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【発明の名称】 立体回路基板並びに指紋センサ装置
【発明者】 【氏名】小林 充

【要約】 【課題】電子機器の筐体に設けられた窓孔に対して指紋センサ素子あるいは指紋センサの検出面を精度よく位置決めできる立体回路基板並びに指紋センサ装置を提供する。

【構成】指紋センサ装置A1は、立体回路基板B1の脚部2に形成されている導電パターン2aと電子機器の筐体200内に収納されているプリント配線板120の導電パターンとを半田5で接合することによってプリント配線板120に実装され、筐体200に設けられた窓孔201を通して指紋センサ素子101の検出面が筐体200の表面に露出する。故に、コネクタを用いる従来例に比較して電子機器の筐体200に設けられた窓孔201に対して指紋センサ素子101の検出面を精度よく位置決めできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な検出面から取り込んだ指紋像を電気信号に変換して出力する指紋センサ素子が実装され、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して指紋センサ素子の検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に実装される立体回路基板であって、
検出面を窓孔の方へ向けた姿勢で指紋センサ素子を収容する凹所が設けられた平板状の実装部と、一端側で実装部と連結されるとともに他端側でプリント配線板に実装される1乃至複数の脚部とが合成樹脂成形体として一体に形成され、実装部に実装された指紋センサ素子の出力端子とプリント配線板に形成されている導電パターンとを電気的に接続する導電体が実装部並びに脚部に形成されてなることを特徴とする立体回路基板。
【請求項2】
凹所の周縁部分から脚部の外側表面にかけて電磁シールド用の金属膜が形成されたことを特徴とする請求項1記載の立体回路基板。
【請求項3】
指紋センサ素子の出力を信号処理するための回路部品が脚部内側の金属膜に囲まれた領域に実装されたことを特徴とする請求項2記載の立体回路基板。
【請求項4】
実装部における凹所が設けられた表面が、電子機器の筐体における窓孔周辺の表面と連続する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の立体回路基板。
【請求項5】
実装部表面において指紋センサ素子の検出面を挟んで対向する位置から窓孔を通して検出面よりも前方へ突出し検出面に対して指を位置決めする一対のガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の立体回路基板。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項の立体回路基板と、立体回路基板の実装部に実装される平板状の指紋センサ素子とを備えたことを特徴とする指紋センサ装置。
【請求項7】
平坦な検出面から取り込んだ指紋像を電気信号に変換して出力する指紋センサ素子がパッケージに収納されてなる指紋センサを支持し、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して指紋センサ素子の検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に実装される立体回路基板であって、
一端側において検出面を窓孔の方へ向けた姿勢の指紋センサを支持するとともに他端側においてプリント配線板に実装される1乃至複数の支持部と、支持部に設けられ、指紋センサの出力端子とプリント配線板に形成されている導電パターンとを電気的に接続する導電体とを備えたことを特徴とする立体回路基板。
【請求項8】
請求項7の立体回路基板と、立体回路基板の支持部に支持される指紋センサとを備えたことを特徴とする指紋センサ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋認証のための指紋像を採取する指紋センサ素子又は指紋センサを、電子機器のプリント配線板に実装するための立体回路基板並びに、指紋センサ素子又は指紋センサと立体回路基板で構成される指紋センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パスワードによる本人認証に代わって、人の身体的特徴量を用いて個人を同定する、所謂バイオメトリクス認証と呼ばれる技術が普及してきている。バイオメトリクス認証に用いる身体的特徴量としては、血管(静脈)、声紋、虹彩、指紋等があるが、携帯電話機や携帯情報端末、ラップトップ型のパーソナル・コンピュータ等では、特徴量を採取するデバイスの小型化が可能である点や特徴量に基づく認証の精度が相対的に高い点から指紋認証が広く採用されるようになっている。
【0003】
指紋は、隆線と呼ばれる皮膚が線状に隆起した構造が多数集まって紋様を成したものである。全体は同心円状であるが、個々の隆線は所々で分岐したり終端したりしており複雑な紋様を形成する。隆線の分岐や終端部分を指紋特徴点と呼び、この指紋特徴点の位置・種類・方向の一致性比較が指紋認証の基本的な原理である。
【0004】
指紋特徴点を抽出するために指紋像を採取するには光学的方法と静電容量を利用する方法があるが、指紋像を採取するためのデバイス(指紋センサ)のサイズやコストの面から静電容量式の半導体指紋センサが用いられる場合が多い(例えば、特許文献1,2参照)。このような静電容量式半導体指紋センサ(以下、指紋センサと略す。)100は、図7(a)に示すように半導体基板を加工することで数万個の電極が並設された指紋センサ素子101と、指紋センサ素子101の表面を覆う硬質の保護膜102と、検出面(保護膜102の表面)に接触させた指表面との距離に応じて各電極に蓄積される電荷量若しくは電界量を検出して増幅やA/D変換等の信号処理を行う信号処理回路(図示せず)と、保護膜102を通して指紋センサ素子101の表面を露出させた状態で信号処理回路等を封止した合成樹脂製のパッケージ103とを備えており、信号処理回路で信号処理して得られる指紋像をパッケージ103に設けられた出力端子(図示せず)より出力するものである。そして、指紋センサから出力された指紋像を取り込み、指紋特徴点の抽出、照合および認証を指紋認証ソフトウェアが実行する。但し、図7(b)に示すように保護膜102を設けない場合もある。
【特許文献1】特開2005−276217公報
【特許文献2】特開2003−308516公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2では指紋センサを搭載した電子機器として携帯電話機が例示されており、携帯電話機の筐体に設けられた窓孔を通して筐体表面に指紋センサの検出面が露出させてある。また電源供給と指紋像の取り込みのために、筐体内に収納されているプリント配線板に形成されている導電パターンと指紋センサを電気的に接続する必要がある。かかる電気的接続には、指紋センサ100を実装したプリント配線板110と電子機器(携帯電話機)のプリント配線板120とを、図8に示すようにコネクタ121,122で直接接続する方法や、図9に示すようにフレキシブル基板130の両端に付設されたコネクタ131,132で接続する方法が一般的である。
【0006】
しかしながら、前者の従来例のように基板対基板用のコネクタ121,122を用いる場合、接続信頼性を確保するためにコネクタ121,122の嵌合高さに1mm以上必要となり、しかも、±0.1〜0.3mm程度の誤差があるので、図8に示すようプリント配線板120の実装面から指紋センサ100の検出面までの距離とプリント配線板120の実装面から電子機器の筐体200表面までの距離(位置)を合わせることが難しく、特にプリント配線板120の実装面から電子機器の筐体200表面までの距離が短い薄型の電子機器においては、さらに位置合わせが困難であった。
【0007】
また、筐体200内に収納されるプリント配線板120の実装面と、指紋センサ100の検出面が露出する筐体200表面とが平行でない場合、後者の従来例のようにフレキシブル基板130の両端に付設されたコネクタ131,132で接続する方法が用いられるが、前者の従来例に比べてコネクタ131,132の数が倍になるばかりでなく、指紋センサ100が実装されたプリント配線板110を筐体200に固定するためのビス140が必要になるなど、部品点数の増加と組立に要する手間やコストが増大するという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、電子機器の筐体に設けられた窓孔に対して指紋センサ素子あるいは指紋センサの検出面を精度よく位置決めできる立体回路基板並びに指紋センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、平坦な検出面から取り込んだ指紋像を電気信号に変換して出力する指紋センサ素子が実装され、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して指紋センサ素子の検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に実装される立体回路基板であって、検出面を窓孔の方へ向けた姿勢で指紋センサ素子を収容する凹所が設けられた平板状の実装部と、一端側で実装部と連結されるとともに他端側でプリント配線板に実装される1乃至複数の脚部とが合成樹脂成形体として一体に形成され、実装部に実装された指紋センサ素子の出力端子とプリント配線板に形成されている導電パターンとを電気的に接続する導電体が実装部並びに脚部に形成されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、凹所の周縁部分から脚部の外側表面にかけて電磁シールド用の金属膜が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、指紋センサ素子の出力を信号処理するための回路部品が脚部内側の金属膜に囲まれた領域に実装されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、実装部における凹所が設けられた表面が、電子機器の筐体における窓孔周辺の表面と連続する形状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、実装部表面において指紋センサ素子の検出面を挟んで対向する位置から窓孔を通して検出面よりも前方へ突出し検出面に対して指を位置決めする一対のガイド部が設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜5の何れか1項の立体回路基板と、立体回路基板の実装部に実装される平板状の指紋センサ素子とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、上記目的を達成するために、平坦な検出面から取り込んだ指紋像を電気信号に変換して出力する指紋センサ素子がパッケージに収納されてなる指紋センサを支持し、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して指紋センサ素子の検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に実装される立体回路基板であって、一端側において検出面を窓孔の方へ向けた姿勢の指紋センサを支持するとともに他端側においてプリント配線板に実装される1乃至複数の支持部と、支持部に設けられ、指紋センサの出力端子とプリント配線板に形成されている導電パターンとを電気的に接続する導電体とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、請求項7の立体回路基板と、立体回路基板の支持部に支持される指紋センサとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,6の発明によれば、実装部並びに脚部を有する立体回路基板を合成樹脂成形体として一体に形成し、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して実装部に実装された指紋センサ素子の検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に脚部を実装しているため、従来例のようにコネクタを用いる場合に比較して、電子機器の筐体に設けられた窓孔に対して指紋センサ素子の検出面を精度よく位置決めでき、しかも、部品点数の削減によるコストダウンが図れるとともに小型化も図れる。
【0018】
請求項2の発明によれば、凹所の周縁部分から脚部の外側表面にかけて形成された金属膜によって指紋センサ素子が電磁シールドされるから、人体から放射される静電気ノイズ等による影響を低減することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、指紋センサ素子の出力を信号処理するための回路部品も電磁シールドされて静電気ノイズ等による影響を低減することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、実装部における凹所が設けられた表面が、電子機器の筐体における窓孔周辺の表面と連続する形状に形成されているから、電子機器の外観上の美観を損なう虞がない。
【0021】
請求項5の発明によれば、一対のガイド部により指紋センサ素子の検出面に対して指を位置決めすることができて指紋像の精度が向上する。
【0022】
請求項7,8の発明によれば、指紋センサを支持する支持部を有した立体回路基板を合成樹脂成形体で構成し、電子機器の筐体に設けられた窓孔を通して支持部で支持している指紋センサの検出面を筐体外に露出させるとともに電子機器の筐体内に収納されているプリント配線板に支持部を実装しているため、従来例のようにコネクタを用いる場合に比較して、電子機器の筐体に設けられた窓孔に対して指紋センサの検出面を精度よく位置決めでき、しかも、部品点数の削減によるコストダウンが図れるとともに小型化も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、各実施形態における指紋センサ100や指紋センサ素子101は従来例と共通の構成を有するものであるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
(実施形態1)
本実施形態の指紋センサ装置A1は、図1に示すように立体回路基板B1に指紋センサ素子101を実装して構成されるものである。立体回路基板B1は、矩形箱形であって指紋センサ素子101を収容する凹所1aが設けられた実装部1と、実装部1の底面側に連結された角筒状の脚部2とが合成樹脂成形品として一体に形成されている。凹所1aの底面には多数のスルーホール1bが長手方向に沿って2列に並べて貫設され、それぞれのスルーホール1bからは金属膜からなる導電体(導電パターン)1cが1つずつ延設されている(図1(a)参照)。そして、指紋センサ素子101を凹所1aに収容してその出力端子を導電パターン1cと電気的に接続することで実装部1に指紋センサ素子101が実装される。
【0025】
また実装部1の底面(凹所1aの底面と背向する面)においては、図1(b)に示すようにスルーホール1bから脚部2の底面(プリント配線板120に実装される面)に至る複数の導電パターン2aが各スルーホール1bから延設されている。そして、実装部1の底面には、指紋センサ素子101の各電極に蓄積される電荷量若しくは電界量を検出して増幅やA/D変換等の信号処理を行う信号処理回路を構成する電子部品3が実装されている(図1(c)参照)。また実装部1における凹所1aの周縁部分から脚部2の外側表面にかけて、電磁シールド用の金属膜4が全面に形成されている。
【0026】
ここで、実装部1と脚部2を一体に形成した合成樹脂成形体に導電パターン1c,2aを形成して立体回路基板B1を製造する方法について簡単に説明する。前記合成樹脂成形体の表面に導電体(例えば、銅)の薄膜からなる下地めっき層を形成し、レーザビームを照射することで必要な導電パターン輪郭部の下地めっき層を除去した後、レーザビームが照射されずに残った下地めっき層のうちで必要な部分を電気めっきすることで導電パターン1c,2aが形成される。
【0027】
上述のように構成される指紋センサ装置A1は、図1(c)に示すように脚部2に形成されている導電パターン2aと電子機器の筐体200内に収納されているプリント配線板120の導電パターンとを半田5で接合することによってプリント配線板120に実装され、筐体200に設けられた窓孔201を通して指紋センサ素子101の検出面が筐体200の表面に露出することになる。ここで、立体回路基板B1を構成する合成樹脂成形体の寸法精度は、コネクタ121,122の嵌合高さの寸法精度に比べて高いから(例えば、±0.02〜0.1mm程度)、コネクタ121,122を用いる従来例に比較して、電子機器の筐体200に設けられた窓孔201に対して指紋センサ素子101の検出面を精度よく位置決めでき、しかも、指紋センサ素子101とプリント配線板120の導電パターンを電気的に接続するためにコネクタのような接続部品が不要であるから、部品点数の削減によるコストダウンが図れるとともに小型化も図れる。また、実装部1の凹所1aに実装されている指紋センサ素子101や実装部1の底面に実装されている電子部品3、あるいは脚部2の内側においてプリント配線板120の実装面に実装されている電子部品6が、実装部1における凹所1aの周縁部分から脚部2の外側表面にかけて金属膜4によって電磁シールドされるから、指先から放射される静電気ノイズ等による影響を低減することができる。
【0028】
また、図1では筐体200の表面とプリント配線板120の実装面とがほぼ平行になっていることから脚部2の高さ寸法Hを均一にしているが、必ずしも均一にする必要はない。例えば、プリント配線板120の実装面に対して筐体200の表面が傾斜している場合、図2(a)(b)に示すように窓孔201に嵌合する実装部1がプリント配線板120の実装面に対して筐体200表面と同一の角度に傾斜するように脚部2の高さ寸法を最大値H1から最小値H2まで徐々に小さくする。このように実装部1と脚部2からなる合成樹脂成形体を筐体200とプリント配線板120との相対的な位置関係に合わせた形状に形成することにより、様々な形状の電子機器に対応することができる。ここで、図2(a)に示すように電子部品3を実装する実装部1の底面が筐体200表面と平行している形状においては、脚部2の側から電子部品3を実装する際にその実装面が傾斜しているために実装しにくいが、図2(b)に示すように実装部1の底面をプリント配線板120に実装される脚部2の実装面と平行する形状とすれば、電子部品3の実装部1底面への実装が脚部2に邪魔されることなく容易に行えるという利点がある。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態の指紋センサ装置A2は立体回路基板B2の形状に特徴があり、その他の構成については実施形態1と共通である。従って、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
本実施形態における立体回路基板B2は、図3に示すように凹所1aが設けられている実装部1の表面が、電子機器の筐体200における窓孔201周辺の表面(曲面)と連続する曲面形状に形成されている。また、筐体200に対してプリント配線板120が直交する向きに収納されているため、脚部2の一端側が略L字形に形成されている。さらに脚部2の内側面に電子部品6が実装されている。
【0031】
而して、筐体200に設けられている窓孔201に実装部1を嵌合し、略L字形に形成されている脚部2の導電パターン2aとプリント配線板120の導電パターン(図示せず)を半田5で接合することによって、指紋センサ装置A2がプリント配線板120に実装されるのであるが、実装部1の表面が筐体200表面と連続する曲面形状に形成されているので電子機器の外観上の美観を損なう虞がないものである。なお、少なくとも窓孔201を通して筐体200の外に臨む実装部1の表面は、筐体200の窓孔201周辺の表面と同一の色に着色しておくことが望ましい。
【0032】
ところで、指紋センサ素子には検出面上を指で走査することにより指紋像を検出するようにした、スイープ型と呼ばれる指紋センサ素子があり、非スイープ型(いわゆる面型)に比較して小型であるという利点を生かして携帯電話機等に広く採用されている。かかるスイープ型の指紋センサ素子101を実施形態1,2の立体回路基板B1,B2に実装して指紋センサ装置A1,A2を構成した場合、検出面上を指で走査する際に走査方向と直交する方向に指がずれて指紋像を正しく検出できない虞がある。
【0033】
そこで、図4に示すように実装部1表面において指紋センサ素子101の検出面を挟んで対向する位置から窓孔201を通して検出面よりも前方へ突出する一対のガイド部1dを設け、これら一対のガイド部1dによって検出面上を走査する指Fを走査方向に直交する方向で位置決めすれば、スイープ型の指紋センサ素子101を用いたときの指紋像の検出精度を高めることができる。
【0034】
(実施形態3)
実施形態1,2では立体回路基板B1,B2に設けた実装部1に指紋センサ素子101を実装して指紋センサ装置A1,A2を構成しているのに対し、本実施形態は、図5に示すようにプリント配線板110に実装された指紋センサ100と、プリント配線板110を介して指紋センサ100を支持するとともにプリント配線板110の導電パターン(図示せず)と電子機器の筐体200内に収納されるプリント配線板120の導電パターン(図示せず)とを電気的に接続する立体回路基板B3とで指紋センサ装置A3を構成している点に特徴がある。
【0035】
指紋センサ100は、従来技術で説明したように指紋センサ素子101と、指紋センサ素子101の表面を覆う硬質の保護膜102と、検出面に接触させた指表面との距離に応じて各電極に蓄積される電荷量若しくは電界量を検出して増幅やA/D変換等の信号処理を行う信号処理回路(図示せず)と、保護膜102を通して指紋センサ素子101の表面を露出させた状態で信号処理回路等を封止した合成樹脂製のパッケージ103とを備えている。そして、プリント配線板110の一方の実装面に指紋センサ100が実装され、指紋センサ100から出力される指紋像の照合、認証等の処理を行うための回路を構成する電子部品7がプリント配線板110の他方の実装面に実装されている。
【0036】
立体回路基板B3は、図5(a)に示すように角筒状の合成樹脂成形体からなる支持部10と、支持部10の両端面並びに内周面に形成されプリント配線板110に形成されている導電パターン(図示せず)とプリント配線板120に形成されている導電パターン(図示せず)とを電気的に接続する複数の導電パターン11とを備えている。支持部10は、プリント配線板120に実装される面(図5における下面)に対してプリント配線板110を支持する面(図5における上面)が傾斜している。また、支持部10の外周面には電磁シールド用の金属膜4が全面に形成されている。
【0037】
上述のように構成される指紋センサ装置A3は、図5(b)に示すように支持部10に形成されている導電パターン11と電子機器の筐体200内に収納されているプリント配線板120の導電パターンとを半田5で接合することによってプリント配線板120に実装され、筐体200に設けられた窓孔201に指紋センサ100が嵌合し、窓孔201を通して指紋センサ素子101の検出面が筐体200の表面に露出することになる。そして、実施形態1と同様に立体回路基板B3によって電子機器の筐体200に設けられた窓孔201に対して指紋センサ素子101の検出面を精度よく位置決めでき、しかも、指紋センサ素子101とプリント配線板120の導電パターンを電気的に接続するためにコネクタのような接続部品が不要であるから、部品点数の削減によるコストダウンが図れるとともに小型化も図れる。また、プリント配線板110に実装されている電子部品3、あるいは立体回路基板B3の内側においてプリント配線板120の実装面に実装されている電子部品6が、支持部10の外周面に形成された金属膜4によって電磁シールドされるから、指先から放射される静電気ノイズ等による影響を低減することができる。しかも、本実施形態では既存の指紋センサ100をそのまま使用することができることから、より一層のコストダウンが図れるという利点がある。
【0038】
(実施形態4)
本実施形態の指紋センサ装置A4は立体回路基板B4の形状に特徴があり、その他の構成については実施形態3と共通である。従って、実施形態3と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態における立体回路基板B4は、図6に示すように角筒状の支持部10と、支持部10の一端側から支持部10の軸方向と直交する方向へ突出する凸部12と、支持部10の内側を塞ぐ平板状の部品実装部13とを有する合成樹脂成形体からなり、支持部10、凸部12、部品実装部13の表面に導電パターン14並びに電磁シールド用の金属膜15が形成されている。指紋センサ100が実装されたプリント配線板110が支持部10の他端側に実装され、部品実装部13にはそれぞれ電子部品6,7が実装される。
【0040】
上述のように構成される指紋センサ装置A4は、凸部12に形成されている導電パターン14と電子機器の筐体200内に収納されているプリント配線板120の導電パターンとを半田5で接合することによってプリント配線板120に実装され、プリント配線板120と直交する筐体200の窓孔201に指紋センサ100を嵌合し、窓孔201を通して指紋センサ素子101の検出面が筐体200の表面に露出することになる。
【0041】
本実施形態においても実施形態3と同様に、立体回路基板B4によって電子機器の筐体200に設けられた窓孔201に対して指紋センサ素子101の検出面を精度よく位置決めでき、しかも、指紋センサ素子101とプリント配線板120の導電パターンを電気的に接続するためにコネクタのような接続部品が不要であるから、部品点数の削減によるコストダウンが図れるとともに小型化も図れる。また、立体回路基板B4の部品実装部13に実装されている電子部品6,7が金属膜15によって電磁シールドされるから、指先から放射される静電気ノイズ等による影響を低減することができる。しかも、本実施形態では既存の指紋センサ100をそのまま使用することができることから、より一層のコストダウンが図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態1を示し、(a)は立体回路基板を実装部側から見た斜視図、(b)は立体回路基板を脚部側から見た斜視図、(c)は指紋センサ装置の断面図である。
【図2】(a),(b)は各々同上の立体回路基板の形状を変更した指紋センサ装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態2を示す指紋センサ装置の断面図である。
【図4】同上の立体回路基板の形状を変更した指紋センサ装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は検出面上を指で走査している状態の側面図である。
【図5】本発明の実施形態3を示し、(a)は立体回路基板の斜視図、(b)は指紋センサ装置の断面図である。
【図6】本発明の実施形態4を示す指紋センサ装置の断面図である。
【図7】(a),(b)は指紋センサの断面図である。
【図8】(a),(b)は従来例を示す断面図である。
【図9】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
A1 指紋センサ装置
B1 立体回路基板
1 実装部
1a 凹所
1b スルーホール
1c 導電パターン
2 脚部
2a 導電パターン
3 電子部品
120 プリント配線板
200 電子機器の筐体
201 窓孔
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−29739(P2008−29739A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208838(P2006−208838)