| 【発明の名称】 |
胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川口 剛
【氏名】原田 義富
【氏名】三宅 秀敏
【氏名】永田 亮一
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| 【要約】 |
【課題】ディジタル化された胸部X線像から、その左右反転像を作成し、両者の間でサブトラクションを行い、肺の結節状陰影を強調した画像を作成するための方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明方法は、まず、胸部X線像から肋骨下縁の頂上部のエッジが強調された画像を作成し、この画像の左肺野部と右肺野部の相関によって胸郭の中心軸の傾きを求め、中心軸が垂直線に平行になるように画像を回転する。次に、胸部X線像から肋骨下縁の頂点より外側のエッジが強調された画像を作成し、この画像の左肺野部と右肺野部の相関によって胸郭の中心軸の水平方向の位置を求め、この軸で画像を折り返して左右反転像をつくる。この後、元画像と左右反転像の間でサブトラクションを行う。この結果得られる画像が、肺の結節状陰影を強調した画像となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディジタル化された胸部X線像から肋骨下縁の頂上部のエッジが強調された画像E1を作成し、画像E1の右肺領域、左肺領域の各行yに対して、行y上の画素の値の平均値HR(y)、HL(y)を求めた後、HL(y)をテンプレートとして、これを垂直方向に移動させながらHR(y)との間で相互相関値を計算することによって、左右肋骨下縁の垂直方向の位置ずれΔyを検出し、 次に、画像E1の右半分をΔyだけ垂直方向に移動させた画像E2を作成し、さらに、画像E2の左肺領域の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートとして、これを水平方向に移動させながら画像E2の左半分(右胸部)との間で相互相関値を計算することによって、左右肋骨下縁の水平方向の距離Δxを検出し、この後、ΔyとΔxの比を傾きとする直線と水平軸がなす角度をθとし、 次に、原画像を、画像中心を中心としてθだけ回転させた画像(傾き補正画像)を作成し、この後、傾き補正画像から肋骨下縁の頂点より外側のエッジが強調された画像E3を作成し、画像E3の左肺領域の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートとし、これを水平方向に移動させながら画像E3の左半分(右胸部)との間で相互相関値を計算することによって、胸郭の中心軸の水平方向の位置xGを検出し、 傾き補正画像を列xGで折り返して左右反転像をつくり、傾き補正画像と左右反転像の間でサブトラクションを行うことによって肺の結節状陰影が強調された画像を作成することを特徴とする胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法に関するものである。詳しくはディジタル化された胸部X線像から、その左右反転像を作成し、両者の間でサブトラクションを行い、肺野結節状陰影を強調した画像を作成するための方法を提供するものである。 【背景技術】 【0002】 胸部X線像から肺野結節状陰影を強調した画像を作成する方法として、経時的サブトラクション(temporal subtraction)と呼ばれる方法がある。この方法は、過去画像(結節のない画像)と現在画像(結節のある画像)の2枚の画像の差をとることにより、現在画像中の結節状陰影を強調する。 しかし、経時的サブトラクションは、検診対象者全員に対して過去画像を保存しておかなければならないため、一般の集団検診のような目的には利用しにくい。一方、人間の胸部はほぼ左右対称であることを利用して、1枚の胸部X線像とその左右反転像の差をとり、結節状陰影を強調するという方法が提案されており、この方法は対側サブトラクション(contralateral subtraction)と呼ばれている。対側サブトラクションでは、原画像を折り返して左右反転像をつくるときの軸の求め方が重要である。結節状陰影を強調するためには、原画像と原画像を折り返して得られる画像の間で差をとったとき、できるだけ多くの肋骨が除去されるような軸を求め、この軸で原画像を折り返す必要がある。 【0003】 従来の対側サブトラクション法(Q. Li et al., Contralateral subtraction : A novel technique for detection of abnormalities on digital chest radiographs, Medical Physics, Vol.27, pp.47-55, 2000)では、Xuらの手法(X. Xu et al., Image feature analysis for computer-aided diagnosis : Accurate determination of ribcage boundary in chest radiographs, Medical Physics, Vol.22, pp.617-626, 1995)を用いて、胸郭の左右の境界線を検出した後、これらの対称軸を胸郭の中心軸とし、この中心軸で画像を折り返して左右反転像をつくる。しかし、従来法から求まる胸郭中心軸で原画像を折り返して左右反転像を作る場合、原画像と左右反転像の間の位置合わせが不十分であることが多い。胸郭の境界線の形状は、人物の姿勢の影響を受けやすいことから、従来手法から求まる胸郭中心軸は人物の姿勢の影響を受けやすい。Liらの手法では、胸郭中心軸で原画像を折り返して左右反転像をつくった後、原画像と左右反転像の間で、特開平7−37074で公開されている方法を用いて局所的位置合わせを行う。しかし、このような局所的位置合わせが有効に働くためには、原画像を胸郭中心軸で折り返して左右反転像をつくった段階で、原画像と左右反転像の間の位置合わせが、ある程度正確に行われておく必要がある。局所的位置合わせは、原画像と左右反転像の間で、対応する画素どおしの座標値の差が小さい場合しか有効に働かない。それ故、対側サブトラクションにおいては、原画像から左右反転像をつくるときの軸の求め方が重要である。 【非特許文献1】Q. Li et al., Contralateral subtraction : A novel technique for detection of abnormalities on digital chest radiographs, Medical Physics, Vol.27, pp.47-55, 2000 【非特許文献2】X. Xu et al., Image feature analysis for computer-aided diagnosis : Accurate determination of ribcage boundary in chest radiographs, Medical Physics, Vol.22, pp.617-626, 1995 【特許文献1】特開平7−37074号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の目的は、ディジタル化された胸部X線像からその左右反転像を作成し、両者の間でサブトラクションを行い、肺野結節状陰影を強調した画像を作成する方法を提供することである。前述したように、胸部X線像とその左右反転像の間でサブトラクションを行うという方法は従来からあり、対側サブトラクションとよばれている。しかし、従来法は胸郭の左右の境界線を求め、これらの対称軸で原画像を折り返して左右反転像をつくるので、人物の姿勢が傾いているときは、原画像と左右反転像の間で位置合わせが正しくできない。本発明では、人物の姿勢が傾いているときでも、原画像と左右反転像の間の位置合わせが正しくできるような胸郭の中心軸の検出法を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明は上記問題を解決するためになされたものでありその特徴とするところは、次の(1)にある。 【0006】 (1).ディジタル化された胸部X線像から肋骨下縁の頂上部のエッジが強調された画像E1を作成し、画像E1の右肺領域、左肺領域の各行yに対して、行y上の画素の値の平均値HR(y)、HL(y)を求めた後、HL(y)をテンプレートとして、これを垂直方向に移動させながらHR(y)との間で相互相関値を計算することによって、左右肋骨下縁の垂直方向の位置ずれΔyを検出し、 次に、画像E1の右半分をΔyだけ垂直方向に移動させた画像E2を作成し、さらに、画像E2の左肺領域の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートとして、これを水平方向に移動させながら画像E2の左半分(右胸部)との間で相互相関値を計算することによって、左右肋骨下縁の水平方向の距離Δxを検出し、この後、ΔyとΔxの比を傾きとする直線と水平軸がなす角度をθとし、 次に、原画像を、画像中心を中心としてθだけ回転させた画像(傾き補正画像)を作成し、この後、傾き補正画像から肋骨下縁の頂点より外側のエッジが強調された画像E3を作成し、画像E3の左肺領域の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートとし、これを水平方向に移動させながら画像E3の左半分(右胸部)との間で相互相関値を計算することによって、胸郭の中心軸の水平方向の位置xGを検出し、 傾き補正画像を列xGで折り返して左右反転像をつくり、傾き補正画像と左右反転像の間でサブトラクションを行うことによって肺の結節状陰影が強調された画像を作成することを特徴とする胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法。 【発明の効果】 【0007】 胸部X線像における肺野結節状陰影は、肺がんの特徴的陰影である。しかし、この結節状陰影の周囲には、肋骨や肺血管などがあり、これらの解剖学的正常構造が結節状陰影を偽装してしまうため、コントラストが低い結節状陰影は、専門医師によっても見逃しやすい。そこで、胸部X線像から肺野結節状陰影を強調した画像を作成することにより、医師による肺がんの診断を支援する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法は、基本的に次の4ステップにより肺の結節状陰影が強調された画像をうるものである。 ステップ1:胸部X線像をディジタル化。 ステップ2:胸郭の中心軸を検出する。 ステップ3:胸部X線像を胸郭の中心軸で折り返して、左右反転像をつくる。 ステップ4:元の胸部X線像とその左右反転像の間でサブトラクションを行う。このステップ4のサブトラクションによって得られる画像は、肺の結節状陰影が強調された画像となる。 そこで発明を実施するための具体的な最良の形態については、後述の実施例1により詳細に紹介する。 【実施例1】 【0009】 本発明の胸部X線像とその左右反転像を用いるサブトラクション方法の実施例を具体的な処理ステップ順で説明する。 以下の記述では、画像の左上隅を原点とし、画像の列、行をそれぞれx軸、y軸とする座標系を用いる(図1参照)。また、画像の列数、行数をM、Nで表す。胸部X線像には後部肋骨(背中側の肋骨)と前部肋骨の両方が写っているが、本発明の胸郭の中心軸検出法は、後部肋骨のみを利用する。そこで、以後は、後部肋骨を単に肋骨と呼ぶ。さらに、左肺の肋骨を左肋骨と呼び、右肺の肋骨を右肋骨と呼ぶ。なお、胸郭の中心軸は、ほぼ画像の中心軸近くにあり、画像の中心軸より左側に右肺、右側に左肺があると仮定する。 また入力として与えられる胸部X線像では、X線の透過量が多い領域ほど黒く、画素値は小さいものとする。従って、縦隔は白く(画素値が大きく)、肺野は黒い(画素値が小さい)。 <本発明方法の中心である中心軸検出法> 【0010】 1.肺野上端線の検出 まず、従来法と同様な手法を用いて、肺野上端線を求める。 画像の第0行から0.3N行の範囲にある各行yに対して、行y上の画素の値の平均値H(y)を求める(ただし、平均値は中央部2分の1の範囲の画素のみを用いて計算する)。この後、H(y)をガウス関数で平滑化する。そしてH(y)を最大にする行y1を求め、これを肺野上端線とする(図1参照)。 【0011】 2.左右胸部の相関を計算するときに用いる肺領域の上端の決定 本発明の胸郭の中心軸検出法は、後部肋骨下縁の頂上部のエッジと同じエッジ方向をもつエッジが強調された画像において、右胸部と左胸部の間で相関を計算することによって、左右肋骨のy方向の移動量Δyとx方向の移動量Δxを求める。左胸部と右胸部の間で相関を計算するとき、肺野上部の行を除いて相関を計算するほうが、左右肋骨のy方向、x方向の移動量を正しく求めることができる。そこで、左右胸部の相関を計算するときに用いる肺領域の上端の行y2を以下の方法で決定する。 原画像にSobelオペレータを適用して、各画素の値のx方向、y方向の一次微分Dx、Dyを求める。そして、数1、数2によって、各画素のエッジ強度e、エッジ方向φを求める。 【0012】 【数1】
【0013】 【数2】
次に、φが240°〜300°(図2参照)の範囲にある画素の値をエッジ強度eで与え、その他の画素の値を0で与えることによって、エッジ強度画像を作成する。 この後、エッジ強度画像を平滑化し、肺野上端線の下0.1N行から0.2N行の範囲に属す各行yに対して、行y上の画素の値の平均値H(y)を求める(ただし、平均値は中央部2分の1の範囲の画素のみを用いて計算する)。そしてH(y)を最大にする行yを求め、これをy2とする。 【0014】 3.肺野下端線の検出 次に肺野下端線を求める。右肺と右横隔膜の境界にはエッジが強く現われるが、ガスやマンモの影響によって左肺と左横隔膜の境界にはエッジが現われにくい。そこで、本発明の手法は、従来法と同様に、右肺と右横隔膜の境界のy方向の位置を検出し、これを肺野下端線とする。 肺野下端線を求めるために従来法と同様な方法を用いてもよいが、本発明では、従来法と異なる以下の方法を用いる。(実験の結果、以下に述べる方法の方が安定して肺野下端線を求めることができることが確かめられた。)まず、垂直方向のエッジが強調された画像をつくり、これと行y2を求めたときに用いたエッジ強度画像との差をとる。ただし、引き算の結果が負になる画素に対しては値を0にする。次に、このようにして得られた画像において、0.65N行から画像の下端の範囲にある各行yに対して、行y上の画素の値の平均値H(y)を求める(ただし平均値は、画像の中心軸より左側に、画像幅の4分の1だけとった領域中の画素のみを用いて計算する)。そしてH(y)を最大にする行ybを肺野下端線とする(図1参照)。 【0015】 4.肺野内のコントラスト強調 本発明の中心軸検出法は、右胸部、左胸部の肋骨下縁エッジの相関を用いて、中心軸を検出する。そこで、肋骨エッジを強調するため、以下に述べる方法を用いて、肺野内の肋骨部と肋間部の画素値の差を拡大する。 まず、原画像において、中央部2分の1の領域に属し、かつ、y2〜ybの範囲の行からなる長方形領域をSとする(図1参照)。そして、領域S中の画素値の最小値をA、最大値をBとし、Cを次の数3によって与える。 【0016】 【数3】
このとき、領域S中の肺野内の画素値は、ほぼ、A〜Cの範囲に属す。そこで、肺野内のコントラストを強調するため、値がC以下の画素に対して、画素値を次の数4によって変換する。 【0017】 【数4】
上記数4において、Z0、Z1は、それぞれ、変換前、変換後の画素値を表わす。数4による変換の結果、肺野内の肋骨部と肋間部の画素値の差が拡大され、肋骨エッジが強調される。 上記の処理では、領域S中の画素値のみが変換される。本発明の中心軸検出法は、後述するように、中心軸検出のために領域Sの外の肋骨エッジも利用する。そこで、領域Sの外の画素に対しても、数4を用いて画素値を変換する。このとき、数4におけるA、Cの値は、領域S中の画素値から得られた値をそのまま用いる。 【0018】 5.胸郭の中心軸の傾きの検出 まず、肺野内のコントラストが強調された画像にSobelオペレータを適用して、各画素の値のx方向、y方向の一次微分Dx、Dyを求める。そして、数1、数2によって、各画素のエッジ強度e、エッジ方向φを求める。 次に、φが240°〜300°の範囲にある画素の値をエッジ強度eで与え、その他の画素の値を0にする。(この結果、肋骨下縁の頂上部付近のエッジと同じエッジ方向をもつ画素のみが非零の値をもつエッジ強度画像が得られる。)この後、画像を平滑化し、平滑化後の画像をE1で表す。 次に、画像E1を用いて、左右肋骨のy方向の移動量Δyを求める。Δyを求めるための具体的処理は次の通りである。 まず、画像E1の右胸部、左胸部のそれぞれに対して、y方向のプロファイルHR(y),HL(y)を求める(図3参照)。各行yに対して、HR(y)は、画像の中心軸から左に画像幅の4分の1だけとった領域に属す画素の値の平均値で与え、HL(y)は、画像の中心軸から右に画像幅の4分の1だけとった領域に属す画素の値の平均値で与える。そして、数5でt与え、kを−tとtの間で変化させながら、数6によって相関係数C1(k)を計算する。 【0019】 【数5】
【0020】 【数6】
ただし、上記数6において、aはyをy2〜ybの間で変化させたときのHL(y)の平均値を表し、bはHR(y+k)の平均値を表す。そしてC1(k)を最大にするkを求め、このkの値をΔyとする。なお数5のtはほぼ肋骨の幅を与える。 前述したように、画像E1は肋骨下縁の頂上部のエッジが強調された画像となる。それ故、HR(y)、HL(y)は肋骨下縁の頂上部付近でピークをもつ。従って、数6のC1(k)を最大にするkの値は、左右肋骨の頂上部のy方向の位置のずれを与える。 本発明の中心軸検出法は、Δyを求めた後、画像E1の右半分をy方向にΔyだけ平行移動する(図4参照)。この後、平行移動後の画像の行y2〜ybにおける胸郭外のすべての画素値を0とする。そして、このようにして得られる画像をE2で表す(図5参照)。なお、画像のy2〜yb行において、画素を胸郭内の画素と胸郭外の画素に分類するためには、胸郭の左右境界線を求める必要があるが、胸郭の左右境界線検出のために、本発明の手法は、Xuらの手法(X. Xu et al., Image feature analysis for computer-aided diagnosis : Accurate determination of ribcage boundary in chest radiographs, Medical Physics, Vol.22, pp.617-626, 1995)と同様な手法を用いる。 次に、画像E2のy2〜yb行および3M/4〜M−1列からなる部分画像の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートT(u, y) (u=0〜M/4,y=y2〜yb)とする(図5参照)。そしてkを−M/4〜M/4の範囲で変化させながら、テンプレートTと画像E2の左半分(右胸部)の間で、次の数7によって相関係数C2(k)を計算する。 【0021】 【数7】
ただし、上記数7においてaは、テンプレートT中の画素値の平均を表し、bはテンプレートに対応させられた部分画像中の画素値の平均を表す。そしてC2(k)を最大にするkを求め、Δxを次の数8で与える。 【0022】 【数8】
数7でk=0の場合は、テンプレートTの左端(u=0の位置)が、画像E2の左端に一致するように、TをE2の上に重ねた場合に対応する。 本発明の中心軸検出法は、Δy、Δxを求めた後、胸郭の中心軸が垂直線となす角度θを数9で与える。 【0023】 【数9】
【0024】 6.中心軸の平行移動量の計算 垂直軸とθの角度をなす直線の中から、胸郭の中心軸に対応する直線を求めるために以下の処理を行う。 まず、肺野内のコントラストを強調した画像を、画像中心を中心としてθだけ回転する。この結果、胸郭の中心軸はy軸に平行な直線となる(図6参照)。回転後の画像にSobelオペレータを適用して、各画素の値のx方向、y方向の一次微分Dx、Dyを求め、数1、数2を用いて、エッジ強度e、エッジ方向φを求める。そして、右胸部に対しては、φが180°〜270°の範囲にある画素の値をeで与え、その他の画素の値を0とする。また、左胸部に対しては、φが270° 〜360°の範囲にある画素の値をeで与え、その他の画素の値を0とする。この結果、右胸部では右肋骨下縁エッジのうち、頂点より外側(縦隔と反対側)のエッジのみが残され、左胸部では左肋骨下縁エッジのうち、頂点より外側のエッジのみが残される。 この後、Δxを求めた場合と同様に、行y2〜ybの範囲で、胸郭の左右境界線を求め、行y2〜ybにおける胸郭外のすべての画素値を0とする。そして、このようにして得られる画像をE3で表す(図7参照)。 次に、画像E3のy2〜yb行および3M/4〜M−1列からなる部分画像の画像中心軸に関する鏡像をテンプレートT(u, y)(u=0〜M/4,y=y2〜yb)とする(図7参照)。そして、kを−M/4〜M/4の範囲で変化させながら、テンプレートTと画像E3の左半分(右胸部)の間で、次の数10によって相関係数C3(k)を計算する。 【0025】 【数10】
ただし、上記数10においてaはテンプレートT中の画素値の平均を表し、bはテンプレートに対応させられた部分画像中の画素値の平均を表す。数10でk=0の場合は、テンプレートTの左端が、画像E3の左端に一致するようにTをE3の上に置いた場合に対応する。数10の C3(k)を最大にするkを求め、xGを次の数11で与え、x=xGを胸郭の中心軸とする。 【0026】 【数11】
【0027】 7.サブトラクション画像の作成 サブトラクション画像は次の方法で作成する。まず胸部X線像を、図6に示すように、画像中心を中心としてθだけ回転し、回転後の画像のx=xG より左側、右側の部分画像を左画像、右画像と呼ぶ。次に、左画像、右画像のx=xGに関する鏡像をつくり、これらをそれぞれ、左画像の鏡像、右画像の鏡像と呼ぶ。この後、直線x=xGより左側を、右画像の鏡像から左画像を引いた差で与え、x=xGより右側を、左画像の鏡像から右画像を引いた差で与えることによって、サブトラクション画像をつくる。つまり、原画像をθだけ回転した画像を、その左右反転像から引いて得られる画像をサブトラクション画像とする。ただし、このようにして得られる画像では画素値が負になることがあるので、サブトラクション画像を表示するときは、元の画素値に画像の最大階調値を加えて得られる値を2で割った値を、表示のための画素値とする。それ故、サブトラクション画像において白い領域または黒い領域が、原画像とその左右反転像間で差が大きい領域を表す。結節は周囲よりも画素値が大きい領域であるので、上記の方法でサブトラクション画像を作ると、結節は黒い領域として現れる。 図1の画像に本発明の方法を適用して得られるサブトラクション画像を、図8に示す。図1の画像の左肺の中央外側に結節が存在するが、この結節が図8のサブトラクション画像において黒い領域として現れていることがわかる。 【産業上の利用可能性】 【0028】 胸部X線像において肺がんの特徴的陰影である肺野結節状陰影は、その周囲にある肋骨や肺血管などの解剖学的正常構造が結節状陰影を偽装してしまうため、コントラストが低い結節状陰影は専門医でも見逃しやすいが、本発明は、胸部X線像から肺野結節状陰影の候補領域が強調された画像を作成して、胸部X線像を目視診断する医師による肺がんの適確迅速な診断を支援するなどの優れた効果を呈するもので、医学分野におけるX線像診断の画期的な活用が大いに期待されるものである。 【図面の簡単な説明】 【0029】 【図1】実施例1において用いた画像の座標系および肺野上端線y1,肺野下端線ybおよび肺野内のコントラスト強調に用いた領域Sを示す。 【図2】実施例1において用いたエッジ方向を表す角度φとエッジの向きの関係を示す。 【図3】実施例1において、左右肋骨のy方向の移動量Δyを求めるために用いた画像E1、および、画像E1の右胸部のプロファイルHR(y)と左胸部のプロファイルHL(y)を示す。 【図4】実施例1において用いた画像E1と画像E1の右半分をy方向にΔyだけ平行移動させて得られる画像を示す。 【図5】実施例1において、左右肋骨のx方向の移動量Δxを求めるために用いた画像E2、および、E2から作成されるテンプレートTを示す。 【図6】実施例1において、胸郭の中心軸がy軸に平行になるように画像をθだけ回転する前後の画像を示す。 【図7】実施例1において、胸郭中心軸のx方向の平行移動量xGを求めるために用いた画像E3、および、E3から作成されるテンプレートTを示す。 【図8】実施例1において、図1の胸部X線像に本発明の手法を適用して得られたサブトラクション画像を示す。 【符号の説明】 【0030】 S 原画像において、中央部2分の1の領域に属し、かつ、行y2〜ybか らなる長方形領域 E1 エッジ方向が240°〜300°の範囲にある画素の値をエッジ強度で与え、 その他の画素の値を0とした後、平滑化して得られる画像 E2 画像E1の右半分をy方向にΔyだけ平行移動した後、行y2〜ybに おける胸郭外の画素の値を0として得られる画像 θ 胸郭中心軸が垂直線となす角度 E3 画像の左半分ではエッジ方向が180°〜270°の範囲にある画素の値を エッジ強度で与え、その他の画素の値を0とし、画像の右半分ではエッ ジ方向が270°〜360°の範囲にある画素の値をエッジ強度で与え、その 他の画素の値を0とした後、行y2〜ybの胸郭外の画素の値を0とし て得られる画像
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| 【出願人】 |
【識別番号】304028726 【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
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| 【出願日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−29798(P2008−29798A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−323352(P2006−323352) |
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