2因子:活動力障害 α係数=.794 体力や行動力低下の程度 息切れやふらつきの程度 腹部膨満の程度 【0071】 第3因子:食直後通過障害 α係数=.762 みぞおちの痛み 食後30分以内の腹痛 食べ物がしみる感じ 吐き気の程度 【0072】 第4因子:移送障害 α係数=.789 食欲不振の程度 軟らかい食べ物のつかえ感 【0073】 第5因子:移送障害 α係数=.612 食事中の食べ過ぎ感 摂取量の低下 胸や胃のもたれ感 【0074】 第6因子:低血糖症状 α係数=.705 食後約3時間以内の倦怠感 食後約3時間以内の眠気 【0075】 第7因子:下痢症状 α係数=.856 下痢の程度 軟らかい便の程度 【0076】 [信頼性の検討] この20項目に対して、信頼性の検討を行った。20項目全体のCronbach`sα係数は、0.904(n=283)、下位尺度のCronbach`sα係数は0.612〜0.856であった。再テスト法での合計得点の信頼性係数は0.911であった。 【0077】 [妥当性の検討] この20項目に対して、妥当性の検討を行った。既知グループ技法により各術式による結果の違いを分析し構成概念妥当性の一部を確認した。 ・幽門側胃切除合計得点 : 36.95±10.5点 ・食道癌頸部吻合合計得点: 48.02±11.8点 (P<0.001) また、因子分析による下位項目の因子構造から因子的妥当性を確認した。 【0078】 20項目に対する因子分析の結果を以下の表4に示す(因子抽出法:主因子法、回転法:Kaiserの正規化を伴わないバリマックス法)。また併せて、術式ごとの尺度20項目平均値を以下の表5に示す。 【0079】 [表4 :20項目の因子分析の結果] 【表4】
【0080】 [表5 :術式ごとの尺度20項目平均値] 【表5】
【0081】 [上部消化管がん患者の術後機能障害評価尺度20項目] このように選出した術後機能障害評価尺度20項目を、次に示す。 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか 【0082】 この20項目に対して回答される6段階評価を、次に示す。 まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 この6段階評価は、既に示した5段階評価に、「まったくない 0点」を補ったものである。これによって統計的な意義はそのままに保ちつつ、最低合計点を0点とすることによって、専門的知識がない場合にも直感的に理解しやすいものとなっている。 【0083】 [上部消化管がん患者の術後機能障害評価尺度20項目の利点] このように選出した20項目には、次のような優れた点がある。 1.従来の32項目の下位項目の構造が温存されている 2.より尺度として洗練され、感度が高い 3.より短時間で簡易的に、的確に評価できる 4.合計得点が100点満点となり評価がしやすい 5.実用的である 【0084】 この20項目の尺度は、当初の34項目及び32項目から項目を減らすことで特に有益なものとなっている。一般に、このような評価項目は、もし、いたずらに項目を増やせば、患者の負担は増し、長時間かかることで患者の集中力は項目全体に答える前に途切れ、結果として感度や精度はむしろ悪化し、評価の的確さを損ない、実用的でない評価項目となっていってしまう。すなわち、この20項目尺度は、優れた統計的分析と専門家の検討によって、評価項目数の減少による不利益を生じることなく、評価項目数の減少による利益を受けることができるようにしたものであり、術後の患者にも負担をかけることなく、十全の注意力を維持しつつ、全項目に対して回答して、的確な評価ができる実用的評価項目となっている。 【0085】 この20項目の各項目は、いずれも平易な言葉で書かれ、高度な専門的知識なしでも読み取って答えることができるものであり、その表現は多くの患者にとって実感のある表現であり、自分の状態を適切に表現したものだと感じとって評価の選択をしやすい表現となっている。 【0086】 この20項目の各項目は、その評価を行う時点から過去の身体状態についての状態を回答するものであるが、評価の対象とする期間は、通常は過去1日間から8週間の範囲から選ぶことが好ましく、より好ましくは2日間から4週間の範囲、さらに好ましくは3日間から2週間の範囲、例えば1週間とすることができる。評価の対象とする期間は、例えばディスプレイへの表示又はシートへの表示等の手段によって、20項目とともに患者(被験者)に伝えることによって、その期間の過去の身体状態についての評価を得ることができる。 【0087】 このような優れた20項目尺度によって、本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、改善経過出力用プログラム、判定装置、及び判定用シート、そして、上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートもまた、既に述べたように優れたものとなっている。 【0088】 [本発明の判定方法] 以上に述べたように到達した20項目尺度を用いて、本発明は実現されたものである。すなわち、本発明は、次の判定方法: 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目に対して、下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定方法にある。 【0089】 この20項目は、上述したように用語や表現の細部にわたって工夫されたものであり、この表現による20項目を用いることが、本発明の特に好適な実施の態様となる。しかし、本発明は、この各項目の内容を維持した別な表現とすることによっても、実施することが可能である。 【0090】 本発明の判定方法において、20項目に対して6段階評価のいずれかが選択され、20項目に対して選択された点数の和が、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出されることが好ましい。このような合計点を使用することで、客観的な尺度としての使用が容易となる。この合計点は、それぞれの評価日ごとに記録を続けることによって、単純な比較やあるいは高度な統計処理の基礎とすることもできる。 【0091】 好ましい実施の態様において、最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日の合計点とともに、グラフに記入してグラフ化することができる。このようなグラフを使用すれば、高度な専門的な知識がない場合でも、合計点の経時的変化の把握が容易となる。 【0092】 好ましい実施の態様において、最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが比較され、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さい場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することができる。このような簡易な判定によっても、本発明を実施することができる。 【0093】 好ましい実施の態様において、最新の評価日の合計点が、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理され、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向が求められ、 合計点の変化の傾向が日時の経過とともに減少する傾向である場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていると判定することができる。高度な統計処理を使用しても、本発明は実施することができる。 【0094】 このような統計処理としては、一般に使用されている種々の統計処理を使用することができる。ごく簡便な方法として、例えば、過去の一定期間(例えば、2日間〜6日間、あるいは1週間〜50週間の範囲から選ぶことができ、好ましくは2週間〜20週間、特に好ましくは4週間〜12週間の範囲から選ぶことができる)の合計点の平均値と最新の評価日の合計点とを比較するといった方法も可能である。 【0095】 [本発明の疫学的調査方法] 本発明は、次の疫学的調査方法: 上述した20項目の各項目に対して、上述した6段階評価のいずれかが選択されることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法にもある。 【0096】 この20項目は、上述したように用語や表現の細部にわたって工夫されたものであり、この表現による20項目を用いることが、本発明の特に好適な実施の態様となる。しかし、本発明は、この各項目の内容を維持した別な表現とすることによっても、実施することが可能である。また、20項目は上記の順に並べることによって好適に実施が可能であるが、この順番を並べ替えることによっても好適な実施が可能である。上記の20項目の左側に付した数字は便宜的なものであり、20項目の順番を並べ替えた場合には、それに応じて改めて数字を付すことができる。 【0097】 本発明の疫学的調査方法において、上述した20項目の各項目に対して、上述した6段階評価のいずれかが選択され、 前記20項目に対して選択された点数の和が合計点として算出されることが好ましく、 該合計点を、多数の被験者について算出して、統計処理することが好ましい。 【0098】 このような合計点を使用することで、統計的な基礎としての使用が容易となる。この合計点は、それぞれの評価日ごとに記録を続けることによって、単純な比較や高度な統計処理の基礎とすることもできる。このような統計処理としては、種々の公知の統計処理を使用することができる。 【0099】 本発明の疫学的調査方法によれば、上部消化管がん術後生存者に現れるこれら複数の機能障害の程度を客観的かつ信頼性ある尺度によって測定し評価した疫学的調査を容易に行うことができる。 【0100】 [本発明の判定用プログラム] 本発明は、次の判定用プログラム: 被験者に提示された上述の20項目の各項目に対して上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの評価日以前の評価日のなかで最も近い評価日(直前の評価日)の合計点よりも小さいか否かが判定される工程、 最新の評価日の合計点が直前の評価日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムにもある。 【0101】 本発明の判定用プログラムは、上部消化管がんの術後機能障害の判定方法を実施するために使用することができる。従って、本発明の判定用プログラムは、本発明の上部消化管がんの術後機能障害の判定方法の優れた特徴を備えたものである。本発明の判定用プログラムを使用することにより、術後の機能障害の程度について、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいた判定を、容易に行うことができる。 【0102】 また、本発明は、次の判定用プログラム: 被験者に提示された上述の20項目の各項目に対して上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理する工程、 統計処理によって合計点の経時的な変化の傾向を求める工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する工程、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定した場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されていることを表示する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムにもある。 【0103】 このような統計処理としては、一般に使用されている種々の統計処理を使用することができる。ごく簡便な方法として、例えば、過去の一定期間(例えば、2日間〜6日間、あるいは1週間〜50週間の範囲から選ぶことができ、好ましくは2週間〜20週間、特に好ましくは4週間〜12週間の範囲から選ぶことができる)の合計点の平均値と最新の評価日の合計点とを比較するといった方法も可能である。 【0104】 [本発明の改善経過出力プログラム] 本発明は、次の改善経過出力プログラム: 被験者に提示された上述の20項目の各項目に対して上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、評価を行った最新の日(最新の評価日)の合計点として算出する工程、 最新の評価日の合計点を、記録する工程、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力をコンピュータに実行させるためのプログラムにもある。 【0105】 このような改善経過出力プログラムを使用することによって、本発明において、各評価日の評価を日ごとに記録することができ、これをグラフ化して出力することで、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過を、視覚的に容易に把握することができる。このような出力は、紙等の媒体に印刷することによって行ってもよく、またディスプレイ(モニター)の画面上に表示することによって行ってもよい。また、出力として電子ファイルの送信又は送信可能化を行ってもよく、この場合には例えば、メール等の手段により送信してもよく、ネットワークサーバにhtml形式等のファイルとして保存することで送信可能化してもよい。 【0106】 [本発明の疫学的調査プログラム] 本発明は、次の疫学的調査プログラム: 被験者に提示された請求項1に記載の20項目の各項目に対して、上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数として入力された点数の和を、被験者及び入力日に対応した合計点として算出する工程、 多数の被験者の合計点を統計処理する工程、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査をコンピュータに実行させるためのプログラムにもある。 【0107】 本発明の疫学的調査用プログラムは、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法を実施するために使用することができる。従って、本発明の疫学的調査用プログラムは、本発明の上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法の優れた特徴を備えたものである。本発明の疫学的調査用プログラムを使用することにより、術後の機能障害の程度について、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいた疫学的調査を、容易に行うことができる。 【0108】 [本発明の判定装置] 本発明は、次の判定装置: 上述の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 20項目の全て又はそれらの一部に対して、上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点が、最新の入力日以前の入力日のなかで最も近い入力日(直前の入力日)の合計点として合計点記憶手段にあらかじめ記憶された合計点よりも、小さいか否かを判定する判定手段、 最新の入力日の合計点が、直前の入力日の合計点よりも小さいと判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという結果を出力する判定結果出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置にもある。 【0109】 本発明の判定装置を使用することによって、本発明の上部消化管がんの術後機能障害の判定方法を容易に実施することができ、これによって術後機能障害の改善の判定を、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて、容易に行うことができる。従って、本発明の判定装置は、本発明の上部消化管がんの術後機能障害の判定方法の優れた特徴を備えたものである。 【0110】 本発明は、次の判定装置: 上述の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 20項目の全て又はそれらの一部に対して、上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の評価日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともに統計処理をする統計演算手段、 統計処理をすることによって、合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であるか否かを判定する判定手段、 合計点の変化の傾向が、日時とともに減少する傾向であると判定された場合に、上部消化管がんの術後機能障害が改善されているという判定結果を出力する判定結果出力手段、 含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善の判定装置にもある。 【0111】 このような統計処理としては、一般に使用されている種々の統計処理を使用することができる。ごく簡便な方法として、例えば、過去の一定期間(例えば、2日間〜6日間、あるいは1週間〜50週間の範囲から選ぶことができ、好ましくは2週間〜20週間、特に好ましくは4週間〜12週間の範囲から選ぶことができる)の合計点の平均値と最新の評価日の合計点とを比較するといった方法も可能である。 【0112】 [本発明の改善経過出力装置] 本発明は、次の改善経過出力装置: 上述の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 20項目の全て又はそれらの一部に対して、上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 合計点を、被験者により点数が入力された入力日(最新の入力日)の合計点として記憶する合計点記憶手段、 最新の入力日の合計点を、あらかじめ記録されたこの日以前の評価日の合計点とともにグラフ化して出力する出力手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過の出力装置にもある。 【0113】 グラフ化して出力する場合には、各評価日の合計点をX軸Y軸状の点としてプロットするX−Yグラフを使用することができ、あるいは、棒グラフや折れ線グラフなどの公知のグラフの形式でグラフ化することができる。各評価日の合計点をグラフ化して表示すると同時に、これに重ねてあるいは重ねずに、各評価日を含む一定期間の合計点の平均値を示す線(平均線)を併記して表示することもできる。このような一定期間としては、例えば、2日間〜6日間、あるいは1週間〜50週間の範囲から選ぶことができ、好ましくは2週間〜20週間、特に好ましくは4週間〜12週間の範囲から選ぶことができる。 【0114】 出力手段による出力は、紙等の媒体に印刷することによって行ってもよく、またディスプレイ(モニター)の画面上に表示することによって行ってもよい。また、出力として電子ファイルの送信又は送信可能化を行ってもよく、この場合には例えば、メール等の手段により送信してもよく、ネットワークサーバにhtml形式等のファイルとして保存することで送信可能化してもよい。 【0115】 本発明の改善経過の出力装置によればこのようにグラフ化して出力することができ、上部消化管がんの術後機能障害の改善経過を、視覚的に容易に把握することができる。 【0116】 [本発明の疫学的調査装置] 本発明は、次の疫学的調査装置: 上述の20項目の全て又はそれらの一部を記憶する項目記憶手段、 20項目の全て又はそれらの一部を表示する項目表示手段、 20項目の全て又はそれらの一部に対して、上述の6段階評価から被験者により選択された評価に対応する点数を入力する点数入力手段、 20項目に対して入力された点数を、全て加算して合計点を算出する加算演算手段、 合計点を、被験者により点数が入力された入力日の合計点として、被験者及び入力日に関連づけて記憶する合計点記憶手段、 多数の被験者及び入力日に関連づけられた合計点を統計処理する統計演算手段、 を含むことを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査装置にもある。 【0117】 このような統計処理としては、一般に使用されている種々の統計処理を使用することができる。また、本発明の疫学的調査装置を、上記の手段を備えて簡易な統計処理を行う端末処理装置(クライアント端末)と、より高度な統計処理を行う中央処理装置(サーバ装置)とにわけて構成することもできる。このように構成する場合には、クライアント端末からの出力結果をサーバ装置に入力するために、通信回線、例えばインターネット回線を使用することで好適な実施が可能である。 【0118】 本発明の疫学的調査装置は、上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法を実施するために使用することができる。従って、本発明の疫学的調査装置は、本発明の上部消化管がんの術後機能障害の疫学的調査方法の優れた特徴を備えたものである。本発明の疫学的調査装置を使用することにより、術後の機能障害の程度について、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいた疫学的調査を、容易に行うことができる。 【0119】 [本発明の判定用シート] 本発明は、次の判定用シート: 下記の項目1〜20: 1)手術前の半分位の分量を食べるとお腹がいっぱいになりますか 2)胸やお腹のもたれ感を感じますか 3)食事中に急に食べ過ぎたような感じになりますか 4)お腹がはることがありますか 5)食欲不振がありますか 6)軟らかい食べ物をのみ込む時につかえ感がありますか 7)食べ物をのみ込む時に,むせますか 8)にがいものがこみ上げてくるためによく眠れないことがありますか 9)すっぱいものがのどに上がってきますか 10)食べた物をもどすことがありますか 11)食べ物が胸にしみる感じがありますか 12)吐き気を感じますか 13)食後にみぞおちあたりが痛みますか 14)食後約30分以内に,お腹の痛みがありますか 15)食後2〜3時間後に,全身がだるく力がぬけるようになりますか 16)下痢がありますか 17)軟らかい便が出ますか 18)だるさや疲れを感じますか 19)体力や行動力の低下がありますか 20)階段や坂道をあがる時に息切れや立ちくらみを感じますか の各項目が表示され、各項目に対応させてそれぞれ下記の6段階評価: まったくない 0点 ほとんどない 1点 少しだけ 2点 多少は 3点 かなり 4点 非常に 5点 が表示されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の判定用シートにもある。 【0120】 このような判定用シートの一例を、図1に示す。図1は、判定用シートの一例であって本発明はこれによって限定されるものではない。 【0121】 図1の判定用シートには、20項目が横書きで上から順に表示され、各項目の右側に、6段階評価に対応する点数が横書きでそれぞれ表示されている。上述したように各項目の順番は入れ替えても実施することができ、各項目の左側の番号は、入れ替えた場合には新たに付することができる。最初の項目の直前には、質問項目とそれに対する評価のしかたの例示が表示されている。このような質問項目と評価の例示は、最初の項目の直前に表示することが好ましいが、これ以外の位置に表示することも可能である。また、質問項目の例示として表示する内容は、「食欲不振がありますか」に限られず、例えば20項目として記載のいずれかを選んで表示することができる。また、6段階評価の横書きの順番は、左から右へと点数が増加する順番に並べて表示されているが、逆に点数が減少する順番に並べて表示することもできる。さらに、6段階評価の表示のしかたは、全く異なる形式で表示することもできるが、後にする合計点を求める作業において、各点数に対応する評価が何個であるかを容易に数えることができる表示が好ましい。判定用シートのレイアウトは、A4又はB5程度の大きさで、横書きのレイアウトとすることが一般的な書類と同様に扱うことができて便利であるが、これに限られるものではない。 【0122】 判定用シートに表示される20項目は、上述したように用語や表現の細部にわたって工夫されたものであり、この表現による20項目を用いることが、本発明の特に好適な実施の態様となる。しかし、本発明は、この各項目の内容を維持した別な表現とすることによっても、実施することが可能である。 【0123】 判定用シートに表示される20項目は、その評価を行う時点から過去の身体状態についての状態を回答するものであり、評価する日から過去の一定期間、例えば過去一週間の身体症状について訊ねる旨の表記をすることができるが、この期間に限られるものではない。評価の対象とする期間は、通常は過去1日間から8週間の範囲から選んで表示することが好ましく、より好ましくは2日間から4週間の範囲、さらに好ましくは3日間から2週間の範囲から選んで表示することができる。 【0124】 判定用シートには、20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることが好ましい。 【0125】 判定用シートには、その他に、評価日(記入を行った日)の日付記入欄等をさらに設けることができる。 【0126】 また、本発明は、合計点が日時とともに減少する傾向にあるか否かを判断容易とするために、横軸を日付又は経過日数、縦軸を合計点として記入可能なグラフ欄が表示されたグラフ用シートと、判定用シートとを含んでなる、判定用シートキットにもある。このような判定用シートキットを使用することによって、過去の合計点の経時的推移を踏まえた判定を容易に行うことができる。 【0127】 [本発明の疫学調査用シート] 本発明は、次の疫学調査用シート: 上述の20項目が記載され、各項目に対応させてそれぞれ、上述の6段階評価が記載されていることを特徴とする、上部消化管がんの術後機能障害の疫学調査用シートにもある。 【0128】 図1に示すシートは、本発明の疫学調査用シートとして使用することもできる。すなわち、図1には、本発明の疫学調査用シートの一例が示されている。ただし、本発明の疫学的調査用シートは、図1に示すシートによって限定されるものではない。 【0129】 図1の疫学調査用シートにおいても、判定用シートの説明において述べたような表示の変更を同様に行うことができる。例えば、20項目の各項目の順番は入れ替えても実施することができ、各項目の左側の番号は、入れ替えた場合には新たに付することができる。また、質問項目とそれに対する評価のしかたの例示の表示についても、この表示位置を変更することが可能であり、質問項目として例示する内容も、入れ替えることができる。また、6段階評価の表示も、横書きの順番も逆順に並べて表示する等の変更が可能であり、あるいは全く異なる形式で表示することもできる。疫学調査用シートのレイアウトも、A4又はB5程度の大きさで横書きのレイアウトとすることが便利であるが、これに限られることなく変更することができる。 【0130】 疫学調査用シートに表示される20項目は、上述したように用語や表現の細部にわたって工夫されたものであり、この表現による20項目を用いることが、本発明の特に好適な実施の態様となるが、この各項目の内容を維持した別な表現とすることによっても、実施することが可能である。 【0131】 疫学調査用シートに表示される20項目は、その評価を行う時点から過去の身体状態についての状態を回答するものであり、評価する日から過去の一定期間、例えば過去一週間の身体症状について訊ねる旨の表記をすることができるが、この期間に限られるものではない。評価の対象とする期間は、通常は過去1日間から8週間の範囲から選んで表示することが好ましく、より好ましくは2日間から4週間の範囲、さらに好ましくは3日間から2週間の範囲から選んで表示することができる。 【0132】 疫学調査用シートには、その他に、評価日(記入を行った日)の日付記入欄等をさらに設けることができ、また、手術の行われた年月日、手術からの経過期間、術式の種類、回答者の属性を識別する記号、回答者を匿名で扱うための識別番号等を記入する欄を、所望に応じて設けることができる。 【0133】 疫学調査用シートには、20項目に対応する6段階評価による点数の和を記入するための合計点記入欄が設けられていることが好ましい。 【実施例】 【0134】 本発明で使用している20項目の評価尺度は、既に述べたように調査を実施し、統計的検討を実施して得られたものである。 【0135】 本発明の実施の一態様であるシートを、図1に示す。図1のシートは、本発明に係る判定用シート(上部消化管がんの術後機能障害の判定用シート)の実施の一態様を示すものである。また、図1のシートは、本発明に係る疫学調査用シート(上部消化管がんの術後機能障害の疫学調査用シート)の実施の一態様を示すものでもある。 【産業上の利用可能性】 【0136】 本発明の上部消化管がん患者の術後機能障害の判定方法、判定用プログラム、判定装置、及び判定用シート、そして上部消化管がん患者の術後機能障害の疫学的調査方法、疫学的調査用プログラム、疫学的調査装置、及び疫学的調査用シートは、上述したように、術後機能障害の程度を、患者、家族、看護者、介護者が、客観的かつ信頼性ある尺度に基づいて把握するために役立つものであり、それを理解するための基礎情報を収集するためにも役立つものであり、生活支援、介護、看護の分野において極めて有効な手段を提供するものである。 【図面の簡単な説明】 【0137】 【図1】本発明に係るシートの一態様を示す平面図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】505246789 【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
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| 【出願日】 |
平成18年8月7日(2006.8.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102668 【弁理士】 【氏名又は名称】佐伯 憲生
【識別番号】100127133 【弁理士】 【氏名又は名称】小板橋 浩之
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| 【公開番号】 |
特開2008−36116(P2008−36116A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−214128(P2006−214128) |
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