| 【発明の名称】 |
髄内釘およびこれを備えたネイリングシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】沢井 利直
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| 【要約】 |
【課題】大腿骨の外側内腔壁を予め必要以上に削ることなく、簡易な操作で大腿骨に適切に差し込むことを可能とする。
【構成】大腿骨内腔に差し込まれ、大腿骨近位部骨折の手術に使用される髄内釘2において、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通する貫通孔21を遠位端部に有する近位部11と、近位部11の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径となるように形成したテーパ部12と、テーパ部12の遠位側に連なると共に、大腿骨内腔に倣って屈曲形成した屈曲部26を有する遠位部13と、を備え、近位部11からテーパ部12に亘る部位には、大腿骨外側となる外側外周面31を、大腿骨内腔に倣って削り落とすように変形させたカット部32が形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大腿骨内腔に差し込まれ、大腿骨近位部骨折の手術に使用される髄内釘において、 大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通する貫通孔を有する近位部と、 前記近位部の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径となるように形成したテーパ部と、 前記テーパ部の遠位側に連なると共に、前記大腿骨内腔に倣って屈曲形成した屈曲部を有する遠位部と、を備え、 前記近位部から前記テーパ部に亘る部位には、大腿骨外側となる外側外周面を、前記大腿骨内腔に倣って削り落とすように変形させたカット部が形成されていることを特徴とする髄内釘。 【請求項2】 前記カット部は、前記近位部の近位端から前記テーパ部の遠位端に亘る部分の前記外側外周面を削り落としたように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の髄内釘。 【請求項3】 前記カット部において、大腿骨内側となる内側半部は、断面半円形に形成され、大腿骨外側となる外側半部は、断面半楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の髄内釘。 【請求項4】 前記カット部のAP視平面内における輪郭線が直線状であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の髄内釘。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の髄内釘と、 前記固定部材と、 を備えたことを特徴とするネイリングシステム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、大腿骨内腔に差し込まれ、大腿骨近位部骨折の手術に使用される髄内釘およびこれを備えたネイリングシステムに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種の髄内釘として、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材(ラグスクリュー)が貫通する貫通孔(ラグスクリュー固定孔)を有する近位部と、近位部の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径となるテーパ部と、テーパ部の遠位側に連なる遠位部と、で一体に形成されたものが知られている。そして、大腿骨内腔に対するフィット性を考慮して、遠位部には、大腿骨内腔に倣って屈曲形成した屈曲部が形成されている(特許文献1参照。)。 【特許文献1】特開2005−237528号公報(図2) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかし、従来の髄内釘では、テーパ部が、屈曲部よりも遠位側の軸線に対し、使用状態において大腿骨外側に屈曲していることから、大腿骨内腔へ慎重に差し込まないと、テーパ部(特に近位部との連続部分)の外側外周面が、大腿骨の外側内腔壁と干渉(ジャミング)するおそれがあった。 この点、テーパ部の外側外周面と外側内腔壁とが干渉しないよう、予め外側内腔壁をリーマーにより削っておくことが考えられる。しかしながら、大腿骨近位部骨折を起こしやすい老人においては、もともと外側内腔壁が薄くなっているため、これを削るにしても限界がある。 【0004】 本発明は、大腿骨の外側内腔壁を予め必要以上に削ることなく、簡易な操作で大腿骨に適切に差し込むことを可能とする髄内釘およびこれを備えたネイリングシステムを提供することを課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明の髄内釘は、大腿骨内腔に差し込まれ、大腿骨近位部骨折の手術に使用される髄内釘において、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通する貫通孔を有する近位部と、近位部の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径となるように形成したテーパ部と、テーパ部の遠位側に連なると共に、大腿骨内腔に倣って屈曲形成した屈曲部を有する遠位部と、を備え、近位部からテーパ部に亘る部位には、大腿骨外側となる外側外周面を、大腿骨内腔に倣って削り落とすように変形させたカット部が形成されていることを特徴とする。 【0006】 この構成によれば、大腿骨の外側内腔壁と干渉しやすい部分、すなわちテーパ部の近位部との連続部分の外側外周面を削り落としたようなカット部を形成したことで、大腿骨内腔への差込み時に、テーパ部の外側外周面と外側内腔壁とが干渉することが防止される。このため、大腿骨の外側内腔壁を予め必要以上に削ることなく、簡易な操作で大腿骨に適切に差し込むことができる。 【0007】 この場合、カット部は、近位部の近位端からテーパ部の遠位端に亘る部分の外側外周面を削り落としたように形成されていることが好ましい。 【0008】 この構成によれば、大腿骨の左右方向におけるカット部の変形量(削り落とし幅)を大きく取ることができる。このため、外側内腔壁との干渉をより効果的に防止することができる。 【0009】 この場合、カット部において、大腿骨内側となる内側半部は、断面半円形に形成され、大腿骨外側となる外側半部は、断面半楕円形に形成されていることが好ましい。 【0010】 この構成によれば、カット部の周面が、周方向に滑らかに形成される。このため、外側内腔壁との干渉をより効果的に防止することができる。 【0011】 この場合、カット部のAP視平面内における輪郭線が直線状であることが好ましい。 【0012】 この構成によれば、大腿骨内腔への差入れを、よりスムースに行うことができる。 【0013】 本発明のネイリングシステムは、請求項1ないし4のいずれかに記載の髄内釘と、固定部材と、を備えたことを特徴とする。 【0014】 この構成によれば、大腿骨の外側内腔壁を予め必要以上に削ることなく、簡易な操作で大腿骨に適切に差し込むことができる髄内釘を備えたことで、大腿骨近位部骨折の手術を容易且つ的確に行うことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係るネイリングシステムは、大腿骨近位部骨折(転子貫通骨折、転子間骨折、転子下骨折等)の手術に使用されるものである。 【0016】 図1に示すように、ネイリングシステム1は、大腿骨内腔Baに差し込まれる髄内釘2と、大腿骨Bの骨頭Bbに挿入される固定ブレード3(固定部材)と、髄内釘2の近位端側小口に螺合するエンドキャップ4と、遠位側で髄内釘2と大腿骨Bとを固定するロッキングボルト5とを備えている。これらの各部材は、生体親和性を有する材料(例えば、チタン合金)で構成されている。髄内釘2は、連結ねじ7により差込用器具6と連結された状態で、大腿骨内腔Baに差し込まれるようになっている。 【0017】 図2ないし図5に示すように、髄内釘2は、近位側から順に、近位部11と、テーパ部12と、遠位部13とで一体に形成されている。また、遠位部13には、大腿骨内腔Baに倣って屈曲形成した屈曲部26(後述する)を有している。すなわち、髄内釘2は、全体として、大腿骨内側に凸となるようにわずかに屈曲した屈曲形状を有している。 【0018】 本実施形態では、近位部11、テーパ部12および遠位部13の長さの比は、略2:1:3となっている。もっとも、髄内釘2は、患者の大腿骨の長さに応じて、長さの異なる複数種のものが用意されており、複数種の間では、近位部11およびテーパ部12の長さは略共通であるが、遠位部13の長さが異なっている。 【0019】 近位部11は、略一定の径(例えば16.5mm)の筒状に形成され、遠位端部に、固定ブレード3が貫通する貫通孔21を有している。貫通孔21は、屈曲部26よりも近位側の軸線(近位側軸線16)に対し、斜めに貫通形成されている。すなわち、貫通孔21は、固定ブレード3を、骨頭Bbに向かって斜め上向きに案内するようになっている。 【0020】 一方、近位部11の軸心には、近位端側小口に開口形成されたキャップ孔22と、キャップ孔22の遠位側に連なり、これより小径の連結ねじ孔23と、連結ねじ孔23の遠位側に連なり、これより小径の近位部軸孔24とが形成されている。近位部軸孔24は、上記の貫通孔21を軸方向に貫通している。キャップ孔22の内周面には、雌ねじが形成されており、エンドキャップ4が螺合するようになっている。また、連結ねじ孔23の内周面にも、雌ねじが形成されており、差込用器具6と髄内釘2とを連結する連結ねじ7が、螺合するようになっている。 【0021】 テーパ部12は、近位部11の遠位側に連なり、遠位側に向かって小径に形成されている。また、テーパ部12の軸心には、上記の近位部軸孔24の遠位側に連なり、これと同径のテーパ部軸孔25が形成されている。 【0022】 遠位部13は、テーパ部12の遠位側に連なると共に、略一定の径(例えば9mm)の筒状に形成されており、遠位端部は僅かに先細に形成されている。遠位部13の近位端部近傍には、使用状態において大腿骨内側に凸となる上記の屈曲部26が形成されている。その屈曲角度θ1、すなわち、屈曲部26よりも近位側の軸線(近位側軸線16)と遠位側の軸線(遠位側軸線17)とが、AP視(正面視)平面内で為す角度は、4°〜6°であることが好ましく、5°であることがさらに好ましい。 【0023】 一方、遠位部13の遠位端部近傍には、ロッキングボルト5が貫通する固定孔27を有している。固定孔27は、屈曲部26よりも遠位側の軸線(遠位側軸線17)に対し、略直交するように貫通形成されている。すなわち、固定孔27は、ロッキングボルト5を、略水平に案内するようになっている。さらに、固定孔27よりも遠位側の外周面には、周方向に均等間隔で4本の縦溝28が形成されている。これにより、大腿骨Bの骨幹部Bcにかかる荷重が分散されるようになっている。 【0024】 また、遠位部13の軸心には、上記のテーパ部軸孔25の遠位側に連なり、これと同径の遠位部軸孔29が形成されている。遠位部軸孔29は、固定孔27を貫通すると共に、遠位部13の遠位端側小口に開口している。このように、髄内釘2には、近位側から順に、上記したキャップ孔22、連結ねじ孔23、近位部軸孔24、テーパ部軸孔25および遠位部軸孔29により、軸心を貫通する髄内釘ワイヤー孔30が構成されている。この髄内釘ワイヤー孔30にガイドワイヤー(図示省略)を挿通して、大腿骨内腔Baへの差込みを行うことができるようになっている。もっとも、ガイドワイヤーによらずに差込みを行う場合には、近位部軸孔24、テーパ部軸孔25および遠位部軸孔29はなくてもよい。 【0025】 髄内釘2は、このように構成されているが、さらに詳細には、後述する大腿骨内腔Baへの差込み時に、テーパ部12が大腿骨Bの外側内腔壁Bdと干渉しないような外形を有している。すなわち、近位部11からテーパ部12に亘る部分には、使用状態で大腿骨外側となる外側外周面31を、大腿骨内腔Baに倣って削り落とすように変形させたカット部32が形成されている。 【0026】 このカット部32の外側半部33は、断面半楕円形に形成され、内側半部34は、断面半円形に形成されている(図5参照)。また、カット部32は、近位部11の近位端からテーパ部12の遠位端に亘る部分の外側外周面31を削り落としたように形成されており、AP視平面内における輪郭線(外側輪郭線36)が直線状になっている(図2参照)。 【0027】 なお、AP視平面内において、近位側軸線16に対して外側外周面31(カット部32)の輪郭線(外側輪郭線36)が為す角度θ2は、近位側軸線16に対してテーパ部12の内側外周面35の輪郭線(内側輪郭線37)が為す角度θ3よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態では、前者の角度θ2が10°であるのに対し、後者の角度θ3が4°となっている(図2参照)。また、テーパ部12近位端におけるカット部32の変形量(削り落とし幅D)は、例えば3mmとなっている(図4参照)。 【0028】 固定ブレード3は、大腿骨Bの骨頭Bb(骨折片)を骨幹部Bcに固定するためのものである。固定ブレード3は、全体として細長い円柱(円筒)形状を有し、ブレード本体41と、ブレード本体41の先端部のスクリュー部42と、ブレード本体41の基端に形成した工具係合部43とで一体に形成されている。このスクリュー部42により、固定ブレード3は、プレリーミングを行うことなく、骨組織を圧縮しながら挿入することができる。また、ブレード本体41の軸心には、固定ブレード3用のガイドワイヤー(図示省略)が挿通するブレードワイヤー孔(図示省略)が形成されている。なお、固定ブレード3に代えて、スクリュー部42をタッピングねじ部とした、いわゆるラグスクリューを用いてもよい。 【0029】 ここで、本実施形態のネイリングシステム1を用いた外科手術における操作手順について説明する。まず、術者は、手術前の準備として、患者の健肢側をX線写真で撮影を行い、患者に適した髄内釘2を選択する。そして、その髄内釘2を、連結ねじ7により、差込用器具6に装着しておく。また、患者を仰臥位にして、患肢側を牽引した状態で患者を固定する。そして、術者は、放射線撮像装置(図示省略)により患肢を撮像しながら患者の大腿骨Bの骨折部の整復を行った上で、手術を開始する。 【0030】 はじめに、髄内釘2を大腿骨内腔Baに差し入れる。すなわち、大腿骨B近傍の皮膚を切開し、そこから髄内釘2用のガイドワイヤーを大腿骨Bに刺入する。さらに、ガイドワイヤーを案内にして、リーマー(図示省略)により大腿骨Bの内腔壁(外側内腔壁Bdを含む)を削り、大腿骨Bを開窓する。そして、差込用器具6に接続した髄内釘2を、開窓部に挿入する。なお、髄内釘ワイヤー孔30にガイドワイヤーを通し、これを案内にして髄内釘2を差し入れてもよい。 【0031】 このとき、テーパ部12の近位部11との連続部分の外側外周面31が、大腿骨Bの外側内腔壁Bdと干渉しするおそれがあるが、本実施形態の髄内釘2では、上述したように、その外側外周面31を削り落としたようなカット部32を形成したことで、テーパ部12の外側外周面31と外側内腔壁Bdとが干渉することが防止されている。 【0032】 なお、カット部32は、少なくとも近位部11とテーパ部12との連続部分において、外側外周面31を削り落としたように形成されていればよい(図6参照)。もっとも、本実施形態のように、近位部11の近位端からテーパ部12の遠位端に亘って形成したことで、大腿骨Bの左右方向におけるカット部32の変形量を大きくとることができる。このため、外側内腔壁Bdとの干渉をより効果的に防止することができる。また、カット部32の内側半部34が断面半円形に、外側半部33が断面半楕円形に形成されていることで、外側内腔壁Bdとの干渉をより効果的に防止することができる。さらに、カット部32のAP視平面内における輪郭線(外側輪郭線35)が直線状であるため、大腿骨内腔Baへの差入れをよりスムースに行うことができる。 【0033】 次に、固定ブレード3を挿入する。すなわち、固定ブレード3用のガイドワイヤーを骨頭Bbに刺入する。そして、ブレードワイヤー孔にガイドワイヤーを通し、これを案内にして固定ブレード3を骨頭Bbに挿入する。このとき、固定ブレード3は、髄内釘2の貫通孔21に挿入を案内される。 【0034】 最後に、ロッキングボルト5により、髄内釘2と大腿骨Bとを遠位側で固定すると共に、エンドキャップ4を髄内釘2のキャップ孔22に螺合し(骨組織の進入防止)、切開部分を縫合して手術を終了する。 【0035】 以上のように、本実施形態のネイリングシステム1によれば、大腿骨Bの外側内腔壁Bdを予め必要以上に削ることなく、簡易な操作で大腿骨Bに適切に差し込むことができる髄内釘2を備えたことで、大腿骨近位部骨折の手術を容易且つ的確に行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【0036】 【図1】本発明の一実施形態に係るネイリングシステムにより骨折した大腿骨を固定した固定状態を示す図である。 【図2】ネイリングシステムの髄内釘の正面図である。 【図3】髄内釘の側面図である。 【図4】髄内釘のIV−IV線による横断面図である。 【図5】髄内釘のV−V線による縦断面図である。 【図6】他の実施形態に係る髄内釘の縦断面図である。 【符号の説明】 【0037】 1…ネイリングシステム 2…髄内釘 3…固定ブレード 11…近位部 12…テーパ部 13…遠位部 21…貫通孔 26…屈曲部 31…外側外周面 32…カット部 33…外側半部 34…内側半部 36…外側輪郭線 B…大腿骨 Ba…大腿骨内腔 Bb…骨頭
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| 【出願人】 |
【識別番号】504073539 【氏名又は名称】シンセス株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月4日(2006.8.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093964 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 稔
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| 【公開番号】 |
特開2008−36094(P2008−36094A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−213906(P2006−213906) |
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