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【発明の名称】 弾性体波面観察装置及び方法
【発明者】 【氏名】金子 真

【氏名】戸舎 稚詞

【氏名】川原 知洋

【氏名】岡島 正純

【氏名】宮田 義浩

【要約】 【課題】簡単な構造で内臓等の生体内組織体の内部にコンパクトで挿入可能であり、また生体内組織体の内部に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物、あるいは組織的異常を非接触で検知するのに好適な弾性体波面観察装置及び方法を提供する。

【構成】本発明に係る弾性体波面観察装置は、弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影する撮影装置と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影する撮影装置と、を有する弾性体波面観察装置。
【請求項2】
弾性体は、生体内組織体であることを特徴とする請求項1に記載の弾性体波面観察装置。
【請求項3】
気体又は液体噴流の振動数は、3〜200Hzであることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性体波面観察装置。
【請求項4】
所定の周期で点滅照射するストロボの点滅の振動数は、その振動数をfs、気体又は液体噴流の振動数をfaとし、観察振動数をfvとするとき、fs=(fa±fv)/nで与えられ,nが20以下の正の整数となる範囲の振動数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性体波面観察装置。
【請求項5】
観察振動数fvは、人の動体視力に基づく観察可能な振動数をfhとするとき、0≦fv≦fhを満たす範囲の振動数であることを特徴とする請求項4に記載の弾性体波面観察装置。
【請求項6】
弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影するカメラと、該カメラにより撮影された振動波面に基づき周波数分布図を出力する記録・解析装置と、を有する弾性体波面観察装置。
【請求項7】
記録・解析装置は、カメラからのデータを記録する記録部と、該記録部に記録されたデータから振動波面の周波数分布を求める波面解析部と、該波面解析部により求められた周波数分布のうち所定周波数部分を補正し、補正された周波数分布図を求める周波数分布図出力部と、を有するものであることを特徴とする請求項6に記載の弾性体波面観察装置。
【請求項8】
弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるとともに、所定の周期でストロボを点滅照射しつつ、該観察部位の振動波面を撮影する段階と、
該撮影された振動波面の周波数分布を解析する段階と、
該解析された周波数分布のうち所定周波数部分を補正し、補正された周波数分布を求めてこれを前記撮影された振動波面に重畳表示する段階と、を有する弾性体波面観察方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性体が振動負荷を受けたときにその表面に生ずる波面を利用して、その弾性体の密度分布の不均一性を視覚的に観察する弾性体波面観察装置及び方法に係り、特に人の内臓等に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物、あるいは組織的異常を非接触で検知するのに好適な弾性体波面観察装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医師等は、診断や手術に当たって患者の体内に内視鏡を挿入して所用部位を直接観察することにより、診断や手術に必要な非常に多くの情報を得ることができる。また、内視鏡により患部を観察しながら診断や手術を行うことが広く行われている。このような、内視鏡を使用する診断や手術においては、患部を直接手で触診することができないため腫瘍や肉腫の位置を特定するのが難しい。このため、生体を傷つけないように非接触で異常個所の存否又は異常があるならばその正確な位置と状態を素早く知ること、あるいは手術すべき腫瘍や予め挿入されたマーカの位置等を素早く特定することができる装置・方法が求められている。
【0003】
このような要請に対し、特許文献1に、内臓等に空気を噴射することができるノズルと、所定のパターンフィルタを通したラインレーザ光を投射するとともに反射光を受光する内視鏡と、該反射光を受光して視覚化する観察手段とからなり、内臓等の表面の変形状態からその硬さを判別する表面硬さ分布測定装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2に、術部の顕微鏡観察光学像に対して、術部の組織内部を観察する超音波観察装置の三次元超音波画像を簡便に重畳表示させる手術用観察システムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005-91265号公報
【特許文献2】特開2005-58378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案された表面硬さ分布測定装置のようにレーザを使用するものは、内臓内に挿入可能な検出部を構成するのが容易でなく、さらに内視鏡構成部も別個に設けなければならないという問題がある。また、特許文献2に提案された手術用観察システムは、術部の内部組織を超音波により観察し三次元超音波映像を得ることができるという利点があるが、検知装置としこり等の間に空気が存在する場合や肺のように空気を含んだ臓器の場合は、検知感度が低下し映像化できない部分が生じるという問題点や、術者の技量により得ることができる情報量や診断結果に差が生じるといった問題点がある。また、検知装置に超音波を用いるものは、検知装置を接触させながら走査しなければならないので、臓器を傷つける恐れがあるといった問題点がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、簡単な構造で内臓等の生体内組織体の内部にコンパクトで挿入可能であり、また生体内組織体の内部に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物、あるいは組織的異常を非接触で検知するのに好適な弾性体波面観察装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
臓器の癌化した部分は一般に正常組織より細胞密度が高く硬度が高い。この一方、肺気腫は、肺胞が異常に拡張するかあるいは肺胞の壁が破れ隣り合う肺胞が融合して肺表面に空気の層を有する状態になる。本発明者等は、このような疾患を有する臓器は硬度あるいは密度に不均一性を有しているということに着目し、疾患を有する臓器にパルス状又は正弦波状の空気噴流を負荷し、これをいわゆるストロボ観察したとき疾患部分が視覚的に顕著に観察されるという知見を得て本発明を完成させた。
【0009】
本発明に係る弾性体波面観察装置は、弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影する撮影装置と、を有する。
【0010】
上記発明において、弾性体は内臓等の生体内組織体とすることができ、本発明によれば、内臓等に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物を非接触で検知することができる。
【0011】
また、上記発明において、パルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流の振動数は、3〜200Hzの範囲にすることができる。
【0012】
所定の周期で点滅照射するストロボの点滅の振動数は、その振動数をfs、気体又は液体噴流の振動数をfaとし、観察振動数をfvとするとき、fs=(fa±fv)/nで与えられ,nが20以下の正の整数となる範囲の振動数であるのがよい。そして、観察振動数fvは、人の動体視力に基づく観察可能な振動数をfhとするとき、0≦fv≦fhを満たす範囲の振動数である。
【0013】
また、本発明に係る弾性体波面観察装置は、弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影するカメラと、該カメラにより撮影された振動波面に基づき周波数分布図を出力する記録・解析装置と、を有するものとすることができる。
【0014】
記録・解析装置は、カメラからのデータを記録する記録部と、該記録部に記録されたデータから振動波面の周波数分布を求める波面解析部と、該波面解析部により求められた周波数分布のうち所定周波数部分を補正し、補正された周波数分布図を求める周波数分布図出力部と、を有するものであるのがよい。
【0015】
本発明に係る弾性体波面観察方法は、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるとともに、所定の周期でストロボを点滅照射しつつ、該観察部位の振動波面を撮影する段階と、該撮影された振動波面の周波数分布を解析する段階と、該解析された周波数分布のうち所定周波数部分を補正し、補正された周波数分布を求めてこれを前記撮影された振動波面に重畳表示する段階と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る弾性体波面観察装置は、簡単な構造でコンパクトなため内臓等の生体内組織体の内部に挿入可能であり、また内臓のような生体内組織体の組織的観察やその内部に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物、あるいは組織的異常を非接触で容易に観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る弾性体波面観察装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る弾性体波面観察装置の構成を示す説明図である。本弾性体波面観察装置は、弾性体に生ずる振動波面からその内部の密度や硬度の不均一さを検知する弾性体波面観察装置であって、弾性体60の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズル10と、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボ20と、観察部位の振動波面を撮影する撮影装置50と、を有する。
【0018】
ノズル10は、生体内に挿入することができるようなコンパクトな形状をしており、図1に示すように、タンク44に蓄えられた空気又は水がコンプレッサー43で加圧され、電磁弁41及び配管48を介して噴出口13からパルス状又は正弦波状に噴出されるようになっている。これにより、パルス状の若しくは正弦波状の気体又は液体噴流を弾性体60に与えることができ、弾性体60を所定の振動数で振動させることができる。パルス状の気体又は液体噴流の場合は高速な振動を生じさせることができ、インパルス応答を観察できる入力も容易に作り出すことができる利点がある。一方、正弦波状の気体又は液体噴流の場合は印加力が正弦波状になり、振動を滑らかに生じさせることができる利点がある。
【0019】
ノズル10の噴出口13の形状は、コンパクトなノズルを構成できる点からは円形断面であるのがよい。しかしながら、噴出口13の形状が矩形断面のものも必要に応じて使用することができる。この場合は、振動波面が直線状に広がるので、観察部位を広範囲に探索でき、また素早く観察できるという利点がある。
【0020】
弾性体60にパルス状又は正弦波状の振動を与えるための気体噴流は、空気を使用することができる。しかしながら、観察する弾性体によっては炭酸ガス等の気体であってもよい。また、パルス状又は正弦波状の液体噴流は水を使用することができる。例えば、胃を水で満たし、ノズル10から水のパルス状噴流を胃壁に与えことができる。これにより、一般的に用いられている接触式のプローブを用いた場合の胃壁の観察方法と比べ、衛生的で安全に、観察することが可能となる。
【0021】
弾性体60は、パルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えたときにその表面に振動波面が観察されるものであればよい。本発明は、弾性体60が内臓等の生体内組織体である場合にも、また、皮膚等の人体表面部の生体組織体であってもよく、さらに果物や食品等であってもよい。
【0022】
ストロボ20は、弾性体60に所定の振動数で点滅する光を照射できるようになっているものであればよい。例えば、ストロボ20は、公知の内視鏡のような所定の光源からの光を弾性体60に照射することができる照明装置と、照射された光を所定の周期で開閉できるシャッターとを有するものを使用することができる。
【0023】
撮影装置50は、図1に示すように、カメラ30、カメラからの信号を処理する処理装置51及びモニター53からなり、パルス状の若しくは正弦波状の気体又は液体噴流を与えられて振動する弾性体60の表面を観察することができるようになっている。カメラ30は公知のCCDカメラを使用することができ、処理装置51はコンピュータを使用することができる。なお、撮影装置50は、イメージファイバにより構成することができる。この場合は、イメージファイバを通じて医師等は直接振動波面を観察することができるので、装置全体の構造を簡単でコンパクトにすることができる。
【0024】
なお、上記に説明した例は、ノズル10、ストロボ20及びカメラ30がそれぞれ独立して一体に構成されている場合であるが、これらの全体を図1の丸枠部に示すように一体に構成することができる。また、これらは、生体内に挿入することができ、生体内組織体とは非接触で使用されるものであるが、生体に損傷を与えることがないような場合は、生体に接触させて加振できるような機構を取り付けて使用することもできる。この場合は、生体内組織体を空気噴流により振動させるよりさらに高い周波数で振動させることができる。
【0025】
本弾性体波面観察装置は、上述のように、ストロボ20が所定の周期で観察部位を点滅照射するようになっている。本発明においては、観察部位に与える気体又は液体噴流の振動数と、ストロボ20の点滅の振動数を以下に説明するように設定することが重要である。これにより、弾性体60が均質である場合は全体が静止して観察されるが、その内部に密度や硬さの異なる部分があるとその部分が振動しているように観察されるようにすることができる。すなわち、このように設定することにより、弾性体60の内部に存在する異質部分を容易に検知することができ、医師は生体内組織体の組織的に異常な部位の異常な振動状態を視覚的に把握できるようになる。
【0026】
すなわち、ストロボ20の点滅の振動数fsは、医師等がモニター53を観察しながら視認される生体内組織体(弾性体60)の観察振動数をfvとするとき、fs=(fa±fv)/nで与えられ、nが20以下の正の整数となる範囲の振動数であるように設定されるのがよい。
【0027】
この振動数関係式において、気体又は液体噴流の振動数faは、弾性体60が生体内組織体である場合にはその損傷を防止するため、また、その組織内部を観察するためには200Hz以下であるのがよい。例えば、弾性体60が肺であり、これに空気の気体噴流を与える場合においては、吹き付けられる空気の圧力は0.15MPa以下とし、その振動数は40〜90Hz、好ましくは40〜50Hzとするのがよい。
【0028】
観察振動数fvは、人の動体視力に基づく観察可能な振動数fhよりも小さくなければならない。このため、観察振動数fvは、0≦fv≦fhを満たさなければならない。fhは高くても10Hzとされるが、通常の人が観察しやすい観察振動数fvの範囲は、数Hz以下である。
【0029】
nは正の整数である必要がある。nが正の整数でない場合は、正常な振動状態を観察することができなくなるからである。そして、nは20以下であるのがよい。nが20以下であると、弾性体60の異常振動部位を視覚的に把握することができるからである。以下に、このように要求されるnの範囲について説明する。
【0030】
図2、3は、片持ち板ばねを40Hz(fa=40Hz)で振動させ、照射するストロボの点滅の振動数を変化させた場合に、振動が視覚的にどのように観測されるかを示すグラフである。図2(a)、(b)は、観察振動数fvを0.5Hzとし、fs=(40-0.5)/nにおいて、nをそれぞれ1.3、1.5とした場合を示す。一方、図3(a)〜(d)は、nを正の整数とし、それぞれ1、5、15、20とした場合を示す。なお、図2、3の各グラフは、CYBERNET社製のMATLABにより作成した。
【0031】
図2(a)によると、nが1.3の場合は、視覚的に観察される振動波形は複雑な形状を示しており、40Hzで単振動している振動体自身の振動波形とは全く異なったものになっている。また、図2(b)によると、nが1.5の場合は、視覚的に観察される振動波形は比較的単純な形状を示してはいるが、振動体自身の振動波形とは相当に異なって観察されることが分かる。このように、nが整数でない場合は、振動体の振動状態を正常に観察することができないことが分かる。
【0032】
一方、図3(a)〜(d)によると、nが整数の場合にnが増加するに従って波形が粗くなり、波形の山部が崩れていく様子が観察される。また、nが20の場合は、滑らかな波形の山部が三角状になっているが、全体としては1周期の振動波形として観察されることが分かる。すなわち、精度良く観察するには、nは小さい正の整数であるのが好ましく、また、nは20以下にするのがよいことも分かる。なお、加振周波数の波とストロボの点滅の周波数の波との位相差が生じることによっても同様な傾向を示す場合がある。このため、本例の場合においては、高精度で観察するには、nを4以下にするのがよい。
【0033】
観察振動数fvを3Hzとし、ストロボの点滅の振動数をfs=(40+3)/n又はfs=(200+3)/nとした場合に観察される観察振動波形をそれぞれ図4及び5に示す。なお、図4及び5においては実際の振動の様子は省略されている。図4によると、ストロボの点滅の振動数をfs=(40+3)/nとする場合は、精度良く観察するにはnを4以下にするのがよいのが分かる。図5によると、ストロボの点滅の振動数をfs=(200+3)/nとする場合は、精度良く観察するにはnを20以下にするのがよいのが分かる。すなわち、視覚的に弾性体60の異常振動部位を把握するには、気体又は液体噴流の振動数faや観察振動数fvに依存するが、正の整数nは20以下にするのがよい。好ましくは、nが1、2、3、程度であるのがよい。
【0034】
また、本観察振動数の式を用いて決定したストロボの点滅の振動数fsとnの積と、気体又は液体噴流の振動数faとに関し、faとn×fsの大小関係によりその振動波面の伝播の仕方が異なって観察される。fa>n×fsの場合は、図6(a)に示すように、振動波面がノズル下面から拡散していくように観察される。一方、fa<n×fsの場合は、図6(b)に示すように、振動波面がノズル下面に集中するように観察される。これにより、対象の性質に合わせて上記のいずれかを選択することにより観察し易くなり、さらに詳しく生体内組織体の内部組織を観察することができるようになる。
【0035】
以上本発明に係る弾性体波面観察装置について説明した。本弾性体波面観察装置によれば、人の内臓等に存在するしこり、腫瘍、マーカ等の異物、あるいは組織的異常を非接触で検知することができる。しかしながら、以下の構成の弾性体波面観察装置によれば、一層高い精度で人の内臓等に存在するしこり等を検知することができる。
【0036】
すなわち、弾性体の観察部位にパルス状の気体又は液体噴流、または、正弦波状の気体又は液体噴流を与えるノズルと、所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボと、前記観察部位の振動波面を撮影するカメラと、該カメラにより撮影された振動波面に基づき周波数分布図を出力する記録・解析装置と、を有する弾性体波面観察装置によって、病状の診断や腫瘍の検出に役立つ情報を提供することができるようになり、医師の診断・手術の手助ができるようになる。なお、「所定の周期で前記観察部位を点滅照射するストロボ」とは、その点滅の振動数が上述の観察振動数の式を満足するストロボを意味する。
【0037】
記録・解析装置は、カメラからのデータを記録する記録部と、該記録部に記録されたデータから振動波面の周波数分布を求める波面解析部と、該波面解析部により求められた周波数分布のうち所定周波数部分を補正し、補正された周波数分布図を求める周波数分布図出力部と、を有するものとすることができる。
【0038】
この記録・解析装置によれば、カメラからのデータを記録し、その記録されたデータに基づき周波数解析をし、そして、弾性体60の一部に異常な振動をする部分を、強調表示し、また、色づけ表示をする等により、弾性体の密度又は硬度に関する異常部分を容易に検知することができるようになる。このような処理は、瞬時になされるので、医師等がカメラで観察しているときの状態とほぼ同じ状態の振動波形をグラフ表示することができる。なお、波面解析部による振動波面の周波数解析は、例えば、CCDカメラにより撮影された画像の各ピクセルごとに離散時間高速フーリエ変換を行うことによってなされる。
【0039】
図7、8は、波面センサとしてビデオカメラを用い、肺に空気の圧力が0.15MPa、振動数が40Hzのパルス状の気体噴流を与え、ストロボの点滅の振動数をfs=(40-1)/1で照射し、上記強調表示させることができる弾性体波面観察装置によって肺の表面を観察し、撮影された画像から周波数分布を求めた周波数分布図である。図7は、肺の正常部分を観察したときの周波数分布図、図8は肺気腫が存在する部分を観察したときの周波数分布図である。図7、8において、x及びy軸はピクセル番号を示し、これにより撮影された画像の各位置が特定される。なお、これらの周波数分布図を撮影された画像に重畳表示することもできる。
【0040】
図7によると、肺の正常部分の周波数分布は、0〜0.5Hz程度の周波数成分が大部分を占めた周波数分布として観測される。これに対し図8によると、気腫の部位において、周波数が0から2.5Hz程度に急激に変化する部位が観測され、気腫の部位、すなわち正常な部位とは振動数が極端に違う部位が浮き彫りにされていることが分かる。図7、8から分かるように、本発明に係る弾性体波面観察装置によれば、肺気腫の部分に周波数の明確な異常部分が観察され、肺気腫の存在及びその位置を容易に検知できることが分かる。
【0041】
なお、上記図7,8の周波数分布図は、本試験で観察された実際の肺表面部の周波数分布を示したものであるが、さらに、視覚的に認識しやすいように強調表示することもできる。例えば、得られた周波数ごとに着色して表示することができ、また、周波数の差を拡大して一層強調させるようにすることもできる。このようにすることにより、密度や硬度がその周囲の部分と異なる異常部の検出を一層容易にすることができようになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る弾性体波面観察装置の構成を示す説明図である。
【図2】40Hzで振動する物体をfs=(40-0.5)/1.3又はfs=(40-0.5)/1.5でストロボ照射したときに視覚的に観察される振動状態と物体の振動状態を示すグラフである。
【図3】40Hzで振動する物体をfs=(40-0.5)/nでストロボ照射したときに視覚的に観察される振動状態と物体の振動状態を示すグラフである。
【図4】40Hzで振動する物体をfs=(40+3)/nでストロボ照射したときに視覚的に観察される振動状態を示すグラフである。
【図5】200Hzで振動する物体をfs=(200+3)/nでストロボ照射したときに視覚的に観察される振動状態を示すグラフである。
【図6】弾性体表面の振動波面の伝播状態を示す説明図である。
【図7】強調表示させることができる本弾性体波面観察装置により肺の正常部分を観察したときの周波数分布を示す図面である。
【図8】強調表示させることができる本弾性体波面観察装置により肺の肺気腫部分を観察したときの周波数分布を示す図面である。
【符号の説明】
【0043】
10 ノズル
13 噴出口
20 ストロボ
30 カメラ
41 電磁弁
43 コンプレッサー
44 タンク
48 配管
50 撮影装置
51 処理装置
53 モニター
60 弾性体
【出願人】 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
【出願日】 平成18年8月7日(2006.8.7)
【代理人】 【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康


【公開番号】 特開2008−36104(P2008−36104A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−214057(P2006−214057)