| 【発明の名称】 |
血管粘弾性の指標測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】斎藤 之良
【氏名】常盤 稔
【氏名】横川 利一
【氏名】横井 孝志
【氏名】小峰 秀彦
【氏名】浅井 義之
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、血管の粘弾性の指標を測定する装置において、非侵襲性の装置であり、その装置の構成が簡素であり、しかも、その装置が安価である血管粘弾性の指標測定装置を提供することを目的とするものである。
【構成】本発明は、第1脈波の最大値をPb1、第1脈波の時間微分値の極大値をVa1、極大値Va1に対応する脈波振幅値をPa1とし、第2脈波の最大値をPb2、第2脈波の時間微分値の極大値をVa2、極大値Va2に対応する脈波振幅値をPa2とし、血管粘弾性の指標αを、α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1)によって測定する血管粘弾性の指標測定装置である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カフ圧力の脈波成分を抽出する脈波成分抽出手段と; 上記抽出された脈波成分を時間微分して一次微分値を演算し、微分波形を形成する微分波形形成手段と; 上記抽出された複数の脈波成分のうちの1つの脈波成分である第1脈波成分の最大値Pb1を検出する第1の最大値検出手段と; 上記第1脈波成分の時間微分脈波の極大値Va1を検出する第1の極大値検出手段と; 上記第1脈波成分の時間微分脈波極大値Va1に対応する脈波振幅値である第1の脈波振幅値Pa1を検出する第1の極大値対応振幅値検出手段と; 上記抽出された複数の脈波成分のうちの脈波成分であって、上記第1脈波成分とは異なる第2脈波成分の最大値Pb2を検出する第2の最大値検出手段と; 上記第2脈波成分の時間微分脈波の極大値Va2を検出する第2の極大値検出手段と; 上記第2脈波成分の時間微分脈波極大値Va2に対応する脈波振幅値である第2の脈波振幅値Pa2を検出する第2の極大値対応振幅値検出手段と; 血管の粘弾性を示す指標αを、α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1)によって演算する指標演算手段と; を有することを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項2】 請求項1において、 上記第1脈波成分と上記第2脈波成分とは、カフの減圧手段または加圧手段によって得られる脈波成分であることを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項3】 請求項1において、 上記第1脈波成分と上記第1脈波成分とは、互いに、少なくとも1拍ずれている脈波の成分であることを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項4】 請求項1において、 上記演算された血管の粘弾性を示す指標αを表示する表示手段、上記演算された血管の粘弾性を示す指標αを外部へ出力する出力手段、上記演算された血管の粘弾性を示す指標αを上記血管粘弾性の指標測定装置の内部に設けられているメモリに記憶させる記憶制御手段のうちの少なくとも1つの手段を有することを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項5】 第1脈波の最大値をPb1、第1脈波の時間微分値の極大値をVa1、極大値Va1に対応する脈波振幅値をPa1とし、 第2脈波の最大値をPb2、第2脈波の時間微分値の極大値をVa2、極大値Va2に対応する脈波振幅値をPa2とした場合、 血管粘弾性の指標αを、 α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1) によって測定することを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項6】 第1脈波の最大値と上記第1脈波の時間微分値の極大値に対応する脈波振幅値との差と、第2脈波の最大値と上記第2脈波の時間微分値の極大値に対応する脈波振幅値との差と、上記第1脈波の時間微分値の極大値と上記第2脈波の時間微分値の極大値との差とに応じて、血管粘弾性の指標を測定することを特徴とする血管粘弾性の指標測定装置。 【請求項7】 第1脈波の最大値をPb1、上記最大値Pb1が発生する時刻をtb1とし、第2脈波の最大値をPb2、上記最大値Pb2が発生する時刻をtb2とした場合、 体積弾性率kを、 k=d・(tb2―tb1)/(Pb2−Pb1) によって測定することを特徴とする血管の体積弾性率測定装置。 【請求項8】 第1脈波の最大値をPb1、第1脈波の時間微分値の極大値をVa1、上記極大値Va1に対応する脈波振幅値をPa1、上記最大値Pb1が発生する時刻をtb1とし、 第2脈波の最大値をPb2、第2脈波の時間微分値の極大値をVa2、上記極大値Va2に対応する脈波振幅値をPa2、上記最大値Pb2が発生する時刻をtb2とした場合、 血管の粘性抵抗ηを、 η=d・{(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(Pb2−Pb1)・(Va2−Va1)} によって測定することを特徴とする血管の粘性抵抗測定装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、血管粘弾性の指標測定装置に関する。 【背景技術】 【0002】 血管の粘弾性を測定する場合、従来は、血管内圧と血管の変位量とを、互いに異なる手段で測定し、圧力一変位特性から、血管の粘性と弾性とを個別に評価している(たとえば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2006−129958号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかし、上記従来例は、血管内圧を測定する装置と血管の変位量を測定する装置とを必要とするので、血管の粘性と弾性とを測定する装置が大掛かりであるという問題がある。 【0004】 また、上記従来例は、血管内圧を測定する装置と血管の変位量を測定する装置とを必要とするので、血管の粘性と弾性とを測定する装置全体が高価であるという問題がある。 【0005】 本発明は、血管の粘弾性の指標を測定する装置において、非侵襲性の装置であり、その装置の構成が簡素であり、しかも、その装置が安価である血管粘弾性の指標測定装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、第1脈波の最大値をPb1、第1脈波の時間微分値の極大値をVa1、極大値Va1に対応する脈波振幅値をPa1とし、第2脈波の最大値をPb2、第2脈波の時間微分値の極大値をVa2、極大値Va2に対応する脈波振幅値をPa2とし、 血管粘弾性の指標αを、 α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1) によって測定する血管粘弾性の指標測定装置である。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、血管の粘弾性の指標を測定する装置において、非侵襲性の装置であり、その装置の構成が簡素であり、しかも、その装置が安価であるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。 【実施例1】 【0009】 図1は、本発明の実施例1である血管粘弾性の指標測定装置100を示すブロック図である。 【0010】 血管粘弾性の指標測定装置100は、被測定者の腕、手首、指、大腿、足首等に巻付けるカフ11と、血圧測定に必要な所定の圧力にカフ11を加圧する加圧手段12と、加圧手段12によって加圧されたカフ11内の圧力を徐々に排気する微速排気手段13と、カフ11の圧力を検出する圧力トランスデューサを含み、上記圧力を電気信号(パルス)に変換して出力する圧力検出手段14と、圧力検出手段14からの電気信号(パルス)を一定時間内でカウントし、サンプリング信号によって上記カウントを周期的に繰返すとともに、サンプリング値をA/D変換するサンプリング手段15と、CPU20と、ROM30と、RAM40と、操作手段50と、表示装置61と、プリンタ62と、外部端子63とを有する。 【0011】 カフ11、加圧手段12、微速排気手段13、圧力検出手段14は、可撓管によって接続されている。また、加圧手段12と、微速排気手段13と、圧力検出手段14と、サンプリング手段15とは、CPU20によって制御される。 【0012】 図2は、CPU20の機能を示すブロック図である。 【0013】 CPU20は、血管粘弾性の指標測定装置100の全体を制御するものであるとともに、機能的には、ROM30に格納されているプログラム(図4に示す)と協働して、脈波成分抽出手段21と、微分波形形成手段22と、第1の最大値検出手段23と、第1の極大値検出手段24と、第1の極大値対応振幅値検出手段25と、第2の最大値検出手段26と、第2の極大値検出手段27と、第2の極大値対応振幅値検出手段28と、指標演算手段29とを実現するものである。 【0014】 脈波成分抽出手段21は、カフ圧力の脈波成分を抽出する手段である。 【0015】 微分波形形成手段22は、上記抽出された脈波成分を時間微分して一次微分値を演算し、微分波形を形成する。第1の最大値検出手段23は、上記抽出された複数の脈波成分のうちの1つの脈波成分である第1脈波成分の最大値Pb1を検出する。 【0016】 第1の極大値検出手段24は、上記第1脈波成分の時間微分脈波の極大値Va1を検出する。第1の極大値対応振幅値検出手段25は、上記第1脈波成分の時間微分脈波極大値Va1に対応する脈波振幅値である第1の脈波振幅値Pa1を検出する。 【0017】 第2の最大値検出手段26は、上記抽出された複数の脈波成分のうちの脈波成分であって、上記第1脈波成分とは異なる第2脈波成分の最大値Pb2を検出する。第2の極大値検出手段27は、上記第2脈波成分の時間微分脈波の極大値Va2を検出する。 【0018】 第2の極大値対応振幅値検出手段28は、上記第2脈波成分の時間微分脈波極大値Va2に対応する脈波振幅値である第2の脈波振幅値Pa2を検出する。 【0019】 指標演算手段29は、血管の粘弾性を示す指標αを、α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1)によって演算する。 【0020】 演算に使用する2つの脈波は、内外圧差が異なる条件を得るために使用されるので、上記2つの脈波が、必ずしも互いに連続する必要はない。したがって、数拍ずれた脈同士を、上記2つの脈波として使用するようにしてもよい。このように、数拍ずれた脈同士を上記2つの脈波として使用することによって、1つ目の脈波の最大値と、2つの脈波の最大値との差が大きくなるので、多少のノイズが混入されても、そのノイズによる影響が少なり、したがって、血管の粘弾性を示す指標αの測定精度が向上する。 【0021】 ROM30は、後述する図4に示すフローチャートのプログラムが格納されているメモリであり、RAM40は、CPU20の演算結果等を記憶するメモリであり、操作手段50は、所定のファンクションキー等を有するものである。 【0022】 次に、血管粘弾性の指標測定装置100の動作について説明する。 【0023】 図3は、上記実施例におけるカフ圧力の変化を示す図である。 【0024】 カフ11を腕、手首、指等に巻き付け、このカフ11の内部の圧力を加圧手段12によって所定の圧力まで高め、その後、微速排気手段13によって、3〜5mmHg/秒の割合で、ほぼ直線的に減圧し、この減圧の過程で、脈波振幅成分がカフ圧力に重畳される。 【0025】 血管粘弾性の指標測定装置100によって血管粘弾性の指標αを演算する場合、具体的には、まず、カフ11を被測定者の腕に巻き、操作手段50に設けられている測定開始スイッチをオンし、これによって、血圧測定に必要な圧力に達するまで加圧手段12がカフ11を加圧し、この加圧を停止した後に、微速排気手段13によってカフ11内の空気が徐々に排気され、これに伴って脈波成分による圧力変位がカフに伝達され始める。 【0026】 圧力検出手段14が、カフ圧力を周波数の変化として電気的な信号に変換し、サンプリング手段15が一定時間毎(たとえば5ms毎)にサンプリングし、このサンプリングされたカフ圧力に応じてパルスを出力する。 【0027】 図4は、上記実施例の動作を示すフローチャートである。 【0028】 図5は、脈波成分P1、P2、……、P7を時系列的に示す図である。 【0029】 脈波は、カフの減圧に伴い最高血圧付近から心拍毎に出現し、図5に示すように、山型の包絡線を描く。説明を簡単にするために、図5では、脈波を7つのみ示してあるが、実際には、7つよりも多数の脈波を測定する。 【0030】 まず、脈波成分P1に着目する。S1で、カフ圧から減圧速度成分を除去し、脈波成分P1を抽出する。 【0031】 図6は、S1において抽出された脈波成分P1と、これを時間微分した波形である時間微分波形dP1/dtとを示す図である。 【0032】 S2で、脈波成分P1の最大値Pb1を求める。S3で、脈波成分の最大値Pb1が発生する時刻tb1を求める。S4で、脈波成分P1を1次微分した信号dP1/dtを求める。S5で、1次微分信号dP1/dtの極大値Va1を求める。 【0033】 S6で、1次微分信号dP1/dtの極大値Va1が発生する時刻ta1を求め、時刻ta1に対応する脈波振幅値Pa1を求める。つまり、極大値Va1に対応する振幅値Pa1を求める。なお、図6に示すように、時刻tb1において、(dP/dt)=0である。 【0034】 次に、脈波成分P2に着目する。 【0035】 第7図は、上記実施例における脈波成分P1とP2とを拡大して示す図である。 【0036】 S7で、カフ圧から減圧速度成分を除去し、脈波成分P2を抽出する。S8で、脈波成分P2の最大値Pb2を求める。S9で、脈波成分の最大値Pb2が発生する時刻tb2を求める。 【0037】 S10で、脈波成分P2を1次微分した信号dP2/dtを求める。S11で、1次微分信号dP2/dtの極大値Va2を求める。 【0038】 S12で、1次微分信号dP2/dtの極大値Va2が発生する時刻ta2を求め、時刻ta2に対応する脈波振幅値Pa2を求める。つまり、極大値Va2に対応する振幅値Pa2を求める。なお、図6に示すように、時刻tb2において、(dP/dt)=0である。 【0039】 次に、S13で、血管の粘弾性を示す指標αを、 α={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1) …式(1) によって演算する。 【0040】 次に、上記式(1)の導入について説明する。 【0041】 血管の粘弾性化モデルは、一般的な粘弾性化モデルであるフォークトモデルを適用すると、図8のように表現される。ここで、kは体積弾性率、ηは粘性抵抗、変位をxとすると、この系の運動方程式は、 f=η・(dx/dt)+kx と表わされる。そして、上記変位xが、カフ体積の変化率であると考える。この体積変化率は、血管の体積変化がΔVであり、カフ体積がVであるとすると、−ΔV/Vである。また、上記fが、血管における内外圧差Pt(t)であると考える。このように考えると、上記式である「f=η・(dx/dt)+kx」は、 Pt(t)=η・(−ΔV/V)/dt+k・(−ΔV/V) に変形される。 【0042】 実際、血管の体積変化は、カフ圧の変化によってとらえる。したがって、カフ圧をPとし、その変化分をΔPとすると、温度が一定であれば、 −ΔV/V=ΔP/P の関係が知られている。ただし、ΔV≪Vである。 【0043】 以上より、P(t)=ΔP/Pとおくと、 Pt(t)=η・(dP/dt)+k・P(t) …式(2) である。 【0044】 この場合、ηは粘性抵抗であり、kは体積弾性率である。 【0045】 厳密には、カフにも弾性および粘性が存在するが、血管のそれと比べて十分小さい材質を使用すれば無視できる。したがって、η、kは、血管の物理的特性で決定されると考えて差し支えない。ただし、血管の粘性抵抗ηと体積弾性率kを算出するためには、血管とカフとの体積を、別の手段で求める必要がある。一方、血管の粘弾性αを算出する場合、これらの値に関係なく、絶対値として算出可能である。 【0046】 ここで、脈波P(t)が最大になる点であるtb1、tb2は極値であるので、 (dP/dt)=0である。 【0047】 したがって、時刻tb1とtb2とにおいて、上記式(2)は、次のようになる。 【0048】 Pt(tb1)=k・p(tb1)=k・Pb1 …式(3) Pt(tb2)=k・p(tb2)=k・Pb2 …式(4) 上記式(4)から式(3)を差し引くと、 Pt(tb2)−Pt(tb1)=k・(Pb2−Pb1) となる。したがって、 k={Pt(tb2)−Pt(tb1)}/(Pb2−Pb1) …式(5) である。上記式(5)の分子は、tb1におけるカフ圧からtb2におけるカフ圧の減少した分に等しいので、カフ減圧速度を−d(d>0)とすると、 Pt(tb2)−Pt(tb1)=d・(tb2−tb1) であり、上記式(5)は、次の式(8)に変換される。 【0049】 k=d・(tb2−tb1)/(Pb2−Pb1) …式(8) 図9は、血管の内外圧差Pt(t)は、周期的な血圧波形と直線的に下降するカフ圧との差であることを示す図である。 【0050】 血管の内外圧差Pt(t)は、周期的な血圧波形と直線的に下降するカフ圧との差であるので、血圧の変動がないとすると、Pt(t)の変化量ΔPt(t)は、カフ圧の下降分に等しくなる。 【0051】 次に、時刻ta1、ta2において、(dP/dt(t=ta1))=Va1および(dP/dt(t=ta2))=Va2であるので、上記式(2)から、 Pt(ta1)=η・(dP/dt)+k・p(t)=η・(dP/dt(t=ta1))+k・p(ta1)=η・Va1+k・Pa1 …式(9) Pt(ta2)=η・(dP/dt)+k・p(t)=η・(dP/dt(t=ta2))+k・p(ta2)=η・Va2+k・Pa2 …式(10) を求めることができる。 【0052】 上記式(10)から上記式(9)を差し引くと、 Pt(ta2)−Pt(ta1)=η・(Va2−Va1)+k・(Pa2−Pa1) …式(11) であり、上記式(11)の左辺におけるPt(ta2)−Pt(ta1)は、カフの減圧速度を−dとすると、 Pt(ta2)−Pt(ta1)≒d・(ta2−ta1)である。これを式(11)に代入すると、d(ta2−ta1)≒η・(Va2−Va1)+k・(Pa2−Pa1)であり、したがって、 η={d・(ta2−ta1)−k・(Pa2−Pa1)}/(Va2−Va1) …式(12) になる。時刻の差tb2−tb1は、脈拍周期に相当し、ta2−ta1もほぼそれに近い値であるが、厳密には、少しずれる。脈拍周期に比べ、このずれが十分小さければ、tb2−tb1=ta2−ta1=脈拍周期とみなせる。従って、上記式(12)が成立する。 【0053】 ここで、上記式(12)のkに、式(8)に示すk=d・(tb2−tb1)/(Pb2−Pb1)を代入すると、次のようになる。 【0054】 η={d・(ta2−ta1)−k・(Pa2−Pa1)}/(Va2−Va1)={d(ta2−ta1)−d・(tb2−tb1)/(Pb2−Pb1)・(Pa2−Pa1)}/(Va2−Va1)=d・{(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(Pb2−Pb1)・(Va2−Va1)} …式(14) そして、S13で、上記のように、血管の粘弾性を示す指標αを演算する。 【0055】 ここで、α=η/kなる数値を考える。フォークトモデルにおいて、f=η・(dx/dt)+kxで表わされる。なお、上記xは、弾性体の変位量である。ここで、α(=η/k)は、遅延時間と呼ばれ、レオロジー学において重要な指標である。 【0056】 上記α=η/kに、上記式(6)、上記式(14)を代入すると、 α=η/k=[d・{(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(Pb2−Pb1)・(Va2−Va1)}]/{d・(tb2−tb1)/(Pb2−Pb1)}={(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(tb2−tb1)・(Va2−Va1)} である。つまり、次の式(15)が成立する。 【0057】 α={(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(tb2−tb1)・(Va2−Va1)} …式(15) 時刻の差tb2−tb1は、脈拍周期に相当し、ta2−ta1も、ほぼそれに近い値であるが、厳密には少しずれる。しかし、脈拍周期に比べ、このずれが十分小さければ、tb2−tb1=ta2−ta1=脈拍周期とみなすことができるので、式(15)は、次の式(16)になる。 【0058】 α={(Pb2−Pb1)−(Pa2−Pa1)}/(Va2−Va1)={(Pb2−Pa2)−(Pb1−Pa1)}/(Va2−Va1) …式(16) なお、上記指標αは、血管粘弾性特性を示す時定数であり、動脈硬化の重要な指標である。 【0059】 血管粘弾性特性を示す指標αの単位はs(秒)であり、この方法によれば、カフ容量や血管の容積のばらつきや個人差を受けない客観的な指標である。 【0060】 なお、η/k=αは、レオロジー学的には、「遅延時間」や「緩和時間」と呼ばれている。 【0061】 図10は、図7に示す脈波成分P1とP2とについて、別の表現方法で、血管の粘弾性を示す指標αを説明する図である。 【0062】 なお、図10に示すように、A=(Pb1−Pa1)であり、B=(Pb2−Pa2)であり、C=(Va2−Va1)であるとすると、次の式(17)が成立する。 【0063】 α=(B−A)/C=η/k …式(17) 血管の粘弾性を示す指標αは、上記式(17)に示すように、α=(B−A)/C=η/kであり、Cが小さく、(B−A)が大きい程、指標αが大きい。 【0064】 血管の粘弾性を示す指標αの単位は、秒であり、通常、血管の粘弾性を示す指標αは、20〜200msec程度である。 【0065】 図11は、実施例1において、外部出力する具体例、内部メモリへ蓄積する具体例を示す図である。 【0066】 CPU20は、血管の粘弾性を示す指標αをパソコンPCと、メモリカードMCに出力する例であり、つまり、CPU20は、血管の粘弾性を示す指標αを外部へ出力する演算結果出力手段の例である。 【0067】 図12は、上記実施例において、パソコンPCに送られた血管の粘弾性を示す指標αを含むデータが、パソコンPCにおいて表示されている例を示す図である。 【0068】 図13は、上記実施例において、血管の体積弾性率k、血管の粘性抵抗ηを求める場合の説明に必要なタイムチャートである。 【0069】 図13(1)は、血管内外圧差Pt(t)を示す図であり、図13(2)は、脈波成分P(t)を示す図であり、図13(3)は、時間微分波形(dP/dt)を示す図である。 【0070】 体積弾性率k=d・(tb2―tb1)/(Pb2−Pb1) …式(18) 粘性抵抗η=d・{(ta2−ta1)・(Pb2−Pb1)−(tb2−tb1)・(Pa2−Pa1)}/{(Pb2−Pb1)・(Va2−Va1)} …式(19) 上記実施例によれば、血管の粘弾性の指標を測定する装置において、血管の粘性と弾性とを定量的に表現することができる。 【0071】 また、上記実施例は、血管の粘弾性を時定数として定量化して測定する方法であって、ごく一般的な電子血圧計のハードウェアにて実現可能な測定アルゴリズムであるので、その構成が簡素である。 【0072】 しかも、上記実施例は、従来のオシロメトリック法血圧計のハードウェアをそのまま使用して、血管粘弾性の指標測定装置を製造することができるので、極めて安価に血管粘弾性の指標測定装置を製造することができる。 【0073】 さらに、上記実施例は、原理的にも、極めて安全であり、動脈硬化予防に大いに役立てることができる。 【0074】 そして、上記実施例によれば、カフ容量や血管の太さに依存しない血管粘弾性を測定することができる。 【0075】 また、上記実施例によれば、被験者は血管粘弾性を測定する場合、特別な準備をすることなく、血圧測定と同時に、血管粘弾性を測定することができる。 【0076】 なお、上記実施例において、血管粘弾性を測定すると同時に、血圧を測定し、また、数拍の脈分のデータを平均するようにしてもよい。このようにすることによって、脈動の生理的変動による誤差を少なくすることができる。 【図面の簡単な説明】 【0077】 【図1】本発明の実施例1である血管粘弾性の指標測定装置100を示すブロック図である。 【図2】CPU20の機能を示すブロック図である。 【図3】上記実施例におけるカフ圧力の変化を示す図である。 【図4】上記実施例の動作を示すフローチャートである。 【図5】脈波成分P1、P2、……、P7を時系列的に示す図である。 【図6】S1において抽出された脈波成分P1と、これを時間微分した波形である時間微分波形dP1/dtとを示す図である。 【図7】上記実施例における脈波成分P1とP2とを拡大して示す図である。 【図8】一般的な粘弾性化モデルであるフォークトモデルを、血管の粘弾性化モデルに適用した場合の概念図である。 【図9】血管の内外圧差Pt(t)は、周期的な血圧波形と直線的に下降するカフ圧との差であることを示す図である。 【図10】図7に示す脈波成分P1とP2とについて、別の表現方法で、血管の粘弾性を示す指標αを説明する図である。 【図11】実施例1において、外部出力する具体例、内部メモリへ蓄積する具体例を示す図である。 【図12】上記実施例において、パソコンPCに送られた血管の粘弾性を示す指標αを含むデータが、パソコンPCにおいて表示されている例を示す図である。 【図13】上記実施例において、血管の体積弾性率k、血管の粘性抵抗ηを求める場合の説明に必要なタイムチャートである。 【符号の説明】 【0078】 100…血管粘弾性の指標測定装置、 11…カフ、 20…CPU、 21…脈波成分抽出手段、 22…微分波形形成手段、 23…第1の最大値検出手段、 24…第1の極大値検出手段、 25…第1の極大値対応振幅値検出手段、 26…第2の最大値検出手段、 27…第2の極大値検出手段、 28…第2の極大値対応振幅値検出手段、 29…指標演算手段、 Pb1…第1脈波成分の最大値、 Va1…第1脈波成分の時間微分脈波の極大値、 Pa1…第1の脈波振幅値、 Pb2…第2脈波成分の最大値、 Va2…第2脈波成分の時間微分脈波の極大値、 Pa2…第2の脈波振幅値、 α…血管の粘弾性を示す指標、 30…ROM、 40…RAM、 50…操作手段、 61…表示手段、 62…プリンタ、 63…外部端子。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593010969 【氏名又は名称】株式会社志成データム 【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成18年7月31日(2006.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087446 【弁理士】 【氏名又は名称】川久保 新一
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| 【公開番号】 |
特開2008−29690(P2008−29690A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−208030(P2006−208030) |
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