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【発明の名称】 自動調光機能を備えた電子内視鏡装置
【発明者】 【氏名】高橋 正

【要約】 【課題】絞りのハンチングを発生させることなく、迅速に被写体を適切な明るさに定める。

【構成】CPU22で輝度平均値を算出する。操作パネル20、キーボード21の操作により参照輝度値をCPU22に入力する。輝度平均値と参照輝度値の差を算出する。輝度平均値と参照輝度値の差が所定値以上であり、絞りが前回の絞りの開閉方向と逆の方向に移動するとき、絞り18は少ない駆動量で開閉する。また絞り18の駆動量に対する輝度平均値の変化の比が所定値より大きいとき、絞り18は少ない駆動量で開閉する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像が形成される撮像素子を有する電子スコープと、前記電子スコープが着脱自在に接続されるとともに映像を表示するための表示装置が接続され、前記撮像素子から読み出される前記被写体像に応じた画像信号を映像信号に変換して前記表示装置に出力するプロセッサとを備えた電子内視鏡装置であって、
光を放射する光源と、
前記電子スコープ内に形成され、前記光源からの光を前記電子スコープのプロセッサ側から前記撮像素子のある先端側に導くファイババンドルと、
前記光源からの光が入射する前記ファイババンドルの入射端と前記光源との間に介在し、前記入射端に入射する光量を増減させる絞りと、
前記被写体像の明るさを所定の時間間隔ごとに適正な明るさに維持するように光量調節する光量調節手段とを備え、
前記光量調節手段が、
前記撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、前記表示装置に表示される被写体像の明るさを示す代表輝度値を算出する代表輝度値算出手段と、
前記代表輝度値と前記被写体像の適正な明るさを示す参照輝度値との輝度値差を検出し、前記輝度値差に応じた一連の第1の絞り移動量、または前記輝度値差に応じた前記一連の第1の絞り移動量に比べて移動量の少ない一連の第2の絞り移動量とに基づいて前記絞りを移動させる絞り制御手段とを有し、
前記絞り制御手段が、前回の前記絞り移動量に対する前記代表輝度値の変化の比を算出し、前記代表輝度値の変化の比が所定値より小さいときは前記一連の第1の絞り移動量により前記絞りを移動させ、前記代表輝度値の変化の比が前記所定値より大きいときは前記一連の第2の絞り移動量により前記絞りを移動させることを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】
前記撮像素子から前記被写体像に応じた画像信号が1フレーム又は1フィールドごとに読み出され、
前記光量調節手段が、前記絞りの駆動が終了してからの時間を計測する絞り駆動計測手段を有し、
前記絞り制御手段が、前記絞りの駆動が終了してから少なくとも前記1フレーム又は1フィールド分の画像信号が読み出されるまでの画像信号読出時間を計測した後に、前記絞りを駆動させることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記輝度値差が許容される差の範囲である許容範囲内であるか否かを判別する許容範囲判別手段をさらに備え、
前記絞り制御手段が、前記輝度値差が前記許容範囲内であれば前記絞りを駆動させず、前記輝度値差が前記許容範囲外である場合、前記絞りを、前記輝度値差に応じた目標移動量だけ移動させ、
前記許容範囲が、第1の許容範囲と、前記第1の許容範囲に比べて範囲が広い第2の許容範囲のどちらか一方に定められ、
前記許容範囲判別手段が、前記代表輝度値の変化の比が前記所定値より小さい場合、前記第1の許容範囲に基づいて判別し、前記代表輝度値の変化の比が前記所定値より大きい場合、前記第2の許容範囲に基づいて判別することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項4】
前記代表輝度値が0から255の輝度レベルに設定され、前記第1の絞り移動量および前記第2の絞り移動量が0から240の絞り駆動レベルに設定され、
前記代表輝度値の変化の比が、前回検出された代表輝度値から今回検出された代表輝度値の差に対して、前回駆動された前記絞りの前記第1の絞り移動量または前記第2の絞り移動量のいずれかの絞り移動量で割ることにより算出されることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項5】
前記所定値が前記輝度レベルおよび前記絞り移動量でおよそ3であることを特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡装置。
【請求項6】
前記代表輝度値および前記参照輝度値が0から255の輝度レベルに設定され、前記第1の許容範囲が前記輝度レベルでおよそ5であり、前記第2の許容範囲が前記輝度レベルでおよそ15であることを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡装置。
【請求項7】
メインルーチンが実行される実行時間の経過毎に1ずつ絞り駆動変数をカウントする経過時間算出手段をさらに有し、
前記絞り駆動変数が前記絞りの駆動が終了した時に0に定められ、
前記絞り制御手段が、少なくとも前記絞り駆動変数が1フレーム相当の時間または1フィールド相当の時間を前記実行時間で割った値より大きい値になった後に前記絞りを駆動させることを特徴とする請求項2に記載の電子内視鏡装置。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡スコープを生体内に挿入し、観察部位を照射することで撮影される観察部位の映像をモニタ画面上に映し出す電子内視鏡装置に関し、特に被写体の明るさを一定に維持する自動調光に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子内視鏡装置では、生体内の観察部位の映像を常に適正な明るさでモニタに表示するため、被写体の明るさを輝度値として検出し、この輝度値に基づいてスコープのライトガイド入射端と光源の間にある絞りを開閉させることにより光量を自動的に調節する自動調光機能が備えられている。この調光方式では、例えば、被写体の明るさの平均値を示す輝度平均値を算出し、この輝度平均値と、被写体像の基準となる明るさを示す輝度値(参照輝度値)とを比較する。輝度平均値と参照輝度値とに差があれば、その差に基づいて絞りの目標位置までの移動量を定め、この移動量に応じて絞りの開度を制御するモータを駆動させ、絞りを開き(もしくは閉じ)光量を調節する(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平11−76157号公報
【特許文献2】特開2000−47119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような調光方式において、迅速に適切な被写体像の明るさを得るために、前述のモータの駆動量を多くすると、絞りが目標位置を越えて、必要以上に移動してしまい絞りの位置が定まらないハンチング(発振現象)が生じる場合があり、迅速に適切な明るさを得ることができない場合がある。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決するものであり、ハンチングを生じさせずに、迅速に適切な光量調整を行う電子内視鏡装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子内視鏡装置は、被写体像が形成される撮像素子を有する電子スコープと、電子スコープが着脱自在に接続されるとともに映像を表示するための表示装置が接続され、撮像素子から読み出される被写体像に応じた画像信号を映像信号に変換して表示装置に出力するプロセッサとを備えた電子内視鏡装置であって、光を放射する光源と、電子スコープ内に形成され、光源からの光を電子スコープのプロセッサ側から撮像素子のある先端側に導くファイババンドルと、光源からの光が入射するファイババンドルの入射端と光源との間に介在し、入射端に入射する光量を増減させる絞りと、被写体像の明るさを所定の時間間隔ごとに適正な明るさに維持するように光量調節する光量調節手段とを備え、光量調節手段が、撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、表示装置に表示される被写体像の明るさを示す代表輝度値を算出する代表輝度値算出手段と、代表輝度値と被写体像の適正な明るさを示す参照輝度値との輝度値差を検出し、輝度値差に応じた一連の第1の絞り移動量、または輝度値差に応じた一連の第1の絞り移動量に比べて移動量の少ない一連の第2の絞り移動量とに基づいて絞りを移動させる絞り制御手段とを有する。
【0006】
そして、絞り制御手段が、前回の絞り移動量に対する代表輝度値の変化の比を算出し、代表輝度値の変化の比が所定値より小さいときは一連の第1の絞り移動量により絞りを移動させ、代表輝度値の変化の比が所定値より大きいときは一連の第2の絞り移動量により絞りを移動させることを特徴とする。
【0007】
例えば、撮像素子から被写体像に応じた画像信号が1フレーム又は1フィールドごとに読み出され、光量調節手段が、絞りの駆動が終了してからの時間を計測する絞り駆動計測手段を有し、絞り制御手段が、絞りの駆動が終了してから少なくとも1フレーム又は1フィールド分の画像信号が読み出されるまでの画像信号読出時間を計測した後に、絞りを駆動させる。
【0008】
例えば、輝度値差が許容される差の範囲である許容範囲内であるか否かを判別する許容範囲判別手段をさらに備え、絞り制御手段が、輝度値差が許容範囲内であれば絞りを駆動させず、輝度値差が許容範囲外である場合、絞りを、輝度値差に応じた目標移動量だけ移動させ、許容範囲が、第1の許容範囲と、第1の許容範囲に比べて範囲が広い第2の許容範囲のどちらか一方に定められ、許容範囲判別手段が、代表輝度値の変化の比が所定値より小さい場合、第1の許容範囲に基づいて判別し、代表輝度値の変化の比が所定値より大きい場合、第2の許容範囲に基づいて判別する。
【0009】
例えば、代表輝度値が0から255の輝度レベルに設定され、第1の絞り移動量および第2の絞り移動量が0から240の絞り駆動レベルに設定され、代表輝度値の変化の比が、前回検出された代表輝度値から今回検出された代表輝度値の差に対して、前回駆動された絞りの第1の絞り移動量または第2の絞り移動量のいずれかの絞り移動量で割ることにより算出される。
【0010】
例えば、所定値が輝度レベルおよび絞り移動量でおよそ3である。例えば、代表輝度値および参照輝度値が0から255の輝度レベルに設定され、第1の許容範囲が輝度レベルでおよそ5であり、第2の許容範囲が輝度レベルでおよそ15である。
【0011】
例えば、メインルーチンが実行される実行時間の経過毎に1ずつ絞り駆動変数をカウントする経過時間算出手段をさらに有し、絞り駆動変数が絞りの駆動が終了した時に0に定められ、絞り制御手段が、少なくとも絞り駆動変数が1フレーム相当の時間または1フィールド相当の時間を実行時間で割った値より大きい値になった後に絞りを駆動させる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、ハンチングを発生させることなく迅速に的確な光量制御を行う電子内視鏡装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態である電子内視鏡装置を示すブロック図である。この電子内視鏡装置は電子スコープであるスコープ30を生体内に挿入し、観察部位Sの映像をスコープ30、プロセッサ10を介してモニタ23の画面上に表示させる装置である。
【0014】
スコープ30内には、光ファイババンドルのライトガイド32が設けられており、プロセッサ10にスコープ30が接続された状態で、プロセッサ10内のキセノンランプ等の光源19からの光をスコープ30の先端側へ導く。プロセッサ10内に設けられる光源19から放射された光は、光を収束させる集光レンズ27を介してライトガイド32の入射端32aに入射する。ライトガイド32を伝搬した光はライトガイド32の出射端32bから出射し、光の配光角を広げる配光レンズ34を介して観察部位Sを照射する。観察部位Sに照射される光量は、光源19と集光レンズ27との間に設けられる絞り18により調節され、絞り18の開閉にしたがって絞り18を通過し入射端32aに入射する光量が増減される。絞り18は、絞り制御回路17からのパルス信号により制御されるステッピングモータ26によって駆動される。
【0015】
観察部位Sの像は、対物レンズLを介して、CCD等の撮像素子31上に結像される。撮像素子31の各画素上には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーモザイクフィルタが設けられ、光電変換により各色に応じた画像信号が発生する。発生した1フレーム分の画像信号は所定間隔毎に順次読み出され、プロセッサ10に送られる。なお、本実施形態では撮像方式としてNTSC方式が採用されており、1/30sec間隔毎に1フレーム分の画像信号が読み出される。言い換えると、ここでは1フレーム相当の時間=1/30secとなる。
【0016】
プロセッサ10に送られた1フレーム分の画像信号は、CCDプロセス回路11においてそれぞれ各色(R、G、B)に応じた画像信号毎に分離され、増幅される。増幅された画像信号は、A/D変換器12においてアナログの画像信号からデジタルの画像信号に変換され、信号処理回路13に送られる。
【0017】
信号処理回路13では、画像信号に対するリセット雑音の除去等の処理が行われ、処理された画像信号はホワイトバランス調整回路14に送られる。
【0018】
ホワイトバランス調整回路14では、各色(R、G、B)に応じた画像信号に基づいて色温度補正処理(ホワイトバランス調整)が施される。ここでは、白い被写体を撮像した時に、その画像を構成する全ての画素におけるR、G、Bの画像信号の比が1になるように調整される。ホワイトバランス調整された画像信号はD/A変換器24と信号変換回路25とに送られる。D/A変換器24では、デジタルの画像信号はアナログの画像信号に変換され、ビデオプロセス回路15に送られる。ビデオプロセス回路15では、R、G、Bの画像信号が映像信号であるNTSC信号等に変換され、モニタ23に送られる。これによりモニタ23の画面上において観察部位Sの映像が映し出される。
【0019】
信号変換回路25ではR、G、B各色に応じた画像信号に基づいて1フレーム分の輝度信号が求められる。この輝度信号はヒストグラム処理回路16に送られる。ヒストグラム処理回路16では、輝度信号に基づいてヒストグラム処理が施され、ヒストグラムデータが生成される。生成されたヒストグラムデータは、CPU22によって読み出される。CPU22では、ヒストグラムデータに基づいて1フレーム分の被写体像の輝度の平均値を示す輝度平均値(代表輝度値)が算出される。
【0020】
CPU22には、操作パネル20におけるスイッチの操作や、キーボード21の操作による信号が入力され、これにより自動調光時の基準輝度値となる参照輝度値の設定や、モニタ23における表示画面の変更等が行われる。また、ステッピングモータ26を駆動するための制御信号がCPU22から絞り制御回路17に送られる。
【0021】
絞り制御回路17では、送られてきた制御信号に基づき、絞り18を開く正相のパルス数か、若しくは絞り18を閉じる逆相のパルス数のパルス信号がステッピングモータ26に送られる。このパルス信号がステッピングモータ26に送られるとステッピングモータ26が駆動(正回転または逆回転)し、これにより絞り18が開閉する。
【0022】
スコープ30内のEEPROM33には、CCD31の画素数等のスコープ30の特性に関するデータが記憶されており、スコープ30がプロセッサ10に接続されたときにCPU22によって読み出される。
【0023】
図2は絞り18およびステッピングモータ26を、絞り18から光源19へ向かう方向にみたときの平面図である。
【0024】
絞り18の先端部18a(遮蔽部)は、光源19から平行に出射する光束(不図示)を全て遮光できるような円形状から形成されている。先端部18aから延びる平板状の支持アーム18bの端部には、ステッピングモータ26がギア(図示せず)を介して接続されており、ステッピングモータ26が回転すると、絞り18はステッピングモータ26の回転軸を中心に回転する。絞り18が回転すると、先端部18aの位置に応じて、絞り18を通過する光量、すなわち観察部位Sに照射される光量が変化する。ここでは、絞り18が光源19の光束側に移動する方向を絞り18の閉じる方向、絞り18が光源19の光束から離れる方向を絞りの開く方向とする。
【0025】
鉛直線に対する絞り18の回転角度aは、絞り18が開くほど増加し、全閉で0°、全開で30°である。すなわち、絞り18はステッピングモータ26の回転軸を中心に0〜30°の範囲で回転(移動)する。ステッピングモータ26の回転軸の回転量を示す回転量変数pは、0〜240の値を取り、0で絞り18は全閉、240で絞り18は全開となる。絞り18の回転角度aとステッピングモータ26の回転量変数pには線形関係が成り立っており、絞り18の回転角度aが1°に対し、ステッピングモータ26の回転量変数pは8となる。本実施形態では、回転角度aの代わりに回転量変数pによって絞り18の位置、すなわち開度を示す。例えば、回転量変数pが120である場合、絞り18の開度は全開の時を基準として半分の開度となる。
【0026】
さらに、本実施形態では、ステッピングモータ26に入力されるパルス数vpに関し、1パルスは回転量変数pを1だけ変動させる。例えば、パルス数vp=16のパルス信号がステッピングモータ26に送られた場合、回転量変数pは16だけ変動し、絞り18を開かせる(閉じさせる)。このとき、絞り18は2°だけ移動する。このように、パルス数vpは、絞り18の移動量(目標変動)に対応する。
【0027】
図3は、CPU22によって実行される電子内視鏡装置全体の動作に関するメインルーチンを示すフローチャートである。電源スイッチ(図示せず)がオン状態に定められると、ステップS101において絞り18、各制御に関する変数、モニタ23の画面上の文字表示等がそれぞれ初期値に設定される。
【0028】
ステップS102では、操作パネル20におけるスイッチ操作に基づいて、光源19の明るさの設定や自動調光時の参照輝度値の設定等が行われる。ステップS103では、キーボード21の操作に基づいて、モニタ23への文字の入力や表示画面の変更等が行われる。
【0029】
ステップS104ではスコープ30の接続に関する処理が施され、新たにスコープ30がプロセッサ10に接続されると、接続されたスコープ30のEEPROM33からスコープ特性に関するデータが読み出される。ステップS105では、その他の処理、例えば、モニタ23の画面上において時刻が表示される。以上のようなメインルーチンは電源がオフ状態に定められるまで繰り返し行われる。またそれぞれの各ステップにおいてはサブルーチンが実行される。
【0030】
図4は、自動調光による光量調整動作を示す割り込みルーチンである。この割り込みルーチンは、約1/30secごとに開始されるルーチンであり、図3のステップS102〜S105が実行されている間に割り込んで処理される。以下では、図5、図6、図7を同時に参照しながら光量調整動作について説明する。
【0031】
ステップS201では、1画面分のヒストグラムのデータがヒストグラム処理回路16からCPU22によって読み出される。ヒストグラムは図5に示すように、モニタ23の画面上に表示される被写体像の各画素の輝度に応じた輝度レベルとしてとりうる値(0〜255)を横軸とし、その横軸の各輝度値に応じた画素の個数(度数)を縦軸にとったグラフであり、被写体像の各画素の輝度分布が示される。そして、輝度平均値vaは、次式に示すようにヒストグラムの横軸の各輝度値に対応する画素の数を乗じたものの総和を1フレーム分の画素数で割ることにより算出される。ただし、jは輝度レベルを表し、njは輝度レベルjの度数を表す。
va=(Σnj×j)/Σnj (j=0〜255) …(1)
【0032】
ステップS202では輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差(|va−vr|)が許容範囲値C1よりも大きいか否かが判定される。参照輝度値vrは、観察部位Sに適正な光量の光が照射されている(画面が適度な明るさに保たれている)状態の輝度平均値であり、ここでは「128」である。また、許容範囲値C1は輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差の許容値を示す値であり、ここでは「5」である。輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が許容範囲値C1よりも大きいと判定された場合、ステップS203に進む。一方、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が許容範囲値C1より大きいと判定されなかった場合、実質的に輝度平均値vaは参照輝度値vrと等しいとみなされ、光量調節は実行されず、割り込みルーチンは終了する。
【0033】
ステップS203では、輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいか否か、すなわち、被写体像が参照輝度値vrよりも明るいか否かが判定される。輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、後述するステップS204〜S209が実行され、画面を明るすぎる状態から適正な明るさに戻すために絞り18が閉じるように光量調節される。逆に、輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定されなかった場合、後述するステップS210〜S215が実行され、画面を暗すぎる状態から適正な明るさの状態に戻すために絞り18が開くように光量調節される。
【0034】
ステップS203において、輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、すなわち被写体像が明るすぎる場合、ステップS204に進む。ステップS204では輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さいか否かが判定される。所定値C3は、絞り18がハンチングを起こす可能性がある、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差の範囲を示す値である。ここで所定値C3は「40」である。なお、所定値C3は許容範囲値C1より大きい値であり、例えば「5」〜「255」の範囲ならよい。
【0035】
ハンチングは、参照輝度値vrに相対的に近い値の輝度平均値vaに対して、必要以上に絞り18を駆動させることにより生じる。そこで本実施形態では、絞り18の移動の基準となる輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さい場合、すなわち輝度平均値vaと参照輝度値vrが相対的に近い値のときにはハンチングが発生する可能性があると判定する。
【0036】
ステップS204において輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差がC3より小さくないと判定されたとき、すなわちハンチングの発生する可能性がないときは、ステップS205に進む。ステップS205では、図6に示す表T1を用いてパルス数vpが求められる。表T1は、絞り18の移動量に応じたパルス数vpを定めるための表であり、表T1には、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差に対し、その差の範囲に応じたパルス数vpが示されている。例えば、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が44である場合、パルス数vpは「10」であり、絞り18の移動量(回転量変数pの変化量)は10に定められる。なお、表T1は、メモリ(図示せず)にあらかじめデータとして格納されている。パルス数vpが求められると、ステップS208に移る。
【0037】
一方、ステップS204において、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さいと判定されたとき、すなわちハンチングの発生する可能性があるときは、ステップS206に進む。ステップS206では、前回の絞り18の移動する方向を示す移動方向変数vdが、絞り18が開く方向であることを表す「1」であるか否かが判定される。ハンチングは、絞り18の開閉動作が交互に実行されるときに発生する。そこで本実施形態では、前回の光量調整動作において定められた絞り18の移動方向と、これから設定される移動方向とが異なる場合はハンチングの発生する可能性があると判定する。
【0038】
ステップS206において、移動方向変数vdが「1」でない、すなわち絞り18のこれから移動する方向が前回の移動方向と同じであり、ハンチングの発生する可能性がないと判定されたときは、通常の光量調節を実行するためステップS205に進み、表T1に基づいてパルス数vpが定められる。ステップS205においてパルス数vpが定められると、ステップS208に移る。
【0039】
一方、ステップS206において、移動方向変数vdが「1」である、すなわち絞り18のこれから移動する方向が、前回の移動方向と反対であり、ハンチングの発生する可能性があると判定された場合、ステップS207に進む。ステップS207では、図7に示す表T2を用いてパルス数vpが定められ、ステップS208に移る。
【0040】
ステップS207に進む場合、すなわち、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さく(ステップS204)、かつ絞り18のこれからの移動方向と前回の移動方向とが反対のとき(ステップS206)は、通常の光量調整時におけるパルス数vpを定める表T1と比較して、パルス数vpが少なめに設定されている表T2によってパルス数vpが定められる。表T1と表T2とを比較すると、例えば輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が34である場合、表T1によると上述のようにパルス数vpは「10」であるが、表T2によるときのパルス数vpは「5」である。このようにハンチングの発生する可能性がある場合には少ないパルス数vpによりステッピングモータ26を駆動させることにより、絞り18が必要以上に多く移動することが防止され、目標位置前後の移動を繰り返すハンチングを回避することが可能となる。なお、表T2は、表T1と同じようにあらかじめデータとしてメモリに記憶されている。
【0041】
ステップS208では、移動方向変数vdが絞り18が閉じる方向に移動することを表す「0」に定められ、ステップS209に進む。ステップS209では絞り18が表T1若しくは表T2に基づいて定められたパルス数vpだけ閉じる方向に移動する。その後、このルーチンは終了する。
【0042】
ステップS203において、逆に輝度平均値vaが参照輝度値vrより大きくないと判定された場合、すなわち画面の明るさが暗すぎる場合、ステップS210に進む。ステップS210〜ステップS215では、上述のステップS204〜ステップS209と同様の処理が行われる。
【0043】
ステップS210では、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さいか否かが判定される。輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さくないと判定された場合、通常の光量調節を実行するためステップS211に進み、表T1に基づいてパルス数vpが定められる。ステップS211においてパルス数vpが定められると、ステップS214に移る。
【0044】
一方、ステップS210において輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が所定値C3より小さいと判定された場合、ステップS212に進む。ステップS212では移動方向変数vdが「0」に定められているか否かが判定される。移動方向変数vdが「0」に定められていないと判定された場合、すなわち前回の絞り18の移動方向が開く方向であった場合、通常の光量調節を実行するためステップS211に進む。ステップS211においてパルス数vpが定められると、ステップS214に移る。
【0045】
一方、ステップS212において、移動方向変数vdが「0」に定められていると判定された場合、ステップS213に進む。ステップS213では、図7に示す表T2を用いてパルス数vpが定められ、ステップS214に移る。
【0046】
ステップS214では、移動方向変数vdが絞り18が開く方向に移動することを表す「1」に定められ、ステップS215に進む。ステップS215では絞り18が表T1若しくは表T2に基づいて定められたパルス数vpだけ開く方向に移動する。その後、このルーチンは終了する。
【0047】
以上のように第1の実施形態では、輝度平均値va(被写体像の明るさ)と参照輝度値vrとの差が所定値C3以下であり、且つ、現ルーチンで設定された絞り18の移動方向と前回のルーチンで設定された移動方向が反対である時は、ハンチングの発生する可能性があるとみなして、パルス数vpを少なく設定し、絞り18の移動量を通常より少なくする。これにより、ハンチングを起こす可能性がある場合は、必要以上に絞り18が移動することを防止し、ハンチングの発生を防止することができる。ハンチングを起こす可能性がない場合は、通常のパルス数vpに従って迅速に絞り18を移動させることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、ヒストグラムに基づいて輝度平均値vaを取得したが、ヒストグラムによらずに被写体像の輝度を検出してもよいことは言うまでもない。また輝度平均値vaの代わりに各画素の輝度値を大きさの順に並べたときの真中の値の輝度値である中央輝度値や1画面の中の最大値であるピーク値を参照輝度値vrと比較して自動調光してもよい。
【0049】
本実施形態は、パルス数vpと回転量変数pとが線形関係にあり、また、回転量変数pと回転角度aとが線形関係にあるが、回転量変数pとパルス数vpおよび回転量変数pと回転角度aとが線形関係でない場合、回転量変数pとパルス数vpおよび回転角度aと回転量変数pとを満たす関係式(例えば、p=f(vp)、a=g(p))に基づいて絞り18の移動量、すなわちパルス数vpを定めればよい。また、絞り18は図2に示すような軸支回りに回転する絞りに限定されず、他の絞り(例えば、U字型絞り、スリット状の絞り等)であってもよい。
【0050】
次に図8、図9および図10を用いて第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では第1の実施形態と異なり、被写体とスコープ30とが近接しているとき等に生じる、絞り18の移動量に対する輝度平均値vaの変化の比が大きい場合をハンチングの発生する可能性がある場合とみなして、表T2に基づいて定められたパルス数vpにより絞り18を駆動させる。また第2の実施形態においては、前回の絞り18の駆動終了時から1フレーム相当の時間が経過した後に、絞り18を駆動させる。その他の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0051】
図8は、CPU22によって実行される電子内視鏡装置全体の動作に関するメインルーチンを示すフローチャートである。ステップS251〜ステップS254は、図3に示すステップS101〜ステップS104と同じであり、ステップS256と図3に示すステップS105は同じである。
【0052】
ステップS255では、カウンタvnについて、1だけインクリメントされる。このメインルーチンが実行される度に計数されるカウンタvnは、後述する絞り18の駆動終了時に「0」に定められる。本実施形態においてメインルーチンは約1.3msecで実行されるので、カウンタvnを判定することにより、絞り18の駆動が終了してからの経過時間が判断される。
【0053】
図9は、第2の実施形態における自動調光による光量調整動作を示す割り込みルーチンである。第1の実施形態と同様、この割り込みルーチンは、約1/30secごとに開始されるルーチンであり、図8のステップS252〜ステップS256が実行されている間に割り込んで処理される。
【0054】
ステップS301では、カウンタvnが絞り駆動定数C5より大きいか否かが判定される。カウンタvnは、絞り18の駆動が終了した時に「0」に定められ、図8に示すメインルーチンが実行される度に計数されるカウンタである。絞り駆動定数C5は、1フレーム相当の時間に対応する値であり、ここでは「26」である。すなわち、ステップS301では絞り18の駆動が終了してから26回以上メインルーチンが実行されたか否かが判定される。なお、絞り駆動定数C5は1フレーム相当の時間より長い時間に対応していればよく、例えば26〜30の範囲の値でもよい。
【0055】
ステップS301においてカウンタvnが絞り駆動定数C5より大きくないと判定された場合、すなわち前回の絞り18の駆動終了から1フレーム相当の所定時間が経過していないと判定された場合、光量調整は実行されず割り込みルーチンは終了する。
【0056】
一方、ステップS301においてカウンタvnが絞り駆動定数C5より大きいと判定された場合、すなわち前回の絞り18駆動時から1フレーム相当の所定時間が経過したと判定された場合、ステップS302に進む。ステップS302では、1画面分のヒストグラムのデータに基づいて輝度平均値vaが算出され、ステップS303に進む。
【0057】
ステップS303では、前回の光量調整動作において検出輝度変数vfに設定された値、すなわち前回に算出された輝度平均値が前回輝度変数vtに設定され、今回算出された輝度平均値vaが検出輝度変数vfに設定される。検出輝度変数vfは検出された輝度平均値vaの値を記憶するための変数であり、前回輝度変数vtは、前回の光量調整動作時に検出された輝度平均値vaの値を記憶しておくための変数である。本実施形態では、ハンチングが発生する可能性のある状態であるか否かを判定するため、輝度平均値vaの変化の比を算出する。この変化の比の算出に検出輝度変数vf、前回輝度変数vtが用いられる。
【0058】
ステップS304では輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差(|va−vr|)が許容範囲値C1よりも大きいか否かが判定される。輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が許容範囲値C1よりも大きいと判定されるとステップS305に進む。一方、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が許容範囲値C1より大きくないと判定された場合、実質的に輝度平均値vaは参照輝度値vrと等しいとみなされ、光量制御は実行されず、割り込みルーチンは終了する。
【0059】
ステップS305では、パルス数vpに対する輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さいか否かが判定される。Δaは検出輝度変数vfと前回輝度変数vtとの差を示す値であり、このΔaを前回の光量調節処理で定められたパルス数vpで割ることにより、輝度平均値vaの変化の比が算出される。輝度平均値vaの変化の比が大きい場合は、絞り18の駆動により必要以上に輝度平均値vaが変化するので、輝度平均値vaが参照輝度値vrの値に定まりにくく、ハンチングが生じやすい。そこで本実施形態では、輝度平均値vaの変化の比が所定値(許容変化定数C6)より大きい場合はハンチングが発生する可能性があると判定する。なお、許容変化定数C6は、パルス数vpに対する輝度平均値vaの変化の比におけるハンチングの発生しない範囲を示す値であり、ここでは「3」である。許容変化定数C6の値は2〜4の範囲の値でもよい。
【0060】
輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さいと判定された場合、後述するステップS306〜S309が実行され、ハンチングの発生する可能性がないので通常の光量調整に関する表T1によりパルス数vpが設定される。逆に、輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さくないと判定された場合、すなわち絞り18の駆動により必要以上に輝度平均値vaが変化し、ハンチングを起こす可能性がある場合、後述するステップS310〜S313が実行され、ハンチングの発生する可能性があるので、表T1と比べてパルス数vpの少ない表T2によりパルス数vpが設定される。
【0061】
ステップS305において、輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さいと判定された場合、すなわちハンチングを起こす可能性がないと判定された場合、ステップS306に進み、表T1に基づいてパルス数vpが定められる。ステップS306においてパルス数vpが定められると、ステップS307に移る。ステップS307では輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいか否かが判定される。輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、ステップS308に進み、画面を明るすぎる状態から適正な明るさに戻すために絞り18が閉じ、ステップS314に移る。逆に、ステップS307において輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きくないと判定された場合、ステップS309に進み、画面を暗すぎる状態から適正な明るさの状態に戻すために絞り18が開き、ステップS314に移る。
【0062】
一方、ステップS305において、輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さくないと判定された場合、すなわちハンチングを起こす可能性がある場合、通常の光量調節より少ないパルス数により光量調整を実行するためステップS310に進み、表T2に基づいてパルス数vpが定められる。ステップS310においてパルス数vpが定められると、ステップS311に移る。ステップS311では輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいか否かが判定される。輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、ステップS312に進み、画面を明るすぎる状態から適正な明るさに戻すために絞り18が閉じ、ステップS314に移る。逆に、ステップS311において輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きくないと判定された場合、ステップS313に進み、画面を暗すぎる状態から適正な明るさの状態に戻すために絞り18が開き、ステップS314に移る。
【0063】
ステップS314では、絞り18の駆動終了から1フレーム相当の時間を計測するための変数であるカウンタvnが「0」に定められ、その後、このルーチンは終了する。
【0064】
図10はCPU22によって実行されるメインルーチンと、割り込みルーチンの実行の流れの一例を示すタイミングチャートであり、横軸は時間(t)である。ここでは、絞り18の駆動は、点Aから点A´の間と、点Cから点D´の間で実行されている。点Aから点A´までの時間は1/30sec(1フレーム相当の時間)以下であり、点Cから点D´までの時間は1/30sec以上1/15(2/30)sec未満である。ここでは図8に示すメインルーチンの実行と、図9に示す割り込みルーチンとの実行の時間的順序について説明する。
【0065】
上述のようにメインルーチンでは、絞り18の駆動が終了した時に0に設定されたカウンタvn0に対し、メインルーチンが実行されるたびにカウンタvnの値が1だけインクリメントされる。一方、割り込みルーチンはカウンタvnが絞り駆動定数C5より大きい値のときに、絞り18を駆動させる。
【0066】
割り込みルーチンは、点Aから1/30secごとに実行され、点B〜点Fにおいて実行される。点Aにおいて割り込みルーチンが実行され、絞り18の駆動が開始され、点A´において絞り18の駆動が終了すると、カウンタvnが0に定められる。カウンタvnは点A´からメインルーチンが実行されるたびに1ずつインクリメントされる。本実施形態では、メインルーチンは約1.3msecで実行され、カウンタvnが「26」以上の値に定められたときに割り込みルーチンにおいて絞り18の駆動が実行可能となるので、次回絞り18の駆動が実行されるのは、1.3msec×26=33.8msec以上の時間が経過した後である。この絞り18の駆動が実行可能となる時間は画像信号の1フレーム相当の時間に対応する。
【0067】
点Bでは、点Aでの割り込みルーチン開始から1/30secが経過したので、再び割り込みルーチンが開始される。このとき、カウンタvnは絞り駆動定数C5の値より小さい、すなわち点A´での絞り駆動終了からメインルーチンは26回実行されていないので、絞り駆動はされずにメインルーチンに戻る。すなわち、図9においてステップS301からそのままメインルーチンに戻る。
【0068】
点Cでは、点Bでの割り込みルーチン開始から1/30secが経過したので、割り込みルーチンが開始される。このときカウンタvnは絞り駆動定数C5の値より大きい、すなわち点A´での絞り駆動終了からメインルーチンは26回以上実行されているので、絞り18の駆動が実行される。すなわち、図9におけるステップS301からステップS302以降の絞り駆動動作が実行される。
【0069】
点Dでは、点Cでの割り込みルーチン開始から1/30secが経過しているが、前回の割り込みルーチンが終了していないときは割り込みルーチンは実行されない。
【0070】
点Eでは、点Dから1/30sec経過したので割り込みルーチンが開始される。このとき点D´における絞り駆動終了から所定時間経過していないので、絞り駆動は実行されず、点Eから1/30sec経過後の点Fにおける割り込みルーチンで絞り駆動が実行される。これにより、前回の絞り駆動が完了し、この結果が反映された後に読み出された画像信号に基づいて次の絞り駆動が実行されるので、正確な光量調整が実行される。なお、絞り18の駆動が実行可能となる時間は画像信号の1フィールド相当の時間に対応してもよい。
【0071】
以上のような第2の実施形態によれば、例えば被写体とスコープ30が近接している場合等における絞り18の駆動量に対する被写体の明るさの変化の比が大きいときにはハンチングの発生する可能性があるとみなし、パルス数vpを少なく設定する。これにより、被写体の明るさの変化の比が大きいときは必要以上に絞り18は移動しないので、ハンチングを防止することができる。ハンチングを起こす可能性がない場合は通常のパルス数vpにより絞り18を移動させるので迅速に適正光量を得ることができる。
【0072】
このとき輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)の算出、及び絞り18の駆動を、前回の駆動終了時から1フレーム相当の時間が経過した後に実行し、前回の絞り18の駆動の結果が反映された被写体の輝度により絞り18を移動させるので、正確に絞り18の移動量を定めることができる。
【0073】
次に図11を用いて第3の実施形態を説明する。第3の実施形態ではハンチングを起こす可能性がある場合には通常の場合と比較して、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差の許容範囲値を大きく設定する。すなわち、実質的に輝度平均値vaと参照輝度値vrとが等しいと判定される範囲を広くする。その他の構成については、第2の実施形態と同じである。
【0074】
図11は、第3の実施形態における自動調光による光量調整動作を示す割り込みルーチンである。ステップS401〜ステップS403の実行は、図9のステップS301〜ステップS303の実行と同じである。
【0075】
ステップS404では、パルス数vpに対する輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さいか否かが判定される。輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さいと判定された場合、すなわちハンチングを起こす可能性がない場合、通常の光量調節を実行するためステップS405に進み、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差(|va−vr|)が第1の許容範囲値C1Sよりも大きいか否かが判定される。第1の許容値C1Sは、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差の許容値を示す値であり、ハンチングを起こす可能性のない場合における光量調整の実行に用いられる。ここでは第1の許容範囲値C1Sは「5」である。
【0076】
輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が第1の許容範囲値C1Sよりも大きいと判定された場合、ステップS406に進む。一方、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が第1の許容範囲値C1Sより大きくないと判定された場合、実質的に輝度平均値vaは参照輝度値vrと等しいとみなされ、光量制御は実行されず、割り込みルーチンは終了する。
【0077】
ステップS406では表T1に基づいてパルス数vpが定められ、ステップS407に移る。ステップS407では輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいか否か、すなわち、絞り18を駆動させる方向が判定される。輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、ステップS408に進み、画面を明るすぎる状態から適正な明るさに戻すために絞り18が閉じ、ステップS410に移る。逆に、平均輝度値vaが参照輝度値vrよりも小さいと判定された場合、ステップS409に進み、画面を暗い状態から適正な明るさの状態に戻すために絞り18が開き、ステップS410に移る。ステップS410では、カウンタvnが「0」に定められ、その後、このルーチンは終了する。
【0078】
一方、ステップS404において、輝度平均値vaの変化の比(Δa/vp)が許容変化定数C6より小さくないと判定された場合、すなわちハンチングを起こす可能性があると判定された場合、通常の光量調節の実行と比較して少ないパルス数により光量調整を実行するためステップS411に進み、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差(|va−vr|)が第2の許容範囲値C1Lよりも大きいか否かが判定される。第2の許容値C1Lは、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差の許容値を示す値であり、ハンチングを起こす可能性のある場合における光量調整の実行に用いられる。ここで第2の許容範囲値C1Lは「15」である。第2の許容値C1Lは、通常の光量調整の実行において用いられる第1の許容範囲値C1Sと比較して、許容幅が大きく設定されている。これにより輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が微小な場合に生じるハンチングを回避することができる。
【0079】
ステップS411において輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が第2の許容範囲値C1Lよりも大きいと判定された場合、ステップS412に進む。一方、輝度平均値vaと参照輝度値vrとの差が第2の許容範囲値C1Lより大きいと判定されなかった場合、実質的に輝度平均値vaは参照輝度値vrと等しいとみなされ、光量調整は実行されず、割り込みルーチンは終了する。
【0080】
ステップS412では表T2に基づいてパルス数vpが定められる。ステップS412においてパルス数vpが定められると、ステップS413に移る。ステップS413では輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいか否かが判定される。輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも大きいと判定された場合、ステップS414に進み、画面を明るすぎる状態から適正な明るさに戻すために絞り18が閉じ、ステップS416に移る。逆に、輝度平均値vaが参照輝度値vrよりも小さいと判定された場合、ステップS415に進み、画面を暗い状態から適正な明るさの状態に戻すために絞り18が開き、ステップS416に移る。ステップS416では、カウンタvnが「0」に定められ、その後、このルーチンは終了する。
【0081】
以上のような第3の実施形態によれば、ハンチングを起こす可能性が高くなるときは、輝度平均値vaと参照輝度値vrとを実質的に同じであるとみなす許容範囲幅を広く設定するので、ハンチングを防ぐことができる。
【0082】
なお、第1の実施形態においても、第2の実施形態、第3の実施形態と同様に、絞り18が駆動を終了してから、この絞り駆動が反映された画像信号(1フレーム又は1フィールド相当)が読み出される時間経過後に次の絞り駆動を開始させる(ステップS301、ステップS401)ように制御することにより、ハンチングの発生をさらに防止するようにしてもよい。すなわちこの絞り18の駆動が反映された画像信号が読み出される時間経過後に次の絞り駆動を開始させることのみによってハンチングを防止することが可能である。
【0083】
なお、第1〜第3の実施形態では、プロセッサ10内に設けられた光源19からの光に対して、絞り18の開閉動作により光量調節し、観察部位Sを照射する構成であるが、スコープ30の先端に例えばLED(発光ダイオード)を設けて、観察部位Sを照射してもよい。この場合、第1〜第3の実施形態におけるパルス数vpはLEDに送られる電流の変化量に大小に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】絞りを示した平面図である。
【図3】電子内視鏡装置全体の動作の流れを示したメインルーチンである。
【図4】自動調光による光量調整を示す割り込みルーチンである。
【図5】ヒストグラムを示した図である。
【図6】輝度平均値と参照輝度値との差に対する第1のパルス数を示した表を表す図である。
【図7】輝度平均値と参照輝度値との差に対する第2のパルス数を示した表を表す図である。
【図8】第2の実施形態における電子内視鏡装置全体の動作の流れを示したメインルーチンである。
【図9】第2の実施形態における自動調光による光量調整を示す割り込みルーチンである。
【図10】メインルーチンと割り込みルーチンの実行の流れを示す図である。
【図11】第3の実施形態における自動調光による光量調整を示す割り込みルーチンである。
【符号の説明】
【0085】
18 絞り
22 CPU
26 ステッピングモータ
va 輝度平均値
vr 参照輝度値
vp パルス数


【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【出願日】 平成19年10月15日(2007.10.15)
【代理人】 【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝

【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹

【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛

【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎

【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸


【公開番号】 特開2008−29869(P2008−29869A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−268271(P2007−268271)