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【発明の名称】 眼科撮影装置
【発明者】 【氏名】上野 登輝夫

【氏名】村田 俊夫

【要約】 【課題】患者の負担を抑制しつつ、SLO画像とOCT画像とを同時に動画表示する。

【構成】低コヒーレント長の光束を出射する光源から発せられた第1の測定光を被検眼に対して走査する第1走査手段を持ち被検眼の断層画像を得る干渉光学系と、干渉光学系が持つ第1走査手段とは別の走査手段であって被検眼に対して第2の測定光を2次元的に走査する第2走査手段を持ち、被検眼の正面画像を得る共焦点光学系と、干渉光学系を介して照射される第1測定光と共焦点光学系を介して照射される第2測定光とで実質的に交互に切り換える測定光切換手段と、測定光切換手段による切換制御に伴い前記干渉光学系及び前記共焦点光学系によって逐次取得される断層画像と正面画像とを表示モニタの同一画面に動画画像として並べて表示する表示制御手段と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低コヒーレント長の光束を出射する光源から発せられた第1の測定光を被検眼に対して走査する第1走査手段を持ち、前記光源から発せられた光によって生成される参照光と被検眼に照射された前記第1測定光の反射光との合成により得られる干渉光を受光することにより被検眼の断層画像を得る干渉光学系と、
該干渉光学系が持つ前記第1走査手段とは別の走査手段であって,前記光源または前記光源とは異なる光源から発せられた光束を第2の測定光として被検眼に対して2次元的に走査する第2走査手段を持ち、その反射光を受光することにより被検眼の正面画像を得る共焦点光学系と、
被検眼の像を得るために被検眼に向けて照射する測定光を,前記干渉光学系を介して照射される第1測定光と前記共焦点光学系を介して照射される第2測定光とで実質的に交互に切り換える測定光切換手段と、
該測定光切換手段による切換制御に伴い前記干渉光学系及び前記共焦点光学系によって逐次取得される前記断層画像と正面画像とを表示モニタの同一画面に動画画像として並べて表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
請求項1の眼科撮影装置において、
前記測定光切換手段は、前記被検眼の断層画像と正面画像とが交互に1フレーム分ずつ取得されるように前記第1測定光と第2測定光の前記被検眼への照射を切り換えることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項3】
請求項2の眼科撮影装置において、前記測定光切換手段は被検眼に一方の測定光を照射している間は他方の測定光を被検眼に照射しないように切換制御を行うことを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項4】
請求項2の眼科撮影装置において、前記測定光切換手段は被検眼の画像取得のために使用する一方の測定光の出力に対して他方の測定光の出力を低くするとともに、被検眼に同時に到達する第1測定光及び第2測定光の合計の出力が予め設定された出力上限を超えないように出力制御を行うことを特徴とする眼科撮影装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低コヒーレント光を用いて被検眼の断層画像を取得する眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の断層画像を非侵襲で得ることができる眼科撮影装置として、低コヒーレント光を用いた光断層干渉計(Optical Coherence Tomography:OCT)が知られている。このような眼科撮影装置では、例えば、測定光を眼底上で1次元走査させながら、被検眼の深さ方向の情報を得ることにより、網膜断層画像を得ることができる。
【0003】
また、前述のようなOCT光学系にスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO光学系)を複合させ、網膜断層画像と眼底の正面画像を取得することができる装置も提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2005−531346公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような被検眼の断層画像を得ることができる装置においては、眼底の正面画像を動画表示させ、適宜選択した箇所の断層画像と共に随時観察できると使い勝手が良く便利である。しかしながら、特許文献1のような装置の場合、OCT光学系とSLO光学系とで眼底上で照射光を走査させる走査系(例えば、ガルバノミラー)を共用させているため、SLO画像とOCT画像とを画面に同時に動画表示させることは困難である。また、SLO画像やOCT画像を同時期に取得する際には眼内に入射する測定光の光量が患者に負担にならないように気をつける必要がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、患者の負担を抑制しつつ、SLO画像とOCT画像とを同時に動画表示することが可能で、使い勝手の良い眼科撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 低コヒーレント長の光束を出射する光源から発せられた第1の測定光を被検眼に対して走査する第1走査手段を持ち、前記光源から発せられた光によって生成される参照光と被検眼に照射された前記第1測定光の反射光との合成により得られる干渉光を受光することにより被検眼の断層画像を得る干渉光学系と、
該干渉光学系が持つ前記第1走査手段とは別の走査手段であって,前記光源または前記光源とは異なる光源から発せられた光束を第2の測定光として被検眼に対して2次元的に走査する第2走査手段を持ち、その反射光を受光することにより被検眼の正面画像を得る共焦点光学系と、
被検眼の像を得るために被検眼に向けて照射する測定光を,前記干渉光学系を介して照射される第1測定光と前記共焦点光学系を介して照射される第2測定光とで実質的に交互に切り換える測定光切換手段と、
該測定光切換手段による切換制御に伴い前記干渉光学系及び前記共焦点光学系によって逐次取得される前記断層画像と正面画像とを表示モニタの同一画面に動画画像として並べて表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科撮影装置において、
前記測定光切換手段は、前記被検眼の断層画像と正面画像とが交互に1フレーム分ずつ取得されるように前記第1測定光と第2測定光の前記被検眼への照射を切り換えることを特徴とする。
(3) (2)の眼科撮影装置において、前記測定光切換手段は被検眼に一方の測定光を照射している間は他方の測定光を被検眼に照射しないように切換制御を行うことを特徴とする。
(4) (2)の眼科撮影装置において、前記測定光切換手段は被検眼の画像取得のために使用する一方の測定光の出力に対して他方の測定光の出力を低くするとともに、被検眼に同時に到達する第1測定光及び第2測定光の合計の出力が予め設定された出力上限を超えないように出力制御を行うことを特徴とする眼科撮影装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者の負担を抑制しつつ、SLO画像とOCT画像とを同時に動画表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の眼科撮影装置の光学系及び制御系を示す図である。なお、本実施形態においては、被検眼の奥行き方向をZ方向(光軸L1方向)、奥行き方向に垂直(被検者の顔面と同一平面)な平面上の水平方向成分をX方向、鉛直方向成分をY方向として説明する。
【0010】
図1において、その光学系は、被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得るための干渉光学系(以下、OCT光学系とする)200と、赤外光を用いて被検眼の眼底を照明し観察するための眼底SLO画像を取得するスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系300と、に大別される。
【0011】
なお、40は光分割部材としてのダイクロイックミラーであり、OCT光学系200に用いられる測定光源27から発せられる測定光(例えば、λ=840nm付近)を反射し、SLO光学系300に用いられるSLO光源61から発せられるレーザ光(例えば、λ=780nm付近)を透過する特性を有する。この場合、ダイクロイックミラー40は、OCT光学系200の測定光軸L2とSLO光学系300の測定光軸L1とを同軸にする。
【0012】
まず、ダイクロイックミラー40の反射側に設けられたOCT光学系200の構成について説明する。27はOCT光学系200の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントな光を発するOCT光源であり、例えばSLD光源等が用いられる。OCT光源27には、例えば、中心波長840nmで50nmの帯域を持つ光源が用いられる。26は光分割部材と光結合部材としての役割を兼用するファイバーカップラーである。OCT光源27から発せられた光は、導光路としての光ファイバ38aを介して、ファイバーカップラー26によって参照光と測定光とに分割される。測定光は光ファイバ38bを介して被検眼Eへと向かい、参照光は光ファイバ38cを介して参照ミラー31へと向かう。
【0013】
測定光を被検眼Eへ向けて出射する光路には、測定光を出射する光ファイバ38bの端部39b、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なリレーレンズ24、走査駆動機構51の駆動により眼底上でXY方向に測定光を走査させることが可能な2つのガルバノミラーの組み合せからなる走査部23と、リレーレンズ22が配置されている。ダイクロイックミラー40及び対物レンズ10は、OCT光学系200からのOCT測定光を被検眼眼底へと導光する導光光学系としての役割を有する。なお、本実施形態の走査部23では、2つのガルバノミラーによって測定光の反射角度を任意に調整することにより、眼底上に走査させる測定光の走査方向を任意に設定できるような構成となっている。よって、被検眼眼底の任意の領域の断層画像を得ることが可能となる。例えば、眼底に対して斜め方向に測定光を走査させることで、被検眼の眼底を斜めから切断した際の断層像を得ることが可能であるし、眼底に対して丸状に測定光を走査させることで、被検眼の眼底上の所定位置から一定距離にある断層像を得ることが可能である。なお、走査部23にポリゴンミラーのような一定方向しか測定光を走査させることができない光学部材を用いた場合、測定光の走査方向が1方向に限定されるため、前述のような断層画像の取得は困難となる。
なお、光ファイバ38bの端部39bは、被検眼眼底と共役となるように配置される。また、走査部23の2つのガルバノミラーは、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。
【0014】
光ファイバ38bの端部39bから出射した測定光は、リレーレンズ24を介して、走査部23に達し、2つのポリゴンミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部23で反射された測定光は、リレーレンズ22を介して、ダイクロイックミラー40で反射された後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
【0015】
そして、眼底で反射した測定光は、対物レンズ10を介して、ダイクロイックミラー40で反射し、OCT光学系200に向かい、リレーレンズ22、走査部23の2つのガルバノミラー、リレーレンズ24を介して、光ファイバ38bの端部39bに入射する。端部39bに入射した測定光は、光ファイバ38b、ファイバーカップラー26、光ファイバ38dを介して、ファイバーカップラー34に達する。
【0016】
一方、参照光を参照ミラー31に向けて出射する光路には、参照光を出射する光ファイバ38cの端部39c、コリメータレンズ29、参照ミラー31が配置されている。参照ミラー31は、参照光の光路長を変化させるべく、参照ミラー駆動機構50により光軸方向に移動可能な構成となっている。
【0017】
光ファイバー38cの端部39cから出射した参照光は、コリメータレンズ29で平行光束とされ、参照ミラー31で反射された後、コリメータレンズ32により集光されて光ファイバ38cの端部39cに入射する。端部39cに入射した参照光は、光ファイバ38cを介して、ファイバーカップラー26に達する。
【0018】
そして、眼底に照射された測定光の反射光と前述のように生成された参照光は、ファイバーカップラー26にて合成され干渉光とされた後、光ファイバ38dを通じて端部84bから出射される。800は周波数毎の干渉信号を得るために干渉光を周波数成分に分光する分光光学系800(スペクトロメータ部)であり、コリメータレンズ80、グレーティングミラー(回折格子)81、集光レンズ82、受光素子83にて構成されている。受光素子83は、赤外域に感度を有する一次元素子(ラインセンサ)を用いている。
【0019】
ここで、端部84aから出射された干渉光は、コリメータレンズ80にて平行光とされた後、グレーティングミラー81にて周波数成分に分光される。そして、周波数成分に分光された干渉光は、集光レンズ82を介して、受光素子83の受光面に集光する。これにより、受光素子83上で干渉縞のスペクトル情報が記録される。そして、そのスペクトル情報が制御部70へと入力され、フーリエ変換を用いて解析することで、被験者眼の深さ方向における情報が計測可能となる。ここで、制御部70は、走査部23により測定光を眼底上で所定の横断方向に走査することにより断層画像を取得できる。例えば、X方向もしくはY方向に走査することにより、被検眼眼底のXZ面もしくはYZ面における断層画像を取得できる(なお、本実施形態においては、このように測定光を眼底に対して1次元走査し、断層画像を得る方式をBスキャンとする)。なお、取得された断層画像は、制御部70に接続されたメモリ72に記憶される。さらに、測定光をXY方向に2次元的に走査することにより、被検眼眼底の3次元画像を取得することも可能である。なお、本実施形態におけるOCT画像の取得は、走査部23に設けられた2つのガルバノミラーによって行われる。
【0020】
次に、ダイクロイックミラー40の透過方向に配置されたSLO光学系(共焦点光学系)300について説明する。61は高コヒーレントな光を発するSLO光源であり、例えば、λ=780nmのレーザダイオード光源が用いられる。SLO光源61から発せられるレーザ光を被検眼Eに向けて出射する光路には、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なリレーレンズ63、走査駆動機構52の駆動により眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させることが可能なガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合せからなる走査部64、リレーレンズ65、対物レンズ10が配置されている。また、走査部23のガルバノミラー及びポリゴンミラーの反射面は、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。なお、本実施形態におけるSLO光学系300が持つ走査部64は、前述のOCT光学系200が持つ走査部23とは別の構成からなる。なお、SLO光学系300において、走査部64にポリゴンミラーを用いることによって、測定光の1ラインのスキャンスピードを高速化でき、SLO画像を短い時間で取得することができる。
【0021】
また、SLO光源61とリレーレンズ63との間には、ビームスプリッタ62が配置されている。そして、ビームスプリッタ62の反射方向には、共焦点光学系を構成するための集光レンズ66と、眼底に共役な位置に置かれる共焦点開口67と、SLO用受光素子68とが設けられている。
【0022】
ここで、SLO光源61から発せられたレーザ光(測定光)は、ビームスプリッタ62を透過した後、リレーレンズ63を介して、走査部64に達し、ガルバノミラー及びポリゴンミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部64で反射されたレーザ光は、リレーレンズ65を介して、ダイクロイックミラー40を透過した後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
【0023】
そして、眼底で反射したレーザ光は、対物レンズ10、リレーレンズ65、走査部64のガルバノミラー及びポリゴンミラー、リレーレンズ63を経て、ビームスプリッタ62にて反射される。その後、集光レンズ66にて集光された後、共焦点開口37を介して、受光素子68によって検出される。そして、受光素子68にて検出された受光信号は制御部70へと入力される。制御部70は受光素子68にて得られた受光信号に基づいて被検眼眼底の正面画像を取得する。取得された正面画像はメモリ72に記憶される。なお、SLO画像の取得は、走査部64に設けられたガルバノミラーによるレーザ光の縦方向の走査(副走査)とポリゴンミラーによるレーザ光の横方向の走査(主走査)によって行われる。
【0024】
なお、制御部70には、表示モニタ75に接続され、その表示画像を制御する。また、制御部70には、メモリ72、測定開始スイッチ74a、測定位置設定スイッチ74b、撮影開始スイッチ74c、オートコヒーレンススイッチ74d等が接続されている。
【0025】
次に、BスキャンによりXZ面の断層画像(Bスキャン画像)を取得する手法について説明する。図2は、BスキャンによるOCT画像(右側)と二次元的なスキャンによるSLO画像(左側)を逐次取得する際の動作について説明する図である。ここで、制御部70は、OCT光源27とSLO光源61を交互に点灯させることによって被検眼の眼底像を得るために被検眼の眼底に照射される照射光を,OCT光学系200を介して照射される測定光とSLO光学系を介して照射されるレーザ光とで切り換える。よって、制御部70には、OCT光学系200に配置された受光素子83によって検出される干渉信号とSLO光学系300に配置された受光素子68によって検出される受光信号が逐次入力される。
【0026】
図2において、Bスキャン画像(OCT画像)を取得するための時間は、主に受光素子83(ラインセンサ)の応答時間(露光時間及び転送時間)によって決定される。本実施形態では、応答時間が1/58000秒程度の受光素子を用いており、ある1点における被検眼の深さ情報を取得する(Aスキャン)のに1/58000秒を要する。したがって、Bスキャン画像を得ようとすると、1ラインをスキャン(走査)して画像を得る時間は、測定画素数に反映され、例えば256ピクセルで4.4msec、1024ピクセルで17.5msecとなる。
【0027】
一方、SLO画像を取得するための時間は、主にレーザ光の横方向の走査速度(主走査)によって決定される。本実施形態では、横方向の走査に1秒間におよそ500回、回転可能な12面からなるポリゴンミラーを用いているため、1秒あたり6000回程度のスキャンが可能である。よって、1ラインをスキャンするスピードは、0.17msec程度となる。従って、例えば、1フレーム(1024×1024ピクセル)のエリア(撮影画角40°×40°からなるエリア)を取得しようとすると、0.17msec×1024=0.174(6fps)となる。なお、レーザ光が縦方向で往復されると、上方向から下方向への走査の間にSLO画像が1フレーム分(1024×1024)取得され、下方向から上方向への走査の間にSLO画像がもう1フレーム分(1024×1024)取得される。
【0028】
ここで、制御部70は、SLO画像の1フレーム分の走査エリアのうち、画像取得に影響を及ぼし難い、上下端部のエリア(図2のハッチング部分)を、OCT画像取得に必要な時間分に相当する領域として、その領域に位置する間、SLO光源61をOFFとする。そして、SLO光源61がOFFの間に、OCT光源27をONにしてBスキャンにてOCT画像を取得する。
【0029】
この場合、OCT画像取得に必要な時間分に相当するSLO画像取得における上下方向の走査線の本数を求め、求めた走査線分をSLO画像の取得エリアの上下端側から均等に設定する。そして走査部64のガルバノミラーによってレーザ光が走査されている間、設定された走査線部分に位置する間だけ、SLO光源61を消灯し、代わりにOCT光源27を点灯させる制御を交互に行う。前述したように、SLO画像の1フレーム分を1024×1024ピクセル、OCT画像の一方向のスキャン幅を1024ピクセルとすると、SLO光源61の消灯時間は0.0175secであり、代わりに0.0175secだけOCT光源27を点灯させる。このOCT光源27が点灯している間に少なくとも1フレーム分のOCT画像の取得が行われる。制御部70は、このような制御を連続して行い、交互に得られたSLO画像及びOCT画像を、表示モニタ75に同時に動画として表示させる。
【0030】
このように、OCT光源27とSLO光源61が交互に点灯されるため、取得されるOCT画像及びSLO画像の検出感度を向上させるべく、各光源の出力を大きくしても、必要以上の光量が被検眼に到達することがなく、被検眼への負担が少なくてすむ。よって、被検眼への負担をかけることなく、良質の断層画像及び正面画像を得ることができる。
【0031】
以上のような構成を備える装置において、その動作を説明する。まず、検者は、図示なき前眼部観察用カメラで撮影された画面で瞳孔中心に測定光軸がくるように、アライメントし、被検者に図示なき可動固視灯を注視させ、検者の所望する測定部位に誘導する。そして、検者は、表示モニタ75に表示されるSLO画像(図3参照)に基づいて眼底にフォーカスを合わせ、次にオートコヒーレンススイッチ74dを使用すると、OCT信号が検出されるまで自動で参照ミラー31が移動される。
【0032】
ここで、受光素子83のOCT信号が検出されると、制御部70は、前述のようにOCT光源27とSLO光源61を交互に点灯させ、OCT画像とSLO画像を交互に取得していき、取得された画像をモニタ75の画面上に表示する。図3は、モニタ75の同一画面上に並べて表示された眼底の断層画像と正面画像を示す図である。ここで、制御部70は、OCT画像及びSLO画像の各画像が1フレーム取得される毎に、随時モニタ75に表示されるOCT画像及びSLO画像を随時更新していく。以上のようにすれば、SLO光学系300による正面画像とOCT光学系200による断層画像が動画レートでほぼ同時に観察可能となる。なお、検者の設定によらない最初のOCT画像の取得位置は、例えばSLO画像の中心位置から水平方向に所定領域分とすればよい。
【0033】
OCT画像及びSLO画像が同一画面上に表示されたら、検者はリアルタイムで観察される表示モニタ75上のSLO画像から検者の撮影したい断層画像の位置を設定する。検者は、測定位置設定スイッチ74bを操作して、画面上のSLO画像上に電気的に表示される測定位置(取得位置)を表すラインLSをSLO眼底画像に対して移動させていき、測定位置を設定する。なお、ラインLSがX方向となるように設定すれば、XZ面の断層画像の撮影が行われ、ラインLSがY方向となるように設定すれば、YZ面の断層画像の撮影が行われるようになっている。また、ラインLSを任意の形状(例えば、斜め方向や丸等)に設定できるようにしてもよい。
【0034】
そして、制御部70は、設定された測定位置に基づいてBスキャンによるXZ面の断層画像の撮影動作を行う。すなわち、制御部70は、画面上のSLO画像上に設定されたラインLSの表示位置に基づいてこのラインLSの位置における眼底の断層画像が得られるように、走査部23を駆動させて測定光を走査させる。なお、ラインLSの表示位置(モニタ上における座標位置)と走査部23による測定光の走査位置との関係は、予め定まっているので、制御部70は設定したラインLSの表示位置に対応する走査範囲に対して測定光が走査されるように、走査部23の2つのガルバノミラーを適宜駆動制御する。
【0035】
ここで、検者によってラインLSがSLO眼底画像に対して移動されると、制御部70は、随時測定位置の設定を行い、これに対応する測定位置の断層画像の取得を行う。そして、取得された断層画像を随時モニタ75の表示画面上に表示する。このようにして、検者の所望する断層画像がモニタ75に表示され、検者によって撮影開始スイッチ74cが押されると、所望する断層画像と正面画像がメモリ72に記憶される。
【0036】
このようにすれば、被検眼に負担をかけることなく、断層画像の取得時における眼底の正面画像を観察することができる。よって、検者は、断層画像取得時の被検眼の状態の把握が容易となる。また、断層画像取得時のSLO画像に基づいて被検眼の位置ずれを検出することにより、断層画像の補正を行うことも可能である。この場合、得られたSLO画像から被検眼の眼底の特徴点(血管形状や視神経乳頭)を画像処理により抽出し、抽出された特徴点の偏位量を求めることにより被検眼の位置ずれを検出することが可能である。そして、制御部70は、検出された被検眼の位置ずれ量に基づいて走査部23を駆動制御させ、位置ずれ量分測定位置を補正する(ラインLSの表示位置も補正するとよい)ことにより、測定中に被検眼が動いても、その影響なく一定の断層像を観察することができる。その他、制御部70は、検出された被検眼の位置ずれ量に基づいて装置本体全体を移動させるよう図示なき駆動部を制御することにより、被検眼の位置ずれを補正することが可能である。
【0037】
なお、以上の説明において、表示モニタ75にリアルタイムで動画表示されるSLO画像及びOCT画像(SLO画像上の測定指定箇所)は、厳密には同時に取得されたものではなく、時間差を持って取得される。この場合、SLO画像とOCT画像とが逐次取得される際の時間差が小さい装置構成であれば、表示モニタ75に動画表示されるSLO画像とOCT画像が同時に取得され、その対応関係が一致しているとしても実質的な問題はないと考えることができる。図3に示す実施形態によれば、OCT画像を1フレーム取得するのに要する時間が0.0175秒であるため、表示モニタ75に表示されるSLO画像及びOCT画像との間には、0.0175秒の時間差が生じる。一方、1フレーム分のSLO画像の取得には0.157秒(0.174秒−0.0175秒)かかるため、両画像を取得する際の時間差は、非常に微小なものである。また、眼の固視微動の周波数は、約5〜50Hz程度といわれており、このことからしてもSLO画像と、そのSLO画像上の指定位置に基づいて取得されるOCT画像とは、常に対応付けられているとして扱うことに実質的な問題はない。
【0038】
なお、以上の説明においては、Bスキャン画像を取得する際の動作について説明したが、これに限るものではなく、OCT光学系200によって3次元画像を取得する場合においても、本発明の適用は可能である。
【0039】
図4は、OCT3次元画像を撮影する際の動作について説明する図である。この場合、OCT画像を256×256で取得する。図4において、SLO画像を1ライン測定する時間は0.17msecであり、この時間はOCT画像の5ポイントに相当する。
【0040】
ここで、制御部70は、OCT3次元画像の取得に用いられる1ライン分の画像を取得する際、走査部23によって走査される測定光の一ライン分の走査エリアの大半でOCT測定光を照射し、画像取得に影響を及ぼし難い、測定光の一ライン分の走査エリアにおける端部エリアで被検眼にレーザ光を照射する。そして、制御部70は、走査エリアにおける端部エリアに測定光が位置する間に、走査部64によってレーザ光を1ライン分走査させることにより正面画像の1ライン分の画像を取得する。
【0041】
より具体的には、制御部70は、OCT画像の第1ライン256ポイントのうち、251点までOCT光源27をONとして、251点まで測定したらOCT光源27をOFFにし、SLO光源61をONにする。そして、SLO画像の第1ラインのスキャンを行い、0.17msec後に、SLO光源61をOFFし、OCT光源をONする。次に、OCT画像の第2ラインのOCTを251点測定し、次にSLOの第2ラインを測定する。これを256回繰り返すことで、2.3秒後に251×256エリアの3次元OCT画像と1枚のSLO画像が得られる。ここで得られたSLO画像とOCT測定前(又は後)に得られた0.043秒で測定するSLO画像を比較することで、2.3秒かけて測定した256ラインのBスキャン画像それぞれの位置ずれを検出することができる。この場合、OCT測定前(又は後)に得られたSLO画像における被検眼の眼底全体から各Bスキャン画像における被検眼の眼底の特徴点(血管形状や視神経乳頭等)の相当する位置を算出し、各Bスキャン画像における被検眼の眼底の特徴点の偏位量を求めることにより、各Bスキャン画像取得時における位置ずれ量を求めることができる。そして、制御部70は、前述のように求められた位置ずれ量に基づいて、256枚のOCT画像の固視微動による位置ずれを補正する。このようにすれば、位置ずれが補正された3次元OCT画像を取得することができる。この場合、制御部70は、走査部64に設けられたガルバノミラーの走査スピード(縦方向の走査スピード)を遅くしてOCTのスキャンに合わせる必要がある。
【0042】
なお、以上の説明においては、被検眼の断層像を撮影する干渉光学系としてフーリエドメインOCTを例にとって説明したが、これに限るものではない。例えば、いわゆるタイムドメインOCTを干渉光学系として用いてもよい。
【0043】
なお、本実施形態においては、SLO光学系のレーザ光源としてλ=780nmの光を発するレーザダイオードを用いるものとしたため、このレーザ光を赤外蛍光励起光とするインドシアニングリーン蛍光剤を用いたICG撮影を行うことも可能である。よって、OCT画像とICG画像を動画レートでほぼ同時に取得できる。
【0044】
なお、以上の説明においては、被検眼の眼底部分を撮影対象とした構成について説明したが、これに限るものではなく、被検眼の所定部位の断層像及び正面画像が得られる構成であれば良い。例えば、被検眼の前眼部付近を撮影対象とする装置であっても、本発明の適用が可能である。
【0045】
また、以上の説明においては、被検眼の眼底に照射される照射光を測定光とレーザ光とで切り換える構成として、OCT光源27とSLO光源61とを交互に点灯させるような構成としたが、これに限るものではなく、OCT光学系200及びSLO光学系300の光路中に測定光及びレーザ光を遮光するシャッタ等を配置し、シャッタの開閉動作によって被検眼の眼底に照射される照射光を測定光とレーザ光とで切り換えるようにしてもよい。
【0046】
また、被検眼の眼底に照射される照射光をOCT画像用の測定光とレーザ光(SLO画像用の測定光)とで切り換える場合、実質的に測定光が切り換わればよく、一方の測定光を照射している間に他方の測定光を完全に0にする必要はない。例えば、一方の測定光の出力に対して他方の測定光を低くすると共に、被検眼の眼底に同時に到達する第1測定光(OCT測定光)及び第2測定光(SLO測定光)の合計の出力が予め設定された出力上限を超えないように測定光の出力を制御するようにしてもよい。この場合、例えば、被検眼の眼底に照射可能な光の上限値を定めた所定の安全基準に基づいて、被検眼の眼底に同時に照射される測定光の合計の上限値を予め設定することができる。
【0047】
なお、以上の説明においては、OCT光学系200とSLO光学系の投光光学系、受光光学系、走査部のそれぞれを別々に設けるような構成としたが、投光光学系及び受光光学系の少なくとも一部の光学部材を共用させるようにしてもよい。例えば、以下のように光源を共用するようにしてもよい。
【0048】
OCT光学系200とSLO光学系300の光源を共用する場合、共用される測定光源(例えば、SLD光源等を用いる)から被検眼までの照射光路中にハーフミラー等の光分割部材を設け、OCT光学系200の光路とSLO光学系300の光路を一旦分岐させておく(なお、分岐された光路は、所定の光結合部材等によって被検眼に到達するまでの間の同一光路に復帰させておく)。そして、光分割部材によって分岐されたOCT光学系200の光路及びSLO光学系300の光路にそれぞれ開閉可能なシャッタを設け、2つのシャッタを交互に開閉させることによって、被検眼に向けて照射する測定光を交互に切換えることができる。
【0049】
なお、以上の説明においては、SLO画像の1フレーム分の走査エリアにおける上下端部のエリアを走査する間にOCT画像を取得するような構成としたが、これに限るものではなく、OCT画像とSLO画像とが逐次取得されるものであればよい。例えば、SLO画像を1フレーム分取得するフレームレートを本来のフレームレートに対して半分にし(例えば、1秒間に取得するSLO画像を6フレームから3フレームにする)、半分にすることによって空いた時間でOCT画像を取得するようにしてもよい。
【0050】
なお、以上の説明においては、被検眼に向けて照射する測定光を交互に切換えることで、OCT画像とSLO画像を交互に取得するような構成としたが、以下のような構成でもあってもよい。すなわち、所定の光源を点灯させてOCT用測定光とSLO用測定光を被検眼に対して同時に照射し、眼底上におけるOCT測定光とSLO測定光の照射(集光)位置がそれぞれ異なるように各走査部を駆動制御するようにしてもよい。このようにすれば、被検眼に対してOCT用測定光とSLO用測定光が同時に照射されても、被検眼の眼底に照射される位置が異なるため、被検眼の眼底に対する負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態の眼科撮影装置の光学系及び制御系を示す図である。
【図2】BスキャンによるOCT画像(右側)と二次元的なスキャンによるSLO画像(左側)を逐次取得する際の動作について説明する図である。
【図3】モニタの同一画面上に並べて表示された眼底の断層画像と正面画像を示す図である。
【図4】OCT3次元画像を撮影する際の動作について説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
23 走査部
27 OCT光源
83 受光素子
61 SLO光源
64 走査部
68 受光素子
70 制御部
200 干渉光学系
300 SLO光学系(共焦点光学系)
E 被検眼

【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29467(P2008−29467A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204425(P2006−204425)