トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 眼科装置
【発明者】 【氏名】鈴木 尚人

【要約】 【課題】病変部の変化等の経過観察を容易に行える眼科装置を提供すること。

【構成】患者眼の眼底像を表示する表示手段と、表示された眼底像上の病変部を示す領域を手動又は画像処理して自動的に指定する指定手段とを備え、眼底上で指定された病変部の実距離を眼底像のサイズ変動要因に基づいて求める眼科装置において、患者眼の第1の眼底像について前記指定手段により指定された病変部を示す領域データを記憶する記憶手段と、患者眼の第1の眼底像の後に撮影された第2の眼底像を前記表示手段に表示するに際して、前記記憶手段に記憶されたデータを呼び出すデータ呼び出し手段と、呼び出されたデータに基づいて、前記表示手段に表示された眼底像上に病変部の領域を示す病変部図形を重畳表示する重畳表示手段と、を備えること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者眼の眼底像を表示する表示手段と、表示された眼底像上の病変部を示す領域を手動又は画像処理して自動的に指定する指定手段とを備え、眼底上で指定された病変部の実距離を眼底像のサイズ変動要因に基づいて求める眼科装置において、患者眼の第1の眼底像について前記指定手段により指定された病変部を示す領域データを記憶する記憶手段と、患者眼の第1の眼底像の後に撮影された第2の眼底像を前記表示手段に表示するに際して、前記記憶手段に記憶されたデータを呼び出すデータ呼び出し手段と、呼び出されたデータに基づいて、前記表示手段に表示された眼底像上に病変部の領域を示す病変部図形を重畳表示する重畳表示手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、前記重畳手段により眼底上で重畳される前記病変部図形の位置合わせの基準点を前記表示手段に表示される眼底像上で設定する設定手段を備え、前記記憶手段に記憶されるデータには前記設定手段により設定された基準点に対する前記病変部の領域データの位置関係が含まれ、前記重畳表示手段は、前記表示手段に表示された第2の眼底像上で前記設定手段により新たに設定された基準点と前記データ呼び出し手段により呼び出された基準点とを位置合わせし、眼底像上に前記病変部図形を重畳表示することを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項2の眼科装置において、前記記憶手段に記憶されるデータには患者眼の第1の眼底像についてのサイズ変動要因情報が含まれ、前記重畳表示手段は、患者眼の第2の眼底像についてのサイズ変動要因情報と呼び出されたサイズ変動要因情報とに基づいて前記病変部図形の位置及びサイズを調整して眼底像上に重畳表示することを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1の眼科装置において、前記病変部指定手段により指定された病変部を示す領域データには病変部に外接する円が含まれることを特徴とする眼科装置。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、眼底病変部の経過観察に好適な眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光線を病変部にスポット状に照射し、眼底に新生血管ができる加齢黄班変性症等の治療を行う光線力学的療法(以下、PDT療法)が知られている(特許文献1参照)。このPDT療法においては、適正な照射レーザ光のスポットサイズを形成することが求められる。このため、眼底カメラで撮影した眼底像を表示手段に表示させ、表示手段に表示された画像上で病変部を指定し、被検眼の視度、眼軸長、撮影条件等の眼底画像のサイズ変動要因に基づき眼底上での病変部の実距離を求める技術が、特許文献2にて知られている。なお、特許文献2に記載された技術は、それ以前から知られている特許文献3のものと実質的に同じである。
【特許文献1】特開2000−60893号公報
【特許文献2】特開平10−179517号公報
【特許文献3】特開2006−122160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
PDT療法においては、レーザ照射により治療した新生血管が数ヶ月後に現れること(加齢性黄斑変性症の再発)が少なく無い。再治療の際には、病変部の変化等の経過観察をできることが望ましいが、従来装置においては的確に経過観察を行うことが容易でなかった。
【0004】
本発明は、上記従来装置に問題点に鑑み、病変部の変化等の経過観察を容易に行える眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 患者眼の眼底像を表示する表示手段と、表示された眼底像上の病変部を示す領域を手動又は画像処理して自動的に指定する指定手段とを備え、眼底上で指定された病変部の実距離を眼底像のサイズ変動要因に基づいて求める眼科装置において、患者眼の第1の眼底像について前記指定手段により指定された病変部を示す領域データを記憶する記憶手段と、患者眼の第1の眼底像の後に撮影された第2の眼底像を前記表示手段に表示するに際して、前記記憶手段に記憶されたデータを呼び出すデータ呼び出し手段と、呼び出されたデータに基づいて、前記表示手段に表示された眼底像上に病変部の領域を示す病変部図形を重畳表示する重畳表示手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科装置において、前記重畳手段により眼底上で重畳される前記病変部図形の位置合わせの基準点を前記表示手段に表示される眼底像上で設定する設定手段を備え、前記記憶手段に記憶されるデータには前記設定手段により設定された基準点に対する前記病変部の領域データの位置関係が含まれ、前記重畳表示手段は、前記表示手段に表示された第2の眼底像上で前記設定手段により新たに設定された基準点と前記データ呼び出し手段により呼び出された基準点とを位置合わせし、眼底像上に前記病変部図形を重畳表示することを特徴とする。
(3) (2)の眼科装置において、前記記憶手段に記憶されるデータには患者眼の第1の眼底像についてのサイズ変動要因情報が含まれ、前記重畳表示手段は、患者眼の第2の眼底像についてのサイズ変動要因情報と呼び出されたサイズ変動要因情報とに基づいて前記病変部図形の位置及びサイズを調整して眼底像上に重畳表示することを特徴とする。
(4) (1)の眼科装置において、前記病変部指定手段により指定された病変部を示す領域データには病変部に外接する円が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、病変部の変化等の経過観察を容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態である眼科装置の構成を示す図である。100は眼科装置であり、200は、眼科装置100と接続される患者眼の眼底を撮影する撮影光学系を備える眼底カメラである。眼底カメラ200では、蛍光剤を投与した患者眼を撮影することで、蛍光造影された患者眼眼底像を電子画像として取得する。
【0008】
眼科装置100は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)で構成され、PCの本体であるPC本体10には、患者の識別コード(情報)や患者の眼底像等を記憶する記憶手段であるメモリ11(ハードディスク)と、患者の眼底像等を処理する演算手段であるCPU(中央演算処理装置)が組み込まれる。PC本体10には、表示手段であるカラーのモニタ15や入力手段であるマウス16やキーボード17が接続される。
【0009】
眼科装置100(PC10)と眼底カメラ200はケーブル201で接側される。先に説明したように、眼底カメラ200で得られた眼底像は、CPU12が眼底像の入力指示を受けることで、メモリ11へと取り込まれる。次に、眼底カメラ200より取り込む眼底像の説明をする。
【0010】
図2は、蛍光造影により撮影した患者眼の眼底像を模式的に示した図である。30が眼底像であり、蛍光造影撮影であるためモノクロ画像となる。31は視神経乳頭、32は蛍光剤により造影された眼底血管である。33は中心窩であり、説明の簡便のため、十字印で描写している。この中心窩33を周辺に黄斑が存在する(図示せず)。34は網膜であり、蛍光造影では暗く写る。40は病変部であり、中心窩33を取り囲むように、黄斑上に位置している。ここで、病変部40は、網膜34下にある脈絡膜から発生した新生血管とする。
【0011】
このような、眼底像30は、操作者がモニタ15の取り込みアイコンをマウス16で選択することにより、又は眼底カメラ200にある転送ボタンを押すことにより、メモリ11に取り込まれる(共に図示せず)。このとき、眼底像30の取り込みと共に、患者を識別する情報である識別コードや日付もメモリ11に取り込む。識別コードや日付の取り込みは、操作者がメモリ11に眼底像を転送(保存)する際に、マウス16やキーボード17等で付加する。このようにして、記憶手段であるメモリ11に眼底像が入力される。
【0012】
なお、眼底像の入力は眼底カメラ200からの転送に限るものではない。外部記録媒体(メディア)を用いてもよい。例えば、予め眼底像が記憶されている外部記録媒体をPC10に接側される図示なきリーダで読み取り、メモリ11へと転送する眼底像を操作者が選択する。または、外部記録媒体の眼底像を自動的にメモリ11へ取り込む構成としてもよい。また、識別コードや日付等の取り込みは、操作者が入力する構成としたが、これに限るものではなく、眼底像に伴って取り込まれる構成としてもよい。例えば、眼底カメラ200に患者眼の眼底像を識別する識別コードを付与する機能及び日付付加機能が備えたていれば、眼底像をメモリ11へ転送する際に、識別コードや日付等が眼底像に伴って、メモリ11に記憶される構成とできる。
【0013】
図3は、眼底像30が表示されたモニタ15を示す図である。先に説明した手順でメモリ11に取り込また眼底像30は、CPU12によりモニタ15に表示される。このとき、モニタ15の中央に表示される眼底像30の右上に、先に説明した手順で取得した、この眼底像30を識別する識別コード51と、眼底像30を撮影した日付52が表示される。60はマウスカーソルであり、入力手段であるマウス16の操作とリンクしている。
【0014】
このような眼底像30には座標情報が付加され、眼底像30上に表示されるものは座標により管理される。モニタ15の左上にある点は座標の原点Oである。この原点Oに対して、図に示すように、横方向がX軸、縦方向がY軸と規定される。
【0015】
以下にPDT(光線力学治療法)で照射するレーザのスポット径を算出する手順を説明する。図3(a)、(b)は、眼底像30から、視神経乳頭の位置を決定する手順を説明する図である。図4(a)、(b)は眼底像30から病変部40の形状及びスポット径を決定する手順を示す図である。なお、PDTにおいて、照射レーザの領域は乳頭31から所定の距離(例えば、200μm)以上離れた位置であることが推奨されているため、先に乳頭31の位置を決定する。
【0016】
図3(a)の71は、乳頭31を囲むように描画された図形である。図形71は、操作者がマウスカーソル60を用いて、乳頭31の輪郭に沿って環状に複数クリックすることでできる点72を繋げて形成されたものである。クリック数は8〜12個(回)とする。眼底像30上にプロットされた複数の点72には、隣合う点72が直線で結ばれる。このようにして作られた図形71は、図3(b)に示すように楕円に近似され、図形71aとなる(図では乳頭31と重なっている)。さらに、図形71aの長軸と短軸の交点71bが算出されることで、図形71aの中心位置(座標)が求められる。この交点71bが乳頭31の中心位置(乳頭中心71b)として設定される。乳頭31の中心位置(71b)は、PDT療法後の患者眼の眼底像にPDT療法前に特定した病変部40を示す領域(後述する図形81)を重畳させる際の位置合わせの基準点とされる。これら一連の描画、演算はマウスカーソル60とCPU12により行われ、算出(推定)された乳頭31の中心位置(座標)は、メモリ11に記憶される。なお、乳頭31の輪郭の特定については、上記のように操作者がマウス等により手動で行う他、CPU12により、眼底像の輝度分布を基に画像処理等で自動的に行われる構成であってもよい。
【0017】
次に、病変部40の形状及び照射レーザのスポット径を決定する。図3の場合と同様に、操作者がマウスカーソル60で病変部40の周辺に沿って環状に複数クリックする。これにより図4(a)に示す点82が作られる。点82の隣合う点を直線で結ぶことで多角形である図形81が形成される。この図形81が病変部40の領域を示すデータ(病変部図形)とされる。この後、この図形81に外接する円83を描画する。この外接円83の直径が病変部最大直径(GLD)となる。さらに、この外接円83に直径1000μm(半径で500μm)を付加したスポット円84を描画する。このスポット円84が照射レーザのスポット径となる。
【0018】
これら一連の描画、演算はマウスカーソル60とCPU12により行われ、算出(推定)された病変部40を示す領域データである図形81の形状と座標位置、病変部最大直径を持つ外接円83とその中心座標、スポット円84の直径とその中心座標は、位置合わせ基準点とされる乳頭31の中心位置(71b)と関係付けられてメモリ11に記憶される。
【0019】
なお、本実施形態では、病変部40の領域を複数の点を持つ図形81で示す構成としたが、これに限るものではない。病変部40の形状が把握できればよい。マウスカーソル60を使って、病変部40を円又は楕円で囲む構成としてもよい。メモリ11に記憶される病変部40を示す領域データは、図形81の形状データとする他、眼底像上で指定した点82や外接円83又はスポット円84としても良い。なお、以上説明した操作者による病変部40の領域(図形81)の指定については、眼底像の輝度分布を基に画像処理によりCPU12が自動的に行う構成も可能である。
【0020】
以上のようにして得られるスポット径(スポット円84の直径)は、眼底像30上での距離を示すものであり、患者眼眼底上での実距離であるとは限らない。以下に、得られたスポット径の距離を実距離に変換する手順を簡単に説明する。操作者は、眼底カメラ200にて得られた眼底像30をメモリ11に入力する際に、患者眼の視度、眼軸長、角膜形状(角膜曲率)等の患者眼情報と、眼底カメラ200の画角、撮影倍率等の撮影光学系情報を取得する。これらは、眼底像のサイズ変動要因情報となる。これらの患者眼情報と撮影光学系情報を眼底像30に付加して、眼底像30をメモリ11へと記憶させる。CPU12は、スポット径の距離算出後に、スポット径の実距離を演算する際に、眼底像のサイズ変動要因情報である患者眼情報と撮影光学系情報に基づいて、眼底像30上の実距離を求める。つまり、CPU12は座標で管理される眼底像30の座標上のスケールを演算する。眼底像30上の実距離の計算については詳細な説明は省略する。なお、この詳細は先に挙げた特許文献3にて開示されいる。さらに、実距離を求める演算の原理等は、特許文献2(特開平10−179517号公報)や特開平8−206081号公報に記載されているので、これらの技術を使用できる。
【0021】
CPU12により計算された病変部最大直径(GLD)である外接円83の実サイズ、スポット円84の実サイズがモニタに表示される。また、乳頭31を特定した図形71aとスポット円84との最短距離が計算され、その距離が表示される。スポット円84が図形71aから200μm以上離れていない場合は、その旨の警告メッセージが表示される。
【0022】
次に、PDTを再度行う際のスポット径の決定について説明する。先に述べたように、病変部への一度のレーザ照射によって、治療が充分とはならない症例が少なくない。図5(a)は、眼底像300をモニタ15に表示した図である。眼底像300は、先に説明した眼底像30の患者眼の数ヶ月後の眼底像である。眼底像300は、眼底像31とほとんど同じ状態(同一条件)で撮影されており、乳頭301、血管302、中心窩303、網膜304を持っている。眼底像300の右上には眼底像30と同様の識別コード51と、日付52から数ヶ月後の表示となっている日付52aが示されている。眼底像300には、中心窩303周辺に病変部41が見られる。
【0023】
図5(a)の状態で、先に説明した手順で、病変部41に照射すべきレーザのスポット径を決定することができるが、数ヶ月前の病変部40がどのような形状でどの位置にあったかがわからない。患者眼の症状の変化、予後、経過をみるためには、過去の眼底像30を呼び出す必要がある。操作者(医師等)は、過去の眼底像30と現在の眼底像300を並べて表示させ、病変部40、41の形状、位置等を見比べて、病変部の変化等の経過を判断することができるが、2つの眼底像を見比べる方法では病変部の変化等を的確に把握することが難しい。
【0024】
そこで、患者眼の病変部の経過情報を簡単に得るために、過去の病変部40の形状、位置を示す図形81を、現在の眼底像300に重畳表示させる。310はモニタ15の左下に表示された参照ボタンであり、マウスカーソル60でクリックされることにより、現在モニタ15に表示されている眼底像300に図形81を重畳表示させるトリガとなるボタンである(詳細は後述する)。図5(b)は、眼底像300に図形81を重畳表示させた状態を示す図である。眼底像30における乳頭31の中心位置(71b)を設定したときと同様に、先に述べた方法で、眼底像300における乳頭301の中心位置301bを、図形81の重畳表示に際して位置合わせの基準として設定する。そして、参照ボタン310が押されると、CPU12がメモリ11に記憶されている過去の眼底像30の図形81及び乳頭中心71bに対する図形81の位置関係が呼び出され、乳頭中心71bと新たに設定された位置合わせ基準の乳頭中心301bとが位置合わせされ、眼底像300上に図形81が重畳表示される。
【0025】
このとき、重畳表示される図形81は図中では点線で示しているが、視覚的に分かりやすい形態であれば、線形状(線種)や太さ、透過度、線に付加するマーク等を変える構成としてもよい。また、図形18を重畳表示させる眼底像300は白黒画像であるため、視覚的に一層分かりやすくするために、図形81に赤色等で色をつけて表示さてもよい。さらに、先の説明では、眼底像300に頂上表示させる図形81を一つとしているが、複数の図形を重畳表示してもよい。例えば、撮影時期の異なる複数の眼底像から得た図形を、撮影時期の応じて色を変えて重畳表示させる構成とする。このようにすれば、現在の眼底像上に数ヶ月前、半年前、1年前等の複数の過去の眼底像の病変部を示す図形が異なる色で重畳表示され、病変部の形状、範囲の経過が把握しやすい。
【0026】
重畳表示に用いる眼底像30の識別は以下のように行われる。ます、CPU12が、現在モニタ15に表示されている眼底像30に付加されている識別コード51に基づき、メモリ11に記憶されている、識別コード51と同一の眼底像(ここでは30)を探す。次に、CPU12は現在の日付52aと日付52を比較し、時間間隔が数ヶ月であるものを抽出し、重畳表示させる。なお、説明は略すが、時間間隔は操作者で変更、設定可能である。また、日付の比較をCPU12に判別させずに、リストとして表示し、操作者に重畳表示する眼底像を選択させる構成としてもよい。
【0027】
このような構成にすることにより、PDTにおけるレーザの再照射の際に、簡単に患者眼の経過情報を得ることができる。同一の眼底像上で、過去の病変部を表す図形が表示されることで、病変部の形状変化、位置の変化が一目でわかる。また、現在の眼底像に、過去の病変部を重畳表示することで、現在と過去の2つの眼底像を用意することなく、1つの眼底像で経過を見ることができる。
【0028】
なお、以上説明した本実施形態では、重畳表示は過去の病変部40を示す図形81としたが、外接円83やスポット円84であってもよい。
【0029】
また、PDT療法前の眼底像30とPDT療法を再度行う際の眼底像300とが、撮影倍率等の撮影光学系が異なる眼底カメラで撮影された場合、位置合わせ基準の設定が同一であっても、眼底像300に対して病変部40を示す図形81が同一条件で重畳されなくなってしまう。この対応としては、病変部40を示す領域データ(図形81)、その領域データの位置合わせ基準点に対する位置関係のデータと共に、眼底像30を得たときの撮影倍率等の撮影光学系情報をメモリ11等の記憶手段に記憶させておく。そして、PDT療法後の眼底像300をモニタ15に表示し、参照ボタン310を押してPDT療法前のデータを呼び出した際には、眼底像30及び眼底像300を得たときの撮影倍率等の撮影光学系情報(サイズ変動要因情報)に基づいて両者のサイズ基準を一致させることにより、眼底像300に対する病変部40を示す図形81の位置及びサイズを調整した後、図形81を眼底像300に重畳させる。これらの処理は、重畳表示手段としてのCPU12により行われる。これにより、撮影条件が異なる眼底像の場合であっても、病変部40に対する病変部41の経過観察を同一基準で的確に行える。
【0030】
なお、本実施形態では、眼科装置100を、一つのPCを利用したスタンドアロンタイプであるが、これに限るものではない。病院等の設備内にLANを構築し、クライアントとサーバを備える医療情報管理システムであってもよい。このような場合は、PCをクライアントとし、データの表示や処理を行う。一方、サーバにはメモリ、CPUが設けられ、サーバのメモリに患者のデータ等が格納され、サーバのCPUでデータが一元管理、処理される。ネットワークを介し、クライアントであるPCがサーバ内のデータを読み出し、処理する構成となる。また、病院内のネットワークに留まらす、病院間でネットワークを構築し、遠隔地間でデータをやりとりしてもよい。また、医療情報管理システムをLANで構築したが、WANにより構築してもよい。例えば、インターネット回線により、病院間を接続し、病院間の一元的医療情報管理や遠隔医療に用いてもよい。また、LANはLANケーブルによる接続に限定しなくてもよい。医療機器に影響のない電波を用いた無線LAN、例えばPHSを用いた無線のLANを構築して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態である眼科装置の構成を示す図である。
【図2】蛍光造影により撮影した患者眼の眼底像を模式的に示した図である。
【図3】眼底像30から、視神経乳頭の位置を決定する手順を説明する図である。
【図4】眼底像30から病変部40の形状及びスポット径を決定する手順を示す図である。
【図5】眼底像300に過去の病変部40を示す図形81を重畳表示させる手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
11 メモリ
12 CPU
30、300 眼底像
31、301 視神経乳頭
40、41 病変部
71b 乳頭中心
81 図形
83 外接円
84 スポット円
100 眼科装置

【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29732(P2008−29732A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208749(P2006−208749)