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【発明の名称】 内視鏡装置
【発明者】 【氏名】中野 澄人

【要約】 【課題】被写体の空間特性の計測に係る手間を軽減することができる内視鏡装置を提供する。

【構成】固体撮像素子2aは被写体を撮像し、画像データを生成する。映像信号処理回路33は、画像データに対して左右反転等の画像変換を行う。CPU26は、画像データに対して画像変換の逆変換を行い、光学データと逆変換後の画像データに基づいて被写体の空間特性を計測する。このように、どのような画像変換が行われる場合でも、画像変換前の画像データを用いた計測に使用できる光学データさえあれば、画像変換された画像データを逆変換して得られた画像データと光学データとに基づいて計測を行うことができる。これによって、新たな光学データの測定を行う必要がなくなるので、被写体の空間特性の計測に係る手間を軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し、画像データを生成する撮像手段と、
前記画像データに対して画像変換を行う画像変換手段と、
前記撮像手段の光学系の特性を示す光学データと前記画像データに基づいて前記被写体の空間特性を計測する計測手段と、
を備えた内視鏡装置において、
前記計測手段は、前記画像データに対して前記画像変換の逆変換を行い、前記光学データと逆変換後の前記画像データに基づいて前記被写体の空間特性を計測する
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記画像変換は、上下反転、左右反転、回転、拡大、縮小の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、2つの視点から被写体を撮像し、各々の視点に対応した2つの画像データを生成し、
前記計測手段は、前記2つの画像データを用いた三角測量によって前記被写体の空間特性を計測する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の空間特性(長さ、面積、表面形状等)を計測することが可能な内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる視点から被写体を撮像するステレオ光学アダプタを内視鏡の先端に取り付け、三角測量の原理で被写体の様々な空間特性を計測(ステレオ計測)することが可能な内視鏡装置が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。以下、このステレオ光学アダプタのうち、側視型のステレオ光学アダプタの構成を説明する。
【0003】
図6は、側視型のステレオ光学アダプタを内視鏡の先端部に取り付けた様子を示している。また、図7は、図6のB−B線の断面を示している。図6に示すように側視型のステレオ光学アダプタ7の先端面には一対の照明レンズ56,57と2つの対物レンズ系58,59とが設けられており、図7に示すように固定リング50の雌ねじ50aを、内視鏡先端部21に形成されている雄ねじ21aに螺合することによって、それらが一体的に固定されるようになっている。
【0004】
図7に示すように2つの対物レンズ系58,59の直下には、光軸を90度折り曲げるプリズム49aと光学レンズ49bとが設けられている。この光学レンズ49bの基端側には、図8に示す2つの四角形形状の開口55dを有する視野マスク55bが配置されている。内視鏡先端部21内に配設された固体撮像素子2aの撮像面上には、この視野マスク55bの開口55dを通過した2つの光学像が結像し、図9に示す画像が観察される。
【0005】
このような側視型のステレオ光学アダプタを使用した場合には、例えば図6に示す被写体30(文字F)を撮影すると、側面を撮影するためのプリズムの作用により、図9に示すように画像が鏡像となって観察される。検査においては、鏡像の画像が適さない場合があるため、図10に示すように、左右反転の画像変換を画像に施して、正立像として被写体を観察することがある。また、プリズムの作用によっては、上下反転や回転の画像変換を施すのが適する場合もあるし、観察対象の大きさに応じて拡大や縮小の画像変換を施すのが適する場合もある。
【0006】
上記のように2つの視点で得られた画像を用いて三角測量によるステレオ計測を行うためには、光学系の空間特性を示す光学データ(複数の光学系の焦点距離等)が必要である。このため、測定によって光学データを生成する処理が行われる(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−33487号公報
【特許文献2】特開2004−49638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学データの測定時の画像変換の設定と同じ設定で撮影された画像を用いれば、ステレオ計測を正しく行うことができる。しかし、光学データの測定時と異なる画像変換の設定がなされた場合には、光学系の空間特性と画像との対応関係が変わるため、元の光学データを使用することができない。この場合には、再度、光学データの測定を行う必要がある。このため、光学データの測定に係る手間が発生することによって、ステレオ計測に係る手間が増加するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、被写体の空間特性の計測に係る手間を軽減することができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、被写体を撮像し、画像データを生成する撮像手段と、前記画像データに対して画像変換を行う画像変換手段と、前記撮像手段の空間特性を示す光学データと前記画像データに基づいて前記被写体の光学系の特性を計測する計測手段とを備えた内視鏡装置において、前記計測手段は、前記画像データに対して前記画像変換の逆変換を行い、前記光学データと逆変換後の前記画像データに基づいて前記被写体の空間特性を計測することを特徴とする内視鏡装置である。
【0010】
また、本発明の内視鏡装置において、前記画像変換は、上下反転、左右反転、回転、拡大、縮小の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の内視鏡装置において、前記撮像手段は、2つの視点から被写体を撮像し、各々の視点に対応した2つの画像データを生成し、前記計測手段は、前記2つの画像データを用いた三角測量によって前記被写体の空間特性を計測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、どのような画像変換が行われる場合でも、画像変換前の画像データを用いた計測に使用できる光学データさえあれば、画像変換された画像データを逆変換して得られた画像データと光学データとに基づいて計測を行うことができる。これによって、新たな光学データの測定を行う必要がなくなるので、被写体の空間特性の計測に係る手間を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態では、ステレオ計測が可能な計測用内視鏡装置に本発明を適用した例を説明する。図1は、本実施形態による計測用内視鏡装置10の構成を示している。図1に示すように、計測用内視鏡装置10は、内視鏡挿入部11、コントロールユニット12、リモートコントローラ13、表示部14、FMD17(フェイスマウントディスプレイ)、およびFMDアダプタ18を含んで構成されている。
【0014】
内視鏡挿入部11は、被写体からの光を2つの光路で集光する光学系を備え、ステレオ計測可能な光学アダプタを内視鏡先端部21に着脱自在に構成されている。また、内視鏡挿入部11は、光学アダプタを介して入射した被写体像を光電変換し撮像信号を生成する固体撮像素子2a(図2参照)を内視鏡先端部21に備えている。コントロールユニット12は、内視鏡挿入部11を収納可能に構成されており、内視鏡挿入部11が有する固体撮像素子2aから出力された撮像信号を処理する。
【0015】
リモートコントローラ13は、計測用内視鏡装置10全体の各種動作制御を実行するのに必要な操作の入力をユーザから受け付けて、その入力内容をコントロールユニット12に伝達する。液晶モニタ(LCD)等で構成される表示部14は、撮像された画像(内視鏡画像)や操作制御内容(例えば処理メニュー)等を表示する。FMD17は、通常の内視鏡画像、あるいはその内視鏡画像を擬似的にステレオ画像として立体視可能なディスプレイである。FMDアダプタ18は、このFMD17に画像データを供給する。
【0016】
図2はコントロールユニット12の内部構成を示している。図2に示すように、内視鏡挿入部11は内視鏡ユニット24に接続される。この内視鏡ユニット24は、撮影時に必要な照明光を得るための光源装置と、内視鏡挿入部11を電気的に自在に湾曲させるための電動湾曲装置とを含んで構成されている。内視鏡挿入部11先端の固体撮像素子2aからの撮像信号はCCU25(カメラコントロールユニット)に入力される。CCU25は、供給された撮像信号をNTSC信号等の映像信号(画像データ)に変換し、コントロールユニット12内の主要処理回路群へ供給する。
【0017】
図2に示すように、コントロールユニット12内に搭載された主要回路群は、CPU26、ROM27、RAM28、RS−232C I/F29、PCカードI/F30、および映像信号処理回路33を含んで構成されている。CPU26は、ROM27に格納されているプログラムを実行し、目的に応じた処理を行うように各種の回路部を制御してシステム全体の動作制御を行う。RAM28は、CPU26による各種動作の作業領域である。
【0018】
RS−232C I/F29は、リモートコントローラ13、内視鏡ユニット24、およびCCU25にそれぞれ接続されている。リモートコントローラ13は、ユーザからの操作入力を受け付けて、内視鏡ユニット24およびCCU25の制御および動作指示を行う。RS−232C I/F29は、リモートコントローラ13からの指示に基づいて、内視鏡ユニット24およびCCU25の動作を制御するのに必要な通信を行う。
【0019】
PCカードI/F30は、フラッシュメモリカード22およびPCMCIAメモリカード23が着脱自由に接続されるようになっている。つまり、いずれかのメモリカードが装着された場合に、コントロールユニット12は、CPU26による制御に従って、記録媒体としてのメモリカードに記録された制御処理情報や画像情報、光学データ等のデータを再生し、PCカードI/F30を介して内部に取り込むことができる。あるいは、コントロールユニット12は、制御処理情報や画像情報、光学データ等のデータを、PCカードI/F30を介してメモリカードに供給して記録することができる。
【0020】
CPU26は、その機能の1つとして、表示部14に表示される操作メニュー等に対応したグラフィックデータを生成し、映像信号処理回路33へ出力する機能を有する。映像信号処理回路33は、CCU25から供給された内視鏡画像とグラフィックデータを合成し、NTSC等の映像信号に変換して表示部14に供給する。表示部14は、この映像信号に基づいて、内視鏡画像と操作メニュー等のグラフィック画像との合成画像を表示する。映像信号処理回路33は、単に内視鏡画像あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。
【0021】
また、映像信号処理回路33は、リモートコントローラ13からの指示に基づいたCPU26の制御に従って、内視鏡画像の画像データに対して画像変換を施す機能も備えている。画像変換には、無変換、左右反転、上下反転、任意の角度の回転、拡大、縮小が含まれる。例えば、図9に示す内視鏡画像30aL,30aRに左右反転の画像変換を施すと、図10に示すような内視鏡画像30bL,30bRが表示部14の画面上に表示される。画像変換が無変換に設定された場合には、映像信号処理回路33は、画像変換を行わずに、それ以後の処理を実行する。
【0022】
ステレオ計測を行う場合、CPU26は内視鏡画像を画像データとして映像信号処理回路33からRAM28に取り込み、さらに記録媒体(フラッシュメモリカード22またはPCMCIAメモリカード23)から光学データをRAM28に取り込み、画像データと光学データに基づいてステレオ計測処理を実行する。
【0023】
本実施形態では、被写体からの光が、光学アダプタによって左右の2つの光路で集光され、固体撮像素子2aおよびCCU25によって、各々の光路に対応した2つの画像データが生成される。すなわち、左右2つの視点からの撮像によって、各視点に対応した2つの画像データが生成される。これらの画像データに基づいてステレオ計測が行われる。
【0024】
次に、図3を参照し、ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明する。最初に、左側および右側の光学系で撮像された画像に対して、レンズ系に起因する光学的な歪みを除去する歪み補正が実行される。続いて、歪み補正が施された画像に対して、三角測量の方法により、計測点300の3次元座標(X,Y,Z)が以下の式で計算される。ただし、歪み補正が施された左右の画像上の計測点310,320の座標をそれぞれ(X,Y)、(X,Y)とし、左側と右側の光学中心330,340の距離をDとし、焦点距離をFとし、t=D/(X−X)とする。
X=t×X+D/2
Y=t×Y
Z=t×F
【0025】
歪み補正後の画像上の計測点310,320の座標が決定されると、上記のようにパラメータDおよびFを用いて計測点300の3次元座標が求まる。いくつかの点の3次元座標を求めることによって、2点間の距離、2点を結ぶ線と1点の距離、面積、深さ、表面形状等の様々な計測が可能である。上記のステレオ計測を行うためには、内視鏡先端部21とステレオ光学アダプタを含む光学系の特性を示す光学データが必要である。例えば前述した特許文献2に記載された方法で測定された光学データが記録媒体に記録されることになる。
【0026】
以下、光学データを構成するデータの内容を示す。
(a)左右の光学系の幾何学的歪み補正パラメータ
(b)左右の光学系それぞれの焦点距離F
(c)左右の光学系の光学中心間の距離D
(d)左右の光学系それぞれの画像上での光軸位置(図3の光軸位置O,O)の座標
【0027】
光学データの測定の際には、画像変換が所定条件(例えば、無変換)に設定された状態で測定が実行される。この所定条件と異なる画像変換が施された場合には、歪み補正パラメータ、画像上の焦点距離、光軸位置等の特性が変化するため、元の光学データを計測に使用することができなくなる。そこで、本実施形態では、CPU26が、映像信号処理回路33から取り込んだ画像データに対して、映像信号処理回路33が行う画像変換の逆変換を施し、逆変換後の画像データと光学データに基づいてステレオ計測処理を実行する。
【0028】
次に、図4を参照し、本実施形態における光学データの生成方法を説明する。まず、CPU26は、リモートコントローラ13から出力された信号に基づいて、画像変換の種類を設定する(ステップS400)。このとき、元となる光学データの測定用の画像変換(例えば、無変換)とステレオ計測用の画像変換(例えば、左右反転、上下反転、回転、拡大、縮小の少なくともいずれか)とが設定される。これらの設定に係る情報は、例えばRAM28に格納され、CPU26によって適宜参照される。
【0029】
続いて、CPU26は、光学データの測定用の画像変換を映像信号処理回路33に設定した上で、映像信号処理回路33から画像データをRAM28に取り込み、その画像データに基づいて光学データを生成する。CPU26は、生成した光学データを記録媒体に書き込む(ステップS410)。上記のようにして光学データが生成された後、処理が終了する。
【0030】
次に、図5を参照し、ステレオ計測時の処理を説明する。CPU26は、ステレオ計測用の画像変換を映像信号処理回路33に設定した上で、映像信号処理回路33から画像データをRAM28に取り込む(ステップS500)。この画像データは、所定の画像変換が施されたものである。さらに、CPU26は光学データを記録媒体から読み出してRAM28に格納する(ステップS510)。
【0031】
続いて、CPU26は、取り込んだ画像データに対して、映像信号処理回路33に設定した画像変換の逆変換を施し(ステップS520)、逆変換後の画像データと光学データに基づいて、前述した三角測量により、計測点の3次元座標を計算する(ステップS530)。上記の処理により、画像変換後の画像を表示しつつ、ステレオ計測を行うことが可能となる。
【0032】
なお、所定の画像変換に対応した光学データを予めROM27に格納しておき、ステレオ計測時にその光学データを使用するようにしてもよい。
【0033】
上述したように、本実施形態によれば、どのような画像変換が行われる場合でも、画像変換前の画像データを用いた計測に使用できる光学データさえあれば、画像変換された画像データを逆変換して得られた画像データと光学データとに基づいて計測を行うことができる。これによって、新たな光学データの測定を行う必要がなくなるので、被写体の空間特性の計測に係る手間を軽減することができる。
【0034】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による計測用内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による計測用内視鏡装置が備えるコントロールユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明するための参考図である。
【図4】本発明の一実施形態における光学データの生成手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態におけるステレオ計測時の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】側視型のステレオ光学アダプタが先端部に取り付けられた内視鏡の斜視図である。
【図7】側視型のステレオ光学アダプタが先端部に取り付けられた内視鏡の断面図である。
【図8】側視型のステレオ光学アダプタの視野マスクを示す参考図である。
【図9】内視鏡で観察される画像を示す参考図である。
【図10】左右反転の画像変換を行った場合に内視鏡で観察される画像を示す参考図である。
【符号の説明】
【0036】
2a・・・固体撮像素子(撮像手段)、10・・・計測用内視鏡装置、11・・・内視鏡挿入部、12・・・コントロールユニット、13・・・リモートコントローラ、14・・・表示部、17・・・FMD、18・・・FMDアダプタ、22・・・フラッシュメモリカード(記憶手段)、23・・・PCMCIAメモリカード(記憶手段)、24・・・内視鏡ユニット、25・・・CCU(撮像手段)、26・・・CPU(計測手段)、27・・・ROM、28・・・RAM、29・・・RS−232C・・・I/F、30・・・PCカードI/F、33・・・映像信号処理回路(画像変換手段)
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄

【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100086379
【弁理士】
【氏名又は名称】高柴 忠夫

【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士


【公開番号】 特開2008−29497(P2008−29497A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204819(P2006−204819)